JP2017026509A - 故障診断装置および故障診断方法 - Google Patents

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幸一 田尾
良行 寺井
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良行 寺井
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Takeshi Mizuno
健 水野
井上 直樹
Naoki Inoue
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Abstract

【課題】アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を高精度で、かつ速やかに検出して重大な設備の故障発生を未然に防ぐことが可能な故障診断装置および故障診断方法を提供する。【解決手段】製造設備1の正常時に当該製造設備のアクチュエータの駆動により得られるデータを基準データとし、同製造設備1の検査時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを検査データとし、基準データについて自己相関算出部関数23で自己相関関数を求める一方、相互相関算出部25で基準データと上記検査データとの相互相関関数を求め、自己相関関数と相互相関関数との面積差、および相互相関関数の左右対称性を求めることにより検査データが得られる場合の製造設備の異常の有無を判別する。【選択図】図1

Description

この発明は、モータおよびソレノイド等のアクチュエータで構成された生産設備において、装置の稼働に異常が発生したり、生産品に異常が発生した場合に発する異常音または振動等を効果的に速やかに検出して故障の有無を診断する故障診断装置および故障診断方法に関するものである。
モータやソレノイド等のアクチュエータで構成された生産設備において、部品の摩耗や劣化は必然である。部品の摩耗や劣化により設備故障が発生すると、長時間にわたって設備の停止が余儀なくされ、保全作業時間や修理費など多大な損失が発生するのが現状である。
よって、設備故障による停止を未然に防ぎ、保守作業の時間短縮化および高精度化を図る上では、設備の状態を常に監視して、高精度、高感度に異常の有無を検出する必要がある。
そのため、従来技術では、設備の状態を常に監視して高精度、高感度に異常発生を検出するために、周波数分析および時間差を求め、その結果が閾値内であるか否かで異常の有無を判定するようにしたものが提案されている(例えば、下記の特許文献1、2参照)。
例えば、特許文献1では、機器の周囲に複数のマイクロホンを設置し、正常時の音圧信号を測定し、各マイクロホンについて線形予測法を適用したARモデル(自己回帰モデル)を作成しておく。そして、異常発生時に各マイクロホンで音圧信号を測定し、ARモデルのフィルタを通して残差信号と信号間の相互相関関数を算出し、各機器からマイクロホンに到達する時間差に該当する相互相関関数の変化が最も大きい機器を異常と判定する。
また、特許文献2では、正常時と故障時の振動波形の相互相関関数を求め、歪度および尖り度、相互相関関数の左右の非対称面積の差により異常の有無を判定する。
特許第2913552号 特開昭61−25951号公報
しかし、特許文献1では、各機器からマイクロホンに到達する時間差に該当する相互相関関数の変化が最も大きい機器を異常と判定しているが、この場合、音圧信号の到達時間(遅延時間)の差によって機器の異常の有無を検知するものであって、信号波形自体に異常があるか否かを検知することはできないという課題がある。
また、特許文献2では、相互相関関数の左右の非対称面積の差により異常の有無を判定しているが、この場合、非対称面積の差を求めるだけでは相互相関関数にインパルス的なデータが発生した場合、面積差は微少な変化量であるので、変化を的確に捉えることが困難である。また、音の場合には、検査対象の単発音に連続音が重なった場合、相互相関関数の左右対称性を判断する方法では正常と誤判定してしまうという課題がある。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を高精度で、かつ速やかに検出することができ、重大な設備の故障発生を未然に防ぐことが可能な故障診断装置および故障診断方法を提供することを目的とする。
この発明の故障診断装置は、アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を診断するものであって、上記製造設備の正常時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを基準データとし、同製造設備の検査時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを検査データとしてそれぞれ入力する入力部と、上記基準データと上記検査データについて周期性の無いノイズ成分を除去する波形整形部と、この波形整形された基準データについて自己相関関数を算出する自己相関算出部と、上記波形整形部で波形整形された上記基準データと、同じく上記波形整形部で波形整形された上記検査データとに基づいて相互相関関数を求める相互相関算出部と、上記自己相関算出部により算出した上記自己相関関数と上記相互相関算出部により算出した上記相互相関関数とを比較して上記製造設備の異常の有無を判定する異常判定部とを備え、上記異常判定部は、上記自己相関関数の時系列データの面積と上記相互相関関数の時系列データの面積との面積差を比較するとともに、上記相互相関関数の時系列データの左右対称性の差を検査し、上記面積差と上記左右対称性の差の少なくとも一方が予め設定された閾値を越えている場合には上記製造設備が異常であると判定するものであることを特徴としている。
また、この発明の故障診断方法は、アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を診断する方法であって、上記製造設備の正常時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを基準データとし、同製造設備の検査時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを検査データとし、上記基準データについての自己相関関数を求める一方、上記基準データと上記検査データとの相互相関関数を求め、上記自己相関関数と上記相互相関関数との面積差、および上記相互相関関数の左右対称性を求めることにより上記検査データが得られる場合の上記製造設備の異常の有無を判別することを特徴としている。
この発明によれば、基準データと検査データについて自己相関関数と相互相関関数との面積差を検査するだけでなく、相互相関関数の左右対称性の検査を行うことにより、高精度に正常時と異常時の判別ができる。このため、部品の摩耗や劣化などによる製造設備への影響は様々であるが、その場合でも、既知の異常を検出するだけでなく、未定義である異常も高精度で、かつ速やかに検出することができ、重大な製造設備の故障発生を未然に防ぐことが可能となる。
この発明の実施の形態1における製造設備の故障の有無を診断する故障診断装置の構成図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置における基準データの生成処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1の故障診断装置の入力部に基準データとして取り込まれる際の入力信号の波形を示す図である。 図3に示した入力信号について移動平均処理した場合に得られる波形データを示す図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置のフィルタ処理の有無による自己相関関数の時系列データを示す図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置において、検査データの異常の有無を判断するための処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1の故障診断装置の入力部に検査データとして取り込まれる際の入力信号の波形を示す図である。 図7に示した入力信号について移動平均処理した場合に得られる波形データを示す図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置において、自己相関関数と相互相関関数の各時系列データを比較する場合の説明図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置において、自己相関関数と相互相関関数の面積差を判定する際に用いる入力信号(音)の波形を示す図である。 図10に示した入力信号について移動平均処理した場合に得られる波形データを示す図である。 この発明の実施の形態1の故障診断装置において、相互相関関数の左右対称性を判断する場合の説明図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における製造設備の故障の有無を診断する故障診断装置の構成図である。
この実施の形態1の故障診断装置2は、モータおよびソレノイド等のアクチュエータによって駆動されて動作時間が規定されている製造設備1が正常であり、かつ良品であるか否かを判別するものであって、この実施の形態1では、指向性マイクロホンによる動作音に基づく電気信号を入力してデジタル化して波形データとして取り込む入力部21と、この入力部21により取り込まれた波形データを絶対値化するとともに、絶対値化後の波形データについて移動平均処理によりノイズ等の不要な信号を取り除く波形整形を行う波形整形部22xと、この波形整形部22xにより生成された波形整形後の波形データに基づいて特徴が抽出された自己相関関数の時系列データを生成する自己相関算出部23を備える。
また、この故障診断装置2は、製造設備1が正常でありかつ製品が良品である状態において、例えば、故障診断装置2の導入直後またはメンテナンス直後に入力部21から取り込まれた波形データ、波形整形部22xで波形整形された後の波形データ、自己相関算出部23で処理して得られた自己相関関数の時系列データ、および後述する移動平均処理する際に最適化された移動平均ポイント数を、それぞれデータファイル化して記憶する記憶部24を有する。
また、基準データが生成された後、製造設備1により製造された製品に不良品が発生した場合、または不良品が発生する前兆がアクチュエータに生じていないか否かを検査するために、入力部21から取り込まれて波形整形部22yにより波形整形された波形データと上記の記憶部24に記憶されている基準データとの相関を求める相互相関算出部25と、この相互相関算出部25で求められた相互相関関数の時系列データと上記の自己相関算出部23で求められた自己相関関数の時系列データとの違い(面積差)や相互相関関数の左右対称性を検査して正常か異常かを判定する異常判定部26と、この異常判定部26で異常と判定された場合に、その結果の正常時との比較を表示するとともに、製造設備1へ異常フラグを出力する出力部27を備えている。なお、製造設備1は、出力部27から異常フラグが出力された場合には、これに応じて警告表示または緊急停止を行う機能を備えている。
なお、ここでは説明の便宜上、製造設備1が正常でありかつ製品が良品である状態において得られる一連のデータを基準データと、製造設備1により製造された製品に不良品が発生した場合、または不良品が発生する前兆がアクチュエータに生じていないか否かを検出するために得る一連のデータを検査データと称する。
次に、アクチュエータを有する製造設備1が正常であり、かつ製品が良品である場合に、事前準備として基準データを得るための処理手順について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下において、符号Sは各処理ステップを意味する。
基準データの生成方法は、まず、指向性マイクロホンによる音を入力信号とした場合、入力部21は、複数の設備の動作音から成る電気信号から図3に示すような特定の信号を一つだけ抽出し、この電気信号をデジタル化して波形データとして取り込む。
次に、抽出された特定の音の原波形の波形データを波形整形部22xで絶対値化した波形に変換し(S31)、絶対値化された波形データからホワイトノイズや周囲の設備から入ってくる信号等の周期性の無い信号成分を除去する。
周期性の無い信号成分を除去する理由は、ホワイトノイズ成分を含んだ状態のままで、自己相関関数や相互相関関数を求める処理を行った場合には、相関関数の関数値がピークから急激に減衰するので、ホワイトノイズ成分を除く真値のデータ部分(検査したい特定の信号)の分解能が低下して精度が低下して誤判定してしまう恐れがあるためである。
ホワイトノイズ成分の除去方法として、従来は、FFT解析や連続ウェーブレット解析等による周波数解析を行い、ノイズ成分をフィルタ処理で除去する方法が一般的に使用されている。しかし、ホワイトノイズは、全周波数帯域に発生するため、例えばローパスフィルタについて、そのカットオフ周波数を大きく取り過ぎるとノイズ成分が残り、カットオフ周波数を小さく取り過ぎると未定義の異音まで除去される可能性がある。よって、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ等を駆使しても図3に示すような特定の信号とノイズ成分との切り分けが困難であり、高度な技術が要求される。
そこで、この発明では、ホワイトノイズ成分のような周期性の無い信号成分を簡単に除去する手法として、波形整形部22xによる移動平均処理(S33)と、自己相関算出部23による正規化自己相関算出処理(S34)との組み合わせによる必要最低限のフィルタ処理を実施する。また、この場合のフィルタ処理は、他のフィルタ処理に比べてプログラムも簡単であり、処理速度が速い利点がある。
まず、波形整形部22xにおいて、絶対値化により波形整形された後の波形データについて、最初は移動平均ポイント数(時間幅に相当)を‘1’に設定して(S32)、移動平均処理を行う(S33)。図4には絶対値化の処理(S31)後に移動平均処理(S33)した場合に得られる波形データの一例を示している。次に、自己相関算出部23において、この移動平均処理後の波形データについて正規化自己相関算出処理を行う(S34)。この場合、正規化する前に算出される自己相関関数を下記の(1)式に示す。
Figure 2017026509
但し、−(N−1)≦τ≦N−1
(1)式における自己相関関数の関数値RXX(τ)は、τ=0の場合に最大値となるが、その際、その最大値が‘1’になるように正規化する。すなわち、正規化自己相関算出処理(S34)で算出される正規化後の自己相関関数は、
ρXX(τ)=RXX(τ)/RXX(0) ・・・(2)
となる。
このとき、基準データX(t)がホワイトノイズのような周期性の無い不規則な信号成分を含んでいるならば、図5(a)に示すように、自己相関関数の時系列データ(横軸:ずらし数τ、縦軸:関数値ρXX)は、τ=0の時に関数値ρXX(τ)が最大値となり、τ=1またはτ=−1の場合は関数値ρXX(τ)が急激に減少する。その場合のホワイトノイズ成分を図中に符号43として示している。
図5(a)のホワイトノイズ成分43は完全に時間に関して無相関なので、あらゆる相関時間に成分が存在しない。また、τ=0だけに信号のパワーとして成分をもつ。このような周期性の無い不規則な信号成分を除去するために、上記のように移動平均処理(S33)と正規化した自己相関算出処理(S34)との組み合わせによる必要最低限のフィルタ処理を実施する。
次に、図5(a)に示したようなホワイトノイズ成分43の現象があるか否かを判別し(S35)、ホワイトノイズ成分43の現象があれば移動平均ポイント数を増加させる(S36)。そして、再設定した移動平均ポイント数でもって図5(b)に示すようなホワイトノイズ成分43が除かれて平滑化される状態になるまで、移動平均処理(S33)、正規化自己相関算出処理(S34)、およびホワイトノイズ除去の判定処理(S35)を繰り返す。この場合において、移動平均処理(S33)は、データの処理時間が最も掛かる部分でもあり、移動平均ポイント数が少なければ少ないほど処理時間は短縮される。
このようにして、ホワイトノイズ成分43が除かれた際に正規化自己相関算出処理(S34)により得られた正規化された自己相関関数の時系列データ(図5(b))、および移動平均ポイント数の最適値が決定した時の移動平均処理(S33)で得られた波形データ、さらには波形整形部22xで絶対値化された波形データを基準データとして記憶部24にデータ保存する(S37)。また、最適値が決定された移動平均ポイント数についても記憶部24にデータ保存する(S38)。
次に、検査データの異常の有無を判断するための処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
検査データの異常の有無を判断する上では、指向性マイクロホンによる音を入力信号とした場合、基準データを生成する場合と同様、まず、入力部21は、複数の設備の動作音から成る電気信号から図7に示すような特定の信号を一つだけ抽出し、この電気信号をデジタル化して波形データとして取り込む。
次に、抽出された特定の音の原波形の波形データを波形整形部22yで絶対値化した波形に変換する(S51)。続いて、波形整形部22yにおいて、絶対値化された波形データからホワイトノイズや周囲の設備から入ってくる信号等の周期性の無い信号成分を除去するために、予め図2の処理によって記憶部24に記憶されている移動平均ポイント数を読出し、この移動平均ポイント数を用いて移動平均処理を行う(S53)。図8にはこの移動平均処理により得られた波形データの一例を示している。この場合、後述の相互相関関数を求める上で、移動平均処理して得られた波形データ(図8)の時間tのデータサイズは、基準データ生成時に移動平均処理して得られる波形データ(図5)の時間tのデータサイズと同じにする必要がある。
次に、記憶部24に既にデータ保存している基準データの内から先の移動平均処理(S33)で得られた移動平均化後の波形データを読み出す。また、後述のS56で自己相関関数と相互相関関数との面積差を検査することになるため、記憶部24に既にデータ保存している正規化自己相関算出処理(S34)で得られた自己相関関数の時系列データ(例えば図5(b))も同時に読み出す(S54)。
そして、記憶部24から読み出した基準データに関する移動平均化後の波形データ(図5)と、先のS53で求めた検査データに関する移動平均化後の波形データ(図8)との間で、正規化された相互相関関数を算出する(S55)。この場合、正規化する前の相互相関関数を下記の(3)式に示す。
Figure 2017026509
但し、−(N−1)≦τ≦N−1
(3)式における相互相関関数の関数値RXY(τ)は、τ=0の場合に最大値となるが、その際、その最大値が‘1’になるように正規化する。すなわち、正規化相互相関算出処理(S55)で算出される正規化後の相互相関関数は、
ρXY(τ)=RXY(τ)/RXY(0) ・・・(4)
となる。
このとき、基準データX(t)および検査データY(t)がホワイトノイズのような周期性の無い不規則な信号成分を含んでいるならば、図2に示した基準データに関する移動平均ポイント数の再設定処理(S36)と同様に、ポイント数を増やした後、再度、図2の基準データに関する移動平均処理(S33)から図6の検査データに関する正規化相互相関算出処理(S55)までを再度やり直して不規則な信号成分を除去する。
図9には、ホワイトノイズ成分の現象が除かれた後に得られた正規化された自己相関関数の時系列データ(横軸:ずらし数τ、縦軸:関数値ρXX)を符号71で、また、正規化された相互相関関数の時系列データ(横軸:ずらし数τ、縦軸:関数値ρXY)を符号72でそれぞれ示している。
次に、先のS54で記憶部24から読み出した正規化された自己相関関数の時系列データ71と、S55で求めた正規化された相互相関関数の時系列データ72の両波形の形状が互いに相似形か否かを判断する。そのために、ここでは次の2つの要素についての判断を行って検査精度を高めるようにしている。
まず、1つ目の判断要素として、面積差算出処理(S56)により自己相関関数と相互相関関数の両時系列データ71、72の面積差Sdiffを検出する。正規化された自己相関関数の面積SXXの計算を(5)式に、正規化された相互相関関数の面積SXYの計算を(6)式にそれぞれに示す。また、両相間関数の面積差Sdiffを求める計算を(7)式に示す。
Figure 2017026509
Figure 2017026509
Figure 2017026509
面積差Sdiffによる異常判定方法の特徴として、同じ動作を繰り返すアクチュエータを有する製造設備1において、音または振動による電気信号の波形は、波高値や信号の波長などに再現性が無く、大きく違いが生じる場合もある。例えば、入力部21に取り込まれる波形データが、図10(a)に示す基準データに関する波形データ81と、図10(b)に示す検査データに関する波形データ82とした場合、移動平均処理により平滑化されたそれぞれの波形データは、図11(a)に示す基準データに関する波形データ91(図11(a))と図11(b)に示す検査データに関する波形データ92(図11(b))となり、両データ91、92を単純に面積比較すると大きな差を生じ、類似性が無くて異常と判断して誤判定してしまう恐れがある。
そこで、この発明では、既に(2)式および(4)式に示したように正規化した両相関関数について面積差Sdiffを検査するようにしている。これにより、入力信号の原波形の波高値に影響されず、類似度を判断することができる。また、入力信号波形の波長にも再現性が無いことから、基準データと検査データの位相を合わすことが困難であるが、面積比較により位相差に影響されることなく2つの信号の差異を調べることが可能である。よって、基準データと検査データとのデータサイズを揃えるのみで、大雑把に比較を行うことが可能である。
さらに、この発明では、2つ目の判断要素として、相互相関関数の左右対称性を比較して異常の有無を判定する。
ここで、前述の特許文献2で挙げられている相互相関関数の左右対称性の比較方法は、相互相関関数の関数値ρXY(τ)が最大値のところを中心に右側半分を左側へ折返し、左半分の相互相関関数の面積と、折り返した右半分の相互相関関数の面積とを比較する方式である。しかし、このような方式では、相互相関関数の時系列データ上にインパルス的なデータが生じた場合、左右の面積差には差異が生じるものの、その差異は極めて小さい値となり、測定ばらつきと見分けがつかず誤判定する可能性がある。
そのため、ここでは、相互相関関数の関数値が最大値のところを中心にして、左右にτpだけずらした位置での関数値ρXY(ps+τp)および関数値ρXY(ps−τp)の差DXYの大小を検査する(S57)。これにより、インパルス的なものも高感度で検出することが可能である。相互相関関数の左右対称性を比較するための計算式を次の(8)式に、その説明図を図12に示す。
Figure 2017026509
但し、psは相互相関関数の関数値ρXYが最大値のときのτ値、τpは|τmin−ps|、または|τmax−ps|の小さい方の値とする。
ここで、上記の(8)式は、図12に示す通り、相互相関関数の関数値ρXYが最大となるポイントをpsとした時、τ値がpsの場合を中心に、+τpの関数値と−τpの関数値との差の絶対値を算出することにより、psを中心にした場合の左右の違いを求めることに他ならない。このとき、相互相関がある場合には左右対称となって相互相関関数の関数値の差DXYは予め設定した閾値よりも小さな値となるので、正常と判断できる一方、相互相関が無い場合には左右非対称となるため、相互相関関数の関数値の差DXYは予め設定した閾値よりも大きな値になるので、正常でないと判断することができる。
自己相関関数の場合には、ps時のτp値は(τmax−τmin)/2となるが、相互相関関数の場合には、ps時のτp値は必ずしも(τmax−τmin)/2とならないため、左右対称性を見る場合の最大データ点数は、|τmin−ps|、または|τmax−ps|の小さい方の値を比較対象とする。
このように、この実施の形態1では、先のS56の面積差算出処理によりそれぞれ正規化された自己相関関数の面積と相互相関関数の面積との面積差Sdiffを算出し、さらに、先のS57の左右対称性算出処理により相互相関関数の関数値の差DXYを算出することにより、左右の対称性の差異を検出することで、検査精度を高めている。
そして、先のS56で求めた面積差Sdiffが予め設定された閾値内であり、かつS57で求めた左右対称性を示す関数値の差DXYも予め設定された閾値内であれば、検査データは基準データと一致したものと判断して、製造設備1の現在の状態は正常であると判定する(S59)。これに対して、S56で求めた面積差Sdiff、およびS57で求めた左右対称性を示す相互相関関数の関数値の差DXYの両方、あるいは少なくとも一方が予め設定した閾値から外れている場合には、製造設備1は異常と判定する(S60)。
自己相関関数の面積と相互相関関数の面積との面積差Sdiff、および相互相関関数の左右対称性を示す関数値の差DXYの大小をそれぞれ判断する上での閾値の設定の仕方としては、例えば次のようにすることができる。
まず、製造設備1が正常でありかつ製品が良品である場合において、自己相関算出部23で求めた値を記憶部24において予め基準データとして一旦保存しておき、ある程度の時間が経過した後に、再度、製造設備1が正常でありかつ製品が良品である状態で、入力部21から出力されるデータを検査データと見做して相互相関算出部25により基準データと検査データとの相関関数についての面積差Sdiffおよび左右対称性を示す関数値の差DXYを求める。そして、これを数回繰り返すことで面積差Sdiffのバラツキおよび関数値の差DXYのバラツキを求めて、それぞれのバラツキを仮閾値とする。製造設備1が異常または製品に不良が発生した場合の相関関数の面積差Sdiffおよび左右対称性を示す関数値の差DXYと、正常時の相関関数の面積差Sdiffのバラツキおよび左右対称性を示す関数値の差DXYのバラツキとを比較し、最適な閾値を再設定する。
S60で製造設備1が異常であると判断した場合には、図1の出力部27からアクチュエータを有する製造設備1へ信号が出力され、製造設備1が備える表示器や警報器により警告を発して製造設備1を緊急停止したり、稼働停止を促すなどの処置を行う。
以上により、この実施の形態1によれば、製造設備1が不良品を製造する前、または重大な設備故障を起こす前に異常を検知することにより、保守作業時間の短縮やロス削減を図ることができ、製造設備を長期にわたって安定して継続運転することが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1では、指向性マイクロホンによる動作音に基づく電気信号を入力部21による入力信号としているが、この実施の形態2では、製造設備1による連続運転中の状態を加速度センサによって振動を計測し、これを入力部21に対する入力信号として入力部21で波形データを得るようにしている。
そして、実施の形態1と同様、両相関関数の時系列データの面積差Sdiff(前述の(7)式)、および相互相関関数の左右対称性を示す関数値の差DXY(前述の(8)式)を調べることにより異常を速やかに検知し、不良品を製造する前または重大な設備故障を起こす前に製造設備1のメンテナンスを行う。その他の構成、効果は実施の形態1の場合と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
実施の形態3.
実施の形態1では、指向性マイクロホンによる動作音に基づく電気信号を入力部21による入力信号としているが、この実施の形態3では、製造設備1による連続運転中のアクチュエータとしてのサーボモータの電流波形を計測し、これを入力部21に対する入力信号として入力部21で波形データを得るようにしている。
そして、実施の形態1と同様、両相関関数の時系列データの面積差Sdiff(前述の(7)式)、および相互相関関数の左右対称性を示す関数値の差DXY(前述の(8)式)を調べることにより異常を速やかに検知し、不良品を製造する前または重大な設備故障を起こす前に製造設備1のメンテナンスを行う。その他の構成、効果は実施の形態1の場合と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
サーボモータの電流を入力信号とした場合、実施の形態1、2の場合とは異なり、入力波形に周囲の信号が検査データに重複することが無く、また、入力信号の波高値や波長のばらつきが少ないため、より高感度および高精度に異常判定を行うことが可能である。
なお、この発明は、上記の実施の形態1〜3の構成のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、各構成に変形を加えたり、構成の一部を省略することが可能である。また、各実施の形態1〜3を適宜組み合わせることが可能である。
1 製造設備、2 故障診断装置、21 入力部、22x,22y 波形整形部、
23 自己相関算出部、24 記憶部、25 相互相関算出部、26 異常判定部、
27 出力部。

Claims (3)

  1. アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を診断する故障診断装置であって、
    上記製造設備の正常時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを基準データとし、同製造設備の検査時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを検査データとしてそれぞれ入力する入力部と、上記基準データと上記検査データについて周期性の無いノイズ成分を除去する波形整形部と、この波形整形された基準データについて自己相関関数を算出する自己相関算出部と、上記波形整形部で波形整形された上記基準データと、同じく上記波形整形部で波形整形された上記検査データとに基づいて相互相関関数を求める相互相関算出部と、上記自己相関算出部により算出した上記自己相関関数と上記相互相関算出部により算出した上記相互相関関数とを比較して上記製造設備の異常の有無を判定する異常判定部とを備え、
    上記異常判定部は、上記自己相関関数の時系列データの面積と上記相互相関関数の時系列データの面積との面積差を比較するとともに、上記相互相関関数の時系列データの左右対称性の差を検査し、上記面積差と上記左右対称性の差の少なくとも一方が予め設定された閾値を越えている場合には上記製造設備が異常であると判定するものである、ことを特徴とする故障診断装置。
  2. 上記波形整形部による移動平均処理と上記自己相関算出部による上記自己相関関数の算出処理との組み合わせにより上記基準データについてのノイズ成分を除去するフィルタ処理が構成され、また、上記波形整形部による上記移動平均処理と上記相互相関算出部による上記相互相関関数の算出処理とを含む処理により上記検査データについてのノイズ成分を除去するフィルタ処理が構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の故障診断装置。
  3. アクチュエータにより駆動される製造設備の故障の有無を診断する故障診断方法であって、
    上記製造設備の正常時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを基準データとし、同製造設備の検査時に当該製造設備の上記アクチュエータの駆動により得られるデータを検査データとし、上記基準データについての自己相関関数を求める一方、上記基準データと上記検査データとの相互相関関数を求め、上記自己相関関数と上記相互相関関数との面積差、および上記相互相関関数の左右対称性を求めることにより上記検査データが得られる場合の上記製造設備の異常の有無を判別することを特徴とする故障診断方法。
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