JP2017089023A - アクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸及びその複合糸を含む織編物 - Google Patents

アクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸及びその複合糸を含む織編物 Download PDF

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Abstract

【課題】防風性、着用時の温感性があり、べとつかずさらさら感のある繊維製品の素材となるアクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸及び前記複合糸で構成の織編物の提供。【解決手段】アクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸であって、複合糸の沸水収縮率が10〜30%、100℃20分熱水処理後のヤング率が300〜1000N/mm2である複合糸であり、前記複合糸を含んで構成された織編物は、織編物中での複合糸がスチーム或いは熱水での湿熱処理によったアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、防風性、温感性、耐摩耗性さらに吸水・速乾性があり、べとつき感のない織編物。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸及びその複合糸を含んで構成された織編物に関する。
アクリル繊維は、カチオン染料により常圧染色が可能で、発色性、保温性等に優れるものの、耐摩耗性が低く、湿熱で変形し易い等の欠点がある。一方、ポリエステル繊維は、強度、寸法安定性、イージィーケア性に優れるが、十分な濃度の染色物を得るためには分散染料による染色には120〜135℃の染色温度を得る高圧染色を必要とする。
アクリル繊維とポリエステル繊維とを組み合わせ、双方の特徴を活かし、欠点を補完するようなアクリル繊維とポリエステル繊維との混用品については、従来からも検討され、高圧染色でアクリル繊維が受けるダメージを抑えるために、混用するポリエステル繊維を分散染料により常圧染色が可能な繊維に改質する、例えば、ポリエチレンテレフタレートにポリエチレングリコールを共重合した特定扁平断面のポリエステル繊維を混用することが提案されている(特許文献1)。
また、分散染料により高圧染色されるポリエステル繊維の染色性を改善し、常圧染色で分散染料及びカチオン染料によって染色可能とするために、ポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を0.4〜5モル%、及びアジピン酸を2〜15モル%を共重合させた改質ポリエステル繊維も知られている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
しかしながら、アクリル繊維とポリエステル繊維との混用品は、混用するポリエステル繊維のみを、特に染色性を改質しただけでは混用品の用途が限定され、各繊維の機能性能が充分に発揮される多様な製品に対応しての素材としては満足できるものではない。
特開2006−57194号公報 特開昭61−239015号公報 特開平8−269820号公報 特開2013−18802号公報
本発明は、アクリル繊維とポリエステル繊維との混用品において、ポリエステル繊維のみならず、アクリル繊維についても検討した結果なされたものである。本発明の目的は、防風性、着用時の温感性があり、べとつかずさらさら感のある繊維製品の素材として使用されるアクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸を提供し、また該複合糸で構成の織編物を提供することにある。
本発明の要旨は、次のとおりである。
1.アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸であって、該複合糸の沸水収縮率が10〜30%、沸騰水中で20分間の熱水処理後のヤング率が300〜1000N/mmである複合糸。
2.前記複合糸が、混紡糸、混繊糸または交撚糸である前記1に記載の複合糸。
3.前記アクリル繊維のヤング率が3500〜9500N/mmであり、前記ポリエステル繊維のヤング率が1000〜5500N/mmであり、前記ポリエステル繊維の複合糸全体に対する含有量が25〜50質量%である前記1または前記2に記載の複合糸。
4.前記アクリル繊維が、沸水収縮率が10〜40%の収縮性アクリル繊維であり、該収縮性アクリル繊維を複合糸全体に対し30〜50質量%含有する前記1または前記2に記載の複合糸。
5.前記アクリル繊維が、沸水収縮率が10〜40%の収縮性アクリル繊維と沸水収縮率が3%以下のアクリル繊維との混合物であり、該収縮性アクリル繊維を複合糸全体に対し30〜50質量%含有する前記1または前記2に記載の複合糸。
6.前記ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに他のジカルボン酸成分及びまたはジオール成分を3〜10モル%共重合した改質ポリエステルからなる分散染料易染性及びまたはカチオン染料可染性の常圧可染型ポリエステル繊維である前記1〜前記4のいずれか一つに記載のアクリル繊維とポリエステル繊維との複合糸。
7.前記1〜前記6のいずれか一つに記載の複合糸を織編物全体に対して50質量%以上含んで構成される織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が200〜400g/m、通気度が40〜80cm/cm・secである織編物。
8.前記1〜前記6のいずれか一つに記載の複合糸を織編物全体に対して50質量%以上含んで構成される織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が60〜200g/m、摩耗回数が18000〜22000回の耐摩耗性を有する織編物。
9.q−max値が0.120〜0.150J/sec/cmである前記8に記載の織編物。
10.洗濯1回後の滴下法による吸水性が3秒以下、洗濯1回後の55分後の速乾性が10%以下であり、かつ非密着性能の水分量が1.2〜2mLである前記8または前記9に記載の織編物。
本発明の複合糸は、織編物としたときに、スチーム処理や染色を含めた熱水処理によって織編物を構成する前記糸に芯鞘構造を発現させることができるものであり、織編物での構成糸の芯鞘構造の発現が防風効果、耐摩耗性、着用時の温感効果、さらさら感を織編物に与えることに寄与する。本発明によれば、複合糸及びその織編物は、スポーツ衣料、アウトウエア、防寒衣料、防風衣料等の素材として好適なるものである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の複合糸は、アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸であって、複合糸の沸水収縮率が10〜30%、沸騰水中で20分間の熱水処理した後のヤング率が300〜1000N/mmの複合糸である。
本発明において、複合糸を構成する一方のアクリル繊維は、アクリロニトリルを85質量%以上含む酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、イタコン酸等とのアクリロニトリル共重合体からなるアクリル繊維であることが好ましいが、アクリロニトリルを35質量%以上85質量%未満含む塩化ビニル、塩化ビニリデン等とのアクリロニトリル共重合体からなるアクリル繊維からなるモダクリル繊維であってもよい。本発明におけるアクリル繊維は、前記のようなアクリロニトリル共重合体からなるヤング率が3500〜9500N/mmのアクリル繊維であることが好ましい。またアクリル繊維の単繊維繊度は0.3〜3dtexであることが好ましい。
そして、本発明におけるアクリル繊維は、前記アクリロニトリル共重合体からなり沸水収縮率が10〜40%の収縮性アクリル繊維であるか、または該収縮性アクリル繊維を50質量%以上含む沸水収縮率3%以下の低収縮性または伸長性のアクリル繊維との混合物であることが好ましい。前記沸水収縮率が10%以上であれば、複合糸を湿熱処理した際に、複合糸中の高収縮性のアクリル繊維が熱収縮して集合し、複合糸がアクリル繊維主体の芯部、ポリエステル繊維主体の鞘部となる芯鞘構造になり易く、織編物に良好な温感性、耐摩耗性を与える。また、前記収縮率が40%以下であれば、織編物を硬くないものとする。これらの観点から、前記収縮性アクリル繊維の沸水収縮率は、12〜30%であることがより好ましく、15〜25%であることがさらに好ましい。
本発明において、複合糸を構成する他方のポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレートに、その構成のテレフタル酸成分、エチレングリコール成分以外の第三成分である他のジカルボン酸成分及びまたはジオール成分を3〜10モル%共重合した改質ポリエステルからなる常圧可染型ポリエステル繊維であることが好ましい。常圧可染型ポリエステル繊維としては、例えばイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分またはポリエチレングリコール等のジオール成分をポリエチレンテレフタレートに共重合した改質ポリエステルからなり、分散染料にて常圧で染色できる分散染料易染性の常圧可染型ポリエステル繊維、或いは前記イソフタル酸、アジピン酸またはポリエチレングリコール等と5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸基含有ジカルボン酸成分をポリエチレンテレフタレートに共重合した改質ポリエステルからなり、カチオン染料にても常圧で染色できるカチオン染料可染性及び分散染料易染性の常圧可染型ポリエステル繊維が挙げられる。本発明においては、ポリエステル繊維は、アクリル繊維の染色に好適なカチオン染料にてアクリル繊維と一浴染めができることから、特にスルホン酸基含有ジカルボン酸成分をポリエチレンテレフタレートに共重合した改質ポリエステルからなるカチオン染料可染性の常圧可染型ポリエステル繊維であることがより好ましい。また、本発明においては、かかる改質ポリエステルからなる常圧可染型ポリエステル繊維が、ヤング率が1000〜5500N/mmのポリエステル繊維であることから好ましく用いられる。
本発明の複合糸の沸水収縮率は10〜30%である。複合糸の沸水収縮率が10%以上であれば、織編物としたとき、織編地での目を小さくでき、防風性を高めることができ、30%以下であれば、織編物の風合いが硬くなりすぎない。前記観点から、複合糸の沸水収縮率は13〜25%であることが好ましく、15〜20%であることがより好ましい。
本発明の複合糸は、沸騰水中で20分間の熱水処理した後のヤング率が300〜1000N/mmである。熱水処理後のヤング率が300N/mm以上であれば、織編物としたとき、織編物の物性が安定し、1000N/mm以下であれば、織編物の風合いが硬くなりすぎない。前記観点から、複合糸の熱水処理後のヤング率は400〜800N/mmであることが好ましく、500〜700N/mmであることがより好ましい。
本発明の複合糸は、複合糸全体に対しポリエステル繊維を25〜50質量%含有することが好ましい。ポリエステル繊維を複合糸全体に対し25質量%以上含有することで、織り織編物としたとき、織編物の耐摩耗性が良好となり、50質量%以下含有することで、収縮性のあるアクリル繊維を必要量含有することができる。前記観点から、複合糸全体に対しポリエステル繊維を30〜40質量%含有することがより好ましい。
本発明の複合糸は、複合糸全体に対しアクリル繊維を30〜50質量%含有することが好ましい。アクリル繊維を複合糸全体に対し30質量%以上含有することで、織編物としたとき、織編地を十分収縮させることができ、防風性を高めることができ、の耐摩耗性が良好となり、50質量%以下含有することで、ポリエステル繊維を必要量含有することができる。耐摩耗性を高めることができる。
複合糸は、混紡糸、混繊糸または交撚糸であってもよく、アクリル繊維とポリエステル繊維との複合化手段は、綿、フリース、スライバー等での混紡、マルチフィラメントでの混繊、カバーリング、撚糸による交撚等の手段が挙げられ、複合の繊維形態は、短繊維と短繊維、マルチフィラメントとマルチフィラメント、或いは短繊維とマルチフィラメントの組み合わせであってもよい。本発明の複合糸には、さらにポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン、綿等の繊維が複合糸全体に対し20質量%を超えない範囲で含まれていてもよい。
本発明の織編物は、本発明の複合糸から構成された織編物であり、アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する前記複合糸を織編物全体に対して50質量以上含んで構成された織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が200〜400g/m、通気度が40〜80cm/cm・secである織編物である。織編物中の複合糸での芯鞘構造の形成は、染料や染色により染着度や染め足の違いよって確認することができる。
本発明の織編物は、本発明のアクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸を用いて織成または編成してなる織編物に、複合糸を構成するアクリル繊維、特に高収縮性のアクリル繊維の熱収縮が発現しうるスチーム処理或いは熱水処理若しくはその両方を施して得ることができる。スチーム処理は、温度150〜180℃で3〜120秒行うことが好ましい。熱水処理は、温度98〜100℃の沸騰水中で5〜60分行うことが好ましく、またその熱水処理は、独立した処理として行ってもよいが、温度98〜100℃での浸染による常圧での染色工程で染色と同時に行うことが好ましい。本発明の織編物は、その織成または編成の際、アクリル繊維とポリエステル繊維以外の他の繊維の糸が織編物全体の20質量%を超えない範囲で交織または交編されていてもよい。
本発明のアクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸を用いて構成した織編物を染色するに当たっては、ポリエステル繊維が常圧可染型ポリエステル繊維であって、分散染料に易染性の常圧可染型ポリエステル繊維を、分散染料にて温度98〜100℃で常圧染色する場合、アクリル繊維への汚染の少ない分散染料を用いることが好ましく、またポリエステル繊維が常圧可染型ポリエステル繊維であって、カチオン染料に可染性の常圧可染型ポリエステル繊維をカチオン染料にて温度98〜100℃で常圧染色する場合、染色堅牢度の高いカチオン染料を用いることが好ましい。
アクリル繊維を染色する場合は、カチオン染料にて通常アクリル繊維が染色される温度である98〜100℃の条件で染色する。織編物の染色は、適用する繊維、染料に応じ、一浴染めでも二浴染めでも、また多段染めであってもよく、公知の液流染色機等の染色機が用いられ、織編物を構成する複合糸におけるアクリル繊維が十分に熱収縮される時間染色を行うことが好ましい。特に、複合糸におけるポリエステル繊維がカチオン染料可染性の常圧可染型ポリエステル繊維であれば、一浴染めができる。
スチーム処理或いは染色と同時に行われる熱水処理若しくはその両方によって、高収縮性のアクリル繊維が熱収縮して集合し、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が200〜400g/mの織編物が形成され、目付が200〜400g/mの織編物においては通気度が40〜80cm/cm・secである織編物となる。
また、本発明の織編物は、アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸を織編物全体に対して50質量%以上含んで構成される織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が60〜200g/m、摩耗回数が18000〜22000回の耐摩耗性を有する織編物である。織編物中の複合糸での芯鞘構造の形成は、染料や染色により染着度や染め足の違いよって確認することができる。
さらに、本発明の織編物の目付が60〜200g/mであるときには、q−max値が0.120〜0.150J/sec/cmであることが好ましい。このq−max値の範囲内であれば、接触温感を有し、衣服としたとき着用時に温かさを感じることができる。
本発明の織編物は、目付が60〜200g/mであるときには、後述の測定方法による、洗濯1回後の滴下法による吸水性が3秒以下、洗濯1回後の55分後の速乾性が10%以下で、かつ後記の測定方法による非密着性能が水分量で1.2〜2mLであるという優れた吸水・速乾性、肌離れ性(非密着性)を有することが好ましい。
本発明の織編物は、アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有し、熱処理による収縮性を有する本発明の複合糸により、織編物にした時に、織編物の目を小さくでき、織編物の外表面側にポリエステル繊維、内側にアクリル繊維と、織編物におけるアクリル繊維とポリエステル繊維の配置によって、それぞれの繊維の特徴が発揮され、防風性、耐摩耗性、着用時の温感性、吸水・速乾性、肌離れ性(非密着性)を有することから、これらの機能の求められるスポーツ衣料、アウター、秋冬衣料等に有用な素材である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の各種特性値の測定は、次の方法に拠った。
(ヤング率)
JIS L1095に準拠し、引張試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM−II型)を用い、つかみ間隔20mm、引張速度20mm/分で、見掛けヤング率(N/mm)を測定した。
(通気度)
JIS L1096に準拠し、フラジール形通気性試験機にて試料片を通過する空気量(cm/cm・sec)を測定した。
(耐摩耗性)
JIS L1096E法に準拠し、研磨紙P1200C−CW(サンドペーパー)を用い、試料片が摩耗し孔があいた時点までの摩耗回数(回)を測定した。
(吸水性)
洗濯1回後乾燥し、温度20℃、湿度65%RHで調温湿した試験片を準備し、JIS L1907滴下法に準拠し、試料片に滴下した水滴が消失するまでの時間(秒)を求めた。時間が少ないほど吸水性が大きい。
(速乾性)
拡散性残留水分率試験で評価した。洗濯1回後乾燥し、温度20℃、湿度65%RHで調温湿した10cm×10cmの試験片の質量(W)を測定し、試験片に水を0.6mL滴下し質量(W)を測定する。この試験片を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気で吊り干して55分後の質量(W)を測定し、下式で残留水分率を算出し、この残留水分率を速乾性とした。数値が小さいほど速乾性が大きい。
速乾性(%)=[(W−W)/(W−W)]×100
(非密着性能)
下記の方法により、生地が濡れた時の肌面との密着の状態を数値化したもので、下記の試験による水分量(mL)で非密着性能を表した。水分量が多くなっていくと、張り付く力(gf)が発生する。生地の水分量が増えても、張り付く力が発生しなければ、べとつき感が無く肌離れ性が良いと判断する。
使用機器:ハンディー圧縮試験機(カトーテック社製、KES−G5)
試料サイズ:5cm×5cm
試料準備:幅6.5cm、長さ11cm、厚さ1mmのステンレス板に試料と同サイズの両面テープを貼り、その上に試料の肌面が上になるように生地を貼り付けたものを試料とする。
機器設定:試験機に1kgのロードセルと10cmの表面にゴム板を取り付けた圧縮子を取り付け、圧縮速度を0.2mm/sec、最大加圧荷重を50gfにセットする。
操作:試料中央部に0.1mLの水を与え、試験機にセットし、試料に圧縮子を押し当て、引き上げる圧縮・除圧試験を行う。その後、更に0.1mLの水を与え同様の操作を行い、以後0.1mLの水を与える毎に同様の操作を行う。
測定・判定:圧縮過程から除圧過程に反転する際、通常では描かれたチャート上圧縮前の0に戻るだけであるが、水分が与えられ、張り付く力が発生すると、除圧時にチャート上でマイナスの力が発生する。これは試料が圧縮子に張り付き、一緒に上についていこうとするため発生する力である。試料の水分量を段階的に増やしていき、この張り付き力が発生した時点、すなわち、除圧地にチャート上でマイナスの力が発生した時点で試験終了とし、その時点での試料に与えた水分量を非密着性とする。
(q−max値)
q−max値は、精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製サーモラボII型)を使用して測定された接触冷温感を評価する値で、数値の小さい程温感を、数値の大きい程冷感を示すもので、このq−max値を温感性の評価に用いた。測定では、20℃の温度に設定した試料台の上に試料片(生地)を置き、試料片の上に40℃の温度に温められた貯熱板を接触圧0.09N/cmで重ねた直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱量のピーク値(J/sec/cm)を測定した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートにアジピン酸5モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.25モル%を共重合した改質ポリエステルからなるヤング率2735.9N/mmの常圧可染型ポリエステル繊維(AHY)の短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長38mm)35質量%と、沸水収縮率(BWS)18%、ヤング率7070.4N/mmの高収縮性アクリル繊維(アクリル繊維1)の短繊維(単繊維繊度1.0dtex、繊維長38mm)32.5質量%と、BWS1%、ヤング率5070.8N/mmの低収縮性アクリル繊維(アクリル繊維2)の短繊維(単繊維繊度1.0dtex、繊維長38mm)32.5質量%とを、混打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡を経て紡績糸を製造する紡績方法での混打綿工程で混綿して混紡糸(毛番手1/68)を作成した。得られた混紡糸は、表1にも示すように、強度が226cN、伸度が19.1%であり、BWSが16.9%、熱水処理(沸騰水中で20分間)後のヤング率が624N/mmであった。
(比較例1)
実施例1で用いたと同じ低収縮性アクリル繊維(アクリル繊維2)短繊維(単繊維繊度1.0dtex、繊維長38mm)のみを用い、実施例1と同様にして紡績糸(毛番手1/68)を作成した。得られた紡績糸は、表1にも示すように、強度が259cN、伸度が21.0%であり、BWSが0.9%、熱水処理(沸騰水中で20分間)後のヤング率が3403N/mmであった。
(比較例2)
実施例1で用いたと同じ常圧可染型ポリエステル繊維(AHY)短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長38mm)のみを用い、実施例1と同様にして紡績糸(毛番手1/68)を作成した。得られた紡績糸は、表1にも示すように、強度が261cN、伸度が14.3%であり、BWSが6.2%、熱水処理(沸騰水中で20分間)後のヤング率が1722N/mmであった。
(実施例2)
実施例1で作成した混紡糸を用い、14ゲージ(G)の横編機(島精機製作所社製)で、ゴム編組織に編成し、さらにこの編地に160℃で5秒のスチーム処理を施し目付308.3g/mの編地を得た。得られた編地は、表2にも示すように、布厚が1.30mm、通気度が59.5cm/cm・secと低く、良好な防風性を有するものであった。
(比較例3)
比較例1で作成した紡績糸を用い、実施例2と同様に編成し、160℃で5秒のスチーム処理を施し目付325.7g/mの編地を得た。この編地は、表2にも示すように、布厚が1.40mm、通気度が147.4cm/cm・secと高く、防風性に欠けるものであった。
(比較例4)
比較例2で作成した紡績糸を用い、実施例2と同様に編成し、160℃で5秒のスチーム処理を施し目付341.3g/mの編地を得た。この編地は、表2にも示すように、布厚が1.39mm、通気度が201.1cm/cm・secであり、実施例2での編地と比較して、目付、布厚は大きいが、通気度が高く、防風性に劣るものであった。
(実施例3)
実施例1で作成した混紡糸を用い、18Gの編機で、天竺編組織に編成し、160℃で5秒のスチーム処理をして仕上げた編地を、分散染料により100℃で60分の常圧染色を施し、目付が117g/mの染色編地を得た。得られた染色編地は、その構成糸の糸断面において、アクリル繊維が集合して芯部となり改質ポリエステル繊維が表側にある芯鞘構造を呈するものであった。
また、得られた染色編地は、表3にも示すように、耐摩耗試験での摩耗回数が20000回で、耐摩耗性を有するものであり、吸水性が1秒未満、55分後の速乾性が9.7%、非密着性能が水分量1.4mLであり、着用試験でも汗が速やかに吸収され、べとつかず、肌離れのよいものであった。また、得られた染色編地は、q−max値が0.138J/sec/cmであり、衣料としたときの着用時に接触温感があり良好な温感性を有するものであった。
(比較例5)
比較例1で作成した紡績糸を用い、実施例3と同様に、編成し、スチーム処理し、染色して得た目付が117g/mの染色編地は、その構成糸には芯鞘構造がないものであった。得られた染色編地は、表3にも示すように、実施例3で得た染色編地と比較して、摩耗回数が8000回で耐摩耗性に劣るものであり、吸水性が3秒、速乾性が13.4%、非密着性能が水分量0.6mL以下であり、肌離れに欠けるものであった。また、この染色編地は、q−max値が0.169J/sec/cmと高く、衣料としたときの着用時に接触冷感があり温感性に劣るものであった。
(比較例6)
比較例2で作成した紡績糸を用い、実施例3と同様に、編成し、スチーム処理し、染色して得た目付が74g/mの染色編地は、その構成糸には芯鞘構造がないものであった。得られた染色編地は、表3にも示すように、実施例3で得た染色編地と比較して、摩耗回数が17500回であり耐摩耗性に劣るものであり、吸水性が24秒、速乾性が26.7%で吸水速乾性に劣り、非密着性能が水分量0.9mLであり、肌離れに欠けるものであった。また、この染色編地は、q−max値が0.162J/sec/cmと高く、衣料としたときの着用時に接触冷感があり温感性に劣るものであった。
本発明の複合糸は、織編物としたときに、スチーム処理或いは染色と同時の熱水処理で構成の前記複合糸に芯鞘構造を発現させ得るものであり、織編物での構成糸の芯鞘構造の発現により、織編物の外表面側にポリエステル繊維、内側にアクリル繊維の配置によってそれぞれの繊維の特徴が発揮され、防風性、耐摩耗性、温感性、さらさら感を織編物に与える。また織編物は、吸水・速乾性、肌離れ性(非密着性)を有することから、本発明の複合糸及びその織編物は、スポーツ衣料、アウトウエア、防寒衣料、防風衣料、秋冬衣料等の素材として有用かつ好適なるものである。

Claims (10)

  1. アクリル繊維とポリエステル繊維とを含有する複合糸であって、該複合糸の沸水収縮率が10〜30%、沸騰水中で20分間の熱水処理した後のヤング率が300〜1000N/mmである複合糸。
  2. 前記複合糸が、混紡糸、混繊糸または交撚糸である請求項1に記載の複合糸。
  3. 前記アクリル繊維のヤング率が3500〜9500N/mmであり、前記ポリエステル繊維のヤング率が1000〜5500N/mmであり、前記ポリエステル繊維の複合糸全体に対する含有量が25〜50質量%である請求項1または請求項2に記載の複合糸。
  4. 前記アクリル繊維が、沸水収縮率が10〜40%収縮性アクリル繊維であり、該収縮性アクリル繊維を複合糸全体に対し30〜50質量%含有する請求項1または請求項2に記載の複合糸。
  5. 前記アクリル繊維が、沸水収縮率が10〜40%の収縮性アクリル繊維と沸水収縮率が3%以下のアクリル繊維との混合物であり、該収縮性アクリル繊維を複合糸全体に対し30〜50質量%含有する請求項1または請求項2に記載の複合糸。
  6. 前記ポリエステル繊維が、ポリエチレンテレフタレートに他のジカルボン酸成分及びまたはジオール成分を3〜10モル%共重合した改質ポリエステルからなる分散染料易染性及びまたはカチオン染料可染性の常圧可染型ポリエステル繊維である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の複合糸。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の複合糸を織編物全体に対して50質量%以上含んで構成される織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が200〜400g/m、通気度が40〜80cm/cm・secである織編物。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の複合糸を織編物全体に対して50質量%以上含んで構成される織編物であって、織編物中での複合糸がアクリル繊維主体の芯部とポリエステル繊維主体の鞘部との芯鞘構造を形成し、目付が60〜200g/m、摩耗回数が18000〜22000回の耐摩耗性を有する織編物。
  9. q−max値が0.120〜0.150J/sec/cmである請求項8に記載の織編物。
  10. 洗濯1回後の滴下法による吸水性が3秒以下、洗濯1回後の55分後の速乾性が10%以下であり、かつ非密着性能の水分量が1.2〜2mLである請求項8または請求項9に記載の織編物。
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