JP2017033905A - 空気極用触媒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状配位子を有する鉄錯体及び遷移金属原子を有する無機化合物を含む空気極用触媒である。また、該空気極用触媒を含む触媒層を含んで構成される空気極である。更に、該空気極、負極、及び、電解質を含んで構成される燃料電池等の電池である。
【選択図】なし
Description
また非特許文献1にはコバルトフタロシアニンのフッ化物を用いることが記載されているが、資源量や価格面でより有利な材料を用いることが望まれるところであった。
更に、酸素還元特性に優れる空気極用触媒の材料のバリエーションを増やすことは大きな技術的意義がある。
本発明はまた、本発明の空気極用触媒を含む触媒層を含んで構成される空気極でもある。
本発明は更に、本発明の空気極、負極、及び、電解質を含んで構成される電池でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の空気極用触媒は、環状配位子を有する鉄錯体及び遷移金属原子を有する無機化合物を含む。
本発明の空気極用触媒は、環状配位子を有する鉄錯体と遷移金属原子を有する無機化合物とを両方含むことにより、環状配位子を有する鉄錯体、遷移金属原子を有する無機化合物をそれぞれ単独で用いた場合のいずれよりも酸素還元特性に優れる。これにより、本発明の空気極用触媒を用いて構成される電池において、放電反応がより円滑に進行する。
上記環状配位子を有する鉄錯体では、環状配位子中の原子が鉄原子へ配位している。
なお、上記環状配位子中の原子が鉄原子へ配位しているとは、該環状配位子中の原子が鉄原子に対して電子対を供与し、化学的に相互作用していることを意味し、該環状配位子中の原子と鉄原子との間に配位結合(共有結合)が形成されていてもよく、配位結合が形成されていなくてもよいが、配位結合が形成されていることが好ましい。
なお、本発明の空気極用触媒が環状配位子を有する鉄錯体を含むことは、質量分析法、ESR(Electron Spin Resonance)、XAFS(X-ray absorption fine structure)の解析等の通常の方法により確認することができる。
以下、上記環状配位子を有する鉄錯体を、単に鉄錯体とも言う。
上記鉄錯体における環状配位子は、例えば、下記一般式(I)で表される環状共役系配位子構造を有することがより好ましい。
上記鉄錯体は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
*−X−Y (1)
(一般式(1)中、*部分が結合部位である。−X−は、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、又は、−N(−H)−を表す。Yは、炭素数1〜18の有機基を表し、置換基を有していてもよい。)
上記鉄錯体は、例えば鉄フタロシアニンであることが特に好ましい。
上記鉄フタロシアニンの鉄原子には軸配位子としてハロゲン原子が結合していてもよいが、結合していないことが好ましい。
上記鉄錯体は、従来公知の種々の製造方法を用いて製造したり、市販品を用いたりすることが可能である。
上記遷移金属原子とは、周期律表の第3〜11族に属する元素を言い、例えばSc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、及び、Auからなる群より選択される少なくとも1つの元素が好適なものとして挙げられる。
なお、上記遷移金属原子はFe(鉄)であってもよく、その場合、本発明の空気極用触媒は、環状配位子を有する鉄錯体(有機鉄錯体)及び鉄原子を有する無機化合物を含む。
中でも、上記遷移金属原子は、周期律表の第5〜11族に属する元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、V、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、及び、Auからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、及び、Cuからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましく、Mn、Fe、及び、Coからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
更に、性能面からは、上記無機化合物が、周期律表の第5〜11族に属する元素からなる群より選ばれる少なくとも1種とともに、周期律表の第3族及び第4族に属する元素からなる群より選ばれる少なくとも1種(より好ましくは、ランタン)を含むこともまた本発明の好ましい形態の1つである。
なお、上記遷移金属原子を有する無機化合物は、遷移金属原子以外の金属原子を含んでいてもよい。
以下、上記遷移金属原子を有する無機化合物を、単に無機化合物とも言う。
上記酸化マンガンとしては、例えばMnO、Mn3O4、Mn2O3、MnO2、Mn2O7が挙げられ、中でもMn3O4、MnO2が特に好ましく、MnO2が最も好ましい。
上記塩の焼成物は、上記塩が焼成処理されて酸化物を主体とする成分等になったものである。焼成温度、焼成時間等の条件は、焼成処理において通常用いられる条件とすることができる。
上記無機化合物は、下記平均粒子径、及び/又は、下記比表面積を満たす粒子から構成されることが好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、該粗粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置等により測定することができる。なお、比表面積が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をナノ粒子化したり、粒子製造の際の調製条件を選択することにより粒子表面に凹凸をつけたりすることにより製造することが可能である。
上記無機化合物は、従来公知の種々の製造方法を用いて製造することが可能である。
上記鉄錯体に対する上記無機化合物の質量割合を上記範囲内とすることにより、本発明の効果をより顕著に発揮できる。
本発明はまた、本発明の空気極用触媒を含む触媒層を含んで構成される空気極でもある。
上記触媒層中の上記鉄錯体及び上記無機化合物の合計含有量は、触媒層100質量%中、0.1〜90質量%であることが好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著に発揮することができる。該合計含有量は、より好ましくは、1質量%以上であり、更に好ましくは、3質量%以上であり、一層好ましくは、5質量%以上であり、特に好ましくは、8質量%以上である。該合計含有量は、より好ましくは、60質量%以下であり、更に好ましくは、40質量%以下であり、最も好ましくは、20質量%以下である。
なお、本発明の空気極における上記触媒層は、本発明の空気極用触媒以外のその他の触媒成分を含んでいてもよい。
また本発明の空気極は、更に、触媒層に接して配置される集電体を含んで構成されるものであってもよい。
以下では空気極用触媒以外の電極材料、集電体について順に説明する。
本発明の空気極における上記触媒層は、更に結着剤を含んでいてもよい。
上記結着剤は、粒子同士や粒子と集電体とを結着することができるものである。
上記結着剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸塩含有ポリマー、ポリアクリロニトリル含有ポリマー、ポリアクリルアミド含有ポリマー、ポリ塩化ビニル含有ポリマー、ポリビニルアルコール含有ポリマー、ポリエチレンオキシド含有ポリマー、ポリプロピレンオキシド含有ポリマー、ポリブテンオキシド含有ポリマー、ポリエチレン含有ポリマー、ポリプロピレン含有ポリマー、ポリブテン含有ポリマー、ポリヘキセン含有ポリマー、ポリオクテン含有ポリマー、ポリブタジエン含有ポリマー、ポリイソプレン含有ポリマー、アナルゲン、ベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、トルエン、ピペロンアルデヒド、カーボワックス、カルバゾール、セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアセチレン含有ポリマー、ポリエチレンイミン含有ポリマー、ポリアミド含有ポリマー、ポリスチレン含有ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン含有ポリマー、ポリフッ化ビニリデン含有ポリマー、ポリペンタフルオロエチレン含有ポリマー、ポリ(無水)マレイン酸含有ポリマー、ポリマレイン酸塩含有ポリマー、ポリ(無水)イタコン酸含有ポリマー、ポリイタコン酸塩含有ポリマー、陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性ポリマー、環化ポリマー、スルホン酸塩、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩、第四級ホスホニウム塩ポリマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、中でも、ポリマーが好ましく、撥水性を有するポリマーがより好ましく、ハロゲン原子を含有するポリマーが更に好ましく、フッ素原子を含有するポリマーが一層好ましく、ポリテトラフルオロエチレン含有ポリマーが特に好ましい。
本発明の空気極における上記触媒層は、更に炭素材料を含むことが好ましい。
上記炭素材料としては、例えば、導電性カーボンが好適なものとして挙げられる。これにより、得られる空気極の導電性を向上させることができる。該導電性カーボンとしては、黒鉛、アモルファス炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記導電性カーボンとしては、グラフェン、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維が好ましいものとして挙げられ、グラフェン、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、アセチレンブラックがより好ましいものとして挙げられ、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックが更に好ましいものとして挙げられ、ケッチェンブラックが特に好ましいものとして挙げられる。
上記炭素材料は、配位結合できるヘテロ原子を有していてもよい。
上記炭素材料の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定することができる。
なお、平均粒子径が上述のような範囲の炭素材料は、例えば、上述した所望の平均粒子径の無機化合物を得るための方法と同様の方法により製造することが可能である。
本発明の空気極における上記触媒層は、上述した空気極用触媒、結着剤、炭素材料以外に、結着剤以外のポリマー、金属粉(例えば、亜鉛粉)等の導電性物質等の1種又は2種以上のその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の空気極は、空気極用触媒を含む触媒層に、必要に応じて集電体が積層されていてもよい。
上記集電体としては、燃料電池に集電体として使用される材料等が挙げられ、例えば、アルミニウム箔、電解アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ(エキスパンドメタル)、発泡アルミニウム、パンチングアルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、銅箔、電解銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、ニッケルメッシュ、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、発泡ニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、鋼板、パンチング鋼板、銀等が挙げられる。
先ず、必要により水及び/又は有機溶媒を、空気極用合剤と共に混練し、ペースト状とする。なお、空気極用合剤としては、上述した触媒層と同様の組成のものを使用できる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、1−ヘキサノール等のアルコール;テトラヒドロフラン;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。次に、得られたペースト混合物を上述した集電体上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工する。塗工後、0〜250℃で乾燥する。乾燥温度としてより好ましくは、15〜200℃である。乾燥は真空乾燥で行ってもよい。また、乾燥後に0.01〜100MPaの圧力で、ロールプレス機等によりプレスを行うことが好ましい。プレスする圧力としてより好ましくは、0.1〜20MPaの圧力である。
本発明は更に、本発明の空気極、負極、及び、電解質を含んで構成される電池でもある。
本発明の電池は、更に、参照極、セパレータやその他の部材を構成要素とするものであってもよい。
上記参照極としては、上記負極と同様のものを好適に使用できる。
2Zn+O2→2ZnO
4Li+O2→2Li2O、又は、2Li+O2→Li2O2
また近年、負極側に有機系電解液を、正極側に水溶液を用い、両者を固体電解質で区切ったリチウム電池も報告されている。このリチウム電池にも、本発明は適応可能である。
ケッチェンブラック(ECP−600JD、ライオン株式会社製)1.00gとPcFe(製品コード:P0774、東京化成工業製)200mg、酸化マンガン(135−09685、和光純薬工業株式会社)200mg、2−プロパノール20gを混合し、30分超音波処理にて分散させ、分散液(スラリー)を得た。上記スラリーを乾固し、空気極触媒粉体を調製した。さらにこの空気極触媒粉体160mg、基剤としてケッチェンブラック160mg、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ダイキン工業製)24mg、2−プロパノール2gをメノウすり鉢で混合し、空気極合剤を得た。上記合剤を、集電体としてNiメッシュ上に上記空気極合剤を圧着させガス拡散電極(GDE)を得た。該ガス拡散電極の対面が電解液である35%水酸化カリウム水溶液に浸り、もう一方の対面が大気となるようなセルに該ガス拡散電極を装着させた。負極と参照極として亜鉛板を電解液に浸漬させた。平衡電位から0.3Vまで3mV/秒の掃引速度で電位を掃引し、酸素還元電流を測定した。
無機化合物として酸化マンガンの代わりに亜マンガン酸ランタンストロンチウム(組成La0.8Sr0.2MnO3、製品名LMS−20、製品番号704296、アルドリッチ社製。以下、LMS−20とも言う。)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した。
無機化合物として酸化マンガンの代わりにランタンストロンチウムコバルトフェライト(組成La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3、製品名LSCF、製品番号704288、アルドリッチ社製。以下、LSCFとも言う。)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した。
ケッチェンブラック(ECP−600JD、ライオン株式会社製)1.00gとPcFe(製品コード:P0774、東京化成工業製)400mg、2−プロパノール20gを混合し、30分超音波処理にて分散させ、分散液(スラリー)を得た。上記スラリーを乾固し、空気極触媒粉体を調製した。以下、触媒の配合割合を表1に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして空気極合剤、空気極、及び、金属空気電池を作製し、酸素還元電流を測定した。
触媒としてPcFeの代わりに酸化マンガンを用いた以外は、比較例1と同様にして実施した。
触媒としてPcFeの代わりにLMS−20を用いた以外は、比較例1と同様にして実施した。
触媒としてPcFeの代わりにLSCFを用いた以外は、比較例1と同様にして実施した。
表1は上記金属空気電池について、電位掃引を行い、ある電流密度(−50、−100、−150mAcm−2)での電圧を示した表である。一般に、酸素還元触媒としての触媒作用が優れているといえるのは、同じ電流密度で比較した時に、示す電圧がより大きくなる方である。
すなわち、混合触媒を用いた実施例1の方がより高活性であることが分かった。
すなわち、混合触媒を用いた実施例2の方がより高活性であることが分かった。
すなわち、混合触媒を用いた実施例3の方がより高活性であることが分かった。
Claims (7)
- 環状配位子を有する鉄錯体及び遷移金属原子を有する無機化合物を含む
ことを特徴とする空気極用触媒。 - 前記遷移金属原子は、周期律表の第5〜11族に属する元素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の空気極用触媒。 - 前記遷移金属原子は、マンガン、鉄、及び、コバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項2に記載の空気極用触媒。 - 前記無機化合物は、酸化物である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気極用触媒。 - 前記鉄錯体は、鉄フタロシアニンである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気極用触媒。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の空気極用触媒を含む触媒層を含んで構成される
ことを特徴とする空気極。 - 請求項6に記載の空気極、負極、及び、電解質を含んで構成される
ことを特徴とする電池。
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