JP2017019900A - 接着剤組成物、接着フィルム、樹脂付き金属箔及び金属ベース基板 - Google Patents

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真司 天沼
和仁 小畑
Kazuhito Obata
和仁 小畑
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Muraki Takayama
群基 高山
裕太 中野
Hirota Nakano
裕太 中野
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禎一 稲田
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Tetsuo Iwakura
哲郎 岩倉
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【課題】高い熱伝導率と絶縁信頼性を有しながら耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れる接着剤組成物、接着フィルム、樹脂付き金属箔及び金属ベース基板を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂と、窒素含有基を有する構造単位の含有率が1質量%以下である低弾性化が可能な高分子量成分と、放熱充填剤と、を含有し、赤外分光法(IR)で測定したときに得られるスペクトルにおいて、カルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)に対するニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)の比(PCN/PCO)が、0.01以下である接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物、接着フィルム、樹脂付き金属箔及び金属ベース基板に関する。
近年、車載用電子制御機器の小型化及び省スペース化に伴い、これらの電子機器をエンジンルーム内に設置することが要望されている。しかしながら、エンジンルーム内は、温度変化が大きいうえに高温である等の過酷な環境であり、また、ある程度大きな面積の配線板が必要とされ、上記要求を満たすことはかなり困難である。例えば、セラミック基板は、耐熱性、はんだ接続の寿命等は良好であるが、大きな面積の配線板を製造しにくい等の問題がある。また、ガラスエポキシ配線板の場合には、大面積の基板を低コストで製造できるが、基材の熱膨張率及び弾性率が大きいため、ヒートサイクル等により実装部品のはんだ付け部分にクラックが入りやすいという問題点がある。また、ガラスエポキシ配線板は放熱性に乏しいため、部品から発生する熱を十分に放散できないという問題点がある。
更に、従来の金属ベース基板は、銅箔と絶縁接着層と金属板とを貼り合わせたもので、放熱性は良好であり、大きいサイズの基板も得やすい。しかし、金属板として一般的に用いられるアルミニウム板は、チップ抵抗等の表面実装部品との熱膨張率の差が大きいことに起因してはんだ付け部分に熱応力が大きくなり、ヒートサイクル試験等によりはんだ付け部分にクラックが入りやすいという問題点がある。
このような点を改良するため、例えば、特許文献1〜3に記載の方法が提案されている。特許文献1〜3に記載の組成物では、絶縁接着材料にゴムを使用し、金属板と多層配線板を積層接着し、金属板と多層配線板の間での応力緩和を図っている。
特開昭63−246898号公報 特開昭62−246893号公報 特開昭62−246895号公報
しかしながら、絶縁接着材料にゴムを使用した場合、高温での密着性が低下するため、十分な耐熱性を得るには至っていない。
また、従来、熱伝導性接着剤として、ゴム系接着剤に無機フィラーを添加したもの等が知られている。これは、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等の各種ゴムを主成分とする接着剤であり、これらのゴムは、接着剤の強度、可撓性及び密着性を改善するために使用されている。しかし、ゴム系接着剤では、耐熱性及び絶縁信頼性が不足し、熱伝導性接着剤として満足するものは得られていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高い熱伝導率と絶縁信頼性を有しながら耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れる接着剤組成物、接着フィルム、樹脂付き金属箔及び金属ベース基板を提供することを目的とする。
本発明は、次の実施形態を含む。
<1> 熱硬化性樹脂と、低弾性化が可能な高分子量成分と、放熱充填剤と、を含有する接着剤組成物。
<2> 前記低弾性化が可能な高分子量成分中の、窒素含有基を有する構造単位の含有率が、1質量%以下である前記<1>に記載の接着剤組成物。
<3> 赤外分光法(IR)で測定したときに得られるスペクトルにおいて、カルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)に対するニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)の比(PCN/PCO)が、0.01以下である前記<1>又は<2>に記載の接着剤組成物。
<4> 前記放熱充填剤は、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が0.5μm〜50μmの無機フィラーを含む前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
<5> 前記粒子径D50が0.5μm〜50μmの無機フィラーを30体積%以上含有する前記<4>に記載の接着剤組成物。
<6> 前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて形成される接着フィルム。
<7> 金属箔と、
前記金属箔上に設けられ、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接着剤組成物に由来する層と、
を有する樹脂付き金属箔。
<8> 金属基板と、
前記金属基板上に設けられる絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、金属回路を形成するための回路用金属層と、を有し、
前記絶縁層が、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接着剤組成物に由来する層、又は前記<6>の接着フィルムに由来する層である金属ベース基板。
本発明によれば、高い熱伝導率と絶縁信頼性を有しながら耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れる接着剤組成物、接着フィルム、樹脂付き金属箔及び金属ベース基板を提供することができる。
以下、本実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。また、本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はそれに対応するメタクリルを意味する。本明細書において多官能とは、三官能以上であることを意味する。
<接着剤組成物>
接着剤組成物は、熱硬化性樹脂と、低弾性化が可能な高分子量成分と、放熱充填剤と、を含有する。本実施形態の接着剤組成物が上記効果を奏する理由は明確ではないが、以下のように推察される。
熱硬化性樹脂のほかに、低弾性化が可能な高分子量成分を含有することによって、熱硬化性樹脂が有する高い熱伝導性、絶縁信頼性、接着性及び耐熱性を維持しながら、低弾性化が図られることにより、熱膨張率の違いにより発生する熱応力が緩和されるため、耐クラック性が向上すると考えられる。更には、低弾性化が可能な高分子量成分の含有量を調整すると、低弾性化が効果的に奏されるため、耐クラック性が更に向上すると考えられる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、熱硬化性を有するものであればいずれであってもよく、接着性の観点からエポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を分子中に二つ以上有すること以外に、特に制限はない。好ましくは、硬化すると分子間で三次元的な結合を形成するエポキシ樹脂であり、より好ましくは、硬化後に接着作用を呈するエポキシ樹脂である。
エポキシ樹脂としては一般に知られているものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール等の各種ジオール化合物のジグリシジルエーテル化物などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、フェノール化合物のジグリシジルエーテル化物、及びアルコール化合物のジグリシジルエーテル化物が挙げられる。更に、これらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物等を併用することもできる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂は、接着フィルムとしたときの可とう性が優れる点で好ましい。
エポキシ樹脂は、これらの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このようなエポキシ樹脂としては、市販のものでは、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1055、エピコート1004、エピコート1004AF、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1003F、エピコート1004F(以上、三菱化学株式会社製、商品名)、DER−330、DER−331、DER−301、DER−361、DER−661、DER−662、DER−663U、DER−664、DER−664U、DER−667、DER−642U、DER−672U、DER−673MF、DER−668、DER−669(以上、ダウケミカル社製、商品名)、YD8125等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、YDF8170(以上、新日鉄住金化学株式会社製、商品名)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピコート152、エピコート154(以上、三菱化学株式会社製、商品名)、EPPN−201(日本化薬株式会社製、商品名)、DEN−438(ダウケミカル社製、商品名)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エピコート180S65(三菱化学株式会社製、商品名)、アラルダイトECN1273、アラルダイトECN1280、アラルダイトECN1299(以上、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704(以上、新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1020、EOCN−1025、EOCN−1027(以上、日本化薬株式会社製、商品名)、ESCN−195X、ESCN−200L、ESCN−220(以上、住友化学工業株式会社製、商品名)等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポン1031S、エピコート1032H60、エピコート157S70(以上、三菱化学株式会社製、商品名)、アラルダイト0163(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)、デナコールEX−611、デナコールEX−614、デナコールEX−614B、デナコールEX−622、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−421、デナコールEX−411、デナコールEX−321(以上、ナガセケムテックス株式会社製、商品名)、EPPN501H、EPPN502H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)等の多官能エポキシ樹脂、エピコート604(三菱化学株式会社製、商品名)、YH−434(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)、ELM−120(住友化学株式会社製、商品名)等のアミン型エポキシ樹脂、アラルダイトPT810(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名)等の複素環含有エポキシ樹脂、ERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206(以上、UCC社製、商品名)等の脂環式エポキシ樹脂などが例示される。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂以外にも、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、シアネートエステル樹脂、これら樹脂の変性物等の熱硬化性樹脂を併用してもよい。エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有する場合、熱硬化性樹脂におけるエポキシ樹脂の含有率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
(低弾性化が可能な高分子量成分)
低弾性化が可能な高分子量成分(以下「特定高分子量成分」ともいう)は、高分子量であって接着剤組成物を低弾性化することが可能なものであれば限定されない。ここで高分子量とは、重量平均分子量が10万以上であることをいう。特定高分子量成分は、低弾性化を発現させる官能基(以下「特定官能基」ともいう)を有する。特定官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アミド基、及びエポキシ基が挙げられ、これらの少なくとも1種を有することが好ましい。特定高分子量成分が特定官能基を有することで、優れた耐クラック性、接着性及び耐熱性を発現することができる。
特定官能基を有する特定高分子量成分は、特定官能基を有する単量体(以下「官能基含有単量体」ともいう)を重合することで得ることができる。官能基含有単量体は、分子内にカルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アミド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基と、少なくとも1つの重合性の炭素−炭素2重結合を有する。
官能基含有単量体として、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体、無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールメタクリルアミド、(o−、m−、p−)ヒドロキシスチレン等の水酸基含有単量体、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有単量体、アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル等のエポキシ基含有単量体などが挙げられる。官能基含有単量体は、これらの1種を単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用することもできる。
この中でも、官能基含有単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体が好ましい。官能基含有単量体がエポキシ基を有すると、10μm以下の薄い接着フィルムを形成しても、優れた耐クラック性、接着性及び耐熱性が発現する傾向にあり、また、接着剤組成物及び接着フィルムの保存安定性が向上する傾向にある。
特定高分子量成分中の官能基含有単量体に由来する構造単位(以下「構造単位A」ともいう)の含有率は、好ましくは0.5質量%〜10質量%であり、より好ましくは1質量%〜5質量%である。構造単位Aの含有率が0.5質量%以上の場合には、接着力が十分発揮される傾向があり、10質量%以下の場合には、特定高分子量成分のゲル化が抑制される傾向がある。
また、特定高分子量成分は、タック性を抑えて取り扱い性を向上させる観点から、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(以下「構造単位B」ともいう)を有することが好ましい。
特定高分子量成分中の構造単位Bの含有率は、20質量%〜50質量%が好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましく、40質量%〜50質量%が更に好ましい。構造単位Bの含有率が20質量%以上であると、タック性が抑えられ、取り扱い性に優れる傾向があり、50質量%以下であると、特定高分子量成分のゲル化が抑えられる傾向があり、重量平均分子量が10万以上の特定高分子量成分が得られやすい傾向がある。
特定高分子量成分は、上記構造単位A及び構造単位B以外に、その他の構造単位を有していてもよい。
その他の構造単位を構成するためのその他の単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ナフチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル等のメタクリル酸エステル、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸フェニルノルボルニル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.O2,6]デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.O2,6]デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.O2,6]デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.O2,6]デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル等の脂環式単量体などが挙げられる。その他の単量体は、これらの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、その他の単量体としては、アクリル酸エステルを用いることが好ましい。アクリル酸エステルは、ゲル化せずに重量平均分子量が10万以上の特定高分子量成分を合成することが可能である。更に、アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルは、官能基含有単量体、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルとの共重合性に優れるため、更に好ましい。
特定高分子量成分中のその他の単量体に由来する構造単位の含有率は、特定高分子量成分のガラス転移温度が−10℃以上となるように調整することが好ましい。
特定高分子量成分は、長期の絶縁信頼性の向上の観点から、窒素含有基を有する構造単位の含有率が、1質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、実質含まない(0.1質量%以下)ことが更に好ましい。窒素含有基とは、アミノ基以外の窒素含有基をいう。
窒素含有基を有する構造単位とは、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド化合物などの化合物由来の構造単位が挙げられる。
接着剤組成物は、赤外分光法(IR)で測定したときに得られるスペクトルにおいて、カルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)に対するニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)の比(PCN/PCO)が、0.01以下であることが好ましい。比(PCN/PCO)が、0.01以下であることは、特定高分子量成分中にニトリル基を不純物として含む程度であり、実質的にニトリル基を含まないことを意味する。
IR測定はKBr錠剤法による測定が好ましい。ATR(減衰全反射、Attenuated Total Reflection)法による測定では、高波数側のピークが小さく現れる傾向がある。縦軸を吸光度、横軸を波数としたスペクトルにおいて、ニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)とカルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)の比(PCN/PCO)を算出することによってニトリル基の相対的な量を定量することができる。
特定高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、10μm以下の接着フィルムを形成しても、耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れる傾向がある。具体的には、重量平均分子量が10万以上の場合には、接着性が十分となり、また残存する低分子量成分の量が抑えられるため接着フィルムを110℃以上で硬化させても低分子量成分に起因する発泡が抑えられ、絶縁性の低下が抑えられる傾向がある。
また、特定高分子量成分の重量平均分子量は、100万以下であることが好ましい。重量平均分子量が100万以下であると、特定高分子量成分のゲル化が抑えられる傾向がある。上記の理由から、特定高分子量成分の重量平均分子量は、10万〜100万であることがより好ましく、30万〜80万であることが更に好ましい。
特定高分子量成分のガラス転移温度は、滲み出しの少ない接着剤組成物が得られる観点から、−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましく、5℃以上であることが更に好ましい。また、ガラス転移温度が上記範囲であると、取扱い性の点でも下記の利点を有する。特定高分子量成分のガラス転移温度の上限値は特に制限されない。
接着剤組成物をフィルム状に形成し、乾燥(加熱)して得た接着フィルムは、その取扱いを容易にするため、接着フィルムの上にポリエチレンフィルム等の保護フィルムを配して使用される。ガラス転移温度が−10℃以上の特定高分子量成分を含む接着フィルムでは、未硬化状態での粘着性の増大が抑えられるため、保護フィルムを接着フィルムから剥離する際の作業性が向上する傾向がある。
特定高分子量成分は、次のようにして合成することができる。
単量体として、少なくとも官能基含有単量体を用い、更に必要に応じて、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種、その他の単量体等を用いる。これらの単量体を、ビーズ重合、粒状重合、パール重合等とも呼ばれる懸濁重合、溶液重合、塊状重合、沈殿重合、乳化重合などの既存の方法により重合する。中でも、低コストで高分子量化可能な点で、懸濁重合により重合することが好ましい。
懸濁重合は水性媒体中で行われ、懸濁剤を添加して行う。懸濁剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質などがあり、中でもポリビニルアルコール等の非イオン性の水溶性高分子が好ましい。イオン性の水溶性高分子又は難溶性無機物質を用いた場合には、得られる特定高分子量成分内にイオン性不純物が多く残留する傾向がある。懸濁剤としての水溶性高分子は、単量体の総量100質量部に対して0.01質量部〜1質量部で使用することが好ましい。
特定高分子量成分は、市販品として入手してもよい。市販品としては、HTR−860P−303EK20(ナガセケムテックス株式会社製、商品名)等が挙げられる。
特定高分子量成分は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上述のような(メタ)アクリル(共)重合体以外に、熱可塑性プラスチック、架橋反応ゴム、熱可塑性エラストマー、フェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂等を併用してもよい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物中の特定高分子量成分の含有率は、優れた耐クラック性、接着性及び耐熱性を発現させる観点から、熱硬化性樹脂と特定高分子量成分と硬化剤との総質量に対して50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
また、接着剤組成物中の特定高分子量成分の含有率は、マイグレーション性及び耐クラック性の観点から、熱硬化性樹脂と特定高分子量成分と硬化剤との総質量に対して95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、88質量%以下であることが更に好ましい。
(放熱充填剤)
接着剤組成物は、放熱充填剤を含有する。放熱充填剤を含有することで、耐熱性及び熱伝導性が向上する。放熱充填剤としては、無機フィラー、有機フィラー等のフィラーを用いることができ、耐熱性及び熱伝導性を向上させる観点、又は溶融粘度の調整及びチキソトロピック性を付与する観点からは、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーの材質としては特に制限はなく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。無機フィラーは、これらの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーの材質は、熱伝導性の向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整及びチキソトロピック性の付与の観点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
放熱充填剤は、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が0.5μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。粒子径D50が0.5μm以上では、分散性及び流動性に優れる傾向がある。
また、粒子径D50は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。粒子径D50が50μm以下では、接着フィルムとしたときの接着性に優れる傾向がある。
更に、接着剤組成物中、粒子径D50が0.5μm〜50μmの無機フィラーを30体積%以上含有することが好ましく、35体積%以上含有することがより好ましい。
放熱充填剤の含有率は、熱硬化性樹脂及び特定高分子量成分、更に必要に応じて添加する後述の硬化剤(フェノール化合物)の合計100体積部に対して、60体積部〜400体積部であることが好ましい。放熱充填剤の含有率が60体積部以上の場合、接着フィルムとしたとき放熱性に優れる傾向があり、400体積部以下の場合、接着フィルムとしたとき接着性に優れる傾向がある。
接着剤組成物中での放熱充填剤の分散性を考慮して、ライカイ機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル等によって物理的なせん断力を与え、凝集しないように十分に放熱充填剤を分散させることが好ましい。これらの分散方法は、組み合せて使用することもできる。また、放熱充填剤と低分子量物(例えば、硬化剤としてのフェノール化合物)を予め混合した後、高分子量物(例えば、特定高分子量成分)を配合することによって、混合する時間を短縮することも可能となる。
(硬化剤)
接着剤組成物は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、熱硬化性樹脂を熱硬化することが可能であれば特に制限されない。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤などを挙げることができる。中でも、耐熱性及び保存安定性の観点から、フェノール系硬化剤が好ましい。フェノール系硬化剤を用いることで、硬化中及び硬化後の揮発分を少なくすることができる傾向にある。
フェノール系硬化剤は、分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有すること以外は特に制限はない。フェノール系硬化剤としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール等の単環二官能フェノール化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール化合物、ビフェノール化合物、及びこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体等の多環二官能フェノール化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニレンアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂(別名キシリレン変性フェノール樹脂)等の多官能フェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
市販されているフェノール樹脂としては、フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH4150、フェノライトVH4170(以上、DIC株式会社製、商品名)、ミレックスXLCシリーズ(三井化学株式会社製、商品名)等が挙げられる。
フェノール樹脂の軟化点は60℃以上であることが好ましく、65℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。軟化点が60℃以上であると、滲み出し量が抑えられ、耐滲み出し性に優れる傾向がある。
また、フェノール樹脂の軟化点は150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることが更に好ましい。軟化点が150℃以下であると、未硬化状態での接着フィルムの粘着性の低下が抑えられ、被着体への貼付け作業性に優れる傾向がある。
フェノール樹脂の軟化点は、JIS K2207:2006 石油アスファルト軟化点試験方法に準じた自動軟化点装置を用い測定して求める。
フェノール系硬化剤の水酸基当量は、220g/eq以下であることが好ましく、190g/eq以下であることがより好ましく、180g/eq以下であることが更に好ましい。水酸基当量が220g/eq以下であると、滲み出しが少ない接着剤組成物となる傾向がある。
フェノール系硬化剤の水酸基当量は、ピリジン−塩化アセチル法を用い、フェノール系硬化剤の水酸基をピリジン溶液中塩化アセチル化した後にその過剰の試薬を水で分解し、生成した酢酸を水酸化カリウム/エタノール溶液で滴定して求める。
硬化剤は、フェノール系硬化剤以外に、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物、イミダゾール化合物、有機リン化合物、及びこれらのハロゲン化物、ポリアミド、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素などが挙げられる。これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物中の硬化剤の含有量は特に制限されない。例えば、硬化剤としてフェノール系硬化剤を用い、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、フェノール性水酸基の活性水素の当量(フェノール性水酸基当量)と、エポキシ当量との比(フェノール性水酸基当量/エポキシ当量)を0.5〜2とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
(硬化促進剤)
接着剤組成物は、硬化時間を短縮するために、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に制限はない。
硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物;ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン化合物;トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアリールアンモニウム、水酸化テトラアリールアンモニウム等の第4級アンモニウム化合物;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケンのシクロアミジン化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン化合物;テトラフェニルボレート等のテトラ置換ボレート;2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの硬化促進剤の中でも、イミダゾール化合物が好ましい。イミダゾール化合物は硬化促進効果が大きく、添加量を少なくすることができ、結果、他の硬化促進剤に比べて接着剤組成物の絶縁性を維持することができる。
接着剤組成物中のイミダゾール化合物の含有率は、0.5質量%以下であることが好ましい。イミダゾール化合物の含有率が0.5質量%以下であると、保存安定性に優れ、接着剤組成物及び接着フィルムの可使期間を長くできる傾向がある。硬化促進効果と、接着剤組成物及び接着フィルムの可使期間の点から、接着剤組成物中のイミダゾール化合物の含有率は、0.05質量%〜0.5質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜0.4質量%であることが更に好ましい。
イミダゾール化合物は、例えば、四国化成工業株式会社から、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNSという商品名で市販されている。
また、フィルムの可使期間が長くなる点で、潜在性硬化促進剤を使用してもよい。その代表例としてはジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、グアナミン酸、メラミン酸、エポキシ化合物とジアルキルアミン化合物との付加化合物、アミンとチオ尿素との付加化合物、アミンとイソシアネートとの付加化合物などが挙げられる。これらの潜在性硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(有機溶媒)
接着剤組成物は、熱硬化性樹脂、特定高分子量成分、更に必要に応じて添加する硬化剤(フェノール樹脂)等を有機溶媒に溶解又は分散してワニス状とすることができる。これにより、接着剤組成物及び接着フィルムの製造を容易にすることができる。
有機溶媒としては、アルコール溶媒、エーテル溶媒、ケトン溶媒、アミド溶媒、芳香族炭化水素溶媒、エステル溶媒、ニトリル溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して混合溶剤として用いることもできる。具体的には、例えば、フィルム作製時の揮発性等を考慮して低沸点の、ジエチルエーテル、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、メチルエチルケトン、2−プロパノール、塗膜安定性を向上させる等の目的で高沸点の、トルエン、メチルイソブチルケトン、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ブチルセロソルブ、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
接着剤組成物中の有機溶媒の含有率は、ワニス状にしたときの粘度等によって決定され、特に制限はない。接着剤組成物中の有機溶媒の含有率は、好ましくは10質量%〜95質量%、より好ましくは30質量%〜90質量%の範囲である。
(カップリング剤)
接着剤組成物は、材料間の界面の結合及び濡れ性を向上させるために、各種カップリング剤を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。カップリング剤としては、特に制限はなく、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらのカップリング剤の中でも、材料間の界面の結合及び濡れ性を向上させる観点では、シランカップリング剤が好ましい。カップリング剤としては、これらの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、その効果と耐熱性のバランスから、熱硬化性樹脂、特定高分子量成分、更に必要に応じて添加される硬化剤(フェノール樹脂)の合計100質量部に対し、0.1質量部〜1質量部であることが好ましい。
(イオン捕捉剤)
接着剤組成物は、イオン性不純物を吸着又は付着して吸湿時の絶縁信頼性を向上させる観点から、各種イオン捕捉剤を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。イオン捕捉剤としては、特に制限はなく、銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物を用いることができる。
イオン捕捉剤としては、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール還元剤、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系、マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。イオン捕捉剤としては、これらの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イオン捕捉剤を含有する場合、イオン捕捉剤の含有率は、その効果と耐熱性のバランスから、熱硬化性樹脂、特定高分子量成分、更に必要に応じて添加される硬化剤(フェノール樹脂)の合計100質量部に対し、1質量部〜10質量部であることが好ましい。
(その他の添加剤)
接着剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、難燃剤、流動調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。
<接着剤組成物の製造方法>
接着剤組成物の製造方法は特に制限がなく、上記成分が均一になるよう撹拌し混合できればいずれの方法であってもよい。各々の成分を均一に撹拌し混合する方法については、特に制限はなく、デゾルバー、スタテックミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、プラネタリーミキサー、ミックスローター、万能撹拌機等の自転公転式撹拌機、ライカイ機、3本ロール等の混練装置を用いる方法が挙げられる。接着剤組成物をワニス状にした後は、ワニス中の気泡を除去することが好ましい。この意味で、自転公転式撹拌機は、混合及び気泡の除去を一括して行うことができるため好適に用いられる。
<接着フィルム、樹脂付き金属箔、及び接着フィルムの製造方法>
接着フィルムは、本実施形態の接着剤組成物の乾燥物である。接着フィルムの製造方法は、本実施形態の接着剤組成物をフィルム状に形成した後、乾燥すること以外に、特に制限はない。接着剤組成物の成分を有機溶媒に溶解又は分散してワニス状とし、支持体上に付与した後、送風、加熱等によって有機溶媒を除去する方法が簡便であり好適である。
支持体としては、その上に接着フィルムを形成可能であれば、形状及び材質に特に制限はなく、金属箔又は樹脂フィルムが好ましい。支持体として金属箔を用いる樹脂付き金属箔は、金属箔と、前記金属箔上に設けられる、本実施形態の接着剤組成物に由来する層と、を有する。
金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、全芳香族ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーフィルム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーフィルム、テトラフルオロエレチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマーフィルム等のプラスチックフィルムを使用することができ、これらプラスチックフィルムは表面を離型処理して使用することもできる。
支持体付きの接着フィルムの使用形態としては、被接着体に接着する前に支持体を剥離してから接着剤層(接着フィルム)を被接着体に接着してもよいし、あるいは支持体とともに被接着体に接着した後で支持体を除去してもよい。このような使用形態では、表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムが支持体として好適に用いられる。
また、支持体上に接着剤組成物を付与し乾燥して接着剤層(接着フィルム)を形成した後、その接着剤層の上に保護フィルムを積層してもよい。保護フィルムを接着剤層上に設けることで、接着フィルムの取扱い性が向上する。この保護フィルムとしては、支持体と同様のものを使用することができる。これらの中でも、生産性が高いロールコート法等によって接着フィルムを巻き取る場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムに比べ柔軟性に富む、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが保護フィルムとして好適である。
支持体への接着剤組成物の付与方法としては、公知の方法を用いることができ、ディップコート法、フローコート法、スピンコート法、カーテンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ドクターブレードコート法、コンマブレード法、スプレーコート法、超音波コート法、インクジェットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、こて塗り、刷毛塗り、スポンジ塗り等が適用できる。これらの中でも、生産性が高く、厚さが均一な精密塗工が可能な、コンマブレード法又はキスタッチのロールコート法が好適である。
接着フィルムの厚みは、特に制限はなく、好ましくは10μm〜250μmの範囲とされる。10μm以上であると応力緩和の効果が十分発揮され、接着性に優れる傾向があり、250μm以下では生産性の高いロールコート法においても生産性に優れる。つまり、ロールコート法における接着フィルムの巻き取りの際に、接着剤層(接着フィルム)が幅方向に流れ出すことが抑えられる。この意味で、より好ましくは20μm〜200μm、更に好ましくは40μm〜160μmの範囲とされる。接着フィルムは、所望の厚さを得るために2枚以上を貼り合わせることもできる。この場合には、接着フィルム間に気泡が入り込まないようにする。
接着剤組成物をフィルム状に形成した後、乾燥する温度には、特に制限はない。有機溶媒に各成分を溶解又は分散してワニス状の接着剤組成物とした場合には、使用した有機溶媒の沸点より10℃〜50℃低い温度で乾燥することが、乾燥時の有機溶媒の発泡による接着フィルム内の気泡の発生を抑える観点から好ましい。この意味で、乾燥温度は、有機溶媒の沸点より15℃〜45℃低いことが好ましく、20℃〜40℃低いことがより好ましい。
有機溶媒に各成分を溶解又は分散してワニス状の接着剤組成物とした場合には、有機溶媒の残存量をできるだけ少なくすることが好ましい。有機溶媒の残存量を少なくすることで、有機溶媒の発泡に起因する接着フィルム内の気泡の発生が抑えられる傾向にある。接着フィルム内に気泡ができると、接着フィルムの絶縁性が著しく低下することになる。この意味で、有機溶媒の残存量は、好ましくは、接着フィルムの1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下の範囲とされる。
接着フィルムは、上述の成分を選択することで、優れた信頼性を有し、耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れ、滲み出しを少なくでき、100μm以下の薄膜化が可能である。
<金属ベース基板>
本実施形態の金属ベース基板は、金属基板と、前記金属基板上に設けられる絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ金属回路を形成するための回路用金属層と、を有し、前記絶縁層が本実施形態の接着剤組成物に由来する層又は本実施形態の接着フィルムに由来する層である。
金属基板としては、アルミニウム基板、ステンレス基板、銅基板等の他、Cu−Fe−P等のCu系素材、Fe−42%Ni等のFe系素材などの合金製基板を用いることができる。
金属回路を形成するための回路用金属層としては、上述の金属箔を用いることができる。
絶縁層である接着剤組成物又は接着フィルムを、放熱部材である金属基板に熱圧着するときの、温度及び圧力の条件は特に制約はなく、通常、温度は60℃〜150℃、圧力は0.05MPa〜8.0MPaであり、好ましくは、温度は65℃〜130℃、圧力は0.1MPa〜4.0MPa、より好ましくは、温度は70℃〜120℃、圧力は0.5MPa〜3.0MPaである。
熱圧着の温度が60℃以上、圧力が0.05MPa以上であると、圧着が十分となり剥離が抑えられる傾向にあり、温度が150℃以下、圧力が8.0MPa以下であると、支持部材の変形、劣化又は破損が抑えられる傾向にある。
接着剤組成物又は接着フィルムを硬化させる条件としては、特に制限はない。硬化の温度は120℃〜250℃、時間は30分〜420分が好ましく、より好ましくは、温度は150℃〜230℃、時間は50分〜300分、更に好ましくは、温度は180℃〜210℃、時間は60分〜180分である。
硬化の温度が120℃以上、時間が30分以上であると、硬化が十分となって接着性及び耐熱性に優れる傾向があり、温度が250℃以下、時間が420分以下であると、接着剤組成物又は接着フィルムの熱分解が抑えられる傾向がある。
硬化の温度及び時間は、150℃で5時間、180℃で3時間、210℃で1時間のように、温度が高いほど時間を短くすることが好ましい。また、生産性を上げるためには、短い時間で硬化させることが好ましい。硬化のための加熱では、IRリフロー又はオーブンを使うことができる。
本実施形態の接着フィルム、樹脂付き金属箔、及び金属ベース基板は、高い熱伝導率と絶縁信頼性を有しながら、耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れることから、パワーモジュール等の用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の配合及び評価は、特に表記がない場合には、室温(18℃〜25℃)の大気中で行った。
[実施例1]
高密度ポリエチレン製の蓋付き容器中に、粒子径D50が11μmであるアルミナ(昭和電工株式会社製、AS−50)の112.5gと、高分子量成分としてのアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製、HTR−860P−303EK20)の109.7gと、エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、DEN438−85J)の8.3gと、フェノール樹脂(日立化成株式会社製、HP−850N)の8.2gを秤量し、カップリング剤(モメンティブ社製、A187)の0.3g、溶剤として2−ブタノン(和光純薬工業株式会社製)の10.9g、イミダゾール硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、2PZ−CN)の0.1gを加え、接着剤組成物(J1)を得た。各成分及び接着剤組成物の攪拌、溶解及び脱泡は、株式会社シンキー製、自転公転式撹拌機、商品名:あわとり錬太郎ARV−310を用いて、2000回転/min(rpm)で3分間行った。
接着剤組成物(J1)を赤外分光法(IR)で測定すると、カルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)に対するニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)の比(PCN/PCO)は、0.002であった。
接着剤組成物(J1)を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上に塗布し、乾燥して、支持体上に厚さ80μmの接着フィルム(1)を得た。得られた接着フィルム(1)は可とう性に優れていた。
<評価>
接着フィルム(1)から支持体を剥がし、接着フィルム(1)の両面に35μm厚の銅箔を積層し、株式会社名機製作所製の平板プレス機によって、2.0MPaの圧力下で、毎分5℃の昇温速度で25℃から180℃まで加熱し、180℃に達した後に120分加圧加熱を保持することで評価用両面銅箔付き硬化物(1)を得た。
両面銅箔付き硬化物(1)はエッチング処理により銅箔を除去したものを、評価用硬化物(1)とした。評価用硬化物(1)について以下の評価を行い、評価結果を表1に示した。
〜弾性率〜
評価用硬化物(1)を幅5mmに切断し、レオロジ社製のDVEレオスペクトラにおいて、チャック間距離が20mmとなるように評価用硬化物(1)を取り付け、毎分5℃の昇温速度で貯蔵弾性率を測定した。
〜接着強度〜
接着フィルム(1)から支持体を剥がし、接着フィルムの片面に35μm厚の銅箔を積層し、もう片面に1.5mm厚のアルミニウム板を積層し、株式会社名機製作所製の平板プレス機によって、2.0MPaの圧力下で、毎分5℃の昇温速度で25℃から180℃まで加熱し、180℃に達した後に120分加圧加熱を保持することで評価用アルミニウム基板を得た。評価用アルミニウム基板において、エッチング処理により幅10mm、長さ80mmを残して銅箔を除去し、残留した銅箔部分をTOYO BALDWIN社製、UTM−4−100型テンシロンを用いて、室温(25℃)条件下で毎分50mmの引張速度で90°ピール強度を測定した。
〜電気絶縁性〜
評価用硬化物(1)を直径20mmの電極間に挟み、HAT−300−100RHO型絶縁破壊電圧測定装置(山崎産業株式会社製)を用いて交流印加(毎秒500V昇圧)の条件で最低絶縁破壊電圧を測定した。
〜はんだクラック性〜
接着フィルム(1)から支持体を剥がし、接着フィルムの片面に35μm厚の銅箔を積層し、もう片面に1.5mm厚のアルミニウム板を積層し、株式会社名機製作所製の平板プレス機によって、2.0MPaの圧力下で、毎分5℃の昇温速度で25℃から180℃まで加熱し、180℃に達した後に120分加圧加熱を保持することで評価用アルミニウム基板を得た。評価用アルミニウム基板における銅箔面上にチップサイズ3225のコンデンサをはんだ付けにより実装し、大気中−55℃と125℃を30分毎ずつ保持する一連の条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を行い、任意の時間でサンプルを取り出して断面観察を行い、チップ実装部品のはんだ付け部分にクラックが入るまでのヒートサイクル回数を測定した。
〜マイグレーション性〜
くし形電極(配線幅/配線間距離=30μm/70μm)の評価基板を作製し、温度130℃、湿度85%、印加電圧5Vで絶縁抵抗値が短絡するまでの時間を測定した。
〜はんだ耐熱性〜
288℃に熱したはんだ槽に両面銅箔付き硬化物(1)を浮かべ、端部のめくれ又は膨れが生じるまでの時間を測定した。
[実施例2]
特定高分子量成分として、アクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製、HTR−860P−303EK20)に代え、アクリロニトリルに由来する構造単位を30質量%、グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を3質量%含み、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を含まないエポキシ基含有メタクリルを用いたこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
[実施例3]
実施例1における「エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、DEN438−85J)の8.3gと、フェノール樹脂(日立化成株式会社製、HP−850N)の8.2g」を「エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YL−6121H)の8.3gと、フェノール樹脂(日立化成株式会社製、ヒタノール A4−sm)の3.1g」に代えたこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
表1から本実施形態の接着剤組成物、接着フィルム及び金属ベース基板は、高い熱伝導率と絶縁信頼性を有しながら耐クラック性、接着性及び耐熱性に優れていることが分かる。
尚、実施例1と実施例2とを比較すると、窒素含有基を有する構造単位の含有率が1質量%以下である実施例1の方が、マイグレーション性及びはんだクラック性に優れていた。
また、実施例1と実施例3とを比較すると、特定高分子量成分の含有率が、熱硬化性樹脂と特定高分子量成分と硬化剤との総質量に対して90質量%以下である実施例1の方が、弾性率、電気絶縁性、マイグレーション性及びはんだクラック性に優れていた。

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂と、低弾性化が可能な高分子量成分と、放熱充填剤と、を含有する接着剤組成物。
  2. 前記低弾性化が可能な高分子量成分中の、窒素含有基を有する構造単位の含有率が、1質量%以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 赤外分光法(IR)で測定したときに得られるスペクトルにおいて、カルボニル基に由来する1730cm−1付近のピーク高さ(PCO)に対するニトリル基に由来する2240cm−1付近のピーク高さ(PCN)の比(PCN/PCO)が、0.01以下である請求項1又は請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記放熱充填剤は、重量累積粒度分布の小粒径側からの累積50%に対応する粒子径D50が0.5μm〜50μmの無機フィラーを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  5. 前記粒子径D50が0.5μm〜50μmの無機フィラーを30体積%以上含有する請求項4に記載の接着剤組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて形成される接着フィルム。
  7. 金属箔と、
    前記金属箔上に設けられ、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接着剤組成物に由来する層と、
    を有する樹脂付き金属箔。
  8. 金属基板と、
    前記金属基板上に設けられる絶縁層と、
    前記絶縁層上に設けられ、金属回路を形成するための回路用金属層と、を有し、
    前記絶縁層が、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接着剤組成物に由来する層、又は請求項6の接着フィルムに由来するである金属ベース基板。
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