以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
図1〜図3を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。なお、以下では、黄色をY、マゼンタ色をM、シアン色をC、黒色をKで表すと共に、各構成部品及びトナー画像(画像)を色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色の符号(Y、M、C、K)を付して説明する。また、以下では、各構成部品及びトナー画像を色毎に区別せずに総称する場合には、符号の末尾の色の符号を省略して説明する。
(全体構成)
図1に示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データをY、M、C、Kの4色の階調データに変換する画像処理を行う画像処理部12が設けられている。
また、装置本体10Aの中央側には、各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット16が、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置されている。また、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向の上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される一次転写ユニット18が設けられている。
さらに、一次転写ユニット18の側方(図1の左側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送された記録媒体の一例としての用紙Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を転写する二次転写ロール22が設けられている。
二次転写ロール22に対して用紙Pの搬送方向(以下、「用紙搬送方向」という。)の下流側には、定着手段の一例としての定着装置24が設けられている。また、定着装置24は、用紙Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によって用紙Pに定着させる。
また、定着装置24に対して用紙搬送方向の下流側には、トナー画像が定着された用紙Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
一方、画像形成ユニット16の鉛直方向の下方及び側方には、用紙Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。また、一次転写ユニット18の鉛直方向の上方には、装置本体10Aの正面から装置本体10Aに対して着脱可能とされ、現像器38に補給されるトナーが充填されるトナーカートリッジ14が色別に4個(14K〜14Y)装置幅方向に並んで配置されている。各色のトナーカートリッジ14は、装置奥行方向に延びる円柱状とされ、各色の現像器38と図示しない補給管を介して接続されている。
(画像形成ユニット)
図1に示すように、各色の画像形成ユニット16は、すべて同様に構成されている。そして、画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、像保持体34の表面を帯電させる帯電器36と、を備えている。
また、画像形成ユニット16は、帯電した像保持体34の表面に露光光を照射するLED(Light Emitting Diode)ヘッド32を備えている。また、画像形成ユニット16は、LEDヘッド32による露光光の照射によって形成された静電潜像を現像剤(本実施の形態では、負極に帯電したトナー)で現像してトナー画像として可視化する現像器38を備えている。また、画像形成ユニット16は、像保持体34の表面を清掃する図示しない清掃ブレードを備えている。
現像器38には、像保持体34と対向して現像ロール39が配置されており、現像器38は、現像ロール39を用いて像保持体34に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー画像として可視化する。
そして、帯電器36、LEDヘッド32、現像ロール39、及び清掃ブレードは、像保持体34の表面と対向して、像保持体34の回転方向の上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
(転写部(一次転写ユニット・二次転写ロール))
一次転写ユニット18は、無端状の中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、図示しないモータにより回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転する補助ロール50と、を備えている。また、一次転写ユニット18は、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に各々配置される一次転写ロール52を備えている。
以上の構成により、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたY、M、C、Kの各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写される。
さらに、中間転写ベルト42の表面に接して中間転写ベルト42の表面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。
また、中間転写ベルト42を挟んで補助ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送される用紙Pに転写する二次転写ロール22が設けられている。そして、二次転写ロール22は接地されており、補助ロール50は二次転写ロール22の対向電極を形成しており、補助ロール50には、二次転写電圧が印加されることにより、用紙Pにトナー画像が転写される。
(供給搬送ユニット)
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において、画像形成ユニット16に対して鉛直方向の下方に配置され、複数の用紙Pが積載される給紙部材62を備えている。
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙部材62に積載された用紙Pを搬送経路60へ送り出す給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出された用紙Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、用紙Pの搬送タイミングを合わせる位置合わせロール68と、を備えている。そして、各ロールが、用紙搬送方向の上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。
以上の構成により、給紙部材62から供給された用紙Pは、回転する位置合わせロール68によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22との接触部(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出される。
(定着装置)
図2及び図3に示すように、本実施の形態に係る定着装置24は、コイルユニット100、ソフトフェライト等を含む外部磁性部材102、加熱ベルト104、及び加圧ロール106を備えている。なお、図2では、加圧ロール106が、加熱ベルト104と離間した離間位置に移動された状態の一例を示している。また、図3では、加圧ロール106が、加熱ベルト104と接触して、加熱ベルト104を加圧する加圧位置に移動された状態の一例を示している。
コイルユニット100の内部には、図示しない定着電源からの電力の供給によって磁界を発生する複数の励磁コイル108が設けられている。また、加熱ベルト104は、電磁誘導により発熱する発熱層を含んで形成された無端状のベルトである。また、加熱ベルト104の内周面より内側の領域には、液晶ポリマー等を含んで形成された押圧パッド110、及び感温磁性合金を含んで形成された内部磁性部材112が設けられている。
一方、加圧ロール106は、アルミニウム等の金属を含んで形成された心金114、及び発泡シリコンゴム等のスポンジ弾性層116を備えている。また、加圧ロール106は、図示しないラッチ機構により、離間位置(図2の位置)と加圧位置(図3の位置)との間で移動可能とされている。また、加圧ロール106は、駆動手段の一例としてのモータ132(図4参照。)により駆動(回転)し、加熱ベルト104は、加圧ロール106の回転に伴い、従動して回転する。
以上の構成により、定着装置24に搬送された用紙Pは、定着装置24により加熱及び加圧されて、用紙Pの一方の面(画像形成面)にトナー画像が定着される。
さらに、供給搬送ユニット30は、定着装置24によって一方の面にトナー画像が定着された用紙Pを、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出させずに、他方の面にトナー画像を形成するために用いる両面搬送装置70を備えている。
両面搬送装置70は、排出ロール28から位置合わせロール68に向けて用紙Pの表裏が反転されて用紙Pが搬送される両面搬送経路72と、両面搬送経路72に沿って用紙Pを搬送する搬送ロール74及び搬送ロール76とを備えている。
(その他)
画像形成装置10は、搬送経路60に沿って定着装置24の用紙搬送方向の上流側に設けられた用紙検知センサ80、及び下流側に設けられた用紙検知センサ82を備えている。本実施の形態に係る用紙検知センサ80、82は、一例として、一組の発光素子及び受光素子を備えた反射型のセンサである。用紙検知センサ80、82は、発光素子から設置位置に対応する搬送経路60上の検知位置に対して光を照射する。また、用紙検知センサ80、82は、受光素子で受光した光量に応じた信号レベルの信号(以下、「検知信号」という。)を出力する。用紙Pが上記検知位置を搬送されている期間は、発光素子から照射された光が用紙Pにより反射される。従って、用紙検知センサ80、82は、用紙Pが上記検知位置を搬送されている期間と搬送されていない期間で異なる信号レベルの検知信号を出力する。
このように、本実施の形態では、用紙検知センサ80、82として、反射型のセンサを適用しているが、これに限定されず、例えば、透過型のセンサ等、他のセンサを適用してもよい。
(画像形成工程)
まず、画像処理部12から各色のLEDヘッド32に各色の階調データが順次出力される。そして、LEDヘッド32から階調データに応じて出射された露光光は、帯電器36によって帯電した像保持体34の表面に照射される。これにより、像保持体34の表面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、各々Y、M、C、Kの各色のトナー画像として可視化される。
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成された各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。
中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙部材62から給紙ロール64、分離ロール66、位置合わせロール68によって搬送経路60に沿って搬送されてきた用紙Pに二次転写ロール22によって二次転写位置で二次転写される。
さらに、トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置24へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置24によって用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置24によって一方の面(表面)にトナー画像が定着された用紙Pは、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出されない。排出ロール28が逆回転されることで、用紙Pの用紙搬送方向が切り替えられる。そして、この用紙Pは、搬送ロール74、76により両面搬送経路72に沿って搬送される。
両面搬送経路72に沿って搬送された用紙Pは、表裏が反転されて再度位置合わせロール68へと搬送される。そして、用紙Pの他方の面(裏面)にトナー画像が転写及び定着された後、用紙Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成について説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成装置10の全体的な動作を司るCPU(Central Processing Unit)120、及び各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)122を備えている。また、画像形成装置10は、CPU120による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)124、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部126を備えている。
また、画像形成装置10は、外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(Interface)部128を備えている。また、画像形成装置10は、画像形成装置10に対するユーザからの指示を受け付ける一方、ユーザに対して画像形成装置10の動作状況等に関する各種情報を表示する操作表示部130を備えている。なお、操作表示部130は、例えば、プログラムの実行により操作指示の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示される表示面にタッチパネルが設けられたディスプレイ、及びテンキーやスタートボタン等のハードウェアキーを含む。
また、画像形成装置10は、加圧ロール106を回転駆動するモータ132の負荷(トルク)を検出する検出手段の一例としてのトルク検出部134を備えている。本実施の形態に係るトルク検出部134は、モータ132に接続されており、モータ132のトルクを、モータ132に流れる電流値として検出する。
なお、本実施の形態に係るトルク検出部134の構成は、モータ132のトルクを検出可能であれば特に限定されない。例えば、トルク検出部134として、シャント抵抗間の電圧を測定して電流を検出する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部134として、モータ132に電流が流れる経路上に抵抗を設け、該抵抗間の電圧を測定して電流を検知する構成のものを適用してもよい。また、例えば、トルク検出部134として、モータ132に電流が流れる経路上にホール素子による電流センサを設けて電流を検知する構成のものを適用してもよい。また、トルク検出部134は、検出した電流を電圧に変換して出力する構成でもよい。さらに、例えば、トルク検出部134として、モータ132のトルクを検出するトルク検出器を適用してもよい。
また、画像形成装置10は、前述した画像形成ユニット16や一次転写ユニット18等の用紙Pに対する画像形成に関する各種処理を行う構成部位を含む画像形成部136を備えている。そして、CPU120、ROM122、RAM124、記憶部126、通信回線I/F部128、操作表示部130、モータ132、トルク検出部134、画像形成部136、及び用紙検知センサ80、82の各部がアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス138を介して互いに接続されている。
以上の構成により、本実施の形態に係る画像形成装置10は、CPU120により、ROM122、RAM124、及び記憶部126に対するアクセス、並びに通信回線I/F部128を介した外部装置との間での通信データの送受信を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU120により、操作表示部130を介した各種指示情報の取得、及び操作表示部130に対する各種情報の表示を各々行う。また、画像形成装置10は、CPU120により、モータ132の制御、トルク検出部134から出力された電流値の取得、及び画像形成部136の制御を各々行う。
さらに、画像形成装置10は、CPU120により、用紙検知センサ80、82の各々から出力された検知信号を各々取得する。従って、画像形成装置10は、CPU120により、取得した該検知信号の信号レベルによって、用紙Pが用紙検知センサ80、82の各々による検知位置を通過しているか否かを検知する。
ところで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、用紙Pが定着装置24の加熱ベルト104又は加圧ロール106に巻き付いたことを検知する巻付検知機能が搭載されている。
従来、例えば、用紙Pが用紙検知センサ82による検知位置を通過している期間が、用紙Pが正常に定着装置24を通過する期間として予め定められた期間を超えた場合に、用紙Pが加熱ベルト104又は加圧ロール106に巻き付いたと検知することが行われている。
しかしながら、このような用紙検知センサ等のセンサの出力を用いた手法では、例えば、図5に示すように、複数枚の用紙P1、P2が重なって搬送されて定着装置24に突入し、少なくとも1枚の用紙P1が加熱ベルト104に巻き付き、残りの用紙P2が正常に定着装置24を通過して用紙検知センサ82による検知位置を通過した場合、用紙Pが加熱ベルト104に巻き付いたことを検知できない場合がある。なお、図5では、用紙Pが加熱ベルト104に巻き付いた場合を例に説明したが、用紙Pが加圧ロール106に巻き付いた場合も同様である。
そこで、本実施の形態に係る巻付検知機能では、トルク検出部134により検出されたモータ132の負荷から用紙Pが加熱ベルト104又は加圧ロール106に巻き付いたことを検知する。
図6〜図9を参照して、本実施の形態に係る巻付検知機能について詳細に説明する。なお、図6は、用紙Pの定着装置24に対する巻き付きが発生せず、正常な状態で4枚の用紙Pが1枚ずつ順番に定着装置24により搬送されて画像が定着された状態でのトルク検出部134から出力された電流値の時系列データを示している。また、図7及び図8は、図6に示した電流値の時系列データを説明するための図であり、用紙Pの搬送位置を示している。また、錯綜を回避するために、図7及び図8では、中間転写ベルト42を破線で示している。
さらに、図9(1)は、上段が正常時の電流値の時系列データを示し、下段が対応する加圧ロールの位置を示している。また、図9(2)は、上段が、画像形成ジョブ(1枚又は複数枚の用紙Pに対する画像形成の指示)の最後の用紙P以外の用紙Pが定着装置24に巻き付いた場合の電流値の時系列データを示し、下段が対応する加圧ロールの位置を示している。また、図9(3)は、上段が、画像形成ジョブの最後の用紙Pが定着装置24に巻き付いた場合の電流値の時系列データを示し、下段が対応する加圧ロールの位置を示している。
図6に示すように、トルク検出部134から出力される電流値は、用紙Pの用紙搬送方向の先端が定着装置24に突入する突入タイミングで上に凸のピーク値となり、用紙Pの用紙搬送方向の後端が定着装置24から排出される排出タイミングで下に凸のピーク値となる。なお、以下では、用紙Pの用紙搬送方向の先端及び後端を、単に用紙Pの先端及び後端ともいう。
図7及び図8を参照して、図6に示した電流値の時系列の変化の原理について説明する。図7に示すように、用紙Pの先端が定着装置24における加熱ベルト104と加圧ロール106とのニップ部に突入した際に、加圧ロール106には、加圧ロール106の回転方向とは逆方向の力(図7の矢印Dの力)が働き、モータ132のトルクが増加する。従って、トルク検出部134から出力される電流値も増加し、上に凸のピーク値となる。その後、用紙Pは定着装置24に挟まれて搬送され、用紙Pが定着装置24に突入した際の上記逆方向の力が働かなくなるため、上記電流値が減少する。
一方、図8に示すように、用紙Pの後端が上記ニップ部から排出される際に、加圧ロール106には、加圧ロール106の回転方向と同一方向の力(図8の矢印Eの力)が働き、モータ132のトルクが減少する。従って、トルク検出部134から出力される電流値も減少し、下に凸のピーク値となる。
一方、図9(1)に示すように、正常時では期間T1の電流値と期間T2の電流値は、ほぼ等しくなる。ここで、期間T1とは、用紙Pが定着装置24に突入する前に、定着装置24により用紙Pを搬送していない状態で、かつ加圧ロール106を加圧位置に移動させた状態で、モータ132を駆動させることにより加圧ロール106を回転させている期間である。また、期間T2とは、トルク検出部134により下に凸のピーク値(以下、「下ピーク値」という。)が検出されてから上に凸のピーク値(以下、「上ピーク値」という。)が検出されるまでの期間内における予め定められた期間である。なお、本実施の形態では、一例として、期間T2として、トルク検出部134により下ピーク値が検出されてから上ピーク値が検出されるまでの期間内における電流値の変動量が予め定められた範囲内(例えば±5%の範囲内)の期間を適用している。
また、図9(2)に示すように、画像形成ジョブの最後の用紙P以外の用紙Pが定着装置24に巻き付いた場合、期間T2の電流値は期間T1の電流値より大きくなる。
さらに、図9(3)に示すように、画像形成ジョブの最後の用紙Pが定着装置24に巻き付いた場合、期間T3の電流値は期間T1の電流値より大きくなる。ここで、期間T3とは、トルク検出部134により下ピーク値が検出された後の予め定められた期間である。なお、期間T3の長さは、要求される検知精度等に応じて適宜定めればよい。
そこで、本実施の形態に係る巻付検知機能では、期間T1の電流値と期間T2の電流値の差、又は期間T1の電流値と期間T3の電流値との差が許容範囲外となった場合に、用紙Pが定着装置24に巻き付いたと検知する。なお、本実施の形態では、上ピーク値として、厳密に頂部である最大値を適用した例を用いて説明するが、これに限定されず、最大値付近の最大値より小さい値を適用してもよく、本実施の形態で述べる上ピーク値にはこれも含まれる。但し、電流値の取得間隔(サンプリングレート)の範囲内で、取得された電流値の最大値を用いることが好ましい。
また、本実施の形態では、下ピーク値として、厳密に底部である最小値を適用した例を用いて説明するが、これに限定されず、最小値付近の最小値より大きい値を適用してもよく、本実施の形態で述べる下ピーク値にはこれも含まれる。但し、電流値の取得間隔(サンプリングレート)の範囲内で、取得された電流値の最小値を用いることが好ましい。
次に、図10を参照して、上記巻付検知機能の実行時における本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図10は、画像形成ジョブの実行指示が入力された際にCPU120によって実行される巻付検知処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本巻付検知処理プログラムはROM122に予めインストールされている。また、ここでは、錯綜を回避するために、前述した画像形成工程による用紙Pに画像を形成する処理については説明を省略する。
図10のステップ150で、CPU120は、前述したラッチ機構を制御して、加圧ロール106を上記加圧位置に移動させる。次のステップ152で、CPU120は、用紙検知センサ80から出力された検知信号を取得する。次のステップ154で、CPU120は、トルク検出部134から出力された電流値を取得する。
次のステップ156で、CPU120は、ステップ152で取得された検知信号に基づいて、用紙Pの先端が搬送経路60上の用紙検知センサ80による検知位置を通過したか否かを判定する。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ152に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ158に移行する。
なお、用紙検知センサ80が設けられていない構成の場合は、例えば、CPU120は、用紙Pの給紙部材62からの搬送を開始してからの期間が、閾値以上となった場合に、後述するステップ158の処理を開始してもよい。また、この場合の閾値は、給紙部材62から定着装置24までの搬送経路60の距離と用紙Pの搬送速度とから適宜定めればよい。
ステップ158で、CPU120は、基準値として、ステップ154で取得された期間T1内における電流値の平均値を導出する。なお、基準値として、平均値ではなく、期間T1内における電流値の中央値を適用してもよいし、期間T1内における電流値の何れか1つの値を適用してもよい。
次のステップ160で、CPU120は、トルク検出部134から出力された電流値を取得する。次のステップ162で、CPU120は、トルク検出部134により上ピーク値が検出されたか否かを判定することにより、用紙Pの先端が定着装置24に突入したか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU120は、ステップ160で取得された電流値が、用紙Pの先端が定着装置24に突入した値として予め定められた閾値以上となった場合に、用紙Pの先端が定着装置24に突入したと判定する。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ160に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ164に移行する。
なお、用紙Pの先端が定着装置24に突入したか否かを判定する手法は以上説明した手法に限定されない。例えば、CPU120は、ステップ160で取得された電流値の予め定められた期間の積分量(積算値)が閾値以上となった場合に、用紙Pの先端が定着装置24に突入したと判定してもよい。また、例えば、CPU120は、ステップ160で取得された電流値の前回取得された電流値からの増加量が、閾値以上となった場合に、用紙Pの先端が定着装置24に突入したと判定してもよい。また、例えば、CPU120は、ステップ160で取得された電流値の前回取得された電流値からの変動量が正の値(増加)から負の値(減少)となった場合に、用紙Pの先端が定着装置24に突入したと判定してもよい。
さらに、例えば、CPU120は、用紙Pの先端が用紙検知センサ80による検知位置を通過してから経過した期間が閾値以上となった場合に、用紙Pの先端が定着装置24に突入したと判定してもよい。この場合の閾値は、用紙検知センサ80による検知位置から定着装置24までの搬送経路60の距離と用紙Pの搬送速度とから適宜定めればよい。
ステップ164で、CPU120は、トルク検出部134から出力された電流値を取得する。次のステップ166で、CPU120は、ステップ164で取得された電流値が下ピーク値であるか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU120は、ステップ164で取得された電流値が、用紙Pの後端が定着装置24から排出された値として予め定められた閾値以下となった場合に、下ピーク値であると判定する。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ164に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ168に移行する。
なお、電流値が下ピーク値であるか否かを判定する手法は以上説明した手法に限定されない。例えば、CPU120は、ステップ164で取得された電流値の予め定められた期間の積分量(積算値)が閾値以下となった場合に、電流値が下ピーク値であると判定してもよい。また、例えば、CPU120は、ステップ164で取得された電流値の前回取得された電流値からの減少量が、閾値以上となった場合に、電流値が下ピーク値であると判定してもよい。また、例えば、CPU120は、ステップ164で取得された電流値の前回取得された電流値からの変動量が負の値(減少)から正の値(増加)となった場合に、電流値が下ピーク値であると判定してもよい。
ステップ168で、CPU120は、現時点で巻き付きの検知対象としている用紙Pが画像形成ジョブの最後の用紙Pであるか否かを判定する。CPU120は、この判定が肯定判定となった場合はステップ180に移行する一方、否定判定となった場合はステップ170に移行する。
ステップ170で、CPU120は、トルク検出部134から出力された電流値を取得する。次のステップ172で、CPU120は、ステップ170で取得された電流値が上ピーク値であるか否かを判定する。なお、この判定は、ステップ162と同様の処理により行えばよい。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ170に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ174に移行する。
ステップ174で、CPU120は、ステップ170で取得された期間T2内における電流値の平均値を導出する。なお、本ステップ174において、CPU120は、期間T2内における電流値の平均値ではなく、期間T2内における電流値の中央値を導出してよいし、期間T2内における電流値の何れか1つの値を選択してもよい。
次のステップ176で、CPU120は、ステップ174で導出された平均値とステップ158で導出された基準値との差が許容範囲外であるか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU120は、ステップ174で導出された平均値からステップ158で導出された基準値を減算して得られた値が、閾値以上である場合に、許容範囲外であると判定する。なお、この場合の閾値は、要求される検知精度等に応じて適宜定めればよい。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ164に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ178に移行する。
ステップ178で、CPU120は、エラー通知画面として、用紙Pが定着装置24に巻き付いたことを示す情報を操作表示部130のディスプレイに表示した後、ステップ188に移行する。
一方、ステップ180で、CPU120は、トルク検出部134から出力された電流値を取得する。次のステップ182で、CPU120は、期間T3を経過したか否かを判定する。CPU120は、この判定が否定判定となった場合はステップ180に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ184に移行する。なお、本実施の形態では、ステップ154、ステップ160、ステップ164、ステップ170、及びステップ180によるトルク検出部134から出力された電流値の取得は、予め定められた取得間隔(サンプリングレート。本実施の形態では10ms)で行うものとされている。
ステップ184で、CPU120は、ステップ180で取得された期間T3内における電流値の平均値を導出する。なお、本ステップ184において、CPU120は、期間T3内における電流値の平均値ではなく、期間T3内における電流値の中央値を導出してよいし、期間T3内における電流値の何れか1つの値を選択してもよい。
次のステップ186で、CPU120は、ステップ184で導出された平均値とステップ158で導出された基準値との差が許容範囲外であるか否かを判定する。具体的には、一例として、CPU120は、ステップ184で導出された平均値からステップ158で導出された基準値を減算して得られた値が、閾値以上である場合に、許容範囲外であると判定する。なお、この場合の閾値は、要求される検知精度等に応じて適宜定めればよい。CPU120は、この判定が肯定判定となった場合はステップ178に移行する一方、否定判定となった場合はステップ188に移行する。
ステップ188で、CPU120は、上記ラッチ機構を制御して、加圧ロール106を上記離間位置に移動させた後、本巻付検知処理を終了する。
なお、上記実施の形態では、電流値の基準値と平均値との差に基づいて用紙Pが定着装置24に巻き付いたことを検知する場合について説明したが、これに限定されない。基準値を用いずに、期間T2又は期間T3内の電流値の平均値が閾値以上である場合に、用紙Pが定着装置24に巻き付いたと検知する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、画像形成ジョブの開始時に、定着装置24により用紙Pを搬送していない状態で、かつ加圧ロール106を加圧位置に移動させた状態で、モータ132を駆動させることにより加圧ロール106を回転させて、トルク検出部134から出力された電流値を取得して基準値とした場合について説明したが、これに限定されない。例えば、画像形成装置10の電源スイッチがオン状態とされたタイミングや定期的なタイミング(例えば1日1回)等に該電流値を取得して基準値とする形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、電磁誘導により加熱を行う所謂IH(Induction Heating)方式の定着装置を用いた場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ハロゲンランプ等を用いた別の方式の定着装置を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、巻付検知処理プログラムがROM122に予めインストールされている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、巻付検知処理プログラムが、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態としてもよい。
さらに、上記実施の形態では、巻付検知処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、巻付検知処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
その他、上記実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1〜図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記実施の形態で説明した巻付検知処理プログラムの処理の流れ(図10参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。