JP2017064602A - シロキサン化合物除去設備 - Google Patents
シロキサン化合物除去設備 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017064602A JP2017064602A JP2015191216A JP2015191216A JP2017064602A JP 2017064602 A JP2017064602 A JP 2017064602A JP 2015191216 A JP2015191216 A JP 2015191216A JP 2015191216 A JP2015191216 A JP 2015191216A JP 2017064602 A JP2017064602 A JP 2017064602A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- siloxane compound
- chemical filter
- adsorbent
- present
- filter
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
Abstract
【課題】シロキサン化合物を低濃度環境下で効率的に除去可能であり、容易に得ることができるシロキサン化合物除去設備を提供する。
【解決手段】本発明のシロキサン化合物除去設備は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に設置された、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタとを有することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のシロキサン化合物除去設備は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に設置された、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタとを有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、シロキサン化合物を流体中(特に、空気中)から除去するための設備に関する。また、本発明は、該設備を用いた流体浄化方法に関する。
生活環境において、あらゆる環境下にシロキサン化合物が存在している。例えば、環状シロキサン化合物は、一般家庭、クリーンルーム内等の建物内に存在するパッキング部やシール材、建築現場等で使用される接着剤、シャンプー、化粧品等、生活環境内に存在するあらゆる物質に用いられている。
また、半導体製造プロセスの露光工程において、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のようなジシラザン化合物が、フォトレジスト密着剤として使用されることが知られている。HMDSは、例えばガスとしてウエハ表面に吹き付けられることにより、ウエハ表面の水酸基をトリメチルシラノール基に置換させることで、ウエハ表面を疎水化させて、ウエハ表面のレジスト剤との密着性を向上させている。しかしながら、空気中に環状シロキサン化合物が存在する場合、環状シロキサン化合物がウエハ表面に付着すると半導体の特性を変えてしまい、低濃度でも製品歩留まりを低下させるおそれがある。
環状シロキサン化合物の除去には、通常、吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタが使用されている。活性炭を用いた吸着剤としては、例えば、平均細孔径が異なる2種類の活性炭を有するシロキサン除去用活性炭が知られている(特許文献1参照)。
また、活性炭の他に、環状シロキサン化合物の吸着剤として、スルホン酸基等の酸性官能基が導入された樹脂又は多孔質材料が使用されている。このような吸着剤としては、例えば、スルホン酸基を有する樹脂を含むシロキサン除去剤(特許文献2参照)、スルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを多孔質材料に添着させた多孔質物質(特許文献3、4参照)、平均細孔直径が3〜20nmの無機多孔質体に解離指数が2.2以下で、分子量が1000以下である酸性化合物を含有したシロキサン除去剤(特許文献5参照)等が知られている。吸着剤として、このような酸性官能基が導入された樹脂又は多孔質材料を用いると、シロキサン類を選択的に効率良く除去できると記載されている。
しかしながら、上記特許文献1のように、吸着剤として活性炭を用いた場合、一旦吸着されたシロキサン類が脱離することがあった。
また、環状シロキサン化合物は、通常の環境においては有機ガス成分等の他のガス成分と共に大気中に存在することが多い。このため、他のガス成分が多く存在する場合、上記特許文献1に記載のような、活性炭を用いた吸着剤では、環状シロキサン化合物の除去と他のガス成分の除去とは競合になるため、環状シロキサン化合物の除去効率(除去性能、又は除去能力)は他のガス成分の存在量に応じて変動する。さらに、他のガス成分が大気中に存在する量は日々異なることが多い。このため、活性炭が除去する環状シロキサン化合物の量が日々変動するため、活性炭を用いた吸着剤や該吸着剤を用いたフィルタの残り寿命の予測が困難であった。
特許文献2では、強酸型イオン交換樹脂を用いている。しかしながら、スルホン酸基を有する樹脂はシロキサン化合物の吸着能力が低いのが通常であり、多孔質担体への担持の有無に関わらず、シロキサン類ガスを十分に除去できないという問題がある。さらに、樹脂は分子量が大きいため、スルホン酸基の近傍には常に樹脂が存在しているが、前記樹脂はシロキサン化合物の吸着能力が低く、スルホン酸基とシロキサン化合物との反応の進行が遅くなり、脱離してしまうという問題がある。
また、特許文献2では、強酸型イオン交換樹脂により環状シロキサン類を重合させて吸着しており、特許文献5では、吸着したシロキサン類ガスが酸性化合物により活性化され、活性化されていないシロキサン類ガスと反応させて吸着している。このように、引用文献2及び5には、シロキサン化合物同士を反応させて吸着することが記載されている。しかし、空気中のシロキサン化合物の濃度が極めて低濃度の場合には、シロキサン化合物同士の反応が起こりにくいため、この方法では除去効率が必ずしも十分とは言えない。
特許文献3及び4では、スルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを多孔質材料に添着させたものを用いている。しかし、このようなスルホン酸基修飾金属酸化物ゾルを得るためには煩雑な工程により作製する必要があり、シロキサン化合物を効率よく除去できる吸着剤やケミカルフィルタを容易に得ることができない。
このため、シロキサン化合物を低濃度環境下で効率よく除去することができ、容易に得ることができるケミカルフィルタが求められているのが現状である。
従って、本発明の目的は、シロキサン化合物を低濃度環境下で効率的に除去可能であり、容易に得ることができるシロキサン化合物除去設備を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、さらに、シロキサン化合物を選択的に除去可能なシロキサン化合物除去設備を提供することにある。また、本発明の他の目的は、流体中(特に、空気中)に存在するシロキサン化合物を効率的に除去できる流体浄化方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、さらに、シロキサン化合物を選択的に除去可能なシロキサン化合物除去設備を提供することにある。また、本発明の他の目的は、流体中(特に、空気中)に存在するシロキサン化合物を効率的に除去できる流体浄化方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、純水との水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、その上流に設置された、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去するケミカルフィルタとを有する設備によれば、流体中(特に、空気中)のシロキサン化合物を極めて効率よく除去できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に設置された、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタとを有することを特徴とするシロキサン化合物除去設備を提供する。
前記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ及びシラノール化合物除去用ケミカルフィルタからなる群より選ばれた少なくとも1種であってもよい。
前記無機シリカ系多孔質材料は、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、アロフェン、イモゴライト、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、メソポーラスシリカ、アルミノケイ酸塩、ヒュームドシリカ、フライアッシュ、及びクリンカアッシュからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機シリカ系多孔質材料であってもよい。
前記吸着剤として、前記水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料とともに、他の吸着剤を用いてもよい。
前記無機シリカ系多孔質材料として、水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である、合成ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、及び活性白土からなる群より選ばれた少なくとも1種を、吸着剤の総重量に対して、10重量%以上含んでいてもよい。
前記無機シリカ系多孔質材料として水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である合成ゼオライトを含み、前記合成ゼオライトが、A型、フェリエライト、MCM−22、ZSM−5、ZSM−11、SAPO−11、モルデナイト、ベータ型、X型、Y型、L型、チャバザイト、及びオフレタイトからなる群より選ばれた少なくとも1種の骨格構造を有する合成ゼオライトであってもよい。
また、本発明は、前記のシロキサン化合物除去設備を用いてシロキサン化合物を除去することを特徴とする流体浄化方法を提供する。
本発明のシロキサン化合物除去設備によれば、一旦吸着したシロキサン化合物が再度脱離しないため、活性炭と比較して除去効果が長時間持続する。また、シロキサン化合物の除去にあたりシロキサン化合物同士を反応させる必要が無いため、低濃度環境下でも効率よく除去できる。さらに、シロキサン化合物除去能を低下させるような阻害物質によってシロキサン化合物除去能が低下することがないため、シロキサン化合物の除去効果が長時間持続する。また、吸着剤、ケミカルフィルタ、及びシロキサン化合物除去設備が、煩雑な工程を経る必要がなく作製することができ、容易に得ることができる。
さらに、他に、本発明のシロキサン化合物除去設備によれば、シロキサン化合物を選択的に除去しやすい。このため、シロキサン化合物と共に他のガス成分が存在する環境下であってもシロキサン化合物を効率的に除去しやすい。また、これにより、シロキサン化合物除去設備の残り寿命の予測が比較的容易となる。
さらに、本発明のシロキサン化合物除去設備によれば、特に、空気中のシロキサン化合物を極めて効率よく除去することができるため、吸着剤の使用量をごく少量とすることができ、また、フィルタ基材の枚数も削減することができ、省エネルギー、低コスト、省スペースとすることができる傾向がある。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタとを少なくとも有する。本明細書では、上記「純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタ」を、「本発明のケミカルフィルタ」と称する場合がある。また、本明細書において、上記「シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタ」、即ち「本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタ」を、単に「阻害物質除去用ケミカルフィルタ」と称する場合がある。
[本発明のケミカルフィルタ]
本発明のケミカルフィルタは、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いているシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタである。なお、本明細書では、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を用いた吸着剤を、「本発明の吸着剤」と称する場合がある。また、本明細書において、「水混合物のpH」は、特に断りのない限り、「水混合物(含有割合:5wt%)のpH」を言うものとする。
本発明のケミカルフィルタは、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いているシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタである。なお、本明細書では、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を用いた吸着剤を、「本発明の吸着剤」と称する場合がある。また、本明細書において、「水混合物のpH」は、特に断りのない限り、「水混合物(含有割合:5wt%)のpH」を言うものとする。
(本発明の吸着剤)
本発明のケミカルフィルタは、無機シリカ系多孔質材料を必須の吸着剤として用いている。上記無機シリカ系多孔質材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明のケミカルフィルタは、無機シリカ系多孔質材料を必須の吸着剤として用いている。上記無機シリカ系多孔質材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記無機シリカ系多孔質材料は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.5、さらに好ましくは4〜6である。上記pHが7以下であることにより、シロキサン化合物を高効率で除去することができる。
本明細書において、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHとは、水混合物全体に対して、当該水混合物中に混合させる物質(対象物質)の含有割合が5wt%である条件で測定したときのpHをいう。例えば、無機シリカ系多孔質材料の、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHは、無機シリカ系多孔質材料の含有割合が5wt%である条件で測定したときのpHである。上記水混合物のpHは、例えば、pH測定器を用いて測定することができる。なお、上記無機シリカ系多孔質材料に添着剤等を添着したものを本発明の吸着剤として用いる場合、上記「純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpH」は、添着剤等を添着する前の状態(即ち、添着剤等を添着していない状態)の無機シリカ系多孔質材料の、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHを言うものとする。
本明細書において、水混合物(含有割合:5wt%)は、例えば、以下の「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」によって作製することができる。
水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法
上記水混合物(含有割合:5wt%)は、例えば、含有割合が5wt%となるように、水混合物のpHの測定の対象とするサンプル(「対象サンプル」と称する場合がある)を純水に混合し、十分に撹拌したのち静置して作製することができる。上記水混合物の作製には純水を使用するが、有機溶媒と純水との混合溶媒を使用してもよい。ただし、有機溶媒を使用する場合、有機溶媒の種類や濃度によっては酸解離定数が大きく変動するため、一般的に、アルコールなどの水溶性の有機溶媒であって、pHに大きな影響を与えない範囲の濃度とする。なお、上記「wt%」は、「重量%」と同一の意味である。含有割合が5wt%である水混合物を作製するには、具体的には、例えば、対象サンプルを、秤などを用いて5g計り取り、さらに純水を加え、全体を100gとし、液を十分に撹拌することで作製することができる。例えば、無機シリカ系多孔質材料の水混合物(含有割合:5wt%)は、無機シリカ系多孔質材料を上記対象サンプルとして作製することができる。
上記水混合物(含有割合:5wt%)は、例えば、含有割合が5wt%となるように、水混合物のpHの測定の対象とするサンプル(「対象サンプル」と称する場合がある)を純水に混合し、十分に撹拌したのち静置して作製することができる。上記水混合物の作製には純水を使用するが、有機溶媒と純水との混合溶媒を使用してもよい。ただし、有機溶媒を使用する場合、有機溶媒の種類や濃度によっては酸解離定数が大きく変動するため、一般的に、アルコールなどの水溶性の有機溶媒であって、pHに大きな影響を与えない範囲の濃度とする。なお、上記「wt%」は、「重量%」と同一の意味である。含有割合が5wt%である水混合物を作製するには、具体的には、例えば、対象サンプルを、秤などを用いて5g計り取り、さらに純水を加え、全体を100gとし、液を十分に撹拌することで作製することができる。例えば、無機シリカ系多孔質材料の水混合物(含有割合:5wt%)は、無機シリカ系多孔質材料を上記対象サンプルとして作製することができる。
上記無機シリカ系多孔質材料は、特に限定されないが、比表面積(BET比表面積)が10m2/g以上(例えば、10〜800m2/g)であってもよく、好ましくは50m2/g以上(例えば、50〜750m2/g)、より好ましくは100m2/g以上(例えば、100〜700m2/g)である。
上記無機シリカ系多孔質材料は、特に限定されないが、多孔質材料中のSiO2の含有量が5重量%以上(例えば、5〜100重量%)であってもよく、好ましくは50重量%以上、より好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上である無機シリカ系多孔質材料などが挙げられる。
上記無機シリカ系多孔質材料としては、特に限定されないが、例えば、ゼオライト(例えば、合成ゼオライト、天然ゼオライト等)、シリカゲル、シリカアルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物(例えば、タルク)、アロフェン、イモゴライト、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、メソポーラスシリカ、アルミノケイ酸塩、ヒュームドシリカ、フライアッシュ、クリンカアッシュなどが挙げられる。吸着剤として上記無機シリカ系多孔質材料を用いることにより、シロキサン化合物を高効率で除去することができる。中でも、ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、活性白土が好ましく、より好ましくは合成ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、活性白土である。吸着剤としてゼオライト(特に、合成ゼオライト)、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、又は活性白土を用いると、より長期間に亘ってシロキサン化合物を効率よく除去し続けることができる。中でも、無機シリカ系多孔質材料としてゼオライト(特に、合成ゼオライト)、シリカゲルを用いた場合、直鎖状シロキサン化合物及び環状シロキサン化合物両方のシロキサン化合物の除去効率が顕著に優れる傾向がある。また、無機シリカ系多孔質材料としてシリカゲル、珪藻土を用いた場合、該シロキサン化合物をより選択的に除去することができる傾向がある。上記無機シリカ系多孔質材料は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。なお、上記合成ゼオライトには、人工ゼオライトが含まれるものとする。
上記ゼオライトは、主にケイ素元素(Si)、アルミニウム元素(Al)、及び酸素元素(O)から構成される骨格を有する多孔質材料であるが、当該骨格中の一部又は全部のアルミニウム元素(Al)を、鉄元素(Fe)、ホウ素元素(B)、ガリウム元素(Ga)等の3価の金属元素;亜鉛元素(Zn)等の2価の金属元素に置き換えたものであってもよい。
上記ゼオライトの細孔構造は、特に限定されない。ゼオライトの員環数は、特に限定されないが、例えば4〜20、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜12である。なお、ゼオライトの員環数は、一般的に細孔環構造中のO原子数で表す。また、ゼオライトの細孔接続(channel system)は、特に限定されないが、1〜3次元が好ましく、より好ましくは3次元である。特に、員環数が12であり、細孔接続が3次元である細孔構造を有するゼオライト(特に、合成ゼオライト)が好ましい。
上記合成ゼオライトとしては、特に限定されないが、例えば、A型、フェリエライト、MCM−22、ZSM−5、ZSM−11、SAPO−11、モルデナイト、ベータ型、X型、Y型、L型、チャバザイト、オフレタイト等の骨格構造を有する合成ゼオライトなどが挙げられる。なお、上記合成ゼオライトは、1種の骨格構造のゼオライトを使用してもよいし、2種以上のゼオライトを組み合わせて使用してもよい。また、合成ゼオライトの形状は、粉末状に作製されたものでもよいし、膜状に作製されたものを使用してもよい。
上記人工ゼオライトとしては、例えば、一般に、石炭火力発電所から排出される石炭灰や製紙工場から排出される製紙スラッジ焼却灰など、ケイ素やアルミニウムを含む廃棄物から製造されたゼオライトなどが挙げられる。上記人工ゼオライトは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記天然ゼオライトとしては、特に限定されないが、例えば、クリノプチロライト(斜プチロル沸石)、モルデナイト(モルデン沸石)、菱沸石、ナトロライト、ゴンナルダイト、エディングトナイト、アナルシム、リューサイト、ユガワラライト、ギスモンダイン、ポーリンジャイト、フィリップサイト、チャバザイト、エリオナイト、ホージャサイト、フェリエライト、ミューティナアイト、チェルニヒアイト、ヒューランダイト、スティルバイト、コウレサイト、アルミノケイ酸塩、ベリロケイ酸塩(ロギアナイト、シャンハライト等)、ジンコケイ酸塩(ガウルタイト)などが挙げられる。上記天然ゼオライトは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ゼオライトは、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.8、さらに好ましくは3.5〜6.7、特に好ましくは4〜6.5である。なお、ゼオライトの水混合物(含有割合:5wt%)は、上記「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」により、ゼオライトを対象サンプルとして作製することができる。
上記合成ゼオライトにおけるSiO2とAl2O3の比(モル比)[SiO2/Al2O3]は、特に限定されないが、シロキサン化合物の除去効率の観点から、4〜2000であってもよく、好ましくは5〜1500、より好ましくは10〜1000、さらに好ましくは12〜600である。上記[SiO2/Al2O3]は、ゼオライトの親水性或いは疎水性を示す指標と考えられる。[SiO2/Al2O3]が高い(即ち、シリカ比が高くアルミナ比が低い)と、疎水性が高くなる傾向がある。一方、[SiO2/Al2O3]が低い(即ち、シリカ比が低くアルミナ比が高い)と、親水性が高くなる傾向がある。親水性が高すぎる(即ち、疎水性が低すぎる)と、骨格表面が水分子で覆われ、疎水性のシロキサン化合物が吸着サイト(吸着する場所)へ近づきにくくなる。親水性が低すぎる(即ち、疎水性が高すぎる)と、ゼオライト中の酸点が少なくなり、シロキサン化合物の除去効率が低下する傾向がある。このため、例えば、[SiO2/Al2O3]を上記範囲内とすることにより、ゼオライトの親水性或いは疎水性を適宜調節でき、シロキサン化合物の除去効率がより優れるようにすることができる。中でも、シロキサン化合物が環状シロキサン化合物である場合、上記合成ゼオライトは疎水性が高いことが好ましく[SiO2/Al2O3]が高い方が好ましい。
上記ゼオライトは、特に限定されないが、骨格構造中に陽イオンを含んでいてもよい。上記陽イオンとしては、特に限定されないが、例えば、水素イオン(H+);アンモニウムイオン(NH4 +);アルキル置換のアンモニウムイオン(例えば、メチルアンモニウムイオン((CH3)H3N+)、ジメチルアンモニウムイオン((CH3)2H2N+)、トリメチルアンモニウムイオン((CH3)3HN+)、テトラメチルアンモニウムイオン((CH3)4N+)等);アリール又はアラルキル置換のアンモニウムイオン;リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、バリウムイオン(Ba2+)等のアルカリ土類金属イオン;亜鉛イオン(Zn2+)、スズイオン(Sn2+、Sn4+)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、白金イオン(Pt2+)、パラジウムイオン(Pd2+)、チタンイオン(Ti3+)、銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu+、Cu2+)、マンガンイオン(Mn2+、Mn4+)、コバルトイオン(Co2+)等の遷移金属イオン;ガリウムイオン(Ga+)などが挙げられる。上記陽イオンは1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。上記ゼオライト中の上記陽イオンの含有量は特に限定されない。特に、プロトン型ゼオライトと呼ばれる、骨格構造中に含まれている陽イオンとして水素イオン(H+)の含有率が多いゼオライトが好ましい。
なお、上記ゼオライトの比表面積(BET比表面積)、平均粒子径(平均粒径)、平均細孔径(直径)、全細孔容積などは、特に限定されない。また、上記ゼオライトは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ゼオライトとして、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを酸処理して得られる酸処理物、天然ゼオライト又は合成ゼオライトを水熱処理して得られる水熱処理物、アンモニウム型ゼオライトを焼成処理して得られるアンモニウム処理物、プロトン型ゼオライトを用いてもよい。
上記酸処理物及び上記水熱処理物は、酸処理における酸又は水熱処理における加熱水蒸気によってゼオライト中の陽イオンとアルミニウム元素が脱離することによってゼオライト中のシラノール基が増加するためと推測されるが、水混合物のpHが7以下となり、シロキサン化合物の除去効率が高くなる。
上記プロトン型ゼオライトとしては、例えば、天然ゼオライトや合成ゼオライト中の水素イオン以外の全陽イオン(例えば、金属イオン、アンモニウムイオン等)のうちの少なくとも一部の陽イオンを水素イオンに置き換えたもの、水素イオンを多く含むように作製された合成ゼオライトなどが挙げられる。また、上記プロトン型ゼオライトは、例えば、天然ゼオライト又は合成ゼオライト中のナトリウムイオンなどの陽イオンをアンモニウムイオンにイオン交換した後、焼成する方法などを用いて作製することもできる。なお、一般的には、ゼオライト中の陽イオンを水素イオンに置き換えられたものをプロトン型ゼオライトと称されており、上記プロトン型ゼオライトは、ゼオライト中の少なくとも一部の陽イオンが水素イオンに置き換えられていればよく、ゼオライト中の全ての陽イオンが水素イオンに置き換えられているものには限定されない。
プロトン型ゼオライトは、触媒として用いることはあるが、吸着剤として用いることは一般的ではない。なお、ゼオライトが吸着剤として使用される場合もあると思われるが、吸着剤として使用されるゼオライトは塩基性のもの、即ち水混合物のpHが7を超えるものがほとんどである。ゼオライトが吸着剤として使用されている具体的な態様としては、例えばモレキュラーシーブが有名であるが、モレキュラーシーブが除去する物質は水であり、これは、ゼオライトの分子ふるい機能やゼオライト中に存在するNaイオン等の金属イオンに水が配位することによって主に除去するものである。このようにゼオライト中のNaイオンを利用する場合、使用するゼオライトの水混合物のpHは7を超える。さらに、固体酸型ゼオライトが吸着剤として使用されている例は極めて希である。例えば、固体酸型ゼオライトの酸、及びイオン交換能を利用して中和反応によりアンモニア等の塩基性化合物を除去するものがある。しかしながら、除去対象は無機化合物や塩基性化合物に限られているのが現状である。即ち、有機化合物であるシロキサン化合物の除去に水混合物のpHが7以下であるゼオライトを用いることはこれまでに例がない。
上記酸性白土としては、特に限定されず、各地で産出される酸性白土を用いることができる。例えば、新潟県産の酸性白土、山形県産の酸性白土などが挙げられる。上記酸性白土は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記活性白土は、上記酸性白土を酸処理することによって得られ、例えば、上記酸性白土を硫酸等の鉱酸でモンモリロナイトの基本構造の全部を破壊しない程度に酸処理することにより、MgやFeの酸化物等の金属酸化物が溶出し、比表面積や細孔容積を増大させたものなどが挙げられる。上記活性白土は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記酸性白土及び上記活性白土は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.5、さらに好ましくは3.2〜5、特に好ましくは3.5〜4.7である。なお、酸性白土の水混合物(含有割合:5wt%)及び活性白土の水混合物(含有割合:5wt%)は、上記「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」により、酸性白土又は活性白土を対象サンプルとして作製することができる。
上記珪藻土としては、特に限定されず、各地で産出される珪藻土を用いることができる。例えば、北海道稚内産の珪藻土(珪藻頁岩)、秋田県綴子産の珪藻土、岡山県蒜山産の珪藻土、大分県九重産の珪藻土、石川県能登産の珪藻土(珪藻泥岩)などのいずれの珪藻土であってもよい。中でも、北海道稚内産の珪藻土が好ましい。上記珪藻土は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記珪藻土は、純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.7、さらに好ましくは3.2〜6.5、特に好ましくは3.5〜6.2である。なお、珪藻土の水混合物(含有割合:5wt%)は、上記「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」により、珪藻土を対象サンプルとして作製することができる。
合成ゼオライト、酸性白土、活性白土、珪藻土以外の無機シリカ系多孔質材料(「その他の無機シリカ系多孔質材料」と称する場合がある)は、純水に混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.5、さらに好ましくは3.5〜6.3、特に好ましくは4〜6である。なお、その他の無機シリカ系多孔質材料の水混合物(含有割合:5wt%)は、上記「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」により、その他の無機シリカ系多孔質材料を対象サンプルとして作製することができる。
合成ゼオライト以外の無機シリカ系多孔質材料において、SiO2の含有量は、特に限定されないが、無機シリカ系多孔質材料の総重量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)であってもよく、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
上記無機シリカ系多孔質材料は、特に限定されないが、添着剤等が添着されていないことが好ましい。即ち、上記無機シリカ系多孔質材料には、添着剤等が添着された無機シリカ系多孔質材料が除かれることが好ましい。上記添着剤としては、酸性物質の添着剤や塩基性物質の添着剤、酸化剤などが挙げられる。例えば、酸性物質の添着剤を添着すると、上記無機シリカ系多孔質材料の骨格が変化するおそれや、細孔が酸性物質で埋められるおそれがある。
本発明の吸着剤は、特に限定されないが、必要に応じて、上記水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料以外の吸着剤(他の吸着剤)を含んでいてもよい。即ち、本発明の吸着剤として、上記水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料とともに、他の吸着剤を用いてもよい。上記他の吸着剤としては、例えば、上記水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料以外の多孔質材料、その他のシリカ、粘土鉱物、活性炭、アルミナ、ガラスなどが挙げられる。吸着剤として上記他の吸着剤を併用することで、本発明の効果に加えて、他の吸着剤の効果を有するケミカルフィルタとすることもできる。
本発明の吸着剤中(全吸着剤中)の上記水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料の含有量は、特に限定されないが、シロキサン化合物の除去効率の観点から、吸着剤の総重量(100重量%)に対して、10重量%以上(例えば、10〜100重量%)が好ましく、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。
本発明の吸着剤は、中でも、水混合物のpHが7以下の無機シリカ系多孔質材料として、ゼオライト(特に、合成ゼオライト)、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、又は活性白土を、吸着剤の総重量(100重量%)に対して10重量%以上(例えば、10〜100重量%、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上)含有することが好ましい。なお、上記無機シリカ系多孔質材料として、ゼオライト(特に、合成ゼオライト)、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、及び活性白土のうちの2以上を含む場合、上記含有量は、上記2以上の合計の含有量である。
本発明のケミカルフィルタは、水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたものであれば、特に限定されない。上記ケミカルフィルタとしては、例えば、フィルタ基材に本発明の吸着剤が付着(固着)されているケミカルフィルタが挙げられる。なお、本発明の吸着剤がバインダとしての機能も有するものである場合、バインダを用いずに吸着剤をフィルタ基材に付着させることもできるが、本発明の吸着剤はバインダを用いてフィルタ基材に付着されていることが好ましい。即ち、上記ケミカルフィルタは、フィルタ基材に、バインダを用いずに本発明の吸着剤が付着されている(あるいは、本発明の吸着剤のみが付着されている)ケミカルフィルタであってもよいが、フィルタ基材に本発明の吸着剤がバインダを用いて付着されているケミカルフィルタであることが好ましい。
本発明の吸着剤は、特に限定されないが、ペレット化されていてもよい。即ち、本発明の吸着剤は、ペレット化された吸着剤であってもよい。即ち、本発明のケミカルフィルタは、ペレット化された本発明の吸着剤を含んでもよい。上記ペレット化は、例えば、本発明の吸着剤の粉末を、上記バインダを用いて造粒して行うことができる。
(フィルタ基材)
上記フィルタ基材としては、特に限定されず、ケミカルフィルタのフィルタ基材として一般に用いられるものを使用できる。上記フィルタ基材としては、例えば、有機繊維や無機繊維等の繊維から構成される繊維状基材(織布あるいは不織布)、紙、ポリウレタンフォーム等から構成される発泡体、耐火性金属酸化物や耐火性無機物(例えば、アルミニウム等の金属、セラミックスなど)を使用したフィルタ基材などが挙げられる。上記繊維状基材の織布の形状は特に限定されず、例えば、メッシュ状に繊維を織ったものなどが挙げられる。中でも、上記フィルタ基材として、繊維状基材が好ましい。
上記フィルタ基材としては、特に限定されず、ケミカルフィルタのフィルタ基材として一般に用いられるものを使用できる。上記フィルタ基材としては、例えば、有機繊維や無機繊維等の繊維から構成される繊維状基材(織布あるいは不織布)、紙、ポリウレタンフォーム等から構成される発泡体、耐火性金属酸化物や耐火性無機物(例えば、アルミニウム等の金属、セラミックスなど)を使用したフィルタ基材などが挙げられる。上記繊維状基材の織布の形状は特に限定されず、例えば、メッシュ状に繊維を織ったものなどが挙げられる。中でも、上記フィルタ基材として、繊維状基材が好ましい。
上記繊維状基材における繊維としては、例えば、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維等の無機繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維等)、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、パルプ繊維、レーヨン繊維等の有機繊維などが挙げられる。上記の中でも、ケミカルフィルタの強度を高める観点、及び繊維からのアウトガスなどによる汚染が少ない観点から、無機繊維が好ましく、より好ましくはガラス繊維である。即ち、上記フィルタ基材としては、ガラス繊維を用いた繊維状基材(ガラスクロス(ガラス布))が好ましい。上記繊維は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記無機繊維及び上記有機繊維の形状は特に限定されない。
(バインダ)
上記バインダは、吸着剤のフィルタ基材への付着を促進させることや、吸着剤のペレット化に使用することができる。上記バインダとしては、特に限定されず、公知乃至慣用のフィルタ用(例えば、エアフィルタ用、ケミカルフィルタ用等)のバインダを用いることができる。上記バインダとしては、有機バインダであってもよいし、無機バインダであってもよい。上記バインダは、特に限定されないが、無機バインダであることが好ましい。上記バインダは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記バインダは、吸着剤のフィルタ基材への付着を促進させることや、吸着剤のペレット化に使用することができる。上記バインダとしては、特に限定されず、公知乃至慣用のフィルタ用(例えば、エアフィルタ用、ケミカルフィルタ用等)のバインダを用いることができる。上記バインダとしては、有機バインダであってもよいし、無機バインダであってもよい。上記バインダは、特に限定されないが、無機バインダであることが好ましい。上記バインダは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記バインダは、酸性であってもよいし、塩基性であってもよいが、酸性であることが好ましい。上記バインダが酸性であると、シロキサン化合物の除去効率が塩基性のバインダを使用したときより上昇する傾向がある。酸性のバインダは、純水に混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下(例えば、3〜7)であり、好ましくは7未満(例えば、3以上7未満)、より好ましくは3〜6.8、さらに好ましくは3.5〜6.7、特に好ましくは4〜6.5である。なお、バインダの水混合物(含有割合:5wt%)は、上記「水混合物(含有割合:5wt%)の作製方法」により、バインダを対象サンプルとして作製することができる。なお、上記バインダがコロイダルシリカなど溶媒を含むバインダである場合、上記含有割合は、上記水混合物に対する、上記バインダ中の固形分の含有割合である。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ABS樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース、アラビヤゴムなどが挙げられる。上記有機バインダは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記無機バインダとしては、上記無機シリカ系多孔質材料の表面を完全に覆わない粒子状のものが好ましく、例えば、ケイ酸ソーダ、シリカゾル、アルミナゾル、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイド状酸化スズ、コロイド状酸化チタンなどの無機酸化物粒子等が挙げられ、中でも、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイド状酸化スズ、コロイド状酸化チタン等のコロイド状の無機酸化物粒子などが好ましく挙げられる。中でも、コロイダルシリカが好ましい。上記無機バインダは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記無機バインダの平均粒子径(一次粒子径)、比表面積(BET比表面積)、平均細孔径(直径)、全細孔容積などは、特に限定されない。
(ケミカルフィルタの構造)
本発明のケミカルフィルタが有する構造は、特に限定されず、ハニカム構造、プリーツ構造、ペレット充填構造、三次元網目構造、シート包装構造などが挙げられる。これらの中でも、ハニカム構造、プリーツ構造、三次元網目構造が好ましく、圧力損失を抑制する観点から、ハニカム構造が特に好ましい。本発明の吸着剤として、ペレット化された吸着剤(ペレット)を用いる場合は、特に限定されないが、プリーツ構造、ペレット充填構造、又は三次元網目構造であることが好ましい。本発明のケミカルフィルタは、1種の構造のみを有していてもよいし、2種以上の構造を組み合わせて有していてもよい。
本発明のケミカルフィルタが有する構造は、特に限定されず、ハニカム構造、プリーツ構造、ペレット充填構造、三次元網目構造、シート包装構造などが挙げられる。これらの中でも、ハニカム構造、プリーツ構造、三次元網目構造が好ましく、圧力損失を抑制する観点から、ハニカム構造が特に好ましい。本発明の吸着剤として、ペレット化された吸着剤(ペレット)を用いる場合は、特に限定されないが、プリーツ構造、ペレット充填構造、又は三次元網目構造であることが好ましい。本発明のケミカルフィルタは、1種の構造のみを有していてもよいし、2種以上の構造を組み合わせて有していてもよい。
上記ハニカム構造には、いわゆる蜂の巣状の構造の他、例えば、断面が格子状、円形状、波形状、多角形状、不定形状、全部あるいは一部に曲面を有する形状などであって、流体(特に、空気)が構造体の要素となるセルを通過し得る構造が全て含まれる。
上記ハニカム構造としては、例えば、コルゲート加工によって成形されたコルゲート状のシートと平坦状のシートが交互に積層して得られる構造(コルゲート状ハニカム構造)、プリーツ形状のシートと平坦状のシートからなる構造であって、通気方向に対して、プリーツ形状のシートと直角に平坦状のシートを順に積層した構造などが挙げられる。
ハニカム構造を有する本発明のケミカルフィルタとしては、例えば、繊維状基材を用いたフィルタ基材がコルゲート状ハニカム構造を有するケミカルフィルタ、繊維状基材を用いたフィルタ基材が蜂の巣状の構造を有するケミカルフィルタ、アルミニウム等の金属製のフィルタ基材が蜂の巣状の構造を有するケミカルフィルタなどが挙げられる。
上記プリーツ構造には、例えば、限られたスペースの中でろ過面積を効率的に拡大することを目的として、波形あるいはV字型が連続するように加工されたジャバラ形状を有する構造が含まれる。
上記ペレット充填構造は、例えば、上記ペレット化された吸着剤を、流体(特に、気体)が内部を通過できる構造のケーシング内に充填した構造が挙げられる。また、吸着剤の粉末の粒径が、ケーシング内で保持できる程度に大きい粒径を有する場合は、上記ペレット充填構造の代わりに、ペレット化せず、粉末のままでもケーシング内に充填した構造とすることもできる。
上記三次元網目構造は、例えば、上記ポリウレタンフォーム等から構成される発泡体や、ガラス繊維(グラスウール等)やロックウール繊維、あるいは上記繊維状基材の繊維を立体的に加工して作製した網目構造体のフィルタ基材を有する構造、あるいは針状繊維化されたポリテトラフルオロエチレンなどが好ましく例示される。
上記シート包装構造は、例えば、不織布やPTFEなどのエアが通気するシートを任意の大きさの袋状に成型し、その内部に吸着剤を充填した構造等が挙げられる。また、吸着剤の粒径はシートの外に吸着剤の粒子が漏れないようにペレット化することもあるが、シート次第では粉末のまま使用することもできる。
(本発明のケミカルフィルタの製造方法)
本発明のケミカルフィルタの製造方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の吸着剤を有するケミカルフィルタの製造方法を用いることができる。本発明のケミカルフィルタは、特に限定されないが、例えば、フィルタ基材に本発明の吸着剤を付着させる工程(吸着剤付着工程)を少なくとも有する。本発明のケミカルフィルタの製造方法は、特に限定されないが、上記吸着剤付着工程以外の工程(他の工程)を有していてもよい。また、上記フィルタ基材は、市販のフィルタ基材を購入してそのまま使用してもよい。
本発明のケミカルフィルタの製造方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の吸着剤を有するケミカルフィルタの製造方法を用いることができる。本発明のケミカルフィルタは、特に限定されないが、例えば、フィルタ基材に本発明の吸着剤を付着させる工程(吸着剤付着工程)を少なくとも有する。本発明のケミカルフィルタの製造方法は、特に限定されないが、上記吸着剤付着工程以外の工程(他の工程)を有していてもよい。また、上記フィルタ基材は、市販のフィルタ基材を購入してそのまま使用してもよい。
上記吸着剤付着工程において、本発明の吸着剤の付着は、例えば、上記フィルタ基材を、本発明の吸着剤、溶媒(例えば水など)、及び、必要に応じて上記バインダを含む懸濁液中に浸漬した後、懸濁液から取り出し、乾燥することにより行うことができる。上記懸濁液には、本発明の効果を損なわない範囲内で、沈降防止剤を含んでいてもよい。
本発明の吸着剤の付着は、他に、上記フィルタ基材に、上記溶媒と必要に応じて上記バインダを含む懸濁液中に浸漬した後、懸濁液から取り出し、乾燥し、その後、フィルタ基材表面に本発明の吸着剤を分散して付着させることにより行うこともできる。
本発明の吸着剤の付着は、他に、本発明の吸着剤と、上記溶媒と、必要に応じて上記バインダを含む混合溶液を、スプレー等を用いて上記フィルタ基材(特に、不織布)に塗布して付着させることにより行うこともできる。
本発明の吸着剤の付着は、他に、上記フィルタ基材に、本発明の吸着剤の粉末を造粒して製造したペレットを、接着剤等で付着させたり、フィルタ基材内部に充填したりして行うこともできる。本発明の吸着剤の粉末を造粒する際には、必要に応じて上記バインダを混合してもよい。本発明の吸着剤の粉末、上記バインダ及び溶媒(好ましくは水)を適量含んだ状態で混合すると、粘土状の粘性と可塑性を示すようになり、造粒が可能となる。
本発明の吸着剤の付着は、他に、針状繊維化されたポリテトラフルオロエチレン樹脂を用い、該針状繊維に本発明の吸着剤を捕捉させて担持させることにより行うこともできる。
本発明の吸着剤は、他に、本発明の吸着剤がナノファイバー中に含有される状態で付着していてもよい。上記ナノファイバーとしては、公知乃至慣用のナノファイバーを用いることができる。また、上記ナノファイバーは、公知乃至慣用のナノファイバーの製造方法により作製することもできる。上記ナノファイバーの製造方法としては、例えば、エレクトロスピニング(ES)法(電解紡糸、静電紡糸)、メルトブロー法、複合溶融紡糸法などが挙げられる。上記ES法は、本発明の吸着剤をポリマー溶液に分散させた懸濁液に高電圧を与え、アース表面(例えば、表面が0電位のフィルタ基材(例えば、不織布など))にスプレーして行う。上記ES法では、懸濁液を高電圧でスプレーした際に、本発明の吸着剤を含有したナノファイバーが形成される。
また、吸着剤が付着しにくいフィルタ基材(例えば、金属製のフィルタ基材等)を用いたケミカルフィルタの場合、本発明の吸着剤の付着は、接着剤を用いてフィルタ基材に担持させて行ってもよい。
なお、上記プリーツ構造のケミカルフィルタにおいて、本発明の吸着剤の付着は、例えば2枚の不織布製のフィルタ基材の間に、本発明の吸着剤の粉末やペレット化された吸着剤を、接着剤等を用いて挟み込むことにより行うこともできる。
上記他の工程としては、例えば、フィルタ基材を加工する工程(フィルタ基材加工工程)などが挙げられる。なお、上記フィルタ基材加工工程と上記吸着剤付着工程の順序は、特に限定されないが、作業性の観点から、フィルタ基材加工工程、吸着剤付着工程の順が好ましい。
上記フィルタ基材加工工程としては、例えば、上述したように、フィルタ基材にコルゲート加工を施す工程、ハニカム構造を形成する工程、フィルタ基材に細孔を設ける工程などが挙げられる。上記フィルタ基材加工工程は、1工程のみを行ってもよいし、同一又は異なる2以上の工程を行ってもよい。上記フィルタ基材加工工程を2工程以上行う場合も、その順序は特に限定されない。
また、本発明のケミカルフィルタは、抄紙法により製造されたケミカルフィルタであってもよい。上記抄紙法により製造されたケミカルフィルタは、例えば、繊維状基材及び本発明の吸着剤を少なくとも有するケミカルフィルタであって、上記繊維状基材を構成する繊維及び本発明の吸着剤を含有する懸濁液に凝集剤を加えることにより生成される物質(フロック)を湿式抄紙法でシート化した後、熱処理して得られる。
また、本発明のケミカルフィルタは、セラミック型のケミカルフィルタであってもよい。上記セラミック型のケミカルフィルタは、公知乃至慣用のセラミックス材料の加工方法により作製することができる。例えば、本発明の吸着剤を、セラミックス原料とともに成形及び焼成して製造することができる。具体的には、例えば、本発明の吸着剤、上記バインダ、造孔材、及び必要に応じて他のセラミックス原料を秤量及び混練を行って坏土を作製した後、この坏土をスクリュー式押出機等の押出機により押出加工し、成形体を作製する。得られた成形体を乾燥及び焼成して、多孔質のセラミック型のケミカルフィルタが得られる。上記セラミック型のケミカルフィルタは、特に限定されないが、ハニカム構造であるセラミック型のケミカルフィルタが好ましい。上記セラミック型のケミカルフィルタは、適宜、端面をダイヤモンドカッター、ダイヤモンドソー等の研削工具で、所定の長さに加工することもできる。
本発明のケミカルフィルタは、上記の中でも、表面に本発明の吸着剤が無機バインダにより付着された波形シートが、薄板シートを介して複数個積層されたハニカム構造を有するケミカルフィルタが特に好ましい。
特に限定されないが、本発明のケミカルフィルタにおいて、添着剤(例えば、酸性物質、塩基性物質、酸化剤等)が添着されている吸着剤を備えていないことが好ましい。即ち、本発明のケミカルフィルタには、添着剤が添着されている吸着剤を備えたものが除かれることが好ましい。
本発明のケミカルフィルタは、吸着剤として、水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を用いている。これにより、本発明のケミカルフィルタにおいて、固体酸として作用する無機シリカ系多孔質材料にはシラノール基(−Si−OH)が存在するため、該固体酸によってシロキサン化合物を加水分解し、化合物にシラノール基が形成されると推測される。このことにより、無機シリカ系多孔質材料中のシラノール基(−Si−OH)と、流体中(特に、空気中)のシロキサン化合物が加水分解して発生する該シラノール基とが脱水縮合することによってSi−O−Si結合が形成され、主に化学吸着によるものと推測されるが、シロキサン化合物を強固に吸着して除去しているものと思われ、一旦吸着したシロキサン化合物は脱離しにくくなっている。また、上記無機シリカ系多孔質材料と、吸着したシロキサン化合物との結合は、活性炭を用いた場合に比べて結合力が顕著に強力である。
このように、本発明のケミカルフィルタは、水混合物のpHが7以下の無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いることにより、シロキサン化合物を除去する。このため、活性炭等の吸着剤を用いた場合とは異なり、強固に結合している為、一旦吸着したシロキサン化合物を脱離しない。従って、吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタよりも吸着容量が推定しやすく、寿命分析が比較的容易である。また、後述するように、高圧から常圧に戻した際も脱離しにくいため、本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタを圧力配管内に配置しても有用である。
また、上記特許文献2〜5には、酸性官能基が導入された樹脂又は多孔質材料を用いて環状シロキサン化合物を除去することが開示されている。しかしながら、上記酸性官能基としてのスルホン酸はプロトン酸であり、ゼオライト等の無機シリカ系多孔質材料における固体酸とは性質は全く異なる。これは、シロキサン化合物の除去においても同様である。上記特許文献2〜5では、上記酸性官能基はシロキサン化合物同士を反応させる役割を有している。これに対し、本発明においては、上述のように、無機シリカ系多孔質材料中のシラノール基(−Si−OH)と、シロキサン化合物が加水分解して発生したシラノール基との脱水縮合により吸着していると推測される。このように、酸性官能基が導入された多孔質材料と、本発明の吸着剤とは、吸着機構が全く異なる。そして、本発明のケミカルフィルタを有する本発明のシロキサン化合物除去設備を用いた場合は、シロキサン化合物同士の反応が必要ないため、流体中のシロキサン化合物の濃度が極めて低濃度である環境下であっても効率的にシロキサン化合物を除去することができる。
また、上記特許文献2〜5では、酸性官能基が導入された樹脂又は多孔質材料が用いられている。このため、特許文献2〜5では、ケミカルフィルタを作製する際には、酸性官能基を導入する工程が必須となる。特に、特許文献3及び4で用いられている酸性化合物を作製する工程は極めて複雑である。これに対し、本発明の吸着剤として、酸性官能基が導入された樹脂又は多孔質材料を用いる必要はない。このため、本発明のケミカルフィルタは、樹脂又は多孔質材料に酸性化合物を添着する工程、及び、酸性化合物を製造する工程等を設ける必要は無く、容易に作製することができる。従って、本発明のシロキサン化合物除去設備は容易に作製することができる。
さらに、吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタは、流体中のシロキサン化合物以外に有機ガス成分等の他のガス成分が存在する場合、シロキサン化合物の除去は上記有機ガス成分の除去と競合になる。このため、シロキサン化合物の除去効率は低下する。これに対し、本発明の吸着剤は、上述のように、主に無機シリカ系多孔質材料中のシラノール基によってシロキサン化合物を除去するためと推測されるが、上記有機ガス成分の除去と競合にはならず、シロキサン化合物を選択的に効率的に除去することができる傾向がある。
[阻害物質除去用ケミカルフィルタ]
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去するためのケミカルフィルタである。上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタの上流に設置されている。
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去するためのケミカルフィルタである。上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタの上流に設置されている。
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる物質(阻害物質)を除去するケミカルフィルタであれば特に限定されない。このような阻害物質除去用ケミカルフィルタとしては、例えば、アンモニア、アミン等の塩基性物質を吸着する塩基性物質除去用ケミカルフィルタ;硫化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物、有機酸等の酸性物質を吸着する酸性物質除去用ケミカルフィルタ;ベンゼン、トルエン、シクロヘキサノン等の有機物質を吸着する有機物質除去用ケミカルフィルタ;シラノール化合物を吸着するシラノール化合物除去用ケミカルフィルタなどが挙げられる。上記阻害物質除去用ケミカルフィルタとしては、中でも、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ、シラノール化合物除去用ケミカルフィルタが好ましい。上記阻害物質除去用ケミカルフィルタが塩基性物質除去用ケミカルフィルタであると、本発明のケミカルフィルタにおける本発明の吸着剤中の無機シリカ系多孔質材料の酸性点を減少させる可能性がある塩基性物質を効率的に除去でき、本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させず、長く維持することができるため、好ましい。また、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタがシラノール化合物除去用ケミカルフィルタであると、本発明のケミカルフィルタにおける本発明の吸着剤中の無機シリカ系多孔質材料のシラノール基を減少させるシラノール化合物を効率的に除去でき、本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させず、長く維持することができるため、好ましい。
上記シラノール化合物は、R4-nSi(OH)nで表されるように、シラノール基(−Si−OH)を少なくとも有する化合物である。上記nは、1〜3の整数であることが好ましい。上記Rは、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭化水素基(好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)などが挙げられる。なお、Rが複数ある場合、複数のRのうちの2以上が同一であってもよいし、それぞれが異なっていてもよい。また、上記シラノール化合物は、揮発性を有するものが好ましい。上記シラノール化合物としては、特に、トリメチルシラノール(TMS)が好ましい。
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタとしては、上記阻害物質を除去するケミカルフィルタであればよく、阻害物質除去用ケミカルフィルタを構成する材質や形状等は特に限定されない。
例えば、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタが吸着剤やイオン交換樹脂を有する場合、上記吸着剤やイオン交換樹脂としては特に限定されず、除去する阻害物質の種類によって適宜選択することができる。上記吸着剤やイオン交換樹脂としては、公知乃至慣用のケミカルフィルタに用いられる吸着剤(例えば、活性炭など)やイオン交換樹脂などを使用することができる。また、上記吸着剤は、無添着であってもよく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基性物質;リン酸、硫酸、硫酸塩、硝酸、硝酸塩等の酸性物質などが添着されていてもよい。また、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、上記吸着剤や上記イオン交換樹脂を有するものには限定されず、例えば、イオン交換機能を有するフィルタ基材(例えば、イオン交換機能を有する不織布等)を用いたケミカルフィルタであってもよい。
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタにおける吸着剤としては、具体的には、上記阻害物質が塩基性物質である場合は酸性物質が添着された吸着剤(特に、酸性物質が添着された活性炭)が、上記阻害物質が酸性物質である場合は塩基性物質が添着された吸着剤(特に、塩基性物質が添着された活性炭)が、上記阻害物質が有機物質である場合は無添着の吸着剤(特に、無添着の活性炭)が、上記阻害物質がシラノール化合物である場合は無添着又は酸性物質が添着された吸着剤(特に、酸性物質が添着された活性炭、無添着の活性炭)がそれぞれ好ましい。なお、上記無添着の吸着剤は、有機物質又はシラノール化合物の除去が極端に阻害されない程度に添着剤が添着されていてもよい。
上記阻害物質除去用ケミカルフィルタの構造は、特に限定されず、例えば、本発明のケミカルフィルタの構造として例示及び説明された構造が挙げられる。
[本発明のシロキサン化合物除去設備]
本発明のシロキサン化合物除去設備は、本発明のケミカルフィルタを有する。本発明のケミカルフィルタは、ケミカルフィルタ中に水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料の表面が存在することにより、固体酸として作用する無機シリカ系多孔質材料によってシロキサン化合物が加水分解され、これが無機シリカ系多孔質材料中に多数存在するシラノール基と脱水縮合してシロキサン結合を形成され、シロキサン化合物を強固に吸着することにより、シロキサン化合物を効果的に除去できるものと推測される。なお、吸着剤として他の吸着剤を併用した場合であっても、ケミカルフィルタ内に水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料の表面が存在するため、シロキサン化合物を効果的に除去できるという効果を維持することができる。このため、本発明のケミカルフィルタを有する本発明のシロキサン化合物除去設備は、シロキサン化合物を効率的に除去することができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、本発明のケミカルフィルタを有する。本発明のケミカルフィルタは、ケミカルフィルタ中に水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料の表面が存在することにより、固体酸として作用する無機シリカ系多孔質材料によってシロキサン化合物が加水分解され、これが無機シリカ系多孔質材料中に多数存在するシラノール基と脱水縮合してシロキサン結合を形成され、シロキサン化合物を強固に吸着することにより、シロキサン化合物を効果的に除去できるものと推測される。なお、吸着剤として他の吸着剤を併用した場合であっても、ケミカルフィルタ内に水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料の表面が存在するため、シロキサン化合物を効果的に除去できるという効果を維持することができる。このため、本発明のケミカルフィルタを有する本発明のシロキサン化合物除去設備は、シロキサン化合物を効率的に除去することができる。
さらに、本発明のシロキサン化合物除去設備は、本発明のケミカルフィルタの上流に、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタを有する。本発明のケミカルフィルタは、吸着する物質によっては、シロキサン化合物除去能が低下するおそれがある。このため、本発明のシロキサン化合物除去システムは、本発明のケミカルフィルタの上流に、シロキサン化合物除去能が低下させる物質(阻害物質)を除去するケミカルフィルタを有することで、阻害物質が上記阻害物質除去用ケミカルフィルタに除去されることにより、阻害物質によって本発明のケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させず、長く維持することができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、特に限定されないが、本発明のケミカルフィルタ及び上記阻害物質除去用ケミカルフィルタ以外のケミカルフィルタ(他のケミカルフィルタ)を有していてもよい。この場合、本発明のシロキサン化合物除去設備は、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタの次に本発明のケミカルフィルタを有していてもよいし、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタと本発明のケミカルフィルタの間に上記他のケミカルフィルタを有していてもよい。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、本発明のケミカルフィルタ及び阻害物質除去用ケミカルフィルタを、それぞれ、1つのみ有していてもよいし、2以上を有していてもよい。また、阻害物質除去用ケミカルフィルタを2以上有する場合、2以上の阻害物質除去用ケミカルフィルタは、同一の阻害物質を除去するものであってもよいし、異なる阻害物質を除去するものであってもよい。また、阻害物質除去用ケミカルフィルタを2以上有する場合、少なくとも1つの阻害物質除去用ケミカルフィルタが、本発明のケミカルフィルタの上流に位置していればよい。
本発明のシロキサン化合物除去設備において、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタの位置は、本発明のケミカルフィルタの上流であればよい。即ち、本発明のシロキサン化合物除去設備は、シロキサン化合物を含む流体(特に、空気)が、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタを通過した後に本発明のケミカルフィルタを通過するような構造を有していればよい。従って、本発明のシロキサン化合物除去設備において、各ケミカルフィルタ(本発明のケミカルフィルタ、阻害物質除去用ケミカルフィルタ等)は、一部又は全部が隔離して配置されていてもよいし、一部又は全部が連続して(例えば、積層して)配置されていてもよい。一部又は全部が隔離して配置されている場合、隔離の間隔は特に限定されない。一部又は全部が連続して配置されている例としては、例えば、後述の、一部又は全部のケミカルフィルタがまとめて枠入れされたケミカルフィルタ(パネル型フィルタ、セル型フィルタ、配管用ケミカルフィルタ等)などが挙げられる。一部又は全部が隔離して配置されている例としては、例えば、一部又は全部のケミカルフィルタがそれぞれで枠入れされたケミカルフィルタであり、それぞれの枠入れされたケミカルフィルタが一つの長い流路に隔離して配置されている装置などが挙げられる。また、上記阻害物質除去用ケミカルフィルタは、本発明のケミカルフィルタの直前に設置されていてもよいし、上記シロキサン化合物を含む流体(特に、空気)が通過する通路において本発明のケミカルフィルタの上流に、本発明のケミカルフィルタから離れて設置されていてもよい。
本発明のシロキサン化合物除去設備の使用方法としては、例えば、通気ファンなどの動力を用いて、阻害物質除去用ケミカルフィルタ及び本発明のケミカルフィルタをこの順に備えた装置の内部へ、除去対象の物質を含む空気を強制的に導入し、その除去対象の物質を除去する通気法の他に、阻害物質除去用ケミカルフィルタ及び本発明のケミカルフィルタをこの順に備えた装置の内部へ動力を用いて空気を導入するのではなく、自然拡散や自然対流のみの接触で除去対象の物質の除去を行う静置法が挙げられる。即ち、本発明のシロキサン化合物除去設備は、通気法あるいは静置法のいずれでも使用することができる。上記通気法を用いたシロキサン化合物除去設備としては、例えば、通気ファン(例えば、空気を取り込む装置、空気を排出する装置など)と本発明のケミカルフィルタと阻害物質除去用ケミカルフィルタとが一体なったユニット(「ファンフィルタユニット(FFU)」と称する場合がある)が挙げられる。また、上記FFUは、天井やクリーンブースに取りつけたり、ダクトの途中に設けたりすることができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備において、各ケミカルフィルタ(本発明のケミカルフィルタ、阻害物質除去用ケミカルフィルタ等)は、それぞれ、枠入れされた状態のケミカルフィルタ(枠入れされたケミカルフィルタ)であってもよい。また、本発明のシロキサン化合物除去設備における全てのケミカルフィルタが枠入れされたケミカルフィルタであってもよいし、一部のケミカルフィルタが枠入れされたケミカルフィルタであってもよい。また、ケミカルフィルタ毎に枠入れされていてもよいし、一部又は全部のケミカルフィルタがまとめて一つに枠入れされていてもよい。
上記枠入れされたケミカルフィルタは、例えば、フィルタ基材に吸着剤が付着しているケミカルフィルタ(濾材)を枠に入れて得られる。上記枠入れされたケミカルフィルタとしては、例えば、パネル型フィルタ、セル型フィルタ、配管用ケミカルフィルタなどが挙げられる。なお、上記濾材及び上記枠入れされたケミカルフィルタの両方が本明細書におけるケミカルフィルタに相当する。
上記パネル型フィルタとしては、例えば、額縁のように、板状の濾材の縁を枠にはめ込んだケミカルフィルタが挙げられる。上記パネル型フィルタは、一般的に、板状の濾材の厚み方向にシロキサン化合物を含む流体を通過させるように使用される。枠の形状は、特に限定されず、使用態様によって適宜選択することができる。上記枠の形状としては、例えば、多角形状(例えば、三角形状、四角形状、六角形状、額縁形状等)、円形状、楕円形状、多角形の一部又は全部の角が丸められた形状、これらの形状を組み合わせた形状などが挙げられる。また、上記板状の濾材は、1枚のみを用いてもよいし、複数の濾材を重ねたものを用いてもよい。
上記セル型フィルタとしては、例えば、六面体形状(立方体、直方体等)等のセルの内部に、シロキサン化合物を含む流体が濾材を通過するように濾材が配置されたフィルタが挙げられる。上記セル型フィルタとしては、例えば、濾材が、連続したV字型となるように一連の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部が通気方向と対向するように配置されているケミカルフィルタが挙げられる。なお、上記セル型フィルタは、上記の各折り曲げ部が切断された状態、即ち複数の濾材がV字構造となるように、屏風状に配置したケミカルフィルタであってもよい。なお、濾材をV字構造となるように配置したセル型フィルタでは、シロキサン化合物を含む流体が、V字構造となるように配置されている濾材の厚み方向に通過するように配置されている。
上記配管用ケミカルフィルタとしては、例えば、筒状(例えば、円筒状、角筒状等)等の配管の内部の一部に濾材が詰められたケミカルフィルタが挙げられる。なお、濾材が詰められている部分においては、シロキサン化合物を含む流体全てが濾材を通過するように、筒状の配管の断面の全面に濾材が詰められていることが好ましい。上記配管用ケミカルフィルタは、圧力配管中に好ましく用いることができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備において、各ケミカルフィルタが隔離して配置されている場合、各ケミカルフィルタが設置されている環境は同じであってもよいし、それぞれで異なっていてもよい。
(本発明のシロキサン化合物除去設備の使用環境)
本発明のシロキサン化合物除去設備は、ケミカルフィルタが使用できる様々な環境において使用することができる。例えば、本発明のケミカルフィルタは、活性炭が使用できない高温環境下や、様々な濃度環境下、湿度環境下等の環境下でも使用することができるため、本発明のシロキサン化合物除去設備における本発明のケミカルフィルタはこれらの環境下でも使用することができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、ケミカルフィルタが使用できる様々な環境において使用することができる。例えば、本発明のケミカルフィルタは、活性炭が使用できない高温環境下や、様々な濃度環境下、湿度環境下等の環境下でも使用することができるため、本発明のシロキサン化合物除去設備における本発明のケミカルフィルタはこれらの環境下でも使用することができる。
本発明のケミカルフィルタは、幅広い温度環境下(例えば、0〜500℃の環境下)で使用できる。吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタは、高温環境下では活性炭が徐々に酸化することにより、賦活が進行し細孔が広がることで、除去性能が低下するため、使用することができない。また、樹脂等の有機物を用いた吸着剤は、高温環境下では樹脂の溶融や発火が起こったり、40℃を超える環境下では劣化が進行するため、高温環境下で使用することができない。これに対し、本発明のシロキサン化合物除去設備における本発明のケミカルフィルタは、吸着剤として活性炭を用いることを必須としないため、高温環境下を含む広い温度環境下で使用することができる。本発明のシロキサン化合物除去設備における本発明のケミカルフィルタが使用される環境の温度は、特に限定されないが、10〜300℃が好ましく、より好ましくは15〜100℃、さらに好ましくは15〜50℃である。
さらに、吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタは、物理吸着によりシロキサン化合物を除去することにより、高温環境下では、シロキサン化合物の分子運動が活発化するためと推測されるが、シロキサン化合物の除去効率が低下する傾向がある。これに対し、本発明の吸着剤は、主に化学吸着のように強固な結合でシロキサン化合物を除去すると考えられるため、高温環境下であっても効率的にシロキサン化合物を除去することができる。
本発明のケミカルフィルタは、結露しない範囲内で幅広い湿度環境下(例えば、相対湿度0〜99%RHの環境下)で使用できる。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタは、ドライエア中やN2ガス等の不活性ガスによるパージガス中のシロキサン化合物も効率的に除去することができる。本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタが使用される相対湿度は、特に限定されないが、0〜95%RHが好ましく、より好ましくは0〜60%RH、さらに好ましくは0〜40%RHである。
また、水混合物のpHが7以下の無機シリカ系多孔質材料としてpHが7以下のゼオライトを用いる場合、当該ゼオライト中の水素イオン量が多くその他の陽イオン量が比較的少なくなっており、ゼオライトの疎水性が比較的高いため、高湿度環境下であっても流体中の水分を吸着しにくく、湿度に対する影響を受けにくい。このため、高湿環境下であっても効率的にシロキサン化合物を除去することができる。
本発明のケミカルフィルタは、幅広い圧力環境下(例えば、10-11〜100MPaの環境下)で使用できる。吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタは、高圧環境下では、除去対象物質の濃度が高くなるため除去効率が高くなるが、常圧に戻した際に、圧力により過剰に付着していた物質が脱離する傾向がある。これに対し、本発明のケミカルフィルタは、シロキサン化合物を強固に吸着して除去するため、高圧環境下で使用した後常圧に戻した際にも脱離することがない。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタは、高圧環境下を含む広い圧力環境下で使用することができる。本発明のケミカルフィルタが使用される環境の圧力は、特に限定されないが、10-7〜1MPaが好ましく、より好ましくは10-4〜1MPa、さらに好ましくは0.05〜1MPaである。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタは、圧力配管内でも好ましく使用できる。なお、一つの圧力配管内に、本発明のケミカルフィルタ及び阻害物質除去用ケミカルフィルタを有していてもよい。
本発明のケミカルフィルタは、幅広い範囲のシロキサン化合物の濃度環境下(例えば、0.001ppb〜10ppm)でも好ましく使用することができる。また、本発明のケミカルフィルタは、流体中のシロキサン化合物の濃度が極めて低い環境下(例えば、1桁ppb以下)でもシロキサン化合物を高効率に除去することができる。特に、本発明のシロキサン化合物除去設備(特に、本発明のケミカルフィルタ)は、流体中(特に、空気中)のシロキサン化合物の濃度が100ppb以下(好ましくは、50ppb以下、より好ましくは10ppb以下)の極めて低濃度の環境下で好ましく使用することができる。なお、特に限定されないが、上記流体中のシロキサン化合物の濃度は、0.001ppb以上であることが好ましい。
なお、本発明のシロキサン化合物除去設備(特に、本発明のケミカルフィルタ)を流体中のシロキサン化合物の濃度が極めて低い環境下で使用する場合、当該環境の温度は、特に限定されないが、0〜500℃が好ましく、より好ましくは15〜50℃である。
本発明のケミカルフィルタは、様々な風速の環境下(例えば、ろ過風速が0〜5m/s)で使用できる。特に、高風速環境下(例えば、ろ過風速が1〜5m/sの環境下)でも使用できる。吸着剤として活性炭を用いたケミカルフィルタは、通過する空気の風速が速いほど除去効率が低下する傾向がある。これに対し、本発明のケミカルフィルタは、高風速環境下であってもシロキサン化合物を効率的に除去することができる。本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタが使用される環境の風速は、特に限定されないが、ろ過風速が0〜5m/sが好ましく、より好ましくはろ過風速が0〜3m/s、さらに好ましくはろ過風速が0〜1m/sである。
また、本発明のシロキサン化合物除去設備(特に、本発明のケミカルフィルタ)は、シロキサン化合物以外のガスの含有量が低い環境下(低ガス環境下)、空気の濃度が薄い環境下(例えば、真空環境下)であっても使用することができる。また、本発明のケミカルフィルタは吸着剤として活性炭を用いることを必須としないため、本発明のシロキサン化合物除去設備において本発明のケミカルフィルタは、難燃性が求められる環境下において好ましく使用することができる。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、シロキサン化合物を除去するための設備である。上記シロキサン化合物は、分子内にSi−O−Si骨格を少なくとも有する化合物である。シロキサン化合物としては、例えば、環状シロキサン化合物(例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のD3〜D20の環状シロキサン化合物等)、直鎖状シロキサン化合物(例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン等のケイ素原子数が2〜20の直鎖状シロキサン化合物等)、分岐鎖状シロキサン化合物などが挙げられる。中でも、環状シロキサン化合物、直鎖状シロキサン化合物が好ましい。また、シロキサン化合物は、揮発性を有するものが好ましい。
[流体浄化方法]
さらに、本発明のシロキサン化合物除去設備を用いて流体中のシロキサン化合物を除去することによって、流体を浄化することができる。このように、本発明のシロキサン化合物除去設備を用いて流体中のシロキサン化合物を除去して流体を浄化する方法を、「本発明の流体浄化方法」と称する場合がある。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備は、流体中(例えば、空気中)のシロキサン化合物を除去するため適宜な場所で設置できる。例えば、本発明のシロキサン化合物除去設備は、一般家庭、クリーンルーム内等の建物内の設備、磁気ディスク記憶装置内部の設備(例えば、HDD内部の設備)、建築現場の設備、下水処理場の設備、埋め立て地の設備など、シロキサン化合物の除去が求められている用途として、特に好ましく用いることができる。クリーンルーム内の設備としては、特に、露光装置の内部設備、塗布現像装置の内部設備、半導体チップの切削加工工程周辺の設備、液晶ディスプレイの製造工程周辺の設備等の半導体製造工程周辺の設備が好ましい。
さらに、本発明のシロキサン化合物除去設備を用いて流体中のシロキサン化合物を除去することによって、流体を浄化することができる。このように、本発明のシロキサン化合物除去設備を用いて流体中のシロキサン化合物を除去して流体を浄化する方法を、「本発明の流体浄化方法」と称する場合がある。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備は、流体中(例えば、空気中)のシロキサン化合物を除去するため適宜な場所で設置できる。例えば、本発明のシロキサン化合物除去設備は、一般家庭、クリーンルーム内等の建物内の設備、磁気ディスク記憶装置内部の設備(例えば、HDD内部の設備)、建築現場の設備、下水処理場の設備、埋め立て地の設備など、シロキサン化合物の除去が求められている用途として、特に好ましく用いることができる。クリーンルーム内の設備としては、特に、露光装置の内部設備、塗布現像装置の内部設備、半導体チップの切削加工工程周辺の設備、液晶ディスプレイの製造工程周辺の設備等の半導体製造工程周辺の設備が好ましい。
上記クリーンルーム(例えば、ガス状汚染物質が制御されたクリーンルーム、特に、半導体の製造工場のクリーンルームなど)では、シロキサン化合物等の様々なガス状有機化合物が存在している。シロキサン化合物は、半導体のシリコンウエハ表面や液晶ガラス基板表面に吸着し、これら製品に不具合を生じさせることがある。また、上記下水処理場において、消化槽から発生する消化ガスには、シャンプーや化粧品に含まれるシリコーンオイルに起因する微量のシロキサン化合物が含まれている。さらに、上記埋め立て地においては、埋め立てに使用する泥(活性汚泥など)中のバイオガスに含まれるシロキサン化合物やシラノール化合物が問題となることがあった。従って、本発明のシロキサン化合物除去設備は、このような用途の流体(特に、空気)浄化に特に好ましく使用することができる。
また、ガスセンサ、反応触媒等のシロキサン化合物による被毒の回避が求められる用途にも好ましく使用することができる。その他にも、各種分析装置の周辺、ガス供給ライン、細胞再生加工が行われる周辺、微細孔加工が行われる周辺、原子力プラント等にも用いることができる。また、シロキサン化合物は、燃料電池の起電力を低下させるおそれがあるため、燃料電池の製造工程等でも好ましく用いることができる。さらに、シロキサン化合物は、ガスタービン、ボイラーのバーナーや、熱交換器等に堆積して効率を低下させたり、不調や故障の発生要因となるおそれがあるため、このような場所で用いることもできる。
本発明のシロキサン化合物除去設備が、シロキサン化合物を選択的に除去可能な場合(例えば、阻害物質除去用ケミカルフィルタが、ガスセンサが検知すべきガスを除去しない場合)、本発明のシロキサン化合物除去設備は、上記の中でも、ガスセンサ用途に用いることが特に好ましい。一般家庭などでは、プロパンやブタンを検知するためのセンサ(検知器)として、ガスセンサが用いられている。このようなガスセンサは、検知部の表面にシロキサン化合物が付着するとセンサの感度が低下し、検知能力に影響を及ぼすことが知られている。シロキサン化合物からセンサを保護するために、ガスセンサには、シロキサン化合物を吸着するためのフィルタが取りつけられている。上記フィルタには、一般的に、吸着剤として活性炭が用いられているが、このような吸着剤を用いたフィルタは、プロパンやブタンなどのガスセンサで検知する必要があるガスまでも吸着してしまうため、ガスセンサが作動しにくい場合がある。これに対し、本発明のシロキサン化合物除去設備における本発明のケミカルフィルタは、シロキサン化合物を選択的に高効率で除去することができる。このため、本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガスセンサ用途(好ましくは、ガスセンサ内の検知器の上流側に設置する用途)として用いられることが特に好ましい。
本発明のシロキサン化合物除去設備がガスセンサ用途の設備である場合、本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガスセンサを使用することができる場所、例えば、一般家庭、食堂、調理場など、プロパン、ブタンなどの炭化水素ガスが存在する可能性のある場所で使用することができる。本発明のシロキサン化合物除去設備は、さらに具体的には、ガスセンサのガス検知部の直前に設けて使用することが好ましい。その他に、ガスセンサが設置されている空間内に本発明のシロキサン化合物除去設備を設置し、自然拡散や自然対流のみの接触で除去対象のシロキサン化合物の除去を行う静置法が挙げられる。
[ガスセンサ]
本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガスセンサの内部に用いることで、ガスセンサとすることができる。本発明のシロキサン化合物除去設備を備えたガスセンサを、「本発明のガスセンサ」と称する場合がある。本発明のガスセンサは、内部に本発明のケミカルフィルタを有する本発明のシロキサン化合物除去設備を備えている。特に、本発明のガスセンサにおいて、本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガス検知部の直前に備えられていることが好ましい。本発明のガスセンサによれば、本発明のシロキサン化合物除去設備中の内部ケミカルフィルタとして、水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いた本発明のケミカルフィルタが用いられているため、活性炭を吸着剤とする従来のガスセンサ用ケミカルフィルタを用いたガスセンサと比較して、空気中のシロキサン化合物を効率よく除去できる。特に、シロキサン化合物の除去効率は短時間で低下することはなく、活性炭のようにシロキサン化合物を脱離することがない。このため、空気中のシロキサン化合物に起因するガスセンサのガス検知機能の低下を顕著に抑制できる。また、プロパン、ブタン等の炭化水素ガスの吸着性が低く、ガスセンサの作動を妨げない。さらに、シロキサン化合物が吸着剤から脱離してガスセンサ内のセンサの感度を低下させることが無いため、空気中のシロキサン化合物に起因するセンサの故障を顕著に抑制できる。
本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガスセンサの内部に用いることで、ガスセンサとすることができる。本発明のシロキサン化合物除去設備を備えたガスセンサを、「本発明のガスセンサ」と称する場合がある。本発明のガスセンサは、内部に本発明のケミカルフィルタを有する本発明のシロキサン化合物除去設備を備えている。特に、本発明のガスセンサにおいて、本発明のシロキサン化合物除去設備は、ガス検知部の直前に備えられていることが好ましい。本発明のガスセンサによれば、本発明のシロキサン化合物除去設備中の内部ケミカルフィルタとして、水混合物のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いた本発明のケミカルフィルタが用いられているため、活性炭を吸着剤とする従来のガスセンサ用ケミカルフィルタを用いたガスセンサと比較して、空気中のシロキサン化合物を効率よく除去できる。特に、シロキサン化合物の除去効率は短時間で低下することはなく、活性炭のようにシロキサン化合物を脱離することがない。このため、空気中のシロキサン化合物に起因するガスセンサのガス検知機能の低下を顕著に抑制できる。また、プロパン、ブタン等の炭化水素ガスの吸着性が低く、ガスセンサの作動を妨げない。さらに、シロキサン化合物が吸着剤から脱離してガスセンサ内のセンサの感度を低下させることが無いため、空気中のシロキサン化合物に起因するセンサの故障を顕著に抑制できる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、それらに何ら制限されるものではない。なお、「ppb」は、特に断りのない限り、重量基準である。
なお、以下の実施例1〜5で使用したVOCには、試験サンプルのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質は含まれていない。即ち、以下の実施例1〜5は、シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に、阻害物質除去用ケミカルフィルタが設けられている場合を想定したものである。
実施例1
図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。実施例1では、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル(吸着剤)7を5mm厚で敷き、試験サンプルのろ過風速が5cm/sとなるように流量を調整したエアを流した。カラムに流すエアは、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)200ppbを混ぜて使用した。上記通気試験装置の概略断面図(1系列分)を図2に示す。
試験サンプル(吸着剤)として、表1に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のゼオライト、並びに、表2に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のシリカゲル、酸性白土、活性白土及び珪藻土を用いた。試験サンプル6つごとに除去効率の測定を行い、測定を行う6つの試験サンプルをそれぞれ、6系列並列に配置したそれぞれのカラム1に用いた。なお、天然ゼオライトBは、天然ゼオライトAのクエン酸処理物である。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表1、表2、図3(ゼオライト)、及び図4(シリカゲル、酸性白土、活性白土、珪藻土)に示す。図4中、四角印(□)はシリカゲルのデータ、三角印(△)は酸性白土のデータ、丸印(○)は活性白土のデータ、バツ印(×)珪藻土のデータをそれぞれ示す。グラフの横軸は試験サンプルの水混合物のpH、縦軸は除去効率(%)である。
図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。実施例1では、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル(吸着剤)7を5mm厚で敷き、試験サンプルのろ過風速が5cm/sとなるように流量を調整したエアを流した。カラムに流すエアは、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)200ppbを混ぜて使用した。上記通気試験装置の概略断面図(1系列分)を図2に示す。
試験サンプル(吸着剤)として、表1に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のゼオライト、並びに、表2に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のシリカゲル、酸性白土、活性白土及び珪藻土を用いた。試験サンプル6つごとに除去効率の測定を行い、測定を行う6つの試験サンプルをそれぞれ、6系列並列に配置したそれぞれのカラム1に用いた。なお、天然ゼオライトBは、天然ゼオライトAのクエン酸処理物である。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表1、表2、図3(ゼオライト)、及び図4(シリカゲル、酸性白土、活性白土、珪藻土)に示す。図4中、四角印(□)はシリカゲルのデータ、三角印(△)は酸性白土のデータ、丸印(○)は活性白土のデータ、バツ印(×)珪藻土のデータをそれぞれ示す。グラフの横軸は試験サンプルの水混合物のpH、縦軸は除去効率(%)である。
表1、表2、図3、及び図4に示されるように、水混合物のpHが7以下のゼオライト、シリカゲル、活性白土、珪藻土等の無機シリカ系多孔質材料は、水混合物のpHが7を超える無機シリカ系多孔質材料に比べて、D4の除去効率が著しく大きい。
比較例1
試験サンプル(吸着剤)として、酸性イオン交換樹脂(スルホン酸基含有)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
その結果、酸性イオン交換樹脂を用いた場合のD4の除去効率は0%であった。
試験サンプル(吸着剤)として、酸性イオン交換樹脂(スルホン酸基含有)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
その結果、酸性イオン交換樹脂を用いた場合のD4の除去効率は0%であった。
実施例2
実施例1の通気試験の終了後の一部の試験サンプルについて、アセトンによる抽出試験を行った。上記の一部の試験サンプルを30mlのアセトン溶媒に入れ、2時間振とうした。その後、上澄み液をGC−FID分析に付した。D4のGC−FIDで測定した面積値を表3に示した。なお、比較対象として、ヤシ殻活性炭(フタムラ化学(株)製、商品名「太閤CB」、水混合物のpH:10.17)、及び酸添着活性炭(上記ヤシ殻活性炭に硫酸水素カリウムを添着したもの、添着剤の活性炭に対する添着量:6重量%、水混合物のpH:2.61)、薬品賦活活性炭(フタムラ化学(株)製、商品名「太閤S」、水混合物のpH:4.48)を吸着剤として、実施例1と同様の通気試験を行った後、上記試験サンプルと同様にD4のGC−FIDで測定した面積値を表3に示した。なお、表3に示す面積値は、ヤシ殻活性炭の面積値を100(体積換算)とした場合の数値である。
実施例1の通気試験の終了後の一部の試験サンプルについて、アセトンによる抽出試験を行った。上記の一部の試験サンプルを30mlのアセトン溶媒に入れ、2時間振とうした。その後、上澄み液をGC−FID分析に付した。D4のGC−FIDで測定した面積値を表3に示した。なお、比較対象として、ヤシ殻活性炭(フタムラ化学(株)製、商品名「太閤CB」、水混合物のpH:10.17)、及び酸添着活性炭(上記ヤシ殻活性炭に硫酸水素カリウムを添着したもの、添着剤の活性炭に対する添着量:6重量%、水混合物のpH:2.61)、薬品賦活活性炭(フタムラ化学(株)製、商品名「太閤S」、水混合物のpH:4.48)を吸着剤として、実施例1と同様の通気試験を行った後、上記試験サンプルと同様にD4のGC−FIDで測定した面積値を表3に示した。なお、表3に示す面積値は、ヤシ殻活性炭の面積値を100(体積換算)とした場合の数値である。
表3に示されるように、ヤシ殻活性炭、酸添着活性炭、薬品賦活活性炭の場合は、吸着されたD4はアセトン抽出により脱離するが、水混合物のpHが7以下のゼオライト、シリカゲル、活性白土、珪藻土等の無機シリカ系多孔質材料の場合は、吸着されたD4はアセトン抽出によって脱離しない。このことから、D4は水混合物のpHが7以下の無機多孔質シリカ系材料に、活性炭と比較して極めて強い力で吸着していることが分かる。
実施例3
実施例1の通気試験の終了後の一部の試験サンプル(合成ゼオライトD、合成ゼオライトI、シリカゲルB、活性白土A、及び珪藻土A)それぞれについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析を行った。上記試験サンプル0.5gと、テトラヒドロフラン(THF)1gとを混合して溶出処理し、濾別した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより分子量を測定した。すなわち、分子量測定装置(CO−8020 UV−8020 RI−9202 DP−8020、東ソー(株)製)に、充填剤入りカラム(showdex KE−806M 804 802、昭和電工(株)製)を装着し、溶出液としTHF(安定剤無添加のTHF、和光純薬(株)製)を用い、カラム温度40℃で1.0mL/分で測定した。その結果、重量平均分子量が数百のピークは検出されたが、それより大きな、重量平均分子量が数十万のものは検出されなかった。
この結果から、本発明の吸着剤は、特許文献2及び5に記載の発明のようにシロキサン化合物を重合して吸着しているのではなく、無機シリカ系多孔質材料とシロキサン化合物を直接反応させて除去していることが分かる。
実施例1の通気試験の終了後の一部の試験サンプル(合成ゼオライトD、合成ゼオライトI、シリカゲルB、活性白土A、及び珪藻土A)それぞれについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析を行った。上記試験サンプル0.5gと、テトラヒドロフラン(THF)1gとを混合して溶出処理し、濾別した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより分子量を測定した。すなわち、分子量測定装置(CO−8020 UV−8020 RI−9202 DP−8020、東ソー(株)製)に、充填剤入りカラム(showdex KE−806M 804 802、昭和電工(株)製)を装着し、溶出液としTHF(安定剤無添加のTHF、和光純薬(株)製)を用い、カラム温度40℃で1.0mL/分で測定した。その結果、重量平均分子量が数百のピークは検出されたが、それより大きな、重量平均分子量が数十万のものは検出されなかった。
この結果から、本発明の吸着剤は、特許文献2及び5に記載の発明のようにシロキサン化合物を重合して吸着しているのではなく、無機シリカ系多孔質材料とシロキサン化合物を直接反応させて除去していることが分かる。
実施例4
カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、デカメチルテトラシロキサン60ppbを混ぜたものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。なお、試験サンプル(吸着剤)として、表4に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のゼオライト及び珪藻土を用いた。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、デカメチルテトラシロキサンのガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のデカメチルテトラシロキサンのガス濃度からデカメチルテトラシロキサンの除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表4及び図5に示す。図5中、菱形(◇)はゼオライトのデータ、バツ印(×)は珪藻土のデータをそれぞれ示す。グラフの横軸は試験サンプルの水混合物のpH、縦軸は除去効率(%)である。
カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、デカメチルテトラシロキサン60ppbを混ぜたものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。なお、試験サンプル(吸着剤)として、表4に示す水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数のゼオライト及び珪藻土を用いた。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、デカメチルテトラシロキサンのガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のデカメチルテトラシロキサンのガス濃度からデカメチルテトラシロキサンの除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表4及び図5に示す。図5中、菱形(◇)はゼオライトのデータ、バツ印(×)は珪藻土のデータをそれぞれ示す。グラフの横軸は試験サンプルの水混合物のpH、縦軸は除去効率(%)である。
表4及び図5に示されるように、水混合物のpHが7以下のゼオライト、珪藻土等の無機シリカ系多孔質材料は、水混合物のpHが7を超える無機シリカ系多孔質材料に比べて、デカメチルテトラシロキサンの除去効率が著しく大きい。
実施例5
カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、n−ヘキサン100ppb、トルエン100ppbを混ぜたものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。なお、試験サンプル(吸着剤)として、表5に示す活性炭及び水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数の無機シリカ系多孔質材料を用いた。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、n−ヘキサン及びトルエンそれぞれのガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のn−ヘキサン及びトルエンのガス濃度からそれぞれのガス成分の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表5に示す。
カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、n−ヘキサン100ppb、トルエン100ppbを混ぜたものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。なお、試験サンプル(吸着剤)として、表5に示す活性炭及び水混合物(含有割合:5wt%)のpHが異なる複数の無機シリカ系多孔質材料を用いた。
通気試験開始後3日目に、カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、n−ヘキサン及びトルエンそれぞれのガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のn−ヘキサン及びトルエンのガス濃度からそれぞれのガス成分の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの水混合物のpHと除去効率の関係のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表5に示す。
表5に示されるように、水混合物のpHが7以下の無機シリカ系多孔質材料を用いた場合は、n−ヘキサン、トルエン等の有機化合物の除去効率は比較的低い。このため、シロキサン化合物を選択的に除去することができる。
実施例6
(合成ゼオライトのアンモニア処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、合成ゼオライトのアンモニア処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うためのゼオライトを2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、ゼオライトのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、アンモニアガスを含むエアを流した。
上記アンモニア処理を行うゼオライトとして、合成ゼオライトL(水混合物のpH:5.25、骨格構造:モルデナイト、比表面積:450m2、[SiO2/Al2O3]:240)、上記合成ゼオライトG、上記合成ゼオライトC、及び合成ゼオライトM(水混合物のpH:4.52、骨格構造:ベータ型、比表面積:400m2、[SiO2/Al2O3]:500)を用いた。アンモニア処理を行う4つの合成ゼオライトをそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの4つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のアンモニアガスを含むエアを捕集し、アンモニアガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のアンモニアガスの濃度は5.5ppmであった。アンモニアガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のアンモニアガスの濃度が上流側と同じ5.5ppmになったことが確認できたため、各合成ゼオライトへのアンモニア処理が完了したものと判断し、アンモニアガスを含むエアの通気を終了した。このようにして合成ゼオライトのアンモニア処理物を作製した。なお、アンモニアガスの濃度は、(株)ガステック製検知管3Lを用いて測定した。
(合成ゼオライトのアンモニア処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、合成ゼオライトのアンモニア処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うためのゼオライトを2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、ゼオライトのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、アンモニアガスを含むエアを流した。
上記アンモニア処理を行うゼオライトとして、合成ゼオライトL(水混合物のpH:5.25、骨格構造:モルデナイト、比表面積:450m2、[SiO2/Al2O3]:240)、上記合成ゼオライトG、上記合成ゼオライトC、及び合成ゼオライトM(水混合物のpH:4.52、骨格構造:ベータ型、比表面積:400m2、[SiO2/Al2O3]:500)を用いた。アンモニア処理を行う4つの合成ゼオライトをそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの4つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のアンモニアガスを含むエアを捕集し、アンモニアガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のアンモニアガスの濃度は5.5ppmであった。アンモニアガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のアンモニアガスの濃度が上流側と同じ5.5ppmになったことが確認できたため、各合成ゼオライトへのアンモニア処理が完了したものと判断し、アンモニアガスを含むエアの通気を終了した。このようにして合成ゼオライトのアンモニア処理物を作製した。なお、アンモニアガスの濃度は、(株)ガステック製検知管3Lを用いて測定した。
(D4通気試験)
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表6に示す合成ゼオライトL、合成ゼオライトG、合成ゼオライトC、合成ゼオライトM、上記合成ゼオライトLのアンモニア処理物、上記合成ゼオライトGのアンモニア処理物、上記合成ゼオライトCのアンモニア処理物、及び上記合成ゼオライトMのアンモニア処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、合成ゼオライトL及びそのアンモニア処理物が1.9g、合成ゼオライトG及びそのアンモニア処理物が2.0g、合成ゼオライトC及びそのアンモニア処理物が1.9g、合成ゼオライトM及びそのアンモニア処理物が3.2gであった。なお、試験サンプルとして合成ゼオライトのアンモニア処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質である塩基性ガスのアンモニアを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表6及び図6に示す。図6中、丸印(○)は合成ゼオライトLのデータ、三角印(△)は合成ゼオライトGのデータ、菱形印(◇)は合成ゼオライトCのデータ、四角印(□)は合成ゼオライトMのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはアンモニア処理物を示す。また、図6中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表6に示す合成ゼオライトL、合成ゼオライトG、合成ゼオライトC、合成ゼオライトM、上記合成ゼオライトLのアンモニア処理物、上記合成ゼオライトGのアンモニア処理物、上記合成ゼオライトCのアンモニア処理物、及び上記合成ゼオライトMのアンモニア処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、合成ゼオライトL及びそのアンモニア処理物が1.9g、合成ゼオライトG及びそのアンモニア処理物が2.0g、合成ゼオライトC及びそのアンモニア処理物が1.9g、合成ゼオライトM及びそのアンモニア処理物が3.2gであった。なお、試験サンプルとして合成ゼオライトのアンモニア処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質である塩基性ガスのアンモニアを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表6及び図6に示す。図6中、丸印(○)は合成ゼオライトLのデータ、三角印(△)は合成ゼオライトGのデータ、菱形印(◇)は合成ゼオライトCのデータ、四角印(□)は合成ゼオライトMのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはアンモニア処理物を示す。また、図6中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
上記GC/MSの測定には、日本電子(株)製、商品名「JMS−Q1000GC MKII」を用いた。
表6及び図6に示されるように、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトを用い、当該合成ゼオライトが塩基性ガスであるアンモニアを付着させていない場合は、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトがアンモニア処理されている場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が著しく大きい。即ち、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトを吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に阻害物質除去用ケミカルフィルタを有する場合は、阻害物質除去用ケミカルフィルタを有しない場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が著しく大きいことが明らかである。
実施例7
(シリカゲル、活性白土、珪藻土のアンモニア処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、シリカゲル、活性白土、及び珪藻土のアンモニア処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うための無機シリカ系多孔質材料を2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、無機シリカ系多孔質材料のろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、アンモニアガスを含むエアを流した。
上記アンモニア処理を行う無機シリカ系多孔質材料して、表2に示すシリカゲルB、活性白土A、及び珪藻土Aを用いた。アンモニア処理を行う3つの無機シリカ系多孔質材料をそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの3つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のアンモニアガスを含むエアを捕集し、アンモニアガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のアンモニアガスの濃度は5.5ppmであった。アンモニアガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のアンモニアガスの濃度が上流側と同じ5.5ppmになったことが確認できたため、各無機シリカ系多孔質材料へのアンモニア処理が完了したものと判断し、アンモニアガスを含むエアの通気を終了した。このようにしてシリカゲルのアンモニア処理物、活性白土のアンモニア処理物、及び珪藻土のアンモニア処理物を作製した。なお、アンモニアガスの濃度は、(株)ガステック製検知管3Lを用いて測定した。
(シリカゲル、活性白土、珪藻土のアンモニア処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、シリカゲル、活性白土、及び珪藻土のアンモニア処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うための無機シリカ系多孔質材料を2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、無機シリカ系多孔質材料のろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、アンモニアガスを含むエアを流した。
上記アンモニア処理を行う無機シリカ系多孔質材料して、表2に示すシリカゲルB、活性白土A、及び珪藻土Aを用いた。アンモニア処理を行う3つの無機シリカ系多孔質材料をそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの3つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のアンモニアガスを含むエアを捕集し、アンモニアガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のアンモニアガスの濃度は5.5ppmであった。アンモニアガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のアンモニアガスの濃度が上流側と同じ5.5ppmになったことが確認できたため、各無機シリカ系多孔質材料へのアンモニア処理が完了したものと判断し、アンモニアガスを含むエアの通気を終了した。このようにしてシリカゲルのアンモニア処理物、活性白土のアンモニア処理物、及び珪藻土のアンモニア処理物を作製した。なお、アンモニアガスの濃度は、(株)ガステック製検知管3Lを用いて測定した。
(D4通気試験)
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表2に示すシリカゲルB、活性白土A、珪藻土A、上記シリカゲルBのアンモニア処理物、上記活性白土Aのアンモニア処理物、及び上記珪藻土Aのアンモニア処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、シリカゲルB及びそのアンモニア処理物が0.7g、活性白土A及びそのアンモニア処理物が3.9g、珪藻土A及びそのアンモニア処理物が3.0gであった。なお、試験サンプルとして無機シリカ系多孔質材料のアンモニア処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質である塩基性ガスのアンモニアを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表7及び図7に示す。図7中、丸印(○)はシリカゲルBのデータ、三角印(△)は活性白土Aのデータ、四角印(□)は珪藻土Aのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはアンモニア処理物を示す。また、図7中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表2に示すシリカゲルB、活性白土A、珪藻土A、上記シリカゲルBのアンモニア処理物、上記活性白土Aのアンモニア処理物、及び上記珪藻土Aのアンモニア処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、シリカゲルB及びそのアンモニア処理物が0.7g、活性白土A及びそのアンモニア処理物が3.9g、珪藻土A及びそのアンモニア処理物が3.0gであった。なお、試験サンプルとして無機シリカ系多孔質材料のアンモニア処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質である塩基性ガスのアンモニアを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表7及び図7に示す。図7中、丸印(○)はシリカゲルBのデータ、三角印(△)は活性白土Aのデータ、四角印(□)は珪藻土Aのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはアンモニア処理物を示す。また、図7中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
表7及び図7に示されるように、水混合物のpHが7以下であるシリカゲル、活性白土、及び珪藻土を用い、これらの無機シリカ系多孔質材料が塩基性ガスであるアンモニアを付着させていない場合は、水混合物のpHが7以下であるシリカゲル、活性白土、及び珪藻土がアンモニア処理されている場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が著しく大きい。即ち、水混合物のpHが7以下であるシリカゲル、活性白土、及び珪藻土を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に阻害物質除去用ケミカルフィルタを有する場合は、阻害物質除去用ケミカルフィルタを有しない場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が著しく大きいことが明らかである。
実施例8
(合成ゼオライトのTMS処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、合成ゼオライトのTMS処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うためのゼオライトを2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、ゼオライトのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、TMSガスを含むエアを流した。
上記TMS処理を行うゼオライトとして、上記合成ゼオライトL、上記合成ゼオライトG、上記合成ゼオライトC、及び上記合成ゼオライトMを用いた。TMS処理を行う4つの合成ゼオライトをそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの4つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のTMSガスを含むエアを捕集し、TMSガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のTMSガスの濃度は5.0ppmであった。TMSガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のTMSガスの濃度が上流側と同じ5.0ppmになったことが確認できたため、各合成ゼオライトへのTMS処理が完了したものと判断し、TMSガスを含むエアの通気を終了した。このようにして合成ゼオライトのTMS処理物を作製した。なお、TMSガスの濃度は、GC−FIDを用いて測定した。
(合成ゼオライトのTMS処理物の作製例)
図1に示すような通気試験装置を用いて、合成ゼオライトのTMS処理物を作製した。すなわち、2本のアクリル製の円筒状の試験カラム(内径50mm、長さ30cm)1を直列につないだものを6系列並列に配置し、カラムの上流側にガス供給用のチューブ2を取り付け、カラムの下流側に、流量計3、流量調整バルブ4、ポンプ5をこの順に取り付けた。直列につないだ2本のカラムの間に不織布6を挟み、不織布6上に試験サンプル7の代わりにアンモニア処理を行うためのゼオライトを2.5mm厚(かさ容積:4.8mL)で敷き、ゼオライトのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整した、TMSガスを含むエアを流した。
上記TMS処理を行うゼオライトとして、上記合成ゼオライトL、上記合成ゼオライトG、上記合成ゼオライトC、及び上記合成ゼオライトMを用いた。TMS処理を行う4つの合成ゼオライトをそれぞれ、6系列並列に配置したカラムのうちの4つのカラム1にそれぞれ用いた。
各カラムの上流側と下流側のTMSガスを含むエアを捕集し、TMSガスの濃度をそれぞれ測定した。上流側のTMSガスの濃度は5.0ppmであった。TMSガスを含むエアの通気開始から12時間後、各カラムの下流側のTMSガスの濃度が上流側と同じ5.0ppmになったことが確認できたため、各合成ゼオライトへのTMS処理が完了したものと判断し、TMSガスを含むエアの通気を終了した。このようにして合成ゼオライトのTMS処理物を作製した。なお、TMSガスの濃度は、GC−FIDを用いて測定した。
(D4通気試験)
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表8に示す合成ゼオライトL、合成ゼオライトG、合成ゼオライトC、合成ゼオライトM、上記合成ゼオライトLのTMS処理物、上記合成ゼオライトGのTMS処理物、上記合成ゼオライトCのTMS処理物、及び上記合成ゼオライトMのTMS処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、合成ゼオライトL及びそのTMS処理物が1.9g、合成ゼオライトG及びそのTMS処理物が2.0g、合成ゼオライトC及びそのTMS処理物が1.9g、合成ゼオライトM及びそのTMS処理物が3.2gであった。なお、試験サンプルとして合成ゼオライトのTMS処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質であるシラノール化合物のTMSを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表8及び図8に示す。図8中、丸印(○)は合成ゼオライトLのデータ、三角印(△)は合成ゼオライトGのデータ、菱形印(◇)は合成ゼオライトCのデータ、四角印(□)は合成ゼオライトMのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはTMS処理物を示す。また、図8中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
不織布6上に4.8mLの試験サンプル(吸着剤)7を2.5mm厚で敷き、カラムに流すエアとして、恒温恒湿槽を用いて温度23℃、湿度50%に調整した空気に、D4を30ppb混ぜたものを使用し、試験サンプルのろ過風速が3.0cm/sとなるように流量を調整したエアを流したこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような通気試験装置を用いて、吸着剤のガス除去効率を測定した。
試験サンプル(吸着剤)として、表8に示す合成ゼオライトL、合成ゼオライトG、合成ゼオライトC、合成ゼオライトM、上記合成ゼオライトLのTMS処理物、上記合成ゼオライトGのTMS処理物、上記合成ゼオライトCのTMS処理物、及び上記合成ゼオライトMのTMS処理物を用いた。試験サンプルの重量は、それぞれ、合成ゼオライトL及びそのTMS処理物が1.9g、合成ゼオライトG及びそのTMS処理物が2.0g、合成ゼオライトC及びそのTMS処理物が1.9g、合成ゼオライトM及びそのTMS処理物が3.2gであった。なお、試験サンプルとして合成ゼオライトのTMS処理物を用いた場合は、阻害物質除去用フィルタを有しないシロキサン化合物除去設備を使用した場合(即ち、阻害物質であるシラノール化合物のTMSを阻害物質除去用フィルタにより除去されない場合)を想定したものである。
カラムの上流側、下流側のエアを吸着管により捕集し、エアを捕集した吸着管をATD(加熱脱着装置)−GC/MSによるガス分析に付し、D4のガス濃度を測定した。測定したカラムの上流側、下流側のD4のガス濃度からD4の除去効率を下記式で算出し、試験サンプルの時間変化のグラフを作成した。
除去効率(%)={(上流側のガス濃度−下流側のガス濃度)/上流側のガス濃度}×100
結果を表8及び図8に示す。図8中、丸印(○)は合成ゼオライトLのデータ、三角印(△)は合成ゼオライトGのデータ、菱形印(◇)は合成ゼオライトCのデータ、四角印(□)は合成ゼオライトMのデータをそれぞれ示す。なお、白抜きは未処理物を示し、黒塗りはTMS処理物を示す。また、図8中、グラフの横軸は経過日数(日)、縦軸は除去効率(%)である。
上記GC/MSの測定には、日本電子(株)製、商品名「JMS−Q1000GC MKII」を用いた。
表8及び図8に示されるように、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトを用い、当該合成ゼオライトがシラノール化合物であるTMSを付着させていない場合は、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトがTMS処理されている場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が大きい。即ち、水混合物のpHが7以下である合成ゼオライトを吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に阻害物質除去用ケミカルフィルタを有する場合は、阻害物質除去用ケミカルフィルタを有しない場合に比べて、日数が経過してもD4の除去効率が大きいことが明らかである。
1 カラム
2 チューブ
3 流量計
4 流量調整バルブ
5 ポンプ
6 不織布
7 試験サンプル(吸着剤)
2 チューブ
3 流量計
4 流量調整バルブ
5 ポンプ
6 不織布
7 試験サンプル(吸着剤)
Claims (7)
- 純水と混合させて得られる水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料を吸着剤として用いたシロキサン化合物除去用ケミカルフィルタと、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタの上流に設置された、前記シロキサン化合物除去用ケミカルフィルタのシロキサン化合物除去能を低下させる阻害物質を除去する阻害物質除去用ケミカルフィルタとを有することを特徴とするシロキサン化合物除去設備。
- 前記阻害物質除去用ケミカルフィルタが、塩基性物質除去用ケミカルフィルタ及びシラノール化合物除去用ケミカルフィルタからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1に記載のシロキサン化合物除去設備。
- 前記無機シリカ系多孔質材料が、ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナ、ケイ酸アルミニウム、多孔質ガラス、珪藻土、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、アロフェン、イモゴライト、酸性白土、活性白土、活性ベントナイト、メソポーラスシリカ、アルミノケイ酸塩、ヒュームドシリカ、フライアッシュ、及びクリンカアッシュからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機シリカ系多孔質材料である、請求項1又は2に記載のシロキサン化合物除去設備。
- 前記吸着剤として、前記水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である無機シリカ系多孔質材料とともに、他の吸着剤を用いた、請求項1〜3の何れか1項に記載のシロキサン化合物除去設備。
- 前記無機シリカ系多孔質材料として、水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である、合成ゼオライト、珪藻土、シリカゲル、酸性白土、及び活性白土からなる群より選ばれた少なくとも1種を、吸着剤の総重量に対して、10重量%以上含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のシロキサン化合物除去設備。
- 前記無機シリカ系多孔質材料として水混合物(含有割合:5wt%)のpHが7以下である合成ゼオライトを含み、前記合成ゼオライトが、A型、フェリエライト、MCM−22、ZSM−5、ZSM−11、SAPO−11、モルデナイト、ベータ型、X型、Y型、L型、チャバザイト、及びオフレタイトからなる群より選ばれた少なくとも1種の骨格構造を有する合成ゼオライトである、請求項1〜5の何れか1項に記載のシロキサン化合物除去設備。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のシロキサン化合物除去設備を用いてシロキサン化合物を除去することを特徴とする流体浄化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015191216A JP2017064602A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | シロキサン化合物除去設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015191216A JP2017064602A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | シロキサン化合物除去設備 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017064602A true JP2017064602A (ja) | 2017-04-06 |
Family
ID=58490872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015191216A Pending JP2017064602A (ja) | 2015-09-29 | 2015-09-29 | シロキサン化合物除去設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017064602A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107321314A (zh) * | 2017-06-22 | 2017-11-07 | 北京大学深圳研究生院 | 一种绿色高效钯的磁性吸附剂制备方法及应用 |
KR20190101077A (ko) * | 2018-02-22 | 2019-08-30 | 한국과학기술연구원 | 바이오가스 내 황화수소 및 실록산을 제거하는 바이오가스 정제 장치 |
CN115138187A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-10-04 | 深圳市捷晶科技股份有限公司 | 一种低温等离子体处理VOCs中硅氧烷的装置和工艺 |
-
2015
- 2015-09-29 JP JP2015191216A patent/JP2017064602A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107321314A (zh) * | 2017-06-22 | 2017-11-07 | 北京大学深圳研究生院 | 一种绿色高效钯的磁性吸附剂制备方法及应用 |
CN107321314B (zh) * | 2017-06-22 | 2020-02-14 | 北京大学深圳研究生院 | 一种绿色高效钯的磁性吸附剂制备方法及应用 |
KR20190101077A (ko) * | 2018-02-22 | 2019-08-30 | 한국과학기술연구원 | 바이오가스 내 황화수소 및 실록산을 제거하는 바이오가스 정제 장치 |
KR102120872B1 (ko) * | 2018-02-22 | 2020-06-09 | 한국과학기술연구원 | 바이오가스 내 황화수소 및 실록산을 제거하는 바이오가스 정제 장치 |
CN115138187A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-10-04 | 深圳市捷晶科技股份有限公司 | 一种低温等离子体处理VOCs中硅氧烷的装置和工艺 |
CN115138187B (zh) * | 2022-06-16 | 2023-04-21 | 深圳市捷晶科技股份有限公司 | 一种低温等离子体处理VOCs中硅氧烷的装置和工艺 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6657184B2 (ja) | ケミカルフィルタ | |
KR102269799B1 (ko) | 케미컬 필터 | |
US20090211453A1 (en) | Filtration Media for the Removal of Basic Molecular Contaminants for Use in a Clean Environment | |
KR100527978B1 (ko) | 공기정화필터와그제조방법및고도청정장치 | |
US7377965B2 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel materials | |
US7585359B2 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel and/or zeolite materials treated with nitric acid and/or potassium persulfate | |
US20080006153A1 (en) | Air filtration media comprising oxidizing agent-treated metal-doped silicon-based gel and zeolite materials | |
US20070003762A1 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel materials | |
JP2017064602A (ja) | シロキサン化合物除去設備 | |
JP2016179461A (ja) | ケミカルフィルタ | |
JP2009514658A (ja) | 金属をドープした沈降シリカ材料を含む空気ろ過材 | |
WO2018045867A1 (zh) | 一种用于净化空气的复合材料及其制备方法和应用 | |
Adebayo et al. | Passive control of indoor formaldehyde by mixed-metal oxide latex paints | |
US20070221062A1 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel and zeolite materials | |
JP2016068083A (ja) | シラノール化合物除去設備 | |
US20070009416A1 (en) | Method of producing metal-doped silicon-based gel materials | |
JP2017064618A (ja) | 有機ケイ素化合物除去設備 | |
EP3870338A1 (en) | Catalyst-adsorbent filter for air purification | |
WO2015056559A1 (ja) | ケミカルフィルタ | |
JP3375927B2 (ja) | 珪質頁岩を利用した調湿消臭材料 | |
US20070221059A1 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel and zeolite materials | |
JP2017176936A (ja) | ケミカルフィルタ | |
JP5721885B1 (ja) | ケミカルフィルタ | |
US20080156192A1 (en) | Air filtration media comprising metal-doped silicon-based gel materials with nitric acid and/or potassium persulfate | |
JP2017064619A (ja) | 流体浄化装置 |