JP2017068513A - 画像処理装置及びその方法、プログラム、記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮影されたシーンを考慮した上で、画像の局所的なコントラストを保持しながら、適切な階調制御を行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】入力された画像を複数の領域に分割する分割部と、分割部により分割された複数の領域のそれぞれの輝度情報に基づいて、画像に階調補正を行うための階調特性を決定する決定部と、入力された画像から周波数帯域の異なる複数の画像を生成する生成部と、生成された周波数帯域の異なる複数の画像の信号を階調特性に基づいてゲインに変換する変換部と、ゲインに変換された周波数帯域の異なる複数の画像の信号を重み付けして加算する加算部と、画像に加算手段により加算されたゲインを乗じることにより画像を補正する補正部とを備え、加算部は、入力された画像が撮影された時の撮影条件および複数の領域の情報の少なくともいずれかに基づいて、周波数帯域の異なる複数の画像の信号の重み付けを決定する。
【選択図】 図12
【解決手段】入力された画像を複数の領域に分割する分割部と、分割部により分割された複数の領域のそれぞれの輝度情報に基づいて、画像に階調補正を行うための階調特性を決定する決定部と、入力された画像から周波数帯域の異なる複数の画像を生成する生成部と、生成された周波数帯域の異なる複数の画像の信号を階調特性に基づいてゲインに変換する変換部と、ゲインに変換された周波数帯域の異なる複数の画像の信号を重み付けして加算する加算部と、画像に加算手段により加算されたゲインを乗じることにより画像を補正する補正部とを備え、加算部は、入力された画像が撮影された時の撮影条件および複数の領域の情報の少なくともいずれかに基づいて、周波数帯域の異なる複数の画像の信号の重み付けを決定する。
【選択図】 図12
Description
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置における露出制御技術および撮影後の信号に対して階調補正を行う画像処理技術に関するものである。
従来より、画像の部分的なコントラストを補正する覆い焼き処理やHDR(ハイダイナミックレンジ)処理等、入力信号のダイナミックレンジを拡大した信号を出力段階で階調圧縮する処理が知られている。このような技術において、撮影時のシーンを判別した結果を露出制御や階調補正にさらに適用することによって、そのシーンの雰囲気を保持した画像を出力する方法が知られている。
特許文献1では、シーン判別結果に基づいて、入力画像に対する階調補正処理条件を設定する技術が開示されている。具体的には、例えば主要被写体が明るすぎる場合には輝度値を下げるように、ガンマ特性とオフセット補正を適用する方法が開示されている。また、特許文献2では、異なる周波数成分に基づいた各々の覆い焼き補正効果の差異に基づいて、補正量を制御する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、シーンを判別した情報を用いても、ガンマ特性による階調制御では画素値に敏感な補正となり、局所的なコントラストが低下する可能性がある。
また、特許文献2に開示されている技術では、例えば高輝度に隣接した低輝度部分に対して低周波成分による補正効果を抑制すると、画素値に敏感な補正効果となり、結果的にコントラストが低下する可能性がある。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影されたシーンを考慮した上で、画像の局所的なコントラストを保持しながら、適切な階調制御を行うことができる画像処理装置を提供することである。
本発明に係わる画像処理装置は、入力された画像を複数の領域に分割する分割手段と、前記分割手段により分割された前記複数の領域のそれぞれの輝度情報に基づいて、前記画像に階調補正を行うための階調特性を決定する決定手段と、前記入力された画像から周波数帯域の異なる複数の画像を生成する生成手段と、生成された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を前記階調特性に基づいてゲインに変換する変換手段と、ゲインに変換された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を重み付けして加算する加算手段と、前記画像に前記加算手段により加算されたゲインを乗じることにより前記画像を補正する補正手段と、を備え、前記加算手段は、前記入力された画像が撮影された時の撮影条件および前記複数の領域の情報の少なくとも一つに基づいて、前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号の重み付けを決定することを特徴とする。
本発明によれば、撮影されたシーンを考慮した上で、画像の局所的なコントラストを保持しながら、適切な階調制御を行うことができる画像処理装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、被写体領域の情報および撮影条件に関する情報などの撮影シーンに関する情報を用いて露出制御を行い、さらに覆い焼き処理による階調補正処理を行うものである。なお本実施形態では、本実施形態の方法を用いることにより効果が見込めるシーンの一つである夜景を想定して説明する。ただし、本実施形態の方法は夜景以外のシーンにも適用可能である。
第1の実施形態は、被写体領域の情報および撮影条件に関する情報などの撮影シーンに関する情報を用いて露出制御を行い、さらに覆い焼き処理による階調補正処理を行うものである。なお本実施形態では、本実施形態の方法を用いることにより効果が見込めるシーンの一つである夜景を想定して説明する。ただし、本実施形態の方法は夜景以外のシーンにも適用可能である。
図1は、本発明の画像処理装置の第1の実施形態であるデジタルカメラの構成を示す図である。図1において、光学系101は、ズームレンズやフォーカスレンズから構成されるレンズ群、絞り、およびシャッターを備えている。この光学系101は、撮像部102に結像される被写体像の倍率やピント位置、あるいは、光量を調整する。撮像部102は、光学系101を通過した被写体からの光束を光電変換し電気信号に変換するCCDやCMOSセンサー等の撮像素子を有する。
A/D変換部103は、入力されたアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換する。画像処理部104は、通常の信号処理の他に、本実施形態における階調補正処理を行う。画像処理部104はA/D変換部103から出力された画像のみでなく、記録部110から読み出された画像に対しても同様の画像処理を行うことができる。
露光量算出部105は、本実施形態の階調補正処理を行うのに適した入力画像を得るために、撮影時の露光量を算出する部分である。画像処理部104の処理結果を入力として露光量を算出し、露光量制御部106に入力する。露光量制御部106は、露光量算出部105によって算出された露光量を実現するために、光学系101と撮像部102に指令を送り、絞り値、シャッタースピード、撮像素子のアナログゲインを制御する。
表示部107は、画像処理部104から出力される画像をLCDなどの表示器に逐次表示させることにより、電子ビューファインダ(EVF)として機能する。記録部110は、画像を記録する機能を有し、たとえば、半導体メモリが搭載されたメモリカードや、光磁気ディスク等の回転記録体を収容したパッケージなどを用いた情報記録媒体などを含んでもよい。
図2は、画像処理部104の構成を示すブロック図である。以下、画像処理部104の各ブロックが担う処理について、その流れとともに説明する。まず、画面内の輝度情報に基づいて本撮影前の露出を制御し、階調補正処理を行う上で適切な本撮影時の露光量を算出する露光量算出部105、さらに階調特性算出部204の処理内容について説明する。
図3は、撮影者により撮影の指示がなされたときの本撮影の露光量を決定するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS601では、ライブビュー動作によって露光量算出部105が露光量を算出するための画像を連続的に取得し、所定の間隔(例えば2フレームに1回)で画像全体の輝度値を算出した上で露出を変更する。具体的には、画像を図4に示すように複数のブロック領域に分割し、各ブロックの平均輝度値を求める。そして、各ブロックの平均輝度に対して中央部のブロックに重みを付けるように加重加算して画面全体の輝度値を求める。この加重加算した画面全体の輝度値が適正の値、すなわち予め設定された目標輝度値(例えば10bitで130)に近づくように露光量を定める。
図5は、ステップS601で求められた露光量で露光した場合に得られる画像の一例を示す図である。これは夜景シーンを示す画像であり、建物の内部や点光源などの高輝度領域は白飛びしているのに対し、それ以外の背景領域の大部分は黒潰れしかけて階調が無くなっている。
ステップS602では、ステップS601で求められた露光量で取得した画像から被写体領域検出部201が高輝度領域であるか低輝度領域であるかの被写体領域の判別を行う。本実施形態では、図4に示したようなブロック領域ごとに輝度の積分値を算出し、それが所定の閾値以上の場合にはそのブロックを高輝度領域、所定の閾値よりも小さい場合にはそのブロックを低輝度領域と判別する。図6は、入力画像に対して領域判別を行った結果の例を示した図である。図中の斜線部分は高輝度領域、黒塗り部分は低輝度領域をそれぞれ示している。
ステップS603では、露光量算出部105がステップS602で判別した高輝度領域と低輝度領域の分布に基づいて撮影時の本露光量を決定する。図7は露光量の決定方法を示す図であり、グラフの横軸は高輝度領域が画像全体に対して占める割合、グラフの縦軸は適正の露光量に対する露出の変更量を表す値である。具体的には、横軸の割合とは高輝度領域のブロック数を総分割ブロック数で除算して100を乗算した値であり、露出の変更量とは前述した目標輝度値となる適正の露光量からどれだけ露出を変えるかを表す値である。図に示すように、高輝度領域の割合が大きいほど適正露出に対してよりアンダーに制御する。これは夜景において白とびしやすい高輝度な被写体(光源や建物内部など)の階調を失わないようにしつつ、後述するゲイン処理によってノイズ成分が増大しないようにゲイン量を抑制することが目的である。
ステップS604では、ステップS603で決定した露光量に基づいて露光量制御部106により本撮影が行われる。以上により、入力画像を取得してから、露光量算出部105で露光量を算出し、本撮影を行うまでの処理の説明は終了となる。
次に、図8は、図3のステップS604において本撮影された画像に対して行う階調補正処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS701では、ステップS604で本撮影された画像を取得する。ステップS702では、ステップS602と同様にして、入力画像から高輝度領域および低輝度領域を判別する。判別の方法はステップS602と同様であるため説明は省略する。
ステップS703では、階調特性算出部204が画面全体に一様に適用する階調特性を生成する処理を行う。まずステップS702において検出した高輝度領域および低輝度領域の各々に対して、ゲイン量およびそのゲイン量を適用する輝度範囲を算出する。低輝度領域に対するゲイン量LGは、ステップS603で決定した本撮影時の露出と適正露出との差分に基づいて算出する。図9は低輝度領域に対するゲイン量LGの算出方法を示す図であり、本撮影時の露出が適正露出よりも大きい場合にはゲイン量を1倍以下(すなわちゲインダウン)とし、小さい場合にはゲイン量を1倍以上(すなわちゲインアップ)とする。これは、夜景において暗部を必要以上に明るくして見た目が不自然になることや、ゲインアップによりノイズが目立つようになることを抑制するためである。さらに高輝度領域に対するゲイン量HGは、白とびを抑えるために1倍(すなわち等倍ゲイン)とする。 続いて、算出したゲイン量LG,HGを適用する輝度範囲を各々算出する。図10はそれらの算出方法を示す図である。まず領域別輝度値算出部203は、低輝度領域および高輝度領域の各々のヒストグラムを算出する。図10(a)は低輝度領域の輝度ヒストグラムを示す図であり、横軸が輝度値、縦軸が該当する輝度値の頻度を表す。図10(a)において、まず最小の輝度値から頻度数を累積加算していく。図10(b)は累積加算した値を縦軸にとった図であり、この累積加算値が所定の値(LOW_TH)に到達したときの輝度値を低輝度領域に対するゲイン適用範囲の上限輝度値LPとする。同様にして、高輝度領域の輝度ヒストグラムの頻度数を高輝度側から累積加算していき、所定の値(HI_TH)に到達したときの輝度値を高輝度領域に対するゲイン適用範囲の下限輝度値HPとする。
これら4つの値LG,HG,LP,HPに基づいて生成される階調特性を図11に示す。図中、横軸は入力輝度、縦軸は出力輝度となっている。直線の傾きはゲイン量を表しており、階調特性をゲイン量GAINを用いて式で示すと、
階調特性: 出力Y=GAIN×入力Y …(1)
となる。点線で示した直線が1倍のゲイン(等倍ゲイン)を示しており、実線LGはゲインダウン、実線HGは等倍ゲインとなる。この階調特性を用いてゲインテーブル生成部205は、輝度別ゲインテーブルすなわち入力輝度に対するゲイン量を表すテーブルを生成する。
階調特性: 出力Y=GAIN×入力Y …(1)
となる。点線で示した直線が1倍のゲイン(等倍ゲイン)を示しており、実線LGはゲインダウン、実線HGは等倍ゲインとなる。この階調特性を用いてゲインテーブル生成部205は、輝度別ゲインテーブルすなわち入力輝度に対するゲイン量を表すテーブルを生成する。
ステップS704では、ゲイン画像を生成する処理を行う。図12はステップS704のゲイン画像の生成およびステップS705のゲイン処理を実行するゲイン処理部202の構成を示したブロック図である。以下、図12を用いてステップS704、ステップS705の処理について説明する。
図12(a)はゲイン処理部202の構成を示しており、図中1201は入力画像、1202はゲイン画像生成部、1203はゲイン乗算部である。さらに、図12(b)はゲイン画像生成部1202の構成を示している。図中、輝度信号生成部1212は入力画像1201から輝度信号を生成する。帯域制限部1213は画像が持つ周波数帯域を制限するために、輝度信号生成部1212が出力する輝度信号に対して所定のLPF(ローパスフィルタ)をかける。これにより、後述するぼかし処理部1214には、輝度信号生成部1212から出力される高周波帯域を含む階層の画像信号が入力され、ぼかし処理部1215には帯域制限部1213を通った低周波帯域のみを残した階層の画像信号が入力される。なお、ここでは帯域制限の手法としてローパスフィルタを用いたが、これに限定されず、縮小や拡大といったリサイズ処理を行うことによって実現してもよい。
ぼかし処理部1214及び1215では、輝度信号生成部1212からの高周波帯域を含む階層の画像および帯域制限部1213からの低周波帯域のみを残した階層の画像に対し、所定のぼかし処理を実行する。これは、細かいテクスチャに対するゲインの敏感度を下げ、コントラストをより良好に維持することを目的としている。その一方で、たとえば図13に示すような高輝度領域と低輝度領域の境界では、ぼかし処理を行わない方がよい。その理由としては、覆い焼きゲイン処理において、このような境界部でぼかし処理を行うと、境界部付近の領域に所望のゲインがかからずに疑似輪郭の発生が顕著になると考えられるからである。従って、輝度差が大きなエッジを保存したままボカシ処理を行うことが必要である。
輝度→ゲイン変換処理部1216および1217では、ぼかし処理部1214および1215から出力される輝度画像の各々を、ゲインテーブル生成部205で算出した輝度別ゲインテーブル1210を用いて、ゲイン画像へ変換する。ゲイン画像とは、画像において最も左上に位置する画素位置を(0,0)として、撮影された入力画像の画素位置を(x,y)としたとき、入力信号Yin(x,y)から出力されるゲインをGain(x,y)とした画像である。すなわち、以下に示すゲインテーブル関数GainTblを用いたとき、
Gain(x,y)=GainTbl(Yin(x,y)) …(2)
で表わされるゲイン画像におけるGain(x,y)が、撮影された入力画像の(x,y)に位置する画素に対応するゲインである。
Gain(x,y)=GainTbl(Yin(x,y)) …(2)
で表わされるゲイン画像におけるGain(x,y)が、撮影された入力画像の(x,y)に位置する画素に対応するゲインである。
画像サイズ調整部1218では、帯域制限部1213が入力画像に対してサイズを変更する処理を行った場合、輝度→ゲイン変換処理部1217の出力画像サイズを入力画像1201と同じとなるように調整する処理を行う。本実施形態では、帯域制限部1213では画像サイズは変更されず、ローパスフィルタがかけられるのみであることからサイズの調整は行わないこととする。
ゲイン加算処理部1219では、輝度→ゲイン変換処理部1216および画像サイズ調整部1218の出力ゲイン画像を画素毎に加算する処理を行う。図12(c)は、ゲイン加算処理部1219の構成を示す図である。入力輝度に対して帯域制限を行っていない相対的に高周波帯域を含む階層の画像から生成したゲイン画像と、低周波帯域のみを残した階層の画像から生成したゲイン画像とを加算する。以下、各々を上位階層画像1251、下位階層画像1252と呼び、ゲイン加算処理について詳細に説明する。
図13に示すように、上位階層と下位階層のゲインを単純に加算平均するだけでは、輝度差の大きなエッジ部付近で、ゲインテーブルの形によっては疑似輪郭が生じてしまうため、加算処理の方法を工夫する必要がある。
図14は、第1の加算処理部1253、第2の加算処理部1254、加重加算部1256を模式的に示した図である。図14に示すように、第1の加算処理部1253では上位階層の着目位置(着目画素)のゲイン(以下、着目ゲインと呼ぶ)に所定の重みW1を掛けて下位階層の着目位置のゲインと加重加算する。ただしこの結果だけでは前述したような疑似輪郭が発生する可能性がある。重みW1の算出方法については後述する。
次に、第2の加算処理部1254での処理内容について説明する。図14に示すように、第2の加算処理部1254では、上位階層の着目ゲインと下位階層の周辺領域のゲイン(以下、周辺ゲインと呼ぶ)を使用する。ここで周辺領域とは、着目位置から上下左右方向に所定の範囲内にある画素の集合である。第2の加算処理部1254の目的は、前述の疑似輪郭を低減させることである。図15は、図13と同様の考え方で、エッジ部付近に疑似輪郭が生じる場合の上位階層ゲインおよび下位階層ゲインの形状と、第2の加算処理部1254の処理イメージを示した図である。図15に示した例では、輝度差の大きなエッジ部付近で、下位階層ゲインが極端に小さくなる。従って、位置Xでゲインを加算する場合、四角印で示されている着目ゲイン同士を加算すると、疑似輪郭の弊害が大きくなる。従って、下位階層ゲインは着目位置ではなく、位置Xから左右にLの範囲を探索し、上位階層の着目ゲインに最も近い値を持つゲインを選択する方がよい。図の例では、丸印で表された位置X−Lのゲインを使用することで、下位階層の極端に小さなゲインから受ける影響を低減できる。以上の加算処理により、エッジ部付近で極端に異なるゲインを乗じることによる疑似輪郭の発生は抑制される。なお、図15では、説明を分かりやすくするために1次元の例を挙げて説明したが、実際の第2の加算処理部1254においては、同様の処理を2次元で行う。
図16は、この第2の加算処理部の処理内容を示すフローチャートである。ステップS1601では、下位階層の周辺ゲインのそれぞれについて、上位階層の着目ゲインとの差分絶対値を算出する。ステップS1602では、ステップS1601で算出した差分絶対値が小さい順に、M個の周辺ゲインを選択する。ここで、Mは所定の個数とする。この処理により、図15に示したように、上位階層の着目ゲインに近いゲイン値を持つ下位階層の周辺ゲインを選択することができる。なお本実施形態では、周辺ゲインを選択する際に差分絶対値が小さい順に所定個数を選択するという手法をとったが、他の手法を用いてもよい。たとえば演算コストを抑制するために、差分絶対値が所定の閾値以下であるものをすべて選択するといった方法を用いてもよい。
ステップS1603では、ステップS1602で選択したM個の周辺ゲインを加重加算する。ここで、加重加算時の重みは以下の式(1)で決定される。
W(k)=A/|GL(k)−GH| …(3)
式(1)において、GL(k)は、選択した下位階層の周辺ゲインのうち、k番目のゲインを表し、W(k)はそれに対応する加重加算の重みを表す。また、GHは上位階層の着目ゲインを表し、Aは所定の定数である。式(1)から分かるように、重みW(k)は、上位階層の着目ゲインとの差分が小さいほど大きくなる。
式(1)において、GL(k)は、選択した下位階層の周辺ゲインのうち、k番目のゲインを表し、W(k)はそれに対応する加重加算の重みを表す。また、GHは上位階層の着目ゲインを表し、Aは所定の定数である。式(1)から分かるように、重みW(k)は、上位階層の着目ゲインとの差分が小さいほど大きくなる。
さらに、式(1)により各周辺ゲインに対する重みW(k)を算出後、以下の式(4)により加重加算を行う。
…(4)
式(2)において、GL’は、加重加算後の下位階層ゲインである。
式(2)において、GL’は、加重加算後の下位階層ゲインである。
ステップS1604では、加重加算して得られた下位階層の周辺ゲインGL’と、上位階層の着目ゲインGHに所定の重みW2を掛けたものを加重加算し、加算されたゲイン値が第2の加算処理部1254の出力となる。
ここで、前述した第1の加算処理部1253において用いる重みW1および第2の加算処理部1254において用いる重みW2の算出方法について説明する。図17は入力輝度が飽和している領域と、それに対する上位階層および下位階層のゲイン信号を示す図である。図17を見ると、上位階層では低輝度部に対してゲインダウン、高輝度部に対しては等倍ゲインとなっており、それに対して下位階層では低輝度部だけでなく高輝度領域の一部もゲインダウンとなっていることがわかる。これは、下位階層は帯域制限によって輝度に対する敏感度が下がったゲインとなっているためである。これによって飽和部周辺の高輝度がゲインダウンされることとなり、結果的にRGBのバランスが所望の値とならない弊害が発生する。
そこで本実施形態では、上記の2つの重みW1,W2をいくつかの評価値に基づいて決定することにより、上述した弊害を抑制することを考える。具体的には、露光量算出部105が撮影前に算出したBv(ブライトバリュー)値が大きいほど、そして高輝度領域の面積割合が大きいほど上位階層にかかる重みW1およびW2の値を大きくするように制御する。これは、撮影時のBv値が小さいほど夜景シーンである可能性が高く、また高輝度領域の面積が小さいほどゲインダウンとなる階調特性になりやすいため、前述したような飽和部付近のゲインダウンが発生しないように下位階層の重みを小さくすることが目的である。
加重加算部1256は、第1の加算処理部1253の結果と第2の加算処理部1254の結果を加重加算し、その時の重みは、着目位置における上位階層と下位階層のゲイン差に基づき、輝度→重み算出部1255によって決定する。具体的には、上位階層と下位階層の着目ゲインの差分値が大きいほど、第2の加算処理部1254の結果を重視するような設定とする。これは、輝度差が大きくゲイン差も大きくなるようなエッジ部付近は、第2の加算処理部1254の結果を用いて疑似輪郭を抑制するのが望ましいからである。一方、ゲイン差が小さいテクスチャ部分では、第2の加算処理部1254の結果を用いると、画像のコントラストが低下してしまう。ゲイン差が小さければ疑似輪郭が顕在化しなくなることから、第1の加算処理部1253の結果を用いてコントラストの低下を抑制するのが望ましいと考えられる。
以上で、図8のステップS704におけるゲイン加算処理部1219およびゲイン画像生成部1202の説明を終了する。これにより、出力ゲイン画像1221が得られることになる。
図8の説明に戻り、ステップS705では、ゲイン画像生成部1202で生成されたゲイン画像を、ゲイン乗算部1203において、所定の信号処理が施された元画像に乗じる。ゲイン乗算部1203の出力は、階調圧縮処理部206において、ガンマ変換処理などにより所定の出力レンジに階調圧縮される。最後に、階調圧縮処理部206において階調圧縮を施された画像が表示部107および記録部110に出力される。
以上説明したように本実施形態によれば、局所的に階調特性を制御する処理において、低周波画像を使用することによる疑似輪郭や、主に夜景シーンにおいて発生しやすい飽和部の色バランスのずれといった弊害を抑制することができる。また、着目位置のゲイン差に基づいて、(1)コントラスト維持を優先する第1の加算結果と(2)疑似階調の抑制を優先する第2の加算結果のそれぞれを加重加算することで、コントラストの低下を抑制しつつ、疑似階調の抑制を行うことができる。
本実施形態では、ゲイン加算処理の際に入力画像から2種類の周波数帯域を持つ上位階層の画像と下位階層の画像を生成したが、これに限らず、3以上の異なる周波数帯域を持つ画像を生成し、順次加算処理を行うようにしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図18は、第2の実施形態における画像処理装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態では、近接した被写体にフォーカスを合わせて遠くの被写体領域が大きくぼけるようなシーンでの例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の処理や公知の技術を用いる処理については説明を省略し、本実施形態の特徴的な処理について主に説明する。図18(a) は、撮影者により撮影の指示がなされた場合の本撮影の露光量を決定するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図18は、第2の実施形態における画像処理装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態では、近接した被写体にフォーカスを合わせて遠くの被写体領域が大きくぼけるようなシーンでの例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の処理や公知の技術を用いる処理については説明を省略し、本実施形態の特徴的な処理について主に説明する。図18(a) は、撮影者により撮影の指示がなされた場合の本撮影の露光量を決定するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1801では、図3のステップS601と同様にして露光量を算出するための画像を連続的に取得する。ステップS1802〜ステップS1803では、領域別トーンマッピングの思想を取り入れることにより被写体領域を判別し、露光量を決定する。すなわち、輝度・色相・彩度などの特徴量を用いて入力画像を空領域、背景領域に分割し、各領域の持つ代表輝度値および輝度値の段差に基づいて本露光量を決定する。ステップS1804では、S1803で決定した露光量に基づいて露光量制御部106により本撮影が行われる。
続いて、図18(b)は、本撮影された画像に対して行う階調補正処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1811では、ステップS1804で本撮影された画像を取得する。ステップS1812〜ステップS1813では、前述した領域別トーンマッピングの思想を取り入れることで、階調特性算出部204が被写体の明るさを考慮した階調特性を生成する。すなわち、領域別輝度値算出部203が算出した空領域および背景領域の輝度情報に基づいて、それぞれの明るさとそのバランスが適切となるような階調を生成する。
ステップS1814では、ゲイン画像を生成する処理を行う。以下、図12を用いてステップS1814の処理について説明する。まずゲイン画像生成部1202において、ゲイン加算処理部1219以外の部分が行う処理については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。ゲイン加算処理部1219には帯域の異なる2つのゲイン画像、すなわち上位階層画像1251および下位階層画像1252が入力される。第1の加算処理部1253は、上位階層の着目ゲインに所定の重みW1を掛けたうえで、下位階層の着目ゲインと加重加算する。重みW1の算出方法については後述する。
図18(c)は、第2の加重加算部が行う処理の流れを示すフローチャートである。図中ステップS1821〜S1824はそれぞれ第1の実施形態で説明した図16のステップS1601〜S1604と同様であるため、説明を省略する。ステップS1824では、加重加算した下位階層の周辺ゲインGL’と、上位階層の着目ゲインGHに所定の重みW2を掛けたものとを加重加算し、加算されたゲイン値が第2の加算処理部1254の出力となる。
ここで、前述した第1の加算処理部1253において用いる重みW1および第2の加算処理部1254において用いる重みW2の算出方法について説明する。図19は、入力輝度において高輝度部と低輝度部の境界がぼけている背景領域の一部と、それに対する上位階層および下位階層のゲイン信号を示す図である。これを見ると、境界部のぼけている領域のゲイン値が、下位階層では滑らかに変化しているのに対して上位階層では所定の輝度値を境目にゲイン値が急峻に切り替わっているのがわかる。これは、ステップS1813で生成した階調特性において所定の輝度値を境界にゲインの値が急峻に変化することによるものである。この境界部分に対しては、上位階層のゲインが適用されるほど、ゲイン適用後の画像に不自然な輝度の切り替わりが弊害として発生する。
そこで本実施形態では、2つの重みW1,W2をいくつかの評価値に基づいて決定することにより、上述した弊害を抑制することを考える。具体的には、本撮影時に露光量制御部106が設定した絞り値が小さいほど、そしてフォーカス時の焦点距離が近いほど上位階層の重みW1,W2を小さくするように制御する。これは、絞りが開放値に近いほど、そして焦点距離が近いほどフォーカス距離以外の領域がぼけやすく、前述したような弊害が発生しやすいため、ゲインが滑らかに変化する下位階層の重みを大きくすることで弊害の発生を抑えることが目的である。
以上で、ステップS1814におけるゲイン加算処理部1219およびゲイン画像生成部1202の動作の説明を終了する。これにより、出力ゲイン画像が得られる。
図18(b)の説明に戻り、ステップS1815では、ゲイン画像生成部1202で生成されたゲイン画像を、ゲイン乗算部1203において、所定の信号処理が施された元画像に乗じる。ゲイン乗算部1203の出力は、階調圧縮処理部206において、ガンマ変換処理などにより所定の出力レンジに階調圧縮される。最後に、階調圧縮処理部206において階調圧縮を施された画像が画像表示部107および画像記録部110に出力される。
以上説明したように、本実施形態によれば、局所的に階調特性を制御する処理において、主に近接撮影において発生しやすいぼけた輝度境界部の不自然な切り替わりといった弊害を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
101:光学系、102:撮像部、103:A/D変換部、104:画像処理部、105:露光量算出部、106:露光量制御部、107:表示部、110:記録部
Claims (12)
- 入力された画像を複数の領域に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された前記複数の領域のそれぞれの輝度情報に基づいて、前記画像に階調補正を行うための階調特性を決定する決定手段と、
前記入力された画像から周波数帯域の異なる複数の画像を生成する生成手段と、
生成された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を前記階調特性に基づいてゲインに変換する変換手段と、
ゲインに変換された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を重み付けして加算する加算手段と、
前記画像に前記加算手段により加算されたゲインを乗じることにより前記画像を補正する補正手段と、を備え、
前記加算手段は、前記入力された画像が撮影された時の撮影条件および前記複数の領域の情報の少なくともいずれかに基づいて、前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号の重み付けを決定することを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像を撮像するための撮像手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記撮影条件は、撮影時のBv値、絞り値、焦点距離の少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記決定手段は、前記撮影条件に基づいて前記階調特性を変更することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
- 前記生成手段は、相対的に高い周波数帯域を含む上位階層の画像と、該上位階層の画像に比べて低い周波数帯域を含む下位階層の画像の少なくとも2つの画像を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記加算手段は、前記上位階層の画像と前記下位階層の画像のそれぞれの着目画素に対応する着目ゲイン同士の加算結果である第1の加算結果と、前記上位階層の着目ゲインと前記下位階層における前記着目画素から所定の範囲の周辺領域において、前記上位階層の着目ゲインと近い値を持つ前記下位階層のゲインの加算結果である第2の加算結果とを重み付けして加算することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記複数の領域の情報は、前記入力された画像における高輝度領域の占める割合または低輝度領域の占める割合であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記生成手段は、前記画像にフィルタをかけることにより、前記周波数帯域の異なる複数の画像を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記生成手段は、前記画像にリサイズ処理を施すことにより、前記周波数帯域の異なる複数の画像を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 入力された画像を複数の領域に分割する分割工程と、
前記分割工程において分割された前記複数の領域のそれぞれの輝度情報に基づいて、前記画像に階調補正を行うための階調特性を決定する決定工程と、
前記入力された画像から周波数帯域の異なる複数の画像を生成する生成工程と、
生成された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を前記階調特性に基づいてゲインに変換する変換工程と、
ゲインに変換された前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号を重み付けして加算する加算工程と、
前記画像に前記加算工程において加算されたゲインを乗じることにより前記画像を補正する補正工程と、を備え、
前記加算工程では、前記入力された画像が撮影された時の撮影条件および前記複数の領域の情報の少なくともいずれかに基づいて、前記周波数帯域の異なる複数の画像の信号の重み付けを決定することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項10に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項10に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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JP2015192219A JP2017068513A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | 画像処理装置及びその方法、プログラム、記憶媒体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018181070A (ja) * | 2017-04-17 | 2018-11-15 | キヤノン株式会社 | 画像処理装置および画像処理方法 |
US11363193B2 (en) | 2017-11-03 | 2022-06-14 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Electronic apparatus and image correction method thereof |
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- 2015-09-29 JP JP2015192219A patent/JP2017068513A/ja active Pending
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