(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、寝台8、入力回路9、ディスプレイ10、記憶回路11、処理回路12〜15を備える。
静磁場磁石1は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、内周側に形成される撮像空間に一様な静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、永久磁石や超伝導磁石等によって実現される。
傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる3つのコイルを有する。ここで、x軸、y軸及びz軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、x軸の方向は、鉛直方向に設定され、y軸の方向は、水平方向に設定される。また、z軸の方向は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束の方向と同じに設定される。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が有する3つのコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を適宜に発生させることによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。ここで、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
ここで、各傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、位置、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
送信コイル4は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。送信コイル4は、送信回路5から出力されるRF(Radio Frequency)パルスを撮像空間に印加する。
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル4に出力する。例えば、送信回路5は、発振回路、位相選択回路、周波数変換回路、振幅変調回路、及び、RF増幅回路を有する。発振回路は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択回路は、発振回路から出力されるRFパルスの位相を選択する。周波数変換回路は、位相選択回路から出力されるRFパルスの周波数を変換する。振幅変調回路は、周波数変換回路から出力されるRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅回路は、振幅変調回路から出力されるRFパルスを増幅して送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、受信コイル6は、撮像空間に置かれた被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから発せられるMR信号を受信する。また、受信コイル6は、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここでいう専用のコイルは、例えば、頭部用の受信コイル、頚部用の受信コイル、肩用の受信コイル、胸部用の受信コイル、腹部用の受信コイル、下肢用の受信コイル、脊椎用の受信コイル等である。
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路13に出力する。例えば、受信回路7は、選択回路、前段増幅回路、位相検波回路、及び、アナログデジタル変換回路を有する。選択回路は、受信コイル6から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅回路は、選択回路から出力されるMR信号を増幅する。位相検波回路は、前段増幅回路から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換回路は、位相検波回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路13に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRFパルスを印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、送信コイル及び受信コイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよい。また、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有している場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルスを出力する。
寝台8は、被検体Sが載置される天板8aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、静磁場磁石1及び傾斜磁場コイル2の内側に形成される撮像空間へ天板8aを挿入する。例えば、寝台8は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
入力回路9は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力回路9は、処理回路15に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15へ出力する。例えば、入力回路9は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
ディスプレイ10は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ10は、処理回路15に接続されており、処理回路15から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ10は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路11は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路11は、MR信号データや画像データを被検体Sごとに記憶する。例えば、記憶回路11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路12は、寝台制御機能12aを有する。具体的には、寝台制御機能12aは、寝台8に接続され、制御用の電気信号を寝台8へ出力することで、寝台8の動作を制御する。例えば、寝台制御機能12aは、入力回路9を介して、天板8aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板8aを移動するように、寝台8が有する天板8aの駆動機構を動作させる。例えば、処理回路12は、プロセッサによって実現される。
処理回路13は、実行機能13aを有する。具体的には、実行機能13aは、各種パルスシーケンスを実行する。具体的には、実行機能13aは、処理回路15から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、各種パルスシーケンスを実行する。例えば、処理回路13は、プロセッサによって実現される。
ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス電流の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。
また、実行機能13aは、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路11に格納する。なお、実行機能13aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路11に格納される。
処理回路14は、画像生成機能14aを有する。例えば、処理回路14は、プロセッサによって実現される。画像生成機能14aは、記憶回路11に格納されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成機能14aは、実行機能13aによって記憶回路11に格納されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、画像生成機能14aは、生成した画像の画像データを記憶回路11に格納する。
処理回路15は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。例えば、処理回路15は、入力回路9を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種のパラメータの入力を受け付け、受け付けたパラメータに基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、処理回路15は、生成したシーケンス実行データを処理回路13に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、処理回路15は、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路11から読み出し、読み出した画像をディスプレイ10に出力する。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、脳内の複数の領域に関する画像解析に用いられる。
なお、ここでいう脳内の複数の領域は、脳の領域を何らかの意図により区分けしたものである。例えば、ここでいう脳内の複数の領域は、脳の領域を機能的又は解剖学的に区分けしたものである。以下では、脳内の複数の領域として、複数の脳機能局在領域(局在領域とも呼ばれる)が用いられる場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。
近年、脳神経科学の分野では、MRI装置によって撮像された画像を用いて、脳機能局在領域とその領域間の接続関係に関する解明が進められている。例えば、脳機能局在領域ごとに画像の輝度値等の所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析して、疾患の有無を判断する方法が提案されている。
しかしながら、このような方法は研究視点の要素が多く、臨床応用という観点では論理的に理解しやすいものとは言えない。特に、診断目的、すなわち確定診断やスクリーニングに即した実臨床への応用という点では、その枠組みが示されていないと言える。
そのため、一般の脳神経放射線科又は内科医にとって分かりやすく、診断目的に応じた脳機能局在領域とその領域間の接続に関する情報を用いた枠組みが求められている。
また、一般の脳神経放射線科又は内科医にとって分かりやすく、診断目的に応じた脳機能局在領域とその領域間の接続に関する情報を用いた枠組みに関わる仕組みにおいて、その診断情報を分かりやすく提示することが求められている。
このようなことから、本実施形態に係るMRI装置100は、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができるように構成されている。
具体的には、本実施形態では、記憶回路11が、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスを表す情報を記憶する。ここで、記憶回路11によって記憶されるマトリクスについて具体的に説明する前に、脳機能局在領域、神経線維束、及び、皮質領域の階層構造について説明する。
図2は、脳機能局在領域を説明するための図である。例えば、図2に示すように、脳の領域は、複数の脳機能局在領域(図2に示す破線及び実線で区分けされた領域)に区分けされる。ここで、脳機能局在領域には、皮質領域と白質領域とが含まれる。皮質領域は、神経細胞からなる皮質(灰白質とも呼ばれる)の領域であり、脳の表面を覆うように存在する。また、白質領域は、神経線維を包含する白質(皮質下とも呼ばれる)の領域であり、脳の内部に存在する。ここで、皮質領域の最小単位は、脳回(Gyrus)と呼ばれる。この脳回の集まりとして、例えば、領野(Cortex)等があり、さらにマクロに区分けされた前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉等の単位がある。
図3は、神経線維束を説明するための図である。神経線維束は、神経線維の集まりである。なお、図3は、脳機能局在領域に連結する頭蓋内の神経線維を示している。ここで神経線維(nerve)とは、一般に神経細胞から伸びている軸索(axon)の集合体である軸索束(bundle)を指すものである。例えば、図3に示すように、神経線維には、連合線維(Association Fiber:AF)21と、交連線維(Commissural Fiber:CF)22と、投射線維(Projection Fiber:PF)23とがある。連合線維21は、脳の同じ半球に含まれる脳機能局在領域の間を結ぶ線維であり、短連合線維と長連合線維とがある。また、交連線維22は、脳梁(corpus callosum)を通って、脳の左半球に含まれる脳機能局在領域と右半球に含まれる脳機能局在領域との間を結ぶ線維である。また、投射線維23は、皮質領域と白質領域との間を結ぶ線維であり、皮質領域から白質領域へ向かう遠心性の投射線維と、白質領域から皮質領域へ向かう求心性の投射線維とに分けられる。ここで、投射線維23は、脳機能局在領域と、感覚器(入力)又は運動器(出力)とを連結する神経線維である。投射線維23の一部は、中継構造体である視床(thalamus)や内包(internal capsule)を介して感覚器や運動器と連結している。
これらの神経線維は、基本的には、上述した視床や内包等のような、白質領域内における一部の小構造体(小機能構造体)を通る。そのため、以下では、皮質領域と、白質領域内における一部の小構造体(小機能構造体)の領域とを含めた脳機能局在領域の最小単位を、脳回として扱うこととする。
図4は、皮質領域の階層構造を説明するための図である。一般的に、皮質領域の最小単位である脳回は、機能的又は解剖学的な観点で複数の分類に分けられる。例えば、図4に示すように、脳回の種類である淡蒼球、被殻、尾状核、黒質、黒質緻密部、側坐核、マイネルト基底核、アンモン角、歯状回、海馬傍回、嗅内野、扁桃体、帯状回は、淡蒼球と被殻とがレンズ核に分類され、アンモン角と歯状回とが海馬に分類される。さらに、淡蒼球〜マイネルト基底核が大脳基底核に分類され、アンモン角〜帯状回が大脳辺縁系に分類される。このように、皮質領域は、脳回の種類を段階的に分類した階層構造で表される。
図5は、皮質領域の階層構造を一般化した例を示す図である。図5において、「g1」〜「g20」は、それぞれ脳回の種類を表している。また、「sub−region1」は、脳回の小分類を示しており、「region1」、「region2」、「region3」は、脳回の中分類を示している。また、「right hemisphere」、「left hemisphere」は、脳回の大分類であり、「right hemisphere」が脳の右半球を、「left hemisphere」が脳の左半球を示している。
なお、図5では、皮質領域の脳回を階層構造で分類した場合の例を示したが、前述したように、脳回は、皮質領域だけでなく、白質領域内にも存在する。そこで、例えば、皮質領域及び白質領域の両方の脳回を階層構造で分類してもよい。この場合に、皮質領域及び白質領域の脳回は、例えば、Talairachら(1988年)によって定義された階層構造に基づいて分類される。Talairachの階層構造は、脳半球、脳葉、脳回、組織、細胞タイプの5階層で構成される。ここで、脳半球が最も大きな分類であり、脳葉、脳回、組織、細胞タイプ、サブ細胞タイプの順で、段階的に小さな分類となる。
図6は、皮質領域及び白質領域の階層構造を一般化した例を示す図である。例えば、図6に示すように、皮質領域及び白質領域に含まれる脳回の階層構造は、脳半球層(hemisphere)、脳葉層(lobe)、脳回層(gyrus)、組織層(tissue)、細胞タイプ層(cell type)の5階層に、細胞タイプをさらに細分化したサブ細胞タイプ層(sub−cell type)を加えて構成される。
図6において、「hemisphere1」は、脳半球層に含まれる分類を示している。また、「lobe1」、「lobe2」は、脳葉層に含まれる分類を示している。また、「gyrus1」、「gyrus2」、「gyrus3」は、脳回層に含まれる分類を示している。また、「gray matter」、「white matter」は、組織層に含まれる分類である。また、「cell type1」、「cell type2」は、細胞タイプ層に含まれる分類を示している。また、「g1」〜「g14」は、それぞれ脳回の種類を表している。なお、図6に示すように、「g1」〜「g14」によって表される脳回の種類は、必ずしも同じ階層の分類にならなくてもよい。
ここで、組織層に含まれる分類「gray matter」は、皮質(灰白質)領域を表し、「white matter」は、白質領域を表している。すなわち、図6に示す階層構造には、皮質領域(灰白質:gray matter)及び白質領域(white matter)の両方が含まれている。
なお、ここでは、Talairachら(1988年)によって定義された階層構造で脳回を分類した場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、脳回は、各種企業又は各種団体によって定義されている各種の脳アトラスに基づいて、分類されてもよい。上述した一般化された階層構造は、各種の脳アトラスにおける脳回の分類の定義に応じて細分化又は集約化することで、適宜に変更することが可能である。
本実施形態では、記憶回路11は、上述した脳機能局在領域の間、及び、脳機能局在領域と器官系との間を接続する神経線維束を機能別に分けることで、診断すべき障害領域として皮質領域と白質領域とを分けたマトリクスを表す情報を記憶する。
具体的には、記憶回路11は、上述した3種類の神経線維束それぞれについて、皮質領域と白質領域との間の接続関係を表すマトリクスを表す情報を記憶する。すなわち、記憶回路11は、連合線維による接続関係を示すマトリクスと、交連線維による接続関係を示すマトリクスと、投射線維による接続関係を示すマトリクスとをそれぞれ記憶する。
なお、以下では、連合線維による接続関係を示すマトリクスをAFM(Association Fiber Matrix)と呼ぶ。また、交連線維による接続関係を示すマトリクスをCFM(Commissural Fiber Matrix)と呼ぶ。また、投射線維による接続関係を示すマトリクスをPFM(Projection Fiber Matrix)と呼ぶ。
図7及び8は、第1の実施形態に係るAFMの一例を示す図である。前述したように、連合線維は、脳の同じ半球に含まれる皮質領域の間を結ぶ線維である。そのため、AFMは、右半球に関するものと、左半球に関するものとに分けられる。図7は、右半球に関するAFMの一例を示しており、図8は、左半球に関するAFMの一例を示している。なお、各AFMはそれぞれ同様の構成を有するので、ここでは、右半球に関するAFMを例に挙げて説明する。
例えば、図7に示すように、AFMは、横軸及び縦軸それぞれに沿って皮質領域の最小単位である脳回を示すセル「g1」〜「g20」を並べ、さらに、横軸の脳回と縦軸の脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセルを各軸に沿って2次元に配列したマトリクスである。また、AFMでは、横軸及び縦軸それぞれについて、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルが、脳回を示すセルの外側に配置される。
ここで、図7に示すAFMにおいて、斜線の模様が付けられたセルは、横軸の対応する位置にある脳回と、縦軸の対応する位置にある脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。例えば、AFMを表す情報において、対応する位置にある脳回の間を接続している神経線維束を包含する白質領域のセルには「1」が付与され、対応する位置にある脳回の間を接続していない神経線維束を包含する白質領域のセルには「0」が付与される。なお、図7において、格子の模様が付けられたセルは、横軸及び縦軸それぞれに割り当てられた同一の脳回に対応することを示しており、接続関係を示さない無効なセルとして扱われる。
例えば、図7に示すセル31は、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回と、縦軸に配置されたセル「g9」が示す脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。言い換えると、セル31は、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回と、縦軸に配置されたセル「g9」が示す脳回とが接続関係を有することを示している。同様に、図7に示すセル32は、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回と、縦軸に配置されたセル「g10」が示す脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。言い換えると、セル32は、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回と、縦軸に配置された「g10」が示す脳回とが接続関係を有することを示している。すなわち、図7に示す例では、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回は、縦軸に配置されたセル「g9」が示す脳回、及び、セル「g10」が示す脳回の両方に接続している。
このようなAFMによれば、例えば、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のいずれかを探索開始位置として探索を行うことで、探索開始位置としたセルが示す脳回と接続関係を有する白質領域及び脳回を検出することができる。すなわち、AFMによれば、複数の脳回のセルのうちの1つを探索開始位置として探索を行うことで、同じ半球に含まれる他の脳回の中で接続関係にある脳回と、それらの脳回を結ぶ神経線維束を包含する白質領域とを検出することができる。
図9は、第1の実施形態に係るCFMの一例を示す図である。前述したように、交連線維は、脳の左半球に含まれる皮質領域と右半球に含まれる皮質領域との間を結ぶ線維である。そのため、CFMでは、例えば、横軸に、左半球に含まれる脳回が割り当てられ、縦軸に、右半球に含まれる脳回が割り当てられる。
例えば、図9に示すように、CFMは、横軸に沿って左半球に含まれる脳回を示すセル「g1」〜「g20」を並べ、縦軸に沿って右半球に含まれる脳回を示すセル「g1」〜「g20」を並べ、さらに、横軸の脳回と縦軸の脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセルを各軸に沿って2次元に配列したマトリクスである。また、CFMでは、横軸及び縦軸それぞれについて、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルが、脳回を示すセルの外側に配置される。
ここで、図9に示すCFMにおいて、斜線の模様が付けられたセルは、上述したAFMに含まれるセルと同様に、横軸の対応する位置にある脳回と、縦軸の対応する位置にある脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。例えば、CFMを表す情報において、対応する位置にある脳回の間を接続している神経線維束を包含する白質領域のセルには「1」が付与され、対応する位置にある脳回の間を接続していない神経線維束を包含する白質領域のセルには「0」が付与される。
なお、図7及び8に示したAFMでは、横軸及び縦軸それぞれに割り当てられた同一の脳回に対応するセルは接続関係を示さない無効なセルとして扱われることとした。これに対し、図9に示すCFMでは、縦軸と横軸とが左右の異なる半球に対応するので、AFMで無効となったセルと同じ位置にあるセルについても、左右それぞれの半球に含まれる同じ種類の脳回の接続関係を示すことになる。
例えば、図9に示すセル41は、横軸に配置されたセル「g4」が示す左半球の脳回と、縦軸に配置されたセル「g4」が示す右半球の脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。言い換えると、セル41は、横軸に配置されたセル「g4」が示す左半球の脳回と、縦軸に配置されたセル「g4」が示す右半球の脳回とが接続関係を有することを示している。同様に、図9に示すセル42は、横軸に配置されたセル「g4」が示す左半球の脳回と、縦軸に配置されたセル「g11」が示す右半球の脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。言い換えると、セル42は、横軸に配置されたセル「g4」が示す左半球の脳回と、縦軸に配置されたセル「g11」が示す右半球の脳回とが接続関係を有することを示している。すなわち、図9に示す例では、横軸に配置されたセル「g4」が示す左半球の脳回は、縦軸に配置されたセル「g4」が示す右半球の脳回、及び、セル「g11」が示す右半球の脳回の両方に接続している。
このようなCFMによれば、AFMと同様に、例えば、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のいずれかを探索開始位置として探索を行うことで、探索開始位置としたセルが示す脳回と接続関係を有する白質領域及び脳回を検出することができる。すなわち、CFMによれば、左右の半球のうちの一方の半球に含まれる脳回のセルを探索開始位置として探索を行うことで、他方の半球に含まれる脳回の中で接続関係にある脳回と、それらの脳回を結ぶ神経線維束を包含する白質領域とを検出することができる。
図10は、第1の実施形態に係るPFMの一例を示す図である。前述したように、投射線維は、皮質領域と白質領域との間を結ぶ線維である。そのため、PFMは、右半球に関するものと、左半球に関するものとに分けられる。図10の上段は、右半球に関するPFMの一例を示しており、図10の下段は、左半球に関するPFMの一例を示している。なお、各PFMはそれぞれ同様の構造を有するので、ここでは、左半球に関するPFMを例に挙げて説明する。
例えば、図10に示すように、PFMは、横軸に沿って皮質領域の最小単位である脳回を示すセル「g1」〜「g20」を並べ、さらに、横軸の脳回と器官系との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセルを横軸に沿って配列したマトリクスである。なお、ここでいう器官系とは、例えば、運動器や感覚器系等である。すなわち、PFMは、各脳回と結ばれている各器官系のリストに相当する。多くの臨床症状はこれら各器官の何らかの障害と言えることから、このPFMが臨床症状を直接反映するものと言える。また、PFMでは、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルが、脳回を示すセルの下側に配置される。
また、前述したように、投射線維は、皮質領域から白質領域へ向かう遠心性の投射線維と、白質領域から皮質領域へ向かう求心性の投射線維とに分けられる。そのため、横軸の脳回と器官系との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセルには、その神経線維束が遠心性であるか求心性であるかを示す情報も付与される。
また、前述したように、投射線維は、脳機能局在領域と、感覚器(入力)又は運動器(出力)とを連結する神経線維である。そのため、横軸の脳回と器官系との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセルには、その神経線維束が接続される器官系の種類を示す情報も付与される。
ここで、図10に示すPFMにおいて、斜線の模様が付けられたセルは、横軸の対応する位置にある脳回と器官系との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。例えば、PFMを表す情報において、対応する位置にある脳回と器官系との間を接続している神経線維束を包含する白質領域のセルには、その神経線維束が遠心性の場合は「+1」が付与され、求心性の場合は「−1」が付与される。また、例えば、PFMを表す情報において、対応する位置にある脳回と器官系の間を接続していない神経線維束を包含する白質領域のセルには「0」が付与される。さらに、対応する位置にある脳回と器官系との間を接続している白質領域のセルには、器官系の種類を示すラベルが付与される。
例えば、図10に示すセル51は、横軸に配置されたセル「g4」が示す脳回と器官系との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示している。言い換えると、セル51は、横軸に配置されたセル「g4」が示す脳回と器官系とが接続関係を有することを示している。
例えば、図10に示す「sensor1」〜「sensor8」は、それぞれ感覚器の種類を示しており、「muscle1」〜「muscle6」は、それぞれ運動器の種類を示している。ここでいう感覚器の種類とは、例えば、目、耳、鼻、舌、皮膚等である。また、運動器の種類とは、手の筋肉、足の筋肉、顔の表情筋等である。例えば、図10に示す例では、右半球に関するPFMにおいて、セル「g6」に対応する脳回が、「sensor1」によって示される感覚器と接続され、「g8」に対応する脳回が、「muscle1」によって示される運動器と接続されていることを示している。また、図10に示す例では、左半球に関するPFMにおいて、セル「g4」に対応する脳回が、「sensor5」によって示される感覚器と接続され、「g8」に対応する脳回が、「muscle4」によって示される運動器と接続されていることを示している。
このようなPFMによれば、例えば、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のいずれかを探索開始位置として探索を行うことで、探索開始位置としたセルが示す脳回と接続関係を有する白質領域及び器官系を検出することができる。すなわち、PFMによれば、複数の脳回のセルのうちの1つを探索開始位置として探索を行うことで、その脳回と接続関係にある器官系と、それらを結ぶ神経線維束を包含する白質領域とを検出することができる。さらに、検出された白質領域に包含されている神経線維束が遠心性であるか求心性であるかも検出することができる。
さらに、本実施形態では、記憶回路11は、複数の脳機能局在領域それぞれに診断目的、疾患に応じた注目度を設定したマトリクスを表す情報を記憶する。なお、以下では、このようなマトリクスをDSAM(Disease Specific Attention Matrix)と呼ぶ。
具体的には、記憶回路11は、診断目的ごとに、DSAMを表す情報を記憶する。ここでいう診断目的には、確定診断及びスクリーニングが含まれる。すなわち、記憶回路11は、確定診断用のDSAMを表す情報と、スクリーニング用のDSAMを表す情報とを記憶する。
ここで、記憶回路11は、確定診断用のDSAMについては、疾患ごとに、DSAMを表す情報を記憶する。ここでいう疾患は、例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病等である。また、記憶回路11は、スクリーニング用のDSAMについては、疾患に限定しないDSAMを表す情報を記憶する。すなわち、スクリーニング用には、疾患を特定しないことが求められることから、複数の疾患を統合したDSAMが設定される。このように、記憶回路11は、確定診断用とスクリーニング用とで、異なる内容のDSAMを表す情報を記憶する。
図11は、第1の実施形態に係るDSAMの一例を示す図である。例えば、図11に示すように、DSAMは、横軸に沿って、皮質領域の最小単位である脳回を示すセル「g1」〜「g20」と、神経線維束を示すセル「f1」〜「f8」とを並べ、さらに、横軸の各脳回及び各神経線維束に関する注目度のセルを各脳回及び各神経線維束の上側に配列したマトリクスである。また、DSAMでは、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルが、脳回を示すセルの外側に配置される。
ここで、例えば、注目度には、疾患で好発部位となる脳機能局在領域ごとに好発程度が設定される。具体的には、確定診断用のDSAMでは、疾患ごとに、各疾患で好発部位となる脳機能局在領域について、その好発程度が注目度として設定される。例えば、注目度には、以下のように、過去の文献情報等から得られるP値を反映したランク値「0」〜「4」が設定される。この例では、ランク値が大きいほど、好発程度が高いことを意味している。すなわち、ランク値は、好発部位の異常候補領域としての尤度を表す。
ランク値「0」:注目しない
ランク値「1」:0.050≦P値<0.100:参考程度
ランク値「2」:0.010≦P値<0.050
ランク値「3」:0.001≦P値<0.010
ランク値「4」:0.000≦P値<0.001
また、例えば、注目度として、−log(P)がそのまま用いられてもよい。例えば、P=10-4であれば、注目度として、−log(10-4)=4が設定される。
一方、スクリーニング用のDSAMでは、全ての脳回及び神経線維束のセルに同じ注目度が設定される。例えば、スクリーニング用のDSAMでは、全ての脳回及び神経線維束のセルに注目度としてランク値「3」が設定される。なお、スクリーニング用のDSAMにおいて、脳回及び神経線維束のセルごとに注目度に重み付けがされてもよい。
なお、DSAMの構成は、図11に示したものに限られない。例えば、DSAMは、AFMと同様に構成されてもよい。
図12は、第1の実施形態に係るDSAMの他の例を示す図である。なお、図12に示す例は、左半球に関するDSAMを示しており、縦軸に配置されたセルについては図示を省略している。例えば、図12に示すように、DSAMは、AFMと同様に構成されてもよい。この場合には、例えば、図12に示すように、横軸の対応する位置にある脳回と、縦軸の対応する位置にある脳回との間を接続する神経線維束を包含する白質領域を示すセル(斜線の模様が付されたセル)に、神経線維束を表す「f1」〜「f8」と、各神経線維束に関する注目度とが設定される。
以上、記憶回路11によって記憶されるAFM、CFM、PFM及びDSAMについて説明した。ここで、各マトリクスに設定される内容は、例えば、予め既知の文献や実験結果等に基づいて設定される。そして、各マトリクスに設定される内容は、蓄積された被検体の画像に基づいて、定期的又は任意のタイミングで、脳科学分野における研究や臨床例解析の進展による情報を取り入れて更新される。これにより、精度を向上させることができる。
なお、AFM、CFM、PFM及びDSAMにおいて、横軸及び縦軸に並べられる脳回の数は、図7〜12に示したものに限られず、脳機能局在領域の区分けの定義に応じて適宜に変更されてもよい。
また、AFM、CFM及びPFM及びDSAMに設定される値は、必ずしも上述したものに限られない。例えば、AFM、CFM及びPFMにおいて、白質領域のセルに付与される値は、「0」〜「1」の間で段階的に設定されてもよい。その場合には、セルに設定される値は、例えば、画像の解析結果として得られる解析値に応じて決められる。
また、例えば、DSAMに設定される注目度は、P値以外の基準値に基づいて設定されてもよい。すなわち、DSAMに設定される注目度は、好発部位の異常候補領域としての尤度を表す他の統計値に基づいて設定されてもよい。
そして、本実施形態では、処理回路15が、被検体のMR画像を脳機能局在領域に分割し、その領域ごとの画像を分析し、その値とDSAMとを参照し、注目すべき領域の優先度を決め、AFM、CFM、及びPFMから関連する皮質及び白質を特定することで、画像分析と診断判定を進める。
図1の説明に戻って、本実施形態では、処理回路15が、設定機能15aと、解析機能15bと、特定機能15cと、探索機能15dと、表示制御機能15eとを有する。なお、表示制御機能15eは、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。
設定機能15aは、操作者から診断目的及び診断対象の疾患を受け付ける。具体的には、設定機能15aは、入力回路9を介して、診断目的及び診断対象の疾患を指定する操作を操作者から受け付ける。このとき、設定機能15aは、診断目的として、確定診断及びスクリーニングのいずれか一方を指定する操作を受け付ける。また、設定機能15aは、診断目的が確定診断であった場合には、診断対象の疾患を指定する操作をさらに受け付ける。
そして、操作者によって診断目的及び疾患が指定されると、設定機能15aは、予め診断目的及び疾患に応じて決められた解析対象の画像を収集するための撮像条件を設定する。また、設定機能15aは、設定した撮像条件に基づいて、解析対象の画像を収集するためのシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路13に送信する。これにより、処理回路13の実行機能13aによって、解析対象の画像を生成するためのMR信号データが収集される。また、処理回路14の画像生成機能14aによって、収集されたMR信号データに基づいて解析対象の画像が生成される。
なお、ここでいう解析対象の画像としては、例えば、T1強調(T1 Weighted)画像、T2強調(T2 Weighted)画像、T2*強調画像、FLAIR(Fluid Attenuation Inversion Recovery)画像などの形態画像や、磁化率強調画像、定量的磁化率マップ(Quantitative Susceptibility Map:QSM)、拡散強調画像、DTI(Diffusion Tensor Imaging)画像、rs−fMRI(resting state functional MRI)画像、又はDTT(Diffusion Tensor Tractography)画像などの機能画像が用いられる。
例えば、記憶回路11が、あらかじめ、診断目的及び診断対象の種類ごとに、解析に用いられる画像を収集するための1つ又は複数のプロトコルを記憶しておく。ここでいうプロトコルとは、収集対象の画像のもとになるデータの収集に用いられるパルスシーケンスの種類や、当該データの収集に用いられる各種撮像パラメータの値等を定義した情報である。そして、設定機能15aが、操作者によって診断目的及び疾患が指定された場合に、記憶回路11を参照して、指定された診断目的及び疾患に対応する1つ又は複数のプロトコルを取得し、取得したプロトコルに基づいて、解析に用いられる画像を収集するためのシーケンス実行データを生成する。これにより、診断目的及び疾患に応じて、解析に用いられる画像を収集するための撮像条件を自動的に設定することができる。
なお、ここでいう解析に用いられる画像には、上述した解析対象の画像の他に、後述する解析機能15bによって、解析対象の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割する処理が行われる際に用いられる形態及び機能画像が含まれる。例えば、ここでいう形態画像には、脳全体のMP−RAGE(Magnetization Prepared Rapid Gradient Echo)画像等が含まれ、機能画像には、脳全体のQBI(Q-Ball Imaging)画像等が含まれる。また、解析に用いられる画像には、後述する表示制御機能15eによって、参照画像として表示される画像が含まれる。例えば、ここでいう参照画像として表示される画像には、脳全体のT2強調(T2 Weighted)画像等が含まれる。
解析機能15bは、被検体の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割し、分割された領域ごとにテクスチャー解析を行う。例えば、解析機能15bは、画素の輝度値や、DTI画像におけるFA(Fractional Anisotropy)値、平均拡散能(Mean Diffusivity:MD)値、ADC(Apparent Diffusion Coefficient)値、定量的磁化率マップにおける磁化率等のパラメータについて、テクスチャー解析を行う。ここでいうテクスチャー解析は、例えば、first orderとして輝度値の平均、分散等の基本統計解析、second orderとして不均一性や特殊なパターンの度合いを解析するものであり、MP−RAGE画像、T2強調画像、FA画像、QSM等が解析対象となる。なお、QSMによるMBs検索では、領域内をボクセルベースで自動検出するための解析が行われる。また、解析機能15bは、分割された領域ごとに所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析する。
このとき、解析機能15bは、脳機能局在領域ごとに、複数種類のパラメータについてテクスチャー解析を行ってもよい。また、解析機能15bは、脳機能局在領域ごとに、体積計算を行ってもよい。また、解析機能15bは、脳機能局在領域ごとに、複数種類のパラメータについて正常脳との違いを解析してもよい。
具体的には、解析機能15bは、処理回路14の画像生成機能14aによって解析対象の画像が生成されると、生成された画像を解析する。
まず、解析機能15bは、解析対象の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割する。このとき、例えば、解析機能15bは、解析画像の一つとして撮像された形態画像を用いて、脳機能局在領域のセグメンテーションを行う。例えば、解析機能15bは、標準的な脳を複数の脳機能局在領域に区分けしたモデルを形態画像に合わせて変形させて位置合わせすることで、形態画像に描出されている脳の領域を複数の領域にセグメンテーションする。ここでいう形態画像としては、例えば、T1強調画像が用いられる。そして、解析機能15bは、形態画像上でセグメンテーションされた各脳機能局在領域を他の解析対象の画像にも適用することで、各画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割する。
そして、解析機能15bは、皮質領域の最小単位である脳回ごとにテクスチャー解析を行い、その解析結果に基づいて、脳回ごとに注目度を設定する。このとき、例えば、注目度には、DSAMと同様に、P値を反映したランク値「0」〜「4」が設定される。
さらに、解析機能15bは、皮質領域の最小単位である脳回ごとに、所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析し、その解析結果に基づいて、脳回ごとに注目度を設定する。このとき、例えば、注目度には、DSAMと同様に、P値を反映したランク値「0」〜「4」が設定される。
特定機能15cは、被検体の画像に関する解析結果と、脳内の複数の領域それぞれに設定された注目度とに基づいて、脳内の複数の領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスの探索開始位置を特定する。
例えば、特定機能15cは、被検体の画像に関する解析結果と、複数の脳機能局在領域それぞれに設定された注目度とに基づいて、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスの探索開始位置を特定する。具体的には、特定機能15cは、複数の脳機能局在領域それぞれに診断目的、疾患に応じた注目度を設定したDSAMを用いて、AFM、CFM及びPFMの探索開始位置を特定する。
ここで、特定機能15cは、設定機能15aによって受け付けられた診断目的が確定診断であった場合には、記憶回路11によって記憶された確定診断用のDSAMを表す情報のうち、操作者によって指定された疾患に対応するDSAMを表す情報を用いる。一方、特定機能15cは、設定機能15aによって受け付けられた診断目的がスクリーニングであった場合には、記憶回路11によって記憶されたスクリーニング用のDSAMを表す情報を用いる。
また、特定機能15cは、解析機能15bによって行われたテクスチャー解析の解析結果を用いて、探索開始位置を特定する。また、特定機能15cは、解析機能15bによって行われた、所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析した解析結果をさらに用いて、探索開始位置を特定する。ここで、特定機能15cによって探索開始位置として特定されるセルは、病変候補となる脳回又は神経線維束を示すことになる。
図13は、第1の実施形態に係る特定機能15cによる探索開始位置の特定の一例を示す図である。例えば、図13に示すように、特定機能15cは、DSAM60と、テクスチャー解析の解析結果71と、正常脳との違いによる解析結果72とに基づいて、複数のセル「g1」〜「g20」及び「f1」〜「f8」の中から探索開始位置とする脳回のセル及び神経線維束のセルを特定する。なお、図13では、DSAM60について、脳回のセルと注目度のセルのみを示している。また、図13では、複数のセル「g1」〜「g20」が示す複数の脳回73のうち、セル「g3」が示す脳回が探索開始位置として選択された場合の例を示している。
例えば、特定機能15cは、DSAM60、解析結果71及び解析結果72のうち、少なくとも一つにおいて注目度が「2」以上であるセルを探索開始位置として特定する。例えば、図13に示す例では、セル「g1」〜「g5」、「g9」〜「g11」、「g13」、「g15」、「g16」、「g18」及び「g19」と、セル「f1」〜「f3」とが探索開始位置として特定される。ここで、スクリーニング用のDSAMが用いられる場合に、全ての脳回及び神経線維束のセルに同じ注目度が設定されていたときには、全ての脳回及び神経線維束のセルが探索開始位置として特定されることになる。
なお、ここでは、特定機能15cが、注目度が「2」以上である脳回及び神経線維束のセルを探索開始位置として特定することとしたが、注目度の閾値はこれに限られない。例えば、特定機能15cが、注目度が「0」より大きい脳回及び神経線維束のセルを探索開始位置として特定してもよい。ここで、例えば、特定機能15cは、操作者からの指示に応じて、注目度の閾値を変えてもよい。
また、ここでは、特定機能15cが、DSAM60、テクスチャー解析の解析結果71、及び、正常脳との違いによる解析結果72のうち、少なくとも一つにおいて注目度が閾値以上であるセルを探索開始位置として特定する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
例えば、特定機能15cは、脳回ごとに、DSAM60、解析結果71及び解析結果72に設定されている注目度の統計値を算出し、算出した統計値が所定の閾値以上であるセルを探索開始位置として特定してもよい。例えば、特定機能15cは、統計値として、平均値、加算値、乗算値等を算出する。また、例えば、特定機能15cは、DSAM60、解析結果71及び解析結果72それぞれの注目度に所定の割合で重みを付けた重み付け加算を行うことで、重み付けされた注目度の加算値を統計値として算出してもよい。
また、例えば、特定機能15cは、DSAM60、解析結果71及び解析結果72の全てを用いて探索開始位置を特定するのではなく、いずれか1つ又は2つを用いて、探索開始位置を特定してもよい。この場合には、例えば、特定機能15cは、入力回路9を介して、DSAM60、テクスチャー解析の解析結果71、及び、正常脳との違いによる解析結果72のうちのいずれか1つ又は2つを選択する操作を受け付け、操作者によって選択されたものの注目度に基づいて、探索開始位置を特定する。
また、例えば、特定機能15cは、DSAM60、解析結果71及び解析結果72を用いて探索開始位置を特定するのではなく、操作者によって指定された脳回に対応するセルを探索開始位置として特定してもよい。
また、例えば、特定機能15cは、テクスチャー解析及び体積計算によって得られた複数種類のパラメータに関する解析結果と、複数種類のパラメータに関する正常脳との違いによる解析結果とに基づいて、探索開始位置を特定してもよい。
図14は、第1の実施形態に係る特定機能15cによる探索開始位置の特定の他の例を示す図である。例えば、図14に示すように、特定機能15cは、DSAM160と、テクスチャー解析及び体積計算の解析結果171と、正常脳との違いによる解析結果172とに基づいて、複数のセル「g1」〜「g14」の中から探索開始位置とする脳回のセル及び神経線維束のセルを特定する。なお、図14では、DSAM160が脳回を表すセル「g1」〜「g14」を含む場合の例を示している。また、図14では、テクスチャー解析及び体積計算の解析結果171及び正常脳との違いによる解析結果172が、それぞれ複数種類のパラメータ(feature 1〜feature n)に関する解析結果を含む場合の例を示している。
例えば、特定機能15cは、解析結果171に含まれる複数種類のパラメータについて、脳回ごとに注目度の平均値を算出する。そして、特定機能15cは、算出した注目度の平均値が所定の閾値を超えている脳回のセルを特定する。例えば、図13に示す例において、セル「g4」の脳回に関する注目度の平均値が閾値を超えていた場合には、特定機能15cは、セル「g4」を探索開始位置の候補として特定する。
その後、特定機能15cは、DSAM160を参照して、探索開始位置の候補として特定したセルについて、解析結果171から算出された注目度の平均値が、DSAM160に設定されている注目度以上であるか否かを判別する。ここで、解析結果171から算出された注目度の平均値がDSAM160に設定されている注目度以上であった場合には、特定機能15cは、当該セルを探索開始位置として特定する。一方、解析結果171から算出された注目度の平均値がDSAM160に設定されている注目度より低かった場合には、特定機能15cは、当該セルを探索開始位置の候補から除外する。例えば、図13に示す例において、セル「g4」について、解析結果171から算出された注目度の平均値がDSAM160に設定されている注目度「4」以上であった場合には、特定機能15cは、セル「g4」を探索開始位置として特定する。
なお、例えば、特定機能15cは、DSAM160に加えて、正常脳との違いによる解析結果172をさらに用いて、探索開始位置を特定してもよい。この場合には、例えば、特定機能15cは、解析結果172に含まれる複数種類のパラメータについて、脳回ごとに注目度の平均値を算出する。そして、特定機能15cは、探索開始位置の候補として特定したセルについて、解析結果171から算出された注目度の平均値が、DSAM160に設定されている注目度以上であり、かつ、解析結果172から算出された注目度の平均値以上である場合に、当該セルを探索開始位置の候補として特定する。一方、解析結果171から算出された注目度の平均値が、DSAM160に設定されている注目度未満、又は、解析結果172から算出された注目度の平均値未満である場合には、特定機能15cは、当該セルを探索開始位置の候補から除外する。
そして、例えば、図13に示すように、特定機能15cは、DSAM160に含まれる複数のセルを列挙したリスト173を生成する。そして、特定機能15cは、生成したリスト173において、探索開始位置として特定されたセルについてはラベル「1」を設定し、探索開始位置として特定されなかったセルについてはラベル「0」を設定する。
なお、ここで説明した例では、特定機能15cが、複数種類のパラメータについて、脳回ごとに注目度の平均値を算出する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、特定機能15cは、複数種類のパラメータについて、脳回ごとに注目度の加算値を算出してもよいし、乗算値を算出してもよい。また、例えば、特定機能15cは、複数種類のパラメータについて、所定の割合で各パラメータに重みを付けた重み付け加算を行うことで、パラメータごとに重み付けされた注目度の加算値を算出してもよい。なお、これらの場合には、DSAM160も同様の基準で注目度を設定しておく。
図1の説明に戻って、探索機能15dは、特定機能15cによって特定された探索開始位置を用いてマトリクスを探索する。具体的には、探索機能15dは、記憶回路11によって記憶されているAFM、CFM及びPFMを表す情報を参照し、特定機能15cによって探索開始位置として特定された脳回及び神経線維束のセルを用いて各マトリクスを探索する。
図15〜19は、第1の実施形態に係る特定機能15cによるマトリクスの探索の一例を示す図である。なお、ここでは、探索機能15dによって、セル「g3」と、セル「f2」及び「f4」とが探索開始位置として特定された場合の例を説明する。
例えば、図15に示すように、探索機能15dは、AFM30において、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のうち、特定機能15cによって特定されたセル「g3」を探索開始位置として探索を行う。これにより、例えば、図15に示す例では、脳の同じ半球において、セル「g3」が示す脳回と接続関係を有する白質領域及び脳回として、セル33及び34が示す白質領域と、セル「g9」及び「g12」が示す脳回とが得られる。
また、例えば、図16に示すように、探索機能15dは、CFM40において、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のうち、特定機能15cによって特定されたセル「g3」を探索開始位置として探索を行う。これにより、例えば、図16に示す例では、脳の反対側の半球において、セル「g3」が示す脳回と接続関係を有する白質領域及び脳回として、セル43及び44が示す白質領域と、セル「g3」及び「g9」が示す脳回とが得られる。
また、例えば、図17に示すように、探索機能15dは、PFM50において、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のうち、特定機能15cによって特定されたセル「g3」を探索開始位置として探索を行う。これにより、例えば、図17に示す例では、セル「g3」が示す脳回と接続関係を有する白質領域及び器官系として、セル52が示す白質領域及び器官系が得られる。例えば、探索機能15dは、セル「g3」が示す脳回と接続関係を有する器官系として、「sensor2」によって示される感覚器を検出する。このとき、セル52に付与されている情報を参照することで、特定された白質領域に含まれる神経線維束が遠心性であるか求心性であるかも検出される。
また、例えば、図18の左側に示すように、探索機能15dは、AFM30において、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のうち、特定機能15cによって特定されたセル「f2」を探索開始位置として探索を行う。これにより、例えば、図18に示す例では、セル「f2」が示す神経線維束を包含する白質領域を示すセル33が特定される。そして、この結果、脳の同じ半球において、セル「f2」が示す神経線維束によって接続される脳回として、横軸に配置されたセル「g3」が示す脳回と、縦軸に配置されたセル「g9」が示す脳回とが得られる。
同様に、例えば、図18の右側に示すように、探索機能15dは、CFM40において、横軸に沿って並べられたセル「g1」〜「g20」のうち、特定機能15cによって特定されたセル「f4」を探索開始位置として探索を行う。これにより、例えば、図18に示す例では、セル「f4」が示す神経線維束を包含する白質領域を示すセル44が特定される。そして、この結果、セル「f4」が示す神経線維束によって接続される脳回として、横軸に配置されたセル「g3」が示す左半球の脳回と、縦軸に配置されたセル「g9」が示す右半球の脳回とが得られる。
なお、特定機能15cは、各マトリクスの探索結果を用いて、さらにマトリクスを探索してもよい。例えば、図19に示すように、探索機能15dは、図15に示したようにAFM30を探索した結果、セル「g3」が示す脳回と接続関係を有する脳回として、セル「g9」が示す脳回が得られた後に、さらに、探索されたセル「g9」を探索開始位置としてPFM50を探索する。これにより、例えば、図19に示す例では、セル「g9」が示す脳回と接続関係を有する白質領域及び器官系として、セル53が示す白質領域及び器官系が得られる。このとき、セル53に付与されている情報を参照することで、特定された白質領域に含まれる神経線維束が遠心性の神経線維束であるか、求心性の神経線維束であるかも検出される。
なお、ここでは、探索機能15dによって、セル「g3」と、セル「f2」及び「f4」とが探索開始位置として特定された場合の例を説明したが、探索機能15dは、特定機能15cによって特定された全ての脳回及び神経線維束について、各脳回及び各神経線維束を探索開始位置としてAFM、CFM及びPFMの探索を行う。
このような構成によれば、臨床症状のある患者、又は、無症状ではあるが病理学的には何らかの変化が表れている患者候補について、脳回のレベルで、障害のある脳機能局在領域を探索することができる。
例えば、臨床症状に照らして病変候補を提示することを主眼として、臨床症状に直結する感覚器や運動器に連結する投射線維にリンクしている脳機能局在領域を探索する「直接探索」と、病変が生じている脳機能局在領域(Epi-center)と連結している脆弱な(vulnerable)脳機能局在領域を探索する「間接探索」とを行うことができる。
一例を挙げて説明すると、例えば、図19に示すように、特定機能15cによってセル「g3」の脳回が病変候補として特定された場合に、探索機能15dがセル「g3」を探索開始位置としてPFM50を探索することによって、セル「g3」の脳回に接続されている器官系を特定することができる。このように、病変候補として特定された脳回に接続されている器官系を探索することを、「直接探索」と呼ぶ。
この一方で、探索機能15dがAFM30を探索することで、セル「g3」の脳回に、セル「g9」の脳回とセル「g12」の脳回とが接続されていることが分かる。ここで、例えば、探索機能15dがセル「g9」を探索開始位置としてPFM50を探索することによって、セル「g9」の脳回が接続されている器官系を特定することができる。このように、病変候補として特定された脳回に接続されている他の脳回に接続されている器官系を探索することを、「間接探索」と呼ぶ。
なお、近年の研究によれば、ある脳回に異常が発生した場合に、その脳回と接続関係にある他の脳回にも異常が発生することが明らかになりつつある。
これに関し、上記構成によれば、例えば、図19に示す例のように、注目度が低いためにセル「g9」の脳回が病変候補として特定されなかった場合でも、セル「g3」の脳回について間接探索を行うことで、セル「g9」の脳回に接続されている器官系が特定される。したがって、実際の患者において、セル「g3」の脳回から間接探索によって特定された器官系に臨床症状が出ていることが確認されれば、セル「g3」の脳回の影響でセル「g9」の脳回にも異常が発生していると推定することができる。これにより、セル「g9」の脳回の異常が見逃されてしまうことを防ぐことができる。
図1の説明に戻って、表示制御機能15eは、探索機能15dによるマトリクスの探索結果が表示されるように制御する。
例えば、表示制御機能15eは、探索機能15dによるマトリクスの探索結果をディスプレイ10に表示する。
本実施形態では、表示制御機能15eは、マトリクスの探索結果として、脳内の複数の領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスが表示されるように制御する。ここで、表示制御機能15eは、脳内の複数の領域それぞれに設定された注目度に基づいて、マトリクスにおいて第1の軸に沿って並べられた複数の領域が一部の領域に絞り込まれて表示されるように制御する。
例えば、表示制御機能15eは、マトリクスの探索結果として、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスをディスプレイ10に表示する。ここで、表示制御機能15eは、複数の脳機能局在領域それぞれに設定された注目度に基づいて、マトリクスにおいて横軸に沿って並べられた複数の脳機能局在領域を一部の脳機能局在領域に絞り込んで表示する。
具体的には、表示制御機能15eは、一部の脳機能局在領域を示す情報を横軸に沿って並べ、横軸に沿って並べられた一部の脳機能局在領域との間で接続関係を有する脳機能局在領域を示す情報を縦軸に沿って並べたマトリクスをディスプレイ10に表示する。
本実施形態では、表示制御機能15eは、AFM、CFM又はPFMにおいて横軸に沿って並べられた複数の脳回及び神経線維束のセルのうち、特定機能15cによって探索開始位置として特定された脳回及び神経線維束のセルを横軸に沿って並べたマトリクスを表示する。このとき、表示制御機能15eは、探索機能15dによる探索によって得られた白質領域及び脳回のセルを縦軸に沿って並べる。
すなわち、表示制御機能15eは、横軸及び縦軸それぞれに沿って、AFM、CFM又はPFMの内容を絞り込んで表示する。なお、ここでは、AFMを表示する場合の例を説明するが、CFM及びPFMを表示する場合も同様の手順で、内容を絞り込んだマトリクスを表示することが可能である。
図20は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eによるマトリクスの表示の一例を示す図である。なお、図20は、左下にDSAMの一例を示しており、左上にAFMの一例を示している。また、図20は、特定機能15cによってセル「g4」、「g8」〜「g11」及び「g16」〜「g19」がそれぞれ探索開始位置として特定された場合の例を示している。また、図20は、探索機能15dによって、縦軸に沿ったセル「g11」、「g13」、「g14」及び「g16」〜「g20」が探索結果として得られた場合の例を示している。
この場合に、表示制御機能15eは、例えば、図20の右上に示すように、横軸に沿ってセル「g4」、「g8」〜「g11」及び「g16」〜「g19」を並べ、縦軸に沿ってセル「g11」、「g13」、「g14」及び「g16」〜「g20」を並べ、それぞれに対応する白質領域のセルを配置したマトリクス80をディスプレイ10に表示する。
なお、このとき、表示制御機能15eは、横軸及び縦軸に沿って、脳機能局在領域を示す情報と、脳機能局在領域が属する機能的又は解剖学的な分類を示す情報とを階層的に表示する。
図21は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eによるマトリクスの詳細な表示の一例を示す図である。例えば、図21に示すように、表示制御機能15eは、横軸及び縦軸それぞれについて、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルを、脳回を示すセルの外側に表示する。例えば、表示制御機能15eは、脳回のセルに近い側から順に、脳回の小分類を示す「sr1」のセル、脳回の中分類を示す「r1」、「region2」及び「region3」のセル、脳回の大分類を示す「left hemisphere」のセルを表示する。
このとき、表示制御機能15eは、例えば、図21に示す「r1」、「sr1」のように、階層構造を示すセルを略称で表示してもよい。ここで、「r1」は、「region1」の略称の一例であり、「sr1」は、「sub−regioin1」の略称の例である。また、表示制御機能15eは、階層構造を示す情報の表示/非表示を操作者からの指示に応じて切り替えてもよい。
さらに、表示制御機能15eは、ディスプレイ10に表示された脳機能局在領域を選択する操作に応じて、選択された脳機能局在領域の画像をディスプレイ10に表示する。このとき、表示制御機能15eは、脳機能局在領域の画像を拡大してディスプレイ10に表示する。また、表示制御機能15eは、マトリクス80において横軸に沿って並べられた一部の脳機能局在領域の画像と、当該一部の脳機能局在領域との間で接続関係を有する脳機能局在領域の画像とをディスプレイ10に並べて表示する。
このように、内容を絞り込んだマトリクスを表示することによって、注目度が高い脳機能局在領域をより分かりやすくすることができる。例えば、アルツハイマー病の場合には、記憶機能や情動機能を表す神経回路が絞り込まれたAFMを表示することによって、臨床症状と脳機能局在領域とを容易に対応付けることができるようになる。
図22は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eによるマトリクス及び画像の表示の一例を示す図である。例えば、図22に示すように、表示制御機能15eは、絞り込まれたマトリクス80をディスプレイ10に表示する。なお、図22では図示を省略しているが、絞り込まれたマトリクス80には、図21に示したように、脳回の種類を段階的に分類した階層構造を示すセルがさらに付加されて表示される。
ここで、表示制御機能15eは、参照画像として、脳全体の画像を表示する。例えば、表示制御機能15eは、脳全体のMP−RAGE(Magnetization Prepared Rapid Gradient Echo)画像91と、脳全体のQBI(Q-Ball Imaging)画像92と、脳全体のT2強調(T2 Weighted)画像93とを表示する。なお、参照画像として表示される画像は、MP−RAGE画像、QBI画像、T2W画像に限られない。例えば、表示制御機能15eは、操作者によって指定された画像を参照画像として表示してもよい。
そして、表示制御機能15eは、入力回路9を介して、マトリクス80に含まれる脳回のセル又は白質領域のセルを選択する操作を操作者から受け付ける。そして、表示制御機能15eは、マトリクス80において、横軸に配置された脳回のセルが選択された場合には、選択された脳回の画像を拡大して表示する。例えば、図22に示すように、表示制御機能15eは、マトリクス80において、横軸に配置されたセル「g8」が選択された場合には、セル「g8」が示す脳回のMPR画像94を拡大して表示する。
さらに、表示制御機能15eは、選択された脳回の画像を表示するのと同時に、選択されたセルが示す脳回に接続されている白質領域の画像を拡大して表示する。例えば、図22に示すように、表示制御機能15eは、マトリクス80において、横軸に配置されたセル「g8」が選択された場合に、セル「g8」が示す脳回に接続される2つの白質領域について、それぞれに包含される神経線維束のDTT画像95及び96を表示する。
さらに、表示制御機能15eは、選択された脳回の画像を表示するのと同時に、選択された脳回に接続されている脳回の画像を拡大して表示する。例えば、図22に示すように、表示制御機能15eは、マトリクス80において、横軸に配置されたセル「g8」が選択された場合に、セル「g8」が示す脳回に接続される、セル「g13」が示す脳回のMPR画像97と、セル「g14」が示す脳回のMPR画像98とをそれぞれ拡大して表示する。
なお、図22では、表示制御機能15eが、脳全体のMP−RAGE画像91、脳全体のHARDI画像92、脳全体のT2W画像93、MPR画像94、DTT画像95及び96、MPR画像97及び98を並べて表示する場合の例を示したが、画像の表示方法はこれに限られない。例えば、表示制御機能15eは、操作者からの指示に応じて、各画像を切り替えて表示してもよい。
また、表示制御機能15eは、MPR画像94、97及び98については、直交する3断面であるアキシャル断面、サジタル断面及びコロナル断面のうちの予め決められた断面の画像を表示してもよいし、操作者によって指定された断面の画像を表示してもよい。
さらに、表示制御機能15eは、複数の脳機能局在領域を示した画像をディスプレイ10に表示し、当該画像上に表示されている脳機能局在領域の中から特定の脳機能局在領域を選択する操作に応じて、マトリクス80に配列されている複数の脳機能局在領域のうち、選択された脳機能局在領域を強調表示する。例えば、表示制御機能15eは、選択された脳回の画像を表示するのと同時に、選択された脳回に接続されている脳回の領域を示す3次元画像99を表示する。
図23は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eによって表示される3次元画像の一例を示す図である。例えば、図23に示すように、表示制御機能15eは、ボリュームレンダリング等により生成された脳の3次元画像99を表示する。そして、表示制御機能15eは、3次元画像99上に、選択された脳回「g8」に接続される脳回「g13」を示す領域99aと、脳回「g14」を示す領域99bとを表示する。また、表示制御機能15eは、3次元画像99上に、選択された脳回「g8」に接続される白質領域に包含される神経線維束を示すDTT画像99cを表示する。
ここで、表示制御機能15eは、入力回路9を介して、3次元画像99上に表示されている脳回の領域の中から特定の領域を選択する操作を操作者から受け付ける。そして、表示制御機能15eは、3次元画像99上で脳回の領域が選択された場合に、マトリクス80において、選択された領域に対応する脳回のセルを強調表示する。
また、表示制御機能15eは、入力回路9を介して、3次元画像99上に表示されている神経線維束の中から特定の神経線維束を選択する操作を操作者から受け付ける。そして、表示制御機能15eは、3次元画像99上で神経線維束が選択された場合に、マトリクス80において、選択された神経線維束に対応する白質領域のセルを強調表示する。
以上、処理回路15が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路11に記憶される。処理回路15は、各プログラムを記憶回路11から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、図1に示した各処理機能を有することとなる。
なお、図1では、単一の処理回路15によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路15は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路15が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
図24は、第1の実施形態に係るMRI装置100によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。例えば、図24に示すように、本実施形態に係るMRI装置100では、まず、設定機能15aが、操作者から診断目的及び診断対象の疾患を受け付ける(ステップS101)。また、設定機能15aは、予め診断目的及び疾患に応じて決められた解析対象の画像を収集するための撮像条件を設定する(ステップS102)。
その後、実行機能13a及び画像生成機能14aが、撮像を実行する(ステップS103)。具体的には、実行機能13aが、設定機能15aによって生成されるシーケンス実行データに基づいて、解析対象の画像を生成するためのMR信号データを収集する。また、画像生成機能14aが、収集されたMR信号データに基づいて、解析対象の画像を生成する。
続いて、解析機能15bが、画像生成機能14aによって生成された解析対象の画像をディスプレイ10に表示する(ステップS104)。これにより、生成された画像が解析対象として問題がないかを操作者に確認させることができる。
ここで、解析機能15bは、入力回路9を介して、解析対象の画像を承認しない旨の入力を操作者から受け付けた場合には(ステップS105,No)、撮像条件を再設定するよう設定機能15aを制御する。このとき、例えば、設定機能15aは、操作者から撮像条件を再設定する操作を受け付け、再設定された撮像条件に基づいて、実行機能13a及び画像生成機能14aに撮像を再実行させる。そして、解析機能15bは、撮像された画像を解析対象の画像としてディスプレイ10に再表示する。
そして、解析機能15bは、入力回路9を介して、解析対象の画像を承認する旨の入力を操作者から受け付けた場合には(ステップS105,Yes)、解析対象の画像の画像解析を行う。まず、解析機能15bは、解析対象の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割する(ステップS106)。その後、解析機能15bは、分割された領域ごとに、テクスチャー解析を行い、さらに、所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析する(ステップS107)。
続いて、特定機能15cが、マトリクスの探索開始位置を特定する(ステップS108)。具体的には、特定機能15cは、DSAMを用いて、AFM、CFM及びPFMの探索開始位置を特定する。このとき、特定機能15cは、操作者から受け付けられた診断目的が確定診断であった場合には、確定診断用のDSAMを用いて探索開始位置を特定し、操作者から受け付けられた診断目的がスクリーニングであった場合には、スクリーニング用のDSAMを用いて探索開始位置を特定する。
続いて、探索機能15dが、特定された探索開始位置を用いてマトリクスを探索する(ステップS109)。具体的には、探索機能15dは、特定機能15cによって特定された探索開始位置を用いて、AFM、CFM及びPFMを探索する。
続いて、表示制御機能15eが、脳機能局在領域が絞り込まれたマトリクスを表示する(ステップS110)。そして、表示制御機能15eは、操作者によってマトリクスのセルが選択された場合に(ステップS111,Yes)、選択されたセルに対応する画像をディスプレイ10に表示する(ステップS112)。
このように、本実施形態では、画像解析の結果を起点として、DSAMから異常候補領域の尤度を特定したうえで、その異常候補領域に関連する異常候補領域としての神経線維束及び脳回が探索され、探索結果が表示される。
なお、上述した各ステップのうち、ステップS101及びS102は、例えば、処理回路15が、設定機能15aに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS103は、例えば、処理回路13が、実行機能13aに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行し、処理回路14が、画像生成機能14aに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。
また、ステップS104〜S107は、例えば、処理回路15が、解析機能15bに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS108は、例えば、処理回路15が、特定機能15cに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS109は、例えば、処理回路15が、探索機能15dに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS110〜S112は、例えば、処理回路15が、表示制御機能15eに対応する所定のプログラムを記憶回路11から呼び出して実行することにより実現される。
上述したように、第1の実施形態によれば、脳機能局在領域間及び器官系との接続経路である神経線維束を機能別に分けることで、診断すべき障害領域として皮質領域と白質領域を分けたマトリクス(AFM、CFM、PFM)が作成される。さらに、脳疾患単位でその疾患における病変の好発部位とその好発程度を表す値を皮質領域と白質領域のそれぞれの脳機能局在領域に設定したマトリクス(DSAM)が作成される。ここで、DSAMは、確定診断用とスクリーニング用とで異なる内容のものが作成される。
そして、診断目的に応じてマトリクスが設定されたうえで、被検体の画像に含まれる脳の領域が複数の脳機能局在領域に分割され、領域ごとの画像が解析される。また、解析により得られる解析値とDSAMとが参照され、注目すべき領域の優先度が決められる。また、AFM、CFM、PFMから関連する脳回及び白質領域が特定されて、画像分析及び診断判定が進められる。また、被検体を撮像した画像が蓄積され、正常脳組織との対比から逐次DSAMの好発部位に関わる値が更新され、その精度が向上する。
これにより、一般の脳神経放射線科又は内科医にとって分かりやすく、診断目的に応じた脳機能局在領域とその領域間の接続に関する情報を用いた枠組みを提供することができる。この結果、一般の脳神経放射線科又は内科医の診断能を高めることができ、脳機能局在領域の単位で異常部位を効率よく検出することができるようになる。
また、第1の実施形態では、機能別に分けられた神経線維束において診断すべき障害領域として皮質領域と白質領域を分けたマトリクスが提示され、その際に、DSAMにおいて注目度が高い領域のみが選択されて表示される。
これにより、一般の脳神経放射線科又は内科医にとって分かりやすく、診断目的に応じた脳機能局在領域とその領域間の接続に関する情報を用いた枠組みに関する仕組みにおいて、その診断情報を分かりやすく提示することができる。この結果、一般の脳神経放射線科又は内科医の診断能を高めることができ、脳機能局在領域の単位で異常部位を効率よく探索及び読影することができるようになる。
ここで、脳機能局在領域の単位で画像解析を行う場合には、脳機能局在領域を細分化すると、画像解析に時間を要することも考えられる。これに対し、第1の実施形態に係るMRI装置100は、予め用意された脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスを用いて解析結果を表示するので、解析結果を実時間で提示することができる。
なお、ここでいう実時間とは、実質的な意味での実時間である。すなわち、ここでいう実時間とは、画像を撮像してから解析結果を提示するまでの時間が非常に短いこと、例えば臨床の場で連続して患者の撮像を行う場合、被検者が撮像後に検査室内に居る時間を意味しており、必ずしも、その時間がゼロであることを意味するものではない。
以上のことから第1の実施形態によれば、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができる。
なお、上述した第1の実施形態において、絞り込まれたマトリクス80を表示する方法は適宜に変更することも可能である。例えば、表示制御機能15eは、複数の脳機能局在領域それぞれに関する画像の解析値をマトリクス80上にさらに表示してもよい。
図25〜27は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eに係るマトリクス80の表示の他の例を示す図である。例えば、図25に示すように、表示制御機能15eは、解析機能15bによって行われた画像分析によって得られる解析値に対して、解析値の大きさに応じて異なる色を割り当てる。そして、表示制御機能15eは、マトリクス80を表示する際に、マトリクスの要素である白質領域のセル及びマトリクスの軸要素である脳回のセルそれぞれを解析値に応じて色付けして表示する。
なお、この場合に、表示制御機能15eは、解析対象の画像の種類に応じて、マトリクス80上に表示される解析値を切り替える。例えば、表示制御機能15eは、入力回路9を介して、解析値の種類を選択する操作を操作者から受け付ける。そして、表示制御機能15eは、操作者によって選択された解析値に対応する画像の解析結果に基づいて、マトリクス80の表示を切り替える。
また、ここでは、白質領域のセル及び脳回のセルを解析値に応じて色付けして表示することとしたが、解析値を表示する方法はこれに限られない。例えば、各セルを解析値に応じて濃度を変えたグレースケールで表示してもよいし、各セルを解析値に応じて異なる模様で表示してもよい。
また、例えば、表示制御機能15eは、PFMから得られる遠心性又は求心性の情報をマトリクス80上にさらに表示してもよい。例えば、図26に示すように、表示制御機能15eは、マトリクス80の軸要素である脳回のセルの近傍に、遠心性又は求心性の種別を表示するためのセル81をさらに表示する。そして、表示制御機能15eは、遠心性の神経線維束に接続されている脳回の近傍にあるセル81と、求心性の神経線維束に接続されている脳回の近傍にあるセル81とを異なる色で表示する。または、例えば、図27に示すように、表示制御機能15eは、遠心性の神経線維束に接続されている脳回のセルの枠と、求心性の神経線維束に接続されている脳回のセルの枠とを異なる色で表示してもよい。
また、上述した第1の実施形態において、PFMから得られる器官系を示す情報をさらに表示させてもよい。例えば、表示制御機能15eは、絞り込まれたマトリクス80とともに、探索機能15dによってPFMから検出された器官系を示す情報をディスプレイ10に表示する。
図28は、第1の実施形態に係る表示制御機能15eによるマトリクス及び画像の表示の他の例を示す図である。例えば、図28に示すように、表示制御機能15eは、図22に示したマトリクス80及び各画像に加えて、探索機能15dによってPFMから検出された器官系を示す情報191及び192をディスプレイ10に表示する。なお、器官系を示す情報191及び192は、いずれか一方のみが表示されてもよい。
例えば、表示制御機能15eは、器官系を示す情報191として、「sensor2」、「muscle5」のように、感覚器の種類や運動器の種類を示すテキスト情報を表示する。また、例えば、表示制御機能15eは、器官系を示す情報192として、被検体の体型を表すモデル画像を表示し、当該モデル画像上で、探索機能15dによって検出された器官系に該当する部分を識別可能に表示する。例えば、表示制御機能15eは、当該部分の位置を示すグラフィック193をモデル画像上に表示したり、当該部分に対応するモデル画像上の部分194の表示態様(例えば、色や模様等)を他の部分の表示態様と異ならせたりする。
(第2の実施形態)
なお、上述した第1の実施形態では、表示制御機能15eが、AFM、CFM及びPFMの探索結果として、脳機能局在領域が絞り込まれたマトリクスを表示する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、表示制御機能15eが、予め所定の医療情報に応じて用意されたDSAMに基づいて、脳機能局在領域が絞り込まれたマトリクスを表示してもよい。以下では、このような場合の例を第2の実施形態として説明する。
図29は、第2の実施形態に係るMRI装置150の構成例を示す図である。例えば、図29に示すように、MRI装置150は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、寝台8、入力回路9、ディスプレイ10、記憶回路211、処理回路12〜14及び215を備える。
なお、本実施形態では、MRI装置150の構成について、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成と異なる点を中心に説明することとし、図1に示した構成要素と同様の役割を果たす構成要素については同じ符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置150は、脳機能局在領域単位で行われる脳の画像解析に用いられる。
本実施形態では、記憶回路211が、第1の実施形態で説明した記憶回路11と同様に、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスを表す情報を記憶する。具体的には、記憶回路211は、第1の実施形態で説明した記憶回路11と同様に、AFM、CFM、PFM及びDSAMを表す情報を記憶する。
なお、本実施形態では、記憶回路211は、複数の脳機能局在領域それぞれに所定の医療情報に応じた注目度を設定したDSAMを表す情報を記憶する。なお、ここでいう所定の医療情報とは、例えば、神経症状や診断目的、疾患等である。また、ここでいう神経症状とは、例えば、情動や記憶等のような脳の特定の機能のことである。
また、例えば、医療情報は、脳のフィードバック回路であってもよい。例えば、近年の研究では、アルツハイマー病やパーキンソン病のような疾患について、障害が発生し得る脳機能局在領域の相関関係が検討されている。このような相関関係は、脳のフィードバック回路と呼ばれる。そこで、フィードバック回路に応じた注目度を設定したDSAMが用いられてもよい。
すなわち、本実施形態に係るMRI装置150は、診断目的で用いられるだけでなく、研究目的等でも用いられる。
また、本実施形態では、処理回路215が、設定機能215aと、解析機能215bと、表示制御機能215eとを有する。なお、表示制御機能215eは、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。
設定機能215aは、操作者から医療情報を受け付ける。具体的には、設定機能215aは、入力回路9を介して、医療情報を指定する操作を操作者から受け付ける。例えば、設定機能215aは、医療情報として、神経症状や診断目的、疾患、フィードバック回路の種類等を受け付ける。
そして、操作者によって医療情報が指定されると、設定機能215aは、予め医療情報に応じて決められた解析対象の画像を収集するための撮像条件を設定する。また、設定機能215aは、設定した撮像条件に基づいて、解析対象の画像を収集するためのシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路13に送信する。これにより、処理回路13の実行機能13aによって、解析対象の画像を生成するためのMR信号データが収集される。また、処理回路14の画像生成機能14aによって、収集されたMR信号データに基づいて解析対象の画像が生成される。
解析機能215bは、被検体の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割し、分割された領域ごとにテクスチャー解析を行う。また、解析機能215bは、分割された領域ごとに所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析する。なお、解析機能215bによって行われる処理は、第1の実施形態で説明した解析機能15bによって行われる処理と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
表示制御機能215eは、複数の脳機能局在領域それぞれに設定された注目度に基づいて、マトリクスにおいて横軸に沿って並べられた複数の脳機能局在領域を一部の脳機能局在領域に絞り込んで表示する。具体的には、表示制御機能215eは、一部の脳機能局在領域を示す情報を横軸に沿って並べ、横軸に沿って並べられた一部の脳機能局在領域との間で接続関係を有する脳機能局在領域を示す情報を縦軸に沿って並べたマトリクスをディスプレイ10に表示する。
本実施形態では、表示制御機能215eは、DSAMに設定されている注目度に基づいて、複数の脳機能局在領域を絞り込んだマトリクスを表示する。具体的には、表示制御機能215eは、AFM、CFM又はPFMにおいて横軸に沿って並べられた複数の脳回及び神経線維束のうち、DSAMにおいて注目度が「2」以上である脳回を横軸に沿って並べたマトリクスを表示する。このとき、表示制御機能215eは、AFM、CFM又はPFMにおいて、横軸に沿って並べた脳回に接続されている白質領域及び脳回を縦軸に沿って並べる。
これにより、例えば、図20〜22に示したように、絞り込まれたマトリクス80が表示される。なお、本実施例においても、表示制御機能215eが、図25〜27に示したように、複数の脳機能局在領域それぞれに関する画像の解析値をマトリクス80上にさらに表示してもよい。
図30は、第2の実施形態に係るMRI装置150によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。例えば、図30に示すように、本実施形態に係るMRI装置100では、まず、設定機能215aが、操作者から医療情報を受け付ける(ステップS201)。また、設定機能215aは、予め医療情報に応じて決められた解析対象の画像を収集するための撮像条件を設定する(ステップS202)。
その後、実行機能13a及び画像生成機能14aが、撮像を実行する(ステップS203)。具体的には、実行機能13aが、設定機能15aによって生成されるシーケンス実行データに基づいて、解析対象の画像を生成するためのMR信号データを収集する。また、画像生成機能14aが、収集されたMR信号データに基づいて、解析対象の画像を生成する。
続いて、解析機能215bが、画像生成機能14aによって生成された解析対象の画像をディスプレイ10に表示する(ステップS204)。これにより、生成された画像が解析対象として問題がないかを操作者に確認させることができる。
ここで、解析機能215bは、入力回路9を介して、解析対象の画像を承認しない旨の入力を操作者から受け付けた場合には(ステップS205,No)、撮像条件を再設定するよう設定機能215aを制御する。このとき、例えば、設定機能215aは、操作者から撮像条件を再設定する操作を受け付け、再設定された撮像条件に基づいて、実行機能13a及び画像生成機能14aに撮像を再実行させる。そして、解析機能215bは、撮像された画像を解析対象の画像としてディスプレイ10に再表示する。
そして、解析機能215bは、入力回路9を介して、解析対象の画像を承認する旨の入力を操作者から受け付けた場合には(ステップS205,Yes)、解析対象の画像の画像解析を行う。まず、解析機能215bは、解析対象の画像に含まれる脳の領域を複数の脳機能局在領域に分割する(ステップS206)。その後、解析機能215bは、分割された領域ごとに、テクスチャー解析を行い、さらに、所定のパラメータに関する正常脳との違いを解析する(ステップS207)。
続いて、表示制御機能215eが、DSAMに設定されている注目度に基づいて、複数の脳機能局在領域を絞り込んだマトリクスを表示する(ステップS208)。そして、表示制御機能215eは、操作者によってマトリクスのセルが選択された場合に(ステップS209,Yes)、選択されたセルに対応する画像をディスプレイ10に表示する(ステップS210)。
なお、上述した各ステップのうち、ステップS201及びS202は、例えば、処理回路215が、設定機能215aに対応する所定のプログラムを記憶回路211から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS203は、例えば、処理回路13が、実行機能13aに対応する所定のプログラムを記憶回路211から呼び出して実行し、処理回路14が、画像生成機能14aに対応する所定のプログラムを記憶回路211から呼び出して実行することにより実現される。
また、ステップS204〜S207は、例えば、処理回路215が、解析機能215bに対応する所定のプログラムを記憶回路211から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS208〜S210は、例えば、処理回路215が、表示制御機能215eに対応する所定のプログラムを記憶回路211から呼び出して実行することにより実現される。
上述したように、第2の実施形態では、神経症状や診断目的、疾患、フィードバック回路の種類等の医療情報に応じて用意されたDSAMを用いて、脳機能局在領域を絞り込んだマトリクスが表示される。
これにより、診断目的だけでなく、研究目的等においても、操作者にとって分かりやすく、目的に応じた脳機能局在領域とその領域間の接続に関する情報を用いた枠組みに関する仕組みにおいて、その診断情報を分かりやすく提示することができる。この結果、脳機能局在領域の単位で異常部位を効率よく探索及び読影することができるようになる。
したがって、第2の実施形態によれば、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができる。
なお、上述した第1及び第2の実施形態ではMRI装置の実施形態を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本願が開示する技術は画像処理装置に適用することも可能である。以下では、第1の実施形態で説明した技術を画像処理装置に適用した場合の例を第3の実施形態として説明し、第2の実施形態で説明した技術を画像処理装置に適用した場合の例を第4の実施形態として説明する。
(第3の実施形態)
図31は、第3の実施形態に係る画像処理装置300の構成例を示す図である。例えば、図31に示すように、本実施形態に係る画像処理装置300は、ネットワーク400を介して、MRI装置100と、画像保管装置200とに接続される。
MRI装置100は、磁気共鳴現象を利用して被検体の画像データを収集する。具体的には、MRI装置100は、操作者によって設定された撮像条件に基づいて各種撮像シーケンスを実行することで、被検体から磁気共鳴データを収集する。そして、MRI装置100は、収集した磁気共鳴データに対してフーリエ変換処理等の画像処理を施すことで、二次元又は三次元の画像データを生成する。
画像保管装置200は、各種画像診断装置によって収集された画像データを保管する。具体的には、画像保管装置200は、ネットワーク400を介してMRI装置100から画像データを取得し、取得した画像データを装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。例えば、画像保管装置200は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
画像処理装置300は、各種画像診断装置によって収集された画像データを処理する。具体的には、画像処理装置300は、ネットワーク400を介してMRI装置100又は画像保管装置200から画像データを取得し、装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。また、画像処理装置300は、取得した画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理を行う前又は画像処理を行った後の画像データをディスプレイ等に表示する。例えば、画像処理装置300は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
例えば、図31に示すように、画像処理装置300は、I/F(インターフェース)回路310と、記憶回路320と、入力回路330と、ディスプレイ340と、処理回路350とを有する。
I/F回路310は、画像処理装置300と、ネットワーク400を介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、I/F回路310は、処理回路350に接続され、処理回路350から出力される画像データを所定の通信プロトコルに準拠した形式に変換し、MRI装置100又は画像保管装置200に送信する。また、I/F回路310は、MRI装置100又は画像保管装置200から受信した画像データを処理回路350に出力する。例えば、I/F回路310は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路320は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路320は、処理回路350に接続され、処理回路350から送られる命令に応じて、入力された画像データを記憶し、又は、記憶している画像データを処理回路350に出力する。例えば、記憶回路320は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
入力回路330は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力回路330は、処理回路350に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路350に出力する。例えば、入力回路330は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
ディスプレイ340は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ340は、処理回路350に接続され、処理回路350から出力される画像データに基づいて、各種の形式で画像を表示する。例えば、ディスプレイ340は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
処理回路350は、入力回路330を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、画像処理装置300が有する各構成要素を制御する。具体的には、処理回路350は、I/F回路310から出力される画像データを記憶回路320に記憶させる。また、処理回路350は、記憶回路320から読み出した画像データをディスプレイ340に表示する。例えば、処理回路350は、プロセッサによって実現される。
このような構成のもと、本実施形態に係る画像処理装置300は、例えば、脳機能局在領域単位で行われる脳の画像解析に用いられる。
本実施形態では、記憶回路320が、第1の実施形態で説明した記憶回路11と同様に、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスを表す情報を記憶する。具体的には、記憶回路320は、第1の実施形態で説明した記憶回路11と同様に、AFM、CFM、PFM及びDSAMを表す情報を記憶する。
また、処理回路350が、設定機能351と、解析機能352と、特定機能353と、探索機能354と、表示制御機能355とを備える。なお、表示制御機能355は、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。
設定機能351は、第1の実施形態で説明した設定機能15aと同様に、操作者から診断目的及び診断対象の疾患を受け付ける。
解析機能352は、第1の実施形態で説明した解析機能15bと同様の機能を有する。ただし、第1の実施形態では、解析機能15bが、画像生成機能14aによって生成された解析対象の画像を用いて画像解析を行ったのに対し、本実施例に係る解析機能352は、ネットワーク400経由でMRI装置100又は画像保管装置200から解析対象の画像を取得して、画像解析を行う。
特定機能353は、第1の実施形態で説明した特定機能15cと同様の機能を有する。探索機能354は、第1の実施形態で説明した探索機能15dと同様の機能を有する。表示制御機能355は、第1の実施形態で説明した表示制御機能15eと同様の機能を有する。
また、本実施形態では、入力回路330、ディスプレイ340、記憶回路320が、第1の実施形態で説明した入力回路9、ディスプレイ10、記憶回路11が有する機能をさらに有する。
以上、処理回路350が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路320に記憶される。処理回路350は、各プログラムを記憶回路320から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路350は、図31に示した各処理機能を有することとなる。
なお、図31では、単一の処理回路350によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路350は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路350が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
このような構成によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができる。
(第4の実施形態)
図32は、第4の実施形態に係る画像処理装置500の構成例を示す図である。例えば、図32に示すように、本実施形態に係る画像処理装置500は、ネットワーク400を介して、MRI装置100と、画像保管装置200とに接続される。なお、MRI装置100及び画像保管装置200の構成は図31に示したものと同じであるので、ここでは説明を省略する。
画像処理装置500は、各種画像診断装置によって収集された画像データを処理する。具体的には、画像処理装置500は、ネットワーク400を介してMRI装置100又は画像保管装置200から画像データを取得し、装置内又は装置外に設けられた記憶回路に記憶させる。また、画像処理装置500は、取得した画像データに対して各種画像処理を行い、画像処理を行う前又は画像処理を行った後の画像データをディスプレイ等に表示する。例えば、画像処理装置500は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
例えば、図32に示すように、画像処理装置500は、I/F(インターフェース)回路310と、記憶回路520と、入力回路330と、ディスプレイ340と、処理回路550とを有する。
なお、本実施形態では、画像処理装置500の構成について、第3の実施形態に係る画像処理装置300の構成とは異なる点を中心に説明することとし、図31に示した構成要素と同様の役割を果たす構成要素については同じ符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
このような構成のもと、本実施形態に係る画像処理装置500は、脳機能局在領域単位で行われる脳の画像解析に用いられる。
本実施形態では、記憶回路520が、第2の実施形態で説明した記憶回路211と同様に、複数の脳機能局在領域に関する領域間の接続関係を示すマトリクスを表す情報を記憶する。具体的には、記憶回路520は、第2の実施形態で説明した記憶回路211と同様に、AFM、CFM、PFM及びDSAMを表す情報を記憶する。
また、処理回路550が、設定機能551と、解析機能552と、表示制御機能555とを備える。なお、表示制御機能555は、特許請求の範囲における表示制御部の一例である。
設定機能551は、第2の実施形態で説明した設定機能215aと同様に、操作者から医療情報を受け付ける。
解析機能552は、第2の実施形態で説明した解析機能215bと同様の機能を有する。ただし、第2の実施形態では、解析機能215bが、画像生成機能14aによって生成された解析対象の画像を用いて画像解析を行ったのに対し、本実施例に係る解析機能552は、ネットワーク400経由でMRI装置100又は画像保管装置200から解析対象の画像を取得して、画像解析を行う。
表示制御機能555は、第2の実施形態で説明した表示制御機能215eと同様の機能を有する。
以上、処理回路550が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路520に記憶される。処理回路550は、各プログラムを記憶回路520から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路550は、図32に示した各処理機能を有することとなる。
なお、図32では、単一の処理回路550によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路550は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路550が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
このような構成によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。したがって、第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができる。
なお、上述した第3及び第4の実施形態では、画像処理装置が、自装置に備えられたディスプレイにマトリクスや画像を表示する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、画像処理装置は、ネットワーク400を介して接続された画像表示装置にマトリクスや画像を出力してもよい。
近年では、操作者が用いるクライアント装置には必要最小限の処理を実行させ、大部分の処理をサーバ装置に実行させるシンクライアント(Thin Client)の形態で、画像処理システムが構築される場合もある。例えば、このような画像処理システムにおいて、サーバ装置が、第3又は第4の実施形態で説明した画像処理装置の機能を有し、クライアント装置が、マトリクスや画像の表示を行ってもよい。
なお、上述した各実施形態において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、脳内の複数の領域に関する画像解析を支援することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。