JP2017072775A - 位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】脆性がよく、鹸化適性が良好で、湿熱変動によるリタデーション変動を抑えることができる位相差フィルムを実現する。【解決手段】位相差フィルムとしての光学フィルム13は、コア層21の両側にスキン層22・23が設けられた積層タイプの位相差フィルムである。コア層21は、アセチル基置換度が2.4以上2.6以下であるアセチルセルロース樹脂と、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物とを含む。スキン層22・23は、アセチル基置換度が2.6よりも大きく2.9以下であるアセチルセルロース樹脂を含む。上記の含窒素複素環化合物は、ピラゾール系化合物を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば垂直配向型(VA型;Virtical Alignment)の液晶表示装置に適用可能な位相差フィルムと、その位相差フィルムを用いた偏光板と、その偏光板を用いた液晶表示装置とに関するものである。
近年、液晶表示装置の搬送においては、コストダウンの観点から、包装の簡易化が進められている。このため、搬送中に結露が生じやすくなっている。搬送中に結露が生じると、液晶表示装置の偏光板に用いられる位相差フィルムが水分を吸収し、それによってリタデーション(面内方向のリタデーションRoおよび厚み方向のリタデーションRth)が変動する。リタデーションの変動は表示ムラを引き起こす要因となるため、水分によるリタデーション変動が少ない位相差フィルムが求められるようになってきている。
この点に関して、例えば特許文献1では、アセチル基置換度が2.4程度のアセチルセルロース樹脂(ジアセチルセルロース樹脂)に、ピリミジン系化合物を添加して位相差フィルム(高分子フィルム)を構成することで、湿度変動に伴うリタデーション変動を抑えるようにしている。また、特許文献1には、高分子フィルムを複数枚積層してリタデーションを調整してもよいことも開示されている。
特開2015−134938号公報(段落〔0005〕、〔0006〕、〔0216〕、〔0274〕等参照)
ジアセチルセルロース樹脂は、脆性がよく、薄膜化が可能であるが、親水性の樹脂であるため、鹸化適性が低い。ここで、脆性とは、物体が外力を受けたときに、あまり変形しないうちに破壊する性質を言い、脆性がよいほど、脆くなく、機械強度に優れていることを指す。また、鹸化適性とは、偏光板を作製する際のアルカリ鹸化処理に対する適性を指す。例えば、アルカリ鹸化処理において、位相差フィルムの一部が鹸化液に溶出し、鹸化液の汚染を引き起こす場合は、鹸化適性が低く、逆に、位相差フィルムの鹸化液への溶出を抑え、鹸化液の汚染を抑えることができる場合は、鹸化適性が高いことになる。
位相差フィルムにジアセチルセルロース樹脂を用いる場合、鹸化適性を高めるための工夫が必要となるが、特許文献1では、鹸化適性を高める検討は全くなされていない。また、特許文献1のように、ジアセチルセルロース樹脂にピリミジン系化合物を添加すると、湿度のみならず温度が変動した場合に、リタデーション変動が生じることがわかった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、脆性がよく、鹸化適性が良好で、湿熱変動によるリタデーション変動を抑えることができる位相差フィルムと、その位相差フィルムを用いた偏光板と、その偏光板を用いた液晶表示装置とを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.コア層の両側にスキン層が設けられた積層タイプの位相差フィルムであって、
前記コア層は、アセチル基置換度が2.4以上2.6以下であるアセチルセルロース樹脂と、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物とを含み、
前記スキン層は、アセチル基置換度が2.6よりも大きく2.9以下であるアセチルセルロース樹脂を含み、
前記含窒素複素環化合物は、下記一般式で表される構造を有するピラゾール系化合物を含むことを特徴とする位相差フィルム。
Figure 2017072775
(式中、Aはピラゾール環を表し、Ar及びArはそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し、qは1〜2の整数を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
2.前記ピラゾール系化合物は、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール)であることを特徴する前記1に記載の位相差フィルム。
3.総膜厚が20μm以上40μm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の位相差フィルム。
4.糖エステル化合物を含むことを特徴とする前記1から3のいずれかに記載の位相差フィルム。
5.前記1から4のいずれかに記載の位相差フィルムと、偏光子とを有していることを特徴とする偏光板。
6.前記5に記載の偏光板と、液晶セルとを有していることを特徴とする液晶表示装置。
7.前記偏光板は、前記液晶セルに対して視認側に位置しており、
前記偏光板の前記位相差フィルムは、前記偏光子に対して前記液晶セル側に位置していることを特徴とする前記6に記載の液晶表示装置。
上記の位相差フィルムの構成によれば、脆性がよく、鹸化適性が良好で、湿熱変動によるリタデーション変動を抑えることができる。
本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記液晶表示装置の偏光板に用いられる位相差フィルムとしての光学フィルムの詳細な構成を示す断面図である。 上記位相差フィルムを製造する装置の一例を模式的に示す説明図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
〔液晶表示装置〕
図1は、本実施形態に係る垂直配向型(VA型)の液晶表示装置1の概略の構成を示す断面図である。液晶表示装置1は、液晶表示パネル2およびバックライト3を備えている。バックライト3は、液晶表示パネル2を照明するための光源である。
液晶表示パネル2は、VA方式で駆動される液晶セル4の視認側に偏光板5を配置し、バックライト3側に偏光板6を配置して構成されている。液晶セル4は、液晶層を一対の透明基板(不図示)で挟持して形成される。液晶セル4としては、カラーフィルタが液晶層に対してバックライト3側の透明基板、つまり、TFT(Thin Film Transistor)形成側の基板に配置された、いわゆるカラーフィルタ・オン・アレイ(COA)構造の液晶セルを用いることができるが、カラーフィルタが液晶層に対して視認側の透明基板に配置された液晶セルを用いてもよい。
偏光板5は、偏光子11と、光学フィルム12・13とを備えている。偏光子11は、所定の直線偏光を透過する。光学フィルム12は、偏光子11の視認側に配置される保護フィルムである。光学フィルム13は、偏光子11のバックライト3側(液晶セル4側)に配置される保護フィルム兼位相差フィルムである。偏光板5は、液晶セル4の視認側に粘着層7を介して貼り付けられている。つまり、偏光板5は、液晶セル4に対して視認側に位置し、かつ、光学フィルム13が偏光子11に対して液晶セル4側に位置するように、液晶セル4に貼り合わされている。
偏光板6は、偏光子14と、光学フィルム15・16とを備えている。偏光子14は、所定の直線偏光を透過する。光学フィルム15は、偏光子14の視認側に配置される保護フィルムであり、位相差フィルムとして機能することもできる。光学フィルム16は、偏光子14のバックライト3側に配置される保護フィルムである。このような偏光板6は、液晶セル4のバックライト3側に粘着層8を介して貼り付けられている。なお、視認側の光学フィルム15を省略し、偏光子14を粘着層8に直接接触させても良い。偏光子11と偏光子14とは、クロスニコル状態となるように配置されている。
本実施形態の位相差フィルムは、例えば偏光板5の光学フィルム13や、偏光板6の光学フィルム15として用いることができる。
図2は、本実施形態の位相差フィルムとしての光学フィルム13の詳細な構成を示す断面図である。光学フィルム13は、コア層21の両側(表面側および裏面側)にスキン層22・23が設けられた、いわゆる積層タイプの位相差フィルムである。なお、スキン層22・23のいずれが、偏光子11(図1参照)と貼り合わされてもよい。
コア層21は、アセチル基置換度が2.4以上2.6以下であるアセチルセルロース樹脂(ジアセチルセルロース樹脂)と、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物とを含む。スキン層22・23は、それぞれ、アセチル基置換度が2.6よりも大きく2.9以下であるアセチルセルロース樹脂(トリアセチルセルロース樹脂)を含む。上記の含窒素複素環化合物は、下記一般式で表される構造を有するピラゾール系化合物を含む。
Figure 2017072775
(式中、Aはピラゾール環を表し、Ar及びArはそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し、qは1〜2の整数を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
スキン層22・23に含まれるトリアセチルセルロース樹脂は、ジアセチルセルロース樹脂よりもアセチル基置換度が高いため(親水性を示すOH基の数が少ないため)、ジアセチルセルロース樹脂よりも親水性が低い。このため、トリアセチルセルロース樹脂は、ジアセチルセルロースよりも鹸化適性が高い。つまり、偏光板を作製する際のアルカリ鹸化処理において、トリアセチルセルロース樹脂の一部が鹸化液に溶出しにくい。
一方、コア層21に含まれるジアセチルセルロース樹脂は、トリアセチルセルロース樹脂に比べて親水性が高いため、鹸化適性は低いが、コア層21は両側からスキン層22・23で挟まれているため、鹸化液に直接触れることがなく、ジアセチルセルロース樹脂の一部が鹸化液に溶出しにくい。
したがって、上記のように、ジアセチルセルロース樹脂を含むコア層21を、トリアセチルセルロース樹脂を含むスキン層22・23で挟む構成とすることにより、フィルム全体の鹸化適性を高めて、鹸化液の汚染を抑えることができる。
また、ジアセチルセルロース樹脂は、脆性がよく、機械強度に優れている。したがって、位相差フィルムとしての光学フィルム13がジアセチルセルロース樹脂(コア層21)を含んでいることにより、フィルム全体の脆性が良好となり、フィルム全体の薄膜化および薄膜での生産性向上を図ることができる。
また、コア層21は、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物を含んでおり、含窒素複素環化合物は、上記したピラゾール系化合物を含んでいる。ピラゾール系化合物は、リタデーション上昇剤として機能を有する化合物であるが、コア層21がピラゾール系化合物を含んでいることにより、湿熱変動によるリタデーション(面内方向のリタデーションRo、厚み方向のリタデーションRth)の変動を抑える効果があることが、後述する実施例の結果からわかった。
したがって、上記構成によれば、脆性がよく、薄膜化が可能で、鹸化適性を高めることができ、また、湿熱変動によるリタデーション変動を抑えることができる位相差フィルムを実現することができる。
また、トリアセチルセルロース樹脂は、吸湿によるリタデーション変動が大きいため、コア層21およびスキン層22・23が全てトリアセチルセルロース樹脂を含んでいると、位相差フィルム全体として、吸湿によるリタデーション変動が大きくなる。このため、位相差フィルムを液晶表示装置に適用したときに、吸湿によるリタデーション変動に起因する表示ムラ(水ムラ)が発生する。位相差フィルムの一部(コア層21)に、スキン層22・23のトリアセチルセルロース樹脂とは置換度の異なる樹脂であるジアセチルセルロース樹脂が含まれていることにより、位相差フィルム全体として、吸湿によるリタデーション変動を抑えることができる。その結果、上記の水ムラの発生を抑えることができる。
上記したピラゾール系化合物は、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール)であってもよい。上記の化合物は、ピラゾール系化合物の代表例であり、この化合物を用いた構成において、上述した効果を得ることができる。
本実施形態の位相差フィルムとしての光学フィルム13は、総膜厚が20μm以上40μm以下であることが望ましい。光学フィルム13が薄膜になると、トリアセチルセルロース樹脂を含むスキン層22・23も薄膜になる。トリアセチルセルロース樹脂は、吸湿によるリタデーション変動が大きいため、スキン層22・23が薄膜になることで、フィルム全体の吸湿によるリタデーション変動をさらに抑えることができ、そのリタデーション変動に起因する表示ムラ(水ムラ)をさらに抑えることができる。また、光学フィルム13が薄膜であるため、薄型の偏光板5を実現することができ、これによって液晶表示装置1の薄型化にも寄与することができる。
本実施形態の位相差フィルムとしての光学フィルム13は、糖エステル化合物を含んでいることが望ましい。なお、糖エステル化合物は、コア層21に含まれていてもよいし、スキン層22・23に含まれていてもよい。糖エステル化合物は、耐水系の添加剤であるため、フィルム全体の親水性が低くなり、これによって鹸化適性をさらに高めることができる。
上記した光学フィルム13の構成は、位相差フィルムとしての光学フィルム15にも勿論適用することができる。
本実施形態の偏光板(例えば偏光板5)は、上述した位相差フィルム(例えば光学フィルム13)と、偏光子(例えば偏光子11)とを有して構成される。上記位相差フィルムは、偏光子の一方の面側に位置し、例えば水糊によって偏光子と貼り合わされる。本実施形態の位相差フィルムは、脆性がよく、薄膜化が可能であるので、薄型の偏光板を容易に実現することができる。
本実施形態の液晶表示装置1は、上記の偏光板(例えば偏光板5)と、液晶セル4とを有して構成される。上記偏光板は、液晶セル4の一方の面側に位置し、粘着層を介して液晶セル4に貼り合わされる。本実施形態の位相差フィルムは、上述したように、吸湿によるリタデーション変動を抑えることができるので、液晶表示装置1において、上記リタデーション変動に起因する表示ムラを抑えることができる。
上記の偏光板は、液晶セル4に対して視認側に位置しており、上記偏光板の位相差フィルムは、偏光子11に対して液晶セル4側に位置していてもよい。偏光板を上記のように配置した液晶表示装置1において、上記リタデーション変動に起因する表示ムラを抑えることができる。
以下、本実施形態の位相差フィルムについて、より詳細に説明する。
〔セルロースエステル系樹脂〕
積層型の位相差フィルムのコア層に用いられるセルロースエステル系樹脂としては、アセチル基置換度が2.4以上2.6以下であるアセチルセルロース樹脂(ジアセチルセルロース樹脂)が挙げられる。また、位相差フィルムのスキン層に用いられるセルロースエステル系樹脂としては、アセチル基置換度が2.6よりも大きく2.9以下であるアセチルセルロース樹脂(トリアセチルセルロース樹脂)が挙げられる。なお、アセチル基の置換度は、ASTM(American Society for Testing and Materials;米国試験材料協会)が策定・発行する規格の一つであるASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、例えば綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。また、それらから得られたセルロースエステルを各々任意の割合で混合して使用することができる。
セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が75000以上であれば、セルロースエステル系樹脂を含む層自身の自己成膜性や密着の改善効果が発揮され、好ましい。
セルロースエステル系樹脂の平均分子量(Mn、Mw)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の測定条件で測定することができる。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
〔リタデーション上昇剤〕
位相差フィルムの上記コア層は、含窒素複素環化合物を含んでいる。この含窒素複素環化合物は、リタデーション上昇剤として機能する化合物である。リタデーション上昇剤とは、測定波長590nmにおけるフィルムのリタデーション(特に厚み方向のリタデーションRth)を、リタデーション上昇剤が未添加のものに比べて増大させる機能を有する化合物をいう。
位相差フィルムがリタデーション上昇剤を含むことにより、位相差フィルムの面内方向のリタデーションRoおよび厚み方向のリタデーションRthが以下の範囲となる位相差フィルムを実現することができる。
30nm<Ro<70nm
100nm<Rth<300nm
上記のRoおよびRthは、例えば、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境下、測定波長590nmにおいて、三次元屈折率測定を行って得られた屈折率n、n、nから、以下の式に基づいて算出できる。
Ro=(n−n)×d(nm)
Rth={(n+n)/2−n}×d(nm)
(式中、nはフィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nはフィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nはフィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
本実施形態では、分子量が100〜800の範囲内である含窒素複素環化合物をリタデーション上昇剤として使用することができる。中でも、含窒素複素環化合物は、下記一般式(1)で表される構造の化合物(ピラゾール系化合物)であることが好ましい。上記化合物を樹脂とともに用いることにより、RoおよびRthが上記範囲の位相差フィルムを実現できるほか、湿熱変動によるリタデーションの変動を抑えることができる。
Figure 2017072775
(式中、Aはピラゾール環を表し、Ar及びArはそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し、qは1〜2の整数を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
Ar及びArで表される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の構造に制限はないが、例えば、ベンゼン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、イソオキサジアゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イソチアジアゾール環等が挙げられる。
上記の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(2−ピロール基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、ピラゾリノン基、ピリジル基、ピリジノン基、2−ピリミジニル基、トリアジン基、ピラゾール基、1,2,3−トリアゾール基、1,2,4−トリアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、1,2,4−オキサジアゾール基、1,3,4−オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、1,2,4−チオジアゾール基、1,3,4−チアジアゾール基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)等の各基が挙げられる。
の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としてのピラゾール系化合物の具体例としては、例えば国際公開番号WO2014/109350A1の段落〔0140〕〜〔0214〕に記載された化合物の中で、ピラゾール環を有する化合物を挙げることができる。中でも、以下の構造を有する化合物、すなわち、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール)が、ピラゾール系化合物の代表例として挙げられる。以下、この化合物を例示化合物1とも称する。
Figure 2017072775
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、適宜量を調整して位相差フィルムに含有することができる。上記化合物の添加量としては、位相差フィルムを構成する樹脂に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、特に、0.5〜5質量%であることが好ましい。この範囲内であれば、位相差フィルムの機械強度を損なうことなく、湿熱変動によるリタデーションの変動を抑えることができる。
また、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の添加方法としては、位相差フィルムを形成する樹脂に粉体で添加しても良く、溶媒に溶解した後、位相差フィルムを形成する樹脂に添加しても良い。
(例示化合物1の合成)
上記した例示化合物1は以下のスキームによって合成することができる。
Figure 2017072775
脱水テトラヒドロフラン520mlに、アセトフェノン80g(0.67mol)、イソフタル酸ジメチル52g(0.27mol)を加え、窒素雰囲気下、氷水冷で撹拌しながら、ナトリウムアミド52.3g(1.34mol)を少しずつ滴下した。氷水冷下で3時間撹拌した後、水冷下で12時間撹拌した。反応液に濃硫酸を加えて中和した後、純水及び酢酸エチルを加えて分液し、有機層を純水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶にメタノールを加えて懸濁洗浄することにより、中間体Aを55.2g得た。
テトラヒドロフラン300ml、エタノール200mlに中間体A55g(0.15mol)を加え、室温で撹拌しながら、ヒドラジン1水和物18.6g(0.37mol)を少しずつ滴下した。滴下終了後、12時間加熱還流した。反応液に純水及び酢酸エチルを加えて分液し、有機層を純水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製することによって、例示化合物1を27g得た。
得られた例示化合物1のH−NMRスペクトルは以下のとおりである。なお、互変異性体の存在により、ケミカルシフトが複雑化するのを避けるために、測定溶媒にトリフルオロ酢酸を数滴加えて測定を行った。
H−NMR(400MHz、溶媒:重DMSO、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):8.34(1H、s)、7.87〜7.81(6H、m)、7.55〜7.51(1H、m)、7.48−7.44(4H、m)、7.36−7.33(2H、m)、7.29(1H、s)
〔有機エステル〕
本実施形態の位相差フィルムは、有機エステルとして、糖エステル(糖エステル化合物)、重縮合エステル、多価アルコールエステルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、上記の重縮合エステルが、構造中に窒素原子を含まないことが、製造ライン内で冷却されたときに液状化してフィルターに付着し、含窒素複素環化合物のフィルター捕集物の嵩高さを小さくできるため、好ましい。中でも、糖エステルおよび重縮合エステルは、可塑剤として機能するため、製膜時のフィルム面内での膜厚不均一性を低減し、リタデーションRthのバラツキを低減できるため、好ましい。
(糖エステル)
糖エステルとは、フラノース環又はピラノース環の少なくともいずれかを含む化合物であり、単糖であっても、糖構造が2〜12個連結した多糖であってもよい。そして、糖エステルは、糖構造が有するOH基の少なくとも一つがエステル化された化合物が好ましい。糖エステルにおける平均エステル置換度が、4.0〜8.0の範囲内であることが好ましく、5.0〜7.5の範囲内であることがより好ましい。
糖エステルとしては、特に制限はないが、下記一般式(A)で表される糖エステルを挙げることができる。
一般式(A)
(HO)−G−(O−C(=O)−R
上記一般式(A)において、Gは、単糖類又は二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基又は芳香族基を表し、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+n≦8であり、n≠0である。
一般式(A)で表される構造を有する糖エステルは、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(n)が固定された単一種の化合物として単離することは困難であり、式中のm、nの異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られている。したがって、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(n)が各々変化した混合物としての性能が重要であり、本実施形態の位相差フィルムの場合、平均エステル置換度が、5.0〜7.5の範囲内である糖エステルが好ましい。
上記一般式(A)において、Gは単糖類又は二糖類の残基を表す。単糖類の具体例としては、例えばアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースなどが挙げられる。
以下に、一般式(A)で表される糖エステルの単糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、これら例示する化合物には限定されない。
Figure 2017072775
また、二糖類残基の具体例としては、例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、イソトレハロース等が挙げられる。
以下に、一般式(A)で表される糖エステルの二糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、これら例示する化合物には限定されない。
Figure 2017072775
一般式(A)において、Rは、脂肪族基又は芳香族基を表す。ここで、脂肪族基及び芳香族基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。
また、一般式(A)において、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計である。そして、3≦m+n≦8であることが必要であり、4≦m+n≦8であることが好ましい。また、n≠0である。なお、nが2以上である場合、−(O−C(=O)−R)基は互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
の定義における脂肪族基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、1〜20のものがより好ましく、2〜15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシル等の各基が挙げられる。
また、Rの定義における芳香族基は、芳香族炭化水素基でもよいし、芳香族複素環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニル等の各環が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環が特に好ましい。芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも一つを含む環が好ましい。複素環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン等の各環が挙げられる。芳香族複素環基としては、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環が特に好ましい。
糖エステルは、一つの分子中に二つ以上の異なった置換基を含有していても良く、芳香族置換基と脂肪族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の芳香族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の脂肪族置換基を1分子内に含有することができる。
また、2種類以上の糖エステルを混合して含有することも好ましい。芳香族置換基を含有する糖エステルと、脂肪族置換基を含有する糖エステルを同時に含有することも好ましい。
以下、一般式(A)で表される糖エステルの好ましい例を下記に示すが、これらの例示する化合物には限定されない。
Figure 2017072775
Figure 2017072775
〈合成例:一般式(A)で表される糖エステルの合成例〉
以下に、糖エステルの合成例を示す。
Figure 2017072775
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖を34.2g(0.1モル)、無水安息香酸を180.8g(0.8モル)、ピリジンを379.7g(4.8モル)、それぞれ仕込み、撹拌下で窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエンを1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を300g添加し、50℃で30分間撹拌した後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水を100g添加し、常温で30分間水洗した後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%で、糖エステルの平均エステル置換度が、6.57であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
当該糖エステルの添加量は、光学フィルムを構成する樹脂(例えばセルロースアシレート)に対して0.1〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、1〜15質量%の範囲で添加することがより好ましい。
糖エステルとしては、色相が10〜300であるものが好ましく、10〜40のものが好ましい。
(重縮合エステル)
本実施形態の位相差フィルムにおいては、有機エステルとして、下記一般式(2)で表される構造を有する重縮合エステルを用いることが好ましい。当該重縮合エステルはその可塑的な効果から、位相差フィルムを構成する樹脂に対して1〜30質量%の範囲で含有することが好ましく、5〜20質量%の範囲で含有することがより好ましい。
一般式(2)
−(G−A)−G−B
上記一般式(2)において、B及びBは、それぞれ独立に脂肪族又は芳香族モノカルボン酸残基、若しくはヒドロキシ基を表す。Gは、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。
重縮合エステルは、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルであり、Aは重縮合エステル中のカルボン酸残基を表し、Gはアルコール残基を表す。
重縮合エステルを構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。特に芳香族、脂肪族を混合させることが好ましい。
重縮合エステルを構成するジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。
中でも、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜8のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜8のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。
重縮合エステルの分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよい。
一般式(2)のAを構成するアルキレンジカルボン酸の具体例としては、1,2−エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3−プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4−ブタンジカルボン酸(アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)などから誘導される2価の基が含まれる。Aを構成するアルケニレンジカルボン酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。Aを構成するアリールジカルボン酸の具体例としては、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
Aは、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸との組み合わせが好ましい。
一般式(2)中のGは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基、又は炭素原子数4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。
における炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。
における炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。
は、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基が好ましく、2〜5がさらに好ましく、2〜4が最も好ましい。
一般式(2)におけるB及びBは、各々芳香環含有モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基、若しくはヒドロキシ基である。
芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基における芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシ基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してカルボキシ基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸などから誘導される1価の基が含まれる。中でも安息香酸、パラトルイル酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などから誘導される1価の基が含まれる。中でも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される1価の基が好ましく、アセチル基(酢酸から誘導される1価の基)がより好ましい。
本実施形態において、重縮合エステルの重量平均分子量は、500〜3000の範囲であることが好ましく、600〜2000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量は前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
以下、一般式(2)で表される構造を有する重縮合エステルの具体例を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2017072775
Figure 2017072775
Figure 2017072775
〈多価アルコールエステル〉
本実施形態の位相差フィルムにおいては、多価アルコールエステルを含有することも好ましい。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる化合物であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本実施形態で好ましく用いられる多価アルコールは、次の一般式(3)で表される。
一般式(3) R11−(OH)
ただし、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアセテートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアシレートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2017072775
Figure 2017072775
Figure 2017072775
Figure 2017072775
多価アルコールエステルは、位相差フィルムに対して0.5〜5質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜3質量%の範囲で含有することがより好ましく、1〜2質量%の範囲で含有することが特に好ましい。
多価アルコールエステルは、従来公知の一般的な合成方法に従って合成することができる。
〔その他の添加剤〕
〈リン酸エステル〉
本実施形態の位相差フィルムは、リン酸エステルを含有することもできる。リン酸エステルとしては、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等が挙げられる。
具体的なリン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
〈グリコール酸のエステル類〉
また、多価アルコールエステル類の1種として、グリコール酸のエステル類(グリコレート化合物)を用いることができる。グリコレート化合物としては、特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
〈微粒子(マット剤)〉
本実施形態の位相差フィルムは、表面の滑り性を高めるため、必要に応じて微粒子(マット剤)をさらに含有してもよい。
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。中でも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)などが含まれる。中でも、アエロジルR972V、NAX50、シーホスターKE−P30などが、得られるフィルムの濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させるため特に好ましい。
微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きい方が、得られるフィルムの滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの範囲の二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は、位相差フィルムを形成する樹脂に対して0.05〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜0.8質量%の範囲であることがより好ましい。
〈位相差制御剤〉
液晶表示装置等の画像表示装置の表示品質の向上のため、位相差フィルム中に位相差制御剤を添加するか、配向膜を形成して液晶層を設け、偏光板保護フィルムと液晶層由来の位相差を複合化することにより、位相差フィルムに光学補償能を付与することができる。
位相差制御剤としては、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、2以上の芳香族環を有する芳香族化合物、特開2006−2025号公報に記載の棒状化合物等が挙げられる。また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。この芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む芳香族性ヘテロ環であることが好ましい。芳香族性ヘテロ環は、一般に不飽和ヘテロ環である。
なお、一般式(1)で表される構造を有するピラゾール系化合物は、位相差制御剤としても機能する。
位相差制御剤の添加量は、フィルム基材として使用する樹脂100質量%に対して、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
〔位相差フィルムの製造方法〕
一般的に、位相差フィルムは、例えば溶液流延製膜法や溶融流延製膜法によって製造することができる。ただし、薄膜の位相差フィルムを製造する場合は、リタデーションRthの低下を抑えるために、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物の添加量を多くする必要がある。含窒素複素環化合物の添加量が多い場合、溶融流延製膜法では、含窒素複素環化合物が溶融せず、製膜過程で焦げ付き等が発生するため、溶液流延製膜法で製膜することが望ましい。以下、溶液流延製膜法の詳細について説明する。
(溶液流延製膜法)
図3は、溶液流延製膜法によって位相差フィルムを製造する装置の一例を模式的に示している。溶液流延製膜法では、(1)少なくともセルロースエステル系樹脂、リタデーション上昇剤(例えば含窒素複素環化合物)及び有機エステル(例えば糖エステル)などの添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、(2)ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、(3)金属支持体上で流延したドープの溶媒を蒸発させてウェブを得る工程、(4)ウェブを金属支持体から剥離する工程、(5)剥離したウェブ(フィルム)を延伸し、乾燥させる工程、(6)フィルムを冷却した後に巻き取る工程、が順に行われる。
(1)ドープ調製工程
この工程では、セルロースエステル系樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜31中で当該セルロースエステル系樹脂、場合によって、含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル、多価アルコールエステル、又はその他の化合物を撹拌しながら溶解し、ドープを形成する。あるいは、当該セルロースエステル系樹脂溶液に、含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル、多価アルコールエステル、又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する。
位相差フィルムを溶液流延製膜法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル系樹脂及びその他の化合物を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができる。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ないときは非塩素系有機溶媒系でのセルロースエステル系樹脂及びその他の化合物の溶解を促進する役割もある。位相差フィルムの製膜においては、得られる位相差フィルムの平面性を高める点から、アルコール濃度が0.5〜15.0質量%の範囲内にあるドープを用いて製膜する方法を適用することができる。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、セルロースアシレート及びその他の化合物を、計15〜45質量%の範囲で溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からメタノール及びエタノールが好ましい。
セルロースエステル系樹脂、含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル、及び多価アルコールエステル、又はその他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースエステル系樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時に発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
(2)流延工程
この工程では、溶解釜31中のドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ32に送液し、無限に移送する無端の金属支持体33上の流延位置に、加圧ダイ32からドープを流延する。加圧ダイ32は、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい点で好ましい。加圧ダイ32には、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために、加圧ダイ32を金属支持体33上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
金属支持体33は、2個のローラ34・34によって張架されるステンレススティールベルトで構成されている。金属支持体33としては、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、上記のステンレススティールベルト以外に、鋳物で表面をメッキ仕上げした金属ドラム等を用いることもできる。
流延(キャスト)の幅は、1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、さらに好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程での金属支持体33の表面温度は、−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度、さらに好ましくは、−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態で支持体から剥離することも好ましい方法である。
金属支持体33の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体33の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体33の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
(3)溶媒蒸発工程
この工程では、金属支持体33上に流延されたドープによって形成された膜(ウェブ)を加熱し、溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させるには、ウェブの表面(金属支持体33とは反対側)から風を吹かせる方法、金属支持体33の裏面(ウェブとは反対側の面)から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の金属支持体33上のウェブを、40〜100℃の雰囲気下で、金属支持体33上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか、赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で当該ウェブを金属支持体33から剥離することが好ましい。
(4)剥離工程
この工程では、金属支持体33上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離ローラ35によって所定の剥離位置で剥離する。以降、剥離後のウェブを、ウェブ36とする。ウェブ36は、次工程に送られる。
金属支持体33上の剥離位置における温度は、好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは、11〜30℃の範囲である。
なお、剥離時点での金属支持体33上でのウェブの残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体33の長さ等により、50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。なお、ウェブの残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/
(ウェブの加熱処理後質量)×100
ここで、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体33からウェブを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本実施形態においては、金属支持体33上の剥離位置における温度を、−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(5)延伸、乾燥工程
この工程では、予備乾燥工程、延伸工程、本乾燥工程が順に行われる。予備乾燥は、必要に応じて行われればよい。
〈予備乾燥工程〉
金属支持体33から剥離して得られたウェブ36を乾燥させる。ウェブ36の乾燥は、ウェブ36を、上下に配置した多数のローラにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにウェブ36の両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブ36を乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラ、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブ36の乾燥工程における乾燥温度は、好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下、100℃以上で、10分以上60分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は100〜200℃の範囲内、更に好ましくは110〜160℃の範囲内であることが望ましい。
〈延伸工程〉
この工程では、金属支持体33から剥離され、必要に応じて予備乾燥されたウェブ36に対して、MD方向(Machine Direction;搬送方向)及び/又はTD方向(Transverse Direction;幅手方向)への延伸が行われる。このとき、少なくともテンター延伸装置37によって、TD方向に延伸することが好ましい。
延伸工程での延伸は、一軸延伸又は二軸延伸とすることができる。二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方の方向の張力を緩和して収縮させる態様も含まれる。
延伸工程では、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように、MD方向及び/又はTD方向に、好ましくはTD方向に、(Tg+15)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。なお、Tgは、フィルムのガラス転移温度(℃)である。上記温度範囲で延伸を行うと、リタデーションの調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れた偏光板用の位相差フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+20)〜(Tg+40)℃の範囲であることが好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度Tgは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的な位相差フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
延伸工程では、ウェブ36を少なくともTD方向に1.1倍以上延伸することが好ましい。延伸の範囲は、元幅に対して1.1〜1.5倍であることが好ましく、1.05〜1.3倍であることがより好ましい。上記範囲内であれば、フィルム中の分子の移動が大きく、所望のリタデーション値が得られるばかりではなく、フィルムの寸法変化の挙動を所望の範囲内に制御することができる。
さらに、延伸工程では、残留溶媒量が40質量%以上であるときにウェブ36に対してMD方向に延伸を開始することが好ましく、残留溶媒量が40質量%未満であるときにTD方向に延伸することが好ましい。
MD方向に延伸するために、剥離張力を130N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは150〜170N/mである。剥離後のウェブ36は高残留溶媒状態であるため、剥離張力と同様の張力を維持することで、MD方向への延伸を行うことができる。ウェブ36が乾燥し、残留溶媒量が減少するに従って、MD方向への延伸率は低下する。
なお、MD方向の延伸倍率は、ベルト支持体の回転速度とテンター運転速度から算出できる。
TD方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
延伸により、製膜された位相差フィルムは必然的にリタデーションを有するが、面内リタデーションRo、及び厚さ方向のリタデーションRtの各値は、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。
本実施形態の位相差フィルムは、下記式(i)で定義される面内方向のリタデーションRoおよび下記式(ii)で定義される厚さ方向のリタデーションRthが以下の範囲内にあることが、VA型の液晶表示装置に具備された場合に、表示画像の視認性を向上できる観点から好ましい。
30nm<Ro<70nm
100nm<Rth<300nm
式(i):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(ii):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
位相差フィルムは、少なくともTD方向に延伸倍率を調整しながら延伸することで、リタデーションRo、Rthを上記範囲内に調整することができる。
〈本乾燥工程〉
延伸後のウェブ36は、フィルムFとして乾燥装置38に搬送され、そこで上述した予備乾燥と同様の手法で乾燥が行われる。なお、本乾燥工程での乾燥条件は、予備乾燥工程と異なっていてもよい。
〈ナーリング加工〉
上記の本乾燥の終了後、フィルムFの巻取前に、スリッターを設けてフィルムFの端部を切り落とすことが、良好な巻姿を得るため好ましい。更に、フィルム幅手両端部には、ナーリング加工を施すことが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーを押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。フィルムFの幅手両端部のナーリングの高さは、4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
(6)巻取工程
この工程では、残留溶媒量が2質量%以下となってから、巻取装置39にてフィルムFを巻き取る工程である。残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより、寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムFの巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
(積層タイプの位相差フィルムの製造方法)
本実施形態のように積層タイプの位相差フィルムを製造するにあたっては、共流延法(重層同時流延法)、逐次流延法、塗布法などの積層流延法を用いることが好ましく、特に共流延法を用いることが、安定製造および生産コスト低減の観点から好ましい。
共流延法および逐次流延法では、上記した溶液流延製膜法を利用して位相差フィルムを製造することができる。すなわち、まず、各層を形成するためのドープを調製する。そして、共流延法では、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層に対応する流延用のドープを流延する。このとき、各流延用のドープを、加圧ダイ(流延ダイ)の別々のスリットから同時に押し出して、流延用支持体上に同時に流延する。そして、適当な時期に支持体から流延膜を剥ぎ取って乾燥させ、フィルムを作製する。
一方、逐次流延法では、流延用支持体の上に、まず、第1層用の流延用ドープを加圧ダイから押し出して、流延し、乾燥後、あるいは乾燥させることなく、その上に第2層用の流延用ドープを加圧ダイから押し出して流延する。以降、このような工程を繰り返して、必要な層数分、流延用ドープを逐次流延し、適当な時期に支持体から流延膜を剥ぎ取って乾燥させ、フィルムを作製する。
塗布法では、一般的には、コア層のフィルムを溶液流延製膜法により作製する。そして、表層に塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時に塗布液をフィルム上に塗布し、乾燥させて、積層構造のフィルムを作製する。
〔位相差フィルムの物性〕
(ヘイズ)
本実施形態の位相差フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
(平衡含水率)
本実施形態の位相差フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
(フィルム長、幅、膜厚)
本実施形態の位相差フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本実施形態の位相差フィルムの幅は、1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
位相差フィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から、10〜100μmの範囲内であることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
位相差フィルムの膜厚ムラは、厚さ方向又は幅方向のいずれも0〜5μmの範囲内が好ましく、0〜3μmの範囲内であることがより好ましく、0〜2μmの範囲内であることがより一層好ましい。
〔偏光板および液晶表示装置〕
上述した位相差フィルムを有する偏光板は、一般的な方法で作製することができる。すなわち、光学フィルム(例えば位相差フィルム)をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜(偏光子)の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊、水系の接着剤)を用いて貼り合わせることが好ましい。偏光子の他方の面についても、上記と同様にして、光学フィルム(例えば表面保護フィルム)を貼り合わせることができる。なお、偏光子とその両側の光学フィルムとを、活性エネルギー線硬化性接着剤等を用いてそれぞれ貼り合わせるようにしてもよい。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。上記偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものとがあるが、これらに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられる。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmである。
VA駆動方式の液晶セルの透明基板と、上記した偏光板とを粘着層で貼り合わせることにより、VA型の液晶表示装置が構成される。ここで、上記偏光板は、液晶セルに対して視認側に位置し、かつ、偏光子に対して位相差フィルムが液晶セル側に位置するように、液晶セルに粘着層を介して貼り合わされることが望ましい。
上記の粘着層は、光学的に透明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示すものが好ましい。具体的な粘着層としては、例えばアクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により膜形成させ、硬化させることができる。なかでも、アクリル系共重合体は、最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性、耐久性などに優れていて好ましく用いることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。
(ドープ1の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、コア層形成用のドープ1を調製した。
ジアセチルセルロース樹脂(アセチル基置換度2.5) 100.0質量部
リタデーション上昇剤(例示化合物1) 2.0質量部
メチレンクロライド 365.5質量部
メタノール 54.6質量部
なお、例示化合物1は、ピラゾール系化合物の代表例である、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール)である(化2参照)。
(ドープ2の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、スキン層形成用のドープ2を調製した。
トリアセチルセルロース樹脂(アセチル基置換度2.9) 100.0質量部
シリカ微粒子 R972(日本エアロジル製) 0.15質量部
メチレンクロライド 395.0質量部
メタノール 59.0質量部
(位相差フィルムF−1の作製)
図3で製造装置を用い、上記で作製したドープ1およびドープ2を用い、スキン層/コア層/スキン層の積層構造となるように、共流延法により、各ドープを加圧ダイから金属支持体上に流延した。そして、金属支持体上で、流延膜としてのウェブ中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、金属支持体上からウェブを剥離した。その後、剥離したウェブを、テンターを用いて幅方向に30%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。なお、テンターでの延伸温度は160℃であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のローラで搬送させながら乾燥を終了させた。延伸後の乾燥温度は100℃であり、乾燥時間は5分であった。以上のようにして、乾燥膜厚50μmの位相差フィルムF−1を得た。
(位相差フィルムF−2〜F−12の作製)
ドープ1に含まれるアセチルセルロース樹脂(コア層樹脂)、およびドープ2に含まれるアセチルセルロース樹脂(スキン層樹脂)、リタデーション上昇剤の種類および添加量を、表1のように変更した以外は、位相差フィルムF−1の作製と同様にして、位相差フィルムF−2〜F−12を作製した。なお、表中の「Ac置換度」とは、アセチル基置換度のことを指し、「Pr置換度」とは、プロピオニル基置換度のことを指す。
ここで、リタデーション上昇剤の例示化合物2としては、以下の構造を有するピリミジン系化合物を用いた。
Figure 2017072775
リタデーション上昇剤の例示化合物3としては、以下の構造を有するトリアゾール系化合物を用いた。
Figure 2017072775
リタデーション上昇剤の例示化合物4としては、以下の構造を有するイミダゾール系化合物を用いた。
Figure 2017072775
≪評価≫
(リタデーション値の測定)
作製した位相差フィルムより任意に10点の試料フィルムを切り出し、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用い、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた平均屈折率nx、ny、nzを下記式(i)及び(ii)に代入して、面内方向のリタデーションRoおよび厚さ方向のリタデーションRthを求めた。
式(i):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(ii):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
(湿熱耐久試験によるリタデーション変動の評価)
上記作製した位相差フィルムについて、下記のようにして、湿熱耐久試験によるリタデーションの変動を調べた。
1.位相差フィルムのRoおよびRthの値として、23℃55%RHの環境下で測定した上記の値(湿熱耐久試験前に測定した値)を、それぞれ、Ro1およびRth1とした。
2.次に、位相差フィルムを、60度90%RHの環境下に120時間保管し、その後、23℃55%RHの環境下で24時間調湿した。その後、位相差フィルムのRoおよびRthを測定し、それぞれRo2およびRth2とした。
3.上記1および2で得られたRo1、Rth1、Ro2、Rth2の各値から、下記式に基づいて、Roの変化量ΔRo、Rthの変化量ΔRthをそれぞれ算出した。
ΔRo=|Ro1−Ro2|
ΔRth=|Rth1−Rth2|
4.得られたΔRoおよびΔRthから、下記の評価基準に基づいて、湿熱耐久試験によるリタデーション変動について評価した。
《評価基準》
◎:ΔRoおよびΔRthが、両方とも4nm未満である(湿熱耐久性が最も良好である)。
○:ΔRoおよびΔRthが、両方とも4nm以上7nm未満である(湿熱耐久性が良好である)。
△:ΔRoおよびΔRthが、両方とも7nm以上10nm未満である(湿熱耐久性が不良である)。
×:ΔRoおよびΔRthが、両方とも10nm以上である(湿熱耐久性が最も不良である)。
(水ムラ試験による評価)
〈偏光板の作製〉
上記で作製した位相差フィルムF−1〜F−12を用いて、以下のようにして偏光板を作製した。
厚さ70μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ15μmの偏光子を得た。
次に、偏光子の一方に貼合するセルロースアシレートフィルムとして、市販の偏光板保護フィルムである厚さ60μmのコニカミノルタ製KC6UAを用意した。そして、以下の工程を経て、偏光板を作製した。
工程1:位相差フィルムおよびKC6UAを、それぞれ60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側に鹸化化処理を施した。
工程2:偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、この一方の面に、工程1で処理した位相差フィルムを、反対側の面にKC6UAを載せて配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルム、偏光子、KC6UAを、圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に、工程4で貼合した積層体を2分間乾燥し、偏光板を作製した。
以上の工程を、作製した位相差フィルムF−1〜F−12のそれぞれについて行い、同じ構成の偏光板を2枚作製した。なお、一方の偏光板は、液晶セルに対して視認側用の偏光板であり、他方の偏光板は、液晶セルに対してバックライト側用の偏光板である。
〈パネル評価〉
SAMSUNG製のVA型液晶表示装置(型番:UN55HU-8500)の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記で作製した2枚の偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面に、アクリル系粘着剤を用いて貼合した。このとき、作製した位相差フィルムが偏光子に対して液晶セル側となるように、液晶セルの両面に偏光板を貼り付けた。そして、作製した液晶表示装置の表面に濡れた布を貼り付け、3日間放置した。その後、布を剥がして画面を黒表示させ、吸湿による表示ムラ(水ムラ)の程度を目視で観察した。そして、以下の評価基準に基づいて、水ムラについて評価した。
《評価基準》
◎:ムラが全く観察されなかった。
○:目視の確度によってやや弱いムラが観察されたが、実使用上、問題のないレベルである。
△:目視の角度によらず弱いムラが観察されたが、実使用上、問題のないレベルである。
×:画面に強いムラがはっきりと観察され、実使用上、問題がある。
(脆性試験による評価)
軽荷重引き裂き試験機(東洋精機社製)を用いて位相差フィルムを引き裂き、引き裂き面を目視により観察し、以下の判断基準に基づいて、位相差フィルムの脆性を評価した。
《評価基準》
◎:引き裂き面が非常に滑らかで、かつ、真っ直ぐに裂けている(脆性が最も良好である)。
○:引き裂き面に微かにバリ(ギザギザの凹凸)があるが、真っ直ぐに裂けている(脆性がかなり良好である)。
△:引き裂き面にバリがあるが、真っ直ぐに裂けている(脆性が良好である)。
×:引き裂き面にバリがかなりあり、真っ直ぐに裂けていない(脆性が不良である)。
(鹸化適性)
上記で作製した位相差フィルムを、下記条件にて120時間連続でアルカリ鹸化処理した。
〈鹸化工程〉
鹸化工程 2M−KOH 55℃ 30秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
その後、鹸化液をサンプリングし、目視確認した。白色異物が確認された場合は、鹸化後にフィルムの目視確認も行った。そして、以下の評価基準に基づいて、位相差フィルムの鹸化適性を評価した。
《評価基準》
◎:鹸化液中に白色異物は確認されず、鹸化液の着色も確認されなかった(鹸化適性が最も良好である)。
○:鹸化液中に白色異物が僅かに確認され、鹸化液の着色も僅かに確認されたが、白色異物のフィルムへの再付着は確認されなかった(鹸化適性が良好である)。
△:鹸化液中に白色異物が確認され、鹸化液の着色も確認されたが、白色異物のフィルムへの再付着は確認されなかった(鹸化適性は不良である)。
×:鹸化液中に大量の白色異物が確認され、白色異物のフィルムへの再付着も確認された(鹸化適性は最も不良である)。
以上のようにして作製した位相差フィルムF−1〜F−12の各パラメータおよび評価の結果についてまとめたものを表1に示す。
Figure 2017072775
表1より、位相差フィルムF−1〜F−3については、コア層が、ジアセチルセルロース樹脂と、ピラゾール系化合物(特に、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール))とを含んでおり、スキン層が、トリアセチルセルロース樹脂を含んでいる。この結果、湿熱変化によるRoおよびRthの変動が少なく、吸湿による表示ムラが少なく、脆性がよく、鹸化適性も良好な結果が得られている。
これに対して、位相差フィルムF−4では、鹸化適性が不良となっている。これは、コア層のアセチルセルロース樹脂のアセチル基置換度が2.3と低く、フィルム全体として親水性が高くなり、これによってフィルムの一部が鹸化液中に溶出したためと考えられる。
位相差フィルムF−5では、吸湿による表示ムラが発生している。これは、コア層に含まれるアセチルセルロース樹脂が、アセチル基置換度が2.7のトリアセチルセルロース樹脂で構成されていることによるものと考えられる。つまり、コア層およびスキン層が全て、吸湿によるリタデーション変動が大きいトリアセチルセルロース樹脂を含んでいるため、位相差フィルム全体として、吸湿によるリタデーション変動が大きくなり、液晶表示装置において表示ムラが発生したものと考えられる。
位相差フィルムF−6では、鹸化適性が最も不良となっている。これは、最外層のスキン層が、親水性の高い、アセチル基置換度2.5のジアセチルセルロース樹脂を含んでいることから、スキン層の一部が鹸化液中に溶出したためと考えられる。
位相差フィルムF−7およびF−8では、脆性が不良である。これは、コア層に含まれるアセチルセルロース樹脂が、セルロースアセテートプロピオネート樹脂であり、この樹脂が脆いためと考えられる。
位相差フィルムF−9〜F−12では、鹸化適性が最も不良となっている。これは、位相差フィルムF−9〜F−12は、ジアセチルセルロース樹脂を含む単層で構成されており、ジアセチルセルロース樹脂の親水性が高いため、樹脂の一部が鹸化液に溶出したことによるものと考えられる。
また、位相差フィルムF−9では、湿熱変動によるリタデーションの変動を抑えることができず、湿熱耐久性にかなり欠けるものとなっている。これは、位相差フィルムF−9では、特許文献1と同様に、ジアセチルセルロース樹脂にピリミジン系化合物が添加されているが、このピリミジン系化合物は、湿度および温度の両方の変動によるリタデーションの変動を抑える機能を有していないためと考えられる。
位相差フィルムF−10およびF−11では、湿熱変動によるリタデーションの変動が生じており、湿熱耐久性に欠けるものとなっている。これは、位相差フィルムF−10およびF−11では、ジアセチルセルロース樹脂にリタデーション上昇剤として、トリアゾール系化合物またはイミダゾール系化合物が含まれているが、これらの上昇剤では、湿熱変動によるリタデーションの変動を抑える効果がほとんどないためと考えられる。
(位相差フィルムF−13〜F−17の作製)
次に、ドープ1に含まれるアセチルセルロース樹脂、およびドープ2に含まれるアセチルセルロース樹脂として、位相差フィルムF−1の作製で用いた樹脂を使用し、リタデーション上昇剤も、位相差フィルムF−1の作製で用いた例示化合物1(ピラゾール系化合物)を使用し、フィルムの総膜厚、リタデーション上昇剤の添加量を表2のように変更するとともに、必要に応じて添加剤を添加した以外は、位相差フィルムF−1の作製と同様にして、位相差フィルムF−13〜F−17を作製した。なお、上記添加剤としては、化6の糖エステル化合物a3を使用した。なお、糖エステル化合物a3は、糖残基がB−2(化5参照)で、置換基1の置換度が6、置換基2の置換度が2の化合物である。
そして、作製した位相差フィルムF−13〜F−17について、上記と同様の評価を行った。作製した位相差フィルムF−13〜F−17の各パラメータおよび評価の結果についてまとめたものを表2に示す。なお、表2では、上記の糖エステル化合物a3を、糖エステルAと記載している。
Figure 2017072775
表2より、位相差フィルムF−13〜F−15では、吸湿による表示ムラが全く観察されていない。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、位相差フィルムF−13〜F−15の総膜厚が20μm以上40μm以下の範囲であることで、トリアセチルセルロース樹脂を含むスキン層が、位相差フィルムF−1等に比べて薄膜になる。トリアセチルセルロース樹脂は吸湿によるリタデーション変動が大きいため、スキン層が薄膜になることで、フィルム全体の吸湿によるリタデーション変動がさらに抑えられ、表示ムラがさらに抑えられる。
また、位相差フィルムF−16〜F−17では、鹸化適性が最も良好となっている。これは、位相差フィルムF−16〜F−17に含まれる糖エステル化合物は、耐水系の添加剤であるため、フィルム全体の親水性が低くなり、これによって樹脂の一部が鹸化液に溶出しにくくなっているためと考えられる。
本発明の位相差フィルムは、偏光板やVA型の液晶表示装置に利用可能である。
1 液晶表示装置
4 液晶セル
5 偏光板
11 偏光子
13 光学フィルム(位相差フィルム)
21 コア層
22 スキン層
23 スキン層

Claims (7)

  1. コア層の両側にスキン層が設けられた積層タイプの位相差フィルムであって、
    前記コア層は、アセチル基置換度が2.4以上2.6以下であるアセチルセルロース樹脂と、リタデーション上昇剤としての含窒素複素環化合物とを含み、
    前記スキン層は、アセチル基置換度が2.6よりも大きく2.9以下であるアセチルセルロース樹脂を含み、
    前記含窒素複素環化合物は、下記一般式で表される構造を有するピラゾール系化合物を含むことを特徴とする位相差フィルム。
    Figure 2017072775
    (式中、Aはピラゾール環を表し、Ar及びArはそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し、qは1〜2の整数を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
  2. 前記ピラゾール系化合物は、5,5’−(1,3−フェニレン)ビス(3−フェニル−1H−ピラゾール)であることを特徴する請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 総膜厚が20μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. 糖エステル化合物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の位相差フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の位相差フィルムと、偏光子とを有していることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板と、液晶セルとを有していることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記偏光板は、前記液晶セルに対して視認側に位置しており、
    前記偏光板の前記位相差フィルムは、前記偏光子に対して前記液晶セル側に位置していることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
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