JP2017029935A - 膜分離装置 - Google Patents

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陽介 花本
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Abstract

【課題】膜エレメントの洗浄を均一に行うことが可能な散気装置を備える膜分離装置を提供する。
【解決手段】被処理液をろ過処理して処理液を得る膜分離装置100であって、前記被処理液をろ過処理する膜状のろ過膜を、対向して外郭を形成する1対の延在面を形成する状態で備えられ、前記被処理液を前記ろ過膜でろ過処理して前記処理液を得るための膜エレメント4と、膜エレメント4の延在面が鉛直方向に沿った状態で、複数の膜エレメント4が膜間流路の間を空けて水平方向に並んで備わる膜モジュール5と、膜モジュール5を内部に備える膜分離槽3と、前記膜間流路の前記被処理液に散気する散気孔を有する散気管1,2,3と、を備え、散気管1,2,3の軸は、上面視で、膜エレメント4の延在方向に交差した状態で有し、散気管1,2,3はループ状に構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は膜分離装置に関する。
特許文献1には、被処理液をろ過処理して処理液を得る膜分離装置であって、前記被処理液をろ過処理する平膜状のろ過膜が、対向して外郭を形成する1対の延在面を形成するように設けられ、前記被処理液を前記ろ過膜でろ過処理して前記処理液を得るための膜エレメントと、前記膜エレメントの延在面が鉛直方向に沿うように、複数の前記膜エレメントが膜間流路の間を空けて水平方向に並んで設けられる膜モジュールと、当該膜モジュールが内部に配置される膜分離槽と、前記膜間流路の前記被処理液に散気する散気孔が形成される散気管とを備え、前記散気管の軸は、上面視で、前記膜エレメントの延在方向に交差して配置される膜分離装置が記載されている。
特開2013−158764号公報
特許文献1に記載の技術について、さらに散気を十分均一に行うようにすることが望まれる。本発明はこのような課題に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、膜エレメントの洗浄を均一に行うことが可能な散気装置を備える膜分離装置を提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、膜エレメントの延在方向に交差する方向に散気管を配置するとともに、配置された散気管をループ状に形成することで前記課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、膜エレメントの洗浄を均一に行うことが可能な散気装置を備える膜分離装置を提供することができる。
膜分離ユニットの斜視図である。 膜分離ユニットを構成する膜モジュールの斜視図である。 膜エレメントを取り付けてなる膜モジュールの斜視図である。 膜分離ユニットの下部に取り付けられた散気装置を構成する、空気供給管とモイスチャ管とを備える散気管の上面図であり、(a)及び(b)は実施例、(c)及び(d)は比較例である。 膜分離ユニットを備えた膜分離装置における、水及び気泡の流れを示す概念図である。 シミュレーションで用いた散気装置の形態を示す図である。 シミュレーションで用いた膜分離装置のシミュレーションモデルを説明する図である。 シミュレーションに用いた散気管を説明する図である。 シミュレーションによって得られた膜面洗浄に必要な流速を説明するグラフである。 シミュレーションによって得られた流速のばらつきを説明するグラフである。 実際の膜分離装置における測定(実験値)によって得られた膜面洗浄に必要なせん断力を説明するグラフである。 実際の膜分離装置における測定(実験値)によって得られたせん断力のばらつきを説明するグラフである。 実験によって得られた膜面洗浄に必要な流速を説明する図である。 シミュレーションに用いた散気管の流速分布を説明する図である。 シミュレーションによって得られた散気管の散気孔から発生する気泡の吐出圧を比較するグラフである。 散気管の吐出圧を測定する実験装置の構成を説明する図である。 吐出圧の測定を行った散気孔の位置を説明する図である。 各散気孔における、気相中の散気孔のノズル部流速比を説明する図である。 各散気孔における、液相中の散気孔のノズル部流速比を説明する図である。 図16に示す実験装置を用いた実験により得られた、気相と液相との流速を比較するグラフである。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。
図1は、膜分離ユニット10の斜視図である。膜分離ユニット10は、本実施形態では、固液分離のための膜分離活性汚泥法(MBR)に使用される。そして、膜分離ユニット10を備える膜分離装置100(図5参照)は、被処理水(被処理液)をろ過処理して処理液を得るものである。膜分離ユニット10は、被処理水を濾過して清澄水を分離する膜モジュール5と、その下方に備えられ、気泡を放出する散気装置8とを備えている。また、図1では図示していないが、膜分離ユニット10には、被処理水をろ過吸引するろ過ポンプ12や配管2(いずれも図5参照)が備えられている。
図2は、膜分離ユニット10を構成する膜モジュール5の斜視図である。膜モジュール5は、膜エレメント4が鉛直に立てられて複数配置されることで構成される。この膜エレメント4は、被処理水(被処理液)をろ過処理する膜状のろ過膜が対向して外郭を形成する1対の延在面を形成するように設けられ、当該被処理水を当該ろ過膜でろ過処理してろ過処理水(処理液)を得るためのものである。そして、従って、膜モジュール5は、この膜エレメント4の延在面が鉛直方向に沿うように、複数の膜エレメント4が膜間流路の間を空けて水平方向に並んで設けられて構成される。
図3は、膜エレメント4を取り付けてなる膜モジュール5の斜視図である。膜モジュール5は、複数の膜エレメント4の集合体をケーシング7に実装してなるものである。
図4は、膜分離ユニット10の下部に取り付けられた散気装置8を構成する、空気供給管とモイスチャ管(いずれも図4では図示しない)とを備える散気装置8の上面図であり、(a)及び(b)は実施例、(c)及び(d)は比較例である。図4において、散気装置8の上面視で、散気装置8を構成する散気管1,2,3の軸方向に対して交差(本実施形態では直交)して配置される膜エレメント4は仮想線で示している。
図4(a)に示すように、散気装置8は、図4では図示しない空気供給管14(気体供給口)が接続されたヘッダ管15(上流側ヘッダ管)と、ヘッダ管15に対して並列に接続された三本の散気管1,2,3(接続管)と、散気管1,2,3に接続され、通常は閉じられているモイスチャ管16が接続されたヘッダ管17(下流側ヘッダ管)とを備えて構成される。このことを換言すれば、ヘッダ管15とヘッダ管16とは、並列に架け渡された散気管1,2,3によって連通されている。そして、散気装置8では、ヘッダ管15、散気管1,2,3及びヘッダ管17により、ループが形成されている。即ち、散気装置8では、散気管1、ヘッダ管17、散気管3及びヘッダ管15のループと、このループをバイパスするような散気管2とが備えられている。
ここで、従来は、図4(c)や図4(d)に示すように、ループが形成されておらず、空気供給管14から供給された空気は、いったん分岐して接続管を通流すると、それらが合流することがない。そのため、ヘッダ管15を通じて散気管1,2,3への空気の導入後、散気管1,2,3に形成された散気孔のうち、手前側の散気孔からは多くの空気が散気される一方で、奥側の散気孔から散気される空気は少ない。そのため、散気ムラが生じ、膜エレメントの洗浄を均一に行うことができない。
しかし、図4(a)に示すようにループが形成されていることで、散気装置8では、空気が供給される空気供給管14からみて奥側のヘッダ管17において、各散気管1,2,3において散気されなかった空気が合流され、全体として適度な空気圧が維持される。そのため、散気管1,2,3の全体において均一な散気が可能となる。そして、均一な散気が可能となることで、従来は全域で確実な散気を行うために計算量よりも多めに空気を通流させていたが、ほぼ計算値通りの空気を通流させても全域で均一な散気が可能となる。
また、ヘッダ管15の端部15aと、ヘッダ管17の端部17aとは、いずれも封止されているものの、これらはいずれも、散気管1,3に対して少し外側に飛び出すようにして形成されている。そのため、ヘッダ管15を通流する空気が、ヘッダ管15の端部15aの内部を経由して、散気管1,2,3に通流するようになっている。そのため、ヘッダ管15を通流する空気は、この端部15aの部分によって適度な圧力損失を生じ、これにより、散気管2の内部を一気に空気が通流してしまうことが防止され、散気管1,3の内部に十分な空気の供給が可能となる。そして、これにより、より確実に、散気管1,2,3の全域に亘って均一な散気が可能となる。
さらに、散気装置8を構成する各管のうち、膜エレメント4の下方に配置された散気管1,2,3には散気孔1x,2x,3xがそれぞれ形成されている。一方で、膜エレメント4の延在方向に平行な方向に配置されたヘッダ管15,17には、散気孔は形成されていない。即ち、散気孔は、本実施形態では、散気管1,2,3にのみ形成され、ヘッダ管15,17には形成されていない。そして、散気管1,2,3に形成された散気孔は、それぞれの散気管1,2,3において、等間隔で形成されている。これらのことから、それぞれの散気管1,2,3に形成された散気孔1x,2x,3xから、均一な量の空気が膜エレメント4に対して満遍なく散気される。
なお、前記のループは、図4(b)に示すように、散気孔の形成されていない散気管を外郭に含んで構成されてもよい。
図5は、膜分離ユニット10を備えた膜分離装置100における、水及び気泡の流れを示す概念図である。図5では、図示の簡略化のために、各部材を簡略化して示している。また、図5では、三段の膜モジュール5が積み上げられることで、膜分離装置100が構成されている。膜分離装置100は膜分離活性汚泥装置であり、膜分離ユニット10が汚泥等の原水(被処理液)が流入するタンク3(膜分離槽)に浸漬されている。そして、ろ過運転により固液分離され、膜分離装置100から被処理水が取り出される。
散気装置8から気泡11を発生させ、膜エレメント4,4(図5では図示しない)間に形成される膜間水路内に気泡11を滞留浮上させることにより、気液混相の状態である該水路内と単相の状態である外部との密度差によって、図5に示すように該水路内の気液混相流体の上昇及び液相の循環が生じる。これは一般にエアリフトと称される現象である。一方で、膜エレメント4に吸水されたろ過被処理水は、被処理水吸引装置(ポンプ)12駆動源とする吸引力によって膜エレメント4の内部を上昇し、外部に排出される。
ここで、従来の膜分離装置(前記の特許文献1参照)が有していた課題である散気の不均一さについて説明する。
図5に示すように、散気装置8から空気が散気された後、気泡11は、散気装置8の上部領域に一斉に噴出し、上昇する。このとき、液相もここに吸い込まれる。そのため、気液二相流は前記膜間流路内を上昇し、当該膜分離ユニット10の上部に達したのち、気泡11は該上部領域の自由表面(即ち水面)から大気中へ開放される。
一方で、液体(被処理液)は、重力エネルギ、及び、散気装置8の近傍での吸込み効果により、膜モジュール5とタンク3の内壁との間にある領域を下降する。そして、散気装置8の近傍から再び吸込まれ、該膜間流路を再び上昇し、循環流が形成される。この循環流を形成する駆動力が、おおよそ当該気液二相流が上昇する領域の流体の密度と、当該下降流部等の液相のみの単相流部領域の流体密度(液体密度)との差となる。
このようにして形成された膜間流路内の気液二相流により発生する、膜面に作用するせん断応力が、ろ過により膜面に付着した汚濁物を剥離させ、洗浄回復させることで連続的な膜ろ過運転が可能となる。この膜面洗浄効果を高めるには、散気量を増やすことで高い流速の二相流を発生させることにより、当該せん断応力を高めることで実現可能である。
しかしながら、散気量を単に増やすことは、散気動力が増えコスト面で損失となる。また、ボイド率が無次元駆動力を表す一方で、高くなりすぎると速度すべりが生じて高い流速を与えることができない。その上、散気量を増やすことにより、膜間流路の気液二相流の圧縮性が原因となり、膜エレメントに振動や応力が生じ、エレメントを変形や破壊等の悪影響が生じる。このような現象は、特に膜間流路に入る気泡が不均等である場合、流路ごとでの当該圧縮性の違いから、これらの問題が生じ易くなる。
膜エレメント4に平行に配置された(ヘッダ管15,17に架け渡された)散気管1,2,3(図4(d)参照)では、散気管上部に散気孔から吐出された気泡が集中するため、散気管から離れた膜エレメント4に気泡を分配させるために過剰な散気量で設計されている。さらに、MBRの種類によっては、散気効率を向上させる目的で膜モジュール5が多段に設置される場合もあり、上段に設置された膜モジュール5は、下段よりも散気の隔たりを受けることから、さらなる応力集中が加わる。そのため、散気装置8の上部での膜間流路に気泡が集中することで、膜エレメント4に応力が集中し、膜エレメント4の洗浄の不均一さにつながる。
そこで、本実施形態では、散気量を過不足なくすることで散気量を従来よりも低減できるような効率的な散気構造であって、特に前記のような散気の不均一性が生じない散気装置8が検討されている。
以下、散気装置8の構造について、シミュレーション及び実験を行ってより詳細な検討を行った。
図6は、シミュレーションで用いた散気装置8の形態を示す図である。図6(a)〜(d)はそれぞれ散気装置8での散気管1a,1b,1c,1dと膜エレメント4との配置の関係を示す図である。このシミュレーションは数値流体力学(CFD)に基づいて行った。シミュレーションでは、膜エレメント4に対し一本の散気管(散気管1a)を平行に配置(図6(a)のCase1)した散気構造と、複数の散気管を直交に配置(図6(b)〜(d)のCase2〜4)した散気構造とした。Caseの番号が大きくなれば、散気管の本数も多くなる。具体的には、Case2では散気管1b,1cが、Case3では散気管1b,1c,1dが、Case4では散気管1b,1c,1d,1eが、使用されている。一方で、散気管の本数が多くなれば、一本あたりの通気量が減少するため、散気孔ピッチも短くなっている。膜エレメント4の長手方向の幅は484mm、膜エレメント4を対向して配置したときの厚さは165mmである。
これらのうち、特に図6(d)に示すように、全膜間流路投影面領域(膜エレメント4の投影面)に対して広く二次元的に散気孔を分散配置させることで、前記の膜間流路へ進入上昇する特定の流路への気泡を均等分配させることができる。従って、図6の結果に基づけば、散気管の本数は3本以上程度が好ましいと考えられる。
図7は、シミュレーションで用いた膜分離装置100のシミュレーションモデルを説明する図である。即ち、CFDによる散気構造の検討条件を図7に示す。本CFDによる検討には、市販計算ソフトANSYS FLUENTを用い、混相流モデルとして離散粒子モデル(Discrete Particle Model、以下「DPM」という)、乱流モデルとして標準型k−εモデルを採用した。
図8は、シミュレーションに用いた散気管1,2,3を説明する図である。図8に示すとおり、シミュレーションに用いた構造模式図における散気孔径は4mmを採用し、膜モジュール5に対して三本の散気管1,2,3で構成している。それぞれの散気管には散気孔を二列に千鳥状に51カ所配置した。また、散気孔のないヘッダ管15,17の配管長は、三本の散気管1,2,3の配置幅よりも長くし、これにより、各ヘッダ管15,17に端部15a,17aを形成した。
以下、シミュレーションの具体的な方法を説明する。
CFDによる散気管の吐出状態の計算は、全ての散気孔からの吐出速度を求め、全体平均値からのばらつきを評価した。ばらつきは、全ての散気孔の吐出速度から得られた全体平均値に対するCv値で評価した。評価に用いたCv値は、以下の式(1)で求めた。ここで、Nは散気孔個数、Vは各散気孔の吐出速度、Vavgは該吐出速度全体の平均値を示している。計算には、市販の汎用流体計算コードANSYS−FLUENTを用いた。
Figure 2017029935
本計算における乱流モデルは、標準k−εモデルを採用した。気相中での評価は、気相のみの単相流の計算になることから、通常のEuler解法による定常計算を行った。ここで、FLUENTには定常計算ソルバーが無い為、散気管内の一点について流速が変化しなくなった時点を定常解に到達したと考え、当該時間のプロファイルを定常解として採用した。また、液相中での評価では、初期状態において図8に示した散気管外の流体相を液相として定義し、散気孔から気相を吐出する気液二相流の非定常計算を行った。
気液二相流の計算では、計算負荷が非常に高い為、散気管内の流速と圧力が十分に発達したと考えられる2秒時のデータを評価用のデータとして採用した。気相及び気液二相流の計算のいずれにおいても、散気管の供給部面(図8での空気供給管14とヘッダ管15との境目)を入り口境界条件として定義し、本境界面から一定流量で気相を供給させている。そのため、散気管配管内の気相についても計算を行い、気相中での評価では散気管内外の気相の計算、液相中評価では散気管内部の気相の計算、及び散気管外部の気液二相流の計算を行っている。
液相中評価は、散気管外部領域での気液二相流計算方法(混相流計算モデル)を用いた。当該領域での気液二相流計算にはVOF法(Volume of Fluid法)を用いた。本計算では、散気孔からの吐出速度の評価の他、吐出後の気泡の広がりについても可視化による確認を行う都合、気泡をメッシュで解像し気液境界面を可視化する手法としてVOFを用いた。
VOFモデルは、固定オイラーメッシュに適用される表面追跡手法である。これにより、流体間の境界の位置が注目される2種類以上の非混合流体を対象として計算される。VOFモデルでは、一組の運動方程式が各流体によって共有され、各計算セル内の流体別の体積分率が領域全体にわたって追跡される。従って、混相流ではあるが、一流体モデルである為、一種類の流体相としての運動方程式が解かれる。この運動方程式を以下の式(2)で表す。
Figure 2017029935
また、密度ρや粘性係数μ等の物性値は、各計算セル内における各流体相の体積分率αを用いて、以下の式(3)と式(4)のように各体積分率で重み付けして与えられる。
Figure 2017029935
Figure 2017029935
式(3)及び式(4)中、αの添え字qは混相流体の区別を表すものであり、本計算のように気液二相流の場合は、添え字の次数は2であり、例えば添え字1が液相、添え字2が気相を表す。この場合、あるセルにおいてαがゼロである場合、そのセルは全て気相で占められていることを表現する。同様に、質量保存の式についても、運動量の式と同様に一組の以下の式(5)が解かれると同時に、全ての流体相の体積分率の総和が1となる、体積分率の輸送式(以下の式(6))が解かれる。
Figure 2017029935
Figure 2017029935
図9は、シミュレーションによって得られた膜面洗浄に必要な流速を説明するグラフである。図9には、CFDの結果から得た、膜間平均流速の平均値(以下、「平均上昇流速」という)、及び、下降流部流速の平均値(以下、単に「下降流部流速」という)が示されている。また、図10は、シミュレーションによって得られた流速のばらつきを説明するグラフである。図10には、Cv値(ばらつき)が示されている。
図9に示すように、散気管1a,1b,1c,1dの本数を増やすに従い、僅かではあるが上昇下降ともに平均流速は増加する傾向があった。また、図10に示すように、散気管1a,1b,1c,1dが平行1本の場合(Case1)、膜間流路の平均流速のばらつきが大きかった。これらの理由は、Case1では、無次元駆動力であるボイド率のばらつきが発生することから、散気管が複数の場合に比べて平均流速が低くなると考えられる。
図11は、実際の膜分離装置における測定によって得られた膜面洗浄に必要なせん断力を説明するグラフである。また、図12は、実際の膜分離装置における測定によって得られたせん断力のばらつきを説明するグラフである。これらのグラフは、前記の図9及び図10の結果とは異なり、実際の膜分離装置100における測定結果である。
図11に示すように、散気管一本(Case1)の場合、中央の膜面(九枚の膜エレメント4のうちのNo.4〜No.6の膜エレメント4の膜面)のせん断応力が大きく、両端の膜面のせん断応力が小さい。また、図12に示すように、散気管一本(Case1)の場合、各膜面上のせん断応力のばらつきが大きいが(Cv値:0.15〜0.25)、膜面に対し直交に配置した散気管を複数にした場合には(Case2〜4)、全体的にばらつきが小さくなる(Cv値:0.05程度)。散気管三本以上では大きな違いはなかった(Case3〜4)。
図13は、実験によって得られた膜面洗浄に必要な流速を説明する図である。図13には、実験による10個の平均上昇流速及び下降流部流速、並びに10個の膜間平均流速間のばらつきが示されている。平均上昇流速及び下降流部流速のいずれについても、CFDの結果(図9参照)と同じく、Case3(直交散気管三本)で最大であり、Case4(直交散気管四本)の場合に比べ幾分高い結果を示している。また、下降流部流速についても同様で、Case1と同等以上の槽内の循環流量が得られている。
平均上昇流速及び下降流部流速に関し、散気管三本の場合(Case3)の流速が、散気管四本の場合(Case4)に比べやや高くなる理由としては、散気管本数が多いことで、散気管設置部の流体抵抗が高くなり循環流を生成するため駆動力が低下するものと考えられる。そのため、散気孔が形成された散気管の本数は三本にすることが特に好ましいことがわかる。
以上のことから、三本の散気管を膜エレメント4に対して交差して配置し、かつ、ループ状にすることが好ましいことがわかる。この理由は以下の通りである。即ち、散気孔から散気すると、散気孔からの吐出にはばらつきが発生する。そこで、このようなばらつきを抑えることが、膜エレメント4の均一な洗浄には好ましい。そこで、膜分離装置100では、図4(a)及び(b)を参照しながら説明したように、散気管がループ状に構成されている。このようにすることで循環流を形成し、ループ状の散気管内の圧力の勾配を小さくすることで、散気孔から均等に散気し、かつ膜間流路に均等に気泡を分配する構造を与えることができる。これによれば、各膜間に膜面洗浄に必要な膜間上昇流速を与え、当該散気管から吐出される気泡を各膜間流路に均等に分配することで効率的な膜面洗浄が期待できる。
図14は、シミュレーションに用いた散気管の流速分布を説明する図である。図14において示す矢印の向きと長さは、その地点からの空気の流れ方向と流れる強さを示している。中央の散気管2では、いずれの場所においても、空気供給管14に近い散気孔からの吐出量が他の散気孔よりもやや多くなる傾向がある。しかしながら、空気供給管14が接続されたヘッダ管15の端に端部14aを設けることで、空気供給管14に近い散気孔からの吐出量の増加が抑制されている。
図15は、シミュレーションによって得られた散気管1,2,3の散気孔から発生する気泡の吐出速度を比較するグラフである。横軸は散気孔の位置であり、右端が空気供給管14に最も近い位置配置された散気孔である。図15に示すように、散気量による吐出速度のばらつきが小さい。特に、散気管1,3では、ばらつきはほとんどなかった。また、前記の式(1)によりCv値を算出し、ばらつきを評価したところ、定格散気量の条件ではCv=0.0044であった。この式(1)の結果からもばらつきは十分に小さいことがわかり、吐出量の違いについては、性能に大きな影響を及ぼすものではないと考えられる。
これらの結果から、均等に気泡が当該膜間流路に分配されることの効果が期待できる。また、散気量を下げても高い流速を得ることができる為、散気量を下げて運転が可能である。
次に、実際に実験を行って、散気管の吐出圧を測定した。
図16は、散気管の吐出圧を測定する実験装置の構成を説明する図である。本実験では、図8で説明したフルスケールの散気装置8を実験水槽20に浸漬させ、この散気装置8に対して、空気ボンベ21から空気を供給した。供給する空気は、フローメータ22により、面積流量が一定になるようにした。さらに、散気装置8の散気孔8a(孔径4mm)に、連成圧計23をチューブ(図示せず)で連結した。そして、散気装置8から空気が散気されているときに、散気孔8aでの吐出圧を測定し、散気孔8aからの吐出状態を評価した。
図17は、吐出圧の測定を行った散気孔の位置を説明する図である。今回の測定では、図8で示した全ての散気孔について測定をするのではなく、特定の散気孔を選定して測定を行った。3本の散気管は、空気供給管14が接続されたヘッダ管15とともにヘッダ管17に対し、並列に配置されて、ループを形成している。そのため、散気管内の空気の流れは散気管2を中心に線対称であると仮定し、3本のうちの中央の散気管2と、片側の1本の散気管1を測定対象に選んだ。そして、空気供給管14に近い散気孔1x,2A、最も離れた散気孔1C,2C、及びそれらの中央の散気孔1B,2Bを測定対象とした。
図18は、各散気孔1A,2A,1B,2B,1C,2Cにおける、気相中の散気孔のノズル部流速比を説明する図である。図18に示すように、散気孔(即ち測定ポイント)の位置が同じであれば、吐出速度が異なっていても、同じようなノズル部流速比を示した。例えば、測定ポイント1Aでは、いずれの吐出速度でもノズル部流速比は小さな傾向を示すが、測定ポイント2Cでは、いずれの吐出速度でもノズル部流速比は大きな傾向を示す。
図19は、各散気孔1A,2A,1B,2B,1C,2Cにおける、液相中の散気孔のノズル部流速比を説明する図である。図19に示すように、散気孔に液相の水頭が抵抗として加わる条件では吐出速度が均等になる傾向があり、液相中の結果から散気孔の位置による吐出状態の影響は小さい。
図20は、図16に示す実験装置を用いた実験により得られた、気相と液相との流速を比較するグラフである。ここでは、6つの散気孔1A,2A,1B,2B,1C,2Cでの吐出圧に対し、各散気孔からの吐出に関する抵抗係数は同じと仮定し、ダーシー・ワイスバッハの関係式から算出した吐出速度に対応するノズル流速比で示した。具体的には、測定から得られた各吐出圧Pと前記六つの散気孔での吐出圧の平均値Pとを用いて、次の関係式からノズル速度流速平均値に対する流速度比を求めた。
Figure 2017029935
そして、算出された流速度比について、前記の式(1)を用いてノズル流速比のばらつき(Cv値)を算出した。その結果が図20である。図20に示すように、気相においては、散気風量が少ないほど、ばらつきが大きい。即ち、もし、散気孔から空気中に散気を行った場合、散気風量によっては、ばらつきが大きくなることがわかる。一方で、現実の運転状態である液相での散気を行う場合には、散気風量によらず、ばらつきが小さくなることがわかる。この傾向は、散気孔の出口の抵抗が気相中に比べて高くなることにより、押し込み圧が高くなるとともに、散気管内が比較的均圧状態に近くなるためと考える。そのため、散気装置8によれば、散気風量に寄らずばらつきを抑え、安定した散気を行うことができる。
なお、前記の例では、平膜型ろ過分離における固液分離分野を挙げたが、本発明は平膜型膜エレメントを用いる固液分離全てに関わるものであり、活性汚泥を用いる生物処理を兼ねた当該膜処理の分野にも適用することが可能である。
また、前記の例では、ヘッダ管15(上流側ヘッダ管)とヘッダ管17(下流側ヘッダ管)とを接続する散気管(接続管)の本数は、2本(図6(b))、3本(図4(a)、図6(c))、4本(図6(d))、5本(図4(b))であるが、散気管の本数は6本以上であってもよい。
1,2,3,1a,1b,1c,1d 散気管
1A,2A,1B,2B,1C,2C,1x,2x,3x 散気孔
3 タンク
4 膜エレメント
5 膜モジュール
8 散気装置
10 膜分離ユニット
14 空気供給管
15 ヘッダ管
17 ヘッダ管

Claims (3)

  1. 被処理液をろ過処理して処理液を得る膜分離装置であって、
    前記被処理液をろ過処理する膜状のろ過膜を、対向して外郭を形成する1対の延在面を形成する状態で備えられ、前記被処理液を前記ろ過膜でろ過処理して前記処理液を得るための膜エレメントと、
    前記膜エレメントの延在面が鉛直方向に沿った状態で、複数の前記膜エレメントが膜間流路の間を空けて水平方向に並んで備わる膜モジュールと、
    当該膜モジュールを内部に備える膜分離槽と、
    前記膜間流路の前記被処理液に散気する散気孔を有する散気管と、を備え、
    前記散気管の軸は、上面視で、前記膜エレメントの延在方向に交差した状態で有し、
    前記散気管はループ状に構成されていることを特徴とする、膜分離装置。
  2. 前記散気管は、
    前記散気管の内部を通流する気体を前記散気管に供給するための気体供給口と、
    前記気体供給口が形成された上流側ヘッダ管と、
    前記散気孔が形成された接続管と、
    前記接続管を通流した気体を合流させる下流側ヘッダ管と、を備え、
    前記上流側ヘッダ管と前記下流側ヘッダ管とは、少なくとも2本の前記接続管を介して接続されてループ状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の膜分離装置。
  3. 前記散気管において、
    前記上流側ヘッダ管の端部が、前記上流側ヘッダ管に接続された前記接続管よりも外側に飛び出すようにして、前記上流側ヘッダ管と前記接続管とが接続され、
    前記上流側ヘッダ管を通流する気体が、前記上流側ヘッダ管の端部の内部を経由して、前記接続管に通流するようになっていることを特徴とする、請求項2に記載の膜分離装置。
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