JP2017088685A - 熱伝導性ポリシロキサン組成物 - Google Patents

熱伝導性ポリシロキサン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 作業性や接着性に優れつつも、充填剤の高充填化が可能であり、高い熱伝導性を有する硬化物を形成する、熱伝導性ポリシロキサン組成物を提供する。【解決手段】 炭化ケイ素と、一般式(1)(式中、R1、R2、R3、X、a、b、c、R4、Y及びdは、明細書に定義されたとおりである)で示されるシロキサンとを含み、前記加水分解性基含有シロキサンの量が前記炭化ケイ素100質量部に対して1.0質量部〜20質量部の範囲である、熱伝導性ポリシロキサン組成物である。【選択図】 なし

Description

本発明は、熱伝導性ポリシロキサン組成物に関する。
パワートランジスタ、IC、CPU等に代表される電子部品には、発熱体の蓄熱を防ぐために、熱伝導性の高い熱伝導性グリースや熱伝導性シートが用いられている。熱伝導性グリースには、電子部品の形状に影響されることなく手軽に塗布できる利点がある反面、他の部品を汚損する、オイル分の流出がある等の問題点を抱えている。また、熱伝導性シートは他の部品の汚損やオイル分の流出はないものの、密着性がグリースよりも劣るため、熱伝導性シートの硬度を下げて密着性を高めるといった手法がとられている。
熱伝導性シートには、シリコーンゴムが多く用いられている。ただし、シリコーン単体では熱伝導性を高めることはできないため、シリコーンゴムの熱伝導性を改良するために、熱伝導性の充填剤が併用される。熱伝導性の充填剤として、シリカ粉、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム等に代表されるような、バインダーとなるシリコーンより熱伝導性の高い材料を添加することが知られている(特許文献1)。
高い熱伝導率を有するシリコーン組成物を得るためには、熱伝導性充填材をより高充填する必要があるが、その充填性には限界があるため、表面処理した充填剤が用いられる(特許文献2)。また、充填剤そのものの熱伝導性も重要であるため、高熱伝導性充填材として炭化ケイ素が用いられる(特許文献3)。炭化ケイ素はアルミナに比べ5倍の熱伝導率があり、また比重が約25%軽い。また窒化アルミニウムに比べて体積当たりで同等の熱伝導性を有し、耐加水分解性、耐候性にも優れている。
特開2002−003831号公報 再表2005/030874号公報 特開2003−208052号公報
しかしながら、充填剤をシリコーン中に充填しようとすると、どうしても粘度が大きく上昇し、流動性が低下してしまうため、作業性、生産性が低下するという問題点があった。充填剤にアルコキシシラン、直鎖状アルコキシオリゴマー、直鎖状ビニル基含有アルコキシオリゴマー等の各種表面処理剤により表面処理を施し、充填性を高める手段が提案されているが、処理剤自体の耐熱性に問題を有していたり、製造するのが困難であったりし、更には流動性改善に関して充分な効果を得ているとは言い難かった。特に、最近の電子部品等は高出力化に伴った発熱量も大きくなり、より高い熱伝導率を有する放熱部材が必要とされてきており、かかる要請に応じるためには熱伝導性充填剤を高充填させることが必要となり、更に上述の問題点に拍車をかけている。このため、熱伝導性の高い材料に対して適した表面処理剤の探索が求められていた。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、作業性や、耐熱性に優れつつも、充填剤の高充填化が可能であり、高い熱伝導性を有する硬化物を形成する、熱伝導性ポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討したところ、高放熱化が可能な充填剤である炭化ケイ素に適した表面処理剤を見出し、熱伝導性ポリシロキサン組成物の高熱伝導率化を達成し、本発明に至った。
本発明は、以下の各項に関する。
[1]炭化ケイ素と、
下記一般式(1):

(式中、
:炭素数1〜4のアルコキシシロキシ基を有する基
:下記一般式(2):

(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の炭化水素基であり、Yは、R、R及び脂肪族不飽和基からなる群より選択される基であり、dは2〜500の整数である)で示されるシロキサン又は炭素数6〜18の1価の炭化水素基
X:それぞれ独立して炭素数2〜10の2価の炭化水素基
a及びb:それぞれ独立して1以上の整数
c:0以上の整数
a+b+c:4以上の整数
:それぞれ独立して、炭素数1〜6の1価の炭化水素基又は水素原子
である)
で示されるシロキサン化合物とを含み、
前記加水分解性基含有シロキサンの量が前記炭化ケイ素100質量部に対して1.2質量部〜20質量部の範囲である、熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[2]炭化ケイ素が、粒度分布のピークを少なくとも2つ有する、前記[1]記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[3]炭化ケイ素が、少なくとも、0.1μm〜6.0μmの範囲及び6.0μm〜200μmの範囲に粒度分布のピークを有する、前記[2]記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[4]前記シロキサン化合物の量が、前記炭化ケイ素100質量部に対して2質量部〜10質量部の範囲である、前記[1]〜[3]のいずれか記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[5]硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂を更に含む、前記[1]〜[4]のいずれか記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[6]付加反応硬化型である、前記[5]記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物である。
[7]前記[5]又は[6]記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物を硬化した、シリコーンゴムである。
[8]前記[7]記載のシリコーンゴムを含む、電子部品である。
本発明により、作業性や接着性に優れつつも、充填剤の高充填化が可能であり、高い熱伝導性を有する硬化物を形成する、熱伝導性ポリシロキサン組成物を提供することが可能となる。
熱伝導性充填剤に炭化ケイ素とアルミナを用いたものとの、体積充填率と熱伝導率の関係を示すグラフである。
本発明の一つの態様は、熱伝導性充填剤としての炭化ケイ素と、表面処理剤としてのシロキサン化合物と、場合により硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂とを含む、熱伝導性ポリシロキサン組成物である。以下、本発明の組成物に含まれる各種成分、組成物の製造方法等について、詳細に説明する。
[炭化ケイ素]
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物には、熱伝導性充填剤として炭化ケイ素が使用される。炭化ケイ素は、同じく熱伝導性充填剤として使用されるアルミナと比べて熱伝導性が非常に高い素材であり、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性等にも優れている。炭化ケイ素の種類は、熱伝導性充填剤として利用可能なグレードのものであれば特に制限されず、市販のものを用いることができる。利用可能な炭化ケイ素として、太平洋ランダム社製黒色炭化ケイ素又は緑色炭化ケイ素等が挙げられる。また、これら炭化ケイ素を超微粉化したものも用いられる。
炭化ケイ素は、平均粒子径が300μm以下のものを用いることが好ましい。平均粒子径がこの範囲にあるものの中でも、平均粒子径が大きいものを配合すると、充填することが難しく粘度が大きくなる傾向があるが、炭化ケイ素の平均粒子径を適宜選択し、配合することで、目的に適った粘度の組成物を得ることができる。平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として求めることができる。
炭化ケイ素には、充填性がより高まるため、粒度分布のピークを少なくとも2つ有する、すなわち多分散の粒度分布を有する炭化ケイ素を用いることが好ましい。なお、粒度分布のピークが1つのみ、すなわち単分散の粒度分布を有する場合、炭化ケイ素の粒度分布のピークと平均粒子径は同義となる。粒度分布のピークを少なくとも2つ有する炭化ケイ素として、0.1μm〜6.0μmの範囲及び6.0μm〜200μmの範囲に粒度分布のピークを有する炭化ケイ素を用いると、充填性がより高まるため好ましい。0.2μm〜5.0μmの範囲及び10.0μm〜150μmの範囲に粒度分布のピークを有する炭化ケイ素がより好ましい。また、多分散の粒度分布を得るため、粒度分布の異なる2種類以上の炭化ケイ素を混合して用いてもよい。
硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂を含む場合には、熱伝導性ポリシロキサン樹脂中の熱伝導性充填剤の配合量は、シロキサン化合物と硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂の全体量100質量部に対し、10〜3000質量部の範囲である。特に、100〜2800質量部の範囲において本発明の効果が顕著に発揮される。
[シロキサン化合物]
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物には、表面処理剤として、下記一般式(1):

(式中、R、R、R、X、a、b及びcは、先に定義したとおりである)
で示される、シロキサン化合物が用いられる。
一般式(1)で示される環状構造を有するシロキサン化合物を用いる場合、加水分解性基の数を環状構造中に多く導入することができ、更にそれが位置的に集中しているため、熱伝導性充填剤の処理効率が高くなり、より高充填化を可能にすると期待される。加えて、上記シロキサン化合物自体の耐熱性が高いため、熱伝導性ポリシロキサン組成物に高い耐熱性を与えることができる。また、このようなシロキサン化合物は、例えば、水素基が含有された環状シロキサンと、片末端にビニル基を有するシロキサン、ビニル基と加水分解性基を含有したシラン化合物とを付加反応させることで容易に得ることができるという利点がある。
一般式(1)において、Rは、炭素数1〜4のアルコキシシロキシ基を含有する加水分解性の官能基であり、より具体的には以下の構造を有する基が例示される。
は、オリゴシロキサン類及び長鎖アルキルからなる基から選択される。Rが長鎖アルキル基の場合、その炭素数は6〜18の範囲、好ましくは6〜14である。ここで「長鎖アルキル基」とは、アルキル基中の最も長い炭素鎖部分の炭素数が6以上であることを指し、合計の炭素数が上記範囲内であれば、分岐構造を有していてもよい。炭素数をこの範囲とすることで、流動性に対する効果を高め、高配合を可能にする。また、取り扱い性に優れ、均一に分散させることが容易になる。
がオリゴシロキサン類の場合、Rは、一般式(2):

(式中、R、Y及びdは、先に定義したとおりである)で示される基である。
一般式(2)において、dの数は2〜500の範囲、好ましくは4〜400の範囲である。この範囲とすることで、流動性に対する効果を高め、高配合を可能にする。また、シロキサン化合物自体の粘度を抑えることができる。Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜12の1価の炭化水素基であり、直鎖状又は分岐鎖状のC1−12アルキル基、フェニルやナフチル等のアリール基が挙げられる。また、塩素、フッ素、臭素等のハロゲンで置換されていてもよく、そのような基として、トリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基が例示される。合成が容易であることから、Rはメチル基であることが好ましい。Yは、R、R及び脂肪族不飽和基からなる群より選択される基である。脂肪族不飽和基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。また、脂肪族不飽和基は、硬化反応が起こりやすくなることから、末端に二重結合を有していることが好ましい。合成が容易であることから、Yはメチル基又はビニル基であることが好ましい。
及びRは、基Xを介し、一般式(1)で示されるシロキサンの環状シロキサン部分と結合される。基Xは、炭素数2〜10の2価の炭化水素基であり、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−等のアルキレン基が例示される。
は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の1価の炭化水素基又は水素原子である。各々のRは同一でも異なっていてもよい。合成が容易であることから、Rはメチル基又は水素原子であることが好ましい。
a及びbは1以上の整数、好ましくは1〜2である。cは0以上の整数、好ましくは0〜1である。また、a+b+cの和は、4以上の整数であるが、合成が容易であることから4であることが好ましい。
以上説明したようなシロキサン化合物の代表例として下記の構造式で示される化合物を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(1)で示されるシロキサン化合物の配合量は、炭化ケイ素100質量部に対して1.2〜20質量部の範囲である。シロキサン化合物の量をこの範囲とすることで、炭化ケイ素の充填性を高めつつ、熱伝導性を高くすることができる。シロキサン化合物の配合量は、より好ましくは2〜15質量部の範囲である。また、硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂が含まれる場合には、ポリシロキサン樹脂100質量部に対し、1質量部以上用いることが好ましい。シロキサン化合物の量がポリシロキサン樹脂に対し1質量部未満であると熱伝導性充填材の表面処理効果が少なくなり、高配合ができなくなる。また過剰であると、硬化後の機械的物性や耐熱性に悪影響を与えるため、より好ましくは5〜500重量部の範囲である。
[ポリシロキサン樹脂]
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物は、硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂を更に含むことができる。ここで、本明細書において「硬化性官能基」とは、樹脂の硬化反応に関与し得る官能基を指す。硬化性官能基の例としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、ケイ素に直接結合した水素基等が挙げられる。
硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂として、以下の一般式(3):

(式中、
は、それぞれ独立して、脂肪族不飽和基であり、
Rは、それぞれ独立して、C1−6アルキル基又はC6−12アリール基であり、
nは、23℃における粘度を10〜10000cPとする数である)で示される、脂肪族不飽和基を含有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが例示されるが、このような構造の樹脂に限定されるものではない。
ポリシロキサン樹脂としては、生産性及び作業性の観点から、付加反応硬化型ポリオルガノシロキサンを含むことが好ましい。付加反応硬化型ポリオルガノシロキサンとしては、(a)ベースポリマーである不飽和基含有ポリオルガノシロキサン、(b)架橋剤である水素基含有ポリオルガノシロキサン、(c)硬化用触媒である白金化合物、からなるものが知られている。
(a)成分の不飽和基含有ポリオルガノシロキサンとしては、1分子中にケイ素原子に結合した有機基のうち、少なくとも平均して0.5個以上の不飽和基が含有されていることが好ましい。不飽和基の数が1分子あたり0.5個より少ないと架橋にあずからない成分が増加するため、十分な硬化物が得られない。不飽和基の数が1分子あたり0.5個以上であれば基本的に硬化物は得られるが、余りに過剰であると硬化物の耐熱性が低下し、本来の目的を達成できなくなってしまうため、0.5〜2.0個の範囲であることが好ましい。不飽和基は、ポリオルガノシロキサンを調製しやすいことからビニル基が好ましい。不飽和基は、分子鎖末端、分子鎖側端、いずれの位置に結合していてもよいが、硬化速度が高まり、硬化物の耐熱性も保てる点から、分子鎖末端にあることが好ましい。
不飽和基含有ポリオルガノシロキサンにおけるその他の官能基としては、1価の置換又は非置換の炭化水素基が挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ドデシル等のアルキル基;フェニル等のアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル等のアラルキル基;クロロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル等の置換炭化水素基等が例示される。メチル基又はフェニル基が合成の容易さから好ましい。
不飽和基含有ポリオルガノシロキサンの構造は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、その粘度は特に制限されないが、23℃における粘度が、0.01〜50Pa・sであることが好ましい。
一般的に、不飽和基含有ポリオルガノシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンと、RSiO0.5(ここで、Rは1価の炭化水素基である)単位を有するオルガノシロキサンとを、アルカリ、酸等の適切な触媒にて平衡化重合させ、その後、中和工程、余剰の低分子シロキサン分を除去することにより得られる。
(b)成分の水素基含有ポリオルガノシロキサンは、Si−H結合を有するシロキサン化合物であり、架橋剤となる成分である。その配合量は、(a)成分の不飽和基1個に対し、ケイ素原子に直接結合した水素原子が0.2〜5.0個となる量である。0.2個より少ないと、硬化が十分に進行せず、5.0個を超えると、硬化物が固くなり、また硬化後の物性にも悪影響を及ぼすことがある。また、1分子に含まれるケイ素原子に結合した水素基数は少なくとも2個以上であることが必要であるが、その他の条件、水素基以外の有機基、結合位置、重合度、構造等については特に限定されず、また2種以上の水素基含有ポリオルガノシロキサンを使用してもよい。
水素基含有ポリオルガノシロキサンは、代表的には、一般式(4):
(R(RSiO(4−x−y)/2 (4)
(式中、
は、水素原子であり、
は、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、好ましくはメチル)又はフェニル基であり;
xは、1又は2であり;
yは、0〜2の整数であり、ただし、x+yは1〜3である)
で示される単位を分子中に2個以上有する。
水素基含有ポリオルガノシロキサンにおけるシロキサン骨格は、環状、分岐状、直鎖状のものが挙げられるが、好ましくは、環状又は分岐状の骨格である。
(c)成分の白金化合物は、(a)成分の不飽和基と(b)成分の水素基を反応させ、硬化物を得るための硬化用触媒である。この白金化合物としては、塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯体、白金リン錯体、白金アルコール錯体、白金黒等が例示される。その配合量は、(a)成分の不飽和基含有ポリオルガノシロキサンに対し、白金元素として0.1〜1000ppmとなる量である。0.1ppmより少ないと十分に硬化せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向上は期待できない。また、より長いポットライフを得るために、反応抑制剤の添加により、触媒の活性を抑制することができる。公知の白金族金属用の反応抑制剤として、2−メチル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−2−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコールが挙げられる。
熱伝導性充填剤を配合させた組成物を調製する方法としては、シロキサン化合物と硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂と充填剤とを、混練機器を使用しそのまま調製してもよく、あるいはシロキサン化合物と充填剤とを先に混合し表面処理を施した後、硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂へ分散し調製してもよい。また、必要に応じ、加熱、減圧又はその他公知の方法による処理を実施してもよい。また、先に述べた付加反応硬化型ポリオルガノシロキサンを含む場合には、前述の(a)成分を先に配合した樹脂組成物を調製しておき、硬化させる直前に(b)成分及び(c)成分の混合物を添加することもできる。
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、当業者に公知の顔料、難燃剤、接着付与剤、耐熱付与剤、希釈剤、有機溶剤等を適宜配合することができる。
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物は、ポリシロキサン樹脂が有する硬化性官能基を硬化させて、シリコーンゴムとすることができる。ポリシロキサン組成物の硬化反応は、ポリシロキサン樹脂が有する硬化性官能基の種類に応じて適宜選択される方法によって行うことができる。
硬化性官能基として、エポキシ基等熱により硬化反応を起こす官能基を有するポリオルガノシロキサンを用いる場合には、熱伝導性ポリシロキサン組成物に熱を掛けることにより硬化することもできる。熱硬化の条件は当業者に公知であるが、熱による硬化反応に用いることができる機器としては、例えば、恒温槽等の当業者に公知の装置が挙げられる。加熱条件は、組成物が適用される部材の耐熱温度に合わせて適宜調整することができ、硬化時間を決めることができる。例えば、40〜100℃の熱を、1分〜5時間の範囲で加えることができる。加熱温度は、操作性の観点から、50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることがより好ましい。加熱時間は、硬化工程の簡便さの観点から、5分〜3時間であることが好ましく、10分〜2時間であることがより好ましい。
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物を硬化させることによって得られるシリコーンゴムは、電子機器、集積回路素子等の電子部品の放熱部材として使用することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部はすべて質量部を示す。
以下の実施例及び比較例にて用いた材料は、以下のとおりである。
<一般式(1)で示されるシロキサン化合物>
A−1:以下の化学式で示されるシロキサン;粘度180cP

<ポリオルガノシロキサン樹脂>
B−1:α、ω−ジビニルポリジメチルシロキサン;粘度180cP
<炭化ケイ素>
GMF 6S:太平洋ランダム社製 超微粉化緑色炭化ケイ素(平均粒子径2μm)
NC 400:太平洋ランダム社製 黒色炭化ケイ素(平均粒子径20μm)
NG F220:太平洋ランダム社製 緑色炭化ケイ素(平均粒子径55μm)
[物性の評価条件]
(1)組成物の粘度
回転粘度計(ビスメトロン VDH)(芝浦システム株式会社製)を使用して、No.7ローターを使用し、10rpm、1分間で、23℃における粘度を測定した(粘度計A−1)。この条件で十分な測定が行えない程度に粘度が高い場合には、B型粘度計(B8U/50型)(トキメック社製)により測定した。測定条件は、No.7ローターを使用し、10rpm、1分間で、23℃における粘度を測定した(粘度計A−2)。
(2)熱伝導率
熱伝導率計(TPS 1500)(京都電子工業製)を使用して、内径30mm深さ6mmのプラスチック製の容器に、材料を充填、2個作成したサンプルで熱伝導率計のセンサーを挟み、熱伝導率を測定した。熱伝導率の単位はW/mKである。
[炭化ケイ素のシロキサン化合物による表面処理]
・配合例A
一般式(1)で示されるシロキサン化合物としてA−1を10質量部、炭化ケイ素としてGMF 6Sを70質量部、プラネタリーミキサーにて所定の方法により混練し、炭化ケイ素を表面処理した熱伝導性ポリシロキサン組成物Aを得た。
・配合例B
一般式(1)で示されるシロキサン化合物としてA−1を10質量部、炭化ケイ素としてF220を30質量部、プラネタリーミキサーにて所定の方法により混練し、炭化ケイ素を表面処理した熱伝導性ポリシロキサン組成物Bを得た。
・比較配合例
A−1をB−1に変えた以外は配合例Aと同様にして、比較用組成物Aを得た。これら配合例/比較配合例の組成物の粘度及び熱伝導性を、先に記載した方法により測定した。結果を以下の表1に示す。
表1より、一般式(1)で示されるシロキサン化合物を用いることにより、取扱いが可能な粘度の組成物が得られることが示された。一方、一般式(1)で示されるシロキサン化合物を用いない場合には、炭化ケイ素が纏まらず、粘度を測定できるほどに均一な組成物が得られなかった。
[炭化ケイ素の検討]
一般式(1)で示されるシロキサン化合物としてA−1を10質量部、炭化ケイ素としてGMF 6S、F220及びNC 400を、以下の表2に示す量で配合し、熱伝導性ポリシロキサン組成物C〜Fを得た。それぞれの組成物について、粘度及び熱伝導性を測定した。結果は以下の表2にまとめた。
表2より、炭化ケイ素を複数種混合すると、粘度が低く扱いやすい組成物が得られることが示された。また、炭化ケイ素の配合量を適宜選択することで、粘度を調整可能であることも明らかとなった。
(シロキサン化合物の含有量)
・実施例1〜6、比較例1
熱伝導性ポリシロキサン組成物Eを実施例1とし、A−1の配合量を以下の表3に示すように変更して、実施例2〜6及び比較例1の熱伝導性ポリシロキサン組成物を調製した。実施例5、6及び比較例1では、炭化ケイ素の含有量(質量%)が実施例2と一致するように所定量のB−1を補って、硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂を含む組成物を調製した。各組成物の粘度及び熱伝導率の測定結果を表3に示す。
表3より、一般式(1)で示されるシロキサン化合物の量を本発明の範囲とすることにより、取扱いが可能な状態の組成物が得られることが明らかとなった。また、一般式(1)で示されるシロキサン化合物の量を抑えることで、より高い熱伝導率が達成できることも明らかとなった。一方、一般式(1)で示されるシロキサン化合物の量が少なすぎると、纏まりのある組成物が得られなかった。
[炭化ケイ素以外の充填剤との比較]
・実施例7〜9
実施例3で得られた熱伝導性ポリシロキサン組成物に、希釈剤としてB−1を各々8、15.4、38質量部加え、各々実施例7〜9の熱伝導性ポリシロキサン組成物とした。これら組成物における炭化ケイ素の含有量は体積%で各々59.9%、50.0%、33.3%であった。
・比較例2
実施例1〜4、7〜9で得られた熱伝導性ポリシロキサン組成物と、熱伝導性充填剤の含有量が体積%でほぼ同じとなるように、炭化ケイ素に変えてアルミナを配合して、熱伝導性ポリシロキサン組成物を調製した。これらの各組成物の熱伝導率を測定し、熱伝導性充填剤の含有量と熱伝導率との関係により、アルミナと炭化ケイ素の熱伝導性の違いを比較した。結果は図1に添付する。
図1から、熱伝導性充填剤の体積%での含有量がほぼ同じであれば、炭化ケイ素がより優れた熱伝導性を示すことが示された。例えば、熱伝導性充填剤の含有量が約74vol%である点を比べると、炭化ケイ素を用いた組成物の方がアルミナを用いた組成物より熱伝導率が約1.5W/mKも向上している。
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物によれば、熱伝導性充填材が高配合されるため、高い熱伝導性がもたらされる。更にその際の組成物の流動性も低下せず、優れた加工性、耐熱性も付与される。そのため、各種電子機器、集積回路素子等の電子部品の放熱部材として幅広く有効に利用することができる。

Claims (8)

  1. 炭化ケイ素と、
    下記一般式(1):

    (式中、
    :炭素数1〜4のアルコキシシロキシ基を有する基
    :下記一般式(2):

    (式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜12の1価の炭化水素基であり、Yはメチル、ビニル及びRからなる群より選択される基であり、dは2〜500の整数である)で示されるシロキサン又は炭素数6〜18の1価の炭化水素基
    X:それぞれ独立して炭素数2〜10の2価の炭化水素基
    a及びb:それぞれ独立して1以上の整数
    c:0以上の整数
    a+b+c:4以上の整数
    :それぞれ独立して、炭素数1〜6の1価の炭化水素基又は水素原子
    である)
    で示されるシロキサン化合物とを含み、
    前記加水分解性基含有シロキサンの量が前記炭化ケイ素100質量部に対して1.2質量部〜20質量部の範囲である、熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  2. 前記炭化ケイ素が、粒度分布のピークを少なくとも2つ有する、請求項1記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  3. 前記炭化ケイ素が、少なくとも、0.1μm〜6.0μmの範囲及び6.0μm〜200μmの範囲に粒度分布のピークを有する、請求項2記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  4. 前記シロキサン化合物の量が、前記炭化ケイ素100質量部に対して2質量部〜10質量部の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  5. 硬化性官能基を有するポリシロキサン樹脂を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  6. 付加反応硬化型である、請求項5記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
  7. 請求項5又は6記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物を硬化した、シリコーンゴム。
  8. 請求項7記載のシリコーンゴムを含む、電子部品。
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