JP2017088958A - 転がり摺動部材及びその製造方法並びに転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に製造でき、200−300℃の使用環境下でも、長い転動疲労寿命を確保できる転がり摺動部材及びその製造方法並びに転がり軸受を提供する。【解決手段】C0.15〜0.45質量%とSi0.5質量%以下とMn0.4〜1.5質量%とCr0.3〜2.0質量%とMo0.1〜0.35質量%とV0.2〜0.4質量%とAl0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材の素形材に対し、浸炭窒化焼入れ処理と200〜300℃での焼戻し処理を施す。これにより、鋼材の表面層を浸炭窒化層とし、研磨仕上げされた転がり摺動面の表面から50μmまでの範囲のCr化合物、Mo化合物、V化合物、Cr−Mo−V化合物及び窒化物それぞれの析出物粒子の面積率を5〜15%、表面から50μmの深さの位置でのビッカース硬さが少なくとも680の転がり摺動部材を得る。【選択図】図2

Description

本発明は、転がり摺動部材及びその製造方法並びに当該転がり摺動部材を備えた転がり軸受に関する。
輸送機器、産業機械等に用いられる軸受の内外輪、転動体等の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする転がり摺動面を有している。また、輸送機器、産業機械等の高性能化及び小型化に伴い、軸受は、高速条件、高面圧条件等の過酷な環境下で使用されることが多くなっている。このような環境においては、軸受の使用温度が高温となる。そのため、軸受は、高温条件(例えば、300℃程度)においても、長い転動疲労寿命を有することが求められている。
また、転がり摺動部材に用いられる鋼材として、ケイ素含有量が0.5〜2.0質量%であり、モリブデン含有量が0.3〜2.5質量%である鋼材を用いることにより、150〜250℃の温度域における転動疲労寿命を確保することが提案されている(特許文献1)。
特開2003−306743号公報
しかし、前記特許文献1に記載の鋼材は、ケイ素を含有するため、加工しにくく、しかも転がり摺動部材の製造コストの増大を招くおそれがある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、安価に製造することができ、200〜300℃の使用環境下であっても、長い転動疲労寿命を確保することができる転がり摺動部材及びその製造方法並びに転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材であって、炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材の表面層が浸炭窒化層である母材からなり、前記転がり摺動面の表面から50μmまでの範囲の表面層は、クロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子及び窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子を含み、前記表面から50μmの深さの位置における前記析出物粒子の面積率が5〜15%であり、前記表面から50μmの深さの位置におけるビッカース硬さが少なくとも680であることを特徴としている。
本発明の転がり摺動部材は、前記組成を有する鋼材の表面層が浸炭窒化層である母材からなり、前記転がり摺動面の表面から50μmまでの範囲の表面層が、クロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子及び窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子を含み、前記表面から50μmの深さの位置における前記析出物粒子の面積率が5〜15%、前記表面から50μmの深さの位置におけるビッカース硬さが少なくとも680である。そのため、本発明の転がり摺動部材は、200〜300℃の使用環境下であっても、長い転動疲労寿命を得るのに十分な硬さを確保することができる。また、前記組成を有する鋼材は、低コストであり、しかも加工性に優れる。したがって、本発明の転がり摺動部材は、安価に製造することができ、200〜300℃の使用環境下であっても、長い転動疲労寿命を確保することができる。
本発明の転がり摺動部材においては、前記表面層における炭素含有量は、0.7〜1.2質量%であることが好ましい。また、本発明の転がり摺動部材においては、前記表面層における窒素含有量は、0.15〜0.6質量%であることが好ましい。この場合、200〜300℃の使用環境下において、より長い転動疲労寿命を得ることができる。
本発明の転がり摺動部材の製造方法は、相手部材との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材の製造方法であって、
炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材から形成された素形材に対し、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ工程、及び、
前記浸炭窒化焼入れ工程後の素形材を200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し工程
を含むことを特徴としている。
本発明の転がり摺動部材の製造方法は、前記組成を有する鋼材から形成された素形材に対し、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ処理と、200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し処理とを行なうため、前述の優れた作用効果を奏する転がり摺動部材を得ることができる。
本発明の転がり軸受は、外周面に軌道部を有する内輪と、内周面に軌道部を有する外輪と、前記内外輪の両軌道部の間に配置された複数個の転動体とを備えた転がり軸受であって、前記内輪、外輪及び転動体のうちの少なくとも1つが前述した転がり摺動部材であることを特徴としている。したがって、本発明の転がり軸受は、前述した転がり摺動部材を備えているので、前述の優れた作用効果を奏する。
本発明の転がり摺動部材及びその製造方法並びに当該転がり摺動部材を備えた転がり軸受によれば、長い転動疲労寿命を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受の一例である玉軸受を示す要部断面図である。 本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である外輪の製造方法の各工程を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である外輪の製造方法の変形例の各工程を示す工程図である。 実施例1における熱処理条件を示す線図である。 実施例2における熱処理条件を示す線図である。 実施例3における熱処理条件を示す線図である。 実施例4における熱処理条件を示す線図である。 実施例5における熱処理条件を示す線図である。 実施例6における熱処理条件を示す線図である。 実施例7における熱処理条件を示す線図である。 比較例1における熱処理条件を示す線図である。 比較例2における熱処理条件を示す線図である。 比較例3における熱処理条件を示す線図である。 比較例4における熱処理条件を示す線図である。 比較例5における熱処理条件を示す線図である。 試験例2において、焼戻し温度とビッカース硬さとの関係を調べた結果を示すグラフである。
[転がり軸受]
以下、添付の図面により本発明の一実施形態に係る転がり軸受及び転がり摺動部材を説明する。以下においては、転がり軸受の一例として玉軸受を挙げて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受の一例である玉軸受を示す要部断面図である。
図1に示される玉軸受1は、外輪10と、外輪10の内周側に当該外輪10と同心に配置された内輪20と、外内輪10,20間に配列された複数の転動体(玉30)と、これら複数の玉30を保持する保持器40とを備えている。
図1に示される玉軸受1においては、外内輪10,20及び玉30のそれぞれが、後述の本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である。なお、本発明においては、外内輪10,20及び玉30のうちの少なくとも1つが、後述の本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材であればよい。
[転がり摺動部材]
本実施形態に係る転がり摺動部材としての外輪10の内周面には、複数の玉30が転動する外輪軌道部11aが形成されている。外輪軌道部11aは、相手部材である玉30との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする転がり摺動面である。なお、外輪10の外輪軌道部11a、端面11b、肩面11c及び外周面11dは、研磨仕上げが施された研磨部である。
また、本実施形態に係る転がり摺動部材としての内輪20の外周面には、外輪軌道部11aに対向するとともに、複数の玉30が転動する内輪軌道部21aが形成されている。内輪軌道部21aは、相手部材である玉30との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする転がり摺動面である。内輪20の軌道部21a、端面21b、肩面21c及び内周面21dは、研磨仕上げが施された研磨部である。
本実施形態に係る転がり摺動部材としての玉30の表面は、相手部材である外内輪10,20それぞれとの間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする転がり摺動面である。
本実施形態において、外輪10は、鋼材10a1の表面層が浸炭窒化層10a2である母材10aからなる。また、内輪20は、鋼材20a1の表面層が浸炭窒化層20a2である母材20aからなる。なお、図示しないが、玉30も、鋼材の表面層が浸炭窒化層である母材からなる。
本明細書において、「浸炭窒化層」は、炭素含有量が0.7〜1.2質量%であり、窒素含有量が0.15〜0.6質量%である層をいう。浸炭窒化層10a2,20a2及び玉30における浸炭窒化層は、前記組成を有する鋼材に後述の浸炭窒化処理を施すことによって形成させることができる。
前記鋼材は、それぞれ、炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材からなる。なお、前記鋼材の残部は、鉄及び不可避不純物である。前記不可避不純物は、鋼材を製造する際に、原料などから混入する物質であって、本発明の目的を阻害しない範囲で許容される物質を意味する。前記不可避不純物としては、銅、ニッケル、アルミニウム、リン、硫黄、窒素、酸素等が挙げられる。外内輪10,20及び玉30は、前記組成を有する鋼材が用いられているため、製造時において、加工しやすく、安価に製造することができる。
炭素は、転がり摺動部材の製造時における鋼材の焼入れ性を確保し、かつ十分な硬さを確保し、強度確保のための内部硬さを得るための元素である。鋼材中に含まれる炭素の含有量は、鋼材中に未固溶の炭化物を十分に残存させる観点から、0.15質量%以上、好ましくは0.18質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、より一層好ましくは0.35質量%以上、さらに一層好ましくは0.38質量%以上であり、浸炭窒化焼入れ処理前の加工性を十分に得る観点から、0.45質量%以下、好ましくは0.42質量%以下である。
ケイ素は、鋼の精錬時の脱酸のために必要な元素である。鋼材中に含まれるケイ素の含有量は、浸炭窒化焼入れ処理前において、十分な加工性を確保するとともに、材料コスト及び加工コストを低減させる観点から、0.5質量%以下、好ましくは0.35質量%以下である。
マンガンは、転がり摺動部材の製造時における鋼材の焼入れ性を高めて十分な硬さを確保するための元素である。鋼材中に含まれるマンガンの含有量は、鋼材の焼入れ性を高めて十分な硬さを確保する観点から、0.4質量%以上、好ましくは0.45質量%以上であり、母材の過剰な硬さ上昇を抑制して転がり摺動部材の製造時における切削加工時における工具寿命の低下を抑制する観点から、1.5質量%以下、好ましくは1.3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.75質量%以下である。
クロムは、転がり摺動部材の製造時における鋼材の焼入れ性を高めるとともに、バナジウム及びモリブデンとの複合添加によって浸炭窒化焼入れ処理時に微細な析出物を形成させて硬さを向上させるための元素である。鋼材中に含まれるクロムの含有量は、転がり摺軌部材の製造時における鋼材の焼入れ性を高めるとともに、浸炭窒化焼入れ処理時に微細な析出物を形成させて硬さを向上させる観点から、0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、疲労破壊の起点となる粗大析出物の生成を抑制するとともに、材料コスト及び加工コストを低減させる観点から、2質量%以下、好ましくは1.8質量%以下である。
モリブデンは、クロムと同様に鋼材の焼入れ性を高め、バナジウム及びクロムとの複合添加によって浸炭窒化焼入れ処理時に微細な析出物を形成させて硬さを向上させるための元素である。また、モリブデンは、炭素に対して強い親和力を有する。浸炭窒化焼入れ前には、鋼材中において、多くのモリブデンが、未固溶炭化物として析出している。前記未固溶炭化物は、浸炭窒化焼入れ時における析出核として働く。したがって、モリブデンは、浸炭窒化焼入れ後の析出物量を増加させる効果を発揮する。鋼材中に含まれるモリブデンの含有量は、硬さを向上させる観点から、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、疲労破壊の起点となる粗大析出物の生成を抑制するとともに、材料コスト及び加工コストを低減させる観点から、0.35質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である。
バナジウムは、クロム及びモリブデンと同様に、鋼材の焼入れ性を高め、クロム及びモリブデンとの複合添加によって浸炭窒化焼入れ処理時に微細な析出物を形成させて硬さを向上させるための元素である。また、バナジウムは、炭素に対して強い親和力を有する。鋼材中に含まれるバナジウムの含有量は、硬さを向上させる観点から、0.2質量%以上、好ましくは0.21質量%以上、より好ましくは0.22質量%以上であり、十分な量の炭素の固溶を阻害する粗大析出物の生成を抑制するとともに、材料コスト及び加工コストを低減させる観点から、0.4質量%以下、好ましくは0.38質量%以下、より好ましくは0.36質量%以下である。
アルミニウムは、鋼材製造時における製錬工程の際に脱酸を行なうための元素である。鋼材中に含まれるアルミニウムの含有量は、0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上であり、母材における粗大な酸化物の残存を抑制して転がり摺動部材の転動疲労寿命の低下を抑制する観点から、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面(転がり摺動面)から50μmまでの範囲の表面層は、クロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子及び窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子を含む。なお、本明細書において、「表面から50μmまでの範囲の表面層」とは、転がり摺動面の表面と、転がり摺動面の表面から50μmの深さの位置までの間の範囲の層をいう。
本明細書において、「クロム化合物」は、クロムの炭化物、クロムの窒化物及びクロムの炭窒化物の総称である。また、「モリブデン化合物」は、モリブデンの炭化物、モリブデンの窒化物及びモリブデンの炭窒化物の総称である。「バナジウム化合物」は、バナジウムの炭化物、バナジウムの窒化物及びバナジウムの炭窒化物の総称である。また、「クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物」とは、クロム、モリブデン及びバナジウムからなる群より選ばれた少なくとも2種を含む炭化物、前記少なくとも2種を含む窒化物及び前記少なくとも2種を含む炭窒化物の総称である。
前記析出物粒子の粒径は、析出強化を十分に行なう観点から、0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上であり、オロワン機構による分散強化の観点から、好ましくは0.1μm以下、好ましくは0.08μm以下である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面(転がり摺動面)から50μmの深さの位置において、前記析出物粒子の面積率は、オロワン機構による分散強化の観点から、5%以上、好ましくは7%以上であり、炭素の固溶量を十分に確保して十分な硬さを確保する観点から、15%以下、好ましくは13%以下である。なお、本明細書において、「析出物粒子の面積率」とは、表面から50μmまでの範囲の表面層におけるクロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子と、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子と、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子と、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子と、窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子とを併せたものの面積率をいう。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面から50μmの深さの位置におけるビッカース硬さ(以下、「表面ビッカース硬さ」ともいう)は、200〜300℃の使用環境での十分な転がり疲れ寿命を確保する観点から、680以上である。なお、外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面から50μmの深さの位置におけるビッカース硬さは、通常、740以下である。このように、外内輪10,20及び玉30は、表面から50μmの深さの位置において、少なくとも680のビッカース硬さを有するので、200〜300℃の使用環境下であっても、長い転動疲労寿命を確保することができる。なお、前記表面ビッカース硬さは、転がり摺動部材をその転がり摺動面の表面から深さ方向に切断した後、前記転がり摺動面の表面から50μmの深さの位置にビッカース圧子をあてて測定した値である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面から10μmまでの範囲の表面層における炭素含有量は、マトリックスにおける十分な固溶量と析出物量とを確保して高い表面硬さを確保する観点から、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上であり、前記表面層における炭化物の粗大析出物(例えば、粒径が0.1μmを超える析出物)の存在量を少なくすることにより、寿命を一層向上させる観点から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
外内輪10,20の軌道部11a,21a及び玉30それぞれの表面から10μmまでの範囲の表面層における窒素含有量は、十分な析出物量を確保して高い表面硬さを確保する観点から、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、前記表面層における過剰な残留オーステナイトの生成を抑制し、表面ビッカース硬さを少なくとも680として長寿命化を図る観点から、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.55質量%以下である。
[転がり摺動部材の製造方法]
本実施形態に係る転がり摺動部材は、前記組成を有する鋼材から形成された素形材に対し、浸炭窒化処理を施す浸炭窒化工程と、前記浸炭窒化工程後の素形材を200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し工程とを含む方法によって得られる。
以下、前記転がり摺動部材の製造方法の例として、外輪の製造方法を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材である外輪の製造方法の各工程を示す工程図である。
まず、前記鋼材から形成された外輪軌道部11a、端面11b、肩面11c及び外周面11dに対応する部分を有する外輪10の素形材14を得る〔「前加工工程」、図2(a)参照〕。
つぎに、得られた素形材14を浸炭窒化炉内にセットし、当該素形材14に対して浸炭窒化焼入れ処理を施す〔「浸炭窒化焼入れ工程」、図2(b)〕。かかる浸炭窒化焼入れ処理により、図示しない浸炭窒化層を形成させ、十分な表面硬さを確保することができ、しかも焼戻し軟化抵抗を向上させることができる。
浸炭窒化焼入れ処理は、素形材14を、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の雰囲気(浸炭窒化雰囲気)中において、浸炭窒化温度860〜900℃で4時間以上加熱し、急冷すること等によって行なうことができる。
浸炭窒化雰囲気のカーボンポテンシャルは、十分な表面硬さを確保する観点から、1.1以上であり、粗大炭化物の生成を抑制する観点から、1.25以下である。
浸炭窒化雰囲気のアンモニア濃度は、十分な表面硬さを確保するとともに、鋼材の焼戻し軟化抵抗を向上させる観点から、1体積%以上であり、鋼材中への過剰な窒素の侵入を抑制して所定の炭素量を確保する観点から、5体積%以下である。
浸炭窒化温度は、炭素及び窒素の十分な拡散速度を得る観点から、860℃以上であり、浸炭窒化雰囲気に用いられる浸炭窒化ガスの使用量を低減するとともに浸炭窒化炉の寿命を長くする観点から、900℃以下である。
また、浸炭窒化時間は、表面層の強化に十分な浸炭深さを得る観点から、通常、4時間以上である。
急冷は、例えば、冷却油の油浴中における油冷等により行われる。
その後、浸炭窒化焼入れ工程後の素形材14に対し、200〜300℃の焼戻し温度に加熱した後、空冷する焼戻し処理を施して、中間素材を得る〔「焼戻し工程」、図2(c)〕。
焼戻しの際の温度は、200〜300℃の使用環境下での寸法安定性を十分に確保する観点から、200℃以上、好ましくは250℃以上であり、十分な硬さを確保して長い転動疲労寿命を確保する観点から、300℃以下である。
焼戻し時間は、温度ムラの発生を抑制して転がり摺動部材の品質を安定化させる観点から、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。なお、本明細書において、「焼戻し時間」とは、加熱開始からワークが所定の温度に達してから空冷を開始するまでの時間をいう。
焼戻し工程後の中間素材に、外輪軌道部11a、端面11b及び外周面11dそれぞれを形成する部分に対して、研磨仕上げ加工を施し、転がり摺動部材(外輪10)を得る〔「仕上げ加工」、図2(d)〕。
なお、転がり摺動部材の表面硬度をさらに向上させる場合、図3に示されるように、浸炭窒化焼入れ工程〔図3(b)〕と焼戻し工程〔図3(d)〕との間に、サブゼロ処理〔「サブゼロ処理工程」、図3(c)〕を行なってもよい。この場合、前加工〔図3(a)〕、浸炭窒化焼入れ工程及び焼戻し工程は、図2に示される方法と同様に実施することができる。
サブゼロ処理工程では、浸炭窒化焼入れ処理後の外輪の素形材14を0℃未満の所定温度に冷却するサブゼロ処理を行なう。
サブゼロ処理における冷却温度は、コストを低減する観点から、好ましくは−100℃以上であり、残留オーステナイトを所定のマルテンサイトに変化させる観点から、好ましくは−50℃以下である。
また、サブゼロ処理における冷却時間は、温度ムラの発生を抑制して転がり摺動部材の品質を安定化させる観点から、好ましくは0.5時間以上である。
つぎに、実施例等により、本発明の一実施形態に係る転がり摺動部材及びその製造方法の作用効果を検証する。
実施例1〜7及び比較例1〜5
鋼材として、炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避不純物である表1に示される鋼材を用いた。
表1に示される鋼材から所定形状に加工して、外径40mm及び厚さ16.3mmを有する素形材を得た。つぎに、得られた素形材に、熱処理を施した後、研磨仕上げを施し、実施例1〜7及び比較例1〜5の試験片を得た。実施例1〜7及び比較例1〜5それぞれにおける熱処理条件を図4〜15に示す。
図4に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.25及びアンモニア濃度2体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例1)。
図5に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.2及びアンモニア濃度1体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例2)。
図6に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.1及びアンモニア濃度4体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例3)。
図7に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.1及びアンモニア濃度5体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例4)。
図8に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.2及びアンモニア濃度1体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例5)。
図9に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.2及びアンモニア濃度1体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を250℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例6)。
図10に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.1及びアンモニア濃度4体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を−55℃で1時間維持し(サブゼロ処理)、その後、300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(実施例7)。
図11に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭炉内で、カーボンポテンシャル1.25の浸炭雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(比較例1)。
図12に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.3及びアンモニア濃度1体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(比較例2)。
図13に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.0及びアンモニア濃度10体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(比較例3)。
図14に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.2及びアンモニア濃度1体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を350℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(比較例4)。
図15に示される熱処理条件は、素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.0及びアンモニア濃度10体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を−55℃で1時間維持し(サブゼロ処理)、その後、300℃で2時間加熱後、空冷(焼戻し)する条件である(比較例5)。
試験例1
実施例1〜7及び比較例1〜5の方法で得られた試験片の表面層のビッカース硬さ、表面炭素含有量、表面窒素含有量、析出物粒子の種類及び形態並びに析出物粒子の面積率を調べた。
表面層のビッカース硬さは、試験片の表面から深さ方向に切断した後、試験片の表面から50μmの深さの位置にビッカース圧子をあて、ビッカース硬さ試験機を用いて測定した。
表面炭素含有量及び表面窒素含有量は、各試験片をその軸方向に対して垂直方向に切断した後、埋め込み仕上げ研磨を施して得られた産物の表面炭素含有量及び表面窒素含有量をEPMAで測定することによって求めた。ここで、表面炭素含有量及び表面窒素含有量は、試験片の表面から深さ10μmの位置までの範囲の値とした。
析出物粒子の種類及び面積率は、800μm2の測定視野において、加速電圧:15kV、照射電流:2.016×10-7A及びスキャン倍率:3000倍の条件で、EPMAを用いて各元素をマッピングし、画像処理を行なうことによって観察した。
200〜300℃での焼戻しを行なった後の前記表面層のビッカース硬さが680以上である場合、200〜300℃での使用環境において、長い寿命を確保するのに十分な硬さを確保することができると考えられる。そこで、実施例1〜7及び比較例1〜5の方法で得られた試験片が200〜300℃の使用環境下で用いるのに適するかどうかを下記判断基準にしたがって評価した。その結果を表2及び表3に示す。なお、表2及び表3中、「M(C,N)析出物」は、クロムの炭化物、クロムの窒化物、クロムの炭窒化物、モリブデンの炭化物、モリブデンの窒化物、モリブデンの炭窒化物、バナジウムの炭化物、バナジウムの窒化物、バナジウムの炭窒化物、クロム、モリブデン及びバナジウムからなる群より選ばれた少なくとも2種を含む炭化物、前記少なくとも2種を含む窒化物並びに前記少なくとも2種を含む炭窒化物それぞれの析出物の総称を意味する。
(判断基準)
良好:200〜300℃での焼戻しを行なった後のビッカース硬さが680以上である。
不可:200〜300℃での焼戻しを行なった後のビッカース硬さが680未満である。
表2に示された結果から、前記鋼材から得られた素形材にカーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ処理を施した後、200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し処理を施し、表面から50μmの位置におけるクロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子及び窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子の面積率を5〜15%にすることにより、200〜300℃の使用環境下で用いるのに適した硬さ(表面ビッカース硬さ680以上)を確保することができることがわかる。なお、試験片の表面から深さ10μmの位置までの範囲は、炭素含有量が0.7〜1.2質量%、窒素含有量が0.15〜0.6質量%であることから、浸炭窒化層を形成していることがわかった。
これに対し、比較例1〜5の熱処理条件は、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ処理条件及び200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し処理条件から外れる条件である。したがって、表3に示された結果から、比較例1〜5の方法で得られた鋼材は、200〜300℃の使用環境下で用いるのに適した硬さを得ることができないことがわかる。
なお、表1に示される組成を有する鋼材の代わりに、鋼材として、炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有し、残部が鉄及び不可避不純物である他の鋼材を用いた場合、実施例1〜7の場合と同等の量の微細析出物が得られるため、表1に示される組成を有する鋼材を用いた場合と同様の傾向が見られると考えられる。
試験例2
表1に示される鋼材から所定形状に加工して、外径40mm及び厚さ16.3mmを有する素形材を得た。つぎに、得られた素形材を、浸炭窒化炉内で、カーボンポテンシャル1.25及びアンモニア濃度2体積%の浸炭窒化雰囲気中において、860℃で6時間の加熱及び80℃までの油冷を行ない(浸炭窒化焼入れ)、得られた素形材を160℃、180℃、200℃、220℃、240℃、260℃、280℃又は300℃の焼戻し温度で2時間加熱後、空冷した(焼戻し)。得られた中間素材に研磨仕上げを施し、試験片を得た。得られた各試験片の表面層の200〜300℃での焼戻しを行なった後のビッカース硬さを調べた。表面層の200〜300℃での焼戻しを行なった後のビッカース硬さは、試験片の表面から深さ方向に切断した後、試験片の表面から50μmの深さの位置にビッカース圧子をあて、ビッカース硬さ試験機を用いて測定した。試験例2において、焼戻し温度と200〜300℃での焼戻しを行なった後のビッカース硬さとの関係を調べた結果を図16に示す。
図16に示された結果から、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ処理後、200〜300℃での焼戻しを行なうことにより、ビッカース硬さ680以上を確保することができることがわかる。
1:玉軸受、10:外輪、10a:母材、10a1:鋼材、10a2:浸炭窒化層、11a:外輪軌道部、14:素形材、20:内輪、20a:母材、20a1:鋼材、20a2:浸炭窒化層、21a:内輪軌道部、30:玉

Claims (5)

  1. 相手部材との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材であって、
    炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材の表面層が浸炭窒化層である母材からなり、
    前記転がり摺動面の表面から50μmまでの範囲の表面層は、クロム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、モリブデン化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、バナジウム化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子、クロム−モリブデン−バナジウム複合化合物からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子及び窒化鉄からなる粒径0.01〜0.1μmの析出物粒子を含み、
    前記表面から50μmの深さの位置における前記析出物粒子の面積率が5〜15%であり、
    前記表面から50μmの深さの位置におけるビッカース硬さが少なくとも680であることを特徴とする転がり摺動部材。
  2. 前記表面層における炭素含有量が0.7〜1.2質量%である請求項1に記載の転がり摺動部材。
  3. 前記表面層における窒素含有量が0.15〜0.6質量%である請求項1又は2に記載の転がり摺動部材。
  4. 相手部材との間で相対的に転がり接触もしくは滑り接触又は両接触を含む接触をする研磨仕上げされた転がり摺動面を有する転がり摺動部材の製造方法であって、
    炭素0.15〜0.45質量%と、マンガン0.4〜1.5質量%と、ケイ素0.5質量%以下と、クロム0.3〜2.0質量%と、モリブデン0.1〜0.35質量%と、バナジウム0.2〜0.4質量%と、アルミニウム0.005〜0.1質量%とを含有する鋼材から形成された素形材に対し、カーボンポテンシャル1.1〜1.25及びアンモニア濃度1〜5体積%の浸炭窒化雰囲気下で860〜900℃に加熱保持した後、焼入れを行なう浸炭窒化焼入れ処理を施す浸炭窒化工程、及び、
    前記浸炭窒化焼入れ工程後の素形材を200〜300℃での焼戻しを行なう焼戻し工程
    を含む転がり摺動部材の製造方法。
  5. 外周面に軌道部を有する内輪と、内周面に軌道部を有する外輪と、前記内外輪の両軌道部の間に配置された複数個の転動体とを備えた転がり軸受であって、
    前記内輪、外輪及び転動体のうちの少なくとも1つが請求項1〜3のいずれかに記載の転がり摺動部材であることを特徴とする転がり軸受。
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