JP2017015931A - 光源装置及び光源装置の制御方法 - Google Patents

光源装置及び光源装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】共振器の小型化を図りつつ、より広範な発振可能波長域を実現し、かつ、発振する波長を安定的に制御すること。【解決手段】本開示に係る光源装置は、所定波長のパルス光を励起光として利用し、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、前記光パラメトリック発振器を制御する制御部とを備え、前記光パラメトリック発振器は、前記出力光を生成する非線形光学結晶と、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、前記共振器の内部に当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された複屈折フィルタと、前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、を有しており、前記制御部は、前記複屈折フィルタの方位角を調整することで前記出力光の波長を設定するとともに、前記出力光の出力強度が最大となるように前記共振器の共振器長を制御する。【選択図】図3

Description

本開示は、光源装置及び光源装置の制御方法に関する。
蛍光顕微鏡を用いて生体観察を行うにあたり、近年、観察対象物に含まれる蛍光体を多光子励起することで、観察対象物から蛍光を発生させることが行われるようになってきた。かかる多光子励起蛍光顕微鏡の光源として、波長を自由に選択可能な短パルス光源が望まれている。短パルス光源から得られる短パルス光の波長を変換する方法として、非線形光学結晶を用いた光パラメトリック発振器の手法がある。
非線形光学結晶を用いた光パラメトリック発振器の手法を利用して、短パルス光源を実現する際には、所望の波長以外のパラメトリック光の発振を如何に抑制するかが重要となる。このような所望の波長以外のパラメトリック光の発振を抑制するために、以下の特許文献1及び非特許文献1では、複屈折フィルタを用いた複屈折板を光パラメトリック発振器の光学系の中に配置し、かかる複屈折フィルタを帯域制限波長フィルタとして用いることで、光パラメトリック発振(Optical Parametric Oscillation:OPO)レーザを実現している。
特開平7−15075号公報
M.V.O’Connor,M.A.Watson,D.P.Shepherd,D.C.Hanna,"Use of a birefringent filter for tuning a synchronously pumped optical parametric oscillator",Applied Physics B,2004,79,p.15−23
しかしながら、上記特許文献1や非特許文献1に開示されているような、複屈折フィルタを用いたOPOレーザは、複屈折フィルタの挿入損失が大きいためにパラメトリック光の発振閾値が高くなり、OPOレーザの安定稼働を実現するためには、Nd:YAGレーザのような高出力の励起レーザが必要となる。特に、上記特許文献1や非特許文献1では、パラメトリック光のみを共振させる構成を採用しており、パラメトリック光を発振させるための発振閾値は更に大きくなると考えられる。
原理的には、複屈折フィルタの厚みを薄くすればフィルタの挿入損失は小さくなるが、薄くし過ぎると所望のフィルタ特性(すなわち、不要な発振の抑制性能や、発振可能波長域)との両立は困難となる。
また、複屈折フィルタを挿入する共振器が小型であり、かつ、レーザ光のビーム径が小さい場合には、回折広がりによる損失も無視できなくなる。
更に、上記非特許文献1に開示の技術では、波長の可変範囲は約30nm程度となっているが、例えばOPOレーザを多光子励起蛍光顕微鏡の光源として使用する場合等には、より広範な発振可能波長域が望まれる。
このように、共振器の小型化を図りつつ、より広範な発振可能波長域を実現することが可能なOPOレーザが求められている。
そこで、本開示では、共振器の小型化を図りつつ、より広範な発振可能波長域を実現し、かつ、発振する波長を安定的に制御することが可能な、光源装置及び光源装置の制御方法を提案する。
本開示によれば、所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、前記光パラメトリック発振器を少なくとも制御する制御部と、を備え、前記光パラメトリック発振器は、前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、を有しており、前記制御部は、前記回転機構を駆動させて前記複屈折フィルタの方位角を調整することで、前記出力光の波長を設定するとともに、前記出力光の出力強度が最大となるように、前記共振器の共振器長を制御する、光源装置が提供される。
また、本開示によれば、所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、を備え、前記光パラメトリック発振器は、前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、を有する光源装置において、制御部により前記出力光の波長を制御する際に、前記出力光を共振させるための前記可動ミラーの位置を前記出力光の波長に応じた所定の位置に移動させることと、前記出力光の波長に応じた前記非線形光学結晶の調整の終了後に、前記複屈折フィルタを所定の回転角となるように回転させることと、前記共振器の共振器長を前記出力光の出力強度が最大となるように調整することと、を含む、光源装置の制御方法が提供される。
本開示によれば、光パラメトリック発振器は、光源ユニットから出射された所定波長の励起光を利用して、非線形光学結晶により、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する。この際、制御部は、前記回転機構を駆動させて前記複屈折フィルタの方位角を調整することで、前記出力光の波長を設定するとともに、前記出力光の出力強度が最大となるように、前記共振器の共振器長を制御する。
以上説明したように本開示によれば、共振器の小型化を図りつつ、より広範な発振可能波長域を実現し、かつ、発振する波長を安定的に制御することが可能となる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、又は、本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の第1の実施形態に係る光源装置における波長制御方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係る光源装置における波長制御方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係る光源装置における波長制御方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係る光源装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する光源ユニットの一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する非線形光学結晶ユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する非線形光学結晶ユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する複屈折フィルタユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する複屈折フィルタユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る光源装置が有する複屈折フィルタユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 複屈折フィルタの波長透過特性を説明するためのグラフ図である。 複屈折フィルタの波長透過特性を説明するためのグラフ図である。 複屈折フィルタの回転角と波長可変範囲との関係の一例を示したグラフ図である。 複屈折フィルタの波長透過特性を説明するためのグラフ図である。 複屈折フィルタの透過波長スペクトル特性の実測例を示したグラフ図である。 複屈折フィルタの厚みと複屈折フィルタの挿入損失との関係の一例を示したグラフ図である。 複屈折フィルタの有無に伴う波長スペクトルの変化を説明するためのグラフ図である。 複屈折フィルタの有無に伴う波長スペクトルの変化を説明するためのグラフ図である。 複屈折フィルタの有無に伴う波長スペクトルの変化を説明するためのグラフ図である。 同実施形態に係る光源装置の制御方法の流れの一例を示した流れ図である。 同実施形態に係る光源装置が備える制御部のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1.1.波長制御方法について
1.2.光源装置の全体構成について
1.3.非線形光学結晶ユニットについて
1.4.光源装置の制御方法について
2.制御部のハードウェア構成について
(第1の実施形態)
<波長制御方法について>
本開示の第1の実施形態に係る光源装置及び光源装置の制御方法について説明するに先立ち、光パラメトリック発振器による発振波長がどのような要因に依存しているのかを図1A及び図1Bを参照しながら説明する。また、以下では、本開示の第1の実施形態に係る光源装置で用いられる波長制御方法の概略について、図2を参照しながら説明する。図1A〜図2は、本実施形態に係る光源装置における波長制御方法について説明するための説明図である。
光パラメトリック発振器における発振波長は、以下の5つのメカニズムによって決まることが知られている。
1.パラメトリック変換におけるエネルギー保存則
2.非線形光学結晶における位相整合条件
3.群速度不整合で決まる許容バンド幅
4.共振器内における光学損失の波長依存性
5.信号パルス群遅延
ここで、非線形光学結晶に対するビーム集光角が広いときには、上記1.及び2.を満たす組み合わせは、広く存在する。更に、上記3.及び4.に示した特性が波長に対してフラットであれば(すなわち、波長に依存しないものであれば)、最も支配的なメカニズムは、上記5.に示した信号パルス群遅延となる。
例えば、群速度の不整合が小さく、かつ、非線形光学結晶の結晶長が短い場合には、上記3.の許容バンド幅も広くなり、また、非線形光学結晶に施されるコーティングが広帯域にわたってフラットな特性である場合には上記4.は影響しない。従って、光パラメトリック発振器の発振波長は、上記5.だけで決まる。
しかしながら、上記5.に示した群遅延特性は、以下で詳述する本実施形態に係る光源装置のようにサブピコ秒オーダのパルス出力を得ようとする場合には、コーティング反射の位相を精密に制御することが重要となるため、技術的な困難が伴う。一般的に、共振器ミラーに対して広帯域かつ高反射率の特性を持たせながら群遅延量を管理することは、極めて難しい。コーティング時の成膜ばらつき等により群遅延分散の極性が反転する領域が生じてしまうと、複数の波長が同時に発振する等といった不安定動作を引き起こす。このような要因以外にも、励起レーザのパワーが共振器の閾値を大きく上回る領域では、基本ガウシアンモード以外の空間モードの発振や、不要な非線形効果等によって引き起こされる意図しない発振が生じてしまう。
そこで、以下で詳述する本実施形態に係る光源装置では、上記のような検討事項を解決するために、意図的に上記4.のメカニズムを取り入れる。これにより、以下で詳述する本実施形態に係る光源装置では、光パラメトリック発振の発振出力及び発振波長を安定化することが可能となる。以下、本実施形態に係る光源装置で採用したメカニズムについて、図1A及び図1Bを参照しながら説明する。
光パラメトリック発振器では、図1Aにおける下段のグラフに示したように、共振器長(cavity length)をシグナル光の群遅延分散を補償するように調整することで、発振波長が決まる。図1Aの下段のグラフに示した群遅延曲線GD(λ)が極大値もしくは極小値を持つとき、又は、群遅延曲線の周波数微分である群遅延分散(GDD)が帯域内にゼロクロス点を持つときに、図1Aに示したように発振可能な波長が複数(図1Aの場合には、2種類)発生する。
非線形光学結晶(NonLinear Optical crystal:NLO)の角度調整を行うことで、図1Aにおける上段のグラフに示したように光パラメトリック発振器のゲイン曲線を変化させ、発振する波長が限定される場合もある。しかしながら、発振可能波長が近傍に複数存在する場合には、非線形光学結晶の角度調整では、同時発振を回避することは困難である。
そこで、本実施形態に係る光源装置では、光源装置内に設けられた共振器に対応する光学系内に、複屈折フィルタ(birefringent filter)を設置する。複屈折フィルタを設置することで、図1Bの上段のグラフに示したように、光パラメトリック発振器の損失を変化させることができる。これにより、本来発振させたい波長だけ損失をほぼゼロとし、それ以外の不要な発振に損失を与えることが可能となり、出力波長を安定させることができる。
図1Aに示したような、複屈折フィルタを設置しない場合の例では、短波長側と長波長側にそれぞれ1つの発振可能な波長が存在するが、複屈折フィルタを設置して光パラメトリック発振器の損失を変化させ、図1Aにおける長波長側の発振波長における損失を大きくすることで、かかる波長の発振が抑制され、短波長側の波長の光のみを発振させることが可能となる。
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係る光学装置対して設けられる複屈折フィルタの動作原理を簡単に説明する。なお、図2では、励起光として405nmの青色光を用い、赤外(IR)帯域に属するパラメトリック光を得る場合を例に挙げており、非線形光学結晶としてLBO(LiB)結晶を用い、Type1位相整合を考慮する場合を図示している。なお、図2は、複屈折フィルタを側面から見た場合の側面となっている。
いま、405nmの励起光の偏光方向を横偏光とすると、パラメトリック増幅は縦偏光(常光線)にだけ生じるため、基本的にLBO結晶は、第1の偏光選択素子として作用すると考えることができる。ここで、図2に示したように、光パラメトリック発振器内(非線形光学結晶の後段)に複屈折板(例えば、人工水晶)をブリュースター角に傾けて配置すると、複屈折板の表面においてP偏光は無損失となる一方で、S偏光には約15%の反射が生じる。このような偏光依存の反射損失によっても縦偏光が選択的に抽出されるため、複屈折板は第2の偏光選択素子として作用すると考えることができる。
また、複屈折板の内部での複屈折のために、波長ごとに共振器を往復する光の偏光状態が変化する。このとき、複屈折板通過時の偏光間位相差(リタデーション:retardation)が波長の整数倍になる波長だけ、全てP偏光となって、損失がゼロとなる一方で、整数倍とならない波長にはS偏光成分が残存して楕円偏光となるため、損失が発生する。従って、偏光間位相差を複屈折板の回転によって調整することで、連続的な波長チューニングが可能となる。
そこで、本実施形態に係る光源装置では、上記のような知見をもとに、偏光間位相差を調整可能とするために複屈折板の回転制御機構を設け、連続的な波長チューニングを実現している。ここで、光源装置内に可動部のある機構を導入することによって、共振器のサイズが大きくなるとともに、回転駆動系において可動域と精度との両立を図るために機構が複雑化して、コストアップにつながる可能性がある。しかしながら、以下で詳述する本実施形態に係る光源装置では、共振器内に設けられる複屈折フィルタユニットを特定の構造とすることで、上記のような懸念事項を解決している。
<光源装置の全体構成について>
次に、図3〜図8を参照しながら、本実施形態に係る光源装置の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る光源装置の構成の一例を模式的に示した説明図であり、図4は、本実施形態に係る光源装置が有する光源ユニットの一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る光源装置1は、図3に模式的に示したように、励起光として用いられるレーザ光を出射する光源ユニット10と、光パラメトリック発振器の一例である波長変換共振器20と、制御部30と、駆動部40と、を備える。また、本実施形態に係る光源装置1は、その光学系の内部に、更に、補正光学系50と、ビーム集光ユニット60と、を備えていることが好ましい。
[光源ユニット10]
光源ユニット10は、後述する制御部30による制御のもとで、励起光として用いられる所定波長のレーザ光を出射する装置である。かかる光源ユニット10は特に限定されるものではなく、公知のものを利用することが可能であるが、例えば、半導体を用いたモードロックパルス同期レーザ等の半導体パルスレーザを用いることが好ましい。
図4は、本実施形態に係る光源ユニット10として好適に利用可能な半導体パルスレーザであるMOPA(Master Oscillation Power Amplifier)システム(以下、「MOPA」と略記する。)101の構成を示した模式図である。
MOPA101は、半導体を用いたモードロックパルス同期レーザの一例であり、図4に模式的に示したように、レーザ光源として用いられる主発振器103と、主発振器103から出射したレーザ光を増幅する光増幅器105と、を有している。
主発振器103は、図4に示したように、所定波長(例えば、波長405nm)のレーザ光を出射可能な半導体レーザユニット107と、半導体レーザユニット107から出射されたレーザ光を増幅させるための共振器部109と、から構成されている。半導体レーザユニット107から出射した所定波長のレーザ光は、共振器部109によって増幅された後、各種のレンズやミラー等といった光学素子によって、光増幅器105へと導光される。
主発振器103から出射した所定波長のレーザ光は、半導体増幅器(Semiconductor Opical Amplifier:SOA)等からなる光増幅器105へと導光されて、更に増幅される。光増幅器105によって例えば最大数百W程度の強度まで増幅されたレーザ光は、後述する波長変換共振器20へと導光される。
なお、本実施形態に係る光源装置1で用いられる光源ユニット10は、図4に示したようなMOPA101に限定されるものではなく、MOPA101以外の半導体レーザを用いることも可能であり、半導体レーザ以外の各種のレーザを用いても良いことは言うまでもない。
[波長変換共振器20]
再び図3に戻って、本実施形態に係る波長変換共振器20について、詳細に説明する。
光源ユニット10から出射した所定波長のレーザ光(例えば、波長405nmの青色光)は、λ/2板(Half−Wave Plate:HWP)と、反射光が光源ユニット10へと戻らないように分離するためのアイソレータ(Isolator)と、λ/2板と、を順に透過する。
なお、後述する波長変換共振器20からの反射光は、λ/2板及びアイソレータを透過した後に、必要に応じて、ミラーや、減光フィルタ、レンズL等を介した後、光検出器PD1へと導光される。この光検出器PD1によって検出される反射光の強度に関する情報は、後述する制御部30へと出力されて、波長変換共振器20における共振器長をフィードバック制御するために用いられる。
λ/2板を透過したレーザ光(励起光)は、必要に応じて設けられた補正光学系50や、ビーム集光ユニット60を透過した後、各種のミラーM、レンズ(図示せず)、フィルタ(図示せず。)等といった光学素子を経て、波長変換共振器20へと導光される。
より詳細には、所定波長の励起光は、励起光入力カプラ207から波長変換共振器20の内部へと導光される。その後、励起光は、ダイクロイックミラーDM、曲面ミラー203、非線形光学結晶ユニット201、曲面ミラー205、励起光ミラー209、曲面ミラー205、非線形光学結晶ユニット201、曲面ミラー203、ダイクロイックミラーDM、励起光入力カプラ207・・・という光路をたどる。かかる第1の光路が、励起光を増幅する共振器として機能する。ここで、本実施形態に係る非線形光学結晶ユニット201の詳細な構成については、以下で改めて説明する。
また、励起光が非線形光学結晶ユニット201に設けられた非線形光学結晶を透過することで、シグナル光及びアイドラー(Idler)光という、励起光とは波長の異なる光が発生する。本実施形態に係る光源装置1では、シグナル光を外部に取り出して光源として利用することも可能であるし、アイドラー光を外部に取り出して光源として利用することも可能であるが、以下の説明では、シグナル光を外部に取り出す場合を例に挙げて説明を行うものとする。
非線形光学結晶ユニット201中の非線形光学結晶から発生したシグナル光は、曲面ミラー205、励起光ミラー209、曲面ミラー205、非線形光学結晶ユニット201、曲面ミラー203、ダイクロイックミラーDM、複屈折フィルタユニット217、シグナル光出力カプラ213、複屈折フィルタユニット217、ダイクロイックミラーDM、曲面ミラー203、非線形光学結晶ユニット201・・・という光路をたどる。かかる第2の光路が、出力光(本説明では、シグナル光)を生成するとともに、出力光の強度を増幅する共振器として機能する。ここで、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217の詳細な構成については、以下で改めて説明する。
このように、本実施形態に係る波長変換共振器20は、上記のような2つの光路を内部に有する、2軸光学系となっている。また、第1の光路の光路長(すなわち、励起光を増幅する共振器の共振器長)は、励起光ミラー209に設けられたサーボ機構211によって制御され、第2の光路の光路長(すなわち、出力光を増幅する共振器の共振器長)は、励起光ミラー209に設けられたサーボ機構211と、シグナル光出力カプラ213に設けられたサーボ機構215と、によって制御される。これにより、本実施形態に係る波長変換共振器20では、第1の光路の光路長と、第2の光路の光路長と、を互いに独立して制御することが可能となる。また、シグナル光だけでなく励起光についても共振させることで、本実施形態に係る波長変換共振器20では、シグナル光だけを共振させる場合と比べて、パラメトリック光の発振閾値を更に下げることが可能となり、高出力の励起光を用いない場合であっても、パラメトリック光を発振させることが可能となる。
ここで、サーボ機構211及びサーボ機構215による第2の光路の光路長の制御は、後述する複屈折フィルタユニット217の駆動制御と連動して実施される。詳細は以下で改めて説明するが、所望のシグナル光の波長を選択するために、複屈折フィルタユニット217が後述する制御部30の制御のもとで駆動部40によって駆動制御された後、複屈折フィルタユニット217の駆動制御に対応して、制御部30の制御のもとで、サーボ機構215が制御される。その後、制御部30の制御のもとでサーボ機構211が制御されて、第2の光路の光路長が制御される。第2の光路の光路長の微調整は、励起光ミラー209の後段に設けられた光検出器PD2によって検出されたシグナル光の強度を制御部30に対して出力し、かかるシグナル光の検出結果に応じたフィードバック制御が行われることで実行可能である。
また、サーボ機構211による第1の光路の光路長の制御は、前述のように、波長変換共振器20からの励起光の反射光を、光検出器PD1によって検出することで行われる。すなわち、光検出器PD1による反射光の強度に関する検出結果が、制御部30へと出力され、制御部30の制御のもとで、サーボ機構211が制御されることで、第1の光路の光路長が適切に制御される。
ここで、後述する制御部30によるサーボ機構211,215の制御方法は、特に限定されるものではなく、例えば、適切な光路長を実現する励起光ミラー209やシグナル光出力カプラ213の適切な位置をテーブル等のデータ形態でデータベースとして記憶しておき、適切なタイミングで、かかる適切な位置を保持するように励起光ミラー209やシグナル光出力カプラ213の位置を制御してもよい。また、位置の微調整については、励起光やシグナル光の強度の光検出器による検出結果に基づいて、フィードバック制御を行う等といった、公知の制御方法を利用することが可能である。
以上のようなサーボ機構211,215は、特に限定されるものではなく、ボイスコイルモータ(VCM)やピエゾ素子等といった公知の駆動機構を利用することができる。また、本実施形態に係るサーボ機構211,215は、励起光ミラー209やシグナル光出力カプラ213等の光学素子に対して設けられるものであるため、いわゆるVCMミラー等の駆動機構を備えた光学素子を、これら光学素子及びサーボ機構の代わりに利用してもよい。
以上のような第2の光路に対応する共振器によって増幅され、複屈折フィルタユニット217によって波長が適切に選択されたシグナル光は、シグナル光出力カプラ213から外部に取り出されて、光源として用いられる。
なお、本実施形態に係る波長変換共振器20では、シグナル光出力カプラ213の出側に、タイミング制御シャッター(図示せず。)を設けてもよい。かかるタイミング制御シャッターは、後述する制御部30によりシャッターの開閉タイミングが制御される。制御部30は、波長スキャンと組み合わせてシャッターの開閉タイミングを制御することで、特定波長のみを波長変換共振器20の外部に出力するようにしてもよい。
なお、図3では、波長変換共振器20として、いわゆるZ型の配置の共振器を例に挙げて図示を行っているが、波長変換共振器20の光学系の配置は、図3に示した例に限定されるものではなく、いわゆるBow tie型の配置を採用した共振器を用いても良いことは言うまでもない。
以上、波長変換共振器20の構成について、簡単に説明した。
[制御部30]
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されるユニットである。制御部30は、本実施形態に係る光源装置1の動作を全般的に統括する処理部であり、光源装置1を構成する様々なユニットの制御を実施する。例えば、制御部30は、ユーザ操作に応じて、光源ユニット10を制御して、光源ユニット10の温度等も含めて管理を行い、所定波長の励起光を、安定的に出射させる。
また、制御部30は、後述する駆動部40を適切に制御することで、波長変換共振器20に設けられる非線形光学結晶ユニット201や複屈折フィルタユニット217を適切に制御したり、光検出器PD1,PD2からの検出結果を利用してサーボ機構211,215を適切に制御することで、波長変換共振器20の光路長(共振器長)を適切に制御したりする。
なお、かかる制御部30は、光源装置1に接続されているパーソナルコンピュータや各種サーバ等の情報処理装置により実現されていてもよいし、光源装置1内に実装されるICチップや演算処理ボード等として実現されていてもよい。また、制御部30は、必要に応じて、光源装置1に接続される各種機器(例えば、顕微鏡ユニットやフローサイトメータユニット等)の機能を更に制御することも可能である。
[駆動部40]
駆動部40は、制御部30による制御のもとで、波長変換共振器20に設けられる非線形光学結晶ユニット201や複屈折フィルタユニット217を適切に駆動させて、所望の波長の出力光が安定的に出力されるようにする。このような駆動部40の詳細な構成については、特に限定されるものではなく、ステッピングモータやボイスコイルモータ等といった公知のモータや、ピエゾ素子等のような公知の駆動機構を利用することで構成可能である。また、非線形光学結晶ユニット201を制御する場合の駆動部40については、上記のような駆動機構に加えて、温度を調整するための公知の加熱機構や冷却機構を利用することが可能である。
[補正光学系50]
補正光学系50は、光源ユニット10と波長変換共振器20との間に、必要に応じて配置される光学系であり、光源ユニット10から出射された励起光を補正するために設けられる。この補正光学系50は、光源ユニット10から出射された励起光のビーム形状や収差等を補正して、波長変換共振器20への結合効率を向上させるために設けられる。この補正光学系50の詳細な構成については特に限定されるものではなく、公知の光学系を利用することができる。例えば、かかる補正光学系50として、レンズとアナモルフィックレンズとを組み合わせた光学系を利用しても良いし、シリンドリカルレンズを含む光学系を利用しても良い。なお、光源ユニット10から出射された励起光が、補正が不要である程の高品質な光である場合には、かかる補正光学系50を設けなくても良いことは言うまでもない。
[ビーム集光ユニット60]
ビーム集光ユニット60は、光源ユニット10と波長変換共振器20との間に、必要に応じて配置されるユニットであり、光源ユニット10から出射された励起光を、適切に波長変換共振器20の励起光入力カプラ207へ適切に集光させて、波長変換共振器20への結合効率を向上させるために設けられる。この補正光学系50の詳細な構成については特に限定されるものではなく、公知の光学系を利用することができる。なお、光源ユニット10から出射された励起光が、ビーム集光ユニット60を介さずとも、適切に波長変換共振器20に集光可能である場合には、かかるビーム集光ユニット60を設けなくても良いことは言うまでもない。
以上、図3及び図4を参照しながら、本実施形態に係る光源装置1の全体構成について説明した。
なお、以上説明したような全体構成を有する光源装置1の用途については、特に限定されるものではなく、各種の光学装置の光源として利用することが可能である。例えば、本実施形態に係る光源装置1は、各種顕微鏡や、フローサイトメータ等の光源として好適に利用することが可能である。
<非線形光学結晶ユニットについて>
次に、図5A及び図5Bを参照しながら、本実施形態に係る波長変換共振器20に設けられる非線形光学結晶ユニット201の詳細な構成の一例について、簡単に説明する。図5A及び図5Bは、本実施形態に係る光源装置が有する非線形光学結晶ユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る波長変換共振器20では、ある一つの非線形光学結晶での位相整合条件を、連続角度調整、温度調整、分極反転結晶の位置シフト等といった様々な方法により調整することで、所望の波長への波長変換を実現する。しかしながら、ある一つの非線形光学結晶のみでは所望の広範な発振可能波長帯域を担保できない場合には、複数の非線形光学結晶を利用し、これらの非線形光学結晶を入れ替えることで、広範な発振可能波長帯域を実現することが可能となる。
このような非線形光学結晶の入れ替えを効率良く実現するために、本実施形態に係る波長変換共振器20で用いられる非線形光学結晶ユニット201は、図5A及び図5Bに模式的に示したように、複数の非線形光学結晶21と、可動部23と、を有していることが好ましい。
非線形光学結晶21は、入射した励起光の波長を、角度位相整合法により異なる波長へと変換する結晶である。かかる非線形光学結晶21は、励起光の波長に応じて、利用可能な結晶が決まっている。例えば、励起光として青色光を利用する場合、非線形光学結晶12として、BBO(β−BaB)、LBO(LiB)、BiBO(BiB)、LN(LiNbO)、LT(LiTaO)、KTP(KTiOPO)等といった公知の青色光用の非線形光学結晶を利用することができる。また、励起光として、青色光以外の光を用いる場合には、励起光の波長に対応した公知の非線形光学結晶を用いればよい。
ここで、図5A及び図5Bでは、非線形光学結晶21を4種類用いた場合を図示しているが、非線形光学結晶ユニット201に設けられる非線形光学結晶21の個数は、4つに限定されるものではなく、2〜3個であってもよいし、5個以上であってもよいことは言うまでもない。
可動部23は、所定の可動軸に基づいて稼働可能な部材であり、可動部23に接続された未図示の駆動機構により、所定の可動軸に沿って移動が可能である。なお、図5A及び図5Bでは、図中のb軸に平行な方向が可動軸の方向となっているが、かかる可動軸の方向は、水平方向であってもよいし、鉛直方向であってもよいことは言うまでもない。
ここで、可動部23の少なくとも1つの表面は、平坦面となるように加工されており、この平坦面上に複数の非線形光学結晶21が配設される。平坦面上への非線形光学結晶21の固定方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を利用することが可能である。例えば、ガラス面の平面度が高いことを利用し、かかる平坦面として面合わせ用のガラスを用い、複数の非線形光学結晶21を、各種の抑えバネ等により面合わせ用のガラスのガラス面に押し付けつつネジ止めすることが好ましい。このような構成とすることで、それぞれの非線形光学結晶21の所定の基準面が互いに精度良く同一面となるように、それぞれの非線形光学結晶21を可動部23に対して位置決めすることが可能となる。例えば図5A及び図5Bに示した例では、各非線形光学結晶21が、b軸及びc軸で規定されるbc平面と、a軸及びc軸で規定されるac平面に平行な平面と、が基準面となるように、可動軸であるb軸に対して位置決めされている。
また、可動部23の形状は、特に限定されるものではなく、複数の非線形光学結晶21を設置することが可能な形状であれば、多角形状であってもよいし、略円形状であってもよい。
なお、本実施形態に係る非線形光学結晶ユニット201は、上記の非線形光学結晶21及び可動部23以外にも、例えば、レーザ光を非線形光学結晶21に集光させるためのミラーやレンズ等といった、各種の光学素子を更に有していてもよいことは、言うまでもない。
本実施形態に係る光源装置1の制御部30は、ユーザ操作によって出力光の波長が選択されると、駆動部40を介して、上記のような構成を有する非線形光学結晶ユニット201を所定の可動軸方向に稼働させる。これにより、制御部30は、ユーザ操作によって指定された波長の出力光を発生させることが可能な非線形光学結晶21を、波長変換共振器20の光路上に挿入させることができる。
なお、制御部30が有するROM、RAM、ストレージ装置等により実現される記憶部(図示せず。)には、予め、出力光の波長と、用いる非線形光学結晶21の種類と、所望の非線形光学結晶21を波長変換共振器20の光路上に挿入するための駆動部40の駆動方法(例えば、ステッピングモータ等のステップ数や差分ステップ数等)と、が互いに関連付けられたデータベース等を記録しておくことが好ましい。制御部30は、このようなデータベース等を参照しながら、駆動部40に対して非線形光学結晶ユニット201を適切に駆動させるための駆動信号を出力することで、所定の非線形光学結晶21を、波長変換共振器20の光路上に挿入させることができる。
以上、本実施形態に係る波長変換共振器20に設けられる非線形光学結晶ユニット201の詳細な構成の一例について、簡単に説明した。
<複屈折フィルタユニットについて>
次に、図6〜図14Cを参照しながら、本実施形態に係る波長変換共振器20に設けられる複屈折フィルタユニット217の詳細な構成の一例について説明する。
図6〜図8は、本実施形態に係る光源装置が有する複屈折フィルタユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。図9A及び図9Bは、複屈折フィルタの波長透過特性を説明するためのグラフ図である。図10は、複屈折フィルタの回転角と波長可変範囲との関係の一例を示したグラフ図であり、図11は、複屈折フィルタの波長透過特性を説明するためのグラフ図である。図12は、複屈折フィルタの透過波長スペクトル特性の実測例を示したグラフ図であり、図13は、複屈折フィルタの厚みと複屈折フィルタの挿入損失との関係の一例を示したグラフ図である。図14A〜図14Cは、複屈折フィルタの有無に伴う波長スペクトルの変化を説明するためのグラフ図である。
[複屈折フィルタユニットの構造]
本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217は、非線形光学結晶により波長変換された光の波長を制御するために設けられるユニットである。この複屈折フィルタユニット217は、波長変換された光(すなわち、パラメトリック光)の波長を制御するために用いられるため、波長変換共振器20内の励起光が直接通過しない位置に設けられる。具体的には、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217は、図3に模式的に示したように、励起光とパラメトリック光とを分離するダイクロイックミラーDMと、シグナル光出力カプラ213と、の間に設けられる。
図6は、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217を側面から見た場合を模式的に示したものである。
図6に模式的に示したように、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217では、複屈折フィルタの設けられた複屈折板231が、レーザ光(すなわち、光軸)に対して傾けて配置されている。具体的には、図6に模式的に示したように、光軸に対して垂直な平面を基準面としたときに、この基準面と複屈折板231の表面(複屈折フィルタの表面でもある。)とのなす角αがブリュースター角となるように、複屈折板231は配置される。かかるブリュースター角αの具体的な大きさは、レーザ光が透過している空間の媒質と、複屈折フィルタの材質と、で決まるが、例えば、屈折率が1の空気中から屈折率が1.5のガラスに光が入射する際のブリュースター角αは、約56度となる。
また、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217では、後述するように複屈折フィルタを所定角度だけ回転させて、レーザ光の進行方向を複屈折フィルタの所定の光学軸の方向と一致させることで、波長制御を行う。従って、この複屈折フィルタユニット217には、複屈折フィルタを回転させるための回転機構233が設けられており、回転機構233の回転軸が複屈折板231に接続されている。また、このような回転機構233は、ベースホルダ235に収容されていることが好ましい。
回転機構233の詳細な構成については、特に限定されるものではなく、例えばステッピングモータ等の公知のモータを利用して、モータの回転を複屈折板231に伝導させるための機構を適宜用いればよい。この回転機構233は、複屈折フィルタユニット217における駆動部40の一例である。かかる回転機構233は、制御部30の制御のもとで、ユーザ操作により設定された所望の出力光の波長に応じて、所定の角度だけ回転機構233の回転軸を回転させることで、複屈折板231の光学軸を所望の角度へと制御する。
制御部30は、後述するような複屈折フィルタの光学軸の角度と選択される波長との関係を表わしたデータベースを、予め記憶部等に保持しておくことが好ましい。制御部30は、回転機構233の駆動制御を行う際に、このデータベースを参照することで、容易に複屈折フィルタユニット217における回転機構233の回転量を制御することができる。また、このようなデータベースを設けることで、複屈折フィルタユニット217が経時変化した際には、データベースを適宜変更することで、容易に複屈折フィルタユニット217のメンテナンスを行うことが可能となる。
また、制御部30は、複屈折フィルタユニット217において、複屈折フィルタの微小回転によるウォブル信号を発生させて、この差動出力を基に、出力光の出力を最大化するような制御を行うことができる。
ここで、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217では、ブリュースター角を維持したまま複屈折フィルタを回転させることが重要となる。そのため、図6に模式的に示したように、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217では、複屈折板231の表面法線方向(複屈折フィルタの表面法線方向でもある。)と、回転機構233の回転軸と、が互いに平行となるように、複屈折板231が回転機構233に接続されている。また、回転機構233の回転軸は、複屈折板231の表面法線方向に対して平行であれば良いため、回転機構233の回転軸をレーザ光の通過位置からオフセットさせることも可能である。回転軸をレーザ光の通過位置からオフセットさせることで、回転機構を簡素化することが可能となる。
続いて、図7を参照しながら、本実施形態に係る複屈折板231の好ましい構造について、具体的に説明する。
本実施形態に係る複屈折板231は、図7に模式的に示したように、所定の素材からなる結晶で作られた複屈折フィルタ241と、調整用ガラス243と、フィルタ歯車245と、を有している。
複屈折フィルタ241は、例えば人工水晶等の公知の結晶を用いて形成されており、以下で詳述するような所定の厚みを有している。また、本実施形態に係る複屈折フィルタ241の材質は、特に限定されるものではなく、所望の複屈折性を示すものであれば、人工水晶や複屈折性を示すその他の結晶以外にも、公知のものを利用可能である。
本実施形態に係る複屈折フィルタ241では、複屈折フィルタ241に用いられる結晶の2つの結晶固有軸を基準として、複屈折フィルタ241の回転角(複屈折フィルタ241の方位角でもある。)γが規定されている。すなわち、複屈折フィルタ241に用いられる結晶のある一つの結晶固有軸を回転角γ=0°とし、もう一方の結晶固有軸を回転角γ=90°としている。また、複屈折フィルタ241による偏光間位相差は、方位角45°で最大となるため、回転角(方位角)γ=45°の位置が、複屈折板231の基準の位置となるように設計されており、回転角γ=45°の位置から左右均等となるように、複屈折フィルタが切り出されている。
また、本実施形態に係る複屈折板231では、複屈折フィルタ241と隣接するように、調整用ガラス243が設けられている。本実施形態に係る波長変換共振器20のメンテナンス(特に、レーザ光の入射角度のメンテナンス)等を行う場合や、パラメトリック発振が発生しなくなった等のイレギュラーな場合等には、光学系から複屈折フィルタを取り除いたうえで、波長変換共振器20の光路長や光軸の調整が行われることが多い。この際に、複屈折フィルタ241が存在せずに、例えば空気のみが存在する部分を設けてしまうと、これによって光路長が変化してしまうために、適切な光路長や光軸の調整を行うことが困難となる。そこで、本実施形態に係る複屈折板231では、複屈折フィルタ241と隣接するように調整用ガラス243を設けて、調整を容易なものとしている。
ここで、複屈折フィルタ241と調整用ガラス243とは、互いの表面が同一のレベルとなり、光の入射面が同一面となるように接触していることが好ましい。そのため、未図示の面合わせ用ガラスを利用するなどして、光の入射面が同一面となるように、精密に調整位置合わせが行われることが好ましい。
本実施形態に係る複屈折板231では、図7に模式的に示したように、複屈折フィルタ241は略扇形であることが好ましい。複屈折フィルタ241の形状を略扇形にして、フィルタ端面をフォトインターラプタ等で検出することで、複屈折フィルタ241の回転精度を更に向上させることができる。また、別途、センサードグ等を設けて、より簡便に複屈折フィルタ241の回転精度を向上させるようにしてもよい。
また、図6及び図7に模式的に示したように、本実施形態に係る複屈折板231は、光軸に合わせた仮想的な基準面を有している。本実施形態に係る複屈折板231は、かかる基準面を有することで、複屈折フィルタ241の挿入による損失(挿入損失)を最小化することが可能となる。なお、複屈折フィルタ241のフィルタ面に対して物理的に基準面を彫り込んだり、後述するフィルタ歯車245等に対して基準となる溝や基準線を刻印したりするようにして、エンコーダと併用することで、複屈折フィルタ241の回転精度を更に向上させることができる。
フィルタ歯車245は、複屈折フィルタ241及び調整用ガラス243を保持する保持部材であり、任意の位置に開口部が設けられている。本実施形態に係る複屈折板231は、かかる開口部に連結シャフト等が接続されて、必要に応じて1又は複数の歯車を介した上で、回転機構233と連結されている。
また、本実施形態に係る光源装置1では、後述するように、非線形光学結晶ユニット201における位相整合条件の調整と、複屈折フィルタ241における回転角(方位角)の調整及び共振器長の調整と、が連動するようになっている。そのため、例えば図8に示したように、複屈折フィルタユニット217と、共振器長の調整に用いられるシグナル光出力カプラ213及びサーボ機構215と、を同一の筺体を用いて一体化することが好ましい。これにより、波長の選択精度を更に向上させることが可能となり、また、経時変化に強くなるとともに、一体化ユニットの調整がより簡便になる。
図8では、複屈折フィルタユニット217を、シグナル光出力カプラ213及びサーボ機構215が一体化されたVCMミラー219と更に一体化させて、複屈折フィルタ−VCMミラー一体化ユニット221を形成した場合を図示している。
図8に示した例では、回転機構233の回転シャフト247は、連結部材249を介して複屈折板231と連結されている。また、複屈折フィルタユニット217及びVCMミラー219は、同一の筺体に未図示の固定部材により固定されている。更に、複屈折フィルタユニット217の上部にカバーを設けることで、ほこりや塵等の複屈折フィルタ241への堆積による出力低下を防止している。
以上、本実施形態に係る複屈折フィルタユニット217の構造について、詳細に説明した。
[複屈折フィルタによる波長制御方法の詳細]
○波長可変範囲について
続いて、本実施形態に係る光源装置1における複屈折フィルタによる波長制御方法について、詳細に説明する。
複屈折フィルタによって出力光に与えられる偏光間位相差(リタデーション)の値は、以下の式101及び式103に示す近似式で表わすことができる。ここで、下記式101及び式103において、以下の式105及び式107で表わす関係が満たされているものとする。
Figure 2017015931
ここで、上記式101〜式107において、
φ:偏光間位相差(リタデーション)
θ:複屈折フィルタの光学軸とビームの波面法線とのなす角
α:複屈折フィルタのあおり角(ほぼブリュースター角と等しい。)
α:ビームの内部角
γ:複屈折フィルタの回転角
L:複屈折フィルタの厚み
e:波面法線方向の単位ベクトル
c:結晶c軸方向の単位ベクトル
:異常光線屈折率
:常光線屈折率
である。
いま、上記式101で与えられる偏光間位相差が2πの整数倍になる条件は、以下の式109で表わすことができる。従って、透過率が100%となる周波数間隔(いわゆる、自由スペクトル間隔(Free Spectral Range:FSR))に相当する周波数幅は、以下の式111のようになる。なお、以下の式111において、λは、複屈折フィルムでのm次の透過波長であり、cは、光速である。
Figure 2017015931
より詳細な複屈折フィルタの波長透過特性や偏光特性は、光パラメトリック発振器の共振器の中での固有偏光状態を、ジョーンズ行列式を解くことによって求めることができる。いま、本実施形態で着目するような小さな共振器の中における実際のビーム径での特性とは別に、無限平面波を仮定して、複屈折フィルタの波長透過特性を公知の演算処理アプリケーションによってシミュレートした結果を、図9A及び図9Bに示す。
図9Aでは、パラメトリック利得が無限に大きい場合の波長透過特性を破線で示し、パラメトリック利得が共振器損失と同じである場合(gain:g=1)の波長透過特性を実線で示している。同様に、図9Bでは、パラメトリック利得が無限に大きい場合の波長透過特性を破線で示し、パラメトリック利得が、無限に大きい場合と共振器損失と同じである場合との中間に位置する場合(g=2)の波長透過特性を実線で示している。図9A及び図9B共に、横軸は、波長であり、縦軸は透過率である。
図9A及び図9B共に、透過率が1となっている波長が存在しているが、このような波長が、「偏光間位相差φが2πの整数倍となる」という条件を満たした波長である。また、透過率=1となっている透過ピーク間の距離が、上記式111で表わされる自由スペクトル間隔に対応している。
複屈折フィルタによる不要な波長の発振抑制の効果は、フィルタ特性が波長に対して急峻に変化する程強くなる。従って、不要な波長の発振抑制の効果は、損失特性とはトレードオフの関係にある。すなわち、複屈折フィルタの厚みが厚くなるほど不要な発振の抑制効果は高くなるが、複屈折フィルタの挿入損失は大きくなる。
上記のような知見をもとに、以下では、本実施形態に係る複屈折フィルタに求められる光学的な条件について、より詳細に説明する。
いま、ある複屈折フィルタをブリュースター角だけ傾けて共振器内に配置したとき、複屈折フィルタの回転に対する波長感度をSで表わし、複屈折フィルタの回転角γの範囲を、以下の式121で表わすものとする。ここで、波長感度Sは、複屈折フィルタの回転角γ=45°での周波数感度で定義するものとし、複屈折フィルタの回転角γは、図7で模式的に示したように、固有結晶軸を0°及び90°で定義した場合の回転角とする。
(45°−X)<γ<(45°+X)[単位:deg] ・・・(式121)
このとき、波長可変範囲fλ(最長波長と最短波長の周波数の差)が以下の式123の関係を満たす場合には、一つの次数mでの回転角範囲内で、波長変換が実現出来ない波長が生じるため、複屈折フィルタの次数の異なる透過ピーク(すなわち、次数m+1、又は、次数m−1の透過ピーク)を用いることとなる。
λ>2・S・X ・・・(式123)
上記のような場合、透過率ピークの周波数間隔、又は、自由スペクトル領域を表わす周波数幅fFSRが、以下の式125の関係を満たすように、複屈折フィルタの材質及び厚みを規定することが求められる。自由スペクトル間隔FSRが下記式125の範囲以上に開いてしまうと、次数mを変化させても実現出来ない波長が生じるからである。
2・S・X>fFSR ・・・(式125)
ここで、透過率ピークの周波数間隔又は自由スペクトル領域を表わす周波数幅fFSRは、以下の式127で表わされる。
Figure 2017015931
上記式127から明らかなように、周波数幅fFSRは、複屈折量(n−n)と、複屈折フィルタの厚みLにそれぞれ反比例する。従って、上記式127は、複屈折フィルタによる波長可変範囲に抜けがないようにするためには、所定の値以上の偏光間位相差が重要であることを意味している。
一方、複屈折フィルタの回転に対する波長感度Sは、複屈折フィルタの偏光間位相差には依らず、主として、平均屈折率、あるいは、ブリュースター角で決まり、以下の式129で記述することができる。ここで、以下の式129において、λは、複屈折フィルタの中心波長である。
Figure 2017015931
いま、具体例として、中心波長λ=900nmである人工水晶の場合を考えると、回転角γ=45°付近での波長感度Sの値は、2THz/deg(−5.5nm/deg)程度となる。可変としたい波長帯域が30THz程度(900nm付近で波長可変範囲100nm相当)であれば、求める波長可変範囲は、人工水晶を用いた複屈折フィルタを±10度程度回転させる範囲(すなわち、上記式121におけるX=10の場合)に収まる。
一方、波長可変範囲がより広くなる場合(例えば、波長可変範囲>250nm(80THz程度)である場合)には、複屈折フィルタに求められる回転範囲は、±25度以上(すなわち、上記式121におけるX=25以上)となる。ここで、複屈折フィルタの方位角を45度から30度以上ずらすと、フィルタとしての性能(すなわち、所望の波長以外の発振を抑制する効果)が低下するため、実用的には使用できなくなる。そのため、このような広い波長可変範囲に対応するためには、複屈折フィルタの次数mを変えることが重要となる。
先だって説明したように、複屈折フィルタによる損失が0となる透過波長は、複屈折フィルタの方位角を変化させて偏光間位相差を変化させることで調整可能である。いま、複屈折材料として、人工水晶を用い、厚みL=0.5mmとした場合の波長可変範囲を、図10に示した。図10では、上記のような条件の複屈折フィルタにおいて、次数m=4〜6の場合の波長可変範囲を示している。図10において、横軸は、複屈折フィルタの回転角γに対応し、縦軸は、選択される波長を示している。
例えば、1000nmの波長を選択したい場合、図10において、波長1000nmの位置から、横軸に平行に横線を引く。その上で、図中に示した曲線と引いた横線との交点で表わされる角度が何度であるかを特定する。波長1000nmの場合、引いた横線は、次数m=5の曲線と、次数m=4の曲線と、に交差し、次数m=5の曲線との交点における回転角は23度程度であり、次数m=4の曲線との交点における回転角は63度程度である。この結果は、複屈折フィルタの回転角を23度又は63度とすることで、波長1000nmの光を選択できることを示しており、回転角23度の場合には、次数m=5の透過ピークを利用しており、回転角63度の場合には、次数m=4の透過ピークを利用していることを示している。
従って、本実施形態に係る光源装置1では、図10に示したような複屈折フィルタの回転角と、波長と、の関係を、テーブル等のデータ形態でデータベースとして記憶しておくことが好ましい。ユーザ操作によりある波長が選択された場合に、制御部30は、ユーザによって指定された波長に基づきデータベースを参照することで、実現すべき複屈折フィルタの回転角を容易に特定することができる。
このような図10において、隣り合う曲線の間の距離が、自由スペクトル間隔ΔωFSR(換言すれば、fFSR)に対応している。従って、この間隔が広くなりすぎると、横軸に平行な直線を引いたとしても、次数mの曲線との交点が得られない範囲が発生してしまう。このような範囲は、波長変換できない帯域となってしまう。
本実施形態に係る光源装置1では、かかる光源の様々な用途への適用を考慮すると、周波数帯域換算で60THz以上の広い波長可変範囲を有していることが好ましく、80THz以上の広い波長可変範囲を有していることが更に好ましい。ここで、80THzの波長可変範囲は、850nm〜1100nmの範囲に相当する。
上記のような広い波長可変範囲を隙間なく連続的に確保するためには、複屈折フィルタが図10に示したような人工水晶である場合、複屈折フィルタの厚みLは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましい。
○複屈折フィルタ挿入損失について
本実施形態に係る光源装置1で着目しているような、1ps、好ましくは、サブピコ秒(500fs)程度のパルスを発生させるには、励起パルス光の波長帯域として、0.5THz〜1.0THz以上の周波数帯域が必要となる。この周波数帯域は、発振する出力光の中心波長を940nmとすると、波長幅1.3nm〜2.5nmに相当する。
単純な平面波を仮定して、厚みL=1mmにおける複屈折フィルタの波長透過特性を、パラメトリック利得が無限に大きい場合と、パラメトリック利得が共振器損失と同じである場合(g=1)の場合の2パターンについて、シミュレートした。得られた結果を図11に示した。図11において、破線が、パラメトリック利得が無限に大きい場合に対応しており、実線が、パラメトリック利得が共振器損失と同じである場合に対応している。
かかるシミュレーション結果によれば、複屈折フィルタの波長透過特性は、図11に示したように波長に対してほぼ2次関数となるため、複屈折フィルタの挿入損失は、ほぼ厚みの2乗に比例して増加することとなる。
しかしながら、実際の複屈折フィルタ(L=1mm)を本実施形態に係る光源装置1の共振器に組み込んだ場合の波長透過特性は、図12に示したように、2次関数とはならず、フラットな領域が広く存在していることがわかる。また、挿入損失についても、2次関数的というよりは、厚みに対して急峻に増加する結果が得られた。
このような結果が得られた理由について本発明者らが検討したところ、共振器内の有限なビームサイズ(本実施形態では、例えば、300μm程度)による角度広がりで説明できることが明らかとなった。すなわち、本実施形態に係る光源装置1の一例として着目する、共振器長30cm程度のコンパクトな光源装置では、複屈折フィルタの挿入位置において、ビームは、半角2mrad程度の角度広がりを持つ。ここで、このような広がりを有するビームが、厚みL=1mmの複屈折フィルタを透過すると、平面波成分と回折広がり(1/e)成分との間で、実効厚みに2μm程度の違いが生じる。実効厚みが異なれば、偏光間位相差もその分だけ変化するため、損失が0となる波長はシフトし、厚み誤差2μmで2nm程度の波長シフトとなる。すなわち、複屈折フィルタの特性は、回折広がりの波長オフセットの分だけ畳み込み積分されたものとなる。この厚み分のオフセットは、複屈折フィルタの厚みに比例するため、畳み込みすべき波長幅も厚みに比例し、ビームサイズ起因の損失効果は、厚みに比例する。従って、賞味の損失は、複屈折フィルタの厚みのおよそ3乗に比例する。
複屈折フィルタ(人工水晶)の厚みLを変えながら、1ps幅のパルスの帯域を複屈折フィルタに透過させた場合の挿入損失を測定したところ(ビームサイズ300μm)、図13に示したような結果が得られた。図13から明らかなように、厚みLが0.5mmを超えると急峻に挿入損失が増加することがわかる。特に、厚みが0.75mm超過となると、複屈折フィルタの挿入損失(内部損失)が1%超過となってしまう。そのため、1psというパルス幅を有し、数百μmという小さなビーム径に対しても、内部損失が1%以下となるためには、複屈折フィルタの厚みLは、0.75mm以下とすることが好ましいことがわかる。
以上のような結果から、複屈折フィルタとして人工水晶を使用する場合には、複屈折フィルタの厚みLは、0.3mm以上0.75mm以下であることが好ましいことがわかる。
○複屈折フィルタによる波長制御の実測例
波長405nm、パルス幅0.5psの青色光を励起光として使用した上で、非線形光学結晶としてm、LBO結晶を利用した光源装置を作製した。この際に、人工水晶からなる厚み0.5mmの複屈折フィルタを用いた図8に示したような複屈折フィルタ−VCMミラー一体化ユニット221を製作し、作製した光源装置に組み込んだ。
複屈折フィルタを光軸上に配置しない場合の光スペクトラムアナライザによる検出結果を、図14Aに示した。図14Aから明らかなように、複屈折フィルタを光軸上に配置しない場合には、波長約910nmの出力光と、波長約925nmの出力光という、2種類の出力光が発振していることがわかる。
一方、このような状態の光源装置において、本実施形態に係る複屈折フィルタを光軸上に挿入すると、図14Bに示したような検出結果が得られた。図14Bから明らかなように、波長約910nmの出力光は、発振が抑制されており、波長約925nmの出力光のみが出力されていることがわかる。
また、このような状態から複屈折フィルタの回転角を調整すると、図14Cに示したような検出結果が得られた。図14Cから明らかなように、複屈折フィルタの回転角を調整することで、波長約925nmの出力光の発振が抑制され、波長約910nmの出力光のみが出力されていることがわかる。
以上、図6〜図14Cを参照しながら、本実施形態に係る波長変換共振器20に設けられる複屈折フィルタユニット217の詳細な構成の一例について、詳細に説明した。
以上説明したように、本実施形態に係る光源装置1では、光パラメトリック発振の発振閾値をより低くできるため、励起光が低パワーであったとしても、高出力でのパラメトリック光の発振が可能となる。また、本実施形態に係る光源装置1では、複屈折フィルタの光学条件を適切に調整することで、波長可変範囲を広くした場合であっても、パラメトリック光の安定発振が可能となる。ここで、本実施形態に係る光源装置1では、共振器自体に一定の波長基準を持つこととなるため、波長を計測するための分光器が不要になるというメリットがある。
また、本実施形態に係る光源装置1では、上記のような特定の構造を有するユニットを利用することで、光学系や駆動機構をより小さくできるため、光源装置の小型化を実現することができる。更に、本実施形態に係る光源装置1では、発振ピークを抑圧することができるため、共振器ミラーのコーティングに対する要求性能を緩和させることができ、結果として、低コスト化を実現することができる。
<光源装置の制御方法について>
続いて、図15を参照しながら、本実施形態に係る光源装置1の制御方法の流れについて、簡単に説明する。図15は、本実施形態に係る光源装置の制御方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係る光源装置1の制御方法では、ユーザ操作によって、発振させる波長が入力されると(ステップS101)、制御部30によって、励起光ミラー209の位置を制御しているサーボ機構211のサーボ駆動電源がオフに制御される(ステップS103)。
その後、制御部30は、ユーザにより指定された波長に対応した共振器長を実現するために、まず、サーボ機構215の駆動制御を行って、シグナル光出力カプラ213の位置を移動させる(ステップS105)。このようなサーボ機構215の駆動制御は、例えば、波長と、シグナル光出力カプラ213の位置と、の関係を示したデータベースを予め作成しておき、かかるデータベースを参照することで、容易に行うことが可能である。
更に、制御部30は、駆動部40を介して、非線形光学結晶ユニット201を駆動制御して、ユーザにより指定された波長に応じた非線形光学結晶が共振器中の光軸上に位置するように、非線形光学結晶の選択を行う(ステップS107)。
このような非線形光学結晶の選択処理の詳細は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような選択処理を行うことが可能である。まず、選択した非線形光学結晶が光軸上に位置するように、例えばステッピングモータ等の駆動機構のステップ数が制御部30により算出される。その後、制御部30は、駆動部40であるステッピングモータ等の駆動機構を介して、非線形光学結晶ユニット201を、一旦、リミットスイッチ(初期化位置)まで移動させ、その後、算出したステップ数を駆動機構に出力することで、波長に応じた非線形光学結晶を所定の位置まで移動させる。なお、非線形光学結晶の切り替えをより高速に実現するために、リミットスイッチまで移動させるのではなく、差分ステップ数を算出してもよい。
以上のようにして、非線形光学結晶の選択が完了すると、制御部30は、駆動部40を介して、複屈折フィルタユニット217の複屈折フィルタ241を、所望の角度まで回転させる(ステップS109)。この際に、制御部30は、ユーザにより指定された波長に対応する複屈折フィルタ241の回転角を、記憶部等に格納されているデータベースを参照することで特定し、特定した回転角を、複屈折フィルタユニット217の回転機構233に出力する。
その後、制御部30は、励起光ミラー209の位置を制御しているサーボ機構211のサーボ駆動電源をオンに制御し(ステップS111)、ユーザにより指定された出力光の強度が最大となる最適位置まで、励起光ミラー209を移動させる(ステップS113)。このようなサーボ機構211の制御の詳細についても、特に限定されるものではなく、例えば、波長と、励起光ミラー209の位置と、の関係を示したデータベースを予め作成しておき、かかるデータベースを参照することで、行うことが可能である。また、一旦データベースに記載された位置まで励起光ミラー209を移動させた後は、光検出器PD2からの強度検出結果に基づくフィードバック制御を行うことで、出力光が最大となる最適位置の微調整を行うことができる。
以上のような制御が行われることで、本実施形態に係る光源装置1では、発振される光の波長が選択される。
なお、図15に示した例では、励起光ミラー209の位置を制御するに先立って、複屈折フィルタの回転角が制御されているが、このような手順で制御を行った場合には、複屈折フィルタの回転角を制御することで発振する光の波長を一意に決めることが出来るというメリットがある。また、本実施形態に係る光源装置1の制御方法において、各ユニットの制御の順序は、図15に示した例に限定されるものではなく、例えば、励起光ミラー209の位置を制御した後に、複屈折フィルタの回転角を制御するようにしてもよい。
以上、本実施形態に係る光源装置1の制御方法の流れについて、簡単に説明した。
(ハードウェア構成について)
次に、図16を参照しながら、本開示の実施形態に係る制御部30のハードウェア構成について、詳細に説明する。図16は、本開示の実施形態に係る制御部30のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
制御部30は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、制御部30は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、光源装置1内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、光源装置1の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。光源装置1のユーザは、この入力装置915を操作することにより、光源装置1に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、制御部30が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、制御部30が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置919は、制御部30の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種データなどを格納する。
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、制御部30に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
接続ポート923は、機器を制御部30に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、制御部30は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
以上、本開示の実施形態に係る制御部30の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、
前記光パラメトリック発振器を少なくとも制御する制御部と、
を備え、
前記光パラメトリック発振器は、
前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、
光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、
前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、
前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、
を有しており、
前記制御部は、前記回転機構を駆動させて前記複屈折フィルタの方位角を調整することで、前記出力光の波長を設定するとともに、前記出力光の出力強度が最大となるように、前記共振器の共振器長を制御する、光源装置。
(2)
前記制御部は、前記非線形光学結晶の位相整合条件の調整制御と、前記複屈折フィルタの方位角の調整制御及び前記共振器長の調整制御と、を連動させる、(1)に記載の光源装置。
(3)
前記共振器の内部では、光路上に設けられたダイクロイックミラーにより光路が分岐されることで、前記出力光のみが伝播する光路が設けられており、
前記複屈折フィルタは、前記出力光のみが伝播する光路に配設される、(1)又は(2)に記載の光源装置。
(4)
前記回転機構は、当該回転機構における回転軸と前記複屈折フィルタの表面法線方向とが互いに平行となるように設けられる、(1)〜(3)の何れか1つに記載の光源装置。
(5)
前記共振器における前記光路のもう一方の端部には、可動ミラーが設けられており、
前記励起光の光路の光路長と、前記出力光の光路の光路長とが、互いに独立に制御される、(1)〜(4)の何れか1つに記載の光源装置。
(6)
前記複屈折材料及び前記複屈折フィルタの厚みは、
前記複屈折フィルタの回転に対する波長感度をSと表わし、かつ、前記複屈折フィルタの回転角γの範囲が、(45°−X)<γ<(45°+X)[単位:deg]、である場合に、前記複屈折フィルタにおける全ての波長可変範囲において、透過率ピークの周波数間隔、又は、自由スペクトル領域に対応する周波数範囲fFSRが以下の式1を満足するように規定される、(1)〜(5)の何れか1つに記載の光源装置。

2・Sr・X>fFSR ・・・(式1)

ここで、波長感度Sは、前記複屈折フィルタにおける回転角45度での周波数感度で規定されており、前記複屈折フィルタの回転角γは、前記複屈折材料の2つの結晶固有軸をそれぞれ回転角0度及び90度とした場合の角度である。
(7)
前記波長可変範囲は、周波数帯域換算で、60THz以上である、(6)に記載の光源装置。
(8)
前記複屈折材料は、人工水晶であり、前記複屈折フィルタの厚みは、0.3mm以上0.75mm以下である、(6)に記載の光源装置。
(9)
前記複屈折フィルタと、前記出力光を共振させるための前記可動ミラーと、が一体化されている、(1)〜(8)の何れか1つに記載の光源装置。
(10)
前記複屈折フィルタの回転軸は、前記出力光が通過する位置からオフセットされている、(1)〜(9)の何れか1つに記載の光源装置。
(11)
前記複屈折フィルタには、前記出力光の入射面が前記複屈折フィルタと同一面となるように設けられ、かつ、前記複屈折フィルタと同じ面内で回転する透過ガラスが設けられている、(1)〜(10)の何れか1つに記載の光源装置。
(12)
前記制御部には、前記出力光の波長と、前記複屈折フィルタの回転角と、が互いに関連付けられたデータベースが予め設けられており、
前記制御部は、ユーザ操作により指定された前記出力光の波長に基づき前記データベースを参照することで、前記複屈折フィルタの回転角を特定する、(1)〜(11)の何れか1つに記載の光源装置。
(13)
前記光パラメトリック発振器は、前記出力光の強度を検出する光検出器を更に有しており、
前記制御部は、前記光検出器によって検出された前記出力光の強度に基づくフィードバック制御により、前記共振器の共振器長を制御する、(1)〜(12)の何れか1つに記載の光源装置。
(14)
前記制御部は、前記複屈折フィルタからウォブル信号を発生させて、当該ウォブル信号の差動出力に基づき、前記出力光の強度を最大化する、(1)〜(12)の何れか1つに記載の光源装置。
(15)
前記複屈折フィルタの鉛直方向上方には、カバー部が設けられる、(1)〜(14)の何れか1つに記載の光源装置。
(16)
前記光源ユニットは、半導体を用いたモードロックパルス同期レーザである、(1)〜(15)の何れか1つに記載の光源装置。
(17)
所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、を備え、前記光パラメトリック発振器は、前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、を有する光源装置において、制御部により前記出力光の波長を制御する際に、
前記出力光を共振させるための前記可動ミラーの位置を前記出力光の波長に応じた所定の位置に移動させることと、
前記出力光の波長に応じた前記非線形光学結晶の調整の終了後に、前記複屈折フィルタを所定の回転角となるように回転させることと、
前記共振器の共振器長を前記出力光の出力強度が最大となるように調整することと、
を含む、光源装置の制御方法。
1 光源装置
10 光源ユニット
20 波長変換共振器
30 制御部
40 駆動部
201 非線形光学結晶ユニット
217 複屈折フィルタユニット
231 複屈折板
241 複屈折フィルタ
243 調整用ガラス

Claims (17)

  1. 所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、
    前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、
    前記光パラメトリック発振器を少なくとも制御する制御部と、
    を備え、
    前記光パラメトリック発振器は、
    前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、
    光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、
    前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、
    前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、
    を有しており、
    前記制御部は、前記回転機構を駆動させて前記複屈折フィルタの方位角を調整することで、前記出力光の波長を設定するとともに、前記出力光の出力強度が最大となるように、前記共振器の共振器長を制御する、光源装置。
  2. 前記制御部は、前記非線形光学結晶の位相整合条件の調整制御と、前記複屈折フィルタの方位角の調整制御及び前記共振器長の調整制御と、を連動させる、請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記共振器の内部では、光路上に設けられたダイクロイックミラーにより光路が分岐されることで、前記出力光のみが伝播する光路が設けられており、
    前記複屈折フィルタは、前記出力光のみが伝播する光路に配設される、請求項1に記載の光源装置。
  4. 前記回転機構は、当該回転機構における回転軸と前記複屈折フィルタの表面法線方向とが互いに平行となるように設けられる、請求項1に記載の光源装置。
  5. 前記共振器における前記光路のもう一方の端部には、可動ミラーが設けられており、
    前記励起光の光路の光路長と、前記出力光の光路の光路長とが、互いに独立に制御される、請求項1に記載の光源装置。
  6. 前記複屈折材料及び前記複屈折フィルタの厚みは、
    前記複屈折フィルタの回転に対する波長感度をSと表わし、かつ、前記複屈折フィルタの回転角γの範囲が、(45°−X)<γ<(45°+X)[単位:deg]、である場合に、前記複屈折フィルタにおける全ての波長可変範囲において、透過率ピークの周波数間隔、又は、自由スペクトル領域に対応する周波数範囲fFSRが以下の式1を満足するように規定される、請求項1に記載の光源装置。

    2・Sr・X>fFSR ・・・(式1)

    ここで、波長感度Sは、前記複屈折フィルタにおける回転角45度での周波数感度で規定されており、前記複屈折フィルタの回転角γは、前記複屈折材料の2つの結晶固有軸をそれぞれ回転角0度及び90度とした場合の角度である。
  7. 前記波長可変範囲は、周波数帯域換算で、60THz以上である、請求項6に記載の光源装置。
  8. 前記複屈折材料は、人工水晶であり、前記複屈折フィルタの厚みは、0.3mm以上0.75mm以下である、請求項6に記載の光源装置。
  9. 前記複屈折フィルタと、前記出力光を共振させるための前記可動ミラーと、が一体化されている、請求項1に記載の光源装置。
  10. 前記複屈折フィルタの回転軸は、前記出力光が通過する位置からオフセットされている、請求項1に記載の光源装置。
  11. 前記複屈折フィルタには、前記出力光の入射面が前記複屈折フィルタと同一面となるように設けられ、かつ、前記複屈折フィルタと同じ面内で回転する透過ガラスが設けられている、請求項1に記載の光源装置。
  12. 前記制御部には、前記出力光の波長と、前記複屈折フィルタの回転角と、が互いに関連付けられたデータベースが予め設けられており、
    前記制御部は、ユーザ操作により指定された前記出力光の波長に基づき前記データベースを参照することで、前記複屈折フィルタの回転角を特定する、請求項1に記載の光源装置。
  13. 前記光パラメトリック発振器は、前記出力光の強度を検出する光検出器を更に有しており、
    前記制御部は、前記光検出器によって検出された前記出力光の強度に基づくフィードバック制御により、前記共振器の共振器長を制御する、請求項1に記載の光源装置。
  14. 前記制御部は、前記複屈折フィルタからウォブル信号を発生させて、当該ウォブル信号の差動出力に基づき、前記出力光の強度を最大化する、請求項1に記載の光源装置。
  15. 前記複屈折フィルタの鉛直方向上方には、カバー部が設けられる、請求項1に記載の光源装置。
  16. 前記光源ユニットは、半導体を用いたモードロックパルス同期レーザである、請求項1に記載の光源装置。
  17. 所定波長のパルス光を励起光として出射する光源ユニットと、前記光源ユニットから出射された前記励起光を利用して、当該励起光とは波長の異なる出力光を生成する光パラメトリック発振器と、を備え、前記光パラメトリック発振器は、前記出力光を生成する1又は複数の非線形光学結晶と、光路の少なくとも一方の端部に可動ミラーが設けられており、前記出力光を少なくとも共振させる共振器と、前記共振器の内部に、当該共振器内を進む光線に対してブリュースター角だけ傾けた上で配設された、複屈折材料からなる平板の複屈折フィルタと、前記複屈折フィルタの方位角が所望の角度となるように前記複屈折フィルタを回転させる回転機構と、を有する光源装置において、制御部により前記出力光の波長を制御する際に、
    前記出力光を共振させるための前記可動ミラーの位置を前記出力光の波長に応じた所定の位置に移動させることと、
    前記出力光の波長に応じた前記非線形光学結晶の調整の終了後に、前記複屈折フィルタを所定の回転角となるように回転させることと、
    前記共振器の共振器長を前記出力光の出力強度が最大となるように調整することと、
    を含む、光源装置の制御方法。
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