JP2017083413A - X線トールボット干渉計 - Google Patents

X線トールボット干渉計 Download PDF

Info

Publication number
JP2017083413A
JP2017083413A JP2015215213A JP2015215213A JP2017083413A JP 2017083413 A JP2017083413 A JP 2017083413A JP 2015215213 A JP2015215213 A JP 2015215213A JP 2015215213 A JP2015215213 A JP 2015215213A JP 2017083413 A JP2017083413 A JP 2017083413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
detector
subject
information
detection
interference pattern
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015215213A
Other languages
English (en)
Inventor
長井 健太郎
Kentaro Nagai
健太郎 長井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2015215213A priority Critical patent/JP2017083413A/ja
Publication of JP2017083413A publication Critical patent/JP2017083413A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】 2次元位相シフト法より少ない検出結果からでも、2次元フーリエ変換法よりも空間分能が高い被検体情報を取得することができるトールボット干渉計を提供すること。【解決手段】 トールボット干渉計は、第1及び第2の方向に周期を有する第1の干渉パターン180を形成する回折格子130と、干渉パターンを形成するX線の一部を遮蔽して交差する2方向に周期を有する第2の干渉パターンを形成する遮蔽格子140を備える。加えて、トールボット干渉計は、遮蔽格子を透過したX線を検出する検出器150と、検出器の検出結果を用いて被検体の情報を取得する演算部160を備える。検出器150は、X線の検出を複数回行う。演算部160は、複数回の検出結果を用いて被検体の第1の方向における情報を取得し、検出結果をフーリエ変換して得られた周波数スペクトルを用いて被検体の第2の方向における情報を取得する。【選択図】 図1

Description

本発明はX線トールボット干渉計に関する。
干渉を用いた波面計測手法をX線位相イメージングに応用した例として、X線を用いたトールボット干渉法(X線トールボット干渉法と呼ぶ)がある。X線トールボット干渉計は、X線を用いた微分干渉計であり、X線源からから照射されたX線が被検体を透過し、それに伴ってX線の位相が変化する。被検体を透過したX線は、回折格子と呼ばれる周期的パターンを持った格子で回折されることによって、回折格子からトールボット距離と呼ばれる所定の距離だけ離れた位置に第1の干渉パターンを形成する。この第1の干渉パターンの被検体による変化を解析することで、前述の入射光波面の変化を測定することができる。
前述の周期的なパターンを持った回折格子のパターン周期は、装置長やX線の波長等の条件によって変化する。一般的なX線の場合、その周期は数μmのオーダーとなる。また、それによって生じる第1の干渉パターンも同様に数μmのオーダーの周期となることが知られている。一般的に用いられているX線検出器は、分解能が高いものでもその分解能は数十μm程度であるため、第1の干渉パターンを検出することは難しい。そのため、干渉パターンが形成される位置に第1の干渉パターンとほぼ同じ周期の遮蔽格子を配置し、遮蔽格子で第1の干渉パターンを形成するX線の一部を遮ることにより、周期が数百μm程度の第2の干渉パターン(所謂モアレ)を形成する。この第2の干渉パターンを検出器で検出することによって第1の干渉パターンの変化を間接的に測定することができる。
検出器で検出された第2の干渉パターンを、コンピュータなどの演算部によって位相回復処理することで、被検体の位相情報を取得することができる。X線トールボット干渉計に用いられる位相回復処理の方法として、位相シフト法(縞走査法とも呼ばれる)とフーリエ変換法が知られている。
特許文献1には、位相シフト法を用いて被検体の位相情報を取得するX線トールボット干渉計が記載されている。位相シフト法は、互いに位相がシフトした複数の周期パターンを用いて被検体を透過したX線の波面を測定し、被検体に関する情報を取得する手法であり、各画素で検出した光の強度から独立に被検体の情報が得られる。特許文献1では、2つの方向に周期を有する回折格子と遮蔽格子とを用い、第1の干渉パターンに対して遮蔽格子を2方向に走査することによって、第2の干渉パターンの位相(第2の干渉パターンの明暗の位置)を2方向のそれぞれにおいてシフトさせている。そして、それぞれの方向において互いに位相がシフトした複数の検出結果を用いて位相回復することで、被検体による入射X線の位相変化を微分した情報(以下、微分位相情報と呼ぶ)をそれぞれの方向において取得している。尚、2方向に干渉パターンの位相をシフトさせて2方向の情報を取得することを、2次元位相シフト法と呼ぶ。
特許文献2には、フーリエ変換法を用いて被検体の位相情報を取得するX線トールボット干渉計が記載されている。フーリエ変換法は、1つの検出結果からでも被検体の微分位相情報を2方向において取得することができ、第2の干渉パターンを位相シフトさせなくても被検体の微分位相情報を取得することができる。尚、2方向に周期を有する干渉パターンを用いて2方向の情報を取得することを、2次元フーリエ変換法と呼ぶ。
特開2012−005820号公報 WO2010/050483号公報
特許文献1に記載されているように、2次元位相シフト法には、5つ以上の検出結果が必要である。
一方、2次元フーリエ変換法は1つの干渉パターンからでも2方向における被検体の情報を得ることができるが、複数画素分の第2の干渉パターンの情報を用いて、1画素分の被検体の情報を取得する。よって、2次元位相シフト法と比較して取得される微分位情報の空間分解能が低い。
そこで本発明は、2次元位相シフト法より少ない検出結果からでも、2次元フーリエ変換法よりも空間分能が高い被検体情報を取得することができるトールボット干渉計を提供することを目的とする。
本発明の一側面としてのトールボット干渉計は、X線源からのX線を回折して互いに交差する第1の方向及び第2の方向に周期を有する第1の干渉パターンを形成する回折格子と、前記干渉パターンを形成するX線の一部を遮蔽して交差する2方向に周期を有する第2の干渉パターンを形成する遮蔽格子と、前記遮蔽格子を透過したX線を検出する検出器と、前記検出器の検出結果を用いて前記X線源と前記遮蔽格子との間に配置された被検体の情報を取得する演算部と、を備え、前記検出器は、前記遮蔽格子を透過したX線の検出を複数回行うことで複数の検出結果を取得し、前記演算部は、前記複数の検出結果同士での強度変化を画素毎に解析することで被検体の前記第1の方向における情報を取得し、前記複数の検出結果の少なくとも一部をフーリエ変換して得られた周波数スペクトルを用いて前記被検体の前記第2の方向における情報を取得することを特徴とする。
本発明によれば、2次元位相シフト法より少ない検出結果からでも、2次元フーリエ変換法よりも空間分能が高い被検体情報を取得することができるトールボット干渉計を提供することができる。
トールボット干渉計の原理を示す図 トールボット干渉計に用いる格子と干渉パターンを表した図 本発明の第1の実施例に関する説明の図 本発明の第1の実施例で取得される情報をプロットで表した図 本発明の第2の実施例に関する説明の図 本発明の第3の実施例で用いる格子と干渉パターンを表した図
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
〔実施形態1〕
本実施形態におけるトールボット干渉計は、互いに交差する第1の方向(y方向と呼ぶ)第2の方向(x方向と呼ぶ)とに周期を有する第1の干渉パターンを形成する2次元トールボット干渉計である。加えて、本実施形態のトールボット干渉計が備える演算部は、x方向における被検体の情報はフーリエ変換法を用いて取得し、y方向における被検体の情報は位相シフト法を用いて取得する。よって、第2の干渉パターンの位相をシフトさせる方向は1方向(y方向)で良く、1方向に位相シフト法を行うトールボット干渉計と同じ数の検出結果からでも被検体の情報を2方向において取得することができる。また、第2の干渉パターンの位相をシフトさせる方向は1方向で良いため、第1の干渉パターンと遮蔽格子との相対位置を移動させる移動手段は、1方向に第1の干渉パターン又は遮蔽格子を移動させることができれば良い。よって、2方向に相対位置を移動させる移動手段よりも簡素な移動手段を用いることができる。第2の干渉パターンの位相をシフトさせるための移動手段として、例えば、遮蔽格子をy方向に移動させる移動手段を用いることができる。また、x方向とy方向における微分位相情報をフーリエ変換法により取得する場合と比較して、y方向における微分位相情報の空間分解能を高くすることができる。尚、1次元トールボット干渉計で微分位相情報を積分して位相情報を取得する場合、積分の基準となる空白領域(被検体が配置されていない領域)が1画素列分必要であることが知られている。一方、2次元トールボット干渉計は積分の基準列が不要であるため、本実施形態のトールボット干渉計では、測定範囲全面に被検体を配置しても積分情報を取得することができる。つまり、本実施形態を用いると、1次元位相シフト法と同じ検出回数、同じ移動手段を用い、測定範囲全面に被検体を配置しながら、1次元位相シフト法と2次元フーリエ変換法以上の情報を取得することができる。尚、取得できる被検体情報を1次元シフト法と比較すると、本実施形態は、x方向における情報を取得できる点で優れている。また、取得できる被検体情報を2次元フーリエ変換法と比較すると、本実施形態は、y方向における情報の空間分解能が高い点で優れている。
図1を用いて、本実施形態のトールボット干渉計を備える撮像システムの構成について説明する。撮像システムは、トールボット干渉計、X線トールボット干渉計で取得した被検体の情報を表示する表示部170とを備える。トールボット干渉計は、X線を発生させるX線源110と、X線源からのX線を回折して第1の干渉パターン(以下、自己像と呼ぶことがある)を形成する回折格子130と、第1の干渉パターンを形成するX線の一部を遮る遮蔽格子140と、を備える。これらの構成により第2の干渉パターン(以下、モアレと呼ぶことがある)を形成する。トールボット干渉計は更に、遮蔽格子を透過したX線を検出する検出器150と、検出器による検出結果から、X線源と遮蔽格子との間に配置された被検体120の情報を取得する演算部160とを備え、第2の干渉パターンから被検体の情報を取得する。取得できる被検体の情報としては、被検体によるX線の吸収量を示す吸収情報、被検体によるX線の位相変化量を示す位相情報、被検体によるX線の散乱量を示す散乱情報が挙げられる。尚、トールボット干渉計は微分干渉計であるため、位相情報、散乱情報としては、微分位相情報及び微分散乱情報が取得され、これらを積分することで位相情報と散乱情報とが取得される。x本発明及び本明細書において、x方向における被検体の情報とは、被検体のxシアの情報であるx方向に微分された位相情報又は散乱情報であり、y方向における被検体の情報とは、被検体のyシアの情報であるy方向に微分された位相情報又は散乱情報とする。また、本発明及び本明細書においては、単に位相情報、散乱情報というときは、微分位相情報、微分散乱情報の夫々を含むものとする。以下、それぞれの構成について説明をする。
X線源110は、回折格子により回折されることで自己像180が形成される程度のコヒーレンシー(可干渉性)を有するX線を射出するものであれば用いることができる。また、X線源単独ではコヒーレンシーを有さないものであっても、線源格子と組み合わせて微小なX線源のアレイを仮想的に形成し、この仮想的に形成された微小なX線源のそれぞれがコヒーレンシーを有すればよい。線源格子を用いるトールボット干渉計は、トールボット・ロー干渉計と呼ばれるが、トールボット・ロー干渉計はトールボット干渉計の一種であり、単にトールボット干渉計というときはトールボット・ロー干渉計を含む。本発明及び本明細書では、トールボット・ロー干渉計の場合、線源格子はX線源の一部とみなすものとする。尚、本実施形態ではトールボット干渉計がX線源110を備えているが、X線源110はトールボット干渉計と別体として構成され、測定の際にトールボット干渉計と組み合わせる形態としても良い。X線源がトールボット干渉計と別体として構成されていると、X線源の交換が容易であり、測定対象によってX線源をかえることも容易にできる。尚、本発明及び本明細書において、X線とは、2keV以上100keV以下のエネルギーを有する電磁波とする。X線源110からのX線は回折格子130により回折され、トールボット距離と呼ばれる所定の距離をおいて明部204と暗部203が配列方向に並んだ自己像180を形成する。回折格子130は位相型の回折格子でも、振幅型の回折格子でも用いることができるが、X線トールボット干渉計においては、照射されたX線の減衰が少ない位相型の回折格子が用いられることが多い。尚、図1においては被検体120はX線源110と回折格子130との間に配置されているが、被検体120の配置場所は、X線源110と遮蔽格子140との間であれば良く、回折格子130と遮蔽格子140との間でも良い。
ここでは回折格子130の有する格子パターンとして図2(a)に示すようなπ型チェッカーボードパターンを有する位相型の回折格子を用いる場合を例に説明をする。チェッカーパターンにはチェッカーボード状に二種類のエリア201と202が配置されており、一方のエリア201を透過するX線は他方のエリア202を透過するX線に対して位相がπラジアンずれるような部材と厚さを用いる。例えば、実効エネルギーが17.5keVのX線に対しパターンをシリコンで形成することを仮定した場合、エリア201をエリア202に比べて21μm厚みを持たせるように形成することで、透過したX線の位相差がπラジアンになることが知られている。このような格子パターンを有する回折格子を用いて形成される自己像180の形状は、回折格子からの距離によって異なる。例えば回折格子130のパターン周期をp、X線の波長をλとした場合に回折格子130からp /(8λ)の位置に形成される自己像180は、図2(b)に示したような井桁格子状になる。この自己像180は、x方向とy方向とに周期を有する。
自己像の周期pは通常μmのオーダーになるため、拡大率(X線源と自己像との距離(L1+L2)をX線源と回折格子との距離(L1)で除した値)にもよるが、通常の検出器150では検出ができない。そこで、この自己像180が形成される位置に遮蔽格子140を設置してモアレを形成する。この遮蔽格子140は自己像180の形状と同じかわずかに周期をずらしたものを使用し、自己像の明部204を透過部、自己像の暗部203を遮蔽部としたパターンとすることが多い。つまり、図2(b)の様に明部が暗部に離散的に配列された自己像を用いる場合は、複数の透過部が遮蔽部に離散的に配列された自己像を用いる。遮蔽部は、遮蔽部に垂直に入射したX線の80%以上を遮蔽することができることが好ましく、例えば数十μm程度の厚さを持った金で形成される。自己像180と遮蔽格子140とで形成されるモアレの周期は、少なくともx方向においては検出器150で検出可能な周期とされる。モアレの周期が検出器の画素サイズの2倍以上となることが好ましく、画素サイズの3倍以上となることがより好ましい。モアレの形成には遮蔽格子140の周期が自己像とは異なることを利用する手法(拡大モアレ)と遮蔽格子140周期方向と自己像180の周期方向が交差するようにして形成する方法(回転モアレ)と、その両方を用いる場合がある。
検出器150はX線を検出することができるエリアセンサであり、図2(c)に示すようなモアレを検出することができる。検出器150は、シンチレータとシンチレータで発生した光を検出する受光素子で構成される間接変換型の検出器を用いても良いし、X線の入射により電荷が生じる検出層を利用した直接変換型の検出器を用いても良い。
尚、図2(c)に示すモアレは拡大モアレである。拡大モアレの場合、自己像の周期方向とモアレの周期方向とは一致し、xシアの情報はモアレのx方向における強度分布に重畳し、yシアの情報はモアレのy方向における強度分布に重畳することが知られている。尚、回転モアレもしくは回転モアレと拡大モアレとを組み合わせた場合、自己像の周期方向とモアレの周期方向とは一致していない場合もある。この場合モアレのy方向にxシアの情報が、モアレのx方向にyシアの情報が重畳している。
本実施形態のトールボット干渉計は、位相シフト法を行うためにモアレの位相をシフトさせて複数回の検出を行う。モアレの位相をシフトさせるために、本実施形態では遮蔽格子140が移動部190により走査される。移動部190の構成は、遮蔽格子を移動させることができれば特に問わないが、アクチュエータ、ギア等を用いることができる。
走査の方向は、自己像が有する2つの周期方向のうちの1つである、x方向とする。但し、x方向において位相がシフトすればよいため、x方向と垂直な方向以外に走査をすればよい。一般的には、効率的に走査をするために、周期方向に平行または略平行(周期方向となす角度が10度以下)であることが好ましい。尚、位相をシフトさせるためには、自己像に対して遮蔽格子を走査すれば良いため、遮蔽格子を走査する代わりに、X線源(線源格子)又は回折格子を移動させることで、自己像を走査しても良い。
尚、回転モアレを形成する場合、モアレの周期方向と自己像の周期方向とは異なることがあるが、自己像の周期方向において位相がシフトする必要があるため、一般的には自己像の周期方向と平行、もしくは略平行な方向に走査することが多い。
演算部160は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、補助記憶装置などのハードウェア資源を備えた汎用のコンピュータにより構成できる。後述する画像処理、各種演算、および制御は、補助記憶装置に格納されたプログラムをCPUが読み込み実行することで実現されるものである。なお、演算部160の機能のうちの一部又は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような回路で構成することもできる。
演算装置160は、検出器150による検出結果を用いてx方向における被検体120の情報とy方向における被検体120の情報とを取得する。上述のように、y方向における被検体120の情報は位相シフト法を用いて取得し、x方向における被検体120の情報はフーリエ変換法を用いて取得する。
まず、位相シフト法を用いてy方向における被検体の情報を取得する方法の具体例を説明する。例えば、I,I…IN−1,IのN回の検出結果を用いて、位相シフト法により被検体のy方向における微分位相情報Pとy方向における微分散乱強度情報Vとを取得する式として、下記式が挙げられる。

ここで、iは虚数単位であり、nは1以上の整数であり、(x、y)はxy座標上の位置を示す。式1、2は例であり、微分位相情報と微分散乱情報とを取得する演算方法はこれに限定されない。例えば、式1、2の右辺に位相シフト誤差を補正する項を加えても良い。また、式1、2で取得される微分位相情報と微分散乱情報との分布を積分する式を用い、これらの値を積分した(微分でない)位相情報と(微分でない)散乱情報とを取得しても良い。その場合、演算装置160が微分位相情報と微分散乱情報とを出力しない場合であっても、1次情報として微分位相情報と微分散乱情報とを取得している。本発明及び本明細書においては、位相をシフトさせた複数の検出結果を用いて、位相シフトによる強度変化を画素毎に解析することで被検体の情報を取得することを位相シフト法とみなす。尚、一般的に、位相シフト法においてNは3以上であることが好ましい。
次に、フーリエ変換法を用いてx方向における被検体の情報を取得する方法の具体例を説明する。フーリエ変換法は1つの検出結果からでも被検体の情報を取得することができる。しかしながら、本実施形態の場合、y方向の被検体情報を取得するためにN個の検出結果(I〜I)を取得するため、N個の検出結果を足し合わせた情報Iを用いて被検体の情報を取得することが好ましい。N個の検出結果を足し合わせることで、N個の検出結果のいずれかを用いるよりも信号雑音比(以下、S/N比)が大きい情報を用いて被検体の情報を取得できるため、より正確な被検体の情報を取得できると考えられる。
Iは下記式で表される。

I(x)対して一次元のフーリエ変換法による位相回復を行うことで、x方向の微分位相Pとx方向の散乱強度Vを取得する。典型的なフーリエ変換法は下記式で表される。

ここでカリグラフィーのFはフーリエ変換の演算を示し、カリグラフィーのF−1は逆フーリエ変換の演算を示す。また、ωはx方向のモアレの角周波数であり、x方向のモアレの周期をpとした際に、ω=2π/pである。尚、ωは一般的なモアレの周期と同様に、自己像と遮蔽格子の周期と、周期方向の角度とから算出することができる。G(k,k)はフーリエ空間上で実行されるスペクトルの切り取りを表した窓関数であり、フーリエ空間上で所望のスペクトルをそれ以外のスペクトルから分離するためにその範囲を制限するパスフィルター関数である。尚、G(k,k)で切り取られるスペクトルを被検体情報の取得に用い、切り取られないスペクトルはここでは被検体情報の取得に用いない。
この窓関数には様々な種類が考えられるが、例えば下記式で表されるハン窓が良く用いられる窓関数の1つである。

尚、式4〜6もフーリエ変換法を示す一例であり、例えば特開2011−163937号公報や、特開2013−002845号公報で示すような、窓フーリエ変換を用いたフーリエ変換法を用いても良い。本発明及び本明細書では、検出結果の少なくとも一部(但し、2画素分以上のデータとする)をフーリエ変換して取得した周波数スペクトルを用い、モアレの強度の空間的な変化を解析することで被検体の情報を取得することをフーリエ変換法とみなす。
最後に吸収情報AはI(x,y)に対して

となる。尚、吸収情報Aは微分された情報ではないため、方向性を有さない。
図2(c)に示したように、本実施形態のモアレはx方向とy方向とに周期が等しいが、図3(b)のモアレ301の様に、x方向とy方向とで周期が異なっていても良い。特に、x方向(フーリエ変換法により被検体情報を取得する方向)における周期よりもy方向(位相シフト法により被検体情報を取得する方向)における周期の方が大きいことが好ましい。
フーリエ変換法はモアレの周期を小さくすることが空間分解能を向上させる上で重要である。しかしながら、モアレの周期を小さくすると検出器などのボケ要因(MTFが1より小さいことなど)のためモアレの振幅も小さくなり、位相回復に用いる検出結果のS/N比が低下する。一方、位相シフト法はモアレの周期を大きくしても空間分解能が低下しないため、モアレの周期を大きくすれば、S/N比を向上することができる。よって、フーリエ変換法により被検体情報を取得する方向(x方向)よりも位相シフト法により被検体情報を取得する方向(y方向)のモアレ周期を大きくすると、x方向の空間分解能の低下を防ぎつつ、y方向の信号雑音比を高めることができる。このように、一方向だけでも縞走査法を用いることは空間分解能、信号雑音比両方の面から有利であり、かつスループットとのバランスが取れた手法であるといえる。x方向に対する周期は画素の数個分程度であることが好ましいが、y方向に対する周期は無限大であっても良い。尚、自己像と遮蔽格子との周期及び周期方向が正確に一致するとき、モアレの周期は無限大になる。
以上の位相回復法を用いることで、二次元トールボット干渉計における5種類のパラメータ、A、P、P、V、Vを取得できる。このように、本実施形態では、モアレの位相をシフトさせる移動手段である遮蔽格子移動部を用いて、自己像に対して遮蔽格子を1方向に走査して取得した検出結果I〜Iから、2方向における被検体の情報を取得することができる。
〔実施形態2〕
実施形態2について図3を用いて説明をする。本実施形態は、x方向とy方向とに異なる周期を有する2次元モアレを形成する点と、検出器150としてラインセンサを用いる点と、被検体120を搬送する搬送手段121とを備える点とが実施形態1と異なる。その他、実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
トールボット干渉計の応用の一つとして挙げられるものに検査用途が挙げられる。検査用途ではスループットを向上させるために被検体120をベルトコンベアなどの搬送手段121に設置し、検出器による各検出間に被検体を搬送する、又は、被検体を搬送しながら検出を行う。被検体は固定したままで計測範囲を走査する形態も考えられるが、本実施形態では被検体120を搬送する形態を例に説明をする。搬送手段121は一方向に被検体120を搬送させるものとする。
図3(a)は本実施形態の構成を模式的に示した鳥瞰図である。ただし、演算部160と画像表示部170と遮蔽格子移動部190との構成は実施形態1と同様であるため省略した。また、本実施形態の検出器150はライン検出器であるため、X線源110から射出されるX線は、被検体120のうち、コリメータ111によって検出器150の検出エリアに対応する領域だけに照射されるようにコリメートされている。これにより、被検体の余分な被曝を防ぐことができる。また被検体120は搬送手段121により、矢印の方向に移動する。本実施形態では、矢印の方向はy方向(位相シフト法により被検体の情報を取得する方向)と平行としたが、y方向において被検体の位置が移動する方向、つまり、y方向と垂直に交わる方向以外の方向であれば、搬送方向とすることができる。但し、y方向における搬送を効率的に行うために、y方向となす角度が45度以下であることが好ましく、10度以下であることがより好ましい。搬送手段としては、例えばベルトコンベアを用いることができる。
図3(b)はラインセンサによって取得されるデータをエリアセンサによって取得されるデータと比較した図である。コリメータ111を用いず、且つ、実施形態1の様にエリアセンサを用いると2次元のモアレ301が検出される。一方、本実施形態の様にラインセンサを用いた場合、検出される検出結果は、1次元のモアレ302である。一度の検出で得られる1次元モアレの強度とx方向における座標との関係を図3(c)に示す。図3(c)の横軸はx方向における座標、縦軸はX線の強度を示す。
本実施形態において、モアレ301のx方向に対する周期はy方向に対する周期よりも小さいがその周期の違いは実施に関しては本質的な問題ではなく様々な比率が使用可能である。
本実施形態では、被検体を搬送手段121により搬送することで、干渉計の計測範囲に対して被検体を走査し、計測範囲よりも広い領域における被検体の情報を取得する。尚、干渉計の計測範囲とは、検出器の検出範囲のうち、モアレが形成される範囲に対応する範囲である。ここで、モアレが形成される範囲に対応する範囲とは、X線が照射されたときに、モアレが形成される範囲上に投影される範囲のことを指し、X線間の様に発散するX線を用いる場合、検出器との距離に応じて大きさが異なる。本実施形態の場合、回折格子130及び遮蔽格子140はラインセンサの検出範囲と比較して十分に大きく、ラインセンサの検出範囲全面にモアレを形成できるため、計測範囲はコリメータの開口とラインセンサの検出範囲とを結んでできる四角錘台と一致する。
被検体の計測を行う際、互いに位相が異なるモアレの検出と、被検体の搬送とを、計測箇所全体の計測が終わるまで交互に繰り返すことが好ましい。つまり、計測プロセスは以下の様になる。
まず被検体の第1の領域を計測範囲に配置し、ラインセンサによる検出を行って検出結果として強度分布I(x)を取得する。次に、遮蔽格子をy方向に移動させ、自己像に対して遮蔽格子を走査することで、モアレの位相をy方向にシフトさせ、再度ラインセンサによる検出を行って強度分布I(x)を取得する。尚、一般的な位相シフト法と同様に、検出の間に生じる位相のシフト量は、検出回数Nとした際に2π/Nであることが望ましく、Nは3以上であることが望ましい。このようなモアレの位相のシフトとラインセンサによる検出とをN回繰り返し、I(x)〜I(x)を取得したのちに第1の領域の計測を終了する。そして、搬送手段121により被検体120を搬送し、被検体の第2の領域について、第1の領域と同様に計測を行う。このようにして被検体の走査とそれぞれの計測範囲におけるy方向への縞走査を繰り返し、所望の範囲全体を計測する。
次に取得されたデータから位相回復を行う手順について説明する。本実施形態も、実施形態1と同様に、y方向における被検体の情報の取得には位相シフト法を、x方向における被検体の情報の取得にはフーリエ変換法を用いる。実施形態1では2次元の強度分布を位相回復の対象としていたが、本実施形態では1次元の強度分布を位相回復の対象とし、第1の領域、第2の領域、と計測範囲毎に位相回復を行ってこの結果を足し合わせることで、計測した範囲全体の被検体の情報を取得する。
図4は第1の領域で取得された一組の検出結果I(x)〜I(x)を示している。縦軸はX線の強度、横軸はx方向における位置(座標)を示す。図4ではNとして4の場合の例を提示している。ラインセンサのため、各検出結果は一次元のプロットで示される。4回の検出で得られたそれぞれの検出結果I(x)〜I(x)に対して微分位相Pと散乱強度V

で求められる。式(8)、(9)は、用いる検出結果I(x)〜I(x)と取得する被検体情報P(x)、V(x)が1次元である(y座標がない)点以外は式(1)、(2)と同じ式である。
x方向における被検体情報は、フーリエ変換法により取得する。x方向における微分位相P(x)と散乱強度V(x)は、式(3)〜式(5)の検出結果I(x、y)〜I(x、y)と取得する被検体情報P(x、y)、V(x、y)を1次元に置き換えた下記式(10)〜(12)で取得できる。

尚、1次元のハン窓は下記式(13)で示される。

最後に吸収像Aも、式(7)を1次元に置き換えた下記式(14)を用いて取得できる。

以上の様に、本実施形態によれば、検出器としてラインセンサを用いた場合でも、自己像に対して遮蔽格子を1方向に走査して取得した検出結果I〜Iから、2方向における被検体の情報(A、P、P、V、V)を取得することができる。それぞれの領域において2方向における被検体の情報を取得し、足し合わせれば計測を行った範囲全体の2方向における被検体の情報を取得することができる。
尚、本実施形態の様に、被検体を計測範囲に対して1方向に走査し、2方向における被検体の情報を取得するトールボット干渉計として、2系統の光学系を備えるトールボット干渉計が特表2015−503988号公報に記載されている。しかしながら、このトールボット干渉計は実質的に1次元トールボット干渉計を2台備えているため、本実施形態の様なトールボット干渉計1台分よりも装置の構成が複雑になったり、装置が高価になったりすることが予想される。
〔実施形態3〕
本実施形態は、検出器として複数のラインセンサ、又は、エリアセンサを用いる点及び遮蔽格子を走査する移動部を備えない点が実施形態2と異なる。検出器として複数のラインセンサを用いる場合、異なるラインセンサの検出結果のそれぞれを、I(x)〜I(x)のそれぞれとして用いる。同様に、検出器としてエリアセンサを用いる場合、エリアセンサの異なる列の画素による検出結果のそれぞれを、I(x)〜I(x)のそれぞれとして用いる。これにより、実施形態2におけるy方向へのモアレの位相シフトがなくても、y方向における被検体の情報を位相シフト法により取得することができる。このため、移動機構としては被検体を搬送する搬送手段のみで、計測プロセスを実行することができる。その他、実施形態2と同様の構成については説明を省略する。
図5(a)および(c)は本実施形態の構成を模式的に示した鳥瞰図である。ただし、演算部160と画像表示部170の構成は実施形態1と同様であるため省略した。図5(a)は検出器150として4つのラインセンサ151a〜151dを有するトールボット干渉計であり、図5(c)は検出器150としてエリアセンサを有するトールボット干渉計である。
図5(a)、(b)を用いて、複数のラインセンサ151a〜151dを有するトールボット干渉計について説明をする。尚、ラインセンサの数は位相シフト法に用いる検出結果の数、つまり、実施形態1、2のN以上の数とする。トールボット干渉計がN個のラインセンサを有する場合、第1〜第Nのラインセンサが異なるタイミングで検出した検出結果のそれぞれを、I(x)〜I(x)のそれぞれとして用いる。図5(a)、(b)に示したように、検出器として第1〜第4のラインセンサ151a〜151dを用いるトールボット干渉計についてより詳細に説明をする。図5(b)は、本実施形態において形成されるモアレ301と、第1〜第4のラインセンサ151a〜151dの検出範囲との関係を示しており、第1のラインセンサ151aの検出範囲が302a、第2のラインセンサ151bの検出範囲が302b、第3のラインセンサ151cの検出範囲が302c、第4のラインセンサ151dの検出範囲が302dである。
複数のラインセンサは、被検体の搬送方向(図面において矢印方向)の上流側から第1、第2、第3、第4のラインセンサとする。被検体の第1の領域が第1のラインセンサ151aの計測範囲に配置されているときに第1のラインセンサ151aが検出を行うことで、検出結果I1−1(x)を取得する。被検体120を搬送手段121により矢印方向に搬送し、第1の領域が第2のラインセンサ151bの計測範囲に配置されているときに第2のラインセンサ151bが検出を行うことで、検出結果I1−2(x)を取得する。このとき、被検体の第2の領域が第1のラインセンサ151aの計測範囲に配置されており、第1のラインセンサも第2のラインセンサと同時に検出を行うことで、検出結果I2−1(x)を取得する。再度被検体を搬送手段により矢印方向に搬送し、第1の領域が第3のラインセンサ151c、第2の領域が第2のラインセンサ151b、第3の領域が第1のラインセンサ151a、の検出範囲に配置されているときに第1〜第3のラインセンサが検出を行う。これにより、検出結果I1−3(x)、I2−2(x)、I3−1(x)をそれぞれ取得する。再度被検体を搬送手段により矢印方向に搬送し、第1の領域が第4のラインセンサ151d、第2の領域が第3のラインセンサ151c、第3の領域が第2のラインセンサ151b、第4の領域が第1のラインセンサ151aの検出範囲に配置されているときに第1〜第4のラインセンサが検出を行う。これにより、検出結果I1−4(x)、I2−3(x)、I3−2(x)、I4−1(x)をそれぞれ取得する。この一連の検出結果により、第1の領域についてI1−1(x)1−2(x)1−3(x)1−4(x)の4つの検出結果が取得できた。そしてこれら4つの検出結果を用い、実施形態2の様に位相回復を行う。これにより、第1の領域について、y方向においては位相シフト法を用いて、x方向においてはフーリエ変換法を用いて、被検体の情報を取得することができる。同様に搬送とラインセンサによる検出とを繰り返すことで、第2、第3、第4の領域についても4つの検出結果が得られ、同様に被検体の情報を取得することができる。
y方向に対するモアレの周期pは、第1〜第Nのラインセンサの検出結果を用いて位相シフト法を行うことができる程度に調整する。具体的には各ラインセンサのy方向における距離(検出範囲の中心間の距離とする)をDとおいた場合モアレの周期pは、
=DN 式(15)
とすることが望ましい。一般的な位相シフト法における各検出の位相シフト量が、距離D離れたラインセンサ上に形成されるモアレ同士の位相シフト量に対応する。つまり、式(15)が満たされることは、実施形態2において検出の間に生じる位相のシフト量が2π/Nであることに等しい。
各ラインセンサで同じタイミングに検出される被検体の位置は異なるため、検出結果のデータは、記憶装置など何らかの方法で、保持しておき、あとから被検体の同じ位置を計測した検出結果を取り出して位相回復をする。
第1〜第4のラインセンサは、同じタイミングで検出を行うものとしたが、検出のタイミングをずらすことで、計測を行う領域間の距離(例えば、第1の領域と第2の領域との距離)を調整しても良い。しかしながら、ラインセンサによる検出タイミングの制御が複雑になるため、計測を行う領域間の距離の調整は、ラインセンサ間の距離の調整により行った方が容易である。尚、被検体の搬送とラインセンサによる検出とを交互に行ったが、被検体を搬送しながらラインセンサがX線の検出を行っても良い。こうすることで、計測のスループットを上げることができるだけでなく、搬送手段の制御も容易になる。
以上はラインセンサを用いた場合であるが、ラインセンサの検出範囲は被検体のうち、画素幅分の一ラインのみである。そのため、被検体の全体を計測する場合には、送り量(搬送距離)がラインセンサの幅で規定されてしまう。
図5(c)のように、検出器150としてラインセンサの代わりにエリアセンサを用いると、このような点を改善することができる。エリアセンサは複数のラインを一度に計測可能であるためスループットの大幅な向上が見込める。図5(d)に、本実施形態において形成されるモアレ301と、エリアセンサの検出範囲との関係を示している。このエリアセンサの検出範囲は、y方向には画素サイズd×m画素、x方向には画素サイズd×m画素とする。
この場合、y方向におけるモアレの周期p、エリアセンサのy方向における検出範囲の長さdmを用いて、一回の検出間における搬送距離Dは

とすることが好ましい。このとき、被検体がエリアセンサの端部からもう片方の端部まで移動するまでに、同じ領域に対してn×N回の検出が実施される。被検体上の同じ領域を検出した検出結果のデータを集めると、実施形態2と同様に、y方向における被検体情報は位相シフト法を用いて取得でき、x方向における被検体情報はフーリエ変換法を用いて取得できる。尚、nが2以上の場合、被検体の同じ領域を計測した検出結果のうち、モアレの位相も同じ検出結果同士を足し合わせると、S/N比を向上させることができるため好ましい。
以上の様に、本実施形態によれば、モアレの位相をシフトさせる移動手段(自己像に対して遮蔽格子を移動させる手段)を用いずに、2方向における被検体の情報(A、P、P、V、V)を取得することができる。本実施形態によって取得されるy方向における被検体の情報(P、V)は、x方向及びy方向における被検体の情報をフーリエ変換法により取得する2次元フーリエ変換法で取得されるy方向における被検体の情報と比較して、空間分解能が高い。
〔実施形態4〕
本実施形態では、実施形態1〜3と形成するモアレのパターンが異なるトールボット干渉計について説明をする。本実施形態は、実施形態1〜3のいずれとも組み合わせることができ、図2(c)、図3(b)、図5(b)、(d)に示したモアレの代わりに用いることができる。
実施形態1〜3においては、回折格子130としてチェッカーパターンを持ったπ型の位相格子を用いた。これらの実施形態においては図2(c)、図3(b)、図5(b)、(d)で示したようなモアレが生成される。これらのモアレは、場所(ライン)によってS/N比が異なり、S/N比が小さい所は大きい所よりもアーチファクトが発生しやすい。例えば図3(b)において、ライン311とライン312では信号強度が異なり、ライン311はS/N比が小さい。よって、ライン311に対応する測定範囲では、得られる被検体の情報にアーチファクトが生じやすい。
本実施形態では、図6(c)に示すように、S/N比のバラつきが小さく、S/N比が小さいラインであっても、実施形態1〜3のS/N比が小さいラインよりはS/N比が大きいモアレを形成する。このようなモアレを形成する構成について説明をする。
本実施形態では回折格子130として図6(a)に示すようなπ/2型チェッカーボードパターンの格子を用いる。チェッカーボードパターンにはチェッカーボード状に二種類のエリア201と202が配置されており、一方を透過するX線は他方を透過するX線に対して位相がπ/2ラジアンずれるように構成されている。
この回折格子を用い、回折格子130のパターン周期をp、入射X線の波長をλとしたときに、回折格子130からp /(2λ)の位置に形成される第1の干渉パターン180を図6(b)に示した。図6(b)の第1の干渉パターン180は、明部204と暗部203とがチェッカーボード状に配置されたパターンである。この場合、図2(b)と比べるとライン内における明部と暗部の明るさの比が低くなる。しかし、これによって形成されるラインに垂直な方向のモアレの振幅はライン内のどの位置においてほぼ均一になる。
図6(c)はπ/2型チェッカーパターンの回折格子と、図6(b)のモアレパターンの明部と暗部のそれぞれに遮蔽部と透過部とを対応させたパターンの遮蔽格子とにより形成されるモアレの模式図である。形成されるモアレも、明部と暗部がチェッカーボード状に配置されたパターンを有する。図6(d)は、このモアレのパターンを、周期がy方向に対して45度傾けてy方向における周期とx方向における周期との比を変更したものである。図6(d)においてライン411と422は平均の明るさは違うものの、ライン311と312とは異なりライン方向の振幅は同じであり、ライン毎にS/N比を算出すると、その最小値が図3(b)に示したモアレよりも大きい。そのため、位相回復時にアーチファクトが発生しにくい。但し、図6(d)に示したように、モアレが明部と暗部がチェッカーボード状に配置されたパターンを有する場合、モアレの周期方向に対して画素の配列方向が45度傾くように、回折格子、遮蔽格子、検出器を配置する必要がある。
このようなパターンを有するモアレを用いると、図3(c)のパターンの様に明部が離散的に配置されたモアレを用いたときに、ライン311に対応する領域の被検体情報を取得するのが難しいという課題を解決することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
110 X線源
120 被検体
130 回折格子
140 遮蔽格子
150 検出器
160 演算部
170 画像表示装置
180 第1の干渉パターン
190 移動部

Claims (10)

  1. X線源からのX線を回折して互いに交差する第1の方向及び第2の方向に周期を有する第1の干渉パターンを形成する回折格子と、
    前記干渉パターンを形成するX線の一部を遮蔽して交差する2方向に周期を有する第2の干渉パターンを形成する遮蔽格子と、
    前記遮蔽格子を透過したX線を検出する検出器と、
    前記検出器の検出結果を用いて前記X線源と前記遮蔽格子との間に配置された被検体の情報を取得する演算部と、を備え、
    前記検出器は、前記遮蔽格子を透過したX線の検出を複数回行うことで複数の検出結果を取得し、
    前記演算部は、
    前記複数の検出結果同士での強度変化を画素毎に解析することで被検体の前記第1の方向における情報を取得し、
    前記複数の検出結果の少なくとも一部をフーリエ変換して得られた周波数スペクトルを用いて前記被検体の前記第2の方向における情報を取得することを特徴とするトールボット干渉計。
  2. 前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子との相対位置を移動させる移動部を有し、
    前記検出器は、
    前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第1の相対位置にあるときと、前記第2の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第2の相対位置にあるときとでX線の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のトールボット干渉計。
  3. 前記被検体と計測範囲との相対位置を移動させる移動手段を有し、
    前記検出器は、
    前記被検体と前記検出器とが第1の相対位置にあるときと、前記被検体と前記検出器とが第2の相対位置にあるときとでX線の検出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のトールボット干渉計。
  4. 前記移動手段によって前記被検体と前記計測範囲との相対位置を移動させながら、
    前記検出器によるX線の検出を行うことを特徴とする請求項3に記載のトールボット干渉計。
  5. 前記検出器はライン検出器であり、
    前記被検体のうち、第1の領域が計測範囲に配置されているときと第2の領域が計測範囲に配置されているときとのそれぞれにおいて、
    前記移動部は前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子との相対位置を移動させ、且つ、前記検出器は、前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第1の相対位置にあるときと、前記第2の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第2の相対位置にあるときとでX線の検出を行い、
    前記演算部は、
    前記第1の領域が計測範囲に配置されているときに前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第1の相対位置にあるときに前記検出器により検出された検出結果と、前記第2の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第2の相対位置にあるときに前記検出器により検出された検出結果とを用いて、前記第1の領域の第1の方向における情報を取得し、
    前記第2の領域が計測範囲に配置されているときに前記第1の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第1の相対位置にあるときに前記検出器により検出された検出結果と、前記第2の干渉パターンと前記遮蔽格子とが第2の相対位置にあるときに前記検出器により検出された検出結果とを用いて、前記第2の領域の第1の方向における情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトールボット干渉計。
  6. 前記検出器は複数のライン検出器であり、
    前記被検体の画素毎の情報のそれぞれは、異なるライン検出器で取得された検出結果を用いて取得されることを特徴とする請求項3又は4に記載のトールボット干渉計。
  7. 前記検出器は第1のライン検出器と第2のライン検出器とを有し、
    前記演算部は、
    前記被検体の第1の領域が前記第1のライン検出器の検出範囲に配置されているときに前記第1のライン検出器により検出された検出結果と、
    前記被検体の第1の領域が前記第2のライン検出器の検出範囲に配置されているときに前記第2のライン検出器により検出された検出結果と、
    を用いて、前記被検体の第1の領域の情報を取得することを特徴とする請求項3又は4に記載のトールボット干渉計。
  8. 前記検出器はエリアセンサであり、
    前記被検体の画素毎の情報のそれぞれは、前記エリアセンサの異なる画素列で取得された検出結果を用いて取得されることを特徴とする請求項3又は4に記載のトールボット干渉計。
  9. 前記検出器は第1の画素列と第2の画素列とを有するエリアセンサであり、
    前記演算部は、
    前記被検体の第1の領域が前記第1の画素列の検出範囲に配置されているときに前記第1の画素列により検出された検出結果と、
    前記被検体の第1の領域が前記第2の画素列の検出範囲に配置されているときに前記第2の画素列により検出された検出結果と、
    を用いて、前記被検体の第1の領域の情報を取得することを特徴とする請求項3又は4に記載のトールボット干渉計。
  10. 前記検出器はエリアセンサであり、
    前記検出器と前記被検体との相対位置が移動する方向おける前記検出器の検出範囲の長さはdmであり、
    前記検出器はN回の検出を行い、
    前記演算部は、
    前記検出器によるN回の検出結果を用いて被検体の第1の方向における情報を取得し、
    前記移動部は、
    前記検出器による各検出の間に、前記被検体と前記計測範囲との相対位置をdm/n×Nずつ動かすことを特徴とする請求項3又は4に記載のトールボット干渉計。
    但し、nは1以上の整数、Nは2以上の整数であるとする。
JP2015215213A 2015-10-30 2015-10-30 X線トールボット干渉計 Pending JP2017083413A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015215213A JP2017083413A (ja) 2015-10-30 2015-10-30 X線トールボット干渉計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015215213A JP2017083413A (ja) 2015-10-30 2015-10-30 X線トールボット干渉計

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017083413A true JP2017083413A (ja) 2017-05-18

Family

ID=58711798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015215213A Pending JP2017083413A (ja) 2015-10-30 2015-10-30 X線トールボット干渉計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017083413A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112189134A (zh) * 2018-06-15 2021-01-05 株式会社岛津制作所 X射线成像装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112189134A (zh) * 2018-06-15 2021-01-05 株式会社岛津制作所 X射线成像装置
CN112189134B (zh) * 2018-06-15 2023-09-19 株式会社岛津制作所 X射线成像装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5777360B2 (ja) X線撮像装置
US9080858B2 (en) Wavefront measuring apparatus, wavefront measuring method, and computer-readable medium storing program
US10481110B2 (en) Radiographic image generating device
KR101258927B1 (ko) X선 촬상장치 및 x선 촬상방법
JP5796976B2 (ja) X線撮像装置
US9063055B2 (en) X-ray imaging apparatus
JP5269041B2 (ja) X線撮像装置およびx線撮像方法
JP5586986B2 (ja) X線撮像装置
JP2014171799A (ja) X線撮像装置及びx線撮像システム
WO2014104186A9 (ja) 干渉計及び被検体情報取得システム
US9060736B2 (en) X-ray imaging apparatus
US9006656B2 (en) Imaging apparatus using talbot interference and adjusting method for imaging apparatus
US9046467B2 (en) X-ray imaging apparatus and X-ray imaging method
US20150131783A1 (en) Radiation detection system and radiation imaging apparatus
US9068919B2 (en) X-ray imaging apparatus
US20130272501A1 (en) X-ray imaging apparatus
WO2015037685A1 (en) X-ray imaging system
JP2017083411A (ja) X線トールボット干渉計及びトールボット干渉計システム
JP2017090414A (ja) 二次元干渉パターン撮像装置
JP2017093496A (ja) 撮像装置
JP6604772B2 (ja) X線トールボット干渉計
JP2017083413A (ja) X線トールボット干渉計
JP2017006468A (ja) 放射線撮像装置および微分方向推定方法
JP5610885B2 (ja) X線撮像装置および撮像方法
JP6641725B2 (ja) X線撮影装置