JP2017087102A - 溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法 - Google Patents

溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法 Download PDF

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藤田 浩史
Hiroshi Fujita
浩史 藤田
井関 正博
Masahiro Izeki
正博 井関
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Abstract

【課題】従来に比べ短時間で溶存金属イオン分析に適した試料溶液を調製することが可能な溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法を提供する。【解決手段】溶存金属イオン分析用前処理デバイスは、金属イオンを含有する溶液を保持する空間を有する電解槽と、電解槽の空間を、第1、第2、第3、第4および第5室に仕切る第1、第2陽イオン交換膜および第1、第2陰イオン交換膜と、陽極および陰極とを備え、第1室は、第1陽イオン交換膜によって仕切られており、第2室は、第1および第2陽イオン交換膜によって仕切られており、第3室は、第2陽イオン交換膜および第1陰イオン交換膜によって仕切られており、第4室は、第1および第2陰イオン交換膜によって仕切られており、第5室は、第2陰イオン交換膜によって仕切られており、陽極は第1室内に配置され、陰極は第5室内に配置されている。【選択図】図1

Description

本願は、溶存金属イオン分析法およびこの分析に用いる溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスに関する。
地下水や表層水、工業用水等に含まれるCrイオン、Mnイオンなどの金属イオンは、酸化状態、つまり酸化数によって生体への毒性、物理的および化学的性質が異なる。酸化数が異なる金属が溶存した水を浄化する場合、その酸化状態に応じた処理工程の設計および管理が必要である。
こうした処理工程においては、これらイオン濃度の変動を連続的または断続的にモニタリングすることが管理運用上有効である。これらイオンを酸化数別に分離して測定する手法としては、例えばイオンクロマトグラフ法やジフェニルカルバジド比色法等が広く用いられている。しかし、こうした手法は測定ごとに薬剤の補充やカラムの再生作業を必要するため、連続的または断続的なイオン濃度のモニタリングには適していない場合がある。
こうした酸化数別に金属イオンの測定を行う手法として、ICP発光分析法とその前処理法としてイオン別に測定対象の元素を抽出液で抽出する方法とを組み合わせる分析方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この分析方法の前処理方法では、透析膜を挟んで、試料水溶液、抽出液としての純水をそれぞれ供給する流路が設けられており、それらに電界を印加することで試料水溶液から抽出液に測定対象となる溶存金属イオンが抽出される。試料水溶液から抽出液側に向けて電界が印加される場合は陽イオンが抽出液に抽出され、抽出液側から試料水溶液側に向けて電界が印加される場合は陰イオンが抽出液に抽出されるため、イオン符号(極性)別に測定対象のイオンを分離することが可能である。Crイオン、Mnイオンなどは酸化数に応じて水中でのイオン符号が異なる。例えば、毒性の高い6価のCrイオン(Cr(VI))は水中では、CrO4 2-あるいはCr27 2-のような陰イオンとなる。一方、毒性の低い3価のCrイオン(Cr(III))はアクア錯体をはじめとした陽イオンとなる。このため、符号別にイオンを分離する前処理は、酸化数によって対象となる溶存元素を分離することとほぼ同義といえる。
しかし特許文献1をはじめとする抽出液にイオンを分離する手法によれば、抽出液に純水などの高抵抗な液体を用いる必要がある。このため、抽出液に電流が流れにくい、つまり、イオンが移動しにくく、試料水溶液から抽出液へ測定すべきイオンを抽出するのに時間を要するという課題がある。また、測定ごとに新たな抽出液を供給する必要があるため、連続または断続的な溶存金属のモニタリングには適していない場合がある。
国際公開WO2012/073566号
従来に比べ短時間で溶存金属イオン分析に適した試料溶液を調製することが可能な溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法を提供する。
本開示の一実施形態にかかる溶存金属イオン分析用前処理デバイスは、金属イオンを含有する溶液から、前記金属イオン濃度を測定するための改質された溶液を製造する溶存金属イオン分析用前処理デバイスであって、前記金属イオンを含有する溶液を保持する空間を有する電解槽と、前記電解槽の前記空間を、第1、第2、第3、第4および第5室に仕切る第1、第2陽イオン交換膜および第1、第2陰イオン交換膜と、陽極および陰極とを備え、前記第1室は、前記第1陽イオン交換膜によって仕切られており、前記第2室は、前記第1および前記第2陽イオン交換膜によって仕切られており、前記第3室は、前記第2陽イオン交換膜および前記第1陰イオン交換膜によって仕切られており、前記第4室は、前記第1および第2陰イオン交換膜によって仕切られており、前記第5室は、前記第2陰イオン交換膜によって仕切られており、前記陽極は前記第1室内に配置され、前記陰極は第5室内に配置されている。
本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法によれば、従来に比べ短時間で酸化数の異なる金属イオンの分離および除去を行うことが可能となる。
図1は溶存金属イオン分析用前処理デバイスの第1の実施形態の構成を示す模式図である。 図2は溶存金属イオン分析用前処理デバイスの第2の実施形態の構成を示す模式図である。 図3は溶存金属イオン分析デバイスの実施形態の構成を示す模式図である。
本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法の概要は以下の通りである。
[項目1]
金属イオンを含有する溶液から、前記金属イオン濃度を測定するための改質された溶液を製造する溶存金属イオン分析用前処理デバイスであって、
前記金属イオンを含有する溶液を保持する空間を有する電解槽と、
前記電解槽の前記空間を、第1、第2、第3、第4および第5室に仕切る第1、第2陽イオン交換膜および第1、第2陰イオン交換膜と、
陽極および陰極と、
を備え、
前記第1室は、前記第1陽イオン交換膜によって仕切られており、
前記第2室は、前記第1および前記第2陽イオン交換膜によって仕切られており、
前記第3室は、前記第2陽イオン交換膜および前記第1陰イオン交換膜によって仕切られており、
前記第4室は、前記第1および第2陰イオン交換膜によって仕切られており、
前記第5室は、前記第2陰イオン交換膜によって仕切られており、
前記陽極は前記第1室内に配置され、
前記陰極は第5室内に配置されている、
溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
[項目2]
前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第2室および前記第4室からそれぞれ陰イオン分析液および陽イオン分析液を得る、
項目1に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
[項目3]
前記第1陽イオン交換膜の前記第1室側に前記第1陽イオン交換膜に隣接して配置された第3陰イオン交換膜をさらに備え、
前記第1陽イオン交換膜および前記第3陰イオン交換膜はバイポーラ膜を構成している、
項目1または2に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
[項目4]
前記第2陰イオン交換膜の前記第5室側に前記第2陰イオン交換膜に隣接して配置された第3陽イオン交換膜をさらに備え、
前記第2陰イオン交換膜および前記第3陽イオン交換膜は、バイポーラ膜を構成している、 前記第
項目1または2に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
[項目5]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、
前記第4室に保持される溶液に含まれる陽イオンの定量分析を行う分析器と
を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
[項目6]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、 前記第2室に保持される溶液に含まれる陰イオンの定量分析を行う分析器と
を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
[項目7]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、
前記第2室および前記第4室に含まれるそれぞれ含まれる陰イオンおよび陽イオンの定量分析を行う分析器と
を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
[項目8]
前記分析器は、ICP法、または、ストリッピングボルタンメトリ法で定量分析を行う、項目5から7のいずれかに記載の溶存金属イオン分析デバイス。
[項目9]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
前記第4室の前記試料溶液に含まれる陽イオンの定量分析を行う、
溶存金属イオン分析方法。
[項目10]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
前記第2室の前記試料溶液に含まれる陰イオンの定量分析を行う、
溶存金属イオン分析方法。
[項目11]
項目1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
前記第2室および第4室の前記試料溶液にそれぞれ含まれる陰イオンおよび陽イオンの定量分析を行う、
溶存金属イオン分析方法。
[項目12]
前記定量分析をICP法、または、ストリッピングボルタンメトリ法で行う、項目9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
[項目13]
前記溶存金属イオンを含む試料溶液は、Cr(III)の陽イオンおよびCr(VI)の陰イオンを含む項目9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
[項目14]
前記溶存金属イオンを含む試料溶液は、Mn(II)の陽イオンおよびMn(VI)の陰イオンを含む項目9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
(第1の実施形態)
図1は、本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの第1の実施形態を示す模式図である。溶存金属イオン分析用前処理デバイス101は、電解槽20と、第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6、第2陰イオン交換膜5、陽極2および陰極1とを備える。
電解槽20は、試料溶液21を保持する空間20sを有する。電解槽20は、試料溶液21によって腐食したり、試料溶液に溶出したり、変質したりすることのない材料によって構成されている。例えば、ガラス、樹脂等によって構成されている。
空間20sは、第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5によって5つの副空間に仕切られている。具体的には、例えば、空間20sは、直方体の形状を有し、長手方向の一端から他端に向かって、第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5が順に配列されることによって、第1室31、第2室32、第3室33、第4室34および第5室35に仕切られている。より具体的には、第1室31は、第1陽イオン交換膜8によって仕切られており、第2室32は、第1陽イオン交換膜8および第2陽イオン交換膜7によって切られている。第3室33は、第2陽イオン交換膜7および第1陰イオン交換膜6によって仕切られている。第4室34は、第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5によって仕切られている。第5室35は、第2陰イオン交換膜5によって仕切られている。
第1陽イオン交換膜8および第2陽イオン交換膜7は、陽イオンを選択に透過させ、陰イオンを透過させない。また、中性の液体も透過させない。第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5は、陰イオンを選択に透過させ、陽イオンを透過させない。また、中性の液体も透過させない。
第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5には、市販された公知のイオン交換膜を用いることができる。
陽極2および陰極1はそれぞれ第1室および第5室内に配置される。陽極2および陰極1は、陽極2および陰極1に直流電圧を印加した状態で、電解槽20内に保持された試料溶液21に溶出したり、試料溶液21によって腐食したりしない材料によって形成されていることが好ましい。例えば、白金、グラッシーカーボン等の材料によって形成することができる。
陽極2および陰極1は直流電源15に接続される、直流電源15は、陽極2に陰極1よりも高い直流電圧を印加し、試料溶液21中のイオンを移動させる。陽極2および陰極1に印加する電圧は、陽極2、第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6、第2陰イオン交換膜5、陰極1のそれぞれの間隔や、試料溶液の電気伝導度などに依存する。例えば、陽極2、第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6、第2陰イオン交換膜5、陰極1のそれぞれの間隔を3cmとした場合、伝導率200μS/cm程度の水中においては、約30分程度でほぼ完全な分離が可能である。
試料溶液21に含まれる溶存金属のうち、本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイス101によって、前処理が可能な金属の例は、CrおよびMnである。Crの主なイオン種は、Cr3+、Cr6+である。水溶液中では、Cr3+は、中性分子である水が配位したアクア錯体の陽イオンとして存在する。また、Cr6+は、CrO4 2-あるいはCr27 2-で示される陰イオンとして存在する。
Mnの主なイオン種は、Mn2+、Mn6+である。水溶液中では、Mn2+は、中性分子である水が配位したアクア錯体の陽イオンとして存在する。また、Mn6+は、MnO4 2-で示される陰イオンとして存在する。以下、Cr3+およびCr6+を含むイオンをCr(III)、Cr(VI)で示す。また、Mn2+およびMn6+を含むイオンをMn(II)、Mn(VI)で示す。
次に、溶存金属イオン分析用前処理デバイス101を用いた溶存金属イオン分析方法を説明する。以下では、試料溶液21がCr(III)陽イオンとCr(VI)陰イオンを含む場合を例に挙げる。
(1)試料溶液の導入
まず、溶存金属イオンを含む試料溶液21を、電解槽20の第1室31、第2室32、第3室33、第4室34および第5室35にそれぞれ一定量注入する。
(2)電界の印加
直流電源15を用いて陽極2および陰極1に直流電圧を印加する。これにより、試料溶液21には、直流電界が印加され、試料溶液21中の陽イオンは、陰極1側へ移動し、陰イオンは陽極2側へ移動する。陽イオンおよび陰イオンは、イオン交換膜の特性に応じて第1陽イオン交換膜8、第2陽イオン交換膜7、第1陰イオン交換膜6および第2陰イオン交換膜5を選択的に透過し、隣接する室へ移動する。
具体的には、第2室32では、Cr(VI)陰イオンは電界によって第1室31側へ引き寄せられる。しかし、第1室31との仕切りが陰イオンの透過ができない第1陽イオン交換膜8であるため、Cr(VI)陰イオンは第1室31へは移動できず、第2室32にとどまる。つまり、試料溶液21のCr(VI)陰イオンの濃度は変化しない。
一方、Cr(III)陽イオンは電界によって第3室33側へ引き寄せられる。第3室33との仕切りが陽イオンの透過が可能な第2陽イオン交換膜7であるため、Cr(III)陽イオンは、第3室33へ移動する。その結果、第2室32の試料溶液21に含まれるCr(III)陽イオンおよびCr(VI)陰イオンのうち、Cr(III)陽イオンが選択的に分離、除去されたCr(VI)陰イオンを含む試料溶液が調製される。
第4室34では、Cr(VI)陰イオンは電界によって第3室33側へ引き寄せられる。第3室33との仕切りが陰イオンの透過が可能な第1陰イオン交換膜6であるため、Cr(VI)陰イオンは、第3室33へは移動する。一方、Cr(III)陽イオンは電界によって第5室35側へ引き寄せられる。第5室35との仕切りが陽イオンの透過ができない第2陰イオン交換膜5であるため、Cr(III)陽イオンは、第5室35へ移動できず第4室34にとどまる。つまり、試料溶液21のCr(III)陽イオンの濃度は変化しない。その結果、第4室34の試料溶液21に含まれるCr(III)陽イオンおよびCr(VI)陰イオンのうち、Cr(VI)陰イオンが選択的に分離、除去されたCr(III)陽イオンを含む試料溶液が調製される。
これらのイオンの移動に伴い、第1室31および第2室32では水の電気分解が生じ、第1室31から第2室へ水素イオンが移動し、第5室35から第4室34へ、水酸化物イオンが移動する。これにより、第1室31から第5室35の試料溶液の電気的中性が保たれる。
なお、第1室31および第5室35の試料溶液中には、Cr(III)陽イオンおよびCr(VI)陰イオンが含まれるため、これらのイオンが、第1陽イオン交換膜8および第2陰イオン交換膜5を透過して、第2室32および第4室34へ移動し、定量分析に影響を与え得る。このようなイオンの移動が問題となる場合には、第1室31および第5室35の容積を、第2室32および第4室34の容積に比べてできるだけ小さくすることが好ましい。これにより、第2室32および第4室34へ移動するCr(III)陽イオンおよびCr(VI)陰イオンの影響を相対的に小さくすることが可能である。
(3)イオンの定量分析
一定時間、直流電圧を印加した後、第2室32から得られた試料溶液の陰イオンの定量分析および第4室34から得られた試料溶液の陽イオン定量分析の少なくとも一方を行う。定量分析には、ICP法、ストリッピングボルタンメトリ法等を用いることができる。第2室32の試料溶液から、試料溶液中のCr(VI)の定量を行うことができ、第4室34の試料溶液から試料溶液中のCr(III)の定量を行うことができる。
このように本実施形態の溶存金属イオン分析用前処理デバイスおよび溶存金属イオン分析方法によれば、試料溶液に直流電圧を印加し、処理された試料溶液を調製する。試料溶液は純水等に比べて十分に低抵抗であるため、実用的な時間でイオンを分離するために十分な大きさの直流電流を試料溶液に流すことができる。このため、短時間で分析のための前処理、つまり、イオンの極性による、酸化数の異なる金属イオンの分離および除去を行うことが可能となる。また、酸化数の異なる金属イオンの分離および除去に特別な薬剤等を用いないため、測定のたびに、薬剤等を調製する必要がない。よって、本実施形態の溶存金属イオン分析用前処理デバイスおよび溶存金属イオン分析方法はメンテナンス性に優れ、自動測定に好適に用いられる。
(第2の実施形態)
図2は、本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの第2の実施形態を示す模式図である。溶存金属イオン分析用前処理デバイス102は、第3陰イオン交換膜9および第3陽イオン交換膜10をさらに備える点で、第1の実施形態の溶存金属イオン分析用前処理デバイス101と異なる。
第3陰イオン交換膜9は、第1陽イオン交換膜8の第1室31側に第1陽イオン交換膜8に隣接して配置されている。第3陰イオン交換膜9および第1陽イオン交換膜8はバイポーラ膜11を構成している。
同様に、第3陽イオン交換膜10は、第2陰イオン交換膜5の第5室35側に第2陰イオン交換膜5に隣接して配置されている。第3陽イオン交換膜10および第2陰イオン交換膜5はバイポーラ膜12を構成している。
バイポーラ膜11および12は、一定以上の電界中において陽極側に陰イオン交換膜、陰極側に陽イオン交換膜がくるよう配置された場合、イオンを殆ど通過させずに陽イオン交換膜からは水素イオン、陰イオン交換膜からは水酸化物イオンを放出する。このため、第1室31および第5室35の電気的中性の条件を保ちつつ、Cr(VI)陰イオンが、第1室31から第2室32へ移動すること、および、Cr(III)イオンが第5室35から第4室34へ移動することを抑制することができる。
したがって、第1の実施形態と同様の方法に従い、第2室32において、Cr(III)陽イオンが選択的に分離、除去されたCr(VI)陰イオンを含む試料溶液が調製され、第4室34において、Cr(VI)陰イオンが選択的に分離、除去されたCr(III)陽イオンを含む試料溶液が調製される。これら調整された試料溶液において、第1室31または第5室35からのCr(III)陽イオンまたはCr(VI)陰イオンの流入が抑制される。したがって、本実施形態によれば、より精度の高い定量分析が可能となる。
(第3の実施形態)
図3は、本開示の溶存金属イオン分析デバイスの実施形態を示す模式図である。溶存金属イオン分析デバイス103は、溶存金属イオン分析用前処理デバイス111と、直流電源15と、分析器112とを備える。
溶存金属イオン分析用前処理デバイス111は、第1の実施形態の溶存金属イオン分析用前処理デバイス101または第2の実施形態の溶存金属イオン分析用前処理デバイス102である。直流電源15は、第1の実施形態で説明した通り、溶存金属イオン分析用前処理デバイス111の陽極および陰極に直流電圧を印加する。
分析器112は、第1の実施形態で説明したように、ICP法またはストリッピングボルタンメトリ法により試料中の金属元素の定量を行う。
溶存金属イオン分析用前処理デバイス111は、第1の実施形態で説明したように、電解槽20に保持された試料溶液に直流電界を印加することによって、第2室32にCr(VI)陰イオンを含む試料溶液を調製し、第4室34にCr(III)陽イオンを含む試料溶液を調製する。
分析器112は、第2室32および第4室34の少なくとも一方の試料溶液中の金属の定量を行う。
図3に示すように、溶存金属イオン分析デバイス103は、更に、金属イオン濃度をモニタすべき環境から定期的に試料溶液を分取し、溶存金属イオン分析用前処理デバイス111の電解槽20へ移送する採取部113と、溶存金属イオン分析用前処理デバイス111の第2室32および第4室34の少なくとも一方の試料溶液を分析器112へ導入する移送部114と、各構成要素を制御する制御部115を備え、定期的かつ自動的に試料溶液中の金属の定量分析を行ってもよい。
本開示の溶存金属イオン分析用前処理デバイス、溶存金属イオン分析デバイスおよび溶存金属イオン分析方法は、種々の分野における水溶液中の金属イオンの定量分析に好適に用いることができる。
1 陰極
2 陽極
5 第2陰イオン交換膜
6 第1陰イオン交換膜
7 第2陽イオン交換膜
8 第1陽イオン交換膜
9 第3陰イオン交換膜
10 第3陽イオン交換膜
11、12 バイポーラ膜
15 直流電源
20 電解槽
20s空間
21 試料溶液
31 第1室
32 第2室
33 第3室
34 第4室
35 第5室
101 溶存金属イオン分析用前処理デバイス
102 溶存金属イオン分析用前処理デバイス
103 溶存金属イオン分析デバイス
111 溶存金属イオン分析用前処理デバイス
112 分析器
113 試料溶液採取部
114 移送部
115 制御部

Claims (14)

  1. 金属イオンを含有する溶液から、前記金属イオン濃度を測定するための改質された溶液を製造する溶存金属イオン分析用前処理デバイスであって、
    前記金属イオンを含有する溶液を保持する空間を有する電解槽と、
    前記電解槽の前記空間を、第1、第2、第3、第4および第5室に仕切る第1、第2陽イオン交換膜および第1、第2陰イオン交換膜と、
    陽極および陰極と、
    を備え、
    前記第1室は、前記第1陽イオン交換膜によって仕切られており、
    前記第2室は、前記第1および前記第2陽イオン交換膜によって仕切られており、
    前記第3室は、前記第2陽イオン交換膜および前記第1陰イオン交換膜によって仕切られており、
    前記第4室は、前記第1および第2陰イオン交換膜によって仕切られており、
    前記第5室は、前記第2陰イオン交換膜によって仕切られており、
    前記陽極は前記第1室内に配置され、
    前記陰極は第5室内に配置されている、
    溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
  2. 前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第2室および前記第4室からそれぞれ陰イオン分析液および陽イオン分析液を得る、
    請求項1に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
  3. 前記第1陽イオン交換膜の前記第1室側に前記第1陽イオン交換膜に隣接して配置された第3陰イオン交換膜をさらに備え、
    前記第1陽イオン交換膜および前記第3陰イオン交換膜はバイポーラ膜を構成している、
    請求項1または2に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
  4. 前記第2陰イオン交換膜の前記第5室側に前記第2陰イオン交換膜に隣接して配置された第3陽イオン交換膜をさらに備え、
    前記第2陰イオン交換膜および前記第3陽イオン交換膜は、バイポーラ膜を構成している、請求項1または2に記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイス。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
    前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、
    前記第4室に保持される溶液に含まれる陽イオンの定量分析を行う分析器と
    を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
    前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、
    前記第2室に保持される溶液に含まれる陰イオンの定量分析を行う分析器と
    を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスと、
    前記陽極および前記陰極に接続された直流電源と、
    前記第2室および前記第4室にそれぞれ含まれる陰イオンおよび陽イオンの定量分析を行う分析器と
    を備えた溶存金属イオン分析デバイス。
  8. 前記分析器は、ICP法、または、ストリッピングボルタンメトリ法で定量分析を行う、請求項5から7のいずれかに記載の溶存金属イオン分析デバイス。
  9. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
    前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
    前記第4室の前記試料溶液に含まれる陽イオンの定量分析を行う、
    溶存金属イオン分析方法。
  10. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
    前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
    前記第2室の前記試料溶液に含まれる陰イオンの定量分析を行う、
    溶存金属イオン分析方法。
  11. 請求項1から4のいずれかに記載の溶存金属イオン分析用前処理デバイスの電解槽に溶存金属イオンを含む試料溶液を導入し、
    前記陽極に前記陰極よりも高い直流電圧を印加することにより、前記第1室から前記第5室間で前記溶存金属の陽イオンおよび陰イオンを移動させ、
    前記第2室および第4室の前記試料溶液にそれぞれ含まれる陰イオンおよび陽イオンの定量分析を行う、
    溶存金属イオン分析方法。
  12. 前記定量分析をICP法、または、ストリッピングボルタンメトリ法で行う、請求項9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
  13. 前記溶存金属イオンを含む試料溶液は、Cr(III)の陽イオンおよびCr(VI)の陰イオンを含む請求項9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
  14. 前記溶存金属イオンを含む試料溶液は、Mn(II)の陽イオンおよびMn(VI)の陰イオンを含む請求項9から11のいずれかに記載の溶存金属イオン分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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