JP2017025834A - 正浸透発電方法、および、それに用いる正浸透発電システム - Google Patents

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秀彦 櫻井
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Atsuo Kumano
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Abstract

【課題】正浸透水処理を同時に実施することのできる正浸透発電方法、および、それに用いられる正浸透発電システムを提供すること。【解決手段】水を含むフィード溶液と、ドロー溶質を含み前記フィード溶液より高い浸透圧を有するドロー溶液とを、半透膜を介して接触させることで、前記フィード溶液中に含まれる水を前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程と、前記ドロー溶液の流動によりタービンを回転させて発電する発電工程と、前記ドロー溶液から水を分離して水を回収する造水工程と、を含み、前記造水工程において水を回収することによって濃縮された前記ドロー溶液を、前記正浸透工程で再利用することを特徴とする、正浸透発電方法。【選択図】図1

Description

本発明は、正浸透発電方法、および、それに用いる正浸透発電システムに関する。
正浸透(FO:forward osmosis)とは、半透膜を介して、低濃度(低浸透圧)の処理対象水(フィード溶液)側の水が高濃度(高浸透圧)の溶液(ドロー溶液)に向かって移動する現象のことである。一方、逆浸透(RO:reverse osmosis)では、人為的に強い圧力を加えることにより、正浸透とは逆に、高濃度の処理対象水から低濃度の溶液側に水を移動させる。
しかし、逆浸透工程は強い圧力を必要とするため、エネルギー消費量が極めて多く、エネルギー効率が低い。そこで、近年、エネルギー消費量が少なく、エネルギー効率が高い正浸透が、正浸透水処理(造水)、正浸透発電(PRO:Pressure Retarded Osmosis)などに利用されている。
正浸透水処理としては、例えば、国際公開第2013/065293号(特許文献1)には、溶媒が水である液体(フィード溶液)中の水を、正浸透により半透膜を介して誘導溶液(ドロー溶液)に移動させ、その後、ドロー溶液中から水を回収する淡水製造方法が開示されている。
また、PROとしては、例えば、特開2009−47012号公報(特許文献2)には、半透膜を介して淡水が海水等の高濃度のドロー溶液(DS)に浸透して生じる流動力により、水車を回転させて発電を行う方法が開示されている。
国際公開第2013/065293号 特開2009−47012号公報
本発明の目的は、同時に水を回収して造水を実施することのできる正浸透発電方法、および、それに用いられる正浸透発電システムを提供することである。
[1] 水を含むフィード溶液と、ドロー溶質を含み前記フィード溶液より高い浸透圧を有するドロー溶液とを、半透膜を介して接触させることで、前記フィード溶液中に含まれる水を前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程と、
前記ドロー溶液の流動によりタービンを回転させて発電する発電工程と、
前記ドロー溶液から水を分離して水を回収する造水工程と、
を含み、
前記造水工程において水を回収することによって濃縮された前記ドロー溶液を、前記正浸透工程で再利用することを特徴とする、正浸透発電方法。
[2] 前記フィード溶液は、蒸発残留物濃度が1重量%以上の塩水であり、
前記ドロー溶液の浸透圧は0.7MPa以上である、[1]に記載の正浸透発電方法。
[3] 前記正浸透工程において、
前記半透膜は中空糸型半透膜であり、
前記フィード溶液を前記中空糸型半透膜の外周面に接触させると共に、ドロー溶質を含むドロー溶液を前記中空糸型半透膜の中空部内に流すことで、前記フィード溶液中に含まれる水を前記ドロー溶液中に移動させる、[1]または[2]に記載の正浸透発電方法。
[4] 前記ドロー溶液の粘度が0.15Pa・s以上であり、
前記中空糸型半透膜の内径が250μm超700μm以下である、[3]に記載の正浸透発電方法。
[5] 前記中空糸型半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成される、[3]または[4]に記載の正浸透発電方法。
[6] 半透膜、フィード溶液が供給される第1室、および、ドロー溶液が供給される第2室を有し、前記第1室と前記第2室とは前記半透膜で仕切られている、半透膜モジュールと、
前記ドロー溶液の流動によりタービンを回転させて発電する発電装置と、
前記ドロー溶液から水を分離して水を回収する造水装置と、
前記造水装置において水を回収することによって濃縮された前記ドロー溶液を、前記第2室に供給するための循環経路と、
を備える、正浸透発電システム。
本発明によれば、同時に水を回収して造水を実施することのできる正浸透発電方法、および、それに用いられる正浸透発電システムを提供することができる。
本発明の正浸透発電システムの一例を示す模式図である。 本発明の正浸透発電方法に用いられる中空糸膜モジュールの一例を示す模式図である。
以下、本発明の正浸透発電方法および正浸透発電システムの実施形態について説明する。なお、図面において、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[正浸透発電方法]
本実施形態の正浸透発電方法は、主に、正浸透工程と、発電工程と、造水工程とを含んでいる。本実施形態の正浸透発電方法によれば、発電工程において発電を実施すると共に、造水工程において水を回収して造水を実施することができる。
(正浸透工程)
正浸透工程では、水を含むフィード溶液(FS)と、ドロー溶質を含みフィード溶液より高い浸透圧を有するドロー溶液(DS)とを、半透膜10を介して接触させることで、正浸透現象によってFS中に含まれる水をDS中に移動(浸透、透過)させる(図1参照)。
フィード溶液(FS、処理対象水)は、水を含む液体であればよく、例えば、海水、汽水、かん水、坑井随伴水、湖沼水、河川水、工場廃水などである。特に淡水が得られ難い沿岸部等で淡水を得られることは有用であるため、FSはこのような場所で容易に得られる海水、汽水、かん水、坑井随伴水などであることが好ましい。
坑井は、随伴水を排出するものであれば特に制限されないが、例えば石油、シェールガス、オイルサンド、CBM(炭層メタン)等を採掘する坑井などである。随伴水は、坑井からの採掘目的物に同伴して排出される水であり、塩分、有機物、懸濁物などを含んでいる。
海水、汽水、かん水、坑井随伴水などのFSに含まれる物質(Na、K、Ca2+、Cl、SO 2−など)は、例えば蒸発残留物濃度(TDS)が0.1〜10重量%(1,000〜100,000mg/L)の範囲であるような量で含有されている。蒸発残留物濃度は、1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがより好ましい。
FSの蒸発残留物濃度が1重量%以上の塩水である場合、ドロー溶液の浸透圧は、FSの浸透圧より高い0.7MPa(7bar)以上であることが好ましい。また、FSの蒸発残留物濃度が2重量%以上の塩水である場合、ドロー溶液の浸透圧は、FSの浸透圧より高い1.5MPa(15bar)以上であることが好ましい。また、ドロー溶液の浸透圧は、好ましくは10MPa以下であり、より好ましくは7MPa以下である。
ドロー溶質としては、例えば、糖類、タンパク質、合成高分子などが挙げられるが、回収および再生のしやすさといった点から、刺激応答性高分子が好ましい。刺激応答性高分子としては、温度応答性高分子、pH応答性高分子、光応答性高分子、磁気応答性高分子などが挙げられる。
温度応答性高分子とは、所定の温度を臨界点として親水性が変化する特性(温度応答性)を有する高分子である。温度応答性とは、言い換えれば、温度に応じて親水性になったり疎水性になったりする特性である。ここで、親水性の変化は可逆的であることが好ましい。この場合、温度応答性高分子は、温度を調整することで、水に溶解させたり、水と相分離させたりすることができる。なお、温度応答性高分子は、例えば、特開2015−47541号公報に開示されている。
温度応答性高分子は、モノマーに由来する複数の構造単位からなるポリマーであり、側鎖に親水性基を有していることが好ましい。
温度応答性高分子には、下限臨界共溶温度(LCST)タイプと上限臨界共溶温度(UCST)タイプがある。LCSTタイプでは、低温の水に溶解している高分子が、高分子に固有の温度(LCST)以上の温度になると、水と相分離する。逆に、UCSTタイプでは、高温の水に溶解している高分子が、高分子に固有の温度(UCST)以下になると、水と相分離する(杉原ら、「環境応答性高分子の組織体への展開」、SEN’I GAKKAISHI(繊維と工業)、Vol.62,No.8,2006参照)。半透膜は、高温で劣化し易い素材を用いる場合においては、低温の水に溶解している温度応答性高分子が半透膜に接触している方が望ましいため、本発明に用いる温度応答性高分子はLCSTタイプであることが好ましい。また、高温で劣化しにくい素材で構成された半透膜を用いる場合は、LCSTタイプの他,UCSTタイプも用いることができる。
親水性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アセチル基、アルデヒド基、エーテル結合、エステル結合が挙げられる。親水性基は、これらから選択される少なくとも1種類であることが好ましい。
温度応答性高分子は、少なくとも一部または全部の構造単位において少なくとも1つの親水性基を有することが好ましい。また、温度応答性高分子は、親水性基を有しつつ、一部の構造単位において疎水性基を有していてもよい。なお、温度応答性高分子が、温度応答性を有するためには、分子中に含まれる親水性基と疎水性基のバランスが重要であると考えられている。
具体的な温度応答性高分子としては、例えば、ポリビニルエーテル系ポリマー、ポリ酢酸ビニル系ポリマー、(メタ)アクリル酸系ポリマーなどが挙げられる。
(発電工程)
発電工程では、DSの流動により発電装置3のタービンを回転させて発電する(図1参照)。DSは正浸透工程においてFSから移動した水の量だけ流量が増加しているため、この正浸透によるDSの流量増加によって、正浸透現象によって生じたエネルギーを利用して発電を行うことができる。なお、発電工程においては、従来のPROシステムにおける種々公知の手法を用いることができる。
(造水工程)
造水工程では、DSから水を分離して水を回収する。造水工程において水を回収することにより、正浸透工程で希釈されたDSを濃縮することができる。このように、造水工程では、水を回収すると共に、希釈されたDSを正浸透工程前の元の濃度に高めることができるため、DSを再利用することが可能となる(図1参照)。
DSから水を分離する方法としては、造水(淡水製造)技術に用いられている種々公知の方法を用いることができる。正浸透発電システムに隣接する施設(石油プラントなど)の排熱等を有効活用できる点で、蒸発法を用いることが好ましい。
また、ドロー溶質が温度応答性高分子である場合、DSの温度を変化させることで、DSに含まれるドロー溶質を水と分離させることができる。この場合、ドロー溶液の温度を変化させるだけで、ドロー溶質(温度応答性高分子)を容易に水から分離させ、回収することができる。また、回収後のドロー溶質は、容易に再利用(DS等に再溶解)することができる。この場合も、正浸透発電システムに隣接する施設の排熱等を有効活用できる。また、他の方法に比べて、ドロー溶質を容易に水と分離することができるため、純度の高い水を得ることができる。
水と分離したドロー溶質の回収は、例えば、膜分離装置、遠心分離装置、沈降分離装置などを用いて行うことができる。このドロー溶質の回収工程後に残存する水を回収することで、水を得ることができる。なお、より純粋な水が得られるように造水工程は多段階の処理工程を含んでいてもよい。
[正浸透発電システム]
本実施形態の正浸透発電(PRO)システムは、上記の正浸透発電方法に好適に用いられる正浸透発電システムである。図1を参照して、正浸透発電システムは、主に、半透膜モジュール1と、発電装置3と、造水装置(DS再生装置)4と、循環経路6とを備えている。
半透膜モジュール1は、半透膜10、フィード溶液が供給される第1室21、および、ドロー溶液が供給される第2室22を有し、第1室21と第2室22とは半透膜10で仕切られている。このような半透膜モジュール1において、FSを第1室21に供給し、DSを第2室22に供給して、FSとDSとを半透膜10を介して接触させることで、FS中に含まれる水をDS中に移動させることができる。これにより、上述の正浸透発電方法における正浸透工程を実施することができる。
発電装置3では、DS(正浸透によってFSから水を取り込んで増量された希釈DS)の流動により、タービンを回転させることで発電が行われる。これにより、上述の正浸透発電方法における発電工程を実施することができる。発電装置3で得られた電気は、例えば、送電設備より電気を必要とする場所に送電される。発電装置3で発生した電気を、ポンプ5の動力として利用してもよい。なお、用いられるタービンとしては、ペルトン水車、フランシス水車、斜流水車、プロペラ水車、カプラン水車、クロスフロー水車、ターゴインパルス水車などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
半透膜モジュール1内に流すDSの圧力は、ポンプ5などにより0.3〜3.0MPaに調整されることが好ましい。次の発電工程において、発電装置のタービンを回すために必要なDSの流量を確保するためである。
造水装置4では、ドロー溶液から水を分離することで水が回収される。これにより、上述の正浸透発電方法における造水工程を実施することができる。
造水装置4において水を回収することによって濃縮されたドロー溶液は、循環経路6を介して、半透膜モジュール1の第2室22に供給される。これにより、正浸透発電に使用されたDSが正浸透工程で再利用される。
(中空糸膜モジュール)
上記の正浸透発電システムにおいて、半透膜モジュール1として中空糸膜モジュールを好適に用いることができる。
すなわち、上述の正浸透工程において、半透膜10は中空糸型半透膜であり、FSを中空糸型半透膜の外周面に接触させると共に、ドロー溶質を含むDSを中空糸型半透膜の中空部内に流すか、またはDSを中空糸型半透膜の外周面に接触させると共に、FSを中空糸型半透膜の中空部内に流すことで、FS中に含まれる水をDS中に移動させることが好ましい。中空糸型半透膜は、スパイラル型半透膜などに比べて、モジュール当たりの膜面積を大きくすることができ、正浸透の効率を高めることができる点で有利である。
図2を参照して、中空糸膜モジュール1は、主に圧力容器12と、圧力容器12内に収容された中空糸膜エレメント11とからなる。中空糸膜モジュール1としては、正浸透処理に用いられる種々公知のモジュールを用いることができる。
このような中空糸膜モジュール1において、FSを中空糸型半透膜の外部に流すことで、中空糸型半透膜の外周面にFSを接触させると共に、DSを中空糸型半透膜の中空部内に流すことで、FSに含まれる水をDS中に移動させることができる。また、DSを中空糸型半透膜の外部に流すことで、中空糸型半透膜の外周面にDSを接触させると共に、FSを中空糸型半透膜の中空部内に流すことで、FSに含まれる水をDS中に移動させることができる。
中空糸型半透膜を構成する材料としては、特に限定されないが、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料であることが好ましく、セルロース系樹脂およびポリスルホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料であることがより好ましい。
セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましくは三酢酸セルロースである。
ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルスルホンである。
具体的な中空糸型半透膜の一例としては、全体がセルロース系樹脂から構成されている単層構造の膜が挙げられる。ただし、ここでいう単層構造とは、層全体が均一な膜である必要はなく、例えば、特許文献1に開示されるように、外周表面近傍に緻密層を有し、この緻密層が実質的に中空糸型半透膜の孔径を規定する分離活性層となっていることが好ましい。
具体的な中空糸型半透膜の別の例としては、支持層(例えば、ポリフェニレンオキサイドからなる層)の外周表面にポリフェニレン系樹脂(例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン)からなる緻密層を有する2層構造の膜が挙げられる。また、他の例として、支持層(例えば、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンからなる層)の外周表面にポリアミド系樹脂からなる緻密層を有する2層構造の膜が挙げられる。
本実施形態においては、比較的高い浸透圧を有するFSを処理するために、比較的高い浸透圧を有するDSを用いる必要がある。このため、DSの粘度が高粘度(例えば、0.15Pa・s以上、好ましくは0.20Pa・s以上)になる場合がある。このような高粘度のDSを用い、DSを中空糸型半透膜の中空部に流す場合において、中空糸型半透膜の内径は、250μm超700μm以下であることが好ましい。内径は、より好ましくは250μm超650μm以下であり、さらに好ましくは250μm超600μm以下、最も好ましくは250μm超500μm以下である。
一般に、中空糸型半透膜の中空部内を流れるDSの流量が少なくなると、DSが中空部内を流れる間にDS側へ透過する水の量が多くなる。これにより、中空部内を流れるDSの全体的な浸透圧が低下し、DSとFSとの間の浸透圧差が小さくなるため、水の回収効率が低下してしまう。特に、一般的な正浸透用の中空糸型半透膜(内径50〜250μm)に、高粘度のドロー溶液を流す場合、圧力損失が大きいため、中空糸型半透膜の内外での十分な有効浸透圧差を維持するために必要な流量を確保できず、正浸透による発電の効率が低下してしまう虞がある。
これに対して、中空糸型半透膜の内径を250μm超700μm以下の範囲にすることで、中空糸型半透膜による圧力損失が低下するため、中空部内を流れるドロー溶液の流量を多くすることができる。これにより、中空糸型半透膜の内外での十分な有効浸透圧差を維持するために必要な流量を確保でき、中空糸型半透膜の中空部内に高粘度のドロー溶液を流す場合でも、正浸透の効率(発電効率)が低下することを抑制できる。
上記の緻密層(分離活性層)の厚みは、好ましくは0.1〜7μmである。緻密層の厚みは薄い方が、透水抵抗が小さくなるため好ましい。このため、緻密層の厚みは、6μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。ただし、緻密層が薄すぎると、潜在的な膜構造の欠陥が顕在化しやすくなり、例えば、1価イオンの漏出を抑えることが困難になったり、膜の耐久性が低下するなどの問題が発生し易くなる。このため、緻密層の厚みは、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。
中空糸型半透膜の膜全体の厚みは、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは60〜170μmである。なお、膜厚は(外径−内径)/2で算出できる。また、中空糸型半透膜の中空率〔(内径/外径)×100(%)〕は、好ましくは30〜60%であり、より好ましくは35〜55%である。なお、中空率は、中空糸型半透膜の横断面における中空部の面積の割合である。
中空糸型半透膜の長さは、特に限定されないが、好ましくは15〜400cm、より好ましくは20〜350cmである。
中空糸型半透膜の孔径は、100nm以下であることが好ましい。このような中空糸型半透膜としては、例えば、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)、正浸透膜(FO膜:Forward Osmosis Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)と呼ばれているものが挙げられる。
通常、RO膜およびFO膜の孔径は約2nm以下であり、UF膜の孔径は約2〜100nmである。NF膜は、RO膜のうちイオンや塩類の阻止率が比較的低いものであり、通常、NF膜の孔径は1〜2nmである。
上記の中空糸型半透膜を中空糸膜モジュールに組み込む方法としては、従来公知の方法があり、例えば、特許4412486号公報、特許4277147号公報、特許3591618号公報、特許3008886号公報などに記載されている。具体的には、例えば、中空糸型半透膜を45〜90本集めて1つの中空糸型半透膜集合体とし、さらにこの中空糸型半透膜集合体を複数横に並べて偏平な中空糸型半透膜束として、多数の孔を有する芯管にトラバースさせながら巻き付ける。このときの巻き付け角度は5〜60度とし、巻き上げ体の特定位置の周面上に交差部が形成するように巻き上げる。次に、この巻き上げ体の両端部を接着した後、片側のみ/または両側を切削して中空糸開口部を形成させ中空糸膜エレメント11を作成する。得られた中空糸膜エレメント11を圧力容器12に挿入して中空糸膜モジュール1を組立てる(図2)。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 半透膜モジュール(中空糸膜モジュール)、10 半透膜、11 中空糸膜エレメント、12 圧力容器、21 第1室、22 第2室、3 発電装置、4 造水装置、5 ポンプ、6 循環経路。

Claims (6)

  1. 水を含むフィード溶液と、ドロー溶質を含み前記フィード溶液より高い浸透圧を有するドロー溶液とを、半透膜を介して接触させることで、前記フィード溶液中に含まれる水を前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程と、
    前記ドロー溶液の流動によりタービンを回転させて発電する発電工程と、
    前記ドロー溶液から水を分離して水を回収する造水工程と、
    を含み、
    前記造水工程において水を回収することによって濃縮された前記ドロー溶液を、前記正浸透工程で再利用することを特徴とする、正浸透発電方法。
  2. 前記フィード溶液は、蒸発残留物濃度が1重量%以上の塩水であり、
    前記ドロー溶液の浸透圧は0.7MPa以上である、請求項1に記載の正浸透発電方法。
  3. 前記正浸透工程において、
    前記半透膜は中空糸型半透膜であり、
    前記フィード溶液を前記中空糸型半透膜の外周面に接触させると共に、ドロー溶質を含むドロー溶液を前記中空糸型半透膜の中空部内に流すことで、前記フィード溶液中に含まれる水を前記ドロー溶液中に移動させる、請求項1または2に記載の正浸透発電方法。
  4. 前記ドロー溶液の粘度が0.15Pa・s以上であり、
    前記中空糸型半透膜の内径が250μm超700μm以下である、請求項3に記載の正浸透発電方法。
  5. 前記中空糸型半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成される、請求項3または4に記載の正浸透発電方法。
  6. 半透膜、フィード溶液が供給される第1室、および、ドロー溶液が供給される第2室を有し、前記第1室と前記第2室とは前記半透膜で仕切られている、半透膜モジュールと、
    前記ドロー溶液の流動によりタービンを回転させて発電する発電装置と、
    前記ドロー溶液から水を分離して水を回収する造水装置と、
    前記造水装置において水を回収することによって濃縮された前記ドロー溶液を、前記第2室に供給するための循環経路と、
    を備える、正浸透発電システム。
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