JP2017036835A - 摺動部材およびすべり軸受 - Google Patents

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【課題】軟質層から基層内まで疲労破壊が伝播することを防止できる技術を提供する。【解決手段】本発明の摺動部材およびすべり軸受は、マトリクス中に、前記マトリクスよりも軟らかい軟質材料で構成される軟質粒子が析出した基層と、前記軟質材料によって前記基層の表面上に形成された軟質層と、を備える。前記基層と前記軟質層との間の界面において前記軟質粒子の両端を接続する直線のうち、当該両端を結ぶ連続したエッジから1μm以内に存在しない部分の長さの割合の最大値が10%以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、摺動面にて相手軸が摺動する摺動部材およびすべり軸受に関する。
Cu合金の表面を超音波洗浄することにより当該表面に多数の空壁を形成し、当該空壁内およびCu合金の表面上にBiのオーバーレイ層をめっきによって形成する技術が知られている(特許文献1、参照。)。これにより、空壁内にBiを充填しつつ、空壁内のBiがアンカーとなるようにCu合金の表面上にBiのオーバーレイ層を形成できる。
特開2009−203504号公報
しかしながら、空壁内のBiとオーバーレイ層のBiとが連続的に成長するため、空壁内のBiとオーバーレイ層のBiの結晶の方向が揃ってしまうという問題があった。つまり、摺動面に対して垂直な方向において空壁内のBiの結晶粒界とオーバーレイ層のBiの結晶粒界とが連続することにより、当該連続する結晶粒界に沿ってオーバーレイ層からCu合金まで疲労破壊が伝播するという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、軟質層から基層内まで疲労破壊が伝播することを防止できる技術を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の摺動部材およびすべり軸受は、マトリクス中に、マトリクスよりも軟らかい軟質材料で構成される軟質粒子が析出した基層と、軟質材料によって基層の表面上に形成された軟質層と、を備える。また、基層と軟質層との間の界面において軟質粒子の両端を接続する直線のうち、当該両端のそれぞれに接続するエッジから1μm以内に存在しない部分の長さの割合の最大値が10%以下である。
前記の構成において、基層に析出している軟質粒子のうち、当該基層と軟質層との界面に存在している軟質粒子は、軟質層と接合することとなる。すなわち、基層と軟質層との界面に存在している軟質粒子を構成する軟質材料と、軟質層を構成する軟質材料とが互いに接合することとなる。このように、基層と軟質層との界面に存在している軟質粒子と、軟質層との間において、同一の軟質材料が接合することとなる。本発明では、同一の軟質材料が接合する界面において、軟質粒子に特有の結晶粒構造(結晶粒の大きさ配列方向等)を有する軟質材料の結晶粒と、軟質層に特有の結晶粒構造を有する軟質材料の結晶粒との境界が形成される。従って、軟質層における軟質材料の結晶粒界と、基層中の軟質粒子における軟質材料の結晶粒界とを不連続にすることができ、軟質層にて生じた粒界破壊が基層と軟質層との界面を貫通することを防止できる。すなわち、軟質層にて生じた疲労破壊が軟質粒子を介して基層まで伝播することを防止できる。また、軟質層が含む軟質材料以外の合金成分が結晶粒界に沿って基層中の軟質粒子に拡散することを防止できる。すなわち、軟質層における軟質材料以外の合金成分が軟質粒子を介して基層まで拡散することを防止できる。軟質粒子の両端を接続する直線のうち、当該両端のそれぞれに接続するエッジから1μm以内に存在しない部分の長さの割合の最大値が10%以下である場合に、軟質粒子に特有の結晶粒構造を有する軟質材料の結晶粒と、軟質層に特有の結晶粒構造を有する軟質材料の結晶粒との境界が十分に形成され、軟質層にて生じた疲労破壊が軟質粒子を介して基層まで伝播することを防止できる。
さらに、軟質粒子に特有の結晶粒構造を有する軟質材料の結晶粒と、軟質層に特有の結晶粒構造を有する軟質材料の結晶粒との境界に、軟質材料の酸化膜が形成されてもよい。すなわち、基層の表面上に軟質層を積層する際に、予め基層の表面に露出した軟質粒子を酸化させておくことにより、基層の表面上に露出した軟質粒子から軟質層の軟質材料がエピタキシャル成長することを防止できる。すなわち、基層の表面上に露出している軟質粒子上においても、当該軟質粒子に特有の結晶粒構造とは異なる結晶粒構造を有する軟質粒子の結晶粒を成長させることができる。
また、基層のマトリクスはCu合金であり、軟質材料はBiであってもよい。BiはCu合金よりも軟らかいため、Biの軟質層によってなじみ性を確保できる。Cu合金とは、Cuを主成分として有する合金である。また、BiはCuにほぼ固溶しないため、Biの軟質粒子をCu合金にて析出させることができる。ただし、基層のマトリクスはCu合金に限られず、相手軸の硬さに応じてマトリクスの材料が選択されればよい。また、軟質材料はマトリクスよりも軟らかく、かつ、マトリクス中に析出可能な材料であればよく、例えばPbであってもよい。
摺動部材の斜視図である。 (2A),(2B)は摺動部材の断面模式図である。 (3A),(3B)は摺動部材の断面写真である。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態:
(1−1)摺動部材の構成:
(1−2)計測方法:
(1−3)摺動部材の製造方法:
(2)他の実施形態:
(1)第1実施形態:
(1−1)摺動部材の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる摺動部材1の斜視図である。摺動部材1は、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とを含む。摺動部材1は、中空状の円筒を直径方向に2等分した半割形状の金属部材であり、断面が半円弧状となっている。2個の摺動部材1が円筒状になるように組み合わせることにより、すべり軸受Aが形成される。すべり軸受Aは内部に形成される中空部分にて円柱状の相手軸2(エンジンのクランクシャフト)を軸受けする。相手軸2の外径はすべり軸受Aの内径よりもわずかに小さく形成されている。相手軸2の外周面と、すべり軸受Aの内周面との間に形成される隙間に潤滑油(エンジンオイル)が供給される。その際に、すべり軸受Aの内周面上を相手軸2の外周面が摺動する。
摺動部材1は、曲率中心から遠い順に、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とが順に積層された構造を有する。従って、裏金10が摺動部材1の最外層を構成し、オーバーレイ12が摺動部材1の最内層を構成する。裏金10とライニング11とオーバーレイ12とは、それぞれ円周方向において一定の厚みを有している。裏金10の厚みは1.3mmであり、ライニング11の厚みは0.2mmであり、オーバーレイ12の厚みは10μmである。オーバーレイ12の曲率中心側の表面の半径(摺動部材1の内径)40mmである。以下、内側とは摺動部材1の曲率中心側を意味し、外側とは摺動部材1の曲率中心と反対側を意味することとする。オーバーレイ12の内側の表面は、相手軸2の摺動面を構成する。
裏金10は、Cを0.15wt%含有し、Mnを0.06wt%含有し、残部がFeからなる鋼で形成されている。なお、裏金10は、ライニング11とオーバーレイ12とを介して相手軸2からの荷重を支持できる材料で形成されればよく、必ずしも鋼で形成されなくてもよい。
ライニング11は、裏金10の内側に積層された層であり、本発明の基層を構成する。ライニング11は、Snを10wt%含有し、Biを8wt%含有し、残部がCuと不可避不純物とからなる。ライニング11の不可避不純物はMg,Ti,B,Pb,Cr等であり、精錬もしくはスクラップにおいて混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、全体で1.0wt%以下である。
図2Aは、摺動部材1の断面模式図である。なお、図2Aにおいて、摺動部材1の曲率は無視することとする。ライニング11において、Cu−Sn合金で構成されるマトリクス11a中にBi粒子11bが析出している。Bi粒子11bは、Cu−Sn合金よりも軟らかく、本発明の軟質粒子を構成する。また、Biは本発明の軟質材料を構成する。硬質のCu−Sn合金をライニング11のマトリクス11aとして採用することにより、摺動部材1の強度および耐摩耗性を向上させることができる。
ライニング11の断面におけるBi粒子11bの平均円相当径は100μmであった。すなわち、ライニング11の断面におけるBi粒子11bの平均面積は2500×πμm2であった。また、ライニング11の断面におけるBi粒子11bの面積割合は10%であった。ライニング11におけるBi粒子11bの分布は、均一、かつ、方向依存性を有さないため、ライニング11とオーバーレイ12との界面XにおけるBi粒子11bの平均円相当径と平均面積と面積割合とは、任意の断面におけるBi粒子11bの平均円相当径と平均面積と面積割合と同じと見なすことができる。
オーバーレイ12は、ライニング11の内側の表面上に積層された層であり、本発明の軟質層を構成する。ライニング11の内側の表面は、ライニング11とオーバーレイ12との界面Xを構成する。オーバーレイ12は、Biと不可避不純物とからなる。オーバーレイ12の不可避不純物はSn,Fe,Pb等であり、オーバーレイ12のめっき液等から混入する不純物である不可避不純物の含有量は、全体で1.0wt%以下であり、Biの含有量は99%以上である。
オーバーレイ12におけるBiの結晶粒構造は、オーバーレイ12をライニング11の表面上に積層する際の結晶成長条件によって決定される。そのため、ライニング11とオーバーレイ12との界面Xに存在しているBi粒子11bを構成するBiの結晶粒構造と、オーバーレイ12を構成するBiの結晶粒構造とは、互いに異なる結晶成長条件によって決定される。従って、ライニング11とオーバーレイ12との界面Xに存在しているBi粒子11bとオーバーレイ12とは、互いに同一のBiで形成されるが、これらの間には結晶粒構造が異なる結晶粒の境界Yが形成されている。すなわち、ライニング11とオーバーレイ12との間の界面Xにおいて、ライニング11に析出したBi粒子11bに特有の結晶粒構造を有するBiの結晶粒と、オーバーレイ12に特有の結晶粒構造を有するBiの結晶粒との境界Yが形成されている。
図2Bは、オーバーレイ12にて疲労破壊Dが生じた様子を模式的に示す図である。同図に示すように、オーバーレイ12にて疲労破壊Dが生じた場合でも、Bi粒子11bとオーバーレイ12との境界Yを疲労破壊Dが貫通することを防止できる。Bi粒子11bとオーバーレイ12とは互いに結晶粒構造が異なり、Bi粒子11bとオーバーレイ12との境界YにてBiの結晶粒界が不連続となるからである。従って、オーバーレイ12にて生じた粒界破壊がライニング11とオーバーレイ12との界面Xを貫通することを防止できる。すなわち、オーバーレイ12にて生じた疲労破壊DがBi粒子11bを介してライニング11まで伝播することを防止できる。また、オーバーレイ12が含むBi以外の合金成分が結晶粒界に沿ってBi粒子11bに拡散することを防止できる。すなわち、オーバーレイ12におけるBi以外の合金成分がBi粒子11bを介してライニング11まで拡散することを防止できる。
(1−2)計測方法:
上述した実施形態において示した各数値を以下の手法によって計測した。
摺動部材1の各層を構成する元素の質量は、ICP発光分光分析装置(島津社製ICPS−8100)によって計測した。
ライニング11におけるBi粒子11bの平均円相当径を以下の手順によって計測した。まず、ライニング11の任意の断面(相手軸2の回転軸方向に垂直な方向に限らない)を粒子径2μmのアルミナ粒子で研磨した。ライニング11の断面のうち面積が0.02mm2となる任意の観察視野範囲(縦0.1mm×横0.2mmの矩形範囲)を電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6610A)によって500倍で撮影することにより、観察画像(反射電子像)の画像データを得た。そして、観察画像を画像解析装置(ニレコ社製 ルーゼックスII)に入力し、観察画像に存在するBi粒子11bの像を抽出した。Bi粒子11bの像の外縁にはエッジ(明度や彩度や色相角が所定値以上異なる境界)が存在する。そこで、画像解析装置によって、エッジによって閉じられた領域をBi粒子11bの像として観察画像から抽出した。
そして、Bi粒子11bの像を観察画像から抽出し、画像解析装置によって、観察視野範囲に存在するすべてのBi粒子11bの像について投影面積円相当径(計測パラメータ:HEYWOOD)を計測した。投影面積円相当径とは、Bi粒子11bの断面積と等しい面積を有する円の直径であり、Bi粒子11bの像の面積と等しい面積を有する円の直径を倍率に基づいて現実の長さに換算した直径である。さらに、すべてのBi粒子11bの投影面積円相当径の算術平均値(合計値/粒子数)を平均円相当径として計測した。さらに、Bi粒子11bの平均円相当径と等しい直径を有する円の面積に、観察視野範囲に存在するすべてのBi粒子11bの個数を乗算することにより、ライニング11の断面上に存在するすべてのBi粒子11bの総面積を算出した。そして、すべてのBi粒子11bの総面積を観察視野範囲の面積で除算することにより、Bi粒子11bの面積割合を計測した。なお、投影面積円相当径が1.0μm未満の場合、投影面積円相当径の信頼度や物質の特定の信頼度が低くなるため、Bi粒子11bの平均円相当径等を算出する際に考慮しないこととした。
ライニング11に析出したBi粒子11bに特有の結晶粒構造を有するBiの結晶粒と、オーバーレイ12に特有の結晶粒構造を有するBiの結晶粒との境界Yを以下の手順によって特定した。まず、摺動部材1を半径方向に切断する断面をクロスセクションポリッシャで研磨した。ライニング11の断面のうち面積が0.02mm2となる任意の観察視野範囲(縦0.1mm×横0.2mmの矩形範囲)を電子顕微鏡によって7000倍の倍率で撮影することにより、観察画像を得た。図3A,3Bは、観察画像を示す写真である。図3Aに示すように、観察画像のうちBi粒子11bが界面Xに存在する部分を目視によって観察した。さらに、図3Bに示すように、界面X上におけるBi粒子11bの両端を接続する線分L(破線)を作成し、当該線分Lから1μm以内の範囲において視認できるエッジを境界Y(一点鎖線)として特定した。
なお、線分Lのうち、当該線分Lから1μm以内の範囲においてエッジが存在している部分と、当該線分Lから1μm以内の範囲においてエッジが存在していない部分B(矢印)とを判別し、当該エッジが存在していない部分Bの長さを線分Lの長さで除算した値であるエピタキシャル度を算出した。また、界面Xに存在する複数のBi粒子11bのそれぞれについてエピタキシャル度を算出した。本実施形態の摺動部材1におけるエピタキシャル度の最大値は10%であった。なお、境界Y上のエッジは観察画像を取り込んだ画像解析装置によって検出してもよい。
(1−3)摺動部材の製造方法:
まず、裏金10と同じ厚みを有する低炭素鋼の平面板を用意した。
次に、低炭素鋼で形成された平面板上に、ライニング11を構成する材料の粉末を散布する。具体的に、上述したライニング11における各成分の質量比となるように、Cuの粉末とBiの粉末とSnの粉末とを低炭素鋼の平面板上に散布した。ライニング11における各成分の質量比が満足できればよく、Cu−Bi,Cu−Sn等の合金粉末を低炭素鋼の平面板上に散布してもよい。粉末の粒径は、試験用ふるい(JIS Z8801)によって150μm以下に調整した。
次に、低炭素鋼の平面板と、当該平面板上に散布した粉末とを焼結した。焼結温度を700〜1000℃に制御し、不活性雰囲気中で焼結した。焼結後、冷却した。
冷却が完了すると、低炭素鋼の平面板上にCu合金層が形成される。このCu合金層には、冷却中に析出した軟質のBi粒子11bが含まれることとなる。
次に、中空状の円筒を直径方向に2等分した形状となるように、Cu合金層が形成された低炭素鋼をプレス加工した。このとき、低炭素鋼の外径が摺動部材1の外径と一致するようにプレス加工した。
次に、裏金10上に形成されたCu合金層の表面を切削加工した。このとき、裏金10上に形成されたCu合金層の厚みがライニング11と同一となるように、切削量を制御した。これにより、切削加工後のCu合金層によってライニング11が形成できる。切削加工は、例えば焼結ダイヤモンドで形成された切削工具材をセットした旋盤によって行った。切削加工後のライニング11の表面は、ライニング11とオーバーレイ12との界面Xを構成する。
次に、ライニング11の表面に露出したBi粒子11bの表面を陽極酸化させることにより、Bi粒子11bの表面にBiの酸化膜を形成した。陽極酸化は以下の手順で行ったまず、電解液中にてライニング11の表面にマイナスの直流電流を流すことにより、ライニング11の表面を脱脂した。次に、ライニング11の表面を水洗した。以上の前処理が完了すると、陽極酸化浴に浸漬させたライニング11にプラスの電流を供給することにより陽極酸化を行った。10〜50g/リットルの水酸化ナトリウムを含む酸化浴の浴組成とした。浴温度は、60℃とした。さらに、ライニング11に供給する電流は直流電流とし、その電流密度は0.5〜5.0A/dm2の条件で陽極酸化した。
次に、陽極酸化後のライニング11の表面上に軟質材料としてのBiを電気めっきによって10μmの厚みだけ積層することにより、オーバーレイ12を形成した。電気めっきの手順は以下のとおりとした。まず、陽極酸化後のライニング11の表面を水洗した。さらに、ライニング11の表面を酸洗することにより、ライニング11の表面から不要な酸化物を除去した。その後、ライニング11の表面を、再度、水洗した。以上の前処理が完了すると、めっき浴に浸漬させたライニング11に電流を供給することにより電気めっきを行った。Bi濃度:10〜50g/l、有機スルホン酸:25〜100g/l、添加剤:0.5〜50g/lとを含むめっき浴の浴組成とした。めっき浴の浴温度は、25℃とした。さらに、ライニング11に供給する電流は直流電流とし、その電流密度は0.5〜5.0A/dm2とした。
以上のように電気めっきを行うことにより、ライニング11の表面に存在するBi粒子11bからBiがエピタキシャル成長することを防止しつつ、オーバーレイ12が積層できた。オーバーレイ12の積層が完了した後に、水洗と乾燥を行うことにより、摺動部材1を完成させた。さらに2個の摺動部材1を円筒状に組み合わせることにより、すべり軸受Aを形成した。
(2)他の実施形態:
前記実施形態においては、エンジンのクランクシャフトを軸受けするすべり軸受Aを構成する摺動部材1を例示したが、本発明の摺動部材1によって他の用途のすべり軸受Aを形成してもよい。例えば、本発明の摺動部材1によってトランスミッション用のギヤブシュやピストンピンブシュ・ボスブシュ等を形成してもよい。むろん、摺動部材1は、軸以外の相手材が摺動する部材であってもよい。また、ライニング11のマトリクスはCu合金に限られず、相手軸2の硬さに応じてマトリクスの材料が選択されればよい。また、軟質材料はマトリクスよりも軟らかく、かつ、マトリクス中に析出可能な材料であればよく、例えばPb,Sn,Inであってもよい。また、界面Xに必ずしもBiの酸化膜が形成されなくてもよく、例えばオーバーレイ12を電気めっきする際の印加電圧を大きく設定することにより、ライニング11のBi粒子11bからBiがエピタキシャル成長することを防止してもよい。
1…摺動部材、2…相手軸、10…裏金、11…ライニング、11a…マトリクス、11b…Bi粒子、12…オーバーレイ、12a…独自成長部、12b…エピタキシャル成長部、X…界面、Y…境界。

Claims (4)

  1. マトリクス中に、前記マトリクスよりも軟らかい軟質材料で構成される軟質粒子が析出した基層と、
    前記軟質材料によって前記基層の表面上に形成された軟質層と、を備える摺動部材であって、
    前記基層と前記軟質層との間の界面において前記軟質粒子の両端を接続する直線のうち、当該両端のそれぞれに接続するエッジから1μm以内に存在しない部分の長さの割合の最大値が10%以下である、
    摺動部材。
  2. 前記基層の前記マトリクスはCu合金であり、
    前記軟質材料はBiである、
    請求項1に記載の摺動部材。
  3. マトリクス中に、前記マトリクスよりも軟らかい軟質材料で構成される軟質粒子が析出した基層と、
    前記軟質材料によって前記基層の表面上に形成された軟質層と、を備える摺動部材であって、
    前記基層と前記軟質層との間の界面において前記軟質粒子の両端を接続する直線のうち、当該両端のそれぞれに接続するエッジから1μm以内に存在しない部分の長さの割合の最大値が10%以下である、
    すべり軸受。
  4. 前記基層の前記マトリクスはCu合金であり、
    前記軟質材料はBiである、
    請求項3に記載のすべり軸受。
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