JP2017022886A - 永久磁石固定方法、金型、及び電機子 - Google Patents

永久磁石固定方法、金型、及び電機子 Download PDF

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浩敏 間普
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Abstract

【課題】樹脂の硬化後に樹脂と永久磁石の膨張率の差異に起因して発生する樹脂の損傷を抑制する。
【解決手段】永久磁石固定方法は、積層鉄心1に形成された磁石挿入孔8に永久磁石19を挿入する工程と、積層鉄心1を上型5と下型3の間に挟んで押圧する工程と、下型3から押し出しピン14を突出させて、永久磁石19の下端面に当接させ、永久磁石19の上端面が、積層鉄心1の上端面と実質的に同一平面になるまで、永久磁石19を持ち上げる工程と、上型5から磁石挿入孔8内に樹脂20を注入して、その後、樹脂20を硬化させて、永久磁石19を磁石挿入孔8内で積層鉄心1に固定する工程と、を有する。
【選択図】図10

Description

本発明は、永久磁石埋込型の電機子に永久磁石を固定する永久磁石固定方法、その方法に使用する金型、及び永久磁石埋込型の電機子に関するものである。
回転子に永久磁石を取付けた埋込構造永久磁石同期電動機(IPMモータ)は、例えばハイブリッドカー用の駆動源として多用されている。一般に、IPMモータの回転子は、複数の鉄心片を積層して、カシメ等により結合した積層鉄心に形成された磁石挿入孔に、永久磁石を挿入し、その後、磁石挿入孔内に樹脂を注入し、該樹脂を硬化させて、永久磁石を積層鉄心に固定して製造される。
永久磁石を固定するための樹脂としては、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)が多く採用される。熱硬化性樹脂の磁石挿入孔への注入は、積層鉄心を加熱した後に行われる。そして、熱硬化性樹脂が硬化した後で、熱硬化性樹脂、積層鉄心及び永久磁石は常温まで冷却される(例えば、特許文献1)。
また、ネオジウム磁石(ネオジウム・鉄・ボロン磁石)を電機子に固定して使用することも知られている(例えば、特許文献2)。
特開2015−65810号公報 特開2007−220911号公報
樹脂、積層鉄心及び永久磁石は互いに熱膨張率が異なるので、磁石挿入孔内に注入された樹脂の硬化後に、これらを常温まで冷却すると、樹脂に歪みが生じ、クラック等が発生することがある。
また、樹脂や積層鉄心は正の熱膨張率を有するが、ネオジウム磁石は磁化容易軸に垂直な方向において、負の熱膨張率を有している(特許文献2、第0007段落)。つまり、ネオジウム磁石を冷却すると、ネオジウム磁石は磁化容易軸に垂直な方向に膨張する。
特許文献1に記載の回転子において、永久磁石は磁化容易軸が回転子の半径方向に向かうように取り付けられるので、永久磁石の磁化容易軸に垂直な軸は回転子の回転軸に平行になる。したがって、特許文献1に記載の回転子にネオジウム磁石を使用する場合に、回転子を冷却すると、ネオジウム磁石は回転子の回転軸方向に膨張する。一方、ネオジウム磁石を固定する樹脂は正の熱膨張率を有するので、回転子を冷却すると樹脂は収縮する。そのため、前述した、温度変化に起因するクラック等発生の問題は、ネオジウム磁石を備える回転子において特に深刻である。
本発明はこのような背景の下でなされたものであり、電機子鉄心に形成された磁石挿入孔に樹脂を充填・硬化させて永久磁石を固定する永久磁石固定方法であって、樹脂の硬化後に樹脂と永久磁石の膨張率の差異に起因して発生する樹脂の損傷を抑制する永久磁石固定方法を提供するものである。また、樹脂と永久磁石の膨張率の差異に起因する樹脂の損傷が発生しにくい電機子を提供するものである。また、前記永久磁石固定方法、または前記電機子の製造に使用する金型を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明に係る永久磁石固定方法は、積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入する工程と、前記積層鉄心を上型と下型の間に挟んで押圧する工程と、前記上型又は前記下型のいずれか一方の型から押し出しピンを突出させて、前記永久磁石の一方の端面に当接させ、前記永久磁石の他方の端面が、前記積層鉄心の一方の端面と実質的に同一平面になるまで、前記永久磁石を移動させる工程と、前記他方の型から前記磁石挿入孔内に樹脂を注入して、その後、前記樹脂を硬化させて、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内で前記積層鉄心に固定する工程と、を有するものである。
1個の前記磁石挿入孔について複数個の前記押し出しピンを前記一方の型に備えるようにしても良い。
前記一方の型に前記押し出しピンを進退させるアクチュエータを備えて、前記アクチュエータを動作させて、前記押し出しピンを前記一方の型から突出させるようにしても良い。
前記押し出しピンと前記アクチュエータの間に、ばね要素を備えるようにしても良い。
本発明に係る金型は、積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定する際に、前記積層鉄心の上下に配置されて、前記積層鉄心を挟持する金型であって、前記金型から突出して前記永久磁石に当接する押し出しピンと、前記押し出しピンを前記永久磁石に当接する方向に押し出すアクチュエータを備えるものである。
本発明に係る電機子は、積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記磁石挿入孔内で硬化させて、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定している電機子であって、前記永久磁石の一方の端面は、前記積層鉄心の一方の端面と実質的に同一平面を構成し、前記永久磁石の他方の端面は、前記積層鉄心の他方の端面よりも、前記積層鉄心の内部に後退した位置にあって、前記磁石挿入孔内で硬化した前記樹脂は、前記積層鉄心の他方の端面の少なくとも一部において凹所を形成し、前記永久磁石の他方の端面が前記凹所を通して、前記積層鉄心の他方の端面から見えるように構成されているものである。
本発明によれば、押し出しピンを永久磁石の一方の端面に当接させて、永久磁石の他方の端面が、積層鉄心の一方の端面と実質的に同一平面になるまで、永久磁石を移動させるので、永久磁石の一方の端面は積層鉄心の端面に露出する。そのため、永久磁石の冷却後に生じる変位を、積層鉄心の外側に逃がすことができる。その結果、樹脂内に発生する応力が緩和されるので、樹脂の割れ等の損傷の発生が抑制される。
1個の磁石挿入孔について複数個の押し出しピンを備えれば、永久磁石の倒れを防ぐことができる。押し出しピンを進退させるアクチュエータを備えれば、永久磁石固定方法の自動化が容易になる。押し出しピンとアクチュエータの間にばね要素を備えれば、積層鉄心や永久磁石の寸法にばらつきがあっても、そのばらつきをばね要素の変形で吸収することができる。つまり、積層鉄心や永久磁石の寸法にばらつきがあっても、永久磁石の端面を電機子の端面に露出させることができる。
本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法を実施する装置の概念的な側面図である。 本発明の実施形態に係る電機子を構成する積層鉄心の外形図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 図2に記載の積層鉄心を構成する素板の平面図である。 図2に記載の積層鉄心を構成する別の素板の平面図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法に使用する治具の外形図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法に使用する下型の外形図であって、(a)は平面図であり、(b)は下型を(a)のA−A’線で切断した部分断面図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法に使用するダミープレートの平面図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法に使用する上型の平面図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法を説明する説明図である。 本発明の実施形態に係る永久磁石固定方法において、磁石挿入孔に樹脂を注入する手順を説明する積層鉄心の断面図であって、(a)〜(c)は積層鉄心の状態の変化を時系列に沿って示す図である。 本発明の実施形態に係る電機子の構成を示す図であって、(a)は電機子の断面図であり、(b)は(a)において電機子をB方向から見た部分上面図であり、(c)は(a)において電機子をC方向から見た部分底面図である。 本発明の実施形態に係る電機子の構成の別例を示す図であって、(a)は電機子の部分断面図であり、(b)は電機子を(a)においてD方向から見た部分底面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
図1は積層鉄心1に図示しない永久磁石を固定する装置の概念的な側面図である。図1に示すように、積層鉄心1は治具2に支持されて、図示しない樹脂注入装置の下型3の上に載置されている。また、積層鉄心1の上面には、ダミープレート4が載置されている。また、ダミープレート4の上面は、前記樹脂注入装置の上型5の下面に当接している。
このように、積層鉄心1は図示しない樹脂注入装置の下型3と上型5の間に挟持される。また、積層鉄心1と下型3の間には治具2が、積層鉄心1と上型5の間にはダミープレート4が、それぞれ介在している。また、前記樹脂注入装置は下型3と上型5を相対的に接近させて、積層鉄心1の磁石挿入孔内に樹脂を注入する。以下、永久磁石固定方法について詳細に説明する。
(積層鉄心)
図2は、積層鉄心1の外形図であって、図2(a)は平面図であり、図2(b)は側面図である。図2(a)に示すように積層鉄心1の中心には軸穴1aが形成されていて、図2(b)に示すように軸穴1aは積層鉄心1を貫通している。なお、軸穴1aには図示しない電動機の回転軸が挿嵌される。
図2(b)に示すように、積層鉄心1は複数枚の素板6を積層するとともに、積層された素板6の下方に素板7を1枚だけ積層して構成されている。素板6には、図3に示すように、16個の磁石挿入孔8が形成されている。また、素板6の中心には軸穴6aが形成されている。また、素板7には、図4に示すように、32個の貫通穴9が形成されている。また、素板7の中心には軸穴7aが形成されている。
素板6と素板7は外径と内径において同形同大の円板であるが、素板7は、磁石挿入孔8の代わりに貫通穴9を備える点で、素板6と異なる。また、貫通穴9は、素板7を素板6に積層した時に、磁石挿入孔8と重なる位置に配置されている。そのため、積層鉄心1の平面図(図2(a))において、磁石挿入孔8の中に貫通穴9が2個ずつ見える。なお、素板6と素板7の素材は、一般には、電磁鋼板あるいは珪素鋼板とよばれる特殊鋼が使用される。また、素板6と素板7は互いに積層された後で、例えばカシメ加工等によって、相互に結合される。
なお、素板7の貫通穴9の平面形は素板6の磁石挿入孔8の平面形よりも小さくされている。そのため、磁石挿入孔8内に注入されて硬化した樹脂に、後でクラックが生じることがあっても、樹脂の破片が素板7側の端部から、積層鉄心1の外に出て飛散することが抑制される。
(治具)
図5は、治具2の外形図であって、図5(a)は平面図であり、図5(b)は側面図である。図5(a)に示すように、治具2は平面形において矩形をなす基部10を有していて、基部10には32個の貫通穴11が形成されている。また図5(a)及び図5(b)に示すように、治具2の基部10の中心にはガイド軸12が立設されている。ガイド軸12は積層鉄心1の軸穴1aに挿嵌される位置決め部材であって、ガイド軸12を積層鉄心1の軸穴1aに挿嵌すると、積層鉄心1は治具2に対して位置決めされる。また、貫通穴11は素板7の貫通穴9と対応する位置に配置されていて、積層鉄心1を治具2に対して位置決めすると、貫通穴11と貫通穴9は平面形において重なるように構成されている。なお、治具2の素材は特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が好ましい。
(下型)
図6は、下型3の外形図である。図6(a)は平面図であり、図6(b)は、下型3を図6(a)のA−A’線で切断した部分断面図である。図6(a)に示すように、下型3は平面形において矩形をなしていて、32個の貫通穴13が形成されている。貫通穴13は、治具2の貫通穴11及び素板7の貫通穴9と対応する位置に配置されていて、積層鉄心1と治具2を下型3の上に載置すると、貫通穴13、貫通穴11及び貫通穴9は平面形において重なるように構成されている。なお、下型3の素材は特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が使用される。
また、図6(b)に示すように、貫通穴13の内部には押し出しピン14と押し出しピン14を貫通穴13から進退させるアクチュエータ15が配置されている。また、押し出しピン14はばね要素16を介してアクチュエータ15に連結されている。押し出しピン14の素材は、特に限定されない。アクチュエータ15の構成や形式は特に限定されないが、図示しない制御装置で制御されて自在に動作する装置、例えばソレノイドが使用される。ばね要素16は、押し出しピン14の進退方向に伸縮するばねであれば十分であり、形式や素材は特に限定されない。
なお、押し出しピン14と貫通穴13の間の隙間は、磁石挿入孔8に注入される樹脂に含まれるフィラーの径より小さくなるように構成する。これにより、樹脂が隙間を通って下型3の下方に流れることを抑制できる。
(ダミープレート)
図7はダミープレート4の平面図である。ダミープレート4は積層鉄心1の上面に載置されて、樹脂注入装置から上型5を経由して、磁石挿入孔8に注入される樹脂が、積層鉄心1の上面で広がって、積層鉄心1の上面に付着することを防ぐ一種のカバーであり、カルプレートとも呼ばれる。図7に示すように、ダミープレート4には16個の樹脂注入口17が形成されている。樹脂注入口17は積層鉄心1の磁石挿入孔8と対応する位置に配置されていて、ダミープレート4を積層鉄心1の上面に載置すると、樹脂注入口17が、平面形において、少なくとも一部が磁石挿入孔8と重なるように構成されている。
なお、ダミープレート4の素材は、特に限定されないが、例えば、工具鋼のような、耐熱性及び耐摩耗性を備える材料が使用される。また、治具2とダミープレート4の詳細な構成については、必要であれば、特開2012−223024号公報等を参照されたい。
(上型)
図8は、上型5の平面図である。図8に示すように、上型5は平面形において矩形をなしていて、16個の樹脂注入口18が形成されている。また、樹脂注入口18は、上型5がダミープレート4の上面に載置された場合に、平面形において樹脂注入口18の少なくとも一部が、ダミープレート4の樹脂注入口17と重なるように配置されている。
(永久磁石固定手順)
ここで、図9を参照して、本実施形態に係る永久磁石固定方法の手順を概説する。まず、治具2に積層鉄心1を取り付ける(矢印1)。次に、治具2と積層鉄心1を図示しない樹脂注入装置の下型3の上に載置する(矢印2)。そして、積層鉄心1の磁石挿入孔8に永久磁石19を挿入し(矢印3)、その後、積層鉄心1の上面にダミープレート4を被せる(矢印4)。積層鉄心1の上面にダミープレート4を被せたら、樹脂注入装置を動作させて、上型5を下降させて、上型5の下面をダミープレート4の上面に当接させる(矢印5)。さらに、上型5を下降させて、積層鉄心1を下型3と上型5の間で挟んで、積層鉄心1を押圧する。
上記の手順が終了すると、積層鉄心1は、図1に示すような状態で、樹脂注入装置にセットされる。この時、積層鉄心1の内部は図10(a)に示す状態になっている。すなわち、永久磁石19は磁石挿入孔8の内部に挿入されていて、下型3が備える押し出しピン14は下型3の内部に引き込まれた状態にある。次に、アクチュエータ15を動作させて、押し出しピン14を押し上げると、積層鉄心1の内部は図10(b)に示す状態になる。すなわち、押し出しピン14の先端は、治具2の貫通穴11と素板7の貫通穴9を通って、磁石挿入孔8の内部に突出する。そして、押し出しピン14の先端は永久磁石19の下面に当接して、永久磁石19は上方に持ち上げられる。その結果、永久磁石19の上端はダミープレート4の下面に当接する。その後で、樹脂注入装置を動作させて、図10(c)に示すように磁石挿入孔8内に樹脂20を充填する。なお、樹脂20は、樹脂注入装置が備える図示しない加圧装置で加圧されて、上型5の樹脂注入口18とダミープレート4の樹脂注入口17を通って、磁石挿入孔8内に注入される。なお樹脂20の種類は特に限定されないが、一般には、例えば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が使用される。
磁石挿入孔8内に充填された樹脂20が硬化したら、アクチュエータ15を動作させて、押し出しピン14を下降させて下型3の中に引き込む。その後、上型5を上昇させ、積層鉄心1に治具2とダミープレート4を取り付けたまま、樹脂充填装置から取り外す。なお、樹脂充填装置は図示しない制御装置を備えていて、上記製造手順の内、上型5の上昇・下降、押し出しピン14の進退、及び樹脂20の注入は、制御装置で制御されて自動的に行われる。
(電機子)
樹脂充填装置から取り出した積層鉄心1から、治具2とダミープレート4を分離すると図11(a)〜図11(c)に示すような電機子21が完成する。図11(a)に示すように、電機子21は積層鉄心1と永久磁石19とからなる。永久磁石19は積層鉄心1の磁石挿入孔8の内部にあって、磁石挿入孔8の内部に充填された樹脂20によって、積層鉄心1に固定されている。また、永久磁石19の上端面は積層鉄心1の上面と同じ高さにあって、図11(b)に示すように、積層鉄心1の上面に露出している。また、図11(a)に示すように、永久磁石19の下端面は積層鉄心1の下面より高い位置にある。つまり、永久磁石19の下端面は磁石挿入孔8の内部にある。そして、積層鉄心1の下端面には、永久磁石19の下端面に届く凹所22が形成されている。なお、凹所22は、磁石挿入孔8に樹脂20を充填する際に、磁石挿入孔8に挿入されていた押し出しピン14の痕跡である。つまり、樹脂20の硬化後に押し出しピン14を抜き取ると、凹所22が形成される。また図11(c)に示すように、電機子21の下方から見ると、素板7の貫通穴9の中に凹所22が見える。また凹所22を通して永久磁石19の下端面が見える。
(電機子の別例)
本発明に係る方法で永久磁石19が固定される電機子21は、図11に示したものには限定されない。図12(a)に示すように、素板7を備えずに素板6だけで積層鉄心1を構成すると共に、下型3(図12において図示せず)に3個の押し出しピン14a〜14cを備えて、電機子21の下端に3個の凹所22a〜22cを形成するようにしても良い。なお、押し出しピン14aと押し出しピン14cは、図12(a)において、一部が永久磁石19の左右端に当接し、一部が永久磁石19に当接しないように配置される。
図12(b)に示すように、凹所22bは図11(c)に示した凹所22と同様に円形の平面形を有していて、凹所22bを通して、永久磁石19の下端面が見える。凹所22aと凹所22cは、矩形の平面形を有していて、凹所22a、22cを通して、永久磁石19の下端面の輪郭(永久磁石19と樹脂20の境界線)が見える。
この電機子21は、素板7を備えていないので、樹脂20の下方端の端面が素板7によって拘束されない。そのため、樹脂20の下部に生じる歪みを下方に逃がすことができる。その結果、樹脂20に生じる応力が緩和され、割れ等の発生が抑制される。
以上説明したように、本発明によれば、磁石挿入孔に樹脂を充填して永久磁石を固定する永久磁石埋込型の電機子において、樹脂と永久磁石の膨張率の差異に起因して発生する樹脂の割れ等の発生を抑制することができる。その結果、電機子の信頼性及び電動機あるいは発電機の信頼性を向上させることができる。
なお、上記の実施形態は、本発明の具体的な実施態様の例示であって、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態によっては限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載の技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形、あるいは改良して実施することができる。
例えば、本明細書では、永久磁石がネオジウム磁石である場合を例示して、発明の課題と目的を説明したが、本発明の対象はネオジウム磁石を備える電機子には限定されない。ネオジウム磁石以外の永久磁石、あるいは、全ての方向について正の熱膨張率を有する永久磁石を備える電機子について本発明を適用することができる。
また、本明細書では、熱硬化性樹脂で永久磁石を積層鉄心に固定する場合を例示して、発明の課題と目的を説明したが、本発明の対象は熱硬化性樹脂で永久磁石を固定する電機子には限定されない。熱可塑性樹脂で永久磁石を固定する電機子に本発明を適用することもできる。
上記実施形態において、電機子の具体例として回転子を例示したが、本発明の対象は回転子には限定されない。固定子に永久磁石を固定する場合にも、本発明を適用することができる。
上記実施形態では、磁石挿入孔8に永久磁石19を1個ずつ取り付ける例を例示したが、本発明の対象はこのようなものには限定されない。1個の磁石挿入孔8に複数個の永久磁石19が取り付けられる場合にも本発明を適用することができる。
上記実施形態の説明および図面に示した電機子21の形態や形状、例えば、磁石挿入孔8の形状や個数、貫通穴9の形状や個数、永久磁石19の形状や個数は例示であって、本発明の技術的範囲は、これらによっては限定されない。
また、積層鉄心1の素板6、7を結合する手段はカシメ加工には限定されない。例えば、溶接や接着によって、素板6、7を結合しても良い。あるいは、素板6、7に貫通穴を設けて、その貫通穴に樹脂20を充填して、素板6、7を結合するようにしても良い。つまり、永久磁石19の固定と同時に樹脂20で、素板6、7を結合するようにしても良い。
上記実施形態に示した、治具2、下型3、ダミープレート4及び上型5の形態や形状は例示であって、本発明の技術的範囲は、これらによっては限定されない。例えば、上記実施形態においては、下型3に押し出しピン14を備え、上型5から樹脂を注入する例を示したが、下型3から樹脂を注入するようにして、上型5に押し出しピン14を備えるようにしても良い。
上記実施形態においては、治具2、下型3、及び上型5が平面形において、矩形をなすことを例示したが、治具2等の平面形は矩形には限定されない。治具2等の平面形は、任意の形状を選ぶことができる。例えば、治具2等の平面形は円形等であっても良い。
上記実施形態においては、押し出しピン14の全体が下型3の貫通穴13の中に引き込まれる例を例示した。つまり、押し出しピン14を下型3の貫通穴13の中に引き込んだ時に、押し出しピン14の上面が下型3の上面の下方に位置する例(図6(b)、図10(a))を例示したが、押し出しピン14はこのように構成されたものには限定されない。押し出しピン14を下型3の貫通穴13の中に引き込んだ時に、押し出しピン14の上面が治具2の基部10の上面の下方に位置するのであれば、押し出しピン14の一部が下型3の上面から突出していても良い。
また、上記実施形態においては、押し出しピン14と貫通穴13の間の隙間を、磁石挿入孔8に注入される樹脂に含まれるフィラーの径より小さくすることを例示したが、これに代えて、柔軟な素材で構成されたリング状のシール部材で隙間をシールするようにしても良い。例えば、リング状のシール部材の外周面を貫通穴13の内周面に密着させて貫通穴13に固定し、押し出しピン14をこのシール部材に挿通させても良い。あるいは、これに加えて、押し出しピン14とシール部材の接触面に離型剤を塗布して、離型剤でもって接触面を潤滑するようにしても良い。
上記実施形態において、アクチュエータ15の具体例としてソレノイドを例示したが、アクチュエータ15はソレノイドには限定されない。アクチュエータ15は、例えば油圧や空気圧で駆動されるものであっても良い。また、上記実施形態においては、押し出しピン14のそれぞれにアクチュエータ15を備える例を示したが、1台のアクチュエータ15で複数個の押し出しピン14を動かすようにしても良い。あるいは、1台のアクチュエータ15で全ての押し出しピン14を動かすようにしても良い。
図6及び図10において、ばね要素16として、コイルばねを図示したが、ばね要素16はコイルばねには限定されない。
また、上記実施形態においては、治具2と積層鉄心1を樹脂注入装置の下型3の上に載置した後で、積層鉄心1の磁石挿入孔8の内部に永久磁石19を挿入すること、つまり、内段取と呼ばれる手順を例示したが、本発明に係る永久磁石固定方法は、内段取によるものには限定されない。治具2に積層鉄心1を取り付け、その後に、積層鉄心1の磁石挿入孔8の内部に永久磁石19を挿入し、更にその後に、治具2と積層鉄心1を樹脂注入装置の下型3の上に載置しても良い。あるいは、積層鉄心1の磁石挿入孔8の内部に永久磁石19を挿入し、その後に、治具2に積層鉄心1を取り付け、更にその後に、治具2と積層鉄心1を樹脂注入装置の下型3の上に載置しても良い。つまり、本発明に係る永久磁石固定方法は、外段取によるものであっても良い。
1 積層鉄心
1a 軸穴
2 治具
3 下型
4 ダミープレート
5 上型
6 素板
6a 軸穴
7 素板
7a 軸穴
8 磁石挿入孔
9 貫通穴
10 基部
11 貫通穴
12 ガイド軸
13 貫通穴
14 押し出しピン
15 アクチュエータ
16 ばね要素
17 樹脂注入口
18 樹脂注入口
19 永久磁石
20 樹脂
21 電機子
22 凹所

Claims (6)

  1. 積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入する工程と、
    前記積層鉄心を上型と下型の間に挟んで押圧する工程と、
    前記上型又は前記下型のいずれか一方の型から押し出しピンを突出させて、前記永久磁石の一方の端面に当接させ、前記永久磁石の他方の端面が、前記積層鉄心の一方の端面と実質的に同一平面になるまで、前記永久磁石を移動させる工程と、
    前記他方の型から前記磁石挿入孔内に樹脂を注入して、その後、前記樹脂を硬化させて、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内で前記積層鉄心に固定する工程と、
    を有する永久磁石固定方法。
  2. 1個の前記磁石挿入孔について複数個の前記押し出しピンを前記一方の型に備える
    請求項1に記載の永久磁石固定方法。
  3. 前記一方の型に前記押し出しピンを進退させるアクチュエータを備えて、前記アクチュエータを動作させて、前記押し出しピンを前記一方の型から突出させる
    請求項1又は請求項2に記載の永久磁石固定方法。
  4. 前記押し出しピンと前記アクチュエータの間に、ばね要素を備える
    請求項3に記載の永久磁石固定方法。
  5. 積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定する際に、前記積層鉄心の上下に配置されて、前記積層鉄心を挟持する金型であって、
    前記金型から突出して前記永久磁石に当接する押し出しピンと、
    前記押し出しピンを前記永久磁石に当接する方向に押し出すアクチュエータを備える
    金型。
  6. 積層鉄心に形成された磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記磁石挿入孔に樹脂を注入して、前記磁石挿入孔内で硬化させて、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定している電機子であって、
    前記永久磁石の一方の端面は、前記積層鉄心の一方の端面と実質的に同一平面を構成し、
    前記永久磁石の他方の端面は、前記積層鉄心の他方の端面よりも、前記積層鉄心の内部に後退した位置にあって、
    前記磁石挿入孔内で硬化した前記樹脂は、前記積層鉄心の他方の端面の少なくとも一部において凹所を形成し、前記永久磁石の他方の端面が前記凹所を通して、前記積層鉄心の他方の端面から見えるように構成されている
    電機子。

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