JP2017024338A - 凸版印刷機 - Google Patents
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Abstract
【課題】凸版の変形等に基づく印刷精度の低下を解消し、印刷精度の向上を図る凸版印刷機を提供する。
【解決手段】凸版21は印像原形部と、整合マークをフィルムFに転写する整合マーク原形部を有し、整合マークを俯瞰する位置にはカメラ(撮像装置)7a、7bが備えられ、平面方向(XY平面方向)及び旋回方向に版胴2を移動駆動する位置調整装置が備えられ、カメラ7a、7bで得たデータから各整合マークの位置を特定してこれらを各位置データとして記録し、各位置データの位置を目標位置データの位置に移動すべく、位置調整装置に指令を発して版胴2を平面方向及び旋回方向に漸次変位させながら転写を行う制御部(制御装置)104が備えられた構成になっている。
【選択図】図1
【解決手段】凸版21は印像原形部と、整合マークをフィルムFに転写する整合マーク原形部を有し、整合マークを俯瞰する位置にはカメラ(撮像装置)7a、7bが備えられ、平面方向(XY平面方向)及び旋回方向に版胴2を移動駆動する位置調整装置が備えられ、カメラ7a、7bで得たデータから各整合マークの位置を特定してこれらを各位置データとして記録し、各位置データの位置を目標位置データの位置に移動すべく、位置調整装置に指令を発して版胴2を平面方向及び旋回方向に漸次変位させながら転写を行う制御部(制御装置)104が備えられた構成になっている。
【選択図】図1
Description
本発明は、弾性素材よりなる凸版を備えた凸版印刷機に関する。
この種の凸版印刷機としては、弾性素材によって形成された凸版(フレキソ版)が外周に巻き付けられた版胴を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。即ち、凸版印刷機は、凸版の表面に定量のインキ(印刷物質)を供給した上で、そのインキを版胴の回転に基づいて紙やプラスチックフィルム等の被印刷物(基材)に転写する輪転印刷機の一種である。なお、凸版印刷機としては、上述のように版胴を転写胴として用いて直接的に被印刷物にインキを転写する構成のもののほか、版胴からブランケット胴にインキを転写した上で当該ブランケット胴を転写胴として用いて間接的に被印刷物にインキを転写する構成のもの等がある。
凸版は、合成樹脂やゴム等の柔軟性を有する所定の厚さのシート状のもので形成されており、その表面に形成された凸部及び又は凹部に付着したインキを被印刷物やブランケット胴に転写するようになっている。
即ち、凸版は、柔軟性を有する弾性素材で形成されていることから、その表面に凸部や凹部を精度よく形成したとしても、版胴に取り付ける際に生じる位置ズレや、外力の作用による弾性変形等により、凸部や凹部の位置が微小ではあるが変化することになる。
このため、凸部や凹部について例えば1μm程度の精度で形成した凸版を用いた場合でも、凸版印刷機を用いて被印刷物に転写する場合には例えば±100μm程度の位置ズレを起こすこともあるという問題があった。
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、平面方向及びその平面に垂直な軸回りの旋回方向に転写胴を微妙に変位させながら被印刷物に転写することにより、印刷精度の向上を図ることができるという知見を得た。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、凸版に生じる位置ズレや弾性変形等に基づいて生じる印刷精度の低下を解消することで、当該印刷精度の向上を図ることのできる凸版印刷機を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、版胴の外周に装着された弾性素材よりなる凸版の外周部に付着した印刷物質について、前記版胴を転写胴として直接的に又は当該版胴からブランケット胴に転写した上で当該ブランケット胴を転写胴として間接的に、被印刷物に転写する凸版印刷機であって、前記転写胴は、前記被印刷物に対して所定の圧力を作用させながら回転することにより、当該転写胴の外周部に付着した前記印刷物質を前記被印刷物に印像として漸次転写するようになっており、前記凸版は、前記印像を前記被印刷物に転写するための印像原形部を有していると共に、前記印像を前記被印刷物に漸次転写する印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側に、前記印像の位置を特定するために前記印刷方向に間隔をおいて少なくとも2つの整合マークを前記被印刷物に転写するための整合マーク原形部を有しており、前記被印刷物における前記整合マークを転写する面の俯瞰が可能な位置には、当該各整合マークを撮像することで当該各整合マークの位置を特定するためのデータを得る撮像装置が備えられ、前記転写胴によって前記被印刷物への転写を可能にする所定の平面方向及びその平面に垂直な軸回りの旋回方向に、当該転写胴を駆動するための位置調整装置が備えられ、前記撮像装置で得たデータから前記各整合マークの位置を特定してこれらの各位置を各整合マークの位置データとして記録し、その各位置データと、当該各整合マークの目標とすべき位置として記録された目標位置データとを比較して、前記各位置データの位置が前記各目標位置データの位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発して前記転写胴を前記平面方向及び前記旋回方向に漸次変位させながら当該転写胴から前記被印刷物に転写を行うべく制御する制御装置が備えられていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記各目標位置データは、前記凸版の設計において示された前記各整合マーク原形部の位置に基づくデータであることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記目標位置データは、積層印刷をすべく前記被印刷物に複数層重ねて行う転写のうち、二層目以後の転写である後の転写の際に目標とする位置データであり、前記後の転写よりも少なくとも前に前記被印刷物に転写された各整合マークについて前記撮像装置及び制御装置で位置を特定することによって得た位置データであることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御装置は、前記被印刷物における前記印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側における隣り合う前記位置データを直線で結び、その直線上の少なくとも一つの所定の位置を前記印像の位置を特定するための直線補間位置データとし、かつ前記隣り合う位置データに対応する隣り合う前記目標位置データを結んだ直線における前記直線補間位置データに対応する位置を目標直線補間位置データとし、前記直線補間位置データで示す位置についても前記目標直線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発するようになっていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御装置は、前記被印刷物における前記印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側における隣り合う3つ以上の前記位置データを前記印刷方向において順次通ることになる曲線を最小二乗法により特定し、隣り合う前記位置データの間の前記曲線上の少なくとも一つの所定の位置を前記印像の位置を特定するための曲線補間位置データとし、かつ前記3つ以上の位置データに対応する前記目標位置データを前記印刷方向において順次通ることになる曲線を目標曲線として最小二乗方により特定し、隣り合う前記目標位置データの間の前記目標曲線上における前記曲線補間位置データに対応する位置を目標曲線補間位置データとし、前記曲線補間位置データで示す位置についても前記目標曲線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発するようになっていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、例えば凸版を版胴に取り付ける際に、当該凸版が版胴の軸方向に対して傾く等の位置ズレが微小ではあるが生じることになる。この位置ズレは、転写胴から被印刷物に転写される印像や各整合マークにもそのまま生じることになる。
また、版胴に取り付けられた凸版は、種々の方向から大きさの異なる外力を受けることになることから、多少ではあるが弾性変形を生じることになる。このため、凸版が版胴の正規の位置に誤差なく正確に取り付けられたとしても、弾性変形による位置ズレが生じることになり、この位置ズレも、転写胴から被印刷物に転写される印像や各整合マークにそのまま生じることになる。
更に、凸版が版胴の正規の位置に誤差なく正確に取り付けられ、かつ外力の作用を全く受けることがない理想的な状態を想定したとしても、被印刷物が例えば巻取ロールに巻き取られる際に受ける張力により変形することがあり、この変形による位置ズレも、転写胴から被印刷物に転写される印像や各整合マークに生じることになる。
撮像装置は、被印刷物に転写された各整合マークを撮像することで、当該各整合マークの被印刷物上の位置を特定するためのデータを得ることができる。そして、制御装置は、撮像装置で得たデータから各整合マークの被印刷物上の位置を特定してこれらの各位置を各整合マークの位置データとして記録することになる。
一方、目標位置データは、上記各整合マークの位置データが目標とすべき理想的な位置のデータであり、例えば凸版の設計において示された各整合マーク原形部の位置に基づいて得られたデータを用いることが可能である。また、目標位置データとしては、積層印刷において複数層重ねて行う転写のうち、二層目以後の転写である後の転写の際に目標とする位置データであって、当該後の転写より少なくとも前に被印刷物に転写された各整合マークについて撮像装置及び制御装置で位置を特定して得た位置データを用いることが可能である。
目標位置データとして凸版における設計上の各整合マーク原形部の位置データを用いた場合には、まず当該凸版を用いて実際に印像及び各整合マークの転写を行い、これにより当該各整合マークの位置データを撮像装置及び制御装置で取得する。そして、次回からの転写において、先に取得した各整合マークの位置データが目標位置データの位置となるように、転写胴を平面方向及び旋回方向に漸次変位させながら転写を行うことになる。
これにより、凸版が例えば版胴の軸方向に傾いて取り付けられた場合には、各整合マークの位置データが目標位置データとなるように、転写胴が旋回方向に漸次変位しながら、かつ必要に応じて平面方向に漸次変位しながら転写が行われることになるので、その傾きが修正された精度の高い印像を得ることができる。
また、版胴に取り付けた状態の凸版が外力により弾性変形を受けている場合にも、各整合マークの位置データが目標位置データとなるように、転写胴が平面方向や旋回方向に漸次変位しながら転写が行われることになるので、その凸版の弾性変形による位置ズレが解消された精度の高い印像を印刷することができる。
更に、張力等の作用により被印刷物自体が変形する場合においても、各整合マークの位置データが目標位置データとなるように、転写胴が平面方向等に漸次変位することになるので、その被印刷物の変形により生じた位置のずれを修正することができ、その修正後の精度の高い印像を得ることができる。
以上の結果、版胴に装着前の凸版に形成された印像原形部に極めて近い高精度の印像を繰り返し得ることができる。このため、凸版の寸法精度が例えば±1μm程度であり、かつ位置調整装置による位置決め精度も例えば±1μm程度であるとすれば、±2μm以下の印刷精度を少なくとも得ることが可能になるという利点がある。
一方、目標位置データとして、積層印刷における後の転写の前に転写された各整合マークの位置データを用いた場合には、後に転写される印像を前に転写された印像に正確に重ねることができる。即ち、積層印刷の品質の向上等を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、各目標位置データとして凸版の設計において示された各整合マーク原形部の位置に基づくデータを用いているので、版胴に装着前の凸版に形成された印像原形部の位置精度に近い高精度の印像を繰り返し転写することができる。
請求項3に記載の発明によれば、目標位置データとして後の転写の前に転写された各整合マークの位置データを用いているので、後に転写される印像を前に転写された印像に正確に重ねた積層印刷を行うことができる。即ち、積層印刷の品質の向上等を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、印刷方向において隣り合う整合マークの位置データを結ぶ直線上の所定の位置を印像の位置を特定する直線補間位置データとし、かつ隣り合う整合マークの位置データに対応する隣り合う目標位置データを結ぶ直線における前記直線補間位置データに対応する位置を目標直線補間位置データとし、直線補間位置データで示す位置についても目標直線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、位置調整装置に指令を発して転写胴の位置を漸次修正するようになっているので、隣り合う整合マークの間においても、原形状態の凸版の寸法精度により近い精度で印像を転写することができると共に、積層印刷の品質をより向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、印刷方向において隣り合う整合マークの位置データを結ぶ曲線上の所定の位置を印像の位置を特定する曲線補間位置データとし、かつ隣り合う整合マークの位置データに対応する隣り合う目標位置データを結ぶ曲線における前記曲線補間位置データに対応する位置を目標曲線補間位置データとし、曲線補間位置データで示す位置についても目標曲線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、位置調整装置に指令を発して転写胴の位置を漸次修正するようになっているので、隣り合う整合マークの間においても、原形状態の凸版の寸法精度に極めて近い精度の印像を繰り返し転写することができると共に、積層印刷の品質を更に向上させることができる。
なお、上記曲線や目標曲線は、各整合マークの位置データや各目標位置データが直線上に位置している場合には最小二乗法を用いて二次元以上の多次元の曲線の関数を求めようとしても、結果としては一次元の直線の関数となる。即ち、最小二乗法により特定する曲線及び目標曲線は、直線を含む概念である。
本発明の凸版印刷機の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
この実施形態で示す凸版印刷機1は、図1及び図2に示すように、外周に凸版21を巻き付けるように設けた転写胴としての版胴2を紙や樹脂等のシート状のフィルム(被印刷物)(基材)Fに対して所定の圧力を作用させながら回転することにより、凸版21の凸部(図示せず)の上面に付着した印刷物質をフィルムFの表面に転写し、これによって当該凸版21の凸部の上面によって形成された所定の形状の印像原形部(図示せず)に対応する形状の印像A(例えば図3(b)参照)を当該フィルムFに転写するようになっている。
凸版印刷機1は、ここではロールツーロール方式のもので構成されたものの例を示しており、巻出ロール1aから巻き出された帯状のフィルムFが一定の速度で巻取ロール1bに巻き取られる過程において当該フィルムFに印像Aを転写するようになっている。巻出ロール1aと巻取ロール1bの間には、例えば4本のロールを備えたエッジガイダー1cが版胴2の手前側(巻出ロール1a側)に設けられている。エッジガイダー1cは、フィルムFの両側縁部をガイドすることにより、当該フィルムFが蛇行するのを防止するようになっている。巻出ロール1a、巻取ロール1b及びエッジガイダー1cの4本のロールのそれぞれの回転軸の軸方向は、水平方向を向いた状態で互いに平行に保持されている。
版胴2は、その回転軸の軸方向が水平方向に保持され、かつ巻出ロール1a、巻取ロール1b等に原則として平行に保持されるようになっていると共に、その回転軸回りに回転駆動されることにより、フィルムFの移動速度と同調する周速度で回転するようになっている。この場合、版胴2の軸方向はフィルムFと平行であり、フィルムFは版胴2の軸方向に原則として直交する方向に延在すると共に移動することになる。ここでは、フィルムFが巻出ロール1aと巻取ロール1bの間に延在する方向をX軸方向とし、このフィルムFの上面(印像Aを転写する面)においてX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。即ち、X軸方向及びY軸方向は共に水平方向を向き、互いに直交するものとなっている。そして、X軸方向はフィルムFが巻取ロール1bに向かう方向を正(+)方向とし、Y軸方向はX軸方向に対してフィルムFの上面で左側に向かう方向を正方向とする。一方、版胴2からフィルムFへの転写を可能にする所定の平面方向は、X軸及びY軸を共に含むXY平面(即ち水平面)に一致するものとする。この版胴2の凸版21とフィルムFとの接触部を通り当該版胴2の接線方向を向く平面に対応している。なお、XY平面に直交する方向(即ち垂直方向)をZ軸方向とする。このZ軸方向は、XY平面に対して上方に向かう方向を正方向とする。また、版胴2の下側には、フィルムFを下方から支持する圧胴3が設けられている。この圧胴3は、版胴2から作用する圧力を受けることで、当該圧力をフィルムFに安定的に作用させる機能を有している。この圧胴3については、その軸方向が原則としてY軸方向を向き、版胴2及びフィルムFと同調する周速度で回転するようになっている。なお、版胴2及び圧胴3は、後述の位置調整装置5により、XY平面方向及びZ軸回りのθ回転角方向(旋回方向)に所定量移動駆動されるようになっている。即ち、版胴2及び圧胴3の軸方向は、Y軸方向(X軸方向に直交する方向)に対して所定量変化することが可能になっている。
また、版胴2に装着された凸版21は、アニロックスロール4から印刷物質の供給を受け、これによって、当該凸版21の凸部の上面に付着した印刷物質をフィルムFに転写するようになっている。
アニロックスロール4は、その外周面で壺部41から供給された印刷物質を受けるようになっている。即ち、壺部41は、蓄えた印刷物質をアニロックスロール4の外周面に供給するようになっている。この壷部41には、印刷物質を一定の厚さに整えてアニロックスロール4に供給するためのドクター41aが設けられている。また、印刷物質としては、印刷の種類に応じて適正な粘度等に調製された種々のインキが用いられる。なお、例えば、電極や回路等の導電性を必要とするものを印刷する場合には、印刷物質として、銀、銅等の導電性金属からなる粒子、ナノ粒子若しくはナノワイヤ等を含有する液状等に構成されたもの(いわゆる導電性インキ、導電性印刷物質)が用いられることになる。
上記版胴2、圧胴3、アニロックスロール4、壷部41、ドクター41aは、図1に示す凸版印刷機1において、印刷機能部101を構成する各要素となっている。そして、印刷機能部101は、版胴2、圧胴3、アニロックスロール4、壷部41、ドクター41a、版胴2等を駆動する各種モータ、減速機その他諸々の部材等を支持し、収容すべくフレーム等で構成された支持構造体101aを備えた構成になっている。
印刷機能部101の上側には、XYθステージ部102、Zステージ部103及び制御部(制御装置)104が順次重なるように設けられている。そして、印刷機能部101、XYθステージ部102、Zステージ部103及び制御部104によって印刷ユニット100が構成され、この印刷ユニット100の上端部が凸版印刷機1の本体(図示せず)に固定されるようになっている。
XYθステージ部102は、図2に示すように、位置調整装置5を備えた構成になっている。この位置調整装置5は、図2(b)に示すように、印刷ユニット100における印刷機能部101より下側の部分を、Zステージ部103より上側の部分に対して、水平方向(XY平面方向)に移動駆動することが可能になっていると共に、Z軸回りに回動駆動することが可能になっている。この場合の位置調整装置5は、図2(a)に示すX軸が上述のX軸方向に、Y軸が上述のY軸方向に向けられた状態でXYθステージ部102に設けられている。また、位置調整装置5の駆動可能範囲は、X軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、垂直軸であるZ軸回りのθ回転角方向(旋回方向)に±5度となっている。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、上述したように、直交座標系の座標軸に対応し、X軸とY軸からなるXY平面は水平方向(即ち、フィルムFに沿う方向)を向き、Z軸はXY平面に対して垂直方向を向くことになる。
位置調整装置5の各部材の構成は以下の通りである。即ち、位置調整装置5は、下側プレート部51と、上側プレート部52と、水平移動回転継手部53と、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56とを備えている。
下側プレート部51及び上側プレート部52は、四角形の金属板(例えば鋼板やアルミニウム板等)によって形成されており、弾性変形を極力防止すべく所定の厚さ以上の剛性の高いものが用いられている。そして、下側プレート部51はその下面側が印刷機能部101の支持構造体101aに連結され、上側プレート部52はその上面側がZステージ部103に連結されている。
水平移動回転継手部53は、図2(c)に示すように、下側スライダ53aと、上側スライダ53bと、複数の転動体53cと、リテーナ53dを備えている。転動体53cは、鋼球によって形成されたものであり、下側スライダ53aと、上側スライダ53bとの間にあって、これらの下側スライダ53aと、上側スライダ53bとを平行に維持しながら、水平方向及びθ回転角方向に円滑な相対移動を可能にしている。リテーナ53dは、転動体53cが下側スライダ53aと、上側スライダ53bとの間から脱落するのを防止する機能を有している。そして、下側スライダ53aは下側プレート部51の上面中心部に固定され、上側スライダ53bは上側プレート部52の下面中心部に固定されるようになっている。このように構成された水平移動回転継手部53についても、全体が剛性の高いものとなっている。
第1及び第3のリニアアクチュエータ54、56は、図2(a)及び(b)に示すように、下側プレート部51と上側プレート部52との間にあって、その伸縮方向を基本的にY軸方向に向けた状態で、水平移動回転継手部53の両側に設けられている。これらの第1及び第3のリニアアクチュエータ54、56のそれそれについては、その伸縮方向の一端部が下側プレート部51に連結され、他端部が上側プレート部52に連結されている。第2のリニアアクチュエータ55は、下側プレート部51と上側スライダ53bとの間にあって、その伸縮方向を基本的にX軸方向に向けた状態で、水平移動回転継手部53の外側に設けられている。この第2のリニアアクチュエータ55についても、その伸縮方向の一端部が下側プレート部51に連結され、他端部が上側プレート部52に連結されている。
このように構成された位置調整装置5は、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56を個々に伸縮制御することにより、下側プレート部51に対して上側プレート部52を、上述のようにX軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、θ回転角方向に±5度の範囲で変位させることが可能になっている。そして、位置調整装置5の位置決め精度としての分解能は、X軸方向及びY軸方向の各方向においては1μmであり、θ回転角方向においてはX軸方向及びY軸方向の各方向の分解能に基づいて定まる値となる。これにより、位置調整装置5は、版胴2及び圧胴3をXY平面方向(平面方向)及びθ回転角方向(Z軸方向回りの旋回方向)に精度よく移動駆動することが可能になっている。
Zステージ部103は、図1に示すように、印刷ユニット100におけるXYθステージ部102より下側の部分(圧胴3を除く)を、当該印刷ユニット100における制御部104より上側の部分に対して、上下方向に平行に10nm(ナノメータ)の単位で微動変位させることを可能とする図示しない微動変位素子を備えている。即ち、凸版21の厚さのばらつきに応じて上下に変化することで、版胴2からフィルムFに作用する圧力を一定に保つことができ、これにより、フィルムFに転写される印像Aの寸法精度の向上を図るようになっている。なお、上記微動変位素子は、版胴2の軸方向の各端部に対応する位置に設けられており、版胴2をXY平面に対して上下方向に傾くように調整することも可能になっている。
制御部104は、版胴2及び圧胴3の回転速度等の印刷に関する基本的な制御を行うと共に、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56を制御することで、印刷機能部101(即ち、その構成要素である版胴2及び圧胴3)を上述した移動範囲及び分解能で変位させるべく調整することが可能になっている。
即ち、版胴2及び圧胴3等は、位置調整装置5に基づいて、X軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、θ回転角方向に±5度の範囲で変位可能であると共に、X軸方向及びY軸方向の各方向においては1μmの分解能で位置決めが可能になっている。
換言すると、位置調整装置5は、フィルムFにおける所定の位置に印像Aを転写するため、版胴2の基本的な位置を、フィルムFに沿う方向に(即ち、X軸方向及びY軸方向に)1μmの分解能で変位させたり、Z軸回りに回転変位させたりすべく調整することが可能になっている。
一方、印像Aについては、直線状のものでも、曲線状のものでも、所定の広がりを有するいかなる平面的な形状のものであってもよいが、この例では例えば図3に示すように、四角形状の所定の広がりを有する形状のものを示している。
また、上記版胴2は、フィルムFに対して所定の圧力を作用させながら回転することにより、凸版21の外周面に供給された印刷物質を、例えば図3(b)に示すように、フィルムFに四角形状の印像Aとして漸次転写することになる。この場合、印像Aは、印刷最先端がX軸方向の正(+)側に位置し、印刷最終端がX軸方向の負(−)側に位置することになる。即ち、印像Aの印刷方向についての正負の方向が、フィルムFの移動方向F1とは逆の方向になる。
凸版21は、図3(b)に示すように、フィルムFにおける印刷方向の左側及び右側の各側に、印像Aの位置を特定するために印刷方向に間隔をおいて2つ以上の複数(この例では3つ)の整合マークM11〜M31、M12〜M32を転写するための各整合マーク原形部(図示せず)を有している。なお、凸版21の印像原形部(図示せず)は、対向する一対の各辺が印刷方向の左右に位置する長方形状の印像AをフィルムFに転写すべく長方形状に形成されている。また、各整合マークM11〜M31、M12〜M32は、印像Aにおける印刷方向の左右の各辺に平行な仮想直線上にあって、当該各辺の長手方向の一端、他端及び中央のそれぞれに対応する位置に転写されるようになっている。
また、凸版印刷機1には、フィルムFにおける各整合マークM11〜M31、M12〜M32が転写される面を上方から俯瞰することが可能な位置に、各整合マークM11〜M31、M12〜M32を撮像することで当該各整合マークM11〜M31、M12〜M32の位置を特定するためのデータを得るカメラ(撮像装置)7a、7bが備えられている。この例では、カメラ7aは、フィルムFにおける印刷方向の左側の各整合マークM11〜M31の上方に配置されており、主として当該左側の各整合マークM11〜M31の位置を特定すべく配置されている。また、カメラ7bは、右側の各整合マークM12〜M32の上方に配置されており、主として当該右側の各整合マークM12〜M32の位置を特定すべく配置されている。なお、カメラ7a、7bは、各整合マークM11〜M31、M12〜M32について個々に撮像が可能な画角の狭いものであっても、複数同時に撮像が可能な画角の広いものであってもよい。
そして、制御部104は、カメラ7a、7bで得たデータから各整合マークM11〜M31、M12〜M32の位置を特定してこれらの各位置を各整合マークM11〜M32の位置データD11〜D32として記録し、その各位置データD11〜D32と、当該各整合マークM11〜M32の目標とすべき位置として記録された目標位置データD11t〜D32t(図3参照)とを比較して、各位置データD11〜D32の位置が各目標位置データD11t〜D32tの位置となるように修正すべく、位置調整装置5に指令を発して版胴2及び圧胴3をXY平面方向及びθ回転角方向に漸次変位させながら当該版胴2からフィルムFに印刷物質を転写する制御を行うようになっている。
上記のように構成された凸版印刷機1を用いて印像Aを修正する方法について以下に説明をする。
図3は、凸版21が版胴2に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用により弾性変形を生じている場合に、フィルムFに転写される印像Aに基づいて、当該印像Aを修正する手順について示したものである。
図3(a)は、凸版21が版胴2に所定の方向に正確にかつ弾性変形することなく取り付けて転写がなされた後の理想上の印像At及び各整合マークM11t〜M32tを示すと共に、当該各整合マークM11t〜M32tの位置を目標位置データD11t〜D32tとして示したフィルムの要部平面図である。この目標位置データD11t〜D32tは、制御部104に予め入力しておくべきものであり、例えば凸版21の設計データから得られるデータ等、目標値として好適なデータが用られる。ここでは、各目標位置データD11t〜D32tとして、凸版21の設計において示された各整合マーク原形部の位置を示すデータを用いている。なお、長方形状の印像Atの対向する一対の辺は印刷方向を向き、当該各辺の外側に各整合マークM11t〜M32tが位置しているのは、上述の通りである。
凸版21は、版胴2に取り付けられる際に、当該版胴2対して何らかの位置ズレが生じると共に、多少なりとも外力を受けて弾性変形することになる。図3(b)は、図3(a)で示した凸版21が版胴2の軸方向に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用によりひし形状に弾性変形している場合において、その版胴2をそのまま用いて転写することによりフィルムF上に転写される印像A、各整合マークM11〜M32及び各整合マークM11〜M32の位置データD11〜D32等を示している。この場合、位置データD11〜D32を目標位置データD11t〜D32tの各位置に修正することにより、印像Aとして目的とする理想の印像Atに近いものを得ることができる。なお、印像Aは、印像Atと比較するため、極端に変形、変位した例を示している。
図3(c)は、図3(b)で示した傾き及び変形が生じた凸版をそのまま用いた上で印像を修正する第1のイメージを示す図であり、印刷最先端における第1番目の左右の各整合マークM11、M12の位置データD11、D12が同じく第1番目の各目標位置データD11t、D12tの位置となるように版胴2をθ回転方向(図中時計回り方向)に変位させ、この状態でフィルムF上に転写をしたとしたならば得られるであろう印像A、各整合マークM11…及び各位置データD11…等を示している。即ち、版胴2をZ軸回りに回転変位させることで、印像Aの印刷最先端位置を目標とする印像Atの印刷最先端位置に近似させることができる。
図3(d)は、図3(c)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第2のイメージを示す図であり、第2番目の左右の各整合マークM21、M22の位置データD21、D22が同じく第2番目の各目標位置データD21t、D22tの位置となるように版胴2の位置をその版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2番目の各位置データD21、D22が第2番目の各目標位置データD21t、D22tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各位置データD11…等を示している。これにより、印像Aにおける印刷最先端位置から第2番目の各位置データD21、D22に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
図3(e)は、図3(d)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第3のイメージを示す図であり、第3番目の左右の各整合マークM31、M32の位置データD31、D32が同じく第3番目の各目標位置データD31t、D32tの位置となるように版胴2の位置をその軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第3番目の各位置データD31、D32が第3番目の各目標位置データD31t、D32tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各位置データD11…等を示している。以上より、印像Aの全体を目標の理想とする印像Atに近似させることができる。
次に、図4は、上記凸版印刷機1を用いてフィルムF上に積層印刷を行う際に各層の印刷位置の適合を図るべく、後に転写される印像Aを修正するための手順を示したものである。
図4(a)は、第1の凸版21を用いて転写した後の第1層の印像At及び各整合マークM11t〜M32tを示すと共に、当該各整合マークM11t〜M32tの位置を目標位置データD11t〜D32tとして示したフィルムFの要部平面説明図である。この目標位置データD11t〜D32tは、第1層の印像Atを転写した後に、カメラ7a、7b及び制御部104によって取得し、当該制御部104に記録されることになる。即ち、目標位置データD11t〜D32tは、フィルムF上に第1層の印像Atと共に転写された各整合マークM11t〜M32tの位置をカメラ7a、7bで実際に視認して得たものである。なお、第1層の印像Atは、長方形状とし、その対向する一対の辺は印刷方向を向き、当該各辺の外側に各整合マークM11t〜M32tが位置している点は図3(a)と同じである。但し、第1層の印像Atや目標位置データD11t〜D32tについては、第1の凸版21の版胴2への取り付け時の位置ズレや外力による弾性変形により、当該第1の凸版21の印像原形部の形状や整合マーク原形部の位置とは異なるものとなる。
図4(b)は、図4(a)で示した第1層の印像At及び各目標位置データD11t〜D32tの上から、第2の凸版21を用いて単に転写した後の第2層の印像A及び第2層の各整合マークM11〜M32を示している。なお、図4(b)においては、第2の凸版21の版胴2への取り付け時の位置ズレや外力による弾性変形により、第2層の印像A等が第1層の印像At等と異なる形状、位置等に転写されることになることを、極端に変形、変位した例で明示的に示している。但し、実際の積層印刷における上記各層の形状や位置のズレは、0.1mm程度の微小の範囲である。
図4(c)は、図4(b)で示した第2の凸版21をそのまま用いた上で第2層の印像Aを修正する第1のイメージを示す図であり、第2層の印像Aの印刷最先端における第1番目の左右の各整合マークM11、M12の位置データD11、D12が同じく第1番目の各目標位置データD11t、D12tの位置となるように版胴2を軸方向(図中左方向)に変位させると共に、θ回転方向(図中時計回り方向)に変位させ、この状態でフィルムF上に転写をしたとしたならば得られるであろう第2層の印像A、各位置データD11…、第1層の印像At及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2を軸方向に変位させると共に、Z軸回りに回転変位させることで、第2層の印像Aの印刷最先端位置を目標とする第1層の印像Atの印刷最先端位置に近似する位置に移動することができる。
図4(d)は、図4(c)で示した修正に加えて更に第2層の印像Aを修正する第2のイメージを示す図であり、第2番目の左右の各整合マークM21、M22の位置データD21、D22が同じく第2番目の各目標位置データD21t、D22tの位置となるように版胴2の位置を当該版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2番目の各位置データD21、D22が第2番目の各目標位置データD21t、D22tに移動した後の第2層の印像A、各位置データD11…、第1層の印像At及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向(この例ではY軸方向)に変位させることで、第2層の印像Aにおける印刷最先端位置から第2番目の各位置データD21、D22に対応する部分を第1層の印像Atに近似する位置に移動することができる。
図4(e)は、図4(d)で示した修正に加えて更に第2層の印像Aを修正する第3のイメージを示す図であり、第3番目の左右の各整合マークM31、M32の位置データD31、D32が同じく第3番目の各目標位置データD31t、D32tの位置となるように版胴2の位置を当該版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第3番目の各位置データD31、D32が第3番目の各目標位置データD31t、D32tに移動した後の第2層の印像A、各位置データD11…、第1層の印像At及び各目標位置データD11t…等を示している。以上より、第2層の印像Aの全体を第1層の印像Atにほぼ完全に重なるように正確に転写することができる。
次に、図5は、上記凸版印刷機1に設けた凸版21に対してフィルムFに転写される印像Aの大きさが印刷方向に変化してしまう場合にその印像Aを修正する手順について示したものである。
図5(a)は、凸版21に形成された図示しない印像原形部や整合マーク原形部等と形状及び寸法が一致する転写がなされた後の理想上の印像At及び各整合マークM11t〜M32tを示すと共に、当該各整合マークM11t〜M32tの位置を目標位置データD11t、D32tとして示したフィルムFの要部平面図である。この目標位置データD11t〜D32tは、図3(a)の場合と同様に、凸版21の設計データから得ることが可能データであり、制御部104に予め入力しておくことになる。ここでも、各目標位置データD11t〜D32tとして、凸版21の設計において示された各整合マーク原形部の位置を示すデータを用いている。なお、長方形状の印像Atの対向する一対の辺は印刷方向を向き、各辺の外側に各整合マークM11t〜M32tが位置している。
図5(b)は、図5(a)で示した凸版21を用いて単にフィルムF上に転写することで、フィルムの伸び等の作用により印像A及び各整合マークM11〜M32が印刷方向に位置的に拡大した状態になっていることを明示的に示した図となっている。この場合、位置データD11〜D32を目標位置データD11t〜D32tの位置に修正することにより、印像Aとして理想の印像Atに近いものを得ることができる。
図5(c)は、図5(b)で示した凸版21をそのまま用いて印像Aを修正する第1のイメージを示しているが、当該印像Aとして印刷方向に単に拡大したものの例を示していることから、印刷最先端における第1番目の左右の各整合マークM11、M12の位置データD11、D12が同じく第1番目の各目標位置データD11t、D12tの位置に対応した状態となることを単に確認的に示す図となっている。
図5(d)は、図5(c)で示した状態から印像Aを修正する第2のイメージを示す図であり、第2番目の左右の各整合マークM21、M22の位置データD21、D22が同じく第2番目の各目標位置データD21t、D22tの位置となるように版胴2をその軸方向に直交する方向(図中上矢印方向、即ちX軸方向)に変位させながら転写し、第2番目の各位置データD21、D22が第2番目の各目標位置データD21t、D22tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をX軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端位置から第2番目の各位置データD21、D22に対応する部分を目標とする印像Atの形状及び寸法に近似させることができる。
図5(e)は、図5(d)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第3のイメージを示す図であり、第3番目の左右の各整合マークM31、M32の位置データD31、D32が同じく第3番目の各目標位置データD31t、D32tの位置となるように版胴2をその軸方向に直交する方向(図中上矢印方向、即ちX軸方向)に変位させながら転写し、第3番目の各位置データD31、D32が第3番目の各目標位置データD31t、D32tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データM11t…等を示している。以上より、印像Aの全体を目標の理想とする印像Atに近似させることができる。
以上の図3〜図5においては、フィルムFにおける印刷方向の左側及び右側のそれぞれに、印像Aを特定するための3つの整合マークを設けた例を示したが、この整合マークの数を多くすることにより、印像Aを印刷方向において寸法的に短い間隔で緻密に修正することが可能になるので、印像Aを目標とする印像Atにより正確に近似させることができる。即ち、印刷精度の向上を図ることができる。
図6は、上記凸版印刷機1において凸版21が版胴2に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用により変形を生じている場合にフィルムFに転写される印像Aを用いてその印像Aの修正の手順を示したものである。従って、この点では、図3で示した修正手順と同様な内容になっている。但し、ここでは、隣接する整合マークを直線で結び、その直線の所定の位置を直線補間位置データとして特定し、この直線補間位置データの位置を利用して寸法的により短い間隔で印像Aの修正を可能にすることにより印刷精度の向上を図ろうとするものである。
図6(a)は、凸版21が版胴2に所定の方向に正確にかつ変形することなく取り付けられた状態において正方形状に転写がなされた後の理想上の印像At及び各整合マークM11t〜M32tを示すと共に、当該各整合マークM11t〜M32tの位置を目標位置データD11t〜D32tとし、印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方(この例では左側)に位置する隣り合う目標位置データ(D11tとD21t及びD21tとD31t)を直線で結び、当該各直線を3等分して得た各点を第1〜第4の目標直線補間位置データI11t〜I41tとして示したフィルムFの要部平面図である。目標位置データD11t〜D32tは、凸版21の設計データから得ることが可能データであり、目標直線補間位置データI11t〜I41tについては、目標位置データD11t〜D32tから計算により理論的に得ることができる。即ち、制御部104は、目標位置データD11t〜D32tの入力を受けることで、目標直線補間位置データI11t〜I41tを算出し、これらのデータD11t〜D32t、I11t〜I41tを記憶部に記録することになる。なお、正方形状の印像Atの対向する一対の辺は印刷方向に延在し、各辺の外側に各整合マークM11t〜M32tが位置している点は上述した通りである。
図6(b)は、図6(a)で示した凸版21が版胴2の軸方向に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用により曲線的に変形を生じている場合において、そのまま転写することによりフィルムF上に転写される印像A及び各整合マークM11〜M32を示すと共に、印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方(この例では目標直線補間位置データI11t〜I41tに対応する左側)に位置する隣り合う整合マーク(M11とM21及びM21とM31)の位置データ(D11とD21及びD21とD31)を直線で結び、当該各直線を3等分して得た各点を第1〜第4の直線補間位置データI11〜I41として示している。この場合、位置データD11〜D32、直線補間位置データI11〜I41を、これらにそれぞれ対応する目標位置データD11t〜D32t、目標直線補間位置データI11t〜I41tの各位置に修正することにより、印像Aとして目的とする理想の印像Atに近いものを得ることができる。
図6(c)は、図6(b)で示した傾き及び変形が生じた凸版21をそのまま用いた上で印像Aを修正する第1のイメージを示す図であり、印刷最先端における第1番目の左右の各整合マークM11、M12の位置データD11、D12が同じく第1番目の各目標位置データD11t、D12tの位置となるように版胴2をθ回転方向(図中時計回り方向)に変位させ、この状態で転写をしたとしたならば得られるであろう印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をZ軸回りに回転変位させることで、印像Aの印刷最先端位置を目標とする印像Atの印刷最先端位置に近似させることができる。
図6(d)は、図6(c)で示した修正に加えて更に印像を修正する第2のイメージを示す図であり、第1の直線補間位置データI11が同じく第1の目標直線補間位置データI11tの位置となるように版胴2の位置をその版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第1の直線補間位置データI11が第1の目標直線補間位置データI11tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端側から第1の直線補間位置データI11に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
図6(e)は、図6(d)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第3のイメージを示す図であり、第2の直線補間位置データI21が同じく第2の目標直線補間位置データI21tの位置となるように版胴2の位置をその軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2の直線補間位置データI21が第2の目標直線補間位置データI21tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端側から第2の直線補間位置データI21に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
図6(f)は、図6(e)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第4のイメージを示す図であり、第2番目の左右の各整合マークM21、M22の位置データD21、D22が同じく第2番目の各目標位置データD21t、D22tの位置となるように版胴2の位置をその版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2番目の各位置データD21、D22が第2番目の各目標位置データD21t、D22tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端位置から第2番目の各位置データD21、D22に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
そして、印像Aにおける第3の直線補間位置データI31から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分までを上記と同様にして版胴2をその軸方向に変位させながら転写することにより、印像Aにおける第2番目の各位置データD21、D22から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分についても目標とする印像Atに近似させることができる。但し、第2番目の各位置データD21、D22から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分についての図6における表示を省略している。
なお、図6においては、隣り合う位置データ(D11とD21及びD21とD31)を結ぶ2本の各直線について、それぞれを3等分することで第1〜第4の直線補間位置データI11〜I41を特定するように構成した例を示した。即ち、直線を三等分することで、当該直線上の二つの所定の位置を特定する例を示したが、当該直線を二等分あるいは四等分以上することにより、一つ以上の所定の位置を特定し、その位置を直線補間位置データとするようにしてもよい。また、所定の位置が特定できれば、等分により位置を特定する方法を用いなくてもよい。目標直線補間位置データI11t〜I41tについても同様である。但し、各目標直線補間位置データI11t〜I41tが各直線補間位置データI11〜I41に対応する位置となるように設定する必要がある。上記例では各直線を3等分することで、各目標直線補間位置データと、各直線補間位置データとの位置の対応をとっている。
図7は、上記凸版印刷機1において凸版21が版胴2に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用により変形を生じている場合にフィルムFに転写される印像Aを用いてその印像Aの修正の手順を示したものである。従って、この点では、図6で示した修正手順と同様な内容になっている。但し、ここでは、隣接する整合マークを曲線で結び、その曲線の所定の位置を曲線補間位置データとし、この曲線補間位置データの位置を利用して寸法的により短い間隔での印像Aの修正を可能にすることにより更に印刷精度の向上を図ろうとするものである。
図7(a)は、凸版21が版胴2に所定の方向に正確にかつ変形することなく取り付けられた状態において正方形状に転写がなされた後の理想上の印像At及び各整合マークM11t〜M32tを示すと共に、当該各整合マークM11t〜M32tの位置を目標位置データD11t〜D32tとし、印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方(この例では左側)に位置する隣り合う目標位置データ(D11tとD21t及びD21tとD31t)を直線で結び、当該各直線を3等分して得た各点を第1〜第4の目標直線補間位置データI11t〜I41tとして示したフィルムFの要部平面図である。目標位置データD11t〜D32tは、凸版21の設計データから得ることが可能データであり、目標直線補間位置データI11t〜I41tについては、目標位置データD11t〜D32tから計算により理論的に得ることができる。即ち、制御部104は、目標位置データD11t〜D32tの入力を受けることで、目標直線補間位置データI11t〜I41tを算出し、これらのデータD11t〜D32t、I11t〜I41tを記憶部に記録することになる。なお、正方形状の印像Atの対向する一対の辺は印刷方向に延在し、各辺の外側に各整合マークM11t〜M32tが位置している。即ち、図7(a)から得られる情報は、図6(a)から得られる情報と同様である。なお、3つの整合マークM11t、M21t、M31tを順次通る曲線を最小二乗法により求めてもよいが、整合マークM11t、M21t、M31tが直線上に位置していることから、最小二乗法により計算した結果は直線となる。但し、整合マークM11t、M21t、M31tが曲線上の位置に配置されている場合には、整合マークM11t、M21t、M31tを通る曲線を最小二乗法により求めることになる。
図7(b)は、図7(a)で示した凸版21が版胴2の軸方向に対して斜めに傾いて取り付けられかつ外力の作用により曲線的に変形を生じている場合において、そのまま転写することによりフィルムF上に転写される印像A及び各整合マークM11〜M32を示すと共に、印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方(この例では目標直線補間位置データI11t〜I41tに対応する側である左側)に位置する3つの整合マークM11〜M31の位置データD11〜D31を順次通る連続する曲線で結び、当該曲線における隣り合う整合マーク(M11とM21及びM21とM31)の間の部分を印刷方向(X軸方向)においてそれぞれ3等分して得た各点を第1〜第4の曲線補間位置データI11〜I41として示している。この場合、曲線は、3つの点を通る曲線であることから、2次関数として求めることができる。即ち、フィルムFが巻取ロール1bに向かう方向をX軸方向の+方向とし、X軸に直交し図中左側に向かう方向をY軸方向の+方向とする条件の下において、曲線は、Y=a+bX+cX2の2次関数で求めることができる。(なお、整合マークの数を3つ以上の例えば5つとすれば、その5つの各整合マークを通る曲線は、Y=a+bX+cX2+dX3+eX4の4次関数で表すことができる。即ち、整合マークの数をnとすると、曲線は(n−1)次関数となる。)そして、位置データD11〜D32、曲線補間位置データI11〜I41を、これらにそれぞれ対応する目標位置データD11t〜D32t、目標直線補間位置データI11t〜I41tの各位置に修正することにより、印像Aとして目的とする理想の印像Atに近いものを得ることができる。
図7(c)は、図7(b)で示した傾き及び変形が生じた凸版21をそのまま用いた上で印像Aを修正する第1のイメージを示す図であり、印刷最先端における第1番目の左右の各整合マークM11、M12の位置データD11、D12が同じく第1番目の各目標位置データD11t、D12tの位置となるように版胴2をθ回転方向(図中時計回り方向)に変位させ、この状態で転写をしたとしたならば得られるであろう印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をZ軸回りに回転変位させることで、印像Aの印刷最先端位置を目標とする印像Atの印刷最先端位置に近似させることができる。
図7(d)は、図7(c)で示した修正に加えて更に印像を修正する第2のイメージを示す図であり、第1の曲線補間位置データI11が同じく第1の目標曲線補間位置データI11tの位置となるように版胴2の位置をその版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第1の曲線補間位置データI11が第1の目標曲線補間位置データI11tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端側から第1の曲線補間位置データI11に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
図7(e)は、図7(d)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第3のイメージを示す図であり、第2の曲線補間位置データI21が同じく第2の目標直線補間位置データI21tの位置となるように版胴2の位置をその軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2の曲線補間位置データI21が第2の目標直線補間位置データI21tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端側から第2の曲線補間位置データI21に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
図7(f)は、図7(e)で示した修正に加えて更に印像Aを修正する第4のイメージを示す図であり、第2番目の左右の各整合マークM21、M22の位置データD21、D22が同じく第2番目の各目標位置データD21t、D22tの位置となるように版胴2の位置をその版胴2の軸方向(図中右矢印方向)に変位させながら転写し、第2番目の各位置データD21、D22が第2番目の各目標位置データD21t、D22tに移動した後の印像A、各整合マークM11…及び各目標位置データD11t…等を示している。即ち、版胴2をその軸方向に変位させることで、印像Aにおける印刷最先端位置から第2番目の各位置データD21、D22に対応する部分を目標とする印像Atに近似させることができる。
そして、印像Aにおける第3の曲線補間位置データI31から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分までを上記と同様にして版胴2をその軸方向に変位させながら転写することにより、印像Aにおける第2番目の各位置データD21、D22から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分についても目標とする印像Atに近似させることができる。但し、第2番目の各位置データD21、D22から第3番目の各位置データD31、D32に対応する部分についての図7における表示を省略している。
なお、図7においては、隣り合う位置データ(D11とD21及びD21とD31)との間における一つの連続する曲線をそれらの各間において印刷方向に3等分することで第1〜第4の曲線補間位置データI11〜I41を特定するように構成した例を示した。即ち、隣り合う位置データの各間において曲線を三等分することで、当該各間における曲線上の二つの所定の位置を特定し、その各位置を曲線補間位置データした例を示したが、当該各間における曲線を二等分あるいは四等分以上することにより、当該各間における曲線上の一つ以上の所定の位置を特定し、その位置を曲線補間位置データとするようにしてもよい。また、曲線における所定の位置を特定できるのであれば、当該各間の曲線を等分する方法を用いなくてもよく、また等分する方向は印刷方向(即ち、X軸方向)でなくてもよい。
一方、目標直線補間位置データI11t〜I41tについては、各直線を3等分した位置をもって特定しているが、当該各直線を上記と同様に一つ以上の所定の位置で特定するようにしてもよい。但し、各目標直線補間位置データI11t〜I41tが各曲線補間位置データI11〜I41に対応する位置となるように設定する必要がある。上記例ではX軸方向に3等分することで、直線と曲線の各補間位置の対応をとっている。この補間位置の対応については、目標直線補間位置データI11t〜I41tが曲線を用いて補間した場合の目標曲線補間位置データI11t〜I41tとなる場合も同様である。
上記図7に示すように、曲線補間位置データI11〜I41を用いることにより、印刷方向における例えば整合マークM11とM21の間及び整合マークM21とM31との間における印像Aの曲線的な変形をより正確に予測できるので、当該印像Aを目標とする印像Atにより正確に修正することができる。即ち、整合マークM11…の数を多くすることにより、より目標とする印像Atに近いものを得ることができるが、当該整合マークM11…はカメラ7a、7bで確認する必要上、所定の大きさのものとしなければならず、その数が制限されることになる。これに対して曲線補間位置データI11…は計算上得られるデータであるので、必要に応じてその数を増加させることができる。よって、印刷精度の向上を図る上でより大きな効果を得ることができる。
なお、上記各図で示した実施形態においては、版胴2を転写胴として用い、当該版胴2からフィルムFに印刷物質を直接的に転写する構成の凸版印刷機1を示したが、この凸版印刷機1は、図8に示すように、版胴2からブランケット胴20にインキを転写した上で、当該ブランケット胴20を転写胴として用いて、当該ブランケット胴20からフィルムFにインキを間接的に転写するように構成したものであってもよい。
また、凸版印刷機1としては、ロールツーロール方式のものを示したが、例えば図9に示すように、印刷テーブル61における平面状の支持面61aに保持されたフィルム(被印刷物)Fに対して版胴2が回転しながら移動する枚葉方式の凸版印刷機6によって構成したものであってもよい。但し、枚葉方式の凸版印刷機6の場合は、フィルムFが印刷テーブル61の支持面61aに不動状態に保持されることになり、版胴2を含む印刷ユニット100の全体が凸版印刷機6の図示しない本体に対して印刷テーブル61の支持面61aに沿う方向(即ち、フィルムFに沿う方向)に版胴2の周速と同調する速度で移動駆動されることになる。このため、枚葉方式の凸版印刷機6は、版胴2の周速と同調する速度で印刷ユニット100を移動駆動する同調駆動装置(図示せず)が備えられたものとなる。そして、同調駆動装置は、版胴2における印像Aを所定の位置に転写するための基準位置に当該版胴2を確実に戻すように構成されている。位置調整装置5は、X軸方向、Y軸方向及びθ回転方向への版胴2を移動する機能に基づいて、基準位置に正確に戻すことも可能である。また、この枚葉方式の凸版印刷機6についても、図8に示すブランケット胴20を備えたもので構成してもよい。
更に、図1や図8で示した凸版印刷機1においては、圧胴3についても版胴2やブランケット胴20と共に、位置調整装置5によって、XY平面方向及びZ軸回りのθ回転角方向に駆動可能に構成したものを示したが、この圧胴3についてはXY平面方向及びθ回転角方向に変位しないもので構成してもよい。
但し、この場合には、例えば版胴2をθ回転角方向に回動することにより、当該版胴2と圧胴3との平行性が低下し、これに伴って、版胴2から圧胴3に作用する面圧が軸方向において変化することになる。この場合、θ回転角方向の調整は、±5度以下の微小な角度(実際の印刷状態においては±1度以下)であるから、当該面圧は版胴2の軸方向に直線状に変化することになる。
このため、版胴2を、その一端部を支点にしてθ回転角方向に回動すべく印刷ユニット100を構成し、これによって、版胴2の一端部における圧胴3に対する面圧の変動を防止する。その上で、版胴2の他端部に向かって軸方向に直線状に変化する面圧は、当該版胴2の他端部に対応する位置に設けられた上述の図示しない微動変位素子によってXY平面に対して上下方向に微小に変位させることで軸方向に一定となるように調整することが可能になる。この微動変位素子による調整量は、θ回転角に基づいて面圧を一定にするための最適な値が制御部104で計算され、当該制御部104から微動変位素子に出力されるようになっている。
以上のように、圧胴3を一定の位置に保持した場合にも、印像Aの全体を目標の理想とする印像Atに近似した精密な印刷をすることができると共に、正確に重ね合わされた印刷をすることができる。
圧胴3を一定の位置に保持する凸版印刷機の例を図10に示す。この図10で示す凸版印刷機8は、一つの圧胴3の周面に沿って印刷ユニット100を複数(この例では3つ)備えた構成になっている。印刷ユニット100は、上述した構成の通りであるが、圧胴3を除くものであり、版胴2及びアニロックスロール4以外の構成については図示を省略する。
この凸版印刷機8においては、フィルムFが圧胴3の回転に伴って移動し、フィルムFの移動方向の上流側に位置する版胴2から順次転写が行われることで、複数積層された印刷を行うことが可能である。
この場合、後の版胴2の直前の版胴2によってフィルムFに転写された各整合マークをカメラ7a、7bで読み取って制御部104で位置を特定しこれによって得た位置データを目標位置データとして、後の版胴2のXY平面方向の位置、当該後の版胴2の一端部を支点としたθ回転角方向、及びそのθ回転角方向の変化に基づいて当該後の版胴2の他端部を微動変位素子で上下に調整する制御がなされる。
これにより、例えば第1番目の版胴2で転写された後、乾燥装置81による乾燥を経て第2番目の版胴2で印刷されるまでの間にフィルムF等に伸縮等の変形があっても、正確に位置を合わせた積層印刷を行うことができる。即ち、凸版21の位置ズレ等に加えて、後の転写の直前までに、乾燥や搬送等による印像Aに変形を与える要因が加わるような場合であっても、正確に積層された印刷を行うことができる。これにより、1リピート長の印像Aであって正確に積層された印像Aを連続的に得ることができる。なお、図10において、1dはフィルムFを圧胴3に巻回するためのガイドローラである。
そして、フィルムFは、圧胴3に巻回された状態において、当該圧胴3の外周面に真空の作用等により吸着された状態になり、圧胴3と一体的に回転することになる。また、圧胴3の外周面には、複数の版胴2が配置されているので、特定の版胴2と同調して変位することは許されない。即ち、圧胴3は所定の位置に安定的に保持する必要がある。また、XY平面は、版胴2の凸版21とフィルムFとの接触部を通り当該版胴2の接線方向を向く平面であり、各版胴2によって方向が異なることになる。
一方、図11は、フィルムFを直線的に搬送する過程で、1リピート長の印像Aであって正確に積層印刷された印像Aを連続的に得る凸版印刷機9を示したものであり、フィルムFが直線的に搬送される以外、図10に示す凸版印刷機8と基本的構成は同じである。また、図11に示す凸版印刷機9は、各圧胴3が所定の位置に安定的に保持されたものとなっている。更に、図10及び図11においては、版胴2を転写胴として用いた例を示したが、上述したブランケット胴20を転写胴として用いてもよいことは言うまでもない。
また、印刷物質としては、液体状の有機EL材料(発光ポリマー)や、液体状のポリイミドや、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、有機半導体のいずれかを含む有機材料を含有する液体や、水性インキ、UVインキ、油性インキ、プロセスインキ、中間色インキ、水無しインキやその他のインキ等の液体や流動体であってもよい。
更に、位置調整装置5による変位可能な最小単位として1μmとする例を示したが、この位置調整装置5は、1μm以上であって100μm未満の寸法を最小単位とする変位量で版胴2の基準位置を調整可能にするものであってもよい。ここで、1μmとしたのは、位置調整装置5で用いるアクチュエータの位置決め精度が最小のものでも1μm程度であるからである。また、100μm未満としたのは、100μm程度の精度であれば現状の技術においても版胴に取り付けた凸版に基づいて印刷することができるからである。
カメラ7aについては、印刷方向の左側の整合マークM11、M21、M31、M11t、M21t、M31tを撮像可能に設け、カメラ7bについては、整合マークM12、M22、M32、M12t、M22t、M32tを撮像可能に設けているが、これらのカメラについては、印刷方向の左右の一方の側に設けたものであってもよい。このカメラについては、同時に複数の整合マークを撮像することで各整合マークの位置を特定するためのデータを得ることが可能なものであっても、個々の整合マークについて時間的間隔をおいて撮像することで各整合マークの位置を特定するためのデータを得ることが可能なものであってもよい。
更に、上記図3〜図7で示す印像Aの位置の修正にあたって、整合マークM11〜M32の位置データD11〜D32を目標位置データD11t〜D32tに移動する修正に際して、印刷方向の左右に位置する位置データD11〜D31、D12〜D32の双方をこれに対応する左右の目標位置データD11t〜D31t、D12t〜D32tに移動すべく版胴2の位置を位置変換装置5で制御するように構成した。ここで、例えば左右の各位置データD11、D12の双方をこれらに対応する各目標位置データD11、D12に移動させるべく版胴2の位置を制御する場合を考察すると、実際にカメラ7a、7bを介して制御部104で計算して得た位置データD11、D12の間の寸法は凸版21の弾性変形等の影響を受けて変化することから、当該位置データD11、D12のそれぞれが目標位置データD11t、D12tに同時一致する可能性が低くなる。
このため、例えば、左右の位置データD11、D12を通る直線がこれに対応する左右の目標位置データD11t、D12tを通る直線と傾きが等しくなるように版胴2をθ回転方向に変位させ、かつ左右の一方の位置データ、例えば左側の位置データD11をこれに対応する左側の目標位置データD11tに移動すべく版胴2をX軸方向及びY軸方向に変位させることにより、左側の位置データD11は同じく左側の目標位置データD11tに一致した位置に修正し、右側の位置データD12は同じく右側の目標位置データD12tに近似した位置に修正する所定の制御手段を制御部104にプログラムとして設けることになる。
即ち、印刷方向の左右に位置する位置データデータD11〜D31、D12〜D32の双方をこれに対応する左右の目標位置データD11t〜D31t、D12t〜D32tに移動すべく版胴2の位置を制御することは、例えば左側の位置データD11〜D31は同じく左側の目標位置データD11tに一致した位置に移動させ、右側の位置データD12は同じく右側の目標位置データD12tに近似した位置に移動させることによって行うことが可能である。
また、例えば、左右の位置データD11、D12を通る直線がこれに対応する左右の目標位置データD11t、D12tを通る直線と傾きが等しくなるように版胴2をθ回転方向に変位させた上で、左右の位置データD11、D12の間の中央位置を、目標位置データD11t、D12tの間の中央位置に移動すべく版胴2をX軸方向及びY軸方向に変位させることにより、左側の位置データD11は同じく左側の目標位置データD11tに近似した位置に修正し、右側の位置データD12は同じく右側の目標位置データD12tに近似した位置に修正する制御手段を制御部104にプログラムとして設けてもよい。
一方、直線補間位置データI11〜I41や、曲線補間位置データI11〜I41については、図6及び図7に示すように、左側のデータのみを利用して位置等を修正するように構成したが、この左側のデータと共に、右側の直線補間位置データI12〜I42や、曲線補間位置データI12〜I42を用いて位置等を修正するように構成してもよい。即ち、左右の直線補間位置データI11〜I41、I12〜I42のそれぞれを、左右の目標直線補間位置データI11t〜I41t、I12t〜I42tのそれぞれに移動すべく版胴2をθ回転方向、X軸方向及びY軸方向に変位させるようにしてもよい。また、左右の曲線補間位置データI11〜I41、I12〜I42のそれぞれを、左右の目標曲線補間位置データI11t〜I41t、I12t〜I42tのそれぞれに移動すべく版胴2をθ回転方向、X軸方向及びY軸方向に変位させるようにしてもよい。
但し、この場合の修正も、上述したように、例えば、左側の直線補間位置データI11は同じく左側の目標直線補間位置データI11tに一致した位置に移動すべく修正し、右側の直線補間位置データI12は同じく右側の目標直線補間位置データI12tに近似する位置に移動すべく修正することで対応することが可能である。また。左側の直線補間位置データI11は同じく左側の目標直線補間位置データI11tに近似した位置に修正し、右側の直線補間位置データI12は同じく右側の目標直線補間位置データI12tに近似した位置に修正するようにしてもよい。
また、各整合マーク原形部については、印刷方向に延在する直線上に等間隔に配置された各整合マークをフィルムF上に転写すべく、凸版21に形成されたものを示したが、印刷方向に間隔をおいて配置されている整合マークであれば、直線上に等間隔に配置されていない整合マークを転写するものであってもよい。但し、整合マークの位置を特定することができるものである必要がある。
一方、上述した各実施形態においては、アニロックスロール4を介して版胴2にインキを供給するように構成した例を示したが、アニロックスロール4を用いることなく所定のノズル等のインキ供給手段から版胴2の凸版21の表面にインキを均一に供給するように構成してもよい。
1 凸版印刷機
2 版胴
5 位置調整装置
7a、7b カメラ(撮像装置)
20 ブランケット胴
21 凸版
104 制御部(制御装置)
A 印像
At 目標とする印像
F フィルム(被印刷物)
D11〜D32 位置データ
D11t〜D32t 目標位置データ
I11〜I42 直線補間位置データ、曲線補間位置データ
I11t〜I42t 目標直線補間位置データ
M11〜M32 整合マーク
M11t〜M32t 目標整合マーク
2 版胴
5 位置調整装置
7a、7b カメラ(撮像装置)
20 ブランケット胴
21 凸版
104 制御部(制御装置)
A 印像
At 目標とする印像
F フィルム(被印刷物)
D11〜D32 位置データ
D11t〜D32t 目標位置データ
I11〜I42 直線補間位置データ、曲線補間位置データ
I11t〜I42t 目標直線補間位置データ
M11〜M32 整合マーク
M11t〜M32t 目標整合マーク
Claims (5)
- 版胴の外周に装着された弾性素材よりなる凸版の外周部に付着した印刷物質について、前記版胴を転写胴として直接的に又は当該版胴からブランケット胴に転写した上で当該ブランケット胴を転写胴として間接的に、被印刷物に転写する凸版印刷機であって、
前記転写胴は、前記被印刷物に対して所定の圧力を作用させながら回転することにより、当該転写胴の外周部に付着した前記印刷物質を前記被印刷物に印像として漸次転写するようになっており、
前記凸版は、前記印像を前記被印刷物に転写するための印像原形部を有していると共に、前記印像を前記被印刷物に漸次転写する印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側に、前記印像の位置を特定するために前記印刷方向に間隔をおいて少なくとも2つの整合マークを前記被印刷物に転写するための整合マーク原形部を有しており、
前記被印刷物における前記整合マークを転写する面の俯瞰が可能な位置には、当該各整合マークを撮像することで当該各整合マークの位置を特定するためのデータを得る撮像装置が備えられ、
前記転写胴の前記凸版と前記被印刷物との接触部を通り当該転写胴の接線方向を向く平面に沿う平面方向及びその平面に垂直な軸回りの旋回方向に、当該転写胴を駆動するための位置調整装置が備えられ、
前記撮像装置で得たデータから前記各整合マークの位置を特定してこれらの各位置を各整合マークの位置データとして記録し、その各位置データと、当該各整合マークの目標とすべき位置として記録された目標位置データとを比較して、前記各位置データの位置が前記各目標位置データの位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発して前記転写胴を前記平面方向及び前記旋回方向に漸次変位させながら当該転写胴から前記被印刷物に転写を行うべく制御する制御装置が備えられていることを特徴とする凸版印刷機。 - 前記各目標位置データは、前記凸版の設計において示された前記各整合マーク原形部の位置に基づくデータであることを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷機。
- 前記目標位置データは、積層印刷をすべく前記被印刷物に複数層重ねて行う転写のうち、二層目以後の転写である後の転写の際に目標とする位置データであり、前記後の転写よりも少なくとも前に前記被印刷物に転写された各整合マークについて前記撮像装置及び制御装置で位置を特定することによって得た位置データであることを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷機。
- 前記制御装置は、前記被印刷物における前記印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側における隣り合う前記位置データを直線で結び、その直線上の少なくとも一つの所定の位置を前記印像の位置を特定するための直線補間位置データとし、
かつ前記隣り合う位置データに対応する隣り合う前記目標位置データを結んだ直線における前記直線補間位置データに対応する位置を目標直線補間位置データとし、
前記直線補間位置データで示す位置についても前記目標直線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発するようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の凸版印刷機。 - 前記制御装置は、前記被印刷物における前記印刷方向の左側及び右側の少なくとも一方の側における隣り合う3つ以上の前記位置データを前記印刷方向において順次通ることになる曲線を最小二乗法により特定し、隣り合う前記位置データの間の前記曲線上の少なくとも一つの所定の位置を前記印像の位置を特定するための曲線補間位置データとし、
かつ前記3つ以上の位置データに対応する前記目標位置データを前記印刷方向において順次通ることになる曲線を目標曲線として最小二乗方により特定し、隣り合う前記目標位置データの間の前記目標曲線上における前記曲線補間位置データに対応する位置を目標曲線補間位置データとし、
前記曲線補間位置データで示す位置についても前記目標曲線補間位置データで示す位置となるように修正すべく、前記位置調整装置に指令を発するようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の凸版印刷機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015146966A JP2017024338A (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 凸版印刷機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015146966A JP2017024338A (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 凸版印刷機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
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Family Applications (1)
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JP2015146966A Pending JP2017024338A (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | 凸版印刷機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017024338A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20220115282A (ko) * | 2021-02-10 | 2022-08-17 | 포스코스틸리온 주식회사 | 강판 인쇄장치 |
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2015
- 2015-07-24 JP JP2015146966A patent/JP2017024338A/ja active Pending
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KR102549505B1 (ko) * | 2021-02-10 | 2023-06-29 | 포스코스틸리온 주식회사 | 강판 인쇄장치 |
KR102549506B1 (ko) * | 2021-02-10 | 2023-06-29 | 포스코스틸리온 주식회사 | 강판 인쇄장치 |
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