JP2017031275A - 熱硬化性樹脂組成物の硬化方法および熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物の硬化方法および熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂を硬化反応させる際の副生成物を抑制し得る熱硬化性樹脂組成物の硬化方法を提供することを目的とする。【解決手段】熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の硬化方法の提供。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物の硬化方法および熱硬化性樹脂組成物に関する。
シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移点(Tg)が高く、優れた耐熱特性を有することから、プリント配線板等の絶縁層を構成する基板材料として使用されている。
シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂組成物は、シアネートエステル化合物をエポキシ樹脂やポリフェニレンエーテル(PPE)、イミド樹脂等の他の樹脂成分と複合して使用される場合が多く、硬化促進剤(硬化触媒)としてオクタン酸亜鉛やナフテン酸銅等の金属石鹸(有機酸金属塩)を用いることが一般的であった。(例えば、特許文献1〜3)。
特開2011−246516号公報 特開平11-21453号公報 特開2006−124494号公報
ところで、本願発明者は、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂組成物を用いてプリント配線盤用の絶縁基板を製造する場合において、同じ配合組成で同じ加熱成形条件であるにもかかわらずTgや耐熱特性の測定結果が想定よりも低くなる場合があることに気づいた。そこで、その原因について検討し、樹脂組成物の硬化反応において硬化阻害を生じているのはないかと考えた。特に、シアネートエステル化合物の硬化反応に着目した。シアネートエステル化合物は、熱硬化反応において自重合して三量化し、トリアジン環を形成して硬化することが知られており、このトリアジン環構造が高いTgと耐熱特性を実現するために重要であると考えられる。その一方、シアネートエステル化合物の反応系に水分が存在すると、三量化の副反応としてシアネート基の加水分解が起こる。その結果、カルバメート等の複生成物ができてしまうことがある。これが、硬化後のシアネート樹脂のTgの低下、耐熱性の低下の原因となっていると推定される。
したがって、シアネートエステル化合物の反応系から水分を取り除けば、カルバメート等を生成する副反応を抑制できると考えられるが、工業生産の量産スケールにおいて、製造原料やその配合物である樹脂組成物から水分を除去することは事実上困難であった。例えば、プリント配線板等の製造では、樹脂組成物を有機溶媒で樹脂ワニス化して使用する場合が一般的であるところ、有機溶媒に含まれる水分を脱水処理することは多大なコストがかかる。しかも、有機溶媒として吸湿しやすい極性溶媒を使用する場合が多いため、樹脂ワニスから水分を除去することは極めて困難であった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂を硬化反応させる際の副生成物を抑制し得る熱硬化性樹脂組成物の硬化方法を提供することを目的とする。また、その硬化方法により硬化物を得ることが可能であって、硬化物のTgおよび耐熱特性の低下を防止できる熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本願発明者は、水分の存在下でも、シアネートエステル化合物の反応系においてカルバメート等を生成する副反応を抑制することを更に検討した。その結果、特定の硬化促進剤を用いることで、そのことが可能であることを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の一つの局面に係る、熱硬化性樹脂組成物の硬化方法は、熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを特徴とする。
前記硬化方法において、前記金属イオン錯体の中心金属が、亜鉛、コバルト、鉄、銅、マンガン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
さらに、前記金属イオン錯体の配位子である前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントが、炭素数15以上および酸素数5以上であることが好ましい。
また、前記硬化方法において、前記シアネートエステル化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のシアネート基を有することが好ましい。
前記硬化促進剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂と前記硬化促進剤とを含有する樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppmであることが好ましい。
また、本発明の他の局面に係る、熱硬化性樹脂組成物は、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂と、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤と、を含有することを特徴とする。
前記熱硬化性樹脂組成物において、前記金属イオン錯体の中心金属が、亜鉛、コバルト、鉄、銅、マンガン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
また、前記金属イオン錯体の配位子である前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントが、炭素数15以上および酸素数5以上であることが好ましい。
さらに、前記シアネートエステル化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のシアネート基を有することが好ましい。
また、前記硬化促進剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂と前記硬化促進剤とを含有する樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppmであることが好ましい。
本発明によれば、たとえ、水が存在する環境下においても、シアネート化合物を含む樹脂組成物を硬化(反応)させる際の加水分解を抑制し、また、硬化反応を促進することができる。
以下、本発明に係る実施形態について具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化方法は、熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを特徴とする。
このような構成によって、たとえ、水が存在する環境下においても、シアネート化合物を含む樹脂組成物を硬化(反応)させる際の加水分解を抑制し、また、硬化反応を促進することができると考えられる。ひいては、硬化反応後もシアネート化合物を含む樹脂組成物のTgや耐熱性を低下させることなく、さらに、樹脂ワニスのゲルタイムの安定化にも貢献することができると考えられる。
これは、金属触媒の配位子にクラウンエーテル環やクリプタンドを適用すると、中心金属のルイス酸性を低減することで、触媒活性を落とし加水分解反応を抑制することができるためと考えられる。それにより、三量化反応(トリアジン環の生成)を支配的に進めることが可能となり、カルバメート等の副生成物の生成を抑制することができる。
本実施形態におけるシアネート化合物は、一般に、樹脂を形成するための各種化合物の硬化剤として作用し、剛直な骨格を形成する成分である。このために、樹脂組成物に高いガラス転移点(Tg)を与える。また、低粘度であるために得られる樹脂ワニスの高流動性を維持することができる。また、誘電率や誘電正接等の誘電特性に優れている。
なお、シアネートエステル化合物は、硬化促進剤の存在により、シアネートエステル化合物同士で自重合する。シアネート基同士が自重合反応してトリアジン環が形成され、このトリアジン環の形成が耐熱性向上に寄与する。
本実施形態のシアネート化合物は、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート化合物であることが好ましい。
その具体例としては、例えば、ビスフェノールA型シアネートエステル、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等またはこれらの誘導体等の芳香族系シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物としては、上記シアネート化合物を含む樹脂組成物であれば、特に限定はない。
例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらのうち、シアネート化合物と併用して良好な硬化反応を示すものとして、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂が好ましい。これらの他の熱硬化性樹脂は、1種または2種以上が併用されてもよい。尚、前記熱硬化性樹脂として含有させる熱硬化性化合物は、シアネート化合物や、その他の主剤樹脂として併用する樹脂成分に対していわゆる硬化剤(架橋材)として機能するものも含まれる。
前記熱硬化性樹脂としてシアネート化合物とともにエポキシ樹脂を併用する場合、使用できるエポキシ化合物は特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、複素環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などが挙げられる。上記のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記のノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記脂環式エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等が挙げられる。上記グリシジルエステル類としては、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等が挙げられる。上記グリシジルアミン類としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。上記複素環式エポキシ樹脂としては、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。また、臭素化エポキシ樹脂としては、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
本実施形態で用いられる硬化促進剤は、クラウンエーテルの金属イオン錯体及び/またはクリプタンドの金属イオン錯体のうち少なくとも一つを含有することを特徴とし、クラウンエーテルの金属イオン錯体及び/またはクリプタンドの金属イオン錯体のうち少なくとも一つそのものであってもよい。
本実施形態において、前記金属イオン錯体の中心金属は、特に限定はされないが、例えば、亜鉛、コバルト、鉄、銅、マンガン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
上記中心金属については、特に、亜鉛、コバルト、鉄であることが好ましい。これらは、炭素数が15〜18、酸素数が5〜6のクラウン環に適合しやすい中心金属であるという観点からである。
また、前記金属イオン錯体の配位子である前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントにおける炭素数および酸素数、すなわち、配位子の大きさは特に限定はなく、金属原子の大きさによって最適な大きさを選択することができる。また、クラウンエーテル及び/またはクリプタンドには、短鎖〜長鎖のアルキル基、またはアリール基を代表する官能基を有するものが含まれる。
具体的には、例えば、前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントにおいて炭素数が15以上および酸素数が5以上であることが好ましい。亜鉛、コバルト、鉄といったシシアネートエステルの反応を効果的に加速させる金属イオンとの適合性に優れるからであるというメリットがあるからである。
なお、前記炭素数および酸素数に特に上限はないが、中心金属との適合性という理由から、炭素数については21以下、酸素数については7以下であることが好ましい。
より具体的には、クラウンエーテルとしては、例えば、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−18−クラウン−6、等が挙げられる。
また、クリプタントとしては、例えば、クリプタント[2,2,2](IUPAC名:1,10−ジアザ−4,7,13,16,24,24−ヘキサオキサビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)、等が挙げられる。
本実施形態に係る硬化方法で用いられる硬化促進剤は、公知慣用技術を用いて得ることができるが、市販のものを使用することができる。例えば、配位子となるクラウン環と中心金属となる金属塩を反応容器中にて混合して調整することができる。
前記硬化促進剤としては、クラウンエーテルの金属イオン錯体及び/またはクリプタンドの金属イオン錯体以外の他の硬化促進用の化合物を含めることもできる。他の硬化促進用の化合物としては、シアネート化合物を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進することができるものであれば、特に限定されず、例えば、イミダゾール系化合物、有機ホスフィン系化合物、三級アミン系化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、無機充填材、難燃剤、添加剤等が挙げられる。
無機充填材は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性や難燃性、低膨張率化、熱伝導性などを向上させる目的で、公知のものを含めて種々のものを使用できる。無機充填材としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの無機充填材のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。また、無機充填材は、そのまま用いてもよく、目的に応じてエポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものを用いてもよい。
難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤やハロゲン系難燃剤等が挙げられる。リン系難燃剤の具体例としては、縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル、環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等のホスフィン酸塩系難燃剤等が挙げられる。また、ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤等が挙げられる。また、ハロゲンフリーの観点から、リン系難燃剤が好ましく用いられる。難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、及びアクリル酸エステル系消泡剤等の消泡剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤、湿潤分散剤等の分散剤等が挙げられる。これらの添加剤のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上記の熱硬化性樹脂、硬化促進剤、及び必要に応じて他の成分を配合し、例えば、以下のようにして調製される。
まず、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられ、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、熱硬化性樹脂組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、ベンゾオキサジン化合物等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、THF等が挙げられる。
本実施形態の硬化方法は、熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを行う限りにおいて、特にその他の工程等について限定はない。
具体的には、例えば、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化にあたっては、シアネート化合物の硬化反応が実質的に開始する温度以上に加熱することで行うことができる。この加熱硬化としては、例えば、190℃以上に加熱して硬化させるとよく、好ましくは、190℃以上210℃以下の範囲で硬化させるとよい。尚、前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる具体的な温度条件は、熱硬化性樹脂組成物の利用用途や目的により適宜設定することができ、特に制限されるものではない。
本実施形態の硬化方法において、前記クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤の添加量は、樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppm程度であることが好ましい。10ppm未満だと硬化不良を引き起こすおそれがあり、300ppmを超えるとワニスのゲル化を引き起こす傾向がある。
本実施形態における熱硬化性樹脂組成物の硬化反応の進行度合いは、様々な方法により計測できるが、生成物におけるシアネート化合物、トリアジン環硬化物、カルバメート等の成分比率を測定することによって行うことができる。すなわり、トリアジン環硬化物/カルバメートの比率を求めることにより、正反応と副反応(カルバメートの生成)の比率を測ることができる。
具体的には、生成物における各成分の比率は13C−NMR分析および1H−NMR分析にて算出することができる。
次に、前記熱硬化性樹脂組成物を適用できる利用用途について説明する。前記熱硬化性樹脂組成物の利用用途は、その特性を活用できる分野であれば特に限定されるものではないが、例えば電子材料分野において特に有用である。例えば、金属張積層板やプリント配線板の分野における絶縁材料、半導体部品等の電子部品を封止するのに用いる封止材、その他の絶縁性あるいは高耐熱用途の成形材料などが挙げられる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
すなわち、本発明の一つの局面に係る、熱硬化性樹脂組成物の硬化方法は、熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを特徴とする。
このような構成により、たとえ、水が存在する環境下においても、シアネート化合物を含む樹脂組成物を硬化(反応)させる際の加水分解を抑制し、また、硬化反応を促進することができると考えられる。ひいては、硬化反応後もシアネート化合物を含む樹脂組成物のTgや耐熱性を低下させることなく、さらに、樹脂ワニスのゲルタイムの安定化にも貢献することができると考えられる。
また、前記硬化方法において、前記シアネートエステル化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のシアネート基を有することが好ましい。
前記硬化促進剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂と前記硬化促進剤とを含有する樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppmであることが好ましい。それにより、シアネートエステル化合物を硬化させることができる。
以下に、本発明を、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例によって何ら限定されない。
(実施例1〜9、及び比較例1〜6)
表1に示した配合比率(mmol)でエポキシ樹脂(4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル)、シアネートエステル化合物(フェニルシアネート、東京化成社製)および水を配合して、そこへ金属濃度が表中に示した濃度となるように、表1に示す各硬化促進剤を添加した。具体的には各材料を容器に量り取り3時間加熱還流を実施した。反応後13C−NMR分析および1H−NMR分析にて硬化反応生成物の成分比率(%)を算出した。
さらに、得られた成分比率を用いて、トリアジン環とカルバメートの比率により、正反応と副反応の割合を算出した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2017031275
本発明に係る実施例1〜9で得られたエポキシ樹脂組成物硬化物では、いずれも、十分に硬化反応(正反応)が進行したため、トリアジン環硬化物が十分に生成していた。一方、従来の硬化促進剤を使用した比較例1〜6では、正反応があまり進行しなかった。また、水を添加しなかった比較例1では、副生成物であるカルバメートは発生しなかったが、水を添加した比較例2〜6ではカルバメートが多く生成されてしまった。
(実施例10〜18、及び比較例7〜12)
硬化促進剤を表2に示すものに、エポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ化合物に、そして、シアネートエステル化合物をビスフェノールA型シアネートエステル(ロンザ社製「Primaset BADCy」)に変更した以外は、実施例1と同様にして、表2に示した配合比率(mmol)でエポキシ樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様に、反応後の生成物および正反応/副反応を評価した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2017031275
シアネートエステル化合物を変更しても、本発明に係る実施例10〜18で得られたエポキシ樹脂組成物硬化物では、いずれも、十分に硬化反応(正反応)が進行したため、トリアジン環硬化物が十分に生成していた。一方、従来の硬化促進剤(硬化触媒)を使用した比較例7〜12では、正反応があまり進行しなかった。また、水を添加しなかった比較例7では、副生成物であるカルバメートは発生しなかったが、水を添加した比較例8〜12ではカルバメートが多く生成されてしまった。
以上の結果より、本発明に係る硬化方法により、シアネートエステル化合物を含む樹脂組成物の硬化反応を良好に進行させることができ、さらに、たとえ、水が反応系に存在していても、副生成物であるカルバメートの生成も抑えることができることが示された。

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂組成物の含有成分として、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂とともに、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤を含有させ、加熱して硬化させることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  2. 前記金属イオン錯体の中心金属が、亜鉛、コバルト、鉄、銅、マンガン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  3. 前記金属イオン錯体の配位子である前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントが、炭素数15以上および酸素数5以上である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  4. 前記シアネートエステル化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のシアネート基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  5. 前記硬化促進剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂と前記硬化促進剤とを含有する樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppmである、請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化方法。
  6. シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂と、クラウンエーテルの金属イオン錯体とクリプタンドの金属イオン錯体とから選ばれる少なくとも1種を含む硬化促進剤と、を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記金属イオン錯体の中心金属が、亜鉛、コバルト、鉄、銅、マンガン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種である、請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記金属イオン錯体の配位子である前記クラウンエーテルまたは前記クリプタントが、炭素数15以上および酸素数5以上である、請求項6または7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記シアネートエステル化合物が、分子内に少なくとも2つ以上のシアネート基を有する、請求項6〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. 前記硬化促進剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂と前記硬化促進剤とを含有する樹脂組成物全体に対する金属濃度で10ppm〜300ppmである、6〜9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
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