図1は、非接触充電システム1を模式的に示す模式図であり、図2は、非接触充電システム1を模式的に示す回路図である。図1および図2に示すように、非接触充電システム1は、車両2に搭載された受電ユニット4と、受電ユニット4に非接触で電力を送電する送電装置3とを備える。
受電ユニット4は、送電装置3から送電される電力を受電する受電装置5と、受電装置5が受電した交流電力を直流電力に変換すると共に電圧を調整する整流器6と、整流器6から供給される直流電力を蓄電するバッテリ7とを含む。
バッテリ7に蓄電された電力は、図示しない駆動用モータなどに供給され、駆動用モータは車輪を駆動する。
受電装置5は、整流器6に接続された受電コイル8およびコンデンサ9を含み、受電コイル8およびコンデンサ9によって直列LC共振回路が形成されている。
送電装置3は、電源10に接続された周波数変換器11と、周波数変換器11に接続された送電コイル12およびコンデンサ13とを含む。
周波数変換器11は、電源10から供給される交流電力の周波数を調整して送電コイル12およびコンデンサ13に供給すると共に、送電コイル12およびコンデンサ13に供給する電圧を調整する。送電コイル12およびコンデンサ13によって直列LC共振回路が形成されている。
送電コイル12およびコンデンサ13によって形成された共振回路の共振周波数と、受電コイル8およびコンデンサ9によって形成された共振回路の共振周波数とは、一致または実質的に一致するように形成されている。
送電コイル12およびコンデンサ13によって形成された共振回路のQ値と、受電コイル8およびコンデンサ9によって形成された共振回路のQ値は、いずれも、100以上である。
図3は、送電装置3を示す分解斜視図である。この図3に示すように、送電装置3は、コイルユニット15と、このコイルユニット15を内部に収容する筐体16とを含む。
筐体16は、上方に向けて開口する開口部が形成されたケース本体20と、ケース本体20の開口部を閉塞するように配置された樹脂蓋21とを含む。
ケース本体20は、ベース板22と、このベース板22の外周縁部に設けられた周壁部23と、ベース板22の中央部に形成され、内部に周波数変換器11やコンデンサ13を収容する収容部24とを含む。コイルユニット15は、フェライト30と、送電コイル12とを含む。
図4は、フェライト30を示す平面図である。この図4に示すように、フェライト30は、送電コイル12が上面に配置された環状のコイル台31と、コイル台31の上面に配置された中央フェライト32とを含み、フェライト30は、複数の分割フェライト35によって形成されている。
コイル台31は環状に形成されており、コイル台31の中央部には、開口部36が形成されている。中央フェライト32は、コイル台31の内周縁部に接触するように、コイル台31の上面に配置されている。なお、図3に示すように、コイル台31の上面には送電コイル12が配置されており、中央フェライト32は、送電コイル12によって取り囲まれている。
図5は、コイル台31を示す平面図である。コイル台31は、複数の角部40を含み、多角形形状に形成されている。
コイル台31は、角部40を形成する複数の角片41と、角片41間に配置された複数のサイド片42とを含む。角片41およびサイド片42は、分割フェライト35を組み合わせることで形成されている。
図6は、分割フェライト35を示す平面図である。この図6に示すように、分割フェライト35は、台形形状に形成されている。
分割フェライト35は、短辺50と、短辺50から間隔をあけて配置された長辺51と、短辺50の一端および長辺51の一端を接続する接続辺52(第1辺部)と、長辺51の他端および長辺51の他端を接続する斜辺53とを含む。なお、斜辺53の長さは、接続辺52の長さよりも長い。
なお、この図6に示す例においては、分割フェライト35は、直角台形形状に形成されているが、必ずしも、直角台形形状に形成されている必要はなく、接続辺52が短辺50および長辺51に対して直角に接続されている必要はない。
図7は、角片41を示す平面図である。この図7に示すように、角片41は、分割フェライト35Aと、分割フェライト35Bを含み、分割フェライト35Aの斜辺53Aと、分割フェライト35Bの斜辺53Bとが対向するように配置されている。
そして、角片41の内周辺は、分割フェライト35Aの短辺50Aと、分割フェライト35Bの短辺50Bによって形成されている。
また、角片41の外周辺は、分割フェライト35Aの長辺51Aと、分割フェライト35Bの長辺51Bによって形成されている。
分割フェライト35Aの斜辺53Aと、分割フェライト35Bの斜辺53Bとの間には、隙間が形成されている。なお、当該隙間は、必須ではなく、分割フェライト35Aと分割フェライト35Bを接触させてもよい。
図8は、サイド片42を示す平面図である。この図8に示すように、サイド片42は、分割フェライト35Cおよび分割フェライト35Dを含む。分割フェライト35Cと、分割フェライト35Dは、互いの斜辺53Cおよび斜辺53Dが対向するように配置されている。
そして、分割フェライト35Cの長辺51Cと、分割フェライト35Dの短辺50Dによって、サイド片42の内周辺が形成されている。また、分割フェライト35Cの短辺50Cと、分割フェライト35Dの長辺51Cによってサイド片42の外周辺が形成されている。
そして、図5に示すように、各角片41間にサイド片42を配置することでコイル台31が形成されている。
図9は、中央フェライト32を示す平面図である。この図9に示すように、中央フェライト32は、複数の角部45を含む。中央フェライト32は、角部45を形成する複数の中央角片46を含み、この中央角片46を環状に配置することで形成されている。
図10は、中央角片46を示す平面図である。この図10に示すように、中央角片46は、分割フェライト35Eと分割フェライト35Fとを含む。
分割フェライト35Eと、分割フェライト35Fとは、互いの斜辺53Eと斜辺53Fとが対向するように配置されている。
そして、中央角片46の内周辺は、分割フェライト35E,35Fの短辺50E,50Fによって形成されている。また、中央角片46の外周辺は、長辺51E,51Fによって形成されている。
なお、中央角片46の各端辺は、接続辺52Eまたは接続辺52Fによって形成されている。
このように形成された中央角片46を環状に配置することで、中央フェライト32が形成されている。具体的には、中央角片46の端辺部同士を対向させるように配置されている。
図11は、フェライト30の一部を示す平面図である。この図11に示すように、角片41およびサイド片42の内周辺上に、中央角片46が配置されている。
なお、この図11においては、分割フェライト35Eおよび分割フェライト35Fを含む中央角片46Aの隣に、分割フェライト35Gおよび分割フェライト35Hを含む中央角片46Bが配置されている。
そして、分割フェライト35A,35Bを含む角片41Aと、分割フェライト35C,35Dを含むサイド片42と、分割フェライト35I,35Jを含む角片41Bとが配列している。
ここで、分割フェライト35Aの短辺50Aの一部は、分割フェライト35Eと分割フェライト35Fとの間の隙間から露出している。
分割フェライト35Eと分割フェライト35Fとの隙間の距離は、短辺50の長さよりも遥かに短く、短辺50Aのうち上記隙間から露出する部分の長さは、隙間の距離よりも短い。このため、短辺50Aの大部分は、分割フェライト35Eの下面に位置している。
これにより、短辺50Aの大部分およびその近傍に位置する部分が、分割フェライト35Aと接触しており、分割フェライト35Aと、分割フェライト35Eとの接触面積が確保されている。これにより、送電時に、送電コイル12の周囲に磁束が形成されコイル台31内に磁束が流れた際に、分割フェライト35Aと分割フェライト35Eとの接触部分で、磁気飽和が発生することを抑制することができる。
同様に、短辺50Bの大部分およびその近傍に位置する部分が分割フェライト35Fの下面と接触している。これにより、分割フェライト35Bと分割フェライト35Fとの接触面積が確保されており、電力送電時に、分割フェライト35Bおよび分割フェライト35Fの接触部分で磁気飽和が発生することを抑制することができる。
次に、分割フェライト35Cの長辺51Cの一部が、分割フェライト35Fと分割フェライト35Gとの隙間から露出している。ここで、分割フェライト35Fおよび分割フェライト35Gの間の隙間の長さは、長辺51Cよりも遥かに短い。このため、長辺51Cの大部分は分割フェライト35Fまたは分割フェライト35Gの下面に接触している。このため、分割フェライト35Cと、中央フェライト32との接触面積は広く、分割フェライト35Cの接触部分で磁気飽和が生じることが抑制されている。
分割フェライト35Dにおいては、短辺50Dの全部が、分割フェライト35Gの下面と接触している。このため、分割フェライト35Dと分割フェライト35Gとの接触面積は、広く、分割フェライト35Dの接触部分で磁気飽和が生じることが抑制されている。
このように、各角片41およびサイド片42はいずれも、中央フェライト32との接触面積が確保されており、電力伝送時に、角片41およびサイド片42において、磁気飽和が生じることが抑制されている。コイル台31は、複数の角片41およびサイド片42が配列することで形成されているため、コイル台31において磁気飽和が生じることが抑制されている。
次に、分割フェライト35Fにおいて、長辺51Fの大部分は、分割フェライト35Bまたは分割フェライト35Cの上面と接触している。長辺51Fのうち、分割フェライト35B,35Cの間の隙間に位置する部分のみが、コイル台31と接触していない。分割フェライト35B,35C間の距離は、長辺51Fよりも遥かに短いため、長辺51Fの大部分は、分割フェライト35Bまたは分割フェライト35Cと接触している。このため、分割フェライト35Fとコイル台31との接触面積は広く、電力伝送時に、分割フェライト35Fで磁気飽和することが抑制されている。
また、分割フェライト35Gの長辺51Gは、分割フェライト35Cおよび分割フェライト35Dの間の隙間と、分割フェライト35Dと分割フェライト35Iとの間の隙間から露出してる。その一方で、上記の分割フェライト35C,35D間の距離と、分割フェライト35D,35I間の距離との合計距離は、長辺51Gよりも遥かに短い。このため、分割フェライト35Gと、コイル台31との接触面積は広く、電力伝送時に、分割フェライト35Gにおいて磁気飽和が生じることが抑制されている。
このため、中央フェライト32を形成する各分割フェライト35においても、電力伝送時に磁気飽和が生じることが抑制されている。
ここで、図5に示すように、本実施の形態に係るコイル台31は、角片41を間隔をあけて配置し、各角片41の間にサイド片42を配置することで形成されている。
図12は、比較例に係るコイル台31Aを示す平面図である。この図12に示すコイル台31Aは、4つの角片90によって形成されている。角片90は、分割フェライト35Lと、分割フェライト35Kとを含み、分割フェライト35Lと分割フェライト35Kは、互いの斜辺53L,53Kが対向するように配置されている。
そして、分割フェライト35Lの長辺51Lと、分割フェライト35Kの長辺51Kとによって、角片90の外周辺が形成されている。
このように構成された角片90を環状に配置することで、コイル台31Aが形成されており、コイル台31Aの外周の一辺の長さは、分割フェライト35の長辺51の二つ分の長さと、角片90間の隙間の距離との合計になる。
その一方で、図4に示すコイル台31の外周の一辺の長さは、分割フェライト35の長辺51の3つ分の長さと、短辺50の長さと、2つの隙間の距離の合計となる。このため、本実施の形態に係るコイル台31の方が、コイル台31Aよりも大きくなる。
仮に、図12に示すコイル台31Aの一辺の長さが本実施の形態に係るコイル台31の一辺の長さと同じようになるように形成しようとすると、図12に示す分割フェライト35L,35Kの大きさを大きくする必要が生じる。
このような大きな分割フェライトを形成しようとすると、製造過程において分割フェライトに割れや亀裂が生じやすくなり、現実的には、製造することが非常に困難となる。
その一方で、図4に示すように、本実施の形態においては、角片41の間にサイド片42を配置することで、コイル台31の大きさを確保しつつ、各分割フェライト35の大きさを小さくすることができる。
さらに、コイル台31は、同一形状の分割フェライト35で形成されており、複数種類の分割フェライトで形成した場合よりも製造コストを低く抑えることができる。
また、図4に示すように、中央フェライト32も、コイル台31を形成する分割フェライト35と同じ形状の分割フェライトで形成されている。このため、フェライト30全体においても、製造コストの低減を図ることができる。
図13は、受電装置5を示す分解斜視図である。この図13に示すように、受電装置5は、コイルユニット55と、このコイルユニット55を収容する筐体56とを含む。
筐体56は、下方に向けて開口するケース本体60と、ケース本体60の開口部を閉塞するように設けられた樹脂蓋61とを含む。
ケース本体60は、ベース板62と、ベース板62の外周縁部に形成された周壁部63と、周壁部63の下面に形成され、整流器6やコンデンサ9を収容する収容部64とを含む。コイルユニット55は、フェライト70と、フェライト70の下面に配置された受電コイル8とを含む。
図14は、フェライト70を示す平面図であり、受電装置5よりも下方からフェライト70を平面視したときの平面図である。
この図14に示すように、フェライト70は、送電コイル12が下面に配置されるコイル台71と、コイル台71の下面に配置された中央フェライト72を含み、フェライト70は、複数の分割フェライト35によって形成されてる。
コイル台71は、環状に形成されており、コイル台71の中央部には、開口部76が形成されている。中央フェライト72は、コイル台71の内周縁部に接触するように、コイル台71の下面に配置されている。なお、図11に示すように、コイル台71の下面には、受電コイル8が配置されており、受電コイル8は、中央フェライト72の周囲を取り囲むように配置されている。ここで、フェライト70は、図4に示すフェライト30と同様に形成されている。
つまり、コイル台71は、複数の角部80を含み、コイル台71は、角部80を形成する角片81と、この角片81間に配置されたサイド片82とを含む。
そして、図7に示すように、角片81は、角片41と同様に形成されている。また、図8に示すように、サイド片82は、サイド片42と同様に形成されている。
中央フェライト72は、複数の角部85を含む。中央フェライト72は、この角部85を形成する複数の中央角部86を環状に配置することで形成されている。なお、中央角部86も、図10に示すように、中央角片46と同様に形成されている。
このように、受電装置5に設けられたコイル台71およびフェライト70は、送電装置3に設けられたコイル台31およびフェライト30と同様に構成されているため、コイル台31およびフェライト30と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、分割フェライト35を直角台形であるものを用いた例について説明したが、分割フェライト35の形状としては、当該形状に限られない。
図15は、フェライト30の変形例を示す平面図であり、図16は、分割フェライト35の変形例を示す平面図である。
図16に示す例においては、分割フェライト35は、短辺50と、短辺50から離れた位置に設けられた長辺51と、短辺50の一辺および長辺51の一辺を接続する接続辺52と、短辺50の他端および長辺51の他端を接続する斜辺53とを含む。そして、斜辺53の長さは、接続辺52よりも長くなるように形成されている。その一方で、短辺50と接続辺52とのなす角度は、90度ではなく、90度よりも小さい。また、長辺51と接続辺52のなす角度も、90度ではなく、90度よりも大きい。
そして、図16に示す分割フェライト35を複数配置することで、図15に示すフェライト30が形成されている。この図15に示す例においても、角片41は、分割フェライト35Aおよび分割フェライト35Bによって形成され、各分割フェライト35A,35Bの斜辺53が互いに対向するように配置されている。分割フェライト35A,35Bの各短辺50によって角片41の内周辺が形成され、分割フェライト35A,35Bの各長辺51によって角片41の外周辺が形成されている。
また、サイド片42は、分割フェライト35Cおよび分割フェライト35Dによって形成されており、各分割フェライト35C,35Dの斜辺53が互いに対向するように配置されている。サイド片42の内周辺は、各分割フェライト35Cの長辺51と、分割フェライト35Dの短辺50によって形成され、サイド片42の外周辺は、分割フェライト35Cの短辺50と、分割フェライト35Dの長辺51とによって形成されている。また、中央角片46も、分割フェライト35F,35Eによって形成されている。
そして、図15に示すように、コイル台31を形成する各分割フェライト35は、短辺50の大部分または長辺51の大部分において、中央フェライト32と接触している。このため、図15に示す例においても、各分割フェライト35において、電力伝送中において、磁気飽和が生じることを抑制することができる。このように、分割フェライト35としては、各種の形状を採用することができる。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。