図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体圧制御装置について説明する。
流体圧制御装置は、油圧ショベル等の油圧作業機器の動作を制御するものであり、本実施形態では、図1に示す油圧ショベルのアーム(負荷)1を駆動するシリンダ2の伸縮作動を制御する油圧制御装置について説明する。
まず、図2を参照して、油圧制御装置の油圧回路について説明する。
シリンダ2は、筒状のシリンダチューブ2cと、シリンダチューブ2cに摺動自在に挿入されシリンダチューブ2c内をロッド側室2aと反ロッド側室2bに区画するピストン2dと、一端がピストン2dに連結され、他端側がシリンダチューブ2cの外部へ延びてアーム1に連結されるロッド2eと、を備える。
油圧ショベルにはエンジンが搭載され、そのエンジンの動力によって流体圧供給源としてのポンプ4及びパイロット圧供給源としてのパイロットポンプ5が駆動する。
油圧制御装置は、ポンプ4からシリンダ2への作動油の供給を制御する制御弁6と、パイロットポンプ5から制御弁6に導かれるパイロット圧を制御するパイロット制御弁9と、を備える。
制御弁6とシリンダ2のロッド側室2aとは第1メイン通路7によって接続され、制御弁6とシリンダ2の反ロッド側室2bとは第2メイン通路8によって接続される。
制御弁6は、油圧ショベルのオペレータが操作レバー10を手動操作することに伴ってパイロットポンプ5からパイロット制御弁9を通じてパイロット室6a,6bに導かれるパイロット圧によって動作する。
具体的には、パイロット室6aにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置6Aに切り換わり、ポンプ4から第1メイン通路7を通じてロッド側室2aに作動油が供給されると共に、反ロッド側室2bの作動油が第2メイン通路8を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は収縮作動し、アーム1は、図1に示す矢印80の方向へと上昇する。
一方、パイロット室6bにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置6Bに切り換わり、ポンプ4から第2メイン通路8を通じて反ロッド側室2bに作動油が供給されると共に、ロッド側室2aの作動油が第1メイン通路7を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は伸長作動し、アーム1は、図1に示す矢印81の方向へと下降する。
パイロット室6a,6bにパイロット圧が導かれない場合には、制御弁6は位置6Cとなり、シリンダ2に対する作動油の給排が遮断され、アーム1は停止した状態を保つ。
このように、制御弁6は、シリンダ2を収縮作動させる収縮位置6A、シリンダ2を伸長作動させる伸長位置6B、及びシリンダ2の負荷を保持する中立位置6Cの3ポジションを有し、シリンダ2に対する作動油の給排を切り換え、シリンダ2の伸縮作動を制御する。
ここで、図1に示すように、バケット13を持ち上げた状態で、制御弁6を中立位置6Cに切り換えアーム1の動きを止めた場合には、バケット13とアーム1等の自重によって、シリンダ2には伸長する方向の力が作用する。このように、アーム1を駆動するシリンダ2においては、ロッド側室2aが、制御弁6が中立位置6Cの場合に負荷圧が作用する負荷側圧力室となる。
負荷側圧力室であるロッド側室2aに接続された第1メイン通路7には、負荷保持機構20が設けられる。負荷保持機構20は、制御弁6が中立位置6Cの場合に、ロッド側室2aの負荷圧を保持するものであり、図1に示すように、シリンダ2の表面に固定される。
なお、ブーム14を駆動するシリンダ15においては、反ロッド側室15bが負荷側圧力室となるため、ブーム14に負荷保持機構20を設ける場合には、反ロッド側室15bに接続されたメイン通路に負荷保持機構20が設けられる(図1参照)。
負荷保持機構20は、第1メイン通路7に設けられたオペレートチェック弁21と、パイロット制御弁9を通じてパイロット室23に導かれるパイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、オペレートチェック弁21の作動を切り換えるための切換弁22と、を備える。
オペレートチェック弁21は、第1メイン通路7を開閉する弁体24と、弁体24が着座するシート部28と、弁体24の背面に画成された背圧室25と、弁体24に形成されロッド側室2aの作動油を背圧室25へと常時導く通路26とを備える。通路26には絞り26aが設けられる。
第1メイン通路7は、ロッド側室2aとオペレートチェック弁21を接続するシリンダ側第1メイン通路7aと、オペレートチェック弁21と制御弁6を接続する制御弁側第1メイン通路7bと、を有する。
弁体24には、制御弁側第1メイン通路7bの圧力が作用する第1受圧面24aと、シリンダ側第1メイン通路7aを通じてロッド側室2aの圧力が作用する第2受圧面24bと、が形成される。
背圧室25には、弁体24を閉弁方向に付勢する付勢部材としてのスプリング27が収装される。背圧室25の圧力とスプリング27の付勢力とは、弁体24をシート部28に着座させる方向に作用する。
弁体24がシート部28に着座した状態は、オペレートチェック弁21は、ロッド側室2aから制御弁6への作動油の流れを遮断する逆止弁としての機能を発揮する。つまり、オペレートチェック弁21は、ロッド側室2a内の作動油の漏れを防止して負荷圧を保持し、アーム1の停止状態を保持する。
負荷保持機構20は、さらに、ロッド側室2aの作動油をオペレートチェック弁21をバイパスして制御弁側第1メイン通路7bへと導くバイパス通路30と、背圧室25の作動油を制御弁側第1メイン通路7bへと導く背圧通路31と、を備える。
切換弁22は、バイパス通路30及び背圧通路31に設けられ、制御弁側第1メイン通路7bに対するバイパス通路30及び背圧通路31の連通を切り換え、シリンダ2を伸長作動させる際にメータアウト側となる第1メイン通路7の作動油の流れを制御する。
切換弁22は、バイパス通路30に連通する第1供給ポート32、背圧通路31に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側第1メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートを有する。また、切換弁22は、遮断位置22A、第1連通位置22B、第2連通位置22Cの3ポジションを有する。
パイロット室23には、制御弁6のパイロット室6bにパイロット圧が導かれたときに、同時に同じ圧力のパイロット圧が導かれる。つまり、制御弁6を伸長位置6Bに切り換えた場合に、切換弁22も第1連通位置22B又は第2連通位置22Cに切り換わる。
具体的に説明すると、パイロット室23にパイロット圧が導かれない場合には、スプリング36の付勢力によって、切換弁22は遮断位置22Aを保つ。遮断位置22Aでは、第1供給ポート32及び第2供給ポート33の双方が遮断される。
パイロット室23に第1所定圧力以上第2所定圧力未満のパイロット圧が導かれた場合には、切換弁22は第1連通位置22Bに切り換わる。第1連通位置22Bでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通する。これにより、ロッド側室2aの作動油はバイパス通路30から切換弁22を通じて制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。つまり、ロッド側室2aの作動油はオペレートチェック弁21をバイパスして制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。このとき、絞り37によって作動油の流れに抵抗が付与される。第2供給ポート33は遮断された状態を保つ。
パイロット室23に第2所定圧力以上のパイロット圧が導かれた場合には、切換弁22は第2連通位置22Cに切り換わる。第2連通位置22Cでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通すると共に、第2供給ポート33も排出ポート34と連通する。これにより、背圧室25の作動油は、背圧通路31から切換弁22を通じて制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。このとき、背圧室25の作動油は、絞り37をバイパスして制御弁側第1メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。これにより、絞り26aの前後にて差圧が発生し、背圧室25内の圧力が小さくなるため、弁体24に作用する閉弁方向の力が小さくなり、弁体24がシート部28から離れ、オペレートチェック弁21の逆止弁としての機能が解除される。
バイパス通路30における切換弁22の上流には、リリーフ通路40が分岐して接続される。リリーフ通路40には、ロッド側室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して作動油の通過を許容し、ロッド側室2aの作動油を逃がすリリーフ弁41が設けられる。リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は、リリーフ弁41とタンクTを接続するリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出される。
制御弁側第1メイン通路7bには、制御弁側第1メイン通路7bの圧力が所定圧力に達した場合に開弁するリリーフ弁43が接続される。
次に、主に図3及び4を参照して、切換弁22について詳細に説明する。図3は負荷保持機構20の断面図であり、パイロット室23にパイロット圧が導かれておらず切換弁22が遮断位置22Aである状態を示す。図4は負荷保持機構20の平面図である。なお、図3及び4において、図2で示した符号と同一の符号を付したものは、図2で示した構成と同一の構成である。
切換弁22はボディ60に組み込まれる。ボディ60にはスプール孔60aが形成され、スプール孔60aには略円筒形状のスリーブ61が挿入される。スリーブ61内には、スプール56が摺動自在に組み込まれる。
スプール56の一端面56aの側方には、キャップ57によってスプリング室54が区画される。スプリング室54は、スリーブ61の端面に形成された切り欠き61aを通じて第1ドレン通路76aに接続される。第1ドレン通路76aはリリーフ排出通路77に接続される。したがって、スプリング室54に漏れ込んだ作動油は第1ドレン通路76a及びリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出される。
スプリング室54には、スプール56を付勢する付勢部材としてのスプリング36が収容される。また、スプリング室54には、スプール56の一端面56aに端面が当接すると共に中空部にスプール56の一端面56aに突出して形成されたピン部56cが挿入される環状の第1バネ受部材45と、キャップ57の底部近傍に配置された第2バネ受部材46と、が収装される。スプリング36は、第1バネ受部材45と第2バネ受部材46との間に圧縮状態で介装され、第1バネ受部材45を介してスプール56を閉弁方向に付勢する。
スプリング室54内での第2バネ受部材46の軸方向位置は、キャップ57の底部に貫通して螺合する調節ボルト47の先端部が第2バネ受部材46の背面に当接することによって設定される。調節ボルト47をねじ込むことによって、第2バネ受部材46は第1バネ受部材45に近づく方向に移動する。したがって、調節ボルト47のねじ込み量を調節することによって、スプリング36の初期のスプリング荷重を調整することができる。調節ボルト47はナット48にて固定される。
スプール56の他端面56bの側方には、スプール孔60aと連通して形成されたピストン孔60bと、ピストン孔60bを閉塞するキャップ58と、によってパイロット室23が区画される。パイロット室23には、ボディ60に形成されたパイロット通路52を通じてパイロット圧が導かれる。パイロット室23内には、背面にパイロット圧を受けてスプール56にスプリング36の付勢力に抗する推力を付与するピストン50が摺動自在に収容される。
ピストン孔60b内には、スプール56とピストン50によってドレン室51が区画される。ドレン室51は第2ドレン通路76bに接続され、第2ドレン通路76bはリリーフ排出通路77に接続される。したがって、ドレン室51に漏れ込んだ作動油は第2ドレン通路76b及びリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出される。
ピストン50は、外周面がピストン孔60bの内周面に沿って摺動する摺動部50aと、摺動部50aと比較して小径に形成され、スプール56の他端面56bに対峙する先端部50bと、摺動部50aと比較して小径に形成され、キャップ58の先端面に対峙する基端部50cと、を備える。
パイロット通路52を通じてパイロット室23内にパイロット圧油が供給されると、基端部50cの背面と摺動部50aの環状背面とにパイロット圧が作用する。これにより、ピストン50は、前進し、先端部50bがスプール56の他端面56bに当接してスプール56を移動させる。このように、スプール56は、ピストン50の背面に作用するパイロット圧に基づいて発生するピストン50の推力を受け、スプリング36の付勢力に抗して移動する。基端部50cの背面がキャップ58の先端面に当接している場合であっても、基端部50cは摺動部50aと比較して小径であり、摺動部50aの環状背面にパイロット圧が作用するため、ピストン50は前進可能である。
ピストン50の一端部はパイロット室23に臨み、他端部はタンクTに接続されたドレン室51に臨んでいるため、パイロット室23のパイロット圧に基づいて発生するピストン50の推力は効率良くスプール56に伝達される。
ドレン室51及びスプリング室54のそれぞれは、第1ドレン通路76a及び第2ドレン通路76bを通じてリリーフ排出通路77に連通する。リリーフ排出通路77はボディ60の外面に開口するドレンポート53に連通して形成される。ドレンポート53は配管55(図2参照)を通じてタンクTに接続される。ドレン室51とスプリング室54は双方ともタンクTに連通するため、切換弁22が遮断位置22Aの際には、スプール56の両端には大気圧が作用し、スプール56が意図せずに移動するような事態が防止される。
このように、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油とドレン室51及びスプリング室54のドレンとは、合流してドレンポート53及び配管55を通じてタンクTへ排出される。
スプール56は、一端面56aに作用するスプリング36の付勢力と他端面56bに作用するピストン50の推力とがバランスした位置で停止し、そのスプール56の停止位置にて切換弁22の切り換え位置が設定される。
スリーブ61には、バイパス通路30(図2参照)に連通する第1供給ポート32、背圧通路31(図2参照)に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側第1メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートが形成される。
スプール56の外周面は部分的に環状に切り欠かれ、その切り欠かれた部分とスリーブ61の内周面とで、第1圧力室64、第2圧力室65、第3圧力室66、及び第4圧力室67が形成される。
第1圧力室64は、排出ポート34に常時連通している。
第3圧力室66は、第1供給ポート32に常時連通している。スプール56のランド部72の外周には、スプール56がスプリング36の付勢力に抗して移動することによって、第3圧力室66と第2圧力室65を連通する複数の絞り37が形成される。
第4圧力室67は、スプール56に軸方向に形成された導圧通路68を通じて第2圧力室65に常時連通している。
パイロット室23にパイロット圧が導かれない場合には、スプリング36の付勢力によってスプール56に形成されたポペット弁70が、スリーブ61の内周に形成された弁座71に押し付けられ、第2圧力室65と第1圧力室64の連通が遮断される。したがって、第1供給ポート32と排出ポート34との連通が遮断される。これにより、ロッド側室2aの作動油が排出ポート34へと漏れることはない。この状態が、切換弁22の遮断位置22Aに相当する。スプリング36の付勢力によってポペット弁70が弁座71に着座した状態では、第1バネ受部材45の端面とスリーブ61の端面との間には僅かな隙間が存在するため、ポペット弁70は弁座71に対してスプリング36の付勢力によって確実にシートされる。
パイロット室23にパイロット圧が導かれ、スプール56に作用するピストン50の推力がスプリング36の付勢力よりも大きくなった場合には、スプール56はスプリング36の付勢力に抗して移動する。これにより、ポペット弁70が弁座71から離れると共に、第3圧力室66と第2圧力室65が複数の絞り37を通じて連通するため、第1供給ポート32は第3圧力室66、第2圧力室65、及び第1圧力室64を通じて排出ポート34と連通する。第1供給ポート32と排出ポート34の連通によって、ロッド側室2aの作動油が、絞り37を通じて制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。この状態が、切換弁22の第1連通位置22Bに相当する。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が大きくなると、スプール56はスプリング36の付勢力に抗してさらに移動し、第2供給ポート33に第4圧力室67が連通する。これにより、第2供給ポート33は、第4圧力室67、導圧通路68、第2圧力室65、及び第1圧力室64を通じて排出ポート34と連通する。第2供給ポート33と排出ポート34の連通によって、背圧室25の作動油が制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。この状態が、切換弁22の第2連通位置22Cに相当する。
次に、主に図2及び図3を参照して、油圧制御装置の動作について説明する。
制御弁6が中立位置6Cの場合には、ポンプ4が吐出する作動油はシリンダ2に供給されない。このとき、切換弁22のパイロット室23にはパイロット圧が導かれないため、切換弁22も遮断位置22Aの状態となる。
このため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側室2aの圧力に維持される。ここで、弁体24における閉弁方向の受圧面積(弁体24の背面の面積)は、開弁方向の受圧面積である第2受圧面24bの面積よりも大きいため、背圧室25の圧力による弁体24の背面に作用する荷重とスプリング27の付勢力とによって、弁体24はシート部28に着座した状態となる。このように、オペレートチェック弁21によって、ロッド側室2a内の作動油の漏れが防止され、アーム1の停止状態が保持される。
操作レバー10が操作され、パイロット制御弁9から制御弁6のパイロット室6aへとパイロット圧が導かれると、制御弁6は、パイロット圧に応じた量だけ収縮位置6Aへと切り換わる。制御弁6が収縮位置6Aへと切り換わると、ポンプ4の吐出圧がオペレートチェック弁21の第1受圧面24aへと作用する。このとき、切換弁22は、パイロット室23にパイロット圧が導かれず遮断位置22Aの状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側室2aの圧力に維持される。第1受圧面24aに作用する荷重が、背圧室25の圧力による弁体24の背面に作用する荷重とスプリング27の付勢力との合計荷重よりも大きくなった場合には、弁体24はシート部28から離れる。このようにしてオペレートチェック弁21が開弁すれば、ポンプ4から吐出された作動油はロッド側室2aに供給され、シリンダ2は収縮する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印80の方向へと上昇する。
操作レバー10が操作され、パイロット制御弁9から制御弁6のパイロット室6bへとパイロット圧が導かれると、制御弁6はパイロット圧に応じた量だけ伸長位置6Bへと切り換わる。これと同時に、パイロット室23へもパイロット圧が導かれるため、切換弁22は、供給されるパイロット圧に応じて第1連通位置22B又は第2連通位置22Cに切り換わる。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が第1所定圧力以上第2所定圧力未満の場合には、切換弁22は第1連通位置22Bに切り換わる。この場合、第2供給ポート33と排出ポート34との連通は遮断された状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25はロッド側室2aの圧力に維持され、オペレートチェック弁21は閉弁状態となる。
一方、第1供給ポート32は排出ポート34と連通するため、ロッド側室2aの作動油は、バイパス通路30から絞り37を通過して制御弁側第1メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。また、反ロッド側室2bには、ポンプ4から吐出される作動油が供給されるため、シリンダ2は伸長する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印81の方向へと下降する。
ここで、切換弁22を第1連通位置22Bに切り換えるのは、バケット13に取り付けた搬送物を、目的の位置に下ろすクレーン作業を行う場合が主である。クレーン作業では、シリンダ2を低速で伸長作動させてアーム1を矢印81の方向へとゆっくりと下降させる必要があるため、制御弁6は、伸長位置6Bにわずかに切り換えられるだけである。このため、制御弁6のパイロット室6bに導かれるパイロット圧は小さく、切換弁22のパイロット室23に導かれるパイロット圧は第1所定圧力以上第2所定圧力未満となり、切換弁22は第1連通位置22Bまでしか切り換わらない。したがって、ロッド側室2aの作動油は絞り37を通過して排出されることになり、アーム1はクレーン作業に適した低速で下降する。
また、切換弁22が第1連通位置22Bの場合において、制御弁側第1メイン通路7bが破裂などして作動油が外部へと漏れるような事態が発生したとしても、ロッド側室2aから排出される作動油の流量は絞り37によって制限されるため、バケット13の落下速度は抑制される。この機能をメータリング制御という。このため、バケット13が地面に落下する前に、切換弁22を遮断位置22Aに切り換えることができ、バケット13の急落下を防止することができる。
このように、絞り37は、オペレートチェック弁21の閉弁時におけるシリンダ2の下降速度を抑えると共に、制御弁側第1メイン通路7bの破裂時におけるバケット13の落下速度を抑えるためのものである。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が第2所定圧力以上の場合には、切換弁22は第2連通位置22Cに切り換わる。この場合、第2供給ポート33が排出ポート34と連通するため、オペレートチェック弁21の背圧室25の作動油は、背圧通路31を通じて制御弁側第1メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。これにより、絞り26aの前後で差圧が発生し、背圧室25内の圧力が小さくなるため、弁体24に作用する閉弁方向の力が小さくなり、弁体24がシート部28から離れ、オペレートチェック弁21の逆止弁としての機能が解除される。
このように、オペレートチェック弁21は、制御弁6からロッド側室2aへの作動油の流れを許容する一方、背圧室25の圧力に応じてロッド側室2aから制御弁6への作動油の流れを許容するように動作する。
オペレートチェック弁21が開弁すると、ロッド側室2aの作動油は第1メイン通路7を通りタンクTへと排出されるため、シリンダ2は素早く伸長する。つまり、切換弁22を第2連通位置22Cに切り換えると、ロッド側室2aから排出される作動油の流量が多くなるため、反ロッド側室2bに供給される作動油の流量が多くなり、シリンダ2の伸長速度は速くなる。これにより、アーム1は矢印81の方向へと素早く下降する。
切換弁22を第2連通位置22Cに切り換えるのは、掘削作業等を行う場合であり、制御弁6は伸長位置6Bに大きく切り換えられる。このため、制御弁6のパイロット室6bに導かれるパイロット圧は大きく、切換弁22のパイロット室23に導かれるパイロット圧は第2所定圧力以上となり、切換弁22は第2連通位置22Cまで切り換わる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、図9及び10を参照して、本実施形態の比較例について説明する。図9及び10において、上記実施形態と同一の構成には、図2〜3と同一の符号を付す。図9及び10に示す比較例では、リリーフ通路40に、ロッド側室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して、ロッド側室2aの作動油を逃がすリリーフ弁90が設けられる。リリーフ弁90とタンクTを接続するリリーフ排出通路77にはオリフィス91が設けられる。ロッド側室2aの圧力が所定圧力に達してリリーフ弁90が開弁すると、リリーフ弁90から排出されたオリフィス91上流側のリリーフ圧油が第2ドレン通路76bを通じてドレン室51に導かれる。これにより、切換弁22が第2連通位置22Cに切り換わることによって、オペレートチェック弁21が開弁し、ロッド側室2aの作動油の圧力が低下する。
このような比較例において、オペレータ操作によりパイロット室23にパイロット圧を導いてスプール56を移動させ、シリンダ2を伸長作動させている状態で、ロッド側室2aの圧力が上昇してリリーフ弁90が開弁した場合には、リリーフ弁90から排出されたオリフィス91上流側のリリーフ圧油がドレン室51に導かれる。ドレン室51に導かれるオリフィス91上流側のリリーフ背圧は、パイロット室23に導かれるパイロット圧と比較して大きいため、ピストン50はスプール56から離れる方向へと移動してしまう。したがって、パイロット圧によって発生するピストン50の推力がスプール56へと伝達されない。また、ドレン室51の圧力が作用するスプール56の受圧面積はピストン50の受圧面積と比較して小さいため、ドレン室51に導かれるオリフィス91上流側のリリーフ背圧の大きさによっては、スプール56はスプリング36の付勢力によって閉じ方向へと移動してしまう事態が起こり得る。
このように、比較例においては、オペレータがシリンダ2を伸長動させるように操作レバーを操作している最中にリリーフ弁90が開弁した場合には、スプール56が閉じ方向へと移動してしまい、オペレータが意図するシリンダ2の伸長速度が得られない事態が生じ得る。
これに対して、本実施形態では、図2及び3に示すように、リリーフ弁41とタンクTを接続するリリーフ排出通路77にオリフィスが設けられない。したがって、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油はリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出され、ドレン室51に高圧が作用することはない。このように、本実施形態では、リリーフ弁41が開弁しても切換弁22の作動には影響せず、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は切換弁22を作動させない。具体的に説明すると、リリーフ弁41が開弁すると、第2ドレン通路76bを通じてドレン室51に若干リリーフ圧油が導かれるが、そのリリーフ圧油は、パイロット圧によって発生するピストン50の推力に打ち勝ってピストン50をスプール56から離れる方向に移動させる程の圧力は有さない。よって、本実施形態によれば、オペレータがシリンダ2を伸長動させるように操作レバーを操作している最中にリリーフ弁41が開弁した場合であっても、スプール56が閉じ方向へと移動することはなく、オペレータが意図するシリンダ2の伸長速度が得られる。
なお、図2に示すように、リリーフ排出通路77は、ボディ60の外面に開口する第2ドレンポート86に、通路87を通じて連通する。第2ドレンポート86に配管を接続して、その配管を介して第2ドレンポート86とタンクTを接続するようにしてもよい。このように構成すれば、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は、通路87を通じてもタンクへ排出されるため、ドレン室51に導かれるリリーフ圧油の流量を減らすことができる。ただ、負荷保持機構20のボディ60とタンクTを接続する配管を減らすために、第2ドレンポート86には配管を接続せず、第2ドレンポート86をプラグ88(図4参照)によって封止するのが好ましい。また、ドレンポート53をプラグによって封止し、第2ドレンポート86に配管を接続し、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油とドレン室51及びスプリング室54のドレンとを、第2ドレンポート86を通じてタンクTへ排出するようにしてもよい。
以上の本実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油はリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出されて切換弁22を作動させないため、オペレータがシリンダ2を伸縮作動させるように操作レバーを操作している最中にリリーフ弁41が開弁した場合であっても、スプール56が閉じ方向へと移動することはなく、オペレータが意図するシリンダ2の伸縮速度が得られる。よって、シリンダ2の安定した作動が可能となる。
また、本実施形態では、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は、ドレン室51及びスプリング室54のドレンと合流してドレンポート53及び配管55を通じてタンクTへ排出される。したがって、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油をタンクTへ導く専用の配管を設ける必要がないため、配管の本数を低減することができる。
また、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油はリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出されドレン室51へはほとんど導かれないため、リリーフ弁41の開弁時にリリーフ背圧が脈動した場合であっても、その脈動がスプール56に伝播することが防止される。したがって、振動の発生が抑制される。
また、排出されたリリーフ圧油によって切換弁22を切り換えてオペレートチェック弁21を開弁させる比較例のリリーフ弁90は、切換弁22のスプール56を第2連通位置22Cに切り換えるだけの圧力をドレン室51に導ければ足りるため、排出流量の少ない少容量型リリーフ弁が用いられる。これに対して、本実施形態のリリーフ弁41は、ロッド側室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して、ロッド側室2aの作動油をタンクTへ逃がし、ロッド側室2aの圧力を低下させる機能を有する必要があるため、比較例のリリーフ弁90と比較して排出流量が多い大容量型リリーフ弁が用いられる。このように、本実施形態のリリーフ弁41は、大容量型であるため設計の自由度が向上する。また、リリーフ弁41は大容量型であるため、ロッド側室2aの圧力が急激に上昇するようなサージ圧が発生した場合であっても、ロッド側室2aの圧力を所定圧力に保つことができる。よって、サージ圧によるシリンダ2の破損を防止することができる。
次に、図5〜8を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図5に示す第1変形例では、スプリング室54に接続される第1ドレン通路76aとドレン室51に接続される第2ドレン通路76bのそれぞれに、通過する作動油に抵抗を付与する絞りとしてのオリフィス82,83が設けられる。第1ドレン通路76a及び第2ドレン通路76bのそれぞれにオリフィス82,83が設けられることによって、リリーフ弁41の開弁時にリリーフ排出通路77にサージ圧が発生した場合であっても、スプリング室54及びドレン室51にサージ圧が伝播することを抑制することができる。したがって、スプール56の誤作動を防止することができる。
図6及び7に示す第2及び第3変形例では、リリーフ排出通路77に対する第1ドレン通路76a及び第2ドレン通路76bの接続方法が図2及び5に示す実施形態と異なる。このように、リリーフ排出通路77に対する第1ドレン通路76a及び第2ドレン通路76bの接続方法は、特定の構成に限定されない。
図8に示す第4変形例では、第1ドレン通路76aと第2ドレン通路76bが合流した合流ドレン通路76cに、通過する作動油に抵抗を付与する絞りとしてのオリフィス84が設けられる。このように構成することによって、サージ圧の伝播を抑制するオリフィスを1つのみとすることができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
本実施形態では、アーム1を駆動するシリンダ2の伸縮作動を制御する流体圧制御装置であって、ポンプ4からシリンダ2への作動油の供給を制御する制御弁6と、パイロットポンプ5から制御弁6に導かれるパイロット圧を制御するパイロット制御弁9と、制御弁6が中立位置6Cの場合にアーム1による負荷圧が作用するシリンダ2のロッド側圧力室2aと制御弁6とを接続するメイン通路7と、メイン通路7に設けられる負荷保持機構20と、を備え、負荷保持機構20は、制御弁6からロッド側圧力室2aへの作動油の流れを許容する一方、背圧に応じてロッド側圧力室2aから制御弁6への作動油の流れを許容するオペレートチェック弁21と、パイロット制御弁9を通じて導かれるパイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、オペレートチェック弁21の作動を切り換えるための切換弁22と、ロッド側圧力室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁するリリーフ弁41と、リリーフ弁41から排出されたリリーフ流体をタンクTへ導くリリーフ排出通路77と、を備え、切換弁22は、パイロット制御弁9を通じてパイロット圧が導かれるパイロット室23と、パイロット室23のパイロット圧に応じて移動するスプール56と、スプール56を閉弁方向に付勢するスプリング36が収容されたスプリング室54と、背面にパイロット圧を受けてスプール56にスプリング36の付勢力に抗する推力を付与するピストン50と、スプール56とピストン50で区画されたドレン室51と、ドレン室51とスプリング室54とをリリーフ排出通路77へ連通させるドレン通路76a,76bと、を備え、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は、リリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出されて切換弁22を作動させない。
この構成では、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油はリリーフ排出通路77を通じてタンクTへ排出されて切換弁22を作動させないため、オペレータがシリンダ2を伸縮作動させるように操作レバーを操作している最中にリリーフ弁41が開弁した場合であっても、スプール56が閉じ方向へと移動することはなく、オペレータが意図するシリンダ2の伸縮速度が得られる。よって、シリンダ2の安定した作動が可能となる。
また、本実施形態では、ドレン通路76a,76bに、通過する作動油に抵抗を付与する絞り82,83が設けられる。
この構成では、リリーフ弁41の開弁時にリリーフ排出通路77にサージ圧が発生した場合であっても、スプリング室54及びドレン室51にサージ圧が伝播することを抑制することができる。したがって、スプール56の誤作動を防止することができる。
また、本実施形態では、リリーフ弁41は、排出されたリリーフ圧油によって切換弁22を切り換えてオペレートチェック弁21を開弁させる場合と比較して排出流量が多い。
この構成では、リリーフ弁41は排出流量が多い大容量型であるため、設計の自由度が向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。