JP2017052869A - フォトクロミック硬化性組成物、その硬化体、及びその硬化体を含む積層体 - Google Patents

フォトクロミック硬化性組成物、その硬化体、及びその硬化体を含む積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】フォトクロミック特性、耐擦傷性が良好であり、しかもクラックなどの外観不良が生じにくい、フォトクロミック硬化体(フォトクロミック積層体を含む)を製造できる、フォトクロミック硬化性組成物を提供することにある。【解決手段】(A1)ポリエチレングリコールジメタクリレートのような分子鎖の長い長鎖(メタ)アクリルモノマー成分、(A2)トリメチロールプロパントリメタクリレート、及び/又はシルセスキオキサン構造有し、(メタ)アクリル基を10以上含む3官能以上の(メタ)アクリルモノマー成分、(B)フォトクロミック化合物、及び(C) 無機酸化物微粒子を含むことを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフォトクロミック硬化性組成物、該組成物を硬化した新規なフォトクロミック硬化体、及び該フォトクロミック硬化体をプラスチック基材上に積層した新規なフォトクロミック積層体に関する。
詳しくは、表面硬度が硬く、優れたフォトクロミック特性を有するフォトクロミックコート層を形成できる新規なフォトクロミック硬化性組成物に関するものである。そして、本発明は、該組成物を含む新規な硬化体、及びプラスチック基材上に、該硬化体を積層したフォトクロミック積層体に関する。
フォトクロミズムとは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻る可逆作用のことであり、様々な用途に応用されている。このような性質を持つフォトクロミック化合物として、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物等が見出されている。これら化合物は、プラスチックと複合化させることにより、フォトクロミック特性を有する光学物品とすることができるため、複合化の検討が数多くなされている。
例えば、眼鏡レンズの分野においてもフォトクロミズムが応用されている。フォトクロミック化合物を使用したフォトクロミック眼鏡レンズは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能するものであり、近年その需要は増大している。
フォトクロミック眼鏡レンズとしては、軽量性や安全性の観点から、特にプラスチックレンズにフォトクロミック性能を付与したものが広く使用されている。プラスチックレンズにフォトクロミック性能を付与するためには、一般に、有機系のフォトクロミック化合物が使用され、様々な方法により、プラスチックレンズにフォトクロミック性が付与されている。例えば、コーティング法と呼ばれる方法でフォトクロミック眼鏡レンズが製造されている。具体的には、ラジカル重合性成分、及びフォトクロミック化合物を含むフォトクロミックコーティング剤をプラスチックレンズ基材の表面に塗布し、硬化させることによりフォトクロミックコート層(フォトクロミック硬化体)を有するフォトクロミックレンズ(フォトクロミック積層体)を製造する方法である。
このコーティング方法は、プラスチックレンズの材質によらずフォトクロミック性能を付与できる点で優れた方法である。この方法においては、発色濃度や退色速度といったフォトクロミック特性を向上させるために、各種ラジカル重合性モノマーの種類や配合量を決定する必要があった。
フォトクロミックコート層を形成するフォトクロミック硬化性組成物は、これまでに様々な改良がなされている。例えば、フォトクロミック硬化性組成物中のアクリルモノマーとメタアクリルモノマーの比率を限定し、フォトクロミック特性とハードコート層の密着性を向上させる方法が知られている(特許文献1)。また、フォトクロミック硬化性組成物にシルセスキオキサンモノマーを配合することで、得られるフォトクロミック層の表面硬度を向上させる手法も検討されている(特許文献2)。これらの方法によれば、優れた性能を有するフォトクロミック積層体を製造することができる。
近年、フォトクロミック積層体に対する要求は、より一層高まっている。例えば、フォトクロミックコート層を有するフォトクロミックレンズ(フォトクロミック積層体)においては、フォトクロミックコート層のキズつき防止(以下、キズ耐性ともいう)の観点から、フォトクロミックコート層の表面硬度がより一層高いものが望まれている。フォトクロミックコート層自体の表面硬度をより高くすることができれば、その後、ハードコート層や反射防止膜を形成した光学材料のキズ耐性をも向上することができる。以上のような近年の高度な要求を満足するためには、先の特許文献1、及び2に記載の方法では、以下の点で改善が望まれていた。
例えば、本発明者等の検討によれば、特許文献1記載の方法では、フォトクロミック特性を向上させようとすると、得られるフォトクロミックコート層の表面硬度が低下する傾向にあった。また、逆に表面硬度を向上させようとすると、フォトクロミック特性が低下する傾向がみられた。
一方、特許文献2に記載の方法では、シルセスキオキサンモノマーを使用することにより、フォトクロミックコート層の表面硬度を向上できる。しかしながら、得られるフォトクロミックコート層は、柔軟性が低下することが原因だと考えられるが、該フォトクロミックコート層の形成後や、後工程であるハードコート形成工程において、クラックなどの外観不良が発生する場合があった。この傾向は、強度数プラスチックレンズ、及び/又はコバ部が傾斜しているプラスチックレンズ上にフォトクロミックコート層を形成する場合に顕著であった。その中でも、上記プラスチックレンズ上にプライマーコート層を形成し、そのプライマーコート層上にフォトクロミックコート層を形成する場合に、特に、外観不良の問題が顕著であった。このため、上記のようなプラスチックレンズ上にフォトクロミックコート層を形成する場合、外観不良を抑制するために、硬化性組成物中のシルセスキオキサンモノマーの配合量を制限する必要があった。シルセスキオキサンモノマーの配合量を制限しつつ、表面硬度を向上させるためには、シルセスキオキサンモノマーの代わりに、硬化性組成物中の多官能(重合性基を複数分子内有する)モノマーの配合量を増やす必要がある。この場合にはフォトクロミック特性が低下する傾向にあった。
国際公開第2011/125956号パンフレット 国際公開第2013/008825号パンフレット
以上の通り、従来技術のフォトクロミック硬化性組成物では、
優れた耐擦傷性を維持しながら、より優れたフォトクロミック特性を有するフォトクロミックコート層(フォトクロミック硬化体)を提供し、しかも、該フォトクロミックコート層形成時等において、クラックなどの外観不良が生じにくいという効果を高度に満足することは困難であった。そのため、これらの全ての特性を高度に満足する、フォトクロミック硬化性組成物、その硬化体、及びその硬化体を有するフォトクロミック積層体の開発が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、フォトクロミック特性、耐擦傷性が良好であり、しかもクラックなどの外観不良が生じにくい、フォトクロミック硬化体(フォトクロミック積層体を含む)を製造できる、フォトクロミック硬化性組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、フォトクロミック硬化性組成物に、無機酸化物微粒子を配合することにより、得られるフォトクロミックコート層(フォトクロミック硬化体)のフォトクロミック特性を維持したまま、表面硬度を向上できることを見出した。さらに検討した結果、分子鎖が長い特定の多官能(メタ)アクリルモノマー成分と、それ以外の多官能(メタ)アクリルモノマー成分とを含む重合性組成物に、フォトクロミック化合物、及び無機酸化物微粒子を配合することにより、フォトクロミック特性を大きく向上しながら、十分な表面硬度を有し、さらにフォトクロミックコート層形成時にクラックが生じにくいフォトクロミック硬化性組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
(A1) 下記(A1a)成分、(A1b)成分、(A1c)成分、及び(A1d)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の長鎖(メタ)アクリルモノマー成分(以下、単に(A1)成分とする場合もある)、
(A2) 下記(A2a)成分、及び(A2b)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の多管能(メタ)アクリルモノマー成分(以下、単に(A2)成分とする場合もある)、
(B) フォトクロミック化合物(以下、単に(B)成分とする場合もある)、及び
(C) 無機酸化物微粒子(以下、単に(C)成分とする場合もある)
を含むことを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物。
(A1)成分に使用されるモノマー;
(A1a)成分:分子量600〜2000のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー成分、
(A1b)成分:下記一般式(1)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
Figure 2017052869
(式中、
は、水素原子、またはメチル基であり、
は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
aは平均値で8〜15の数であり、bは3〜6の整数である。)、
(A1c)成分:下記一般式(2)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
Figure 2017052869
(式中、
、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
Aは、下記式
Figure 2017052869
に示されるいずれかの基であり、
c、及びdは、それぞれ独立に1以上の整数であるとともに、c+dは平均値で15を超え40以下である。)、
(A1d)成分:下記一般式(3)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
Figure 2017052869
(式中、
B、及びB’は、それぞれ、炭素数2〜15の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、eは平均値で2〜20の数であり、
Bが複数存在する場合には、Bは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
、及びRは、水素原子、またはメチル基である。)。
(A2)成分に使用されるモノマー;
(A2a)成分:下記一般式(4)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
Figure 2017052869
(式中、好ましくは、
11は、水素原子、またはメチル基であり、
21は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
31は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
a’は平均値で0〜3の数であり、b’は3〜6の整数である。)、
(A2b)成分:下記一般式(5)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
Figure 2017052869
(式中、
複数個あるR10は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、
少なくとも10個のR10は、(メタ)アクリル基を含む有機基であり、
fは、重合度であり、15〜50の整数である。)。
なお、当然のことではあるが、本発明において、(メタ)アクリルモノマーとは、メタクリルモノマー、及び/又はアクリルモノマーを指し、(メタ)アクリル基とは、メタクリ基、及び/又はアクリル基を指す。
第一の本発明においては、前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(C)成分を10〜100質量部含むことが好ましい。この配合量を満足することにより、フォトクロミック硬化体の表面硬度をより向上できる。さらに、(C)成分の分散安定性を向上できると共に、(B)成分の溶解性を向上することもできるため、フォトクロミック硬化性組成物自体の保存安定性を向上することができ、フォトクロミック特性も向上できる。
また、第一の本発明においては、前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(A1)成分を30〜85質量部含むことが好ましい。この配合量を満足することにより、フォトクロミック特性、表面硬度、クラック発生の抑制効果がより一層高いものとなる。
また、第一の本発明においては、フォトクロミック特性を高め、かつフォトクロミック硬化性組成物自体の保存安定性をより高めるためには、前記(A1)成分の全量を100質量%としたとき、(A1)成分が、(A1a)成分を40〜100質量%、(A1b)成分を0〜40質量%、(A1c)成分を0〜40質量%、及び(A1d)成分を0〜40質量%含むことが好ましい。
さらに、第一の本発明においては、前記(C)成分が、インデノ〔2, 1−f〕ナフト〔1, 2−b〕ピラン骨格を有するフォトクロミック化合物であり、前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、0.1〜10質量部含まれる場合に、フォトクロミックコート層として好適に使用できる。
また、第一の本発明においては、(A3) (メタ)アクリル基を分子内に1つ有する単官能(メタ)アクリルモノマー成分(以下、単に(A3)成分とする場合もある)を含み、前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(A3)成分が0.1〜50質量部含まれることが好ましい。(A3)成分を含むことにより、得られるフォトクロミック硬化体の耐久性を向上することができ、さらに、該硬化体の他層との密着性をより高めることができる。
第二の本発明は、第一の本発明であるフォトクロミック硬化性組成物を硬化したフォトクロミック硬化体である。本発明においては、比較的薄膜であるものをフォトクロミックコート層とする場合もある。該フォトクロミック硬化性組成物を硬化してなる本発明の硬化体は、優れた効果を発揮する。
第三の本発明は、プラスチック基材上に、第二の本発明のフォトクロミック硬化体を有するフォトクロミック積層体である。特に、本発明は、プラスチック基材上にウレタン樹脂からなるプライマー層が形成され、そのプライマー層上に該フォトクロミック硬化体を形成する場合に効果を発揮する。
本発明によれば、耐擦傷性の良好な表面硬度を維持しながら、優れたフォトクロミック特性を有し、またフォトクロミックコート層形成時にクラックなどの外観不良が発生しないフォトクロミック硬化体、及び該硬化体を有するフォトクロミック積層体を製造できる。また、本発明によれば、保存安定性に優れたフォトクロミック硬化性組成物を製造できる。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、
(A1) 下記に詳述する(A1a)成分、(A1b)成分、(A1c)成分、及び(A1d)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の長鎖(メタ)アクリルモノマー成分、
(A2) 下記に詳述する(A2a)成分、及び(A2b)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の多管能(メタ)アクリルモノマー成分、
(B) フォトクロミック化合物、及び
(C) 無機酸化物微粒子粒子
を含むことを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物である。これら各成分について詳述する。
(A1)成分:長鎖(メタ)アクリルモノマー成分
本発明においては、下記に詳述する(A1a)成分、(A1b)成分、(A1c)成分、及び(A1d)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の長鎖(メタ)アクリルモノマー成分を含むことを特徴とする。この(A1)成分を配合することにより、フォトクロミック特性に優れ、クラックの発生が少なく、外観が良好なフォトクロミックコート層を形成できる。以下、具体的な(A1)成分について説明する。
(A1a)成分
本発明において、(A1)成分は、分子量600〜2000のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー成分((A1a)成分)を含む。(A1a)成分としては、分子量600〜2000のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの混合物より得られるジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリルモノマー成分が挙げられる。具体的には、平均分子量736のポリエチレングリコールジメタクリレート((メタ)アクリル当量 368)、平均分子量1136のポリエチレングリコールジメタクリレート((メタ)アクリル当量 568)、平均分子量708のポリエチレングリコールジアクリレート((メタ)アクリル当量 354)、平均分子量1108のポリエチレングリコールジアクリレート((メタ)アクリル当量 554)、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの混合物より得られる平均分子量1114のジメタクリレート((メタ)アクリル当量 557)、平均分子量808のプロピレングリコールジアクリレート((メタ)アクリル当量 404)、平均分子量758のポリテトラメチレングリコールジアクリレート((メタ)アクリル当量 378)等を挙げることができる。
(A1a)成分において、分子量は、製造する際の原料仕込み比から算出した理論分子量を採用している。ただし、これら該(メタ)アクリルモノマーは単一成分ではなく混合物であるため、平均分子量として表記した。(A1a)成分は、分子量が600〜2000である必要がある。分子量が600未満の場合にはフォトクロミック特性、特に退色速度が低下し、また2000を超える場合には表面硬度が低下するため好ましくない。
(A1a)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A1a)成分の配合量と見なす。
(A1b)成分
次に、下記一般式(1)で示される(A1b)成分について説明する。
(A1b)成分は、下記一般式(1)
Figure 2017052869
(式中、
は、水素原子、またはメチル基であり、
は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
aは平均値で8〜15の数であり、bは3〜6の整数である。)
式(1)中のRは、水素原子、メチル基、又はエチル基である。また、Rは、表面硬度の観点から、メチル基であることが好ましい。
式(1)中のRは、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基である。具体的には、ポリオールから誘導される基、又は3〜6価の炭化水素基を含む有機基が挙げられる。
上記式(1)中のaは、平均値で8〜15の数である。中でも、フォトクロミック特性の観点から、aは、平均値で8〜12であることがより好ましい。なお、通常、式(1)で示される多官能(メタ)アクリルモノマーは、aの値が異なる混合物で得られるため、aは平均値とした。
上記式(1)中のbは、3〜6の整数である。中でも、フォトクロミック特性、及び外観の観点から、3または4であることが好ましい。
式(1)で示される具体的なモノマー(A1b)成分を例示すると、平均分子量1616のトリメチロールプロパンポリエチレングリコールトリアクリレート(a=10、b=3、(メタ)アクリル当量 539)、平均分子量1892のペンタエリスリトールポリエチレングリコールテトラアクリレート(a=9、b=4、(メタ)アクリル当量 473)、平均分子量1442のグリセリンポリエチレングリコールトリアクリレート(a=9、b=3、(メタ)アクリル当量 481)などが挙げられる。
(A1b)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A1b)成分の配合量と見なす。
(A1c)成分
次に、下記一般式(2)で示される(A1c)成分について説明する。
(A1c)成分は、下記一般式(2)
Figure 2017052869
(式中、
、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
Aは、下記式
Figure 2017052869
に示されるいずれかの基であり、
c、及びdは、それぞれ独立に1以上の整数であるとともに、c+dは平均値で15を超え40以下である。)。
通常、式(2)で示される2官能(メタ)アクリルモノマー(A1c)成分は、c、dの値が異なる混合物で得られるため、c+dは平均値とした。
上記式(2)中のR、及びRは、それぞれ水素原子またはメチル基である。中でも、フォトクロミック特性(特に耐候性)、表面硬度の観点から、メチル基であることが好ましい。
上記式(2)中のR、及びRは、それぞれ水素原子またはメチル基である。中でも、フォトクロミック特性の観点から、水素原子であることが好ましい。
上記式(2)中のAは、上に示した2価の基から選択されればよい。中でも、(A1c)成分の製造における原料の入手のしやすさ、及びフォトクロミック硬化体のフォトクロミック特性の観点から、−C(CH−基であることが最も好ましい。
(A1c)成分を具体的なモノマーを例示すると、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=17、(メタ)アクリル等量556)、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=20、(メタ)アクリル当量622)、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=30、(メタ)アクリル当量842)、2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=20、(メタ)アクリル当量608)、2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=30、(メタ)アクリル当量828)などが挙げられる。
(A1c)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A1c)成分の配合量と見なす。
(A1d)成分
次に、下記一般式(3)で示される(A1d)成分について説明する。
(A1d)成分は、下記一般式(3)
Figure 2017052869
(式中、
B、及びB’は、それぞれ、炭素数2〜15の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、eは平均値で2〜20の数であり、
Bが複数存在する場合には、Bは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
、及びRは、水素原子、またはメチル基である。)。
上記一般式(3)中のB、及びB’は、それぞれ、炭素数2〜15の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。中でも、フォトクロミック硬化性組成物の成型性、得られる硬化体のフォトクロミック特性(発色濃度、退色速度)の観点から、炭素数3〜9の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましく、さらに、炭素数4〜7である直鎖または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましい。具体的なアルキレン基を例示すとすれば、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、ドデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、1−メチルトリエチレン基、1−エチルトリエチレン基、1−イソプロピルトリエチレン基等が挙げられる。
上記一般式(3)において、eは、平均値で2〜20である。つまり、式(3)で示される(A1d)成分は、−B−O−(C=O)−の結合部の長さが同じもの(分子量が同じもの)のみからなってもよいし、異なるもの(分子量が異なるもの)の混合物であってもよい。通常、式(3)で示される(A1d)成分は、分子量の異なるものの混合物で得られるため、eは平均値とした。中でも、成型性、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度)の観点から、eが平均値で2〜8であることが好ましく、さらにはeが平均値で2〜5であることが好ましい。
以上の通り、Bは複数存在する場合があるが、この場合、Bは同一の基であっても、異なる基であってもよい。中でも、他のモノマーとの相溶性の観点から、Bは異なる基が混在していることが好ましい。Bが異なる基となる場合には、全基Bの内、炭素数3〜5のアルキレン基が10〜90mol%、炭素数6〜9のアルキレン基が10〜90mol%含まれることが好ましく、全基Bの内、炭素数4〜5のアルキレン基が10〜90mol%、炭素数6〜7のアルキレン基が10〜90mol%含まれることがもっとも好ましい。このようなBを使用することにより、他の重合性モノマーとの相溶性が向上し、分散性の良好なフォトクロミック硬化性組成物を得ることができる。
上記一般式(3)中のR、及びRは、水素原子、またはメチル基である。中でも、フォトクロミック特性(発色濃度、退色速度)の観点から水素原子であることが好ましい。
上記一般式(3)で示される(A1d)成分は、ポリカーボネートジオールと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造することができる。原料となるポリカーボネートジオールを例示すれば、トリメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、ペンタメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、ヘキサメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、オクタメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、ノナメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、トリエチレングリコールとテトラメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールとヘキサメチレンジグリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネージオール(数平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールとオクタメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネージオール(数平均分子量500〜2000)、ヘキサメチレングリコールとオクタメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)、1−メチルトリメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500〜2000)が挙げられる。なお、上記の通り、原料に使用するポリカーボネートジオールは、数平均分子量が500〜2000のものを使用することが好ましい。
(A1d)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A1d)成分の配合量と見なす。
(好適な(A1)成分 各成分の配合量)
本発明において、(A1)成分は、上記(A1a)成分、(A1b)成分、(A1c)成分、及び(A1d)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の長鎖(メタ)アクリルモノマー成分を含むものである。これら(A1)成分は、(メタ)アクリル基を分子内に2個以上有する多官能モノマーである。中でも、フォトクロミック特性、及び表面硬度の両立の観点から、分子内の(メタ)アクリル基の個数は、2〜6であることが好ましく、さらに、2〜3であることが好ましい。以上のような(A1)成分の中でも、(メタ)アクリル当量が300〜1000であるものが好ましい。
上記の(A1)成分は、単独(例えば、(A1a)成分のみ)で使用することもできるし、複数種類(例えば、(A1a)成分、及び(A1b)成分の両方)を混合して使用することもできる。複数種類の場合は、それらの合計質量を(A1)成分の配合量と見なす。
(A1)成分は、特に制限されるものではないが、フォトクロミック特性を高め、かつフォトクロミック硬化性組成物自体の保存安定性をより高めるためには、(A1)成分の全量を100質量%としたとき、(A1a)成分を40〜100質量%、(A1b)成分を0〜40質量%、(A1c)成分を0〜40質量%、及び(A1d)成分を0〜40質量%含むことが好ましい。中でも、必要に応じて配合される添加剤等のフォトクロミック硬化体中での分散安定性を考慮すると、(A1a)成分を40〜80質量%、(A1b)成分を0〜40質量%、(A1c)成分を0〜40質量%、及び(A1d)成分を10〜40質量%含むことが好ましい。
さらに、フォトクロミック硬化性組成物自体の生産性、及びフォトクロミック硬化性組成物の回収、フォトクロミック硬化体における添加剤の分散安定性等を考慮すると、(A1)成分は、(A1a)成分、及び(A1d)成分からなることが好ましい。この場合、(A1)成分の全量を100質量%としたとき、(A1a)成分を60〜80質量%、(A1d)成分を20〜40質量%含むことが好ましい。
(A2)成分
本発明において、(A2)成分は、下記に詳述する、(A2a)成分、及び(A2b)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の多管能(メタ)アクリルモノマー成分である。
(A2a)成分
本発明において、(A2a)成分は、下記式(4)で示される多官能(メタ)アクリルモノマーである。
Figure 2017052869
(式中、好ましくは、
11は、水素原子、またはメチル基であり、
21は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
31は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
a’は平均値で0〜3の数であり、b’は3〜6の整数である。)
上記一般式(4)で示される(A2a)成分を配合することにより、フォトクロミック積層体(フォトクロミックコート層)の表面硬度を向上することができ、フォトクロミック特性、特に発色濃度を向上させることができる。
上記一般式(4)中のR31は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基である。具体的には、ポリオールから誘導される基、又は3〜6価の炭化水素基を含む有機基が挙げられる。
上記一般式(4)中のR11、又はR21は、水素原子、またはメチル基である。中でも、R11は、得られるフォトクロミック硬化体の表面硬度の観点から、メチル基であることが好ましい。
上記一般式(4)中のa’は、平均値で0〜3の数であることが好ましく、表面硬度の観点から0または1であることが更に好ましい。通常、(A2a)成分も、混合物で得られるため、a’は平均値で示した。
上記式(1)中のb’は、3〜6の整数であるが、フォトクロミック特性、表面硬度、及び外観の観点から、3または4であることが好ましい。
(A2a)成分を具体的に例示すれば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリプロピレングリコールトリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラエチレングリコールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラプロピレングリコールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどのメタクリル基を有する多官能メタクリルモノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリプロピレングリコールトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラエチレングリコールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラプロピレングリコールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどのアクリル基を有する多官能アクリルモノマーを挙げることができる。これら多官能(メタ)アクリルモノマーは2種以上混合して使用してもよい。(A2a)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A2a)成分の配合量と見なす。
これらの多官能(メタ)アクリルモノマーの中でも、フォトクロミック特性(特に退色速度)、さらに表面硬度の観点から、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートが好ましい。
(A2b)成分
本発明において、(A2b)成分は、下記式(5)で示される、シルセスキオキサンモノマーである。
Figure 2017052869
(式中、
複数個あるR10は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、
少なくとも10個のR10は、(メタ)アクリル基を含む有機基であり、
fは、重合度であり、15〜50の整数である。)
(A2b)成分の重量平均分子量は3,000〜8,000であることが好ましく、(メタ)アクリル当量は150〜800であることが好ましい。また、(A2d)成分の平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)により測定した値である。
ここで、R10における、(メタ)アクリル基を含む有機基は、(メタ)アクリル基のみのものを含む(珪素原子に直接、重合性基(例えば、(メタ)アクリル基等)が結合するものを含む。)。具体的には、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロキシプロピル基、(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジメチルシロキシ基等が挙げられる。中でも(メタ)アクリロキシプロピル基が、(A2b)成分製造時の原料の入手が容易であり、優れたフォトクロミック特性を発現しつつ、高い膜強度を得ることができるため特に好ましい。
上記一般式(6)中のR10は、(メタ)アクリル基を含む有機基でない場合には、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基である。
アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アルコキシ基は、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般にシルセスキオキサン化合物は、ケージ状、ハシゴ状、ランダムといった種々の構造を取ることができるが、本発明で使用する(A2d)成分は、複数の構造からなる混合物であることが好ましい。(A2b)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A2b)成分の配合量と見なす。
(好適な(A2)成分 各成分の配合量)
本発明においては、(A2)成分は、上記(A2a)成分、及び(A2b)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー成分を含む。
上記の(A2)成分は、単独(例えば、(A2a)成分のみ)で使用することもできるし、複数種類(例えば、(A2a)成分、及び(A2b)成分の両方)を混合して使用することもできる。複数種類の場合は、それらの合計質量を(A2)成分の配合量と見なす。
(A2)成分は、特に制限されるものではないが、フォトクロミック特性を高め、かつ得られる硬化体の表面硬度をより高くするためには、(A2)成分の全量を100質量%としたとき、(A2a)成分を50〜100質量%、(A2b)成分を0〜50質量%含むことが好ましく、(A2a)成分を60〜100質量%、(A2b)成分を0〜40質量%含むことが好ましい。特にフォトクロミック硬化体のクラックを低減し、退色速度をより速くするためには、(A2a)成分を85〜95質量%、(A2b)成分を5〜15質量%含むことが好ましい。ただし、フォトクロミック硬化性組成物自体の生産性を考慮すると、(A2a)成分のみ((A2a)成分100質量%)であってもよい。
(A1)成分と(A2)成分との配合割合
本発明においては、フォトクロミック化合物((B)成分)、及び無機粒子((C)成分)が分散しているマトリックスを(A1)成分と(A2)成分とが構成する。この(A1)成分と、(A2)を組み合わせて使用することにより、フォトクロミック特性、表面硬度、クラック発生の抑制効果、またはその他の効果を発揮することができる。(A1)成分は、優れたフォトクロミック特性を発揮するために必要な主成分であり、(A2)成分は、フォトクロミック硬化体の機械的特性(例えば、耐擦傷性、引張り・曲げ強度等の特性)に必要な主成分である。
(A1)成分と(A2)成分との配合割合は、(A1)成分、及び(A2)成分の合計100質量部当り、(A1)成分を30〜85質量部含むことが好ましい((A2)成分は15〜70質量部となる。)。以下、(A1)成分と(A2)成分との合計質量を、単に、基準質量とする場合もある。(A1)成分、及び(A2)成分を上記配合量とすることにより、より優れたフォトクロミック特性を発現しつつ、高い膜(硬化体)強度を得ることができる。より優れた効果を発揮するためには、基準質量100質量部当たり、(A1)成分を50〜80質量部((A2)成分を20〜50質量部)含むことが好ましい。
(A1)成分、(A2)成分以外の重合性モノマー成分(その他のモノマー)
本発明においては、(A1)成分、(A2)成分が必須成分として含まれれば、特に制限されるものではなく、他の重合性モノマー成分を含むことができる。具体的には、(A3) (メタ)アクリル基を分子内に1つ有する単官能(メタ)アクリルモノマー成分、及び/又は、
(A4) (A1)成分、及び(A2)成分に該当しない、分子内に2つ以上(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリルモノマー成分が挙げられる。ただし、本発明においては、(A1)成分及び(A2)成分を主成分とするため、(A3)成分、(A4)成分のそれぞれの配合量は、基準質量100質量当たり、100質量部未満であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、45質量部以下であることがさらに好ましい。次に好適に配合できるその他のモノマーについて説明する。
(A3)成分
本発明においては、(A3) (メタ)アクリル基を分子内に1つ有する単官能(メタ)アクリルモノマー成分(以下、単に(A3)成分とする場合もある)を配合することもできる。中でも、(A3)成分は、エポキシ基、アルコキシシリル基を有するモノマー成分であることが好ましい。エポキシ基を有する(A3a)成分について説明する。
(A3a)成分
本発明において、好適に配合できる(A3)成分としては、下記式(6)で示される(メタ)アクリルモノマー成分(以下、単に(A3a)成分とする場合もある。)を配合することが好ましい。
Figure 2017052869
(式中、
12、及びR13は、それぞれ、水素原子、又はメチル基であり、
14、及びR15は、それぞれ、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキレン基、または下記式(7)
Figure 2017052869
で示される基であり、
j及びkは、平均値でそれぞれ0〜20の数である。)で示されるエポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー成分((A3a)成分)が挙げられる。(A3a)成分を含むことにより、長期に渡り良好なフォトクロミック特性を得ることができる。
上記一般式(7)のR14、及びR15において、アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。また、(A3a)成分は、分子量の異なる分子の混合物の形で得られる場合がある。そのため、j及びkは、平均値で示した。
(A3a)成分としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルオキシメチルメタクリレート、2−グリシジルオキシエチルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピルメタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、平均分子量406のポリエチレングリコールグリシジルメタクリレート、平均分子量538のポリエチレングリコールグリシジルメタクリレート、平均分子量1022のポリエチレングリコールグリシジルメタクリレート、平均分子量664のポリプロピレングリコールグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルオキシメチルアクリレート、2−グリシジルオキシエチルアクリレート、3−グリシジルオキシプロピルアクリレート、4−グリシジルオキシブチルアクリレート、平均分子量406のポリエチレングリコールグリシジルアクリレート、平均分子量538のポリエチレングリコールグリシジルアクリレート、平均分子量1022のポリエチレングリコールグリシジルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられる。この内、グリシジルメタクリレート、グリシジルオキシメチルメタクリレート、2−グリシジルオキシエチルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
(A3a)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A3a)成分の配合量と見なす。
(A3a)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、長期間のフォトクロミック特性の安定性を考慮すると、基準質量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、さらに0.3〜5質量部とすることが好ましく、特に0.3〜3質量部とすることが好ましい。
(A3b)成分
本発明において、(A3)成分は、(メタ)アクリル基を分子内に1つ有し、アルコキシシリル基を有するモノマー成分(以下、単に(A3b)成分とする場合もある。)を含むことが好ましい。(A3b)成分を配合することにより、得られるフォトクロミック硬化体において、必要時応じてフォトクロミック硬化体上に形成されるハードコート層との密着性を向上することができる。
この(A3b)成分を具体的に例示すれば、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
(A3b)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A3b)成分の配合量と見なす。
(A3b)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、ハードコート層との密着性を考慮すると、基準質量100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましく、さらに5〜15質量部であることが好ましい。
他の(A3)成分
(A3a)成分、(A3b成分)以外の(A3)成分としては、具体的には、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、平均分子量293のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量468のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量1068のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、平均分子量218のメトキシポリエチレングリコールアクリレート、平均分子量454のメトキシポリエチレングリコールアクリレート、平均分子量1054のメトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、平均分子量412のフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステル化合物ウレタン(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸もしくはチオメタクリル酸のエステル化合物、等が挙げられる。これら(A3a)成分、(A3b成分)以外の(A3)成分は、本発明の効果が損なわれない範囲で配合することができる。
(A3)成分の配合量
(A3)成分は、前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部(基準質量100質量部)当たり、優れた効果を発揮するためには、0.1〜50質量部含まれることが好ましく、0.1〜45質量部含まれることが好ましい。その中でも、本発明において、特に優れた効果を発揮するためには、(A3)成分として、(A3a)成分、及び(A3b)成分の少なくとも一方が含まれることが好ましい。そして、特に、(A3a)成分、及び(A3b)成分の両方が含まれることが好ましい。両方が含まれる場合には、(A3a)成分、及び(A3b)成分の合計配合量は、基準質量100質量部に対して、2.1〜30質量部とすることが好ましく、2.3〜25質量部とすることがより好ましく、2.3〜23質量部とすることがさらに好ましく、5.3〜18質量部とすることが最も好ましい。
(A4)成分
本発明においては、その他、(A1)成分、及び(A2)成分に該当しない、分子内に(メタ)アクリル基を2つ以上有する(メタ)アクリルモノマー成分を含むこともできる(以下、単に(A4)成分とする場合もある。)。
(A4)成分は、公知のモノマーを使用することができる。具体的に例示すれば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、平均分子量536のポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、平均分子量536のポリプロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、平均分子量508のポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、平均分子量452の2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量478の2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量540の2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量672の2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量804の2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量466の2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量512の2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量644の2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、平均分子量776の2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、平均分子量2,500〜3,500の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB80等:((メタ)アクリル基数4))、平均分子量6,000〜8,000の4官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB450等((メタ)アクリル基数4))、平均分子量45,000〜55,000の6官能ポリエステルオリゴマー(ダイセルユーシービー社、EB1830等((メタ)アクリル基数6))、平均分子量約10,000の4官能ポリエステルオリゴマー(第一工業製薬社、GX8488B等((メタ)アクリル基数6))、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド、ビス(アクリロイルオキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチル)エタン、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、1,2−ビス(アクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、;多官能ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートの分子量も、前記(メタ)アクリルモノマーの分子量と同様に、平均分子量として表記した。
尚、(A4)成分として使用可能な多官能ウレタン(メタ)アクリレートを具体的に例示すれば、U−108A(平均分子量約1600、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 800)、UA4200(平均分子量約1300、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 650)、UA4400(平均分子量約1300、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 650)、UA160TM(平均分子量約1600、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 800)、U108(平均分子量約1600、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 800)、UA−122P(平均分子量約1100、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 550)、UA−5201(平均分子量約1000、(メタ)アクリル当量 500)、U−2THA(平均分子量約1300、(メタ)アクリル基数2、(メタ)アクリル当量 650)、U−4HA(平均分子量596、(メタ)アクリル基数4)、U−6HA(分子量1019、(メタ)アクリル基数6)、U−6LPA(平均分子量818、(メタ)アクリル基数4)、U−15HA(平均分子量2,300、(メタ)アクリル基数415)、(いずれも新中村化学工業(株)製)、EB4858(平均分子量454)(ダイセルユーシービー社製)、その他にも、(メタ)アクリル当量が300未満、もしくは1000を超えるものとして新中村化学工業(株)製のU−200PA、UA−511、U−412A、UA−4100、UA−2235PE、UA−6100、UA−6200、UA−4000、UA−512および日本化薬(株)製UX−3204、UX−4101、UX−6101、UX−7101、UX−8101、UX−0937、UXF−4002、DPHA−40H、UX−5000、UX−5003D、UX−5005等があげられる。上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの分子量も、前記(メタ)アクリルモノマーの分子量と同様に、平均分子量として表記した。
(A4)成分は、1種類のモノマーを使用することもできるし、複数のモノマーの混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(A4)成分の配合量と見なす。(A4)成分の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲で配合することができる。
好適な(A4)成分、及び(A3)成分との好適な組み合わせ
本発明において、(A1a)成分を使用した場合には、(A1a)成分が低温で固体になり易いことから、分子量が600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー、好ましくは分子量が500〜600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマーを使用することができる。具体的には、ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が9であり、平均分子量が536、(メタ)アクリル当量 268)が挙げられる。分子量が600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマーは、特に制限されるものではないが、基準質量100質量部に対して、5〜15質量部配合することが特に好ましい。
さらに、分子量が600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマーを使用する場合には、フォトクロミック特性を調整するため、(A3)成分として、分子量が200〜1100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリルモノマーを併用することが好ましい。具体的には、平均分子量293のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量468のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、平均分子量1068のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、平均分子量218のメトキシポリエチレングリコールアクリレート、平均分子量454のメトキシポリエチレングリコールアクリレート、平均分子量1054のメトキシポリエチレングリコールアクリレートが挙げられる。
なお、分子量が600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー((A4)成分)と分子量が200〜1100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリルモノマー((A3)成分)とを使用する場合には、(A1)成分中に(A1a)成分が60〜70質量%含まれ、かつ基準質量100質量部に対して、分子量が600未満のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー((A4)成分)が10〜30質量部、分子量が200〜1100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリルモノマー((A3)成分)が10〜30質量部含まれることが好ましい。
(B)フォトクロミック化合物、およびその配合量
フォトクロミック化合物(以下、単に(B)成分とする場合もある)について説明する。フォトクロミック化合物は、所望のフォトクロミック特性が得られる配合量で用いられる。基準質量100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部で使用することが好ましい。中でも、本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、コーティング法、及び2段重合法などで製造される積層法のプラスチックレンズ(フォトクロミック積層体)に好適に使用される。そのため、積層法のプラスチックレンズ(フォトクロミック積層体)として使用される場合には、フォトクロミック化合物の配合量は、基準質量100質量部に対して、より好ましくは0.1〜7質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
フォトクロミック化合物としては、フォトクロミック作用を示す化合物を採用することができる。例えば、フルギド化合物、クロメン化合物及びスピロオキサジン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用することができる。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しれも構わない。前記のフルギド化合物、クロメン化合物、及びスピロオキサジン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフレット等に記載されている化合物が挙げられる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として本発明者等が新たに見出した化合物、例えば特開2001−114775号、特開2001−031670号、特開2001−011067号、特開2001−011066号、特開2000−347346号、特開2000−344762号、特開2000−344761号、特開2000−327676号、特開2000−327675号、特開2000−256347号、特開2000−229976号、特開2000−229975号、特開2000−229974号、特開2000−229973号、特開2000−229972号、特開2000−219687号、特開2000−219686号、特開2000−219685号、特開平11−322739号、特開平11−286484号、特開平11−279171号、特開平10−298176号、特開平09−218301号、特開平09−124645号、特開平08−295690号、特開平08−176139号、特開平08−157467号、米国特許5645767号公報、米国特許5658501号公報、米国特許5961892号公報、米国特許6296785号公報、日本国特許第4424981号公報、日本国特許第4424962号公報、WO2009/136668号パンフレット、WO2008/023828号パンフレット、日本国特許第4369754号公報、日本国特許第4301621号公報、日本国特許第4256985号公報、WO2007/086532号パンフレット、特開平2009−120536号、特開2009−67754号、特開2009−67680号、特開2009−57300号、日本国特許4195615号公報、日本国特許4158881号公報、日本国特許4157245号公報、日本国特許4157239号公報、日本国特許4157227号公報、日本国特許4118458号公報、特開2008−74832号、日本国特許3982770号公報、日本国特許3801386号公報、WO2005/028465号パンフレット、WO2003/042203号パンフレット、特開2005−289812号、特開2005−289870号、特開2005−112772号、日本国特許3522189号公報、WO2002/090342号パンフレット、日本国特許第3471073号公報、特開2003−277381号、WO2001/060811号パンフレット、WO2000/071544号、WO2005/028465号パンフレット、WO2011/16582号パンフレット、WO2011/034202号パンフレット、WO2012/121414号パンフレット、WO2013/042800号パンフレット等に開示されている。
これらのフォトクロミック化合物の中でも、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度などのフォトクロミック特性の観点から、インデノ〔2, 1−f〕ナフト〔1, 2−b〕ピラン骨格を有するクロメン化合物を1種類以上用いることがより好ましい。さらにこれらのクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、発色濃度及び退色速度に特に優れるため好適である。その具体例として、以下のものが挙げられる。
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(C)無機酸化物微粒子、およびその配合量
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、無機酸化物微粒子(以下、単に(C)成分とする場合もある)を含むことを特徴とする。該無機酸化物微粒子を配合することにより、優れたフォトクロミック特性を保持したまま、表面硬度を向上させることができる。
従来では、フォトクロミックコート層の表面硬度を向上させるためには、低分子量の多官能(メタ)アクリレートモノマーの配合量を増加させて架橋密度を高める方法、分子内に剛直な構造をもったモノマーを配合する方法、ウレタン基等の水素結合を形成し得る官能基を有するモノマーを配合する方法、等の手法が用いられている。しかしながら、いずれの手法も、かかるモノマーの配合量を多くしすぎると、フォトクロミック色素が存在するマトリクスを剛直にするため、フォトクロミック色素の開環・閉環反応に伴う構造変化を抑制することになり、フォトクロミック特性を低下させる要因となる。
また、架橋密度を高めた場合、重合時のフォトクロミックコート層の収縮率が高くなるために、残留応力が高くなるとともに、硬化膜の靱性が低下する傾向にある。そのため、クラック等の外観不良が発生しやすくなる虞がある。
これらの方法に対して、本発明の方法、すなわち、無機酸化物微粒子を配合する方法であれば、微視的にみれば、無機酸化物微粒子の有無により、フォトクロミック色素分子が存在する環境(樹脂マトリクス)自体は変化しない。そのため、フォトクロミック特性の低下はみられない。また、無機酸化物微粒子を配合することによって、フォトクロミックコート層全体の収縮率は低くなるため、残留応力は低減される。このことから、表面硬度向上にともなうクラック等の外観不良のリスクを最小限に抑えることができる。
本発明で使用する(C)成分は、Si、Al、Ti、Fe、In、Zr、Au、Sn、Sb、W及びCeから選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物または複合無機酸化物微粒子からなる微粒子、特にSi、Al、Ti、Fe、Zr、Sn、Sb及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物又は複合無機酸化物微粒子を使用するのが好適である。上記無機酸化物微粒子としては、上記の元素群から選ばれる元素の酸化物を1種以上含んでいればよく、上記元素を含む複合酸化物微粒子を使用しても良いし、複数の上記無機酸化物微粒子粒子を混合して使用しても良い。なかでも、入手のしやすさ、(メタ)アクリルモノマー中での分散安定性の観点から、シリカが最も好ましい。
また、(C)成分の粒子径は、電子顕微鏡(TEM)により観察される1次粒子径が1〜100nm程度のものが好適に使用できる。入手の容易性、及び得られるフォトクロミック層の透明性(低ヘイズ性)の観点から、5〜30nm程度のものが特に好ましい。
本発明で使用する(C)成分は、一般的に疎水性である(メタ)アクリルモノマー成分への濡れ性・分散安定性を高める目的で、疎水化処理をしていることが好ましい。例えば、無機酸化物微粒子がシリカである場合には、シランカップリング剤やシリル化剤等の疎水化剤をシリカ表面のシラノール基と反応させ、化学結合を形成させることにより、表面を疎水化することができる。好適な疎水化剤としては、シラザン、シロキサン又はアルコキシシラン及びその部分加水分解物若しくはそれらが縮合した2 量体等が挙げられる。疎水化剤には、疎水性を付与する為の官能基を有しているが、官能基としては、アルキル基、フェニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、スチリル基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリルモノマーへの分散安定性、及び硬化後の樹脂成分との接着性の観点から、疎水化剤として(メタ)アクリロイル基が含まれるものが好ましい。
本発明で好適に使用できる(C)成分を具体的に例示すれば、MEK−AC−2140Z、MEK−AC−4130Y、MEK−EC−2130Y、TOL−ST、MIBK−AC−2140Z、MIBK−SD−L(何れも日産化学工業(株)製)、YA010C−SM1、YA010C−SV1、YA010C−SP3(何れも(株)アドマテックス製)等を挙げることができる。(C)成分は、1種類の無機酸化物微粒子を使用することもできるし、複数の無機酸化物微粒子の混合物として使用することもできる。混合物の場合、混合物の合計質量を(C)成分の配合量と見なす。
本発明において、(C)成分の配合量は、基準質量100質量部当り、10〜100質量部であることが好ましい。(C)成分の配合割合が前記範囲を満足することにより、得られる硬化体の表面硬度、(C)成分の分散安定性、フォトクロミック化合物の溶解性、フォトクロミック硬化性化合物の保存安定性等が向上する。上記の観点から、膜硬度とフォトクロミック硬化性組成物の保存安定性のバランスを考慮すると、基準質量100質量部当り、前記無機酸化物微粒子(C)の配合量は20〜85質量部とすることがより好ましく、20〜70質量部とすることがさらに好ましい。
また、本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、(C)成分と(A1)成分との配合割合により、保存安定性が変化する場合がある。保存安定性をより向上させるためには、(A1)成分100質量部当たり、(C)成分を20〜100質量部とすることが好ましい。
本発明で使用される無機酸化物微粒子は、粉末の他、通常、有機溶媒に分散した状態(以下、オルガノゾルともいう)で提供される場合が多い。オルガノゾルを使用する場合であっても、(C)成分の配合量は、有機溶媒を除いた量で換算する。
フォトクロミック硬化性組成物の製造方法、およびその他の配合剤
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、前記(A1)成分、(A2)成分、(B)成分、及び(C)成分を混合することにより、製造できる。(C)成分を配合するに際し、オルガノゾルを使用する場合には、オルガノゾルと、(A1)及び/または(A2)成分とを混合した後に、ロータリーエバポレーター等により有機溶媒を濃縮・留去する方法を採用できる。この際、(B)成分は、有機溶媒留去前に添加・溶解させてもよいし、有機溶媒留去後に添加・溶解させることもできる。なお、(A1)成分、又は(A2)成分の一部とオルガノゾルと混合し、有機溶媒を留去した後に、残りの(A1)成分又は(A2)成分を添加・混合してもよい。特に、(A1)成分、又は(A2)成分中に、低沸点の成分が含まれる場合には、(A1)成分及び/又は(A2)成分中の高沸点成分とオルガノゾルを混合し、有機溶媒を留去した後に、残りの低沸点成分を添加することが好ましい。こうすることにより、有機溶媒を留去する際に(A1)成分、又は(A2)成分中の低沸点成分が留去されてしまうのを防ぐことができる。必要に応じて配合される(A3)成分、(A4)成分も、同様の方法で混合すればよい。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、(A1)成分、(A2)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて配合される(A3)成分、(A4)成分の他に、公知の添加剤を配合することができる。例えば、界面活性剤、離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤、重合調整剤を必要に応じて混合することができる。
中でも、紫外線安定剤を混合して使用するとフォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させることができるために好適である。紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止、イオウ系酸化防止剤を好適に使用することができる。ヒンダードアミン光安定剤としては、特に限定されないが、特にフォトクロミック化合物の劣化防止の点で、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートが好ましい。また、旭電化工業(株)により、アデカスタブLA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87、等の商品名で市販されているヒンダードアミン系光安定剤も好適に使用することができる。
ヒンダードフェノール酸化防止剤としては、特に制限されないが、フォトクロミック化合物の劣化防止の点で、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ製IRGANOX245:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トルイル]プロピオネート]、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ製IRGANOX1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ製IRGANOX1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、その他にもチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のIRGANOX1035、1075、1098、1135、1141、1222、1330、1425、1520、259、3114、3790、5057、565等を挙げることができる。
この紫外線安定剤の使用量は特に制限されるものではないが、(A1)成分及び(A2)成分の合計量を100質量部として、各紫外線安定剤の配合量が0.01〜20質量部であり、さらに好ましくは0.1〜10質量部の範囲である。
また、重合調整剤としては、tードデシルメルカプタン等のチオール類を添加することもできる。
また、(メタ)アクリルモノマー以外にも、ビニルモノマーなどの重合性モノマーを添加することもできる。ビニルモノマーとしては、公知の化合物を何ら制限なく使用できるが、その中でも重合調整剤として作用する化合物を配合することが、フォトクロミック硬化性組成物の成型性を向上させるために好適である。ビニルモノマーの具体例としては、α−メチルスチレンおよびα−メチルスチレンダイマー等があげられ、特にα−メチルスチレンとα−メチルスチレンダイマーを組み合わせることが好ましい。
界面活性剤としては、シリコーン鎖(ポリアルキルシロキサンユニット)を疎水基とするシリコーン系の界面活性剤、またフッ化炭素鎖を有するフッ素系の界面活性剤などの、公知の界面活性剤が何ら制限なく使用できる。界面活性剤を添加することにより、コーティング法により本発明のフォトクロミックコーティング層を形成する際、フォトクロミック特性や密着性に悪影響を与えることなく、光学基材や、光学基材上に密着性等を改善する目的で形成されたプライマーに対する濡れ性を向上させると共に外観不良の発生を防止することが可能となる。
本発明で好適に使用できるシリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を具体的に例示すると、東レ・ダウコーニング株式会社製『L−7001』、『L−7002』、『L−7604』、『FZ−2123』、大日本インキ化学工業株式会社製『メガファックF−470』、『メガファックF−1405』、『メガファックF−479』、住友スリーエム社製『フローラッドFC−430』等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。
重合開始剤、フォトクロミック硬化体の製法について
フォトクロミック硬化性組成物から積層体を得る方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用できる。具体的には、プラスチック基材上に、フォトクロミック硬化性組成物からなる層を存在させ、該硬化性組成物を重合硬化させればよい。フォトクロミック硬化性組成物を重合する方法としては、熱や、紫外線(UV線)、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。この際、下記の熱重合開始剤や光重合開始剤などのラジカル重合開始剤を、本発明のフォトクロミック硬化性組成物に配合することが好ましい。
本発明において、重合開始剤を使用する際、その重合開始剤の使用量は、基準質量100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。
代表的な重合開始剤を例示すると、熱重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を挙げることができる。
本発明のフォトクロミック硬化体組成物を熱重合させる際、重合条件のうち、特に温度は得られるフォトクロミック硬化体・積層体の性状に影響を与える。この温度条件は、熱重合開始剤の種類と量やモノマーの種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させる、所謂、テーパー型重合を行うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適である。2〜24時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
本発明の光重合開始剤としては、アセトフェノン系やアシルフォスフィン系といった化合物を採用することが出来る。具体的には、ベンゾフェノン;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリコキシレート等のα−ジカルボニル系化合物;2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]などを挙げることができる。これらの重合開始剤は1種、又は2種以上を混合して用いてもかまわない。
本発明のフォトクロミック硬化体組成物を光重合させる際には、重合条件のうち、特にUV強度は得られるフォトクロミック硬化体・積層体の性状に影響を与える。この照度条件は、光重合開始剤の種類と量やモノマーの種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に365nmの波長で、50〜500mW/cm2のUV光を、0.5〜5分の時間で光照射するように条件を選ぶのが好ましい。
また、熱重合開始剤と光重合開始剤を併用することもできる。光重合開始剤を用いる場合には3級アミン等の公知の重合促進剤を併用することができる。2段重合法を採用する場合には、熱重合開始剤を配合することが好ましく、コーティング法を採用する場合には、光重合開始剤を配合することが好ましい。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、得られる硬化体の表面硬度を高くすることができるため、薄膜であるフォトクロミックコート層を形成する場合に特に好適に使用できる。ただし、本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、それ自体を硬化させた硬化体のみで使用することもできる。
次に、本発明のフォトクロミック積層体の製造方法に関し、具体的に説明する。先ず、使用するプラスチック基材について説明する。
(プラスチック基材)
本発明のフォトクロミック硬化性組成物からなるフォトクロミックコート層(硬化体)が積層されるプラスチック基材は、特に制限されるものでなく、公知の基材を使用することができる。
プラスチック基材としては、具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、及びチオエポキシ系樹脂等が挙げられ、本発明においては、何れのプラスチックレンズ基材にも適用できる。また、これらのプラスチックレンズ基材上に、ハードコート層などを積層したプラスチックレンズ基材にも適用可能である。
本発明で使用するプラスチック基材の形状は、特に制限されるものではなく、公知の形状のものに適用できる。プラスチック基材は、使用する人の視力、プラスチック基材成型時のガラスモールド形状、及び生産性などに応じて、様々は形状を有している。例えば、近視用レンズとしての中心が薄く、コバに厚みを有するマイナスレンズであり、遠視用レンズとしての中心が厚く、コバが薄いプラスレンズである。更には、プラスチック基材を成型する際のモールド等に依存し、プラスチック基材のコバ部分が外周へ向かって下方(フォトクロミックコート層が積層される側とは反対側)へ傾斜している形状を有する場合もある(以下、コバ部のこの形状を単に「斜角形状」とする場合もある。)。斜角形状を有する利点としては、例えば、コーティング法においてコバ部の液溜まりを少なくできるという点が挙げられる。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、上記いずれのプラスチック基材へも適用可能である。
プラスチック基材は、得られるフォトクロミック積層体の密着性向上のために、アルカリ溶液、酸溶液などによる化学的処理、コロナ放電、プラズマ放電、研磨などによる物理的処理を施用したものであってもよい。中でも、本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、プラスチック基材とフォトクロミックコート層の密着性を高めるため、接着層としてプライマーコート層を有するレンズ基材を使用した場合に特に好適に適用できる。
プライマーコート層としては、公知のポリウレタン樹脂を使用することが可能である。その中でも、密着性の観点から、日本国特許第4405833号公報に記載されているような湿気硬化型ポリウレタン樹脂/その前駆体、または日本国特許第5016266号公報、日本国特許5084727号公報に記載されているような水分散ウレタンエマルジョンからなるプライマーコート層であることが好ましい。
(湿気硬化型ポリウレタン樹脂からなるプライマーコート層を有するプラスチック基材への適用)
湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体(以下、単に湿気硬化型ポリウレタン樹脂とする)とは、分子中に複数存在するイソシアネート基の一部が例えば大気中の水分と反応してカルバミン酸を生じた後に脱炭酸してアミンを生成し、該アミンと残存イソシアネート基が反応して尿素結合を生じることにより架橋硬化するイソシアネート基含有化合物またはこのような化合物の前駆体となる化合物又は化合物の組合せである。
中でも、湿気硬化型ポリウレタン樹脂は、比較的低温で優れた密着性を発現できる観点から、脂肪族イソシアネート化合物及び/ 又は該脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有するような化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物、特に塗膜性の点から環状脂肪族イソシアネート化合物及び/ 又は該環状脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物が好ましい。
また、湿気硬化型ポリウレタン樹脂は、得られるポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物が空気中の水分などと反応して硬化する速度が速いという観点から、芳香族イソシアネート化合物及び/ 又は該芳香族イソシアネート化合物と活性水素を有するような化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物も好適に使用できる。この場合、水分とイソシアネートとの反応の結果、ウレア結合が生成するが、本発明における接着層にはこのようなウレア結合が含まれていてもよい。
なお、上記活性水素を有する化合物としては、ポリアルキレングリコール類、3個以上のヒドロキシ基を含有するポリオール類、ポリアルキレンアジペート類、ポリアルキレンカーボネート類、ポリカプロラクトン類、ポリエステルポリオール類を使用することが好ましい。なお、上記した活性水素を有する化合物は単独で用いても、2 種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用する湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体の分子量は、比較的高いほうが好ましい。分子量を高くする手法としては、前述のイソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させる際に、イソシアネート基の残る量を少なくするように調整する方法がある。あるいは、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体の分子中に複数存在するイソシアネート基を鎖延長剤などにより結合する方法もある。ここで、鎖延長剤としては、先述したような活性水素を有する化合物やエチレンジアミン等のジアミン化合物が挙げられるが、これらの中でも、鎖延長反応の制御のし易さという観点から、1 ,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1 ,6− ヘキサンジオール等のアルキレングリコール類や、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類が好適に用いられる。
以上のような湿気硬化型ポリウレタン樹脂を、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの有機溶剤で希釈し、更に必要に応じてレベリング剤を配合してプライマーコート組成物とした後、プラスチックレンズ基材上に塗布、乾燥し、プライマーコート層を形成する。この際、プライマーコート層の厚みは、1〜10μmとすることが好ましい。
(水分散ウレタンエマルジョンからなるプライマーコート層を有するプラスチック基材への適用)
水分散ウレタン樹脂エマルジョンに含まれるポリウレタン樹脂は、活性水素基含有成分として、少なくとも、ポリオール化合物、アニオン性基活性水素基併有化合物、活性水素基含有アクリレート化合物、および/またはアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物を含み、ポリイソシアネート成分として、ポリイソシアネート化合物を含み、それら活性水素基含有成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られるウレタン樹脂であることが好適である。
水分散ウレタン樹脂の原料であるポリオール化合物、及びポリイソシアネート化合物は、前述の湿気硬化型ウレタン樹脂の原料と同様なものを使用すること可能である。
水分散ウレタン樹脂の原料であるアニオン性基活性水素基併有化合物は、例えば、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基、スルホベタインなどのべタイン構造含有基などのアニオン性基を1つ以上有し、かつ、イソシアネート基と反応し得る、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基などの活性水素基を2つ以上有する化合物であって、例えば、1つのアニオン性基を有し、かつ、2つ以上の活性水素基を有する化合物が挙げられる。例えば、カルボキシル基を有するアニオン性基活性水素基併有化合物として、2 ,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸などが挙げられる。
水分散ウレタン樹脂の原料である活性水素基含有アクリレート化合物は、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物であって、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ アクリレート、2, 2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。
水分散ウレタン樹脂の原料であるアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物としては、第1 級アミノ基および第2 級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物が挙げられ、具体的には、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、N,N’−ビス〔α−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミンなどが挙げられる。
前記水分散ウレタン樹脂エマルジョンは、活性水素基含有成分( すなわち、少なくとも、ポリオール化合物、アニオン性基活性水素基併有化合物、活性水素基含有アクリレート化合物、および/またはアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物)と、ポリイソシアネート成分(すなわち、ポリイソシアネート化合物)とを、ワンショット法やプレポリマー法などに反応させることにより合成することができ、プレポリマー法がより好ましい。また鎖伸長剤を使用することもできる。
鎖伸長剤として、アルコキシシリル基含有ポリアミン化合物以外の、他のアミン類、ヒドラジン類( 他のアミン類、ヒドラジン類は、活性水素基含有成分に含まれる。) を併用することもできる。例えば、そのような他のアミン類としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−イソシアナトメチル−3,5 ,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジアミン) 、4,4 ’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2 ,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2 .2 .1 ]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアミン類などが挙げられる。
以上のような水分散ポリウレタン樹脂エマルジョンは、最終的に水にポリウレタン樹脂が分散しているが、必要に応じて、水やレベリング剤、更には有機溶剤などを配合してプライマーコート組成物とした後、プラスチックレンズ基材上に塗布、乾燥し、プライマーコート層を形成する。この際、プライマーコート層の厚みは、1〜10μmとすることが好ましい。
以上のようなプラスチック基材、通常形状のプラスチックレンズ、強度数プラスチックレンズ、斜角形状を有するプラスチックレンズ、およびこれらレンズ表面にポリウレタン樹脂からなるプライマーコート層上に、フォトクロミック硬化性組成物からなるフォトクロミックコート層を積層する(フォトクロミック積層体を製造する。)。次に、これらプラスチック基材上にフォトクロミックコート層を形成する方法について具体的に説明する。
(コーティング法、2段重合法:フォトクロミック積層体の製造方法)
具体的な積層体の製造方法としては、コーティング法、および2段重合法が挙げられ
コーティング法
コーティング法によりフォトクロミック積層体を製造する場合には、プラスチック基材上に、光重合開始剤を混合した本発明のフォトクロミック硬化体組成物をスピンコーティング法などにより塗布し、窒素などの不活性ガス中に設置した後に、UV照射を行うことで、コーティング法によるフォトクロミック積層体を得ることが出来る。そして、フォトクロミックコート層とプラスチック基材との密着性を高めるため、80〜120℃の温度範囲で0.5〜5時間程度加熱処理することが好ましい。こうすることにより、プラスチックレンズ基材/必要に応じて形成される、プライマーコート層/フォトクロミックコート層がこの順で積層されたフォトクロミック積層体を得ることができる。コーティング法で形成されるフォトクロミックコート層の厚みは、特に制限されるものではないが、10〜70μmとすることが好ましい。
2段重合法
2段重合法によりフォトクロミック積層体を製造する場合には、エラストマーガスケット、スペーサー、または粘着テープで保持されているガラスモールドとプラスチック基材とからなる隙間に、熱重合開始剤を配合した本発明のフォトクロミック硬化体組成物を注入し、空気炉中で重合硬化させた後、ガラスモールドから積層体を取り外す注型重合が挙げられる。光重合開始剤を使用する場合には、ガラスモールドごとUV照射を行い、その後、ガラスモールドから硬化体を取り外せばよい。重合硬化する際の温度は、特に制限されるものではないが、熱重合する場合には、20〜120℃の範囲で温度を変化させることが好ましい。また、光重合の場合には、光重合後、80〜120℃の温度範囲で0.5〜5時間程度加熱処理することが好ましい。こうすることにより、プラスチック基材/必要に応じて形成される、プライマーコート層/フォトクロミックコート層がこの順で積層されたフォトクロミック積層体を得ることができる。2段重合法で形成されるフォトクロミックコート層の厚みは、特に制限されるものではないが、100〜1000μmとすることが好ましい。
本発明のフォトクロミック硬化性組成物は、上記のような方法によりプラスチック基材上に配置され、硬化することにより、フォトクロミック積層体を形成できる。
フォトクロミック積層体の特性、及び後加工
本発明のフォトクロミック硬化体組成物を前記方法により重合して得られるフォトクロミック積層体は、表面硬度に優れ、フォトクロミックコート層に生じるクラック等の外観不良を抑制することができ、かつフォトクロミック特性にも優れたフォトクロミックプラスチックレンズとすることができる。
さらに、前記の方法で得られるフォトクロミック積層体は、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料などの染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤や、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、本実施例で使用した使用した化合物は下記の通りである。
(A1)成分
(A1a)成分
・14G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が14であり、平均分子量が736、(メタ)アクリル当量 368)。
(A1b)成分
・AT30:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(平均分子量が1616、a=10、b=3、(メタ)アクリル当量539)。
(A1c)成分
・BPE900:2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(c+d=17、(メタ)アクリル当量556)。
(A1d)成分
・A−PC:ペンタンジオールとヘキサンジオールを主成分とするポリアルキレンカーボネートジオールとアクリル酸のエステル化物(平均分子量640、(メタ)アクリル当量320)。
(A2)成分
(A2a)成分
・TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート。
・D−TMP:ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート。
(A2b)成分
<PMS1の合成>
3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート248g(1.0mol)にエタノール196mlおよび水54g(3.0mol)を加え、触媒として水酸化ナトリウム0.20g(0.005mol)を添加し、45℃で3時間反応させた。原料の消失を確認後、希塩酸で中和し、トルエン174ml、ヘプタン174ml、および水174gを添加し、水層を除去した。その後、水層が中性になるまで有機層を水洗し、溶媒を濃縮することによってシルセスキオキサンモノマー(PMS1)を得た。なお、H−NMRより、原料は完全に消費されていることを確認した。また、29Si−NMRより、ケージ状構造、ラダー状構造およびランダム構造の混合物であることを確認した。シルセスキオキサンモノマー(PMS1)の分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)により測定したところ、重量平均分子量が3800であった。(メタ)アクリル当量は、約178であった。
(A3)成分
(A3a)成分
・GMA :グリシジルメタアクリレート。
(A3b)成分
・MA1:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
その他の(A3)成分
・M90G:新中村化学工業(株)製‘M90G’ 単官能性メタクリレート(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート エチレングリコール鎖の平均鎖長が9であり、平均分子量が496)。
(A4)成分
・9G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が9であり、平均分子量が536、(メタ)アクリル当量 268)。
・BPE500:2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(エチレグリコール鎖の平均鎖長が10であり、平均分子量が、804)。
(B)フォトクロミック化合物
Figure 2017052869
(C)無機酸化物微粒子
・SO1:オルガノシリカゾルMEK−AC−2140Z(日産化学工業社製、平均粒子径10〜15nm、シリカ含有率:40質量%、溶媒:メチルエチルケトン)。
その他の配合剤(添加剤)
安定剤
・HALS: ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量508) 。
・HP:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox245)。
光重合開始剤
・PI:フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(商品名:Irgacure819、BASF社製)。
プラスチック基材
PL1:中心厚2mm、斜角45°、屈折率1.50、斜角形状を有するアリル系プラスチックレンズ。
PL2:中心厚10mm、斜角45°、屈折率1.67、斜角形状を有するチオウレタン系プラスチックレンズ。
PL3:屈折率1.50、度数+6.00、中心厚12mm、エッジ厚1mm、アリル系プラスチックレンズ。
PL4:屈折率1.50、度数−4.00、中心厚3mm、エッジ厚10mm、アリル系プラスチックレンズ。
PL5:中心厚2mm、屈折率1.50、斜角形状の無いアリル系プラスチックレンズ。
プライマー組成物
PR1:水分散ウレタンエマルジョン(製品名:NJ−321A、(株)トクヤマ製)。
PR2:湿気硬化型ウレタン樹脂プライマー(製品名:TR−SC−P、(株)トクヤマ製)。
製造例
フォトクロミック硬化性組成物(Z1)の調整
(A1a)成分:ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が14であり、平均分子量が736) 55.6質量部、(A1d)成分:ペンタンジオールとヘキサンジオールを主成分とするポリアルキレンカーボネートジオールとアクリル酸のエステル化物(平均分子量640、(メタ)アクリル等量320) 20.2質量部、(A2a)成分:トリメチロールプロパントリメタクリレート 24.2質量部、及び(C)成分:オルガノシリカゾルMEK−AC−2140Z(日産化学工業社製、平均粒子径10〜15nm、シリカ含有率:40重量%、溶媒:メチルエチルケトン) 108.3質量部(シリカとして43.3質量部)を混合し、ロータリーエバポレーターにて水浴温度40℃で減圧濃縮し、溶媒であるメチルエチルケトンを留去した。溶媒留去後の混合物に、(A3a)成分:グリシジルメタアクリレート 1.0質量部、及び(B)成分:PC1 2.9質量部を加え、70℃で15分間撹拌混合し、PC1を溶解させた。室温に冷却後、更に、(A3b)成分:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 9.4質量部、その他の配合剤(添加剤)安定剤:HALS 4.3質量部、HP 4.3質量部、重合開始剤としてPI 0.26質量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング株式会社製L7001 0.1質量部を加え、コーティング法に用いるフォトクロミック硬化性組成物(Z1)を得た。各配合量を表1に示した。
フォトクロミック硬化性組成物(Z2)〜(Z18)の調整
表1に示した材料を用いた以外は、前記フォトクロミック硬化性組成物(Z1)と同様の方法にて、フォトクロミック硬化性組成物(Z2)〜(Z17)を調整した。組成を、表1に示す。なお、フォトクロミック硬化性組成物(Z1)〜(Z13)、は、実施例の組成物に該当する。また、フォトクロミック硬化性組成物(Z14)〜(Z18)は、比較例の組成物に該当する。
Figure 2017052869
実施例1
プラスチック基材として、中心厚2mm、斜角45°、屈折率1.50、斜角形状を有するアリル系プラスチックレンズを用意した。なお、このアリル系プラスチックレンズは、事前に10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、50℃で5分間のアルカリエッチングを行い、その後十分に蒸留水で洗浄を実施した。
スピンコーター(1H−DX2、MIKASA製)を用いて、上記のプラスチックレンズの表面に、水分散ウレタンエマルジョン(製品名:NJ−321A、(株)トクヤマ製、純水を添加して固形分濃度を35%に調整した)を回転数70rpmで15秒、続いて1500〜2000rpmで4秒間スピンコートし、15分間室温にて乾燥した。この際、乾燥後のプライマー層の膜厚が4μmとなるようにスピン条件を調整した。その後、上記で得られたフォトクロミック硬化性組成物(Z1) 約2gを、回転数100rpmで40秒、続いて1000rpmで3〜15秒間かけて、硬化後のフォトクロミックコーティング層の膜厚が40μmになるようにスピンコートした。このようにコーティング剤が表面に塗布されているレンズを、窒素ガス雰囲気中で出力200mW/cmのメタルハライドランプを用いて、90秒間光を照射し、塗膜を硬化させた。その後さらに100℃で1時間加熱して、フォトクロミックコート層を有するフォトクロミック積層体を作製した。
得られたフォトクロミック積層体は、最大吸収波長458nm、発色濃度1.1、退色速度59秒のフォトクロミック特性を有し、外観評価が0、密着性がA、表面硬度が5.0であった。なお、これらの評価は以下のようにして行った。
フォトクロミック特性
得られたフォトクロミック積層体(フォトクロミック層の厚み40マイクロメートル)を試料とし、これに、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃±1℃、重合体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm,245nm=24μW/cmで300秒間照射して発色させ、前記積層体のフォトクロミック特性を測定した。各フォトクロミック特性は以下の方法で評価した。
1)最大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD3000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
2)発色濃度{ε(300)−ε(0)}:前記最大吸収波長における、300秒間光照射した後の吸光度{ε(300)}と光照射前の吸光度{ε(0)}との差。この値が高いほどフォトクロミック特性が優れているといえる。
3)退色速度〔t1/2(sec.)〕:300秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記最大波長における吸光度が{ε(300)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほど速やかに消色することを意味し、フォトクロミック特性が優れているといえる。
外観評価
フォトクロミック積層体を10枚作製し、フォトクロミックコート層にクラックが発生したフォトクロミック積層体の枚数にて評価を行った。
密着性
得られたフォトクロミック積層体の密着性を評価した。密着性の評価は、フォトクロミックコート層、接着層、及びプラスチックレンズの密着性をJISD−0202に準じてクロスカットテープ試験によって行った。すなわち、カッターナイフを使いレンズ表面に約1mm間隔に切れ目を入れ、マス目を100個形成させる。その上にセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製セロテープ(登録商標))を強く貼り付け、次いで、表面から90°方向へ一気に引っ張り剥離した後、フォトクロミックコート層の残っているマス目を数えた。つまり、評価結果は、(残っているマス目数)/100で表している。ここでの密着性は、レンズ基材上に積層している全ての層の密着性を評価している。評価基準を以下に示す。
A;100/100。
B:99/100〜95/100。
C:95/100未満 。
表面硬度
本発明における表面硬度は、ビッカース硬度にて評価した。測定は、マイクロビッカース硬度計PMT-X7A(株式会社マツザワ製)を用いて実施した。圧子には、四角錐型ダイヤモンド圧子を用い、荷重10gf、圧子の保持時間30秒の条件にて評価を実施した。測定結果は、計4回の測定を実施した後、測定誤差の大きい1回目の値を除いた計3回の平均値で示した。
実施例2−18、比較例1−5
表2に示したフォトクロミック硬化性組成物、プラスチックレンズ及びプライマーを用いた以外は、実施例1と同様な方法でフォトクロミック積層体を作製し、評価を行なった。評価結果を表2に示した。
Figure 2017052869
以上の実施例1−18から明らかな通り、本発明のフォトクロミック硬化性組成物を重合して得られるフォトクロミック積層体は、フォトクロミック特性に優れるばかりでなく、表面硬度、密着性、及び外観にも優れている。しかしながら、比較例1〜5では、フォトクロミック特性、表面硬度、密着性、または外観のうち、少なくとも1つの物性が不十分であり、全ての物性を同時に満足するものはない。
実施例19
フォトクロミック硬化性組成物の保存安定性の評価
前記製造例において製造したフォトクロミック硬化性組成物(Z1)を、遮光密閉容器に入れ、25℃で1週間保存した。保存後のフォトクロミック硬化性組成物の様子を観察し、以下の基準で、評価をおこなった。
保存前と変化なし:○
保存前と比べ増粘がみられた:△
ゲル化、あるいは沈殿が析出した:×
評価結果を表3に示した。
実施例20−31
表3に示したフォトクロミック硬化性組成物を用いた以外は、実施例18と同様の方法で保存試験を実施し、評価をおこなった。表3に結果を示した。
Figure 2017052869

Claims (9)

  1. (A1) 下記(A1a)成分、(A1b)成分、(A1c)成分、及び(A1d)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の長鎖(メタ)アクリルモノマー成分、
    (A2) 下記(A2a)成分、及び(A2b)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種の多管能(メタ)アクリルモノマー成分、
    (B) フォトクロミック化合物、及び
    (C) 無機酸化物微粒子
    を含むことを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物。

    (A1a)成分:分子量600〜2000のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルモノマー成分、
    (A1b)成分:下記一般式(1)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
    Figure 2017052869
    (式中、
    は、水素原子、またはメチル基であり、
    は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
    は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
    aは平均値で8〜15の数であり、bは3〜6の整数である。)、
    (A1c)成分:下記一般式(2)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
    Figure 2017052869
    (式中、
    、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
    、及びRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
    Aは、下記式
    Figure 2017052869
    に示されるいずれかの基であり、
    c、及びdは、それぞれ独立に1以上の整数であるとともに、c+dは平均値で15を超え40以下である。)、
    (A1d)成分:下記一般式(3)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
    Figure 2017052869
    (式中、
    B、及びB’は、それぞれ、炭素数2〜15の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、eは平均値で2〜20の数であり、
    Bが複数存在する場合には、Bは、同一の基であっても、異なる基であってもよく、
    、及びRは、水素原子、またはメチル基である。)。

    (A2a)成分:下記一般式(4)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
    Figure 2017052869
    (式中、好ましくは、
    11は、水素原子、またはメチル基であり、
    21は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基であり、
    31は、炭素数1〜10である3〜6価の炭化水素基、または炭素数1〜10の鎖中に酸素原子を含む3〜6価の基であり、
    a’は平均値で0〜3の数であり、b’は3〜6の整数である。)、
    (A2b)成分:下記一般式(5)で示される(メタ)アクリルモノマー成分
    Figure 2017052869
    (式中、
    複数個あるR10は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、
    少なくとも10個のR10は、(メタ)アクリル基を含む有機基であり、
    fは、重合度であり、15〜50の整数である。)。
  2. 前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(C)成分を10〜100質量部含むことを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  3. 前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(A1)成分を30〜85質量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  4. 前記(A1)成分の全量を100質量%としたとき、(A1)成分が、(A1a)成分を40〜100質量%、(A1b)成分を0〜40質量%、(A1c)成分を0〜40質量%、及び(A1d)成分を0〜40質量%含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  5. 前記(B)成分が、インデノ〔2, 1−f〕ナフト〔1, 2−b〕ピラン骨格を有するフォトクロミック化合物であり、
    前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、0.1〜10質量部含まれることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  6. さらに、(A3) (メタ)アクリル基を分子内に1つ有する単官能(メタ)アクリルモノマー成分を含み、
    前記(A1)成分、及び前記(A2)成分の合計100質量部当たり、前記(A3)成分が0.1〜50質量部含まれることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のフォトクロミック硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載のフォトクロミック硬化性組成物を硬化したフォトクロミック硬化体。
  8. プラスチック基材上に、請求項7に記載のフォトクロミック硬化体を有するフォトクロミック積層体。
  9. プラスチック基材上に、ウレタン樹脂からなるプライマー層を有し、該プライマー層上に、請求項7に記載のフォトクロミック硬化体を有するフォトクロミック積層体。
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