JP2017098036A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置 Download PDF

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Hiroshi Ono
拓 大野
清水 貴央
Takahisa Shimizu
貴央 清水
弘彦 深川
Hirohiko Fukagawa
弘彦 深川
森井 克行
Katsuyuki Morii
克行 森井
宗弘 長谷川
Munehiro Hasegawa
宗弘 長谷川
健二 ▲桑▼田
健二 ▲桑▼田
Kenji Kuwata
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Abstract

【課題】発光層の形成後に形成する電極をスパッタリング法で形成することに起因するダメージを受けにくく、キャビティ構造を形成する場合におけるキャビティ構造の膜厚の自由度が高く、大画面のディスプレイに好適に用いることができる有機EL素子の提供。【解決手段】基板2上に、下部電極3と、発光層を含む層構造5と、電子注入性または正孔輸送性を有する金属酸化物膜7と、金属膜8と、透明導電膜からなる上部電極9とがこの順に形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子1とする。金属酸化物膜7が、モリブデン酸化物(MoOx)、バナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MOx)、ニッケル酸化物(NiOx)、セリウム酸化物(CeOx)、ストロンチウム酸化物(SrOx)から選ばれるいずれか一種を含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)、表示装置、照明装置に関する。
有機EL素子は、ディスプレイ等の表示装置や、照明装置として利用されている。有機EL素子は、対向する2つの電極間に有機層が配置された構造を有する。有機層は、有機発光材料からなる発光層を有する。有機EL素子は、構造が簡便で、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能であるため、発光素子として注目されている。
有機EL素子では、発光層で発光して電極を通過した光が、対向する2つの電極のうちの一方の電極側ないし両側から有機EL素子の外部に取り出される。発光層で発光した光を通過させる電極には、ITO(インジウム酸化錫(Indium Tin Oxide))、IZO(インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide))などの透明導電膜が用いられている。ITOやIZOからなる電極は、通常、スパッタリング法により形成される。
しかしながら、スパッタリング法により有機層上に透明導電膜を形成する方法を用いて製造した有機EL素子では、駆動電圧が高いなど良好な特性が得られない場合があった。これは、スパッタリング法により有機層上に透明導電膜を形成する際に、高エネルギー粒子や紫外線が、有機層にダメージを与えたためと考えられている。
この問題を解決するために、スパッタリング法により有機層上に透明導電膜を形成する際に、有機層が受けるダメージを抑制する技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、第1の電極の上に有機物を含む層を形成し、その上に、金属酸化物であるモリブデン酸化物を蒸着し、その上にITOをスパッタリング法により成膜して形成した発光素子が記載されている。
また、有機EL素子として、金属膜と透明導電膜の2層構造を有する電極を備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。金属膜と透明導電膜の2層構造を有する電極は、透明導電膜のみからなる電極と比較して、良好な導電性を有する。
また、有機EL素子として、対向する2つの電極の両方が金属膜を有するものがある。例えば、2層のITO間にAgなどの金属膜を配置したものを、対向する2つの電極としてそれぞれ用いた有機EL素子がある。このような有機EL素子では、2つの金属膜間に発光層が挟まれたキャビティ構造が形成される。キャビティ構造では、電極を形成している2つの金属膜間の距離(キャビティ構造の膜厚)を、発光波長に対応する所定の寸法にする。このことにより、発光層で発光した特定の波長の光を共振させて増強する。したがって、キャビティ構造を有する有機EL素子では、発光スペクトルの半値幅を狭くでき、色純度を向上させることができる。
特開2015−53514号公報 国際公開第2013/076758号
しかしながら、有機層の上に蒸着法により金属酸化物膜を形成し、金属酸化物膜の上にスパッタリング法によりITOを成膜して形成した有機EL素子では、金属酸化物膜の膜厚を薄くすることが要求されている。金属酸化物膜の膜厚が薄いと、キャビティ構造を有する有機EL素子を形成する場合に、キャビティ構造の膜厚の自由度が高くなる。このため、キャビティ構造の膜厚を容易に所定の寸法にすることができ、キャビティ構造によって、発光層で発光した特定の波長の光を効果的に増強できる。
しかしながら、有機層の上に蒸着法により金属酸化物膜を形成し、金属酸化物膜の上にスパッタリング法によりITOを成膜する場合、スパッタリング法に起因する有機層へのダメージ(損傷)を十分に抑制するために、金属酸化物膜の膜厚を十分に厚くする必要があった。このため、金属酸化物膜の膜厚を薄くすることは容易ではなかった。
また、従来の有機EL素子の電極では、大画面のディスプレイ(表示装置)に有機EL素子を用いた場合、導電性が不足する場合があった。このため、有機EL素子の電極においては、大画面のディスプレイに有機EL素子を用いた場合でも不足しない十分な導電性を確保することが要求されている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、発光層の形成後に形成する電極をスパッタリング法で形成することに起因するダメージを受けにくく、キャビティ構造を形成する場合におけるキャビティ構造の膜厚の自由度が高く、大画面のディスプレイに好適に用いることができる有機EL素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記の有機EL素子を備えた表示装置および照明装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を鑑みて鋭意検討した。その結果、下部電極上に発光層を含む層構造を形成した後、電子注入性または正孔輸送性を有する金属酸化物膜と、金属膜と、透明導電膜からなる上部電極とをこの順に形成すればよいことを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 基板上に、下部電極と、発光層を含む層構造と、電子注入性または正孔輸送性を有する金属酸化物膜と、金属膜と、透明導電膜からなる上部電極とがこの順に形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(2) 前記金属酸化物膜が、モリブデン酸化物(MoO)、バナジウム酸化物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、マンガン酸化物(MO)、ニッケル酸化物(NiO)、セリウム酸化物(CeO)、ストロンチウム酸化物(SrO)から選ばれるいずれか一種を含むことを特徴とする(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3) 前記金属酸化物膜の膜厚が、5〜100nmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4) 前記下部電極が、金属膜を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする表示装置。
(6) (1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする照明装置。
本発明の有機EL素子は、基板上に、下部電極と、発光層を含む層構造と、電子注入性または正孔輸送性を有する金属酸化物膜と、金属膜と、透明導電膜からなる上部電極とがこの順に形成されたものである。
本発明の有機EL素子では、発光層を含む層構造と上部電極との間に、金属酸化物膜と金属膜とが配置されている。このため、本発明の有機EL素子では、金属酸化物膜と金属膜とにより、透明導電膜からなる上部電極をスパッタリング法で形成する際における発光層を含む層構造へのダメージが防止される。したがって、例えば、発光層を含む層構造と上部電極との間に、金属酸化物膜のみが配置されている有機EL素子と比較して、金属酸化物膜の厚みを薄くできる。よって、本発明の有機EL素子が、キャビティ構造を有している場合、キャビティ構造の膜厚の自由度が高いものとなる。
また、本発明の有機EL素子では、金属酸化物膜と上部電極との間に金属膜が配置されているので、金属膜が上部電極として機能することにより、上部電極の導電性が向上する。したがって、本発明の有機EL素子における上部電極は、有機EL素子を大画面のディスプレイに用いた場合でも不足しない十分な導電性を有し、大画面のディスプレイに好適に用いることができる。
また、本発明の表示装置および照明装置は、本発明の有機EL素子を備えているため、優れた特性を有する。
本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。 実施例1および比較例1〜3の有機EL素子における電圧と輝度の関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1〜3の有機EL素子における電圧と電流密度との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1〜3の有機EL素子における発光効率と電流密度との関係を示したグラフである。 実施例1および比較例1〜3の有機EL素子の発光スペクトルを示したグラフである。
以下、本発明の有機EL素子、表示装置、照明装置について詳細に説明する。
「有機EL素子」
図1は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。図1に示す本実施形態の有機EL素子1(有機エレクトロルミネッセンス素子)は、下部電極3と上部電極9との間に、発光層を含む層構造5を有する。
本実施形態の有機EL素子1は、基板2上に、下部電極3と、発光層を含む層構造5と、金属酸化物膜7と、金属膜8と、上部電極9とがこの順に形成された積層構造を有する。
図1に示す有機EL素子1は、基板2と発光層を含む層構造5との間に、陰極である下部電極3が配置された逆構造の有機EL素子である。
図1に示す有機EL素子1は、層構造5から基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、層構造5から基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
「基板」
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いてもよいし、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
「下部電極(陰極)」
下部電極3は、基板2上に直接接触して形成されている。
下部電極3は、金属膜を有することが好ましい。下部電極3が金属膜を有するものである場合、下部電極3の金属膜と金属膜8との間に発光層を含む層構造5が挟まれたキャビティ構造を有する有機EL素子1となる。
金属膜を有する下部電極3としては、例えば、基板2上に透明導電膜と金属膜とが順に形成された構造、基板2上に透明導電膜と金属膜と透明導電膜とが順に形成された構造などが挙げられる。
下部電極3に用いる透明導電膜の材料としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)等が挙げられる。
下部電極3に用いる金属膜の材料としては、Ag(銀)、APC(銀とパラジウムと銅の合金)、ARA(銀とルビジウムと金の合金)、モリブデンとクロムの合金、ニッケルとクロムの合金などの導電性および光反射性に優れる金属が挙げられる。
下部電極3の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
下部電極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「層構造」
層構造5は、下部電極3側から順に、電子注入層と、電子輸送層と、発光層と、正孔輸送層と、正孔注入層とが、積層された構造を有することが好ましい。層構造5の構造は、この例に限定されるものではなく、従来公知の構造を適用できる。
また、層構造5を形成する層は全て有機物で形成されていてもよいし、層構造5の一部の層(例えば、電子注入層)が無機化合物で形成された有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子(HOILED素子)とされていてもよい。
(電子注入層)
電子注入層は、下部電極3(陰極)から電子を発光層へ注入するための層である。電子注入層は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなる層と有機材料からなる層の両方を有していてもよい。
無機材料からなる電子注入層の材料としては、金属酸化物など種々の公知の材料を用いることができる。電子注入層に用いる金属酸化物を構成する金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ケイ素が挙げられる。電子注入層に用いる材料としては、上述した金属酸化物の中でも特に、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化ジルコニウムおよびその混合物から選ばれる1種以上の金属酸化物が好ましい。
有機材料からなる電子注入層の材料としては、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(SPB)などが好ましく用いられる。
本実施形態の逆構造の有機EL素子1では、電子注入層として、下部電極3上に形成した金属酸化物膜と、金属酸化物膜上に形成した有機材料からなる層とが積層されたものを用いることが好ましい。
電子注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましい。
電子注入層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
(電子輸送層)
電子輸送層としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの材料を用いてもよい。具体的には、電子輸送層の材料として、フェニル−ディピレニルホスフィンオキサイド(POPy)のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy),等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの電子輸送層の材料の中でも、特に、POPyのようなホスフィンオキサイド誘導体、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることが、より好ましい。
電子輸送層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
(発光層)
発光層を形成する材料としては、発光層の材料として通常用いることのできる材料を用いることができ、これらを混合して用いてもよい。具体的には、例えば、発光層の材料として、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))と、トリス[1−フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))を混合して用いてもよい。
また、発光層を形成する材料は、低分子材料であってもよいし、高分子材料であってもよい。なお、本発明において低分子材料とは、重合体ではない材料であることを意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
発光層を形成する高分子材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物等が挙げられる。
発光層を形成する低分子材料としては、例えば、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ、3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物;ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物;フェナントレンのようなフェナントレン系化合物;クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物;ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物;コロネンのようなコロネン系化合物;アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物;ピレンのようなピレン系化合物;4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物;アクリジンのようなアクリジン系化合物;スチルベンのようなスチルベン系化合物;2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物;ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物;ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物;2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物;ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物;ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物;クマリンのようなクマリン系化合物;ペリノンのようなペリノン系化合物;オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物;アルダジン系化合物;1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物;キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物;ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物;2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物;フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物等が挙げられる。
発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
発光層の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層の成膜時に測定してもよい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層に用いる正孔輸送性有機材料としては、各種p型の高分子材料(有機ポリマー)、各種p型の低分子材料を用いることができる。正孔輸送層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
正孔輸送層の材料としては、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N4,N4’−ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニルー4,4’−ジアミン(DBTPB)、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
正孔輸送層の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
(正孔注入層)
正孔注入層の材料としては、種々の公知の材料を用いることができる。正孔注入層は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよい。無機材料は、有機材料と比較して安定であるため、有機材料を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
無機材料としては、特に制限されないが、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物を1種又は2種以上を用いることができる。
有機材料としては、ジピラジノ[2,3−f:2‘,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)や2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)等を用いることができる。
正孔注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
正孔注入層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
「金属酸化物膜」
金属酸化物膜7は、スパッタリング法を用いて上部電極9を形成した場合に、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを抑制する。金属酸化物膜7は、正孔輸送性を有する。
金属酸化物膜7を形成する材料としては、モリブデン酸化物(MoO)、バナジウム酸化物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、マンガン酸化物(MO)、ニッケル酸化物(NiO)、セリウム酸化物(CeO)、ストロンチウム酸化物(SrO)から選ばれるいずれか一種を含むことが好ましい。これらの材料は、優れた正孔輸送性を有し、蒸着法を用いて容易に成膜できる。また、これらの材料で形成した金属酸化物膜7は、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に抑制できる。上記の材料の中でも特に、優れた正孔輸送性を有し、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に抑制できる金属酸化物膜7が得られるMoOを、金属酸化物膜7を形成する材料として用いることが好ましい。
なお、通常スパッタリング法で形成される材料であるITO、IZOなどのインジウム酸化物は、金属酸化物であるが金属酸化物膜7を形成する材料としては用いない。
金属酸化物膜7の膜厚は、5〜100nmであることが好ましい。金属酸化物膜7の膜厚が5nm以上であると、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に軽減できる。金属酸化物膜7の膜厚は、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージをより効果的に軽減するために、7nm以上であることが好ましい。また、金属酸化物膜7の膜厚が100nm以下であると、本実施形態の有機EL素子1が、キャビティ構造を有する場合に、キャビティ構造の膜厚の自由度を高くできる。金属酸化物膜7の膜厚は、キャビティ構造の膜厚の自由度をより高くするために、50nm以下であることがより好ましく、10nm未満であることがさらに好ましく、8nm以下であることが最も好ましい。
「金属膜」
金属膜8は、スパッタリング法を用いて上部電極9を形成した場合に、金属酸化物膜7とともにスパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを抑制する。また、金属膜8は、透明導電膜9とともに上部電極として機能し、上部電極の導電性向上に寄与する。また、金属膜8は、下部電極3が金属膜を有するものである場合、下部電極3の金属膜とともにキャビティ構造を形成する。
金属膜8の材料としては、Al、Ag(銀)、銀合金などが挙げられる。金属膜8に用いられる銀合金としては、APC(銀とパラジウムと銅の合金)、ARA(銀とルビジウムと金の合金)などが挙げられる。これらの材料は、蒸着法を用いて容易に成膜でき、導電性および光反射性に優れる。また、これらの材料で形成した金属膜8は、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に抑制できる。金属膜8の材料としては、導電性および光反射性に優れるとともに、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に抑制できるため、特にAgを用いることが好ましい。
金属膜8の膜厚は、10〜25nmであることが好ましい。金属膜8の膜厚が10nm以上であると、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージを効果的に軽減できる。また、金属膜8の膜厚が10nm以上であると、金属膜8によって上部電極の導電性を効果的に向上できる。金属膜8の膜厚は、12nm以上であることがより好ましい。また、金属膜8の膜厚が25nm以下であると、金属膜8が有機EL素子1の光取出し効率に与える影響が少ない。金属膜8の膜厚は、20nm以下であることがより好ましい。
「上部電極(陽極)」
上部電極9は透明導電膜からなる。具体的には、上部電極9に用いられる材料として、ITO、IZOなどの透明導電膜、Au、Pt、Ag、Cu、Alなどの金属またはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、上部電極9の材料として、ITO、IZOなどのインジウム酸化物、Ag、Alを用いることが好ましい。
透明導電膜9の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。また、透明導電膜9の材料として不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10〜20nm程度にすることで、トップエミッション型の有機EL素子における上部電極9を形成する透明導電膜として使用できる。
透明導電膜9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により透明導電膜9の成膜時に測定できる。
「封止」
図1に示す有機EL素子1は、必要に応じて、封止されていてもよい。
例えば、図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子1を収容する凹状の空間を有する封止容器(不図示)と、封止容器の縁部と基板2とを接着する接着剤とによって封止されていてもよい。また、封止容器に有機EL素子1を収容し、紫外線(UV)硬化樹脂などからなるシール材を充填することにより封止してもよい。
図1に示す有機EL素子1を封止する場合に用いる封止容器の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等を用いることができる。封止容器に用いられる樹脂材料およびガラス材料としては、基板2に用いる材料と同様のものが挙げられる。
「有機EL素子の製造方法」
次に、図1に示す有機EL素子1の製造方法について、説明する。
図1に示す有機EL素子1を製造するには、まず、基板2上に下部電極3(陰極)を形成する。
下部電極3は、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等により形成することができる。下部電極3の形成には、金属箔を接合する方法を用いてもよい。
次に、下部電極3上に層構造5を形成する。具体的には、下部電極3上に、下から順に、電子注入層と、電子輸送層と、発光層と、正孔輸送層と、正孔注入層とを形成する。これら各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性などに応じて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
具体的には、金属酸化物からなる電子注入層を形成する場合、例えば、スプレー熱分解法、ゾルゲル法、真空蒸着法等の方法を用いて形成する。
電子輸送層、発光層、正孔輸送層の各層を形成する方法として、電子輸送層、発光層、正孔輸送層となる有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する塗布法、真空蒸着法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法などが挙げられる。
次に、正孔輸送層上に正孔注入層を形成する。正孔注入層が無機材料からなるものである場合、正孔注入層は、例えば、金属酸化物層からなる電子注入層と同様にして形成できる。正孔注入層が有機材料からなるものである場合、例えば、電子輸送層、発光層、正孔輸送層と同様にして形成できる。
以上の工程により、層構造5が形成される。
次に、層構造5上に、金属酸化物膜7と金属膜8とをこの順に形成する。金属酸化物膜7および金属膜8は、蒸着法により形成する。蒸着法は、スパッタリング法を用いた場合と比較して、層構造5へのダメージが少なく好ましい。
次に、金属膜8上に、スパッタリング法を用いて透明導電膜からなる上部電極9(陽極)を形成する。この際、対向ターゲットスパッタ法などの層構造5へのダメージがより一層少ないスパッタ方法を使用することが好ましい。上部電極9は、真空蒸着法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法により形成してもよい。
以上の工程により、図1に示す有機EL素子1が得られる。
「封止方法」
図1に示す有機EL素子1を封止する場合には、有機EL素子の封止に用いられる通常の方法を使用して封止できる。
本実施形態の有機EL素子1では、発光層を含む層構造5と上部電極9との間に、金属酸化物膜7と金属膜8とが配置されている。このため、透明導電膜からなる上部電極9をスパッタリング法で形成しても、スパッタリング法に起因する層構造5へのダメージが十分に抑制される。したがって、本実施形態の有機EL素子1は、駆動電圧が低く、優れた特性を有する。
また、本実施形態の有機EL素子1では、金属酸化物膜7と金属膜8とによって、上部電極9をスパッタリング法で形成した場合における発光層を含む層構造5へのダメージが防止される。したがって、例えば、発光層を含む層構造5と上部電極9との間に、金属酸化物膜7のみが配置されている有機EL素子と比較して、金属酸化物膜7の厚みを薄くできる。よって、本実施形態の有機EL素子1が、キャビティ構造を有している場合、キャビティ構造の膜厚の自由度が高いものとなる。
本実施形態において、赤色、青色、緑色の各発光波長に対応するキャビティ構造の膜厚は、以下に示す光学長L(λ)を満たす範囲とされる。
キャビティ構造の光学長L(λ)は、下記式(1)で示されるキャビティ構造の膜厚Lと、発光波長λの反射による位相シフトとに応じて変化する。
=2Σnjdj ‥‥(1)
(式(1)において、jはキャビティ構造を形成している層の積層数(金属膜8を形成している金属膜と下部電極3を形成している金属膜との間の積層数)を表し、1〜jまでの整数をとる。dはキャビティ構造を形成している各層の厚さであり、nはキャビティ構造を形成している各層の屈折率nである。)
また、光学長Lと発光波長λは、光学長L(λ)=mλ(m(次数)=1,2,3…)で示す関係がある。したがって、光学長L(λ)は、下記数式で表される。
Figure 2017098036
上記数式において、nは金属膜と隣接する層の屈折率を示し、n+kは金属膜の複素屈折率を示し、L(λ)は光学長〔=2Σnjdj+ΣABS(φmiλ/2π)〕を示し、λは発光波長、iは金属膜の係数、jはキャビティ構造を形成している層の積層数を表す。
本実施形態の有機EL素子1がキャビティ構造を有している場合、キャビティ構造の膜厚の自由度が高いため、キャビティ構造の膜厚を発光波長に対応する所定の寸法にすることができる。その結果、発光層で発光した特定の波長の光を、キャビティ構造によって共振させて効果的に増強でき、発光スペクトルの半値幅を狭くでき、色純度を向上させることができる。
これに対し、例えば、層構造5と上部電極9との間に、金属酸化物膜7のみが配置されている有機EL素子では、上部電極9をスパッタリング法で形成した場合における層構造5へのダメージを十分に防止するためには、金属酸化物膜7の膜厚を十分に厚くしなければならない。金属酸化物膜7の膜厚が厚いと、キャビティ構造の膜厚を薄くするために層構造5の膜厚を薄くする必要が生じる。その結果、有機EL素子1の発光効率が不足したり、十分な寿命が得られなかったりする場合があった。特に、キャビティ構造の膜厚を薄くしなければならない緑色・青色の発光波長に対応するキャビティ構造を形成する場合には、層構造5の膜厚の確保が困難であった。
また、本実施形態の有機EL素子1では、金属酸化物膜7と上部電極9との間に金属膜8が配置されているので、金属膜8が上部電極9として機能することにより、上部電極9の導電性が向上する。したがって、本実施形態の有機EL素子1における上部電極9は、有機EL素子1を大画面のディスプレイに用いた場合でも不足しない十分な導電性を有する。よって、本実施形態の有機EL素子1は、大画面のディスプレイに好適に用いることができる。
「他の例」
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態において説明した有機EL素子に限定されるものではない。
具体的には、上述した実施形態においては、逆構造の有機EL素子を例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものであってもよい。
有機EL素子が順構造である場合、層構造は、下部電極(陽極)側から順に、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層とが、積層された構造を有することが好ましい。また、有機EL素子が順構造である場合、層構造上に金属酸化物膜として、電子注入性を有する金属酸化物膜を配置する。
本発明の有機EL素子において、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層の各層は、必要に応じて形成すればよく、上記各層のうち一部または全部の層が設けられていなくてもよい。
また、本発明の有機EL素子においては、層構造が、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の他の層を有していてもよい。具体的には、有機EL素子の特性をさらに向上させる等の理由から、必要に応じて、電子阻止層などが設けられていてもよい。
本発明の有機EL素子は、発光層などの材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。したがって、本発明の有機EL素子は、表示装置の発光部位や照明装置として好適に用いることができる。
本発明の表示装置は、良好な導電性を有する上部電極を有し、駆動電圧が低く、優れた特性を有する本発明の有機EL素子を備える。このため、表示装置として好ましい。
また、本発明の照明装置は、良好な導電性を有する上部電極を有し、駆動電圧が低く、優れた特性を有する本発明の有機EL素子を備える。このため、照明装置として好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
「実施例1」
以下に示す方法により、図1に示す有機EL素子1を製造し、評価した。
基板2として、膜厚150nmのITOと膜厚100nmのAPCと膜厚10nmのITOとが順に形成された構造からなる幅2mmにパターニングされた電極(下部電極3(陰極))を有する平均厚さ0.7mmの市販の透明ガラス基板を用意した。
次に、下部電極3の形成されている基板2を洗浄し、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。スパッタ装置のチャンバー内を1×10−4Paの圧力となるまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、基板2の下部電極3上に、電子注入層として膜厚7nmの酸化亜鉛層(金属酸化物)を作製した。なお、酸化亜鉛層を作製する際には、電極取り出しのために、下部電極3上の一部に酸化亜鉛が成膜されないようにした。酸化亜鉛膜の成膜後に、大気下で250℃2時間のアニールを行った。
次に、酸化亜鉛層までの各層が形成された基板2上に、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレン(SPB)を1wt%含むシクロペンタノン溶液を、MIKASA社製スピンコーターを用いてスピンコート法により回転数3000RPM、90secの条件で塗布し、窒素下で125℃、1時間のアニールを行うことにより、膜厚20nmの有機材料からなる層を形成した。このことにより、金属酸化物膜と有機材料からなる層とが積層された電子注入層を得た。
次に、電子注入層までの各層が形成された基板2を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))と、トリス[1−フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))と、N4,N4’−ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニルー4,4’−ジアミン(DBTPB)と、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)と、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)とをそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットし、MoOをMoボート、Agをタングステンボートにのせて蒸着源にセットした。
そして、真空蒸着装置のチャンバー内を1×10−5Paの圧力となるまで減圧して、抵抗加熱による真空蒸着法により、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、金属酸化物膜7、金属膜8を連続して形成した。
まず、Zn(BTZ)をホスト、Ir(piq)をドーパントとして20nm共蒸着し、発光層を成膜した。この時、ドープ濃度は、Ir(piq)が発光層全体に対して6質量%となるようにした。次に、発光層まで形成した基板2上に、DBTPBを膜厚8nm、α−NPDを膜厚40nmこの順で成膜し、正孔輸送層を形成した。さらに、HAT−CNを7nm成膜し、正孔注入層を形成した。次に、正孔注入層まで形成した基板2上に、MoOからなる膜厚7nmの金属酸化物膜7と、Agからなる膜厚15nmの金属膜8とを成膜した。
次に、ステンレス製のマスクを用いて、対向ターゲットスパッタリング法により、膜厚35nm、幅2mmの帯状のITOからなる上部電極9(陽極)を形成し、作製した有機EL素子の発光面積を4mmとした。
そして、上部電極9までの各層を形成した基板2を、凹状の空間を有するガラスキャップ(封止容器)に収容し、紫外線(UV)硬化樹脂からなるシール材を充填することにより封止し、実施例1の有機EL素子を得た。
「比較例1」
MoOからなる膜厚7nmの金属酸化物膜7に代えて、スパッタリング法により膜厚10nmのITO膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の有機EL素子を得た。
「比較例2」
MoOの膜厚を10nmとし、金属膜8を形成する前に、スパッタリング法により膜厚10nmのITO膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の有機EL素子を得た。
「比較例3」
金属酸化物膜7を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の有機EL素子を得た。
このようにして得られた実施例1、比較例1〜比較例3の有機EL素子について、以下に示すように特性を調べた。
実施例1、比較例1〜比較例3の各有機EL素子に対してケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧を印加し、コニカミノルタ社製の「LS−100」を用いて輝度を測定し、印加した電圧と輝度の関係を調べた。その結果を図2に示す。
また、各有機EL素子について、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧と電流密度との関係を調べた。その結果を図3に示す。
また、各有機EL素子について、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」及びコニカミノルタ社製の「LS−100」を用いて電流密度と発光効率との関係を調べた。その結果を図4に示す。
また、各有機EL素子について、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」及びコニカミノルタ社製の「CS−1000」を用いて、発光スペクトルを調べた。その結果を図5に示す。
図2に示すように、スパッタリング法によりITOからなる上部電極9(陽極)を形成する前に、真空蒸着法によりMoOからなる金属酸化物膜7とAgからなる金属膜8とを成膜した実施例1では、比較例1〜比較例3と比較して、印加電圧が同じである場合に高い輝度が得られており、駆動電圧が低かった。
また、図3に示すように、実施例1では、比較例1〜比較例3と比較して、立ち上がり電圧が低かった。
また、図4に示すように、実施例1では、比較例1〜比較例3と比較して、高い発光効率が得られている。
図2〜図4より、実施例1は、比較例1〜比較例3と比較して、優れた特性を有することが確認できた。これは、実施例1では、金属酸化物膜7と金属膜8とによって、上部電極9をスパッタリング法で形成した場合における層構造5へのダメージが、十分に防止されたことによるものと推定される。
なお、図5に示すように、実施例1、比較例1〜比較例3のいずれの有機EL素子においても適正なスペクトル範囲の発光が得られ、キャビティ構造を形成していることを確認した。
1:有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、2:基板、3:下部電極、5:層構造、7:金属酸化物膜、8:金属膜、9:上部電極。

Claims (6)

  1. 基板上に、下部電極と、発光層を含む層構造と、電子注入性または正孔輸送性を有する金属酸化物膜と、金属膜と、透明導電膜からなる上部電極とがこの順に形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記金属酸化物膜が、モリブデン酸化物(MoO)、バナジウム酸化物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、マンガン酸化物(MO)、ニッケル酸化物(NiO)、セリウム酸化物(CeO)、ストロンチウム酸化物(SrO)から選ばれるいずれか一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記金属酸化物膜の膜厚が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記下部電極が、金属膜を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする表示装置。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする照明装置。
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