JP2017043936A - サンプリング方法およびサンプリング管 - Google Patents
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Abstract
Description
品質検査に使用する試料は、ボーリングマシンまたは専用のカッターマシンを利用して、鋭利な先端部を有するロッドを回転させつつ地盤改良体に押し込むことにより採取する。
ところが、従来のサンプリング方法は、固化した地盤改良体に対して実施するため、大きな回転力と押し込み力を必要とする。このような力は、地盤改良体にとっては不要な力であるため、試料に亀裂等の損傷や視認することができない内部損傷が生じるおそれがある。
そのため、特許文献1の採取管を採用した場合であっても、上下に連結された管材同士を分割する際には、上下の管材をそれぞれ逆方向に回転させる必要がある。サンプリング管を管材同士の継手部において逆方向に回転させると、内部の試料に摩擦力(ねじり力)が作用するため、試料に損傷が生じるおそれがある。
このような観点から、本発明は、サンプリング時に試料に亀裂等の損傷が生じることを抑制するためのサンプリング方法およびサンプリング管を提案することを課題とする。
なお、前記サンプリング管の外面に摩擦低減処理を施しておけば、引抜工程においてサンプリング管に過度な力が作用することがなく、ひいては、サンプリング管の内部の固化体(試料)に損傷が生じることを防止できる。
前記半割管同士の突き合わせ部に、横方向のずれを防止する第一係合部と、縦方向のずれを防止する第二係合部が形成されていれば、半割管同士がずれることを防止することができる。
前記取付部の外面に雄ネジが形成されており、前記継手管の内面に前記取付部に螺合する雌ネジが形成されていれば、これらを螺合することで簡易に分割管同士を連結することができる。
本実施形態のサンプリング管1は、図1に示すように、複数の分割管2,2,…と、分割管同士を連結する継手管3,3,…と、先端部用ロッド4と、頭部用ロッド5とを備えている。
半割管21は、断面視半円弧を呈した樋状の部材である。なお、半割管21の断面形状は限定されるものではなく、例えば、角筒状の分割管2を形成するように、コ字状を呈していてもよい。本実施形態では、硬質塩化ビニルにより半割管21を構成するが、半割管21を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼製部材であってもよい。
本実施形態の取付部22は、継手管3の高さ(軸方向に沿った長さ)の半分よりも短い長さを有している。そのため、上下から分割管2,2を継手管3に挿入すると、分割管2同士の間に隙間が形成される。
取付部22には、ネジ孔26が形成されている。ネジ孔26は、継手管3に形成されたネジ孔32を挿通したネジ33の螺合が可能に形成されている。
溝部23は、図示しない結束部材を配設可能な深さと幅を有している。
分割管2は、溝部23に配設された結束部材により締め付けることで、半割管21同士の突き合わせ部において離隔することが防止されている。なお、結束部材の構成は限定されるものではなく、例えば、番線や結束バンド等の線状部材を使用すればよい。
第一係合部24は、図3(a)に示すように、突き合わせ面の厚さ方向に形成された段差である。分割管2は、半割管21同士を組み合わせた際に第一係合部24が噛み合うことで、半割管21,21の横方向(分割管2の軸方向と交差する方向)のずれが防止されている。なお、第一係合部24の構成は限定されるものではなく、例えば、一方の半割管21の突き合わせ面に形成された凸字状の突起と、他方の半割管22の突き合わせ面に形成された凹字状の溝とが噛み合うように構成されていてもよい。
また、第二係合部25は、図3(b)に示すように、突き合わせ面における周方向の段差である。分割管2は、半割管21同士を組み合わせた際に第二係合部25が噛み合うことで、半割管21,21の縦方向(分割管2の軸方向と平行方向)のずれが防止されている。なお第二係合部25の構成は限定されるものではない。例えば、本実施形態では、分割管2の高さ方向中央に第二係合部25が形成されている場合について説明したが、第二係合部25は、高さ方向に複数形成されていてもよい。
継手管3の内面には、雌ネジが形成されており、取付部22(分割管2)を螺合可能である。
継手管3の上下方向中間部には、周方向に沿って複数の長孔(開口)31,31,…が貫通している。長孔31は、継手管3に上下から分割管2,2を挿入したときに形成される分割管2同士の隙間に連通するように形成されている。
継手管3には、分割管2に形成されたネジ孔26に対応して、ネジ孔32,32,…が貫通している。ネジ孔32は、長孔31の上下にそれぞれ形成されている。
継手管3は、図1に示すように、分割管2の取付部22に螺合した後、ネジ孔32にネジ33を螺合する。なお、ネジ孔32の数は限定されるものではないが、本実施形態では、上下2段、各段につき周方向に4個所(計8個所)にネジ孔32が形成されている。
分割管2と継手管3との接合部において、ネジ33を使用することで、サンプリング管1を地盤改良体6に挿入する際や地盤改良体6から引き抜く際(図5参照)に、サンプリング管1を回転させた場合であっても、分割管2が継手管3から脱落することを防止できる。
なお、ネジ孔26,32およびネジ33は、必要に応じて設ければよく、分割管2と継手管3との接合方式によっては省略してもよい。
図4(a)に示すように、先端部用ロッド4の内面上部には、ネジ加工(雌ネジ41)が施されている。
先端部用ロッド4の内面下部には、先端に向うに従って部材厚が薄くなるテーパー42が形成されている。
また、サンプリング管1を引き上げる際に内部の試料が落下しないように、テーパー42と雌ネジ41の間には、中心に向って突出する凸部43が形成されている。
また、凸部43と雌ネジ41との間には、複数の長孔44,44,…が周方向に沿って貫通している。
さらに、先端部用ロッド4の上部には、周方向に対して等間隔で、4つのネジ孔45,45,…が形成されている。ネジ孔45の内面には、雌ネジが形成されている。先端部用ロッド4は、分割管2の取付部22に螺合するとともに、ネジ孔45を貫通するネジ46(図1参照)を締付けることにより分割管2に固定される。
なお、先端部用ロッド4の形状は限定されるものではなく、例えば、そぎ竹状に先端が尖っていいてもよいし、竹割り式に分割可能であってもよい。また、先端部用ロッド4は、継手管3を介して分割管2に接合するように構成されていてもよい。
頭部用ロッド5は、図4(b)に示すように、ロッド本体51と、羽根52とを備えている。
ロッド本体51は、鋼管により構成されている。ロッド本体51の下部外面には雄ネジが形成されていて、継手管3へ螺合可能である。また、ロッド本体51の下部には、継手管33のネジ孔32に対応する位置にネジ孔53が形成されている。
ロッド本体51の上部には、複数の羽根52,52,…が、側方に張り出している。各羽根52は、上端が平坦を呈した台形状の枠状部材である。
本実施形態のサンプリング方法は、地盤改良工程と、挿入工程と、養生工程と、引抜工程と、採取工程とを備えている。
地盤改良工程は、図5(a)に示すように、地盤改良体6を形成する工程である。
本実施形態では、深層混合処理工法により円柱状の地盤改良体6を形成しているが、地盤改良体6の形状は限定されるものではなく、例えば、壁状であってもよい。また、地盤改良体6は、浅層混合処理工法により形成されたものであってもよい。
挿入工程では、まず、一対の半割管21,21を組み合わせるとともに、溝部23に結束部材を配設することにより分割管2を形成する(図2参照)。次に、複数本の分割管2,2,…を継手管3を介して連結してサンプリング管1を形成するとともに、サンプリング管1の下端(先端)と上端にそれぞれ先端部用ロッド4と、頭部用ロッド5を取り付ける(図1参照)。このとき、サンプリング管1(分割管2、継手管3、先端部用ロッド4および頭部用ロッド5)の外面には摩擦低減処理を施す。摩擦低減処理の方法は限定されるものではなく、例えば、摩擦低減剤をサンプリング管1の外面に塗布してもよいし、シート状の摩擦低減材をサンプリング管1の外面に貼着してもよい。
続いて、サンプリング管1を地盤改良体6内に挿入する。サンプリング管1を地盤改良体6へ挿入する際には、重機等により頭部用ロッド5の上端を下方向に押圧すればよい。
なお、サンプリング管1は、必ずしも所定の長さに形成した状態で挿入する必要はなく、分割管2と継ぎ足しながら地盤改良体1へ挿入してもよい。
引抜工程は、図5(d)に示すように、養生後の地盤改良体6からサンプリング管1を引き抜く工程である。
引抜工程では、頭部用ロッド5の羽根51に、フックを係止させた状態で、重機(クレーン等)により引き上げることによりサンプリング管1を回収する。
サンプリング管1から試料Sを取り出す際には、まず、継手管3の開口31,31,…から切断手段(例えば、ナイフ、のみ、千枚通し、きり等)を挿入してサンプリング管1内の試料Sに差し込むことで、分割管2同士の突き合わせ部において試料Sに目地(切込み)S0を形成する(図6(a)参照)。このとき、開口31から挿入した切断手段により、分割管2同士の突き合わせ部において試料Sを切断してもよい。
次に、図6(b)に示すように、継手管3からネジ33を取り外す。続いて、継手管3に対して分割管2を回転させることで、分割管2の内部の試料Sを目地S0において切断する(試料S1を切り離す)。分割管2の内部の試料Sは、分割管2の内面に密着しているため、分割管2に回転力を付与する同時に目地S0において切断される。なお、試料S1が予め切断されている場合は、試料S1を目地S0において切断する作業は省略する。
試料S1を切断したら、図6(c)に示すように、分割管2(サンプリング管1)を分解する。分割管2の分解は、まず、分割管2をさらに回転させて継手管3から分離する(取り外す)。そして、分割管2を継手管3から取り外したら、分割管2を半割管21毎に分解する。分割管2を分解したら、内部の試料S1を取り出す。
試料への損傷を最小限に抑えることができるため、試料の強度試験により、現地において実際に造成された地盤改良体6の強度を高精度に評価することが可能となる。そのため、試験配合時において、設計上の必要強度以上に目標強度を高く設定する必要がなく、ひいては、経済的な配合設計が可能となる。
また、先端部用ロッド4の内面の凸部43が形成されているため、サンプリング管1を地盤改良体6から引き出す際に、内部の試料が落下することが防止されている。
また、頭部用ロッド5に羽根51が形成されているため、サンプリング管1を改良地盤6に押し込みやすい。
サンプリング管1の地盤改良体6への挿入や、地盤改良体6からの引き抜きには、特殊な施工機械を必要とせず、クレーンや汎用施工機械(例えばクレーン機能付バックホウ等)を用いることができる。そのため、施工費や施工時の手間を削減することが可能となる。
例えば、摩擦低減処理は必要に応じて行えばよい。
半割管21同士の固定が可能であれば、分割管2の外面の溝部23は省略してもよい。同様に、第一係合部および第二係合部も必要に応じて形成すればよい。
先端部用ロッド4の形状は限定されるものではなく、例えば、側面視三角形状に傾斜していてもよい。
前記実施形態では、継手管3の長孔31を利用して内部の試料のみに目地を形成または試料のみを切断する場合について説明したが、試料とともに継手管を上下方向中央部において切断してもよい。
また、引抜工程においてサンプリング管1を地盤改良体6から引き出すとともに、分割管2毎に分割してもよい。
前記実施形態では、継手管3に開口として長孔31が形成されている場合について説明したが、開口の形状は限定されるものではなく、例えば、円形や四角形状であってもよい。また、前記実施形態では、長孔(開口)31が複数形成されている場合について説明したが、開口の数は限定されるものではなく、1つでもよい。
前記実施形態では、分割管2と継手管3との接合にねじ込み式を採用したが、分割管2と継手管3との接合方式は限定されるものではなく、例えば差込みピン止め方式を採用してもよい。また、分割管2や継手管3等のネジ(雄ネジまたは雌ネジ)は、正ネジであってもよいし逆ネジであってもよい。
2 分割管
21 半割管
22 取付部
23 溝部
24 第一係合部
25 第二係合部
3 継手管
31 長孔(開口)
6 地盤改良体
Claims (6)
- 地盤改良体内にサンプリング管を挿入する挿入工程と、
前記地盤改良体の養生後、前記サンプリング管を引き抜く引抜工程と、
前記サンプリング管から試料を採取する採取工程と、を備えるサンプリング方法であって、
前記挿入工程は、一対の半割管同士を組み合わせることにより分割管を形成する作業と、複数本の前記分割管を連結してサンプリング管を形成する作業と、を有し、
前記採取工程では、前記試料を前記分割管毎に切断してから前記サンプリング管を分解することを特徴とする、サンプリング方法。 - 前記サンプリング管の外面に摩擦低減処理を施すことを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング方法。
- 複数の分割管および前記分割管同士を連結する継手管により形成されたサンプリング管であって、
前記分割管は、筒状となるように組み合わされた一対の半割管を有し、
前記分割管の両端部には、それぞれ取付部が形成されており、
前記継手管は、前記取付部を接続可能であり、
前記継手管の上下方向中間部には、開口が形成されていることを特徴とする、サンプリング管。 - 前記分割管の外面には、周方向に沿って溝部が形成されていて、
前記溝部には、結束部材が配設されていることを特徴とする、請求項3に記載のサンプリング管。 - 前記半割管同士の突き合わせ部に、横方向のずれを防止する第一係合部と、縦方向のずれを防止する第二係合部が形成されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のサンプリング管。
- 前記取付部の外面には、雄ネジが形成されており、
前記継手管の内面には、前記取付部に螺合する雌ネジが形成されていることを特徴とする、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のサンプリング管。
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