JP2017037290A - ポリビニルアルコール系フィルム、その製造方法及び該フィルムからなる偏光膜 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム、その製造方法及び該フィルムからなる偏光膜 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム幅方向の位相差が小さく、フィルムの幅広、薄型化、端部まで使用可能な均質性に優れたポリビニルアルコール系フィルムの提供。【解決手段】幅4m以上、厚さ50μm未満のポリビニルアルコール系フィルムであって、フィルムの幅方向中央部における面内位相差をRc(nm)、フィルムの幅方向端部における面内位相差をRe(nm)とした場合、次式(1)及び(2)を満足するポリビニルアルコール系フィルム。式(1) Rc≦50nm式(2) 0.7≦Rc/Re≦1.0【選択図】図1

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルム、その製造方法及び該フィルムからなる偏光膜に関する。さらに詳しくは、本発明は、フィルム幅方向の位相差が小さく、フィルムの幅広、薄型化、端部まで使用可能な均質性に優れたポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法、更に、該フィルムからなり光学ムラの無い偏光膜に関する。
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して原液を調製したのち、溶液流延法(キャスト法)により製膜して、金属加熱ロールなどを使用して乾燥することにより製造される。このようにして得られるポリビニルアルコール系フィルムは、透明性や染色性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光膜が挙げられる。かかる偏光膜は、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品位で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
このような現状において、液晶テレビなどのディスプレイの画面の大型化に伴い、従来品よりも一段と幅広で長尺で薄型化し、かつ均質性に優れた偏光膜が必要とされており、その原反となるポリビニルアルコール系フィルムにも、幅広、長尺、薄型化し、かつ端部まで均質性に優れることが要望されている。ポリビニルアルコール系フィルムが端部まで均質でない場合には、かかる端部から得られる偏光膜の偏光性能が均一でなくなり、また、偏光膜が変形を起こしやすく、液晶テレビなどのディスプレイの耐久性を低下させる。
ポリビニルアルコール系フィルムに対する具体的な要望は、4m以上の幅広化、かつ端部まで余すことなく使用できる均質性である。更に、50μm未満の薄型化、かつ製造が困難になる薄型フィルムにおいても、端部まで使用可能な均質性が要望されている。
このような問題への対策として、例えば特許文献1には、フィルム面内のリターデーションが15nm以下であり、幅方向(TD)の端部と中央部のリターデーションの差が5nm以下であるポリビニルアルコール系フィルムが提案されている。また、例えば特許文献2には、フィルム面内のリターデーション値が30nm以下であり、幅方向(TD)のリターデーション値のムラが15nm以下であるポリビニルアルコール系フィルムが提案されている。
特開2006−291173号公報 特開2007−137042号公報
しかしながら、上記特許文献1や2の開示技術では、近年の幅広、薄型化に対応するのは困難である。例えば、特許文献1における実施例のフィルムは、リターデーションの測定が両端部から5cm内側で行なわれているため実質的な幅は4mに満たず、また厚さは50μm又は75μmと厚膜である。また、特許文献2の実施例においては、フィルムの幅は3mしかなく(リターデーションの測定は1cm刻みで全幅)、厚さは50μmと厚膜であるため、やはり近年の幅広、薄型化に対応するのが困難である。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向(TD)の端部に浮きが有り、平坦でない場合は、ロールに巻き取ることが困難であり、特に、幅方向の端部が浮き上がっている場合には、偏光膜の製造工程おける搬送中に、巻きしわや端部折れといった現象が発生する。更に、保管および輸送中にフィルムが吸湿した際には、フィルムの反りやうねり現象が増大し、偏光膜製造においてフィルム端部を破棄せざるを得ないという問題点があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、フィルム幅方向の位相差が小さく、フィルムの幅広、薄型化、端部まで使用可能な均質性に優れたポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法、更に、該フィルムからなり光学ムラの無い偏光膜を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明では以下の態様の発明を提供する。
〔ポリビニルアルコール系フィルム〕
幅4m以上、厚さ50μm未満のポリビニルアルコール系フィルムであって、
フィルムの幅方向中央部における面内位相差をRc(nm)、フィルムの幅方向端部における面内位相差をRe(nm)とした場合、次式(1)及び(2)を満足するポリビニルアルコール系フィルム。
式(1) Rc≦50nm
式(2) 0.7≦Rc/Re≦1.0
〔ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法〕
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して上記ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法であって、
水分量が1〜20重量%に調整されたフィルムに、幅方向外側に張力をかけて、乾燥後のフィルム幅を製膜幅の0.92〜1.0倍とする工程を有するポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
〔偏光膜〕
上記ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜。
本発明におけるポリビニルアルコール系フィルムは、平坦な定盤上に設置した時に長方形をなすものであり、相対的に長い辺が延びる方向を長手方向と呼び、相対的に短い辺の長さを「幅」と呼ぶ。
本発明において「フィルムの幅方向」とは、一般にはフィルムの長手方向に対して略直交する方向である。特にキャスト型に吐出及び流涎して製膜されたポリビニルアルコール系フィルムにおいては、製膜する際のフィルムの流れ方向に対して略直交する方向であり、典型的には、フィルムの両縁間の距離が最短となるときの方向をいう。
「フィルムの幅方向中央部」とは、フィルムの幅方向における両縁からの距離が略等しい領域又は点をいう。
「フィルムの幅方向端部」とは、フィルムの幅方向における縁から1cm中央側の領域をいう。
「フィルムの幅方向外側」とは、フィルムの幅方向中央部から端部への方向をいう。
本発明においては、フィルムの幅方向を「TD」又は「TD方向」と称し、フィルムの流れ方向を「MD」又は「MD方向」と称する。
なお、以下では、ポリビニルアルコール系フィルムを単に「フィルム」ともいう。
本発明において、大面積かつ均質な偏光膜を得るためには、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向両端部の面内位相差を小さくすることが重要である。また、偏光膜製造工程においてフィルムが流れ方向(MD方向)に延伸されることを勘案して、幅方向両端部の面内位相差を幅方向中央部の面内位相差の値以上とすることも重要である。即ち、偏光膜製造工程においては、フィルムの幅方向中央部がMD方向に延伸され、面内位相差が増大するだけであるのに対して、フィルムの幅方向両端部は、TD方向にも引っ張られる(縮む)いわゆるネックイン現象のため、中央部ほどには面内位相差が増大しない傾向がある。そこで、偏光膜の原反であるポリビニルアルコール系フィルムの調製段階において、幅方向両端部の面内位相差を幅方向中央部の面内位相差の値以上とすることで、偏光膜製造工程においてフィルムの幅方向中央部と幅方向両端部とで面内位相差をほぼ同等にすることができる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、幅方向端部においても均質であるので、幅広、長尺、薄型の偏光膜の原反として好ましく用いられ、光学的な色ムラの無い偏光膜を得ることができる。更に、フィルム幅方向両端部における浮きがないので、偏光膜の製造を容易に行なうことができ、また大面積な偏光板を得ることができる。
図1はクロスガイダーによる張力の方向とフィルムの流れ方向との関係を模式的に示す図である。 図2はクロスガイダーの設置位置の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、幅4m以上、厚さ50μm未満であり、フィルムの幅方向(TD)中央部における面内位相差をRc(nm)、フィルムの幅方向(TD)端部における面内位相差をRe(nm)とした場合、次式(1)及び(2)を満足する。
式(1) Rc≦50nm
式(2) 0.7≦Rc/Re≦1.0
なお、面内位相差は(nx−ny)×d(nm)で表すことができる。式中、nxはフィルムの面内における最大(遅相軸方向)の屈折率を表し、nyはフィルムの面内における遅相軸と直交する方向(進相軸方向)の屈折率を表し、dはフィルムの厚さを表す。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、その製造方法について特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得ることができる。より具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャストドラム(ドラム型ロール)やキャストベルトなどのキャスト型に吐出及び流延して、キャスト法により製膜、乾燥することで、ポリビニルアルコール系フィルムを連続的に製造することができる。本発明においてポリビニルアルコール系フィルムの製造方法はキャスト法に特に限定されない。キャスト型の中では、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からキャストドラムが好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜製造時の延伸が困難となる傾向がある。
なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜とする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を製造する。ポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。かかるウェットケーキの含水率が高すぎると、所望する水溶液濃度に調整することが困難となる傾向にある。かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、とくに限定されず、例えば、加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで溶解して、所望濃度の水溶液を調製することもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、及び/又はカチオン性の界面活性剤を含有させることが、製膜性の点から好ましい。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、10〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは15〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。
かかる樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力に劣る傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができ難くなる傾向がある。
上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、この水溶液を回転するキャストドラム上に吐出及び流延して、例えばキャスト法により製膜、乾燥することで、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを連続的に製造することができ、例えば、以下の工程により製造することができる。
(A)キャスト法によりフィルムを製膜する工程。
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程。
(C)乾燥されたフィルムの両端部をスリットした後、ロールに巻き取る工程。
以下、工程(A)〜(C)について順次説明する。
〔工程(A)〕
工程(A)において、まず、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、通常、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有した多軸押出機による脱泡などの方法が挙げられる。ベントを有した多軸押出機としては、通常は、ベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理の後、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延されて、キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると、流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。
かかる水溶液の粘度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流涎が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.2〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.4〜4m/分、更に好ましくは0.6〜3m/分である。
かかる吐出速度が低すぎると生産性が低下する傾向があり、高すぎると、流涎が困難となる傾向がある。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。
かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4.5m以上であり、特に好ましくは4.8m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜7mである。
キャストドラムの幅が小さすぎると、生産性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。
かかる回転速度が低すぎると生産性が低下する傾向があり、高すぎると、乾燥が不十分となる傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。
かかる表面温度が低すぎると、乾燥不良となる傾向があり、高すぎると、発泡してしまう傾向がある。
本発明においては、キャストドラムから剥離時のフィルムの含水率が、10〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは15〜25重量%である。
〔工程(B)〕
次いで、工程(B)について説明する。
工程(B)は、製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程である。
キャストドラムで製膜されたフィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の金属加熱ロール(以下、「熱ロール」と記載する。)に交互に接触させることにより行なわれる。熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、水分率が1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%に調整されたフィルムに、フィルムの幅方向(TD方向)外側に比較的微弱な張力をかけて、乾燥後のフィルム幅を製膜幅の0.92〜1.0倍とすることが、面内位相差の制御の点で好ましい。特に好ましくは、乾燥後のフィルム幅が製膜幅の0.93〜0.97倍、更に好ましくは0.93〜0.95倍である。ここで、例えば、フィルム幅が5mの場合、0.01倍の差は5cmの差に相当するものである。
なお、ここでいう製膜幅とは、キャストドラムから剥離された直後のフィルムの幅を意味し、乾燥後のフィルム幅とは、熱ロールにより乾燥された後のポリビニルアルコール系フィルムの幅、もしくは必要に応じて熱処理された後のポリビニルアルコール系フィルムの幅である。
また、クロスガイダー、エキスパンダーロール、バナナロール及びミラボーロールから選ばれる少なくとも1種の装置によってフィルム幅方向(TD方向)外側への張力を発生させることが張力の制御の点で特に好ましく、クロスガイダー及びエキスパンダーロールから選ばれる少なくとも1種の装置によって張力を発生させることが、正確に張力を制御できる点で更に好ましい。フィルムの表面が傷つけ難い点で、クロスガイダーが殊に好ましい。以下、クロスガイダー、エキスパンダーロール、バナナロール及びミラボーロールを総括して、クロスガイダー等ということがある。
本発明におけるクロスガイダーとは、フィルムの流れ方向における各種ロールの間に設置される拡幅ロールのことであり、上下で対となる2つのロールが、搬送されてくるフィルムの幅方向(TD方向)端部を上下(フィルムの表裏)から挟み込む機能を有する。図1に示すように、かかるロール対(クロスガイダー)をフィルムの幅方向両端部にそれぞれ設置し、フィルム端部をフィルムの流れ方向(MD方向)に対して所定の角度(θ1)をなす方向へ送り出すことによって、脱水やネックインによるフィルム幅方向の収縮を抑制することができる。かかるクロスガイダーは、走行中のフィルムを、フィルム表面に摩擦やスリップによる損傷を与えることなく、中央から外側に向けて広げることができる。また、フィルム両端部を、フィルムの上下から挟み込むことにより、しわや折れ、縮みなどが発生するといった問題を解消することができる。
クロスガイダー等の設置位置は、特に限定されないが、好ましくは、複数ある熱ロールの前後、及び/又は、後述する熱処理の前後であり、特に好ましくは、面内位相差の制御の点で、複数ある熱ロールの前後であり、更に好ましくは、フィルム幅方向の両端部のうねり幅を低減する点で、最終熱ロールの直後が好ましい。クロスガイダー等の設置位置の一例を模式的に示す図を図2に示す。
なお、熱ロールの前後及び熱処理の前後における「前後」とは、熱ロール又は熱処理を基準として、流れ方向(MD方向)の上流側及び下流側をいう。最終熱ロールの直後とは、複数ある熱ロールのうち最も下流側の熱ロール(最終熱ロール)よりも下流側に配置されたニップロールを基準として上流側及び下流側それぞれ1m以内の位置を意味する。
クロスガイダーを用いる場合は、搬送されるフィルムの流れに障害を起こさないように、クロスガイダーによる張力の方向とフィルムの流れ方向(MD方向)とのなす角度θ1(°)を、5〜35°に設定することが好ましい。角度θ1(°)は、フィルムの高速搬送の点で、特に好ましくは5〜30°、更に好ましくは5〜25°である。
また、クロスガイダー等によるフィルム幅方向外側への張力P(N)は、好ましくは1〜1000Nであり、特に好ましくは2〜500N、更に好ましくは2〜200Nである。特にクロスガイダーを用いた場合における幅方向外側への張力P(N)は、クロスガイダーによる張力をT(N)とした場合、次式で与えられる(図1を参照のこと)。
P(N)=T(N)×sinθ1
本発明においては、熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特には70〜140℃が好ましい。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足したり、位相差ムラの原因となる傾向があり、高すぎると、偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーにて行う方法、乾燥後一旦常温程度まで冷却した後に再度高温の熱ロールに接触させる方法や、赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する方法等が挙げられるが、これらの中でも、均一に熱処理できる点で、フローティングドライヤーにて行う方法が好ましい。
本発明においては、かかる熱処理の前後で、クロスガイダー、エキスパンダーロール、バナナロール及びミラボーロールから選ばれる少なくとも1種の装置によってフィルム幅方向(TD方向)外側へ比較的微弱な張力、例えば10〜1000Nをかけてもよい。
〔工程(C)〕
工程(B)での乾燥が行なわれ、更に必要に応じて熱処理が行なわれたポリビニルアルコール系フィルム原反は、工程(C)を経て製品となる。工程(C)は、乾燥されたポリビニルアルコール系フィルムの両端をスリットした後、ロールに巻き取る工程である。
前述したとおり、フィルム幅方向の両端部における面内位相差が幅方向中央部における面内位相差と大きく異なる場合や、フィルム両端部にしわや折れ、縮みが有る場合には、スリットで切り落とす面積が増大する。
しかし本発明によれば、両端部と中央部との面内位相差のずれを少なくすることができ、またフィルム両端部のしわ等の発生を抑えることができるので、スリットで切り落とす面積を減少させることができ、製造効率が高いという利点がある。
なお、以上ではポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液を回転するキャストドラム(ドラム型ロール)に流延して、キャスト法により製膜、乾燥し、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明してきたが、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を樹脂フィルム上、又は金属ベルト上に流延し、製膜、乾燥して、ポリビニルアルコール系フィルムを製造することも可能である。
〔ポリビニルアルコール系フィルム〕
かくして得られる本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、幅が4m以上である。好ましくは大面積化の点から4.5m以上、更に好ましくは破断回避の点から4.5〜6mである。
ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは50μm未満であり、好ましくは40μm以下である。特に好ましくは薄型化の点から5〜30μm、更に好ましくは破断回避の点から10〜25μmである。
ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、大面積化の点から4km以上であることが好ましく、輸送重量の点から特に好ましくは4.5km以上、更に好ましくは5km以上である。
なお、フィルムの長さの上限は、破断回避の点から、好ましくは50km以下、特に好ましくは40km以下、更に好ましくは30km以下である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムの幅方向中央部における面内位相差をRc(nm)、フィルムの幅方向端部における面内位相差をRe(nm)とした場合、次式(1)及び(2)を満足する。
式(1) Rc≦50nm
式(2) 0.7(特に0.70)≦Rc/Re≦1.0(特に1.00)
好ましくは、偏光膜の大面積化の点で、次式(1’)及び(2’)を満足する。
式(1’) Rc≦40nm
式(2’) 0.8(特に0.80)≦Rc/Re≦1.0(特に1.00)
特に好ましくは、偏光板の大面積化の点で、次式(1’’)及び(2’’)を満足する。
式(1’’) Rc≦30nm
式(2’’) 0.9(特に0.90)≦Rc/Re≦1.0(特に1.00)
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、工程(B)による乾燥後のフィルムを平坦な定盤上に設置した時に、フィルム端部におけるうねり幅が、工程(C)のスリット前において、1cm以内であることが好ましい。うねり幅は、特に好ましくは0.7cm以内、更に好ましくは0.5cm以内である。うねり幅が大きすぎると、スリット時の端部破棄量が増大する傾向にある。かかるうねり幅の低減する方法としては、乾燥工程でフィルムの幅方向(TD方向)に比較的微弱な張力をかける手法、キャストドラムからフィルムを剥離する際の水分率を低減する手法、剥離剤の添加やキャストドラムの研磨によりドラムからのフィルム剥離強度を低減する手法、T型スリットダイ両端部からの水溶液吐出量を低減する手法などが挙げられる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルムを平坦な定盤上に設置した時に、フィルム幅方向両端部における、定盤表面からの浮き量の最大値が1mm以下であることが好ましい。浮き量の最大値は、特に好ましくは0.8mm以下、更に好ましくは0.7mm以下である。浮き量の最大値が大きすぎると、巻き取ることが困難になり、かつ偏光膜製造工程において巻きしわや端部折れといった現象が発生するため、製造歩留りが低下する傾向にある。かかる浮き量を低減する方法としては、乾燥工程でフィルムの幅方向(TD方向)に比較的微弱な張力をかける手法、キャストドラムからフィルムを剥離する際の水分率を低減する手法、剥離剤の添加やキャストドラムの研磨によりドラムからのフィルム剥離強度を低減する手法、T型スリットダイ両端部からの水溶液吐出量を低減する手法などが挙げられる。
〔偏光膜〕
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、フィルム端部まで均質性に優れるものであり、光学用のポリビニルアルコール系フィルムとして好適に用いられ、更には偏光膜用の原反として特に好ましく用いられる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、通常、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、特には3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは99.5%以上、特に好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H)/(H11+H)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
かくして、本発明の偏光膜が得られるが、本発明の偏光膜は光学ムラがなく偏光性能の面内均一性に優れているため、高品位な偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光膜から偏光板を製造する方法について説明する。
本発明の偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルム又はシートが挙げられる。
貼合方法は、公知の手法で行われ、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明の偏光膜は、光学ムラがなく偏光性能の面内均一性に優れているため、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で得られた偏光膜について下記の特性の測定を行なった。
(1)面内位相差(nm)
リターデーション測定装置(「KOBRA−WFD」王子計測機器(株)製、測定波長:590nm)を用いて、ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の中央部と両端部のリターデーション値を測定した。
(2)うねり幅(cm)
乾燥工程が終了したフィルム端部のうねり幅を測定した。
(3)浮き量(mm)
1m×1mのポリビニルアルコール系フィルムを採取し、23℃、50%RHの恒温恒湿室で、平坦な定盤上に1時間静置後、隙間ゲージを用いて、端部の浮き量の最大値を測定した。
(4)偏光度(%)と単体透過率(%)
得られた偏光膜の幅方向の中央部と両端部から、延伸方向200mm×幅方向40mmの短冊サンプルを切り出し、大塚電子(株)製:RETS−1100Aを用いて延伸方向に10mmピッチで10点の偏光度と単体透過率を測定し、平均値を取った。
(5)光学ムラ
得られた偏光膜の幅方向中央部と両端部から長さ30cm×幅30cmの試験片を採取し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学ムラを目視観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・光学ムラなし
×・・・光学ムラあり
〔実施例1〕
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,500kg、可塑剤としてグリセリン100kgを入れ、撹拌しながら140℃まで昇温して、樹脂濃度30重量%に濃度調整を行い、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する二軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口よりキャストドラムに、吐出速度1.7m/分で流延して製膜した。製膜後のフィルム幅は5.5mであった。キャストドラムから水分率15重量%のフィルムを剥離し、フィルムの表面と裏面とを合計10本の熱ロールに交互に接触させながら乾燥を行った。
得られた水分率5重量%のフィルムを速度8m/分で搬送しながら、クロスガイダー(山田電機工業所製、ICO10U)を用いて幅方向に拡幅し、ニップロールを通過させた。かかるクロスガイダーの引張方向とMD方向のなす角度θ1は20°であり、幅方向への張力は100Nである。
次いで、フィルム両面から温風を吹き付けて熱処理を行った。乾燥後のフィルム幅は5.1mであり、乾燥後のフィルム幅/製膜幅は0.93であった。また、熱処理後の端部のうねり幅は、1cmであった。
最後に、フィルム両端部をスリットして、幅5m、厚さ40μm、長さ5kmであり、ロール状に巻かれたポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性を表1に示す。
(偏光膜の製造)
得られたポリビニルアルコール系フィルムをロールから巻き出し、搬送ロールを用いて水平方向に搬送し、水温25℃の水槽に浸漬して膨潤させながら、流れ方向へ1.7倍に延伸した。次にヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬し染色しながら、流れ方向へ1.6倍に延伸した。次いで、ホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬し、ホウ酸架橋しながら、流れ方向へ2.1倍に一軸延伸した。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄行い、50℃で2分間乾燥して総延伸倍率5.7倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜の偏光特性を表2に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、吐出速度を0.8m/分とし、厚さを20μmに変更したポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様に偏光膜を製造し、各種特性を測定した。その結果を表1及び表2にまとめる。
〔比較例1〕
乾燥工程における幅方向への拡幅を行なわなかった以外は実施例1と同様に偏光膜を製造し、各種特性を測定した。その結果を表1及び表2にまとめる。
Figure 2017037290
Figure 2017037290
表1及び表2に示すように、Rc/Reの値が本発明規定の範囲内である実施例1及び2のポリビニルアルコール系フィルムは、Rc/Reの値が本発明規定の範囲外である比較例1のポリビニルアルコール系フィルと比較して、うねり幅及び浮き量の最大値が低いことから、幅方向端部まで使用可能な均質性に優れたポリビニルアルコール系フィルムであることが分かる。また、実施例1及び2のポリビニルアルコール系フィルムから得られた偏光膜は、比較例1のポリビニルアルコール系フィルムから得られた偏光膜と比較して、偏光度及び単体透過率が均一であり、かつ幅方向中央部にも両端部にも光学ムラがなく、偏光特性の点で優れていることが分かる。
本発明で対象とするポリビニルアルコール系フィルムから製造される偏光膜は、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
PVAフィルム:ポリビニルアルコール系フィルム

Claims (7)

  1. 幅4m以上、厚さ50μm未満のポリビニルアルコール系フィルムであって、
    フィルムの幅方向中央部における面内位相差をRc(nm)、フィルムの幅方向端部における面内位相差をRe(nm)とした場合、次式(1)及び(2)を満足するポリビニルアルコール系フィルム。
    式(1) Rc≦50nm
    式(2) 0.7≦Rc/Re≦1.0
  2. フィルムを平坦な定盤上に設置した時に、フィルム幅方向両端部における、定盤表面からの浮き量の最大値が1mm以下である請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して請求項1又は2いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法であって、
    水分量が1〜20重量%に調整されたフィルムに、幅方向外側に張力をかけて、乾燥後のフィルム幅を製膜幅の0.92〜1.0倍とする工程を有するポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  4. フィルム幅方向への張力をクロスガイダー及びエキスパンダーロールから選ばれる少なくとも1種の装置により発生させる、請求項3記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  5. クロスガイダーによる張力の方向とフィルムの流れ方向とのなす角度が、5〜35°である、請求項4記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  6. クロスガイダーによるフィルム幅方向外側への張力が、10〜1000Nである、請求項5記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  7. 請求項1又は2いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜。
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