JP2017095784A - 製鉄用溶銑輸送容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶銑を輸送しても繊維状物質が消失しない耐スポーリング性を向上させたカーボン含有れんが耐火物を施工した製鉄用溶銑輸送容器を提供する。
【解決手段】溶銑を輸送する、または前記溶銑を輸送する途中で前記溶銑に予備処理を実施するための製鉄用溶銑輸送容器であって、前記製鉄用溶銑輸送容器は、内側からワーク耐火物、永久耐火物、鉄皮の順に構成され、前記ワーク耐火物に、下記(1)、(2)および(3)を含む混合原料が硬化されたカーボン含有れんが耐火物を用いることを特徴とする製鉄用溶銑輸送容器。
(1)粒径で3mm以上が5〜40質量%、1mm以上3mm未満が10〜45質量%、0.15mm以上1mm未満が15〜30質量%、0.15mm未満が5〜45質量%の粒度範囲からなるAlおよびMgOの少なくとも1種類の化合物。
(2)黒鉛原料。
(3)平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体。
【選択図】図6

Description

本発明は、高温プロセスで用いられる製鉄用溶銑輸送容器、特にトーピード・カーや溶銑鍋など、Al−SiC−C系の定型耐火物を施工する設備に関するものである。
一般的に製鉄プロセスにおいて溶鉱炉から出銑される溶銑は、トーピード・カー、溶銑鍋に代表される精錬容器で製鋼工程へ輸送される。その後、転炉あるいは電気炉にて精錬処理を行い、それらから出鋼される溶鋼は、取鍋等の容器で、2次精錬、連続鋳造など次工程へ輸送される。この中でも転炉や電気炉は脱炭精錬を行なうのみならず、溶鋼温度の調整など重要な役割を果たす。
従来、溶銑輸送用容器のワーク耐火物にはAl−SiC−Cれんがが使用されている。ワーク耐火物は溶銑輸送時および溶銑予備処理時に酸化鉄含有スラグと接触する可能性もある。また、溶銑輸送容器の受熱/放出熱を考えると、溶銑充填時にはワーク耐火物は高温状態になり、溶銑払い出し後には熱が放出されるので、熱の出入りが繰り返し激しく起こる。この熱の出入りに応じてワーク耐火物に熱応力が繰り返し発生する。この繰り返し発生する熱応力が起因となり、ワーク耐火物は熱疲労破壊する。そのため、溶銑輸送用容器のワーク耐火物には、高い耐熱衝撃性(耐熱スポーリング性)および耐食性が求められる。
溶銑輸送容器の耐火物や耐火物構造に関していくつか技術が開示されている。例えば、特許文献1には、高炉から出銑される溶銑を受銑して保持し、保持した溶銑を搬送する或いは保持した溶銑に精錬処理を実施するための耐火物を使用した製鉄用容器において、製鉄用容器の外側から、鉄皮、永久耐火物層、ワーク耐火物層をこの順に有する構造であって、ワーク耐火物がアルミナ、炭化珪素、マグネシアのうち少なくとも1種類以上の化合物から構成され、かつ炭素を6質量%以上、12質量%以下の範囲で含有するものを用い、かつ、ワーク耐火物の炉内温度での圧縮強度をσ、熱膨張係数をα、ポアソン比をν、炉内温度での弾性率をE、室温と炉内温度との温度差をΔTとした場合に、以下に示す数式(1)を満足することによって、耐火物が破断および脱落するのを防止する技術が開示されている。
また、近年、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、グラフェンなど数多くのカーボンナノ材料が発見され、それらナノマテリアルの添加により機械特性向上、特に耐スポーリング性の向上を図った技術が開示されている。例えば、特許文献2には、メゾフェーズピッチと熱硬化性樹脂とを耐火物中に添加して1000℃以下温度で熱分解させて、カーボンナノファイバー(径:〜500nm、長さ:100μm)をれんが耐火物に生成させる技術が開示されている。そして、れんが耐火物にカーボンナノファイバーを生成することによって、れんが耐火物の耐食性および耐熱衝撃性を向上させている。また、特許文献3には、フラーレン類を5質量%以下の範囲で耐火物中に添加し、耐火物の耐スポーリング性を向上させる技術が開示されている。その原理は、フラーレン類とバインダーであるフェノールレジンとを熱を加えて反応させて、カーボンナノファイバー(CNF)を生成させる。この生成されたCNFは、亀裂に対するブリッジングの役割を果たすので、耐火物の耐スポーリング性が向上する。
さらに、れんが耐火物中にウィスカーと呼ばれる繊維状物質を生成させて、れんが耐火物の機械的特性を向上させる技術もいくつか開示されている。特許文献4には、無煙炭、仮焼コークス、天然黒鉛または人造黒鉛の黒鉛原料と、Alなどの金属酸化物と、金属ケイ素と、カーボンブラックとからなる耐火物が開示されている。この耐火物の狙いは、炭化ケイ素ウィスカーを生成させて、れんが耐火物の高強度化を図るものである。
また、特許文献5には、ピッチとAl合金とを高温で反応させて、AlN、Alなどのウィスカーを生成させ、ASCキャスタブル(樋材)にAl、またはAl合金を含むピッチとカーボンブラックとを0.01〜7質量%添加した耐火物が開示されている。
これらの技術は、いずれもれんが耐火物の組織中に繊維状物質を存在させて、その繊維状物質によるブリッジング効果によりれんが耐火物中に発生した亀裂の進展を妨げることを狙った技術である。なお、これらの技術は、れんが耐火物のみならず、比較的高いカーボン含有量を有するれんが耐火物にも適用でき、れんが耐火物の更なる高強度化および耐スポーリング性の向上が実現できる。
特開2012−122131号公報 特開2005−139062号公報 特開2006−8504号公報 特許第5539201号公報 特開2003−73175号公報
しかしながら、特許文献1には、高温溶銑を充填した際、または脱りん処理時に酸素ガスを多量に使用して精錬した場合、上記数式(1)式の関係が成立しなくなり、耐火物の亀裂進展抑止効果がなくなってしまう。特に溶銑の脱りん精錬は、一般的に溶銑中に酸素含有物質を供給して行なわれる。そのため、反応によりCOガスの発生は伴うものの、酸素含有物質と耐火物とが直接接する頻度は高い。また、製鉄用溶銑輸送容器は、溶銑を例えば転炉等に輸送した後は溶銑を保持しない空の状態となる。このとき、大量の空気が製鉄用溶銑輸送容器のワーク耐火物と接することになる。
これらの観点から上記技術に関して考えると、特許文献3および特許文献4に開示された耐火物は炭素質物質であり、特許文献5および特許文献6に開示された耐火物は炭化物や窒化物であり、いずれも繊維状物質が消失してしまう可能性が高い。また、特許文献4に記載された耐火物に添加する物質は、比較的高価なフラーレンであり、れんが耐火物の製造コストの増大を招く。したがって、本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、溶銑を輸送しても繊維状物質が消失しない耐スポーリング性を向上させたカーボン含有れんが耐火物を施工した製鉄用溶銑輸送容器を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
[1]溶銑を輸送する、または前記溶銑を輸送する途中で前記溶銑に予備処理を実施するための製鉄用溶銑輸送容器であって、
前記製鉄用溶銑輸送容器は、内側からワーク耐火物、永久耐火物、鉄皮の順に構成され、
前記ワーク耐火物に、下記(1)、(2)および(3)を含む混合原料が硬化されたカーボン含有れんが耐火物を用いることを特徴とする製鉄用溶銑輸送容器。
(1)粒径で3mm以上が5〜40質量%、1mm以上3mm未満が10〜45質量%、0.15mm以上1mm未満が15〜30質量%、0.15mm未満が5〜45質量%の粒度範囲からなるAlおよびMgOの少なくとも1種類の化合物。
(2)黒鉛原料。
(3)平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体。
[2]前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.48質量%以上であって4質量%以下の前記(3)を含むことを特徴とする[1]に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
[3]前記(3)におけるSiOが前記(3)の全量に対して40質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記SiOを除いた量に対して5〜40質量%のMgOを含み、前記(3)におけるAlが前記(3)の全量に対して10質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記Alを除いた量に対して40〜60質量%のSiOを含み、前記(3)におけるMgOが前記(3)の全量に対して15質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記MgOを除いた量に対して40〜60質量%のSiOを含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
[4]前記混合原料は、さらに、鉄含有物を含むことを特徴とする[1]から[3]のいずれか1つに記載の製鉄用溶銑輸送容器。
[5]前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.02質量%以上であって0.3質量%以下の前記鉄含有物を含むことを特徴とする[4]に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
[6]前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.5質量%以上であって4質量%以下の前記(3)、および鉄含有物を含むことを特徴とする[4]または[5]に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
本発明に係る製鉄用溶銑輸送容器に用いられるカーボン含有れんが耐火物は、酸化物から構成される繊維状物質が形成される。酸化物から構成される繊維状物質は、溶銑の輸送後においても酸化消失しないので、溶銑の輸送時においても繊維ブリッジングによる亀裂進展抑止効果が発揮される。これにより、耐火物の耐スポーリング性は向上し、当該耐火物を用いた製鉄用溶銑輸送容器の寿命を大きく向上させることができる。
MgAl系ウィスカーのSEM写真を示す。 MgO−SiO系ウィスカーのSEM写真を示す。 Al−SiO系ウィスカーのSEM写真を示す。 鉄粉を添加して生成させたMgAl系ウィスカーのSEM写真を示す。 粉体配合量と熱衝撃破壊抵抗係数Rの関係を示すグラフである。 ウィスカーによるれんが耐火物の亀裂発生および亀裂進展抑制機能を説明する図である。 製鉄用溶銑輸送容器の一例であるトーピード・カー20の断面図を示す。 トーピード・カー20の断面の部分拡大図を示す。
製鉄用溶銑輸送容器のワーク耐火物には、一般的にAl−SiC−C材質の耐火物が用いられている。金属材料や他の延性材料に比べて、耐火物の耐熱スポーリング性は高くない。耐火物の耐熱スポーリング性を高める手段のひとつに、耐火物の組織中に繊維状物質を形成させることがある。耐火物の組織中に繊維状物質を形成させ、当該繊維状物質によるブリッジング効果によって、耐火物中に発生した亀裂の進展を妨げることができる。
このとき、転炉吹錬持の酸化性雰囲気、もしくは酸化精錬時に耐え、かつブリッジングによる亀裂進展抑止効果を発揮させて耐火物の強度ならびに耐スポーリング性を向上させるには、高温環境下でも安定な酸化物系の繊維状物質(ウィスカー)の生成が望まれる。酸化物系ウィスカーとしては、スピネル(MgAl)ウィスカー、マグネシウムシリケート(MgSiO、MgSiO)ウィスカー、ムライト(3Al・2SiO)ウィスカー等があげられる。発明者らは、加熱することによって酸化物系ウィスカーが合成できるかを検討した結果、平均粒子径1μm以下の微細粒子同士の合成反応により、酸化物系ウィスカーが生成することを明らかにした。なお、ブリッジングについての説明は後述する。
まず、これら酸化物系ウィスカーの生成について説明する。以下に示す手順で、酸化物系ウィスカーの生成を検討した。平均粒子径1μm以下のMgO、Al、SiO粒子群をMgAl、MgSiO、MgSiO3、3Al・2SiOの化学量論組成となる比率でそれぞれ混合した。さらに、それらと粉状のカーボンブラックとを混合した粉体を圧粉成型し、還元雰囲気中において1400℃で3時間焼成した。焼成後の焼成体をSEMを用いて観察したところ、MgAl系、MgO−SiO系、Al−SiO系のウィスカーがそれぞれ確認された。なお、平均粒子径1μm以下のMgO、Al、SiOとは、目開き1μmのメッシュを通過した粉体のことをいい、以後、「微細粒子」と称する。
図1は、MgAl系ウィスカーのSEM写真を示す。図2は、MgSiO系ウィスカーのSEM写真を示す。図3は、Al−SiO系ウィスカーのSEM写真を示す。
さらに、MgAl系において、MgOとAlの合計8gに対して、粒径200μm以下の鉄粉を1g添加して圧粉成型して、還元雰囲気中において1400℃で3時間焼成した。なお、粒径200μm以下の鉄粉とは、目開き200μmのメッシュを通過した鉄粉のことをいう。
図4は、鉄粉を添加して生成させたMgAl系ウィスカーのSEM写真を示す。鉄粉を添加することによって、図4に示されているように、図1と比較して微細な繊維状のウィスカーが多数観察された。このことから、鉄粉が触媒として機能して多数の微細なMgAl系ウィスカーを生成させたと考えられる。なお、図4を用いて、鉄粉を添加してMgAl系の細かい繊維状ウィスカーが生成できる例を示したが、MgSiOまたはAl−SiO系ウィスカーであっても、原料量合計8gに対して粒径200μm以下の鉄粉を1g添加することで微細な繊維状ウィスカーを生成できる。
図1、図2、図3および図4に示されるウィスカーの組成をSEM−EDSを用いて分析した。また、同じくこれらのウィスカーの結晶構造をTEMを用いて分析した。その結果、図1、図2および図3に示されるウィスカーは、それぞれMgAlウィスカー、MgSiOウィスカー、ムライト(3Al・2SiO)に近いAl−SiO系ウィスカーであることがわかった。また、図4に示される微細なウィスカーは、MgAlウィスカーであることがわかった。
次に、ウィスカーの生成機構について説明する。MgO粒子とカーボンブラックは、以下に示す化学反応式(1)の通りに反応してMgガスを生成する。
MgO(s)+C(s)=Mg(g)+CO(g)・・化学反応式(1)
もしくは、先に、カーボンと雰囲気中の酸素は、以下に示す化学反応式(2)の通りに反応してCOを生成する。次いで、生成したCOガスは、MgO粒子と以下に示す化学反応式(3)の通りに反応してMgガスが生成する。
C(s)+1/2O(g)=CO(g)・・・化学反応式(2)
MgO(s)+CO(g)=Mg(g)+CO(g)・・化学反応式(3)
MgAl系では、化学反応式(1)または(3)で生成したMgガスが、化学反応式(4)の通りにAlを還元し、Alガスを生成する。
3Mg(g)+Al(s)=3MgO(s)+2Al(g)・・化学反応式(4)
生成したAlガスは、化学反応式(5)の通りにMgガスおよびCOガスと反応してスピネル(MgAl)ウィスカーが生成する。
Mg(g)+2Al(g)+4CO(g)=MgAl(s)+4C(s)・・化学反応式(5)
もしくは、化学反応式(6)の通りにMgガス、Al、COガスと反応してMgAlウィスカーが生成する。
Mg(g)+Al(s)+CO(g)=MgAl(s)+C(s)・・化学反応式(6)
もしくは、化学反応式(7)の通りにMgガス、Al、COガスと反応してMgAlウィスカーが生成する。
Mg(g)+Al(s)+CO(g)=MgAl(s)+CO(s)・・化学反応式(7)
MgO−SiO系では、化学反応式(1)により生成したMgガス、化学反応式(3)により生成したCOガスならびに化学反応式(8)式により生成したSiOガスにより、マグネシウムシリケート(MgSiO、MgSiO)ウィスカーが生成すると考えられる。
SiO(s)+C(s)=SiO(g)+CO(s)・・化学反応式(8)
すなわち、SiOガスは、化学反応式(9)の通りにMgガス、COガスと反応して、MgSiOウィスカーが生成する。
Mg(g)+SiO(g)+2CO(g)=MgSiO+2CO(g)・・化学反応式(9)
もしくは、SiOガスは、化学反応式(10)の通りにMgガス、COガスと反応して、MgSiOウィスカーが生成する。
2Mg(g)+SiO(g)+3CO(g)=MgSiO+3CO(g)・・化学反応式(10)
Al−SiO系では、化学反応式(8)式により生成したSiOガスとAlとが反応してムライト(3Al・2SiO)ウィスカーもしくは、その組成に近いAl−SiO系ウィスカーを形成すると考えられる。すなわち、SiOガスは、化学反応式(11)の通りにAl、COガスと反応してAl−SiO系ウィスカーが生成する。
3Al(s)+2SiO(g)+2CO(g)=3Al・2SiO+2CO(g)・・化学反応式(11)
また、鉄は、金属単体として存在、あるいはCOと反応して酸化鉄という形で存在し、それらが触媒として作用すると考えられる。鉄、ニッケルおよびコバルトなどVIII族の元素は、一般的に触媒の作用があることが各種分野で報告されており、これら元素の存在下では、カーボンナノチューブなどのナノマテリアルが成長しやすくなる。
鉄含有物の添加量は、れんが耐火物を構成する原料全体(液体バインダーを除く)のうち、金属鉄相当量で0.02質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。0.02質量%より少ない鉄含有物の添加量は、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体に対する鉄の触媒としての効果が乏しくなるので好ましくない。一方、0.3質量%より多い鉄含有物の添加量は、れんが耐火物マトリックス中の鉄分が増加しすぎて、耐食性に悪影響を及ぼすので好ましくない。なお、添加する鉄含有物としては、金属鉄粉(アトマイズ粉など)が好ましいが、酸化鉄であってもよく、また、鉄化合物(フェロセンなどの有機化合物や、炭酸鉄など)であってもよい。
例えば、酸化鉄を添加した場合に、酸化鉄は、高温条件で化学反応式(1)で生成したCOガスによって還元されて金属鉄が生成する。その金属鉄は、非常に微細な粒鉄となるので、ウィスカー生成にとって好ましい触媒となり得る。
また、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体、および添加する鉄含有物の合計質量は、れんが耐火物を構成する原料に対して0.5質量%以上4質量%以下であることが好ましい。
平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOの粉体配合量を変えて、れんが耐火物を製造し、当該れんが耐火物の熱衝撃破壊抵抗係数Rを測定した。ここで、熱衝撃破壊抵抗係数Rは、曲げ強度σ(MPa)および弾性率(動的弾性率)Eを測定し、これらの測定値と下記数式(2)とを用いて熱衝撃破壊抵抗係数Rを算出した。この熱衝撃破壊抵抗係数Rの値が大きいほど破壊しにくい材料といえる。
R=σ/E・・数式(2)
図5は、粉体配合量と熱衝撃破壊抵抗係数Rの関係を示すグラフである。図5において、菱形プロットは、MgO+SiO系ウィスカーを有するれんが耐火物のプロットである。また、四角プロットは、MgAl系ウィスカーを有するれんが耐火物のプロットであり、円プロットは、鉄粉を添加して生成させたMgAl系ウィスカーを有するれんが耐火物のプロットである。図5から、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体、および鉄含有物の合計質量が、れんが耐火物を構成する原料全体に対して0.5質量%以上4質量%以下にした場合に、熱衝撃破壊抵抗係数Rが高くなることがわかる。なお、合計質量が0.5質量%より少ない場合には、微粒化合物によるウィスカー生成量が低下し、れんが耐火物の機械特性が向上しないので好ましくない。また、合計質量が4質量%より多い場合には、れんが耐火物のマトリックス中の微粉領域が過大となって成型困難となるので好ましくない。さらに、合計質量が4質量%より多い場合には、れんが耐火物の気孔率を高めて、れんが耐火物の強度低下や耐食性の低下も招くので好ましくない。
同様の理由で、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体の質量は、れんが耐火物を構成する原料全量に対して、0.48質量%以上4質量%以下であることが好ましい。また、MgO、Al、SiO3種類の粉体を添加してもよく、この場合、複数種類のウィスカーが生成する。MgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体の粒径が小さくなると、当該粉体の表面積は大きくなる。これにより、MgO、Al、SiO各粒子とカーボンブラック等との反応性が向上し、ウィスカーが生成する。そのため、MgO、Al、SiOの平均粒子径を1μm以下にした。なお、平均粒子径は、算術平均粒子径であり、各粒子の粒度分布を測定し、「各粒径×割合」の演算を行なうことで算出される。
MgO:Al、MgO:SiO、Al:SiOの好ましい配合割合は、MgAl系ウィスカーを生成させる場合には、MgO配合量を平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対して5〜40質量%にすることが好ましい。この場合において、MgAl系ウィスカーの生成に関係しないSiOを、平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対して40質量%以下で配合されてよい。SiOが配合される場合に上記MgO配合量は、平均粒子径1μm以下の粉体の全量からSiOの配合量を除いた量に対して5〜40質量%になる。なお、SiOの配合量は、MgAl系ウィスカーの生成に影響を及ぼさない量として定めた。
また、MgO+SiO系ウィスカーを生成させる場合には、SiO配合量を平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対して40〜60質量%にすることが好ましい。この場合においても、MgO+SiO系ウィスカーの生成に関係しないAlを、平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対して10質量%以下で配合されてよい。Alが配合される場合に上記SiO配合量は、平均粒子径1μm以下の粉体の全量からAlの配合量を除いた量に対して40〜60質量%になる。なお、Alの配合量は、MgO+SiO系ウィスカーの生成に影響を及ぼさない量として定めた。
さらに、SiO+Al系ウィスカーを生成させる場合には、Al配合量を平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対して60〜80質量%にすることが望ましい。この場合においても、SiO+Al系ウィスカーの生成に関係しないMgOを、1μm以下の粉体の全量に対して15質量%以下で配合されてよい。MgOが配合される場合に上記Al配合量は、平均粒子径1μm以下の粉体の全量からMgOの配合量を除いた量に対して60〜80質量%になる。なお、MgOの配合量は、SiO+Al系ウィスカーの生成に影響を及ぼさない量として定めた。平均粒子径1μm以下の粉体の全量に対するMgO、AlおよびSiOの配合量は、それぞれのウィスカーが生成される化学反応式の化学量論関係から導かれる。
MgAlウィスカー、MgSiO、MgSiOウィスカーおよびAl−SiOウィスカーは、MgO−CやAl−Cなどの各種カーボン含有れんが等の耐火物においても生成する。そして、これらウィスカーは、れんが耐火物においてブリッジングし、れんが耐火物に発生した亀裂の進展を妨げる。
図6は、ウィスカーによるれんが耐火物の亀裂進展抑制機能を説明する図である。図6において、れんが耐火物10は、ウィスカー12が生成したれんが耐火物である。れんが耐火物10には亀裂14が発生しており、当該亀裂14は、矢印16の示す方向に進展しようとしている。
図6に示すように、亀裂14の先端から少し後方に生成していたウィスカー12は、ブリッジングすることによって、れんが耐火物10に発生した亀裂14が開くのを機械的に抑える。これにより、亀裂14の進展は、ウィスカー12によって抑制される。このように、れんが耐火物10に生成したウィスカー12が亀裂14の進展を抑制することをブリッジングという。また、ウィスカー12は、れんが耐火物10に亀裂14が発生していない状態においては、上述したブリッジングにより、亀裂14の発生をも抑制する。
一般にウィスカー12は、単結晶であり強度が高いことが知られている。今回生成したウィスカー12は、いずれも高い強度を有する。そのため、ウィスカー12は、途中で切れることないので、れんが耐火物10に亀裂14が発生することを抑制できる。さらに、ウィスカー12は、れんが耐火物10に亀裂14が発生したとしても、その亀裂14の進展を抑制できる。これにより、ウィスカー12を生成させたれんが耐火物10の強度向上および耐スポーリング性の向上が実現できる。なお、れんが耐火物10は、MgO−CやAl−Cなどの各種カーボン含有れんが耐火物に限られず、SiCを添加したれんが耐火物であってもよい。
次に、カーボン含有不焼成れんが耐火物の製造方法について説明する。れんが耐火物の原料として、粒径で3mm以上が5〜40質量%、1mm以上3mm未満が10〜45質量%、0.15mm以上1mm未満が15〜30質量%、0.15mm未満が5〜45質量%の粒度分布を有するAlおよびMgOの少なくとも1種類の化合物と、黒鉛原料と、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の微細粒子と、液状バインダーと、硬化剤とを用いた。れんが耐火物原料のAlおよびMgOの少なくとも1種類の化合物における粒度分布は、アンドレアゼンの式から導かれる粒度分布である。当該粒度分布を満足することで、材料の充填密度が高い緻密なれんが耐火物にすることができる。
なお、れんが耐火物の原料としてのAlおよびMgOは、電融品、焼結品、天然材質(海水MgOも含む)のいずれを用いてもよい。黒鉛原料としては、粒度は問わず、鱗状黒鉛、カーボンブラック、薄肉黒鉛のいずれを用いてもよい。また、黒鉛原料の添加量は、れんが耐火物の原料に対して1質量%以上50質量%以下が好ましい。なお、黒鉛原料の添加量を1質量%以上10質量%以下とすれば、低熱伝導率化と高い耐スポーリング性を有するれんが耐火物とできるのでより好ましい。
液状バインダーは、カーボン含有不焼成れんが耐火物を製造する場合、一般的には硬化剤によって硬化する有機系物質からなる液状の樹脂である。液状バインダーの添加量は、れんが耐火物の原料に対して外掛けで、2.0質量%以上5.0質量%以下とした。バインダーの添加量が2.0質量%より少ないと、れんが耐火物が成型できず、5.0質量%より多いと、成型時にバインダーが型枠からはみ出てしまい十分な成型ができない。硬化剤は、液状バインダーを硬化させる物質であればよく、その添加量は、バインダー添加量の1/10の量を添加することが好ましい。ここで、外掛けとは、液状バインダーを除く、他の原料の質量の合計を100とした割合を示す。なお、硬化剤は、バインダーの種類によっては添加しなくてよい場合がある。
カーボン含有れんが耐火物は、高温プロセスに用いられる製鉄用溶銑輸送容器に使用される。図7は、製鉄用溶銑輸送容器の一例であるトーピード・カー20の断面図を示す。トーピード・カー20は、溶銑の脱炭精錬等に使用される。トーピード・カー20は、内側からワーク耐火材26、永久耐火材24、鉄皮22の順で構成されている。
図8は、トーピード・カー20の断面の部分拡大図を示す。図8に示すように、トーピード・カー20の鉄皮22に接するように永久耐火物24が設けられる。なお、永久耐火物24として、例えば、Al−SiO系焼成れんがを用いる。また、永久耐火物24の内側には、ワーク耐火物26が例えばモルタル30を目地にして設けられる。このワーク耐火物26に、上述したカーボン含有れんが耐火物を用いる。なお、上記において、目地にモルタル30を用いる例を示した。しかしながら、これに限られず、目地は、カラ目地であってもよい。
ワーク耐火物26に用いるカーボン含有れんが耐火物は、原料を混練機によって混錬し、混合原料にした後、高温環境下で焼成させることなく、キュアリングを実行することで原料を硬化させてカーボン含有れんが耐火物を製造してよい。ここで、キュアリングとは、120〜300℃程度に加熱し、有機系物質からなるバインダーに熱エネルギーを供給することによって、当該バインダーと硬化剤とを反応させて硬化させる処理のことをいう。なお、キュアリングは、不活性雰囲気下で行なってもよく、大気雰囲気下で行なってもよい。
キュアリングにより原料を硬化させて製造されたカーボン含有れんが耐火物は、トーピード・カー20のワーク耐火物に用いられる。カーボン含有れんが耐火物は、トーピード・カー20において、例えば、溶銑の輸送が繰り返し実行されることで1100℃を超える溶銑の熱が加えられる。この1100℃を超える熱が加えられることによって加熱され、れんが耐火物にウィスカーが生成される。これにより、カーボン含有れんが耐火物は、高い耐スポーリング性を有するれんが耐火物となる。そして、このように高い耐スポーリング性を有するれんが耐火物をトーピード・カー20のワーク耐火物26に用いることで、トーピード・カー20の耐火物寿命を大きく向上させることができる。なお、上述した例においては、キュアリングにより硬化させてカーボン含有れんが耐火物を製造する例を示したがこれに限られない。例えば、キュアリングにより硬化させた後に別途の焼成工程を設け、1300℃〜1400℃の温度で3時間焼成されることによって、予め、ウィスカーを生成させたカーボン含有れんが耐火物をワーク耐火物としてトーピード・カー20に用いてもよい。
ヒートサイズ280t/チャージ規模のトーピード・カーにワーク耐火物であるカーボン含有れんが耐火物を施工した。溶銑鍋型容器に施工した発明例1〜4のれんが耐火物の基本配合を表1に示す。また、このれんが耐火物のうち、0.15mm未満の微粉部を平均粒子径が1μm以下の微細粒子群に置換した。発明例1〜4のれんが耐火物のナノ材の種類、粒径、配合割合、添加量、および添加金属の種類、添加量、および、熱衝撃破壊抵抗係数Rを表2に示す。
発明例1は、平均粒子径が1μm以下の微細粒子に平均粒子径0.15μmのMgOおよび平均粒子径0.3μmのAlを、MgO:Al=30:70の配合比で混合した微細粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して4質量%となる量の微細粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。また、バインダーとしてフェノールレジンをれんが耐火物の原料量に対して3.0質量%添加し、硬化剤としてヘキサメチレンテトラアミンをれんが耐火物の原料量に対して0.3質量%添加した。なお、バインダーおよび硬化剤の種類および添加量は、発明例1から4および比較例1〜7で同じである。
発明例2は、平均粒子径が1μm以下の微細粒子に平均粒子径0.5μmのMgOおよび平均粒子径0.6μmのSiOをMgO:SiO=50:50の配合比で混合した微細粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の微細粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。
発明例3は、平均粒子径が1μm以下の微細粒子に平均粒子径0.1μmのAlおよび平均子粒径0.1μmのSiOをAl:SiO=65:35の配合比で混合した微細粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の微細粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。
発明例4は、平均粒子径が1μm以下の微細粒子に平均粒子径0.05μmのMgOおよび平均粒子径0.03μmのAlをMgO:Al=35:65の配合比で混合した微細粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の微細粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、粒径100μmの鉄粉を、れんが耐火物の原料量に対して0.2質量%となる量添加した。
また、比較例1〜7のれんが耐火物の基本配合を表3に示す。また、このれんが耐火物のナノ材の種類、粒径、配合割合、添加量、および添加金属の種類、添加量、および、熱衝撃破壊抵抗係数Rを表4に示す。
比較例1では表3および表4に示す配合の通りに混合し、添加金属元素としては、何も添加しなかった。比較例2もまた、は表3および表4に示す配合の通りに混合した。また、比較例2には、添加金属元素として、れんが耐火物の原料量に対して3.0質量%となる量のAl粉末を添加した。比較例3では、表1に示す配合の通りに混合し、添加金属元素として、れんが耐火物の原料量に対して3.0質量%となる量のSi粉末を添加した。
比較例4は、平均粒子径1.5μmのMgOおよび平均粒子径3.0μmのSiOをMgO:SiO=30:70の配合比で混合した粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して4質量%となる量の粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。
比較例5は、平均粒子径5.0μmのMgOおよび平均粒子径6.0μmのSiOをMgO:SiO=50:50の配合比で混合した粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。
比較例6は、平均粒子径1.2μmのAlおよび平均粒子径1.5μmのSiOをAl:SiO=50:50の配合比で混合した粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、何も添加しなかった。
比較例7は、平均粒子径5.0μmのMgOおよび平均粒子径3.0μmのAlをMgO:Al=50:50の配合比で混合した粒子を準備し、れんが耐火物の原料量に対して2質量%となる量の粒子を、れんが耐火物の0.15mm未満の粒子と置換した。添加金属元素としては、粒径100μmの鉄粉を、れんが耐火物の原料量に対して0.2質量%となる量添加した。
発明例1〜4および比較例1〜7のれんが耐火物を施工したトーピード・カーを用いて、れんが耐火物が損耗限界に達するまで溶銑の輸送、およびフラックスインジェクションによる溶銑脱りん処理を実施した。そのときのれんが耐火物の損耗速度およびトーピード・カーの炉寿命を表5に示す。
平均粒子径が1μm以下の微細粒子を0.48〜4%の範囲内の添加量で添加した発明例1〜3は脱炭吹錬が実施されることで、れんが耐火物にウィスカーが生成する。このため、発明例1〜3は、比較例1〜7と比較して損耗速度が低下した。これにより発明例1〜3のれんが耐火物を羽口に施工したトーピード・カーの炉寿命が向上した。更に、鉄粉を0.02%添加した本発明例4においては、鉄粉を触媒として多数の微細なウィスカーが生成されるので、さらに損耗速度が低下し、本発明例4のれんが耐火物を施工したトーピード・カーの炉寿命が最も長くなった。
れんが耐火物にウィスカーが生成しているか確認するために、SEMを用いて脱炭吹錬操業後における発明例1〜4のれんが耐火物の表面を観察した。その結果、発明例1〜4のれんが耐火物の表面にはいずれもウィスカーが生成していることを確認し、比較例1〜7のれんが耐火物の表面にはウィスカーが生成していないことを確認した。
また、耐熱スポーリング性に着目して、脱炭吹錬操業後の本発明例1〜4のれんが耐火物と、比較例1〜3のれんが耐火物および比較例7のれんが耐火物の表面を観察した。その結果、本発明例1〜4のれんが耐火物の表面には亀裂が観察されなかった。一方、比較例1のれんが耐火物の表面には細かい亀裂が観察され、比較例2および比較例3のれんが耐火物の表面には比較的大きな亀裂が観察された。また、比較例7は、耐熱スポーリング性が比較的高いので、熱スポーリングと見られるれんが耐火物表面の亀裂は確認されなかった。しかしながら、比較例7ではれんが耐火物中の黒鉛が酸化され、れんが組織が劣化した。
なお、れんが耐火物の表面に生じた細かい亀裂は、「長さが20mm以下であって幅および深さが0.1mm以上の亀裂」であり、比較的大きな亀裂は、「長さが20mm以上の亀裂」である。れんが耐火物表面の観察結果は、発明例1〜4の熱衝撃破壊抵抗係数R値が比較例1〜7に比べて高い値であることと同じ傾向になっていた。
平均粒子径が1μm以上のMgO、Al、SiO粒子を添加した比較例4〜6は、熱衝撃破壊抵抗係数Rの値が比較例1〜3より大きかったが、本発明例1〜4よりは小さかった。これらの結果から、平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiO粒子を添加することで、れんが耐火物に繊維状のウィスカーが生成させ、これにより、高い耐スポーリング性が得られることが明らかになった。さらに、れんが耐火物に生成された繊維状のウィスカーは、溶銑の輸送、およびフラックスインジェクションによる溶銑脱りん処理が実行されても消失することなく、当該れんが耐火物の高い耐スポーリング性が維持されることも明らかになった。
そして、このように高い耐スポーリング性が維持されるれんが耐火物を、熱の出入りが繰り返し激しく起きるトーピード・カーのれんが耐火物として施工する。これにより、れんが耐火物の損耗速度を低下させることができ、この結果、表5に示すように、トーピード・カーの修理までの炉使用回数を増加させることができた。
10 れんが耐火物
12 ウィスカー
14 亀裂
16 矢印
20 トーピード・カー
22 鉄皮
24 永久耐火材
26 ワーク耐火材
30 モルタル

Claims (6)

  1. 溶銑を輸送する、または前記溶銑を輸送する途中で前記溶銑に予備処理を実施するための製鉄用溶銑輸送容器であって、
    前記製鉄用溶銑輸送容器は、内側からワーク耐火物、永久耐火物、鉄皮の順に構成され、
    前記ワーク耐火物に、下記(1)、(2)および(3)を含む混合原料が硬化されたカーボン含有れんが耐火物を用いることを特徴とする製鉄用溶銑輸送容器。
    (1)粒径で3mm以上が5〜40質量%、1mm以上3mm未満が10〜45質量%、0.15mm以上1mm未満が15〜30質量%、0.15mm未満が5〜45質量%の粒度範囲からなるAlおよびMgOの少なくとも1種類の化合物。
    (2)黒鉛原料。
    (3)平均粒子径が1μm以下であるMgO、Al、SiOのうち少なくとも2種類の粉体。
  2. 前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.48質量%以上であって4質量%以下の前記(3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
  3. 前記(3)におけるSiOが前記(3)の全量に対して40質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記SiOを除いた量に対して5〜40質量%のMgOを含み、
    前記(3)におけるAlが前記(3)の全量に対して10質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記Alを除いた量に対して40〜60質量%のSiOを含み、
    前記(3)におけるMgOが前記(3)の全量に対して15質量%以下の場合、前記(3)は、前記(3)の全量から前記MgOを除いた量に対して40〜60質量%のSiOを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
  4. 前記混合原料は、さらに、鉄含有物を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
  5. 前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.02質量%以上であって0.3質量%以下の前記鉄含有物を含むことを特徴とする請求項4に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
  6. 前記混合原料は、前記混合原料全体に対して、0.5質量%以上であって4質量%以下の前記(3)、および鉄含有物を含むことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の製鉄用溶銑輸送容器。
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