本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、一実施形態の画像形成装置0の要部構成図である。画像形成装置0は、上位装置(例えばパソコン)から送られる画像データに基づいてインクを吐出して記録媒体Pに該画像データに応じた記録画像(インク画像)を形成する。すなわち、画像形成装置0は、インクジェット方式の画像形成装置であり、具体的には、インクジェットプリンタ、インクジェット複写機、インクジェット複合機等が該当する。
画像形成装置0は、記録媒体P(ここでは記録用紙)を搬送する搬送手段1の搬送ベルト1aと、ノズルが設けられインク室が内部に形成された吐出部3aを含み、記録媒体PにインクIを吐出するインク吐出ヘッド3とを備え、搬送ベルト1aで搬送される記録媒体Pに、インク吐出ヘッド3によって記録媒体PにインクIを吐出して記録画像を形成する。インク吐出ヘッド3としては、搬送ベルト1aの幅方向に移動するキャリッジ型でも良いし、搬送ベルト1aの幅方向を長手方向とするライン型でも良い。
上記画像形成装置0における給紙装置4は、記録媒体Pを給紙する給紙コロ4aと、記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離パッド4bを有しており、記録媒体Pは用紙積載部4cに積載保持されている。
搬送ベルト1aが記録媒体Pを搬送する際は、ベルト搬送ローラ1bとテンションローラ1cとによって張架された搬送ベルト1a上に帯電ローラ1dによって電荷が形成され、記録媒体Pが搬送ベルト1aに静電力による吸着力によって、貼りついた状態で確実に保持されて搬送が行われる。
また、画像形成装置0は、インク吐出ヘッド3の吐出部3a内において発生するミストを検出するミスト検出装置6を更に備え、ミストの有無や濃度を検出できるため、ミストの濃度に応じた各種処理を行うことができる。なお、「ミスト」とは、霧、靄(もや)、霞(かすみ)、水滴等を含み、大気中に浮遊する粒径が概100μm以下の液体の微粒子を意味する。
なお、吐出部3a内においてミストが発生すると、吐出部3aからのインクの吐出状態が悪化するおそれがあるため、該ミストの濃度に応じた各種処理を行うことが望まれる。
図2には、ミスト検出装置6の全体構成が断面図にて示されている。ミスト検出装置6は、吐出部3a内に設置されている。
ミスト検出装置6は、加熱手段100、加熱手段100周辺の雰囲気(周囲の気体)の湿度や熱伝導度を計測するセンサチップ52(熱伝導型センサ)を含むセンサ装置200、加熱手段100及びセンサ装置200を制御する制御装置150などを備えている。なお、センサチップ52としては、汎用の熱伝導型湿度センサを用いることができる。
加熱手段100は、ミストを気化させるため手段であり、例えば抵抗型ヒータ方式、高周波誘導加熱方式、マイクロ波加熱方式、赤外線加熱方式等が挙げられる。特に、抵抗型ヒータ方式は、小型化に有利であり、かつヒータの温度を制御することが可能であるため実用的である。
そこで、本実施形態では、加熱手段100として抵抗型(電熱方式)のヒータを採用している。この抵抗型のヒータは、電力を供給する配線(図示せず)が接続されているだけでなく、温度を一定に保つために温度計、具体的には熱伝対が内部に設置もしくは外壁に取り付けされている(図3参照)。ここでは、ヒータの表面形状は、ほぼ平坦である。なお、上記温度計として、熱電対に代えて例えばサーミスタを用いることもできるが、熱電対の方が、測定精度及び耐熱温度が高く、好適である。また、熱電対やサーミスタ等の接触型温度計に代えて、例えば赤外線放射温度計等の非接触型温度計を用いても良い。
加熱手段100としての抵抗型のヒータは、温度計、例えば熱伝対の温度測定結果を、制御装置150が有する閉帰還回路(図示せず)でフィードバックすることにより設定温度になるように供給電力が制御される。制御装置150は、例えばCPUやチップセットを含み、加熱手段100の制御やセンサ装置200への信号処理を行う。
また、加熱手段100としての抵抗型のヒータは、制御装置150によってON/OFF制御されるようになっている。なお、図2では、制御装置150はフレキシブル基板81から離れた位置に設けられているが、フレキシブル基板81上に実装されても良い。
さらに、制御装置150は、センサチップ52からの計測結果を受信し、該計測結果に基づいてミストの有無の判別やミストの濃度の算出を行う。
センサ装置200は、加熱手段100としての抵抗型のヒータに対向して配置され、センサチップ52に加えて、該センサチップ52が実装される無蓋の(開口を有する)センサパッケージ51と、透湿膜75と、フレキシブル基板81と、開口部を有する台85とを含む。センサ装置200と加熱手段100は、互いに一定の間隔(例えば数mm)が維持されるように吐出部3a内に設置されている。なお、センサ装置200と加熱手段100が対向する方向は、例えば上下方向、左右方向、斜め方向のいずれの方向であっても良い。また、センサ装置200と加熱手段100を上下方向に対向させる場合には、いずれが上であっても良い。
フレキシブル基板81とセンサパッケージ51とは互いに接合されている。センサパッケージ51の中は空洞であり、センサチップ52はセンサパッケージ51の底面に接合されている。台85とフレキシブル基板81とは互いに接合されている。
センサチップ52とセンサパッケージ51とは、不図示のワイヤによって電気的に接続されている。
センサパッケージ51は、フレキシブル基板81に接合された状態で台85の開口部に挿入され、上記ワイヤとフレキシブル基板81とを電気的に接続する配線を有する。センサパッケージ51は、例えば、一辺が1〜5mmの正方形状、半径が1〜5mmの円形状又は短径が1〜5mmの楕円状である。
透湿膜75は、例えば正方形状、長方形、円形状又は楕円形状であり、例えば接着剤や熱溶着法によってセンサパッケージ51の開口端に開口を覆うように取り付けられている。すなわち、透湿膜75は、センサチップ52と加熱手段100の間に位置している。さらに、透湿膜75とセンサチップ52との間及び透湿膜75と加熱手段100との間には、空間がある。なお、透湿膜75は、例えば接着剤や熱溶着法によって台85の開口端に開口を覆うように取り付けられても良い。
透湿膜75は、伸張性及び多孔性を有するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で形成される。透湿膜75は、気体としての蒸気(例えば水蒸気)を透過させる一方、液体としての水やインクを透過させない。透湿膜75の厚みは例えば0.3mmである。
センサチップ52は、センサパッケージ51内の気体(例えば空気)の絶対湿度に対応する信号レベルを有する信号を生成し、上記ワイヤ及びセンサパッケージ51内の配線を通じて、フレキシブル基板81に実装された制御装置150に出力する。センサチップ52は、例えば、特許第3460749号公報に開示された湿度センサによって実現できる。センサチップ52は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて形成される。
台85は、センサパッケージ51が挿入される開口を有し、フレキシブル基板81に接合されている。
センサパッケージ51の高さ及び台85の厚さは、透湿膜75の上面と台85の上面との間に段差がないように設定される。
以上のように構成されるミスト検出装置6を、吐出部3a内に配置することにより、吐出部3a内の気体(例えば空気)の絶対湿度を検出できる。
次に、ミスト検出装置6を用いるミスト検出処理の一例について、図4(A)、図4(B)、図5を参照して説明する。図4(A)、図4(B)のフローチャートは、制御装置150によって実行される対応するプログラムに基づいている。各プログラムは、メモリやハードディスク等の記憶媒体に格納されている。図4(A)、図4(B)において同一の処理については、同じ符号を用いて説明する(説明を共通化する)。
なお、制御装置150は、必要に応じて、図4(A)、図4(B)に対応するプログラムのいずれかを実行すれば良い。よって、上記記憶媒体には、図4(A)、図4(B)に対応するプログラムの少なくとも一方が格納されていれば良い。
図4(A)、図4(B)に対応するプログラムの双方を実行する例として、ミストの有無を検出する有無検出モードとミストの濃度を検出する濃度検出モードを操作部を介して選択可能とし、制御装置150は、有無検出モードが選択されたときに図4(A)に対応するプログラムを実行し、濃度検出モードが選択されたときに図4(B)に対応するプログラムを実行するようにしても良い。
最初のステップS1では、吐出部3a内の気体(例えば空気)の絶対湿度の測定値Aを取得する。すなわち、ヒータがOFFの状態でのセンサチップ52の計測結果を取得する。
次のステップS2では、ヒータをONにする。この際、ヒータの温度を例えば50℃(設定温度)に制御(維持)する。
次のステップS3では、吐出部3a内の気体(例えば空気)の絶対湿度の測定値Bを取得する。すなわち、ヒータがONの状態でのセンサチップ52の計測結果を取得する。
次のステップS4では、「測定値B」と「測定値A」の差分(B−A)を求める。図5には、差分(B−A)とミスト濃度との関係が示されている。図5から、ミストが存在しない場合は、ミスト(液体)を気化しようとヒータを加熱しても空気の絶対湿度は変化せず、差分(B−A)はゼロである。一方、ミストが存在する場合は、加熱されたヒータ表面にミストが付着して気化することで空気の絶対湿度が上昇し、差分(B−A)は正の値となる。
次に、図4(A)におけるステップS5Aでは、ステップS4で求めた差分からミストの有無を判別する。ミストの有無を判別する場合は、所定の閾値、例えば1.0g/m3を設定しておき、差分(B−A)が閾値を超えると「ミスト有り」、閾値以下であれば「ミスト無し」と判別し、その判別結果を出力する。ステップS5Aが実行されると、図4(A)のフローは終了する。
一方、図4(B)におけるステップS5Bでは、ステップS4で求めた差分からミストの濃度を算出する。図5から分かるように、ミスト濃度と差分(B−A)はほぼ直線で近似される関係がある。この関係(近似式)より絶対湿度の差分(B−A)をミスト濃度に変換して出力する。ステップS5Bが実行されると、図4(B)のフローは終了する。
図6には、ミストが存在するときのヒータへの入力電力、ヒータ温度、センサ出力電圧、絶対湿度の時間的な関係(タイミングチャート)が示されている。以下に、このタイミングチャートについて説明する。
はじめに、ヒータへ矩形波の電力(入力波形)を一定の周期で供給する。図6では電力のON/OFFが同じ長さとなっているが異なる長さでも良い。なお、電力のOFFとは、必ずしも電力がゼロである必要はなく、余熱程度に電力を供給する状態であっても良い。入力波形は、図6では模式図のため矩形であるが、実際には、ヒータは温度計、例えば熱伝対の温度測定結果を閉帰還回路より設定温度(目標温度)になるように入力はフィードバック制御される。つまり、入力波形は、必ずしも矩形波であるわけではない。
ヒータに電力を供給するとヒータの温度は上昇する。前述のようにヒータの温度は設定温度になるように制御される。
そして、ミストが存在する場合は、ミストはヒータ表面に付着し、ヒータがONのときは気化し易くなる。その結果、吐出部3a内の空気の絶対湿度は上昇する。
マイクロヒータ構造の熱伝導型の湿度センサは、感湿膜を有する方式のセンサに比べて格段に応答速度が速いため、絶対湿度の局所的な変化を捉えることができる。熱伝導型の湿度センサの出力の例としては、ミストが気化して絶対湿度が上昇すると空気の熱伝導率は上昇する。センサチップの中のマイクロヒータを一定温度に保つための出力電圧は、熱伝導率が上昇すると上昇する。絶対湿度はマイクロヒータの出力電圧と温度より算出され出力される。
以上説明した本実施形態のミスト検出装置6は、加熱手段100と、該加熱手段100の雰囲気の湿度を計測するセンサチップ52を含むセンサ装置200と、を備えている。
この場合、計測された気体の湿度又は熱伝導度から、ミストの有無や濃度を求めることができる。すなわち、ミストを検出できる。
要するに、本実施形態では、センサ装置の外部にミストを気化させる手段があり、雰囲気の湿度や熱伝導率を測定することでミストの濃度がわかる。具体的には、ミストが存在する場合はミストが気化することで空気の熱伝導率が変化する。逆にミストが存在しない場合は、空気の湿度や熱伝導率が変化しない。このようにミストを気化させる手段と、空気の湿度や熱伝導率を測定するセンサ装置を配備することで、ミストの有無や濃度がわかる。
なお、加熱手段100が稼働(ON)されたときは加熱手段100周辺の雰囲気の湿度及び熱伝導度が稼働前以上となり、センサチップ52での計測値が稼働前以上となる。そこで、センサチップは、加熱手段100周辺の雰囲気の湿度に限らず、要は、加熱手段100周辺の雰囲気の状態(例えば絶対湿度、相対湿度、露点、湿球温度、熱伝導度、熱伝導率等)を計測するものであれば良い。
また、センサ装置200は、センサチップ52と加熱手段100との間に配置された透湿膜75を更に含むため、液体(例えばインク)及び蒸気(例えば水蒸気)のうち蒸気のみを選択的にセンサチップ52に導くことができ、センサチップ52における湿度や熱伝導度の計測精度を高めることができる。
また、センサ装置200は、センサチップ52が実装され、透湿膜75で開口が覆われた無蓋のセンサパッケージ51を更に含むため、センサチップ52と透湿膜75を一体化したセンサユニットを構成できる。
また、加熱手段100は、センサ装置200と対向して配置されているため、加熱手段100によって気化した気体(蒸気)をセンサチップ52に効率良く導くことができる。
また、加熱手段100が電熱方式のヒータである場合、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。
また、加熱手段100を制御する制御装置150を更に備える場合、加熱手段100を制御することにより、ミストの有無や濃度を容易に求めることができる。
また、ミスト検出装置6は、加熱手段100の温度を測定する温度計(温度測定手段)を更に備え、制御装置150は、温度計の測定結果に基づいて加熱手段100の温度を制御する場合には、ミストを気化させる速さを一定に(所望の速さに維持)することができ、検出時間(特に加熱前のセンサチップ52での計測から加熱後のセンサチップ52での計測までの時間)が長くなるのを抑制できる。
また、制御装置150がセンサチップ52の計測結果に基づいてミストの濃度を算出する場合には、ミストの濃度を随時求めることができる。
また、制御装置150は、加熱手段100をON/OFF制御可能である場合には、加熱手段100のON/OFFでの絶対湿度の変化から、ミストの有無や濃度を求めることができる。
また、センサチップ52が雰囲気の絶対湿度を計測し、制御装置150が加熱手段100をONにしたときのセンサチップ52の計測結果と加熱手段100をOFFにしたときのセンサチップ52の計測結果に基づいてミストの濃度を算出する場合には、1つのセンサチップ52を用いて雰囲気の絶対湿度とミストの濃度の双方を検出できる。
また、インクジェット方式の画像形成装置0においては、インクを吐出する吐出部3aと、該吐出部3aの内部に設けられたミスト検出装置6と、を備えるインク吐出ヘッド3によれば、ミスト検出装置6での検出結果に基づいて吐出部3aに対して処理を行うことにより、吐出部3aからのインクの吐出状態を改善できる。具体的には、例えば吐出部3aへの水滴付着を防止できるため、吐出部3aに設けられた水滴除去用の排気ファンの稼働時間を減らすことができ省エネが可能である。
すなわち、インク吐出ヘッド3では、ミストの有無や濃度を検出し、その検出結果に対応した処理を行うことが可能となる。具体的には、ミストが存在するときあるいは閾値以上のときは上記排気ファンを稼働して、ミストがなくなったときあるいは閾値未満のときは上記排気ファンを止める制御を行うことで省エネが可能となる。
さらに、本実施形態のミスト検出装置6は、吐出部3a内の気体(例えば空気)の湿度を測定できるので、該気体の湿度の推移を監視することが可能である。一般的には印刷間隔が長くなったときにインクノズルの先が乾燥することを防止するためにダミーディスペンスが行われる。吐出部3a内のミストがなくなる、あるいは所定の閾値未満になれば排気を直ちに停止することで必要以上に吐出部3a内を乾燥させないようにする。そして、湿度に応じてダミーディスペンスの間隔を制御することで印刷待機時のインク使用量を減らすことが可能となる。
一方、特許文献1(特許第5365435号公報)に開示された画像形成装置では、エンコーダスケールにミストが付着することを防止するために、エンコーダスケールの最表層に電子伝導性高分子の膜を形成している。
しかし、特許文献1では、ミストの濃度が高くなった場合にはエンコーダスケール以外の部分にミストが付着するのを防止できないので、上記排気ファンの稼働時間を減らすことができない。
また、特許文献1の画像形成装置では、ミストを検出できない。このため、ミストの有無や濃度に応じた処理(例えば上記排気ファンの制御)を行うことができず、ミストの濃度が低いときでも上記排気ファンを稼働させるので、省エネが困難である。
また、インク吐出ヘッド3を用いて画像を形成する画像形成装置0によれば、高品質の画像を安定して形成することができる。
また、本実施形態のミスト検出方法は、加熱手段100周辺の雰囲気の湿度又は熱伝導度を計測する第1の計測工程と、加熱手段100を稼働(ON)させる工程と、雰囲気の湿度又は熱伝導度を計測する第2の計測工程と、第1及び第2の計測工程での計測結果に基づいて、ミストの濃度又は有無を検出する工程と、を含む。
この場合、計測された気体の湿度又は熱伝導度から、ミストの有無や濃度を求めることができる。すなわち、ミストを検出できる。
また、本実施形態のミスト検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、加熱手段100周辺の雰囲気の湿度又は熱伝導度を計測する第1の計測手順と、加熱手段100を稼働(ON)させる手順と、雰囲気の湿度又は熱伝導度を計測する第2の計測手順と、前記第1及び第2の計測手順での計測結果に基づいて、ミストの濃度又は有無を検出する手順と、を含むプログラムによれば、本実施形態のミスト検出方法を自動的に行うことができる。
また、本実施形態のプログラムが格納された記憶媒体によれば、本実施形態のミスト検出方法を汎用のコンピュータを用いて随時実施することができる。
なお、上記実施形態では、ミスト検出装置において、加熱手段100とセンサ装置200は、互いに対向して配置されているが、これに限らず、要は、加熱手段100周辺の雰囲気の湿度又は熱伝導度をセンサ装置200で計測できるように配置されていれば良い。
具体的には、図7に示される変形例1のミスト検出装置のように、加熱手段100をセンサ装置200の側方に配置しても良い。すなわち、加熱手段100とセンサ装置200をフレキシブル基板81に平行な方向に並列に配置しても良い。例えば、ミスト検出装置6において台85の代わりに該台85と略同一形状の加熱手段を配置しても良い。この場合、加熱手段とセンサ装置を一体化させたセンサモジュールとして製造し易いという利点がある。なお、加熱手段は、センサ装置を取り囲むように配置される構成に限らず、センサ装置の片側だけに配置される構成であっても良い。また、加熱手段100をセンサ装置の側方に配置する場合に、加熱手段100とセンサ装置との間に透湿膜が配置されるようにしても良い。具体的には、無蓋又は有蓋のセンサパッケージの側壁に開口を形成し、該側壁に該開口を覆うように透湿膜を取り付けても良い。この際、センサパッケージと加熱手段100との間の空間をある程度確保することが好ましい。なお、無蓋のセンサパッケージの側壁の開口を覆うように透湿膜を取り付ける場合には、センサチップ52に対向する開口とセンサチップ52の側方の開口を一緒に覆うように透湿膜を取り付けても良い。
ところで、ミストを感度良く検出するためには、ミストを効率良くヒータ表面に付着させて気化させる必要があり、そのためにヒータの表面積を極力大きくすることが望まれる。
そこで、以下に、ヒータの表面積をより大きくするためのヒータの表面形状の具体例について説明する。
先ず、図8(A)に示される変形例2では、ヒータの形状を矩形波状の波板形状としている。なお、ここでは、ミストが付着しやすいようにヒートシンクのような深い溝にはしていない。
また、図8(B)に示される変形例3では、ヒータの形状を三角波状の波板形状としている。
また、図8(C)に示される変形例4では、ヒータの表面に穴を開けることにより表面積を大きくしている。
また、図8(D)に示される変形例5では、ヒータの表面に円柱や角柱の突起を形成することにより表面積を大きくしている。
また、図8(E)に示される変形例6では、ヒータの表面に円錐や角錐の突起を形成することにより表面積を大きくしている。
以上説明した変形例2〜6のヒータは、設置面積が同一の条件では表面積が平面よりも大きくなる表面形状を有するため、ミストを気化させる効率が良く、ミスト濃度の検出感度が高くなる。
ところで、ミストの濃度や有無を精度良く検出するためには、ミストを効率良くヒータ(加熱手段)表面に付着させて気化させ、気化した水蒸気を効率よく検知することが必要である。
ミストが気化した水蒸気を効率よく検知するためには、例えばヒータとセンサを、保持部材を貫通する貫通孔に臨むように保持部材に保持させれば良い(図9参照)。これにより、ミストが気化した水蒸気をセンサに導くことができ、該水蒸気を湿度変化として検出することが可能となる。
ヒータの温度が周囲の温度よりも高い場合には、対流による気流が発生する。そこで、貫通孔の両端の開口に高低差をつけて該貫通孔を水平面に対して傾斜させることで、送風や吸引する装置を設けることなく、煙突効果によって貫通孔に上昇気流を発生させることができる。
この場合、ミストがヒータに確実に付着するようヒータを貫通孔の上側に配置することが好ましい。
また、ヒータに付着したミストが気化した水蒸気をセンサで効率良く検知できるように貫通孔のセンサ側の部分の断面積をヒータ側の部分の断面積よりも小さくすることが好ましい。なお、ここでは、ヒータの設置面積がセンサの設置面積よりも大きいことを前提としている。
以上のような考察を踏まえて、発明者は、変形例7〜10のミスト検出装置7〜10を開発した。以下では、Z軸方向を鉛直方向とするXYZ3次元直交座標系を適宜用いて説明する。
図9(A)には、変形例7のミスト検出装置7のYZ断面図が示されている。変形例7のミスト検出装置7では、図9(A)に示されるように、加熱手段100(例えばヒータ)とセンサ装置200が金属又は合金(例えばステンレス、アルミニウム等)からなるブロック部材300(保持部材)の内部に組み込まれている(保持されている)。
図9(B)には、ブロック部材300の斜視図が示されている。ブロック部材300は、図9(B)に示されるように、直方体形状の外形を有し、例えば+Z側の面(上面)及び−Z側の面(下面)が水平面(XY平面)に略平行になるように設置される。
ブロック部材300には、水平面に対して傾斜する貫通孔310が形成されている。貫通孔310は、ブロック部材300の互いに対向する−Y側及び+Y側の面に開口している。すなわち、ブロック部材300において、−Y側の面の開口(以下では「−Y側の開口」とも呼ぶ)と+Y側の面の開口(以下では「+Y側の開口」とも呼ぶ)は、連通路を介して連通している。−Y側の開口は、+Y側の開口よりも低い位置にある。
ブロック部材300の+Z側の面、−Z側の面、+X側の面、−X側の面には、断熱材が設けられており、加熱手段100の稼働により発生した熱は、略全部が+Y側及び−Y側の面を介して放出される。
加熱手段100とセンサ装置200は、貫通孔310に臨むように互いに対向して配置されている。加熱手段100は貫通孔310の上側に位置し、センサ装置200は貫通孔310の下側に位置している。ここでは、加熱手段100の設置面積は、センサ装置200の設置面積よりも大きい。
そこで、加熱手段100を稼働させると、ブロック部材300の+Y側及び−Y側の空気が熱せられて対流し、煙突効果によって−Y側の開口から+Y側の開口へ向かう気流が発生する。すなわち、貫通孔310に上昇気流が発生する。
この上昇気流が貫通孔310の加熱手段100に臨む部分を通過するときに、加熱手段100によりミストが熱せられて気化し、少なくとも貫通孔310のセンサ装置200に臨む部分に水蒸気が到達する。これにより、該水蒸気をセンサ装置200のセンサチップ52に効率良く導くことができる。そこで、前述したミスト検出処理(その1やその2)によりミストの濃度や有無を検出することができる。
なお、変形例7において、加熱手段100とセンサ装置200の位置関係を逆にしても良い。
図10(A)には、変形例7の改良例である変形例8のミスト検出装置8のYZ断面図が示されている。図10(B)には、変形例8のミスト検出装置8の平面図が示されている。
変形例8のミスト検出装置8では、図10(A)に示されるように、加熱手段100とセンサ装置200をブロック部材400の貫通孔410に沿って加熱手段100がセンサ装置200の上昇気流の上流側に位置するように離間して配置されている。ここでも、加熱手段100の設置面積は、センサ装置200の設置面積よりも大きい。
ミスト検出装置8では、図10(B)に示されるように、貫通孔410の加熱手段100に臨む第1の部分のX軸方向の幅が加熱手段100と同等であり、貫通孔410のセンサ装置200に臨む第2の部分のX軸方向の幅がセンサ装置200と同等である。上記第1及び第2の部分の貫通孔410の貫通方向及びX軸方向のいずれにも直交する方向の幅は同じである。すなわち、貫通孔410は、上記第1の部分の断面積が上記第2の部分の断面積よりも大きい。
この場合には、加熱手段100によって上昇気流を効率良く熱して水蒸気を発生させ、該水蒸気を効率良くセンサ装置200に導くことができる。
なお、変形例8において、加熱手段100とセンサ装置200の位置関係を逆にしても良い。
図11(A)には、変形例9のミスト検出装置9のYZ断面図が示されている。変形例9のミスト検出装置9では、図11(A)に示されるように、ブロック部材500の−Y側の面及び+Z側の面にそれぞれ開口が形成され、これら2つの開口(−Y側の開口及び+Z側の開口)が連通路510を介して連通している。そして、加熱手段100とセンサ装置200が連通路510に臨むように互い対向して配置されている。ここでは、加熱手段100は、YZ断面が略L字状である。
変形例9では、連通路510は、YZ断面が略L字状もしくは略V字状となっている。そして、連通路510の縦辺部の−Y側に加熱手段100が配置され、+Y側にセンサ装置200が配置されている。また、ブロック部材500の+Y側の面、+X側の面、−X側の面、+Z側の面の+Y側の部分(センサ装置200側の部分)、−Z側の面に断熱材が設けられている。また、変形例9では、ブロック部材500の斜視図である図11(B)に示されるように、+Z側の開口が−Y側の開口に比べて小さくなっている。すなわち、連通路510は、−Y側の開口から+Z側の開口にかけて断面が徐々に又は段階的に小さくなっている。
変形例9でも、加熱手段100を稼働させることにより、連通路510に上昇気流を効率良く発生させることができ、前述したミスト検出処理(その1やその2)によりミストの濃度や有無を検出することができる。
なお、変形例9において、加熱手段100とセンサ装置200の位置関係を逆にしても良い。
図12(A)には、変形例10のミスト検出装置10のYZ断面図が示されている。変形例10のミスト検出装置10では、図12(A)に示されるように、ブロック部材600に−Y側の面の第1の位置及び−Y側の面の第1の位置の+Z側の第2の位置にそれぞれ第1及び第2の開口が形成され、第1及び第2の開口が連通路610を介して連通している。そして、加熱手段100とセンサ装置200が連通路610に臨むように互い対向して配置されている。
変形例10では、連通路610は、YZ断面が略U字状(略上下対称)となっている。そして、連通路610の縦辺部の+Y側に加熱手段100が配置され、−Y側にセンサ装置200が配置されている。また、ブロック部材600の+Y側の面、+X側の面、−X側の面、+Z側の面、−Z側の面に断熱材が設けられている。また、変形例10では、ブロック部材600の斜視図である図12(B)に示されるように、第2の開口が第1の開口に比べて小さくなっている。すなわち、連通路610は、第1の開口から第2の開口にかけて断面が徐々に又は段階的に小さくなっている。
変形例10でも、加熱手段100を稼働させることにより、連通路610に上昇気流を効率良く発生させることができ、前述したミスト検出処理(その1及びその2)によりミストの濃度や有無を検出することができる。
なお、変形例10において、加熱手段100とセンサ装置200の位置関係を逆にしても良い。
また、変形例10において、気体流路のYZ断面は、略V字状であっても良い。
以上説明したように変形例7〜10では、加熱手段100とセンサ装置200が臨む連通路に確実に上昇気流を発生させることができるので安定してミストの濃度や有無を検出できる。
以上説明した変形例7〜10のミスト検出装置7〜10は、加熱手段100及びセンサ装置200を保持するブロック部材(保持部材)を更に備え、ブロック部材は、第1及び第2の開口と、第1及び第2の開口を連通させる連通路を有し、加熱手段100及びセンサ装置200は、連通路に臨むように配置されている。
この場合、連通路に気流を発生させ、その気流に含まれるミストを加熱手段100で熱して気化させ、その気化した水蒸気をセンサ装置200に導くことができる。
すなわち、ミストを気化させた水蒸気をセンサ装置200に安定して導くことができ、ミストの濃度や有無を精度良く検出することができる。
変形例7〜10において、連通路は、金属を含む材料からなるブロック部材内に形成されているが、例えばダクトや配管等で構成しても良い。この場合、加熱手段100及びセンサ装置200を保持する保持部材として、ブロック部材に代えて筐体を用いても良い。
また、変形例7〜10では、第1及び第2の開口は、高さが互いに異なる。この場合、ファン等の気流発生部材を別途設けることなく、連通路に気流(上昇気流)を発生させることができる。
なお、変形例7〜10において、第1及び第2の開口の高さは、同じであっても良い。この場合、連通路に効率良く気流を発生させるためにファン等の気流発生部材を設けても良い。
また、変形例7〜10において、加熱手段100及びセンサ装置200は、連通路を挟む両側にそれぞれ配置されている。
例えば、変形例7、8のように、加熱手段100は連通路の上側に配置され、センサ装置200は連通路の下側に配置されても良い。
この場合、加熱手段100にミストを安定して付着させ、該ミストを気化させた水蒸気をセンサ装置200に安定して導くことができる。
なお、加熱手段100及びセンサ装置200は、連通路の同じ側に配置されても良い。
また、変形例7、8のように、第1及び第2の開口は、ブロック部材の対向する2つの側面部にそれぞれ設けられても良い。
この場合、連通路に発生する気流の流れを極めてスムーズにすることができる。
また、変形例7、8のように、連通路は、水平面に対して傾斜していても良い。この場合、連通路に流れの極めてスムーズな上昇気流を発生させることができる。
また、変形例9のように、第1の開口は、ブロック部材の側面部に設けられ、第2の開口は、ブロック部材の上面部に設けられても良い。
この場合、上昇気流を発生させることができる。
また、変形例9において、連通路の縦断面は、略L字状又は略V字状であることが好ましい。
この場合、上昇気流の流れをスムーズにすることができる。
また、変形例10のように、第1の開口はブロック部材の側面部の第1の位置に設けられ、第2の開口は、該側面部の第1の位置よりも高い第2の位置に設けられても良い。
さらに、変形例10のように、連通路の縦断面は、略上下対称であることが好ましい。この場合、ミスト検出装置を設置するときに上下の向きを考慮する必要がなく、使い勝手が良い。
さらに、変形例10のように、連通路の縦断面は、略U字状又は略V字状であることが好ましい。
この場合、上昇気流の流れをスムーズにすることができる。
また、変形例8のように、加熱手段100及びセンサ装置200は連通路に沿って離間して配置され、加熱手段100の設置面積はセンサ装置200の設置面積よりも大きく、連通路の加熱手段100に臨む部分の断面積は、連通路のセンサ装置200に臨む部分の断面積よりも大きくても良い。
この場合、加熱手段100による加熱効率及びセンサ装置200による検出効率を向上させることができる。
また、変形例7〜10のように、ブロック部材は、金属製又は合金製であり、ブロック部材300の第1及び第2の開口の少なくとも一方が設けられた面部以外の面部に断熱材が設けられている。
この場合、第1及び第2の開口の少なくとも一方が設けられた面部側の空気を効率良く熱して、高効率で上昇気流を発生させることができる。
また、本発明のミスト検出装置は、インク吐出ヘッドに限らず、インク以外の液体(例えばDNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂等)を吐出する液体吐出装置内に設けられることが好ましい。
また、ミスト検出装置では、透湿膜75は、必須ではない。例えば、センサチップ52を加熱手段100の上方に配置する場合には、蒸気のみをセンサチップ52に導くことができる。但し、センサチップ52で湿度を風などの外乱の影響を受けずに測定するためには、透湿膜75を設けることが好ましい。
また、ミスト検出装置では、センサパッケージは、必須ではない。例えば、センサチップをフレキシブル基板81に直接実装することもできる。
また、上記実施形態及び各変形例では、パソコン等からの画像データに基づいてインク画像を形成しているが、これに加えて、原稿画像を読み取るスキャナを備え、該スキャナで読み取られた画像データに基づいてインク画像を形成しても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、インクが吐出される記録媒体Pとして、記録用紙が用いられているが、これに限らず、要は、シート状の部材であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例におけるミスト検出装置のセンサ装置、加熱手段、制御装置の構成、レイアウトは、適宜変更可能である。例えば、センサ装置を複数並置し、複数のセンサ装置の計測結果の平均をとっても良い。この場合、湿度や熱伝導度の計測精度を高めることができ、ひいてはミスト濃度の検出精度を向上することができる。また、この場合に、複数のセンサ装置に対応して複数の加熱手段を設けても良い。
また、例えば、ミスト検出装置は、制御装置150を有していなくても良い。この場合、制御装置150に代えて、汎用のコンピュータを用いることができる。具体的には、上述したミスト検出処理のプログラムを該コンピュータに実行させれば良い。
また、図4(A)、図4(B)に示される上記ミスト検出処理では、ステップS1において、ヒータをOFFの状態でのセンサチップ52の計測結果を取得しているが、ヒータに微弱電流〜弱電流を流し、該ヒータを低温状態(例えば0〜30℃、好ましくは0〜15℃、より好ましくは0〜5℃)に維持した状態でセンサチップ52の計測結果を取得しても良い。この場合、実質的に、ヒータをOFFとした場合と概ね同様の計測結果を得ることができる。
また、図4(A)、図4(B)に示されるミスト検出処理では、ステップS2において、ヒータの温度を50℃に制御しているが、要は、気化させたいミストの組成(特性)に適した設定温度に制御することが好ましい。すなわち、ステップS2において、ヒータの温度を50℃未満の温度に制御しても良いし、50℃を超える温度に制御しても良い。
ところで、インクジェット方式の画像形成装置では、インク吐出ヘッドから液滴を吐出させた際に、主滴よりも小さい液滴(ミスト)が発生する。発生したミストは、キャリッジが走査するに伴ってキャリッジが走査する空間(すなわち、インク吐出ヘッドからインクが吐出される空間)で巻き挙げられ、吐出部3aの外部近傍においてミストが存在する。ミストは吐出面に付着するだけでなく、気流に乗って装置内を浮遊し、記録媒体とインク吐出ヘッドとを相対移動させる機構、インク吐出状態の回復処理を行う機構、記録動作を行う上で所要の検出を行うセンサその他の、記録装置を構成する各部品に付着することがある。
特に、キャリッジ型のインク吐出ヘッドを搭載する画像形成装置では、高速度化、高精度化の要求に応じてキャリッジの位置及び速度を検出するリニアエンコーダの高分解能化が進み、装置内に飛散するミストの付着による出力低下、誤信号の影響が無視できない問題となっている。例えば、長期間の使用によりミストがエンコーダスケールやエンコーダセンサに付着して読み取りエラーを生じ、キャリッジ位置ズレによる記録画像の乱れ、エラー発生によるマシン停止といった問題が生じる。
すなわち、ミストの発生による弊害は、インク吐出ヘッドのみならず、画像形成装置を構成する各部品においても生じ得る。インク溶剤の蒸発によって高粘度化が進行すれば、各部品、特に可動部品の性能を劣化させ、最終的には記録装置本体の性能を維持することができなくなるからである。従って、これら本体内部の部品についても付着したミストの高粘度化の進行度合いを把握し、記録装置本体の性能を維持することができなくなる程にまで部品性能が劣化したことが予測された場合には、その部品を交換する等の処置を行う必要がある。
以上の問題に対処するために、画像形成装置0内(画像形成装置0の筐体内)における吐出部3aの外部のミストの有無や濃度を検出し、その検出結果に応じて処理や処置(例えば特許第4890750号公報に開示された方法や、ミストが付着した部品(エンコーダスケールやエンコーダセンサを含む)の清掃や交換等)を行うことが望まれる。
さらに、ミスト検出装置6を、画像形成装置0内(画像形成装置0の筐体内)であって吐出部3aの外部に設置しても良い。この場合も、上記実施形態及び各変形例と同様な制御(図4(A)、図4(B)参照)を行うことで吐出部3aの外部のミストの有無や濃度を検出でき、その検出結果に応じて上記処理や処置を行うことができる。具体的には、吐出部3aの外部近傍(例えば吐出部3aの外壁や他の部材)に取り付けても良いし、画像形成装置0内のその他の部材に取り付けても良い。
また、上記実施形態及び各変形例の画像形成装置は、枚用紙を搬送しつつインク吐出ヘッド3によりインク画像を形成する構成を有しているが、ロール紙を送りつつインク吐出ヘッド3によりインク画像を形成する構成を採用しても良い。
また、本発明のミスト検出装置及びミスト検出方法は、インクジェット方式の画像形成装置に使用する用途に限らず、ミストの検出が必要な用途一般に広く適用できる。例えば、視程計の代用とすることもできる。この場合、特に、視程計が不得意とする狭い空間での霧の濃さ(ミストの濃度)を測定するのに効果的である。
また、上記実施形態及び各変形例で用いた数値、形状、材質は、一例であって、適宜変更可能である。
以下に、発明者らが上記実施形態及び各変形例を発案するに至った経緯を説明する。
従来、自然環境の中で発生する霧の濃さを測定する手段として、視程計が既に知られている。視程計とは、大気の消光率または光透過率を測定し、視程を測るために用いる器具を示す。測定の原理は、投光器から発射された可視光または赤外線が、大気中を通過後、散乱又は減衰して受光器に到達した可視光又は赤外線の強度を測定する。
しかし、従来の視程計は、大きな空間の霧の濃さを測定する手段であるため、狭い空間の霧の濃さを測定するのは困難であり、ミスト(霧)の濃さを視程で表現するのは適切ではないという問題があった。
また、他の方法として従来の湿度センサでミストの濃度を測定しようとしても、湿度は空気中の水蒸気の量で水分は気体であるのに対し、霧の濃さ、あるいはミスト(水滴)は空気中に浮遊する液体であるため湿度センサではミストの濃度は測定できないという問題があった。
また、特許文献1(特許第5365435号公報)には、エンコーダスケールにミストが付着しにくくする目的で、エンコーダスケールの最表層には電子伝導性高分子の膜が形成されていることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
また、特許第4890750号公報には、記録用紙の帯電を抑える目的で、温度と湿度を測定してある基準を下回る環境では除電剤を記録用紙に付着させることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
しかし、特許文献1や特許第4890750号公報では、ミストの濃度を測定することができず、該濃度に対応した処理を行うこともできなかった。
そこで、発明者は、以上の問題を解決すべく、本実施形態及び各変形例を発案するに至った。