JP2017014704A - 床シート及び鉄道床構造体 - Google Patents

床シート及び鉄道床構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2017014704A
JP2017014704A JP2015129321A JP2015129321A JP2017014704A JP 2017014704 A JP2017014704 A JP 2017014704A JP 2015129321 A JP2015129321 A JP 2015129321A JP 2015129321 A JP2015129321 A JP 2015129321A JP 2017014704 A JP2017014704 A JP 2017014704A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
base layer
design
floor
floor sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015129321A
Other languages
English (en)
Inventor
武明 岡本
Takeaki Okamoto
武明 岡本
井上 貞夫
Sadao Inoue
貞夫 井上
正敏 甘中
Masatoshi Amanaka
正敏 甘中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP2015129321A priority Critical patent/JP2017014704A/ja
Publication of JP2017014704A publication Critical patent/JP2017014704A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Floor Finish (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】難燃性と意匠層の耐久性とに優れる床シートの提供を課題とする。
【解決手段】本発明の床シートは、床面に敷設され、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有するベース層と、このベース層の一方の面側の少なくとも一部に積層される意匠層と、上記ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に積層される透明の保護層と、上記ベース層及び意匠層の間に積層される接着剤層とを備え、上記保護層が、ポリ塩化ビニルを主成分とすることを特徴とする。上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有するとよい。上記接着剤層の平均厚さとしては、40μm以上150μm以下が好ましい。上記接着剤層が、ホットメルト接着剤により形成されるとよい。上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とするとよい。当該床シートは、鉄道車両の床面に敷設されるとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、床シート及び鉄道床構造体に関する。
鉄道、バス等の車両の床構造体は、床材の表面に床シートを積層することで形成される。この床シートとしては、硬さを適度なものに調整し、かつ耐摩耗性及び難燃性を向上する観点から、ポリ塩化ビニル又はゴムを主成分とするシートが用いられることが多い。
近年、床シートには、車椅子用スペース等の図形などの意匠の表示も要求されている。床シートに意匠を付与する方法としては、シートをポリ塩化ビニル又はゴムを主成分とするベース層と、このベース層の一方の面側に印刷等で積層される意匠層とを備える複層構造とする方法が考えられる。しかし、上記意匠層は、着色剤を含有するなど組成に一定の制限があるため、耐摩耗性やベース層との層間接着力を向上し難く、耐久性が不十分となり易い。
上記意匠層の耐久性を向上する方法として、ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に透明の保護層をさらに積層した床シートが提案されている(例えば特開2003−161030号公報参照)。しかし、上記床シートは、敷設後に人の歩行や物の載置によって保護層側から圧力を受けることで、保護層及び意匠層が含有する添加剤等の成分、特に意匠層が含有する着色剤等の成分がベース層に移行し、意匠層が色抜け等により変質するおそれがある。
特開2003−161030号公報
本発明は、これらの要求に鑑みてなされたものであり、難燃性と意匠層の耐久性とに優れる床シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、床面に敷設される床シートであって、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有するベース層と、このベース層の一方の面側の少なくとも一部に積層される意匠層と、上記ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に積層される透明の保護層と、上記ベース層及び意匠層の間に積層される接着剤層とを備え、上記保護層が、ポリ塩化ビニルを主成分とすることを特徴とする。
当該床シートは、保護層がポリ塩化ビニルを主成分とするため、難燃性に優れる。また、当該床シートは、意匠層が透明の保護層で被覆され、さらに意匠層及びベース層の間に積層される接着剤層が、意匠層の含有する添加剤等の成分のベース層への移行を阻害することで変質を抑制し、かつベース層及び意匠層の層間密着性を向上するため、意匠層の耐久性に優れる。
上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有するとよい。このように、上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有することで、ベース層がマトリックスとしてポリ塩化ビニル等のゴム以外の樹脂を含有する床シートと比較し、総厚が同じであっても燃焼時の発煙量を低減できる。
上記接着剤層の平均厚さとしては、40μm以上150μm以下が好ましい。このように、接着剤層の平均厚さが上記範囲であることで、意匠層が含有する成分のベース層への移行の阻害と、優れた難燃性及び緩衝性とをバランスよく発揮できる。
上記接着剤層が、ホットメルト接着剤により形成されるとよい。このように、接着剤層をホットメルト接着剤で形成することで、接着剤層の平均厚さや接着剤層が形成される位置を調整し易くなる。
上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とするとよい。このように、上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とすることで、意匠層が含有する添加剤等の成分のベース層への移行をより阻害し易くなる。
当該床シートは、上記ベース層の意匠層と反対側に積層される粘着剤層をさらに備えるとよい。このように、当該床シートがベース層の意匠層と反対側に積層される粘着剤層をさらに備えることで、容易かつ確実に床面に敷設できる。
当該床シートは、鉄道車両の床面に敷設されるとよい。当該床シートは、難燃性と意匠層の耐久性とに優れるため、鉄道車両の床面への敷設に好適に用いることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、鉄道車両の床材と、この床材の表面に積層される当該床シートとを備える鉄道床構造体である。
当該鉄道床構造体は、当該床シートが鉄道車両の床材の表面に積層されているため、難燃性と意匠層の耐久性とに優れる。
ここで「樹脂」とは、ゴムを含まない概念である。「透明」とは、無色透明及び有色透明のいずれでもよく、また半透明(例えばJIS−K7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に準拠して測定した全光線透過率が0%超80%以下)を含む概念である。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を指す。「平均厚さ」とは、JIS−K7130:1999「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に準拠して測定した値を意味する。具体的には、厚さ計を用いて等間隔の10箇所で測定した厚さの平均を意味する。
当該床シート及び当該鉄道床構造体は、難燃性と意匠層の耐久性とに優れる。
本発明の一実施形態の床シートを示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しつつ説明する。
図1に示す当該床シートは、床面に敷設して用い、ベース層1と、このベース層1の一方の面側に積層される意匠層2と、ベース層1及び意匠層2を含む積層体の意匠層2側に積層される透明の保護層3と、このベース層1及び意匠層2の間に積層される接着剤層4と、ベース層1の意匠層2と反対側に積層される粘着剤層5とを備える。以下、当該床シート及び各層の厚さ方向のうち、ベース層1に接着剤層4、意匠層2及び/又は保護層3が積層される側を「表面側(図1では上側)」、その反対側を「裏面側(図1では下側)」ということがある。なお、以下で例示する材料は、特に断りがない限り、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
当該床シートは、取り扱い性や緩衝性を向上する観点から、各層が適度な柔軟性及び弾性を有するとよい。
当該床シートの平面形状及びサイズとしては、特に限定されず、用途等に合わせて適宜変更可能である。当該床シートが鉄道車両の床面に敷設される場合、当該床シートの形状としては、長尺シート状であることが好ましい。この場合、当該床シートは長手方向に沿って芯材等に捲回された巻物状態で保管、運搬等されるとよい。
当該床シートが長尺シート状である場合、当該床シートの平均長さとしては、特に限定されないが、1枚の当該床シートで鉄道車両床面の長手方向の一端から他端までを敷設可能であることが好ましい。当該床シートの具体的な平均長さの下限としては、10mが好ましく、12mがより好ましく、14mがさらに好ましく、16mが特に好ましい。一方、当該床シートの平均長さの上限としては、28mが好ましく、26mがより好ましく、24mがさらに好ましく、22mが特に好ましい。
当該床シートが長尺シート状である場合、当該床シートの平均幅(短手方向の平均長さ)としては、特に限定されないが、複数枚(例えば2枚)の当該床シートで鉄道車両床面の短手方向の一端から他端までを被覆可能であることが好ましい。当該床シートの具体的な平均幅の下限としては、0.8mが好ましく、1mがより好ましく、1.2mがさらに好ましく、1.4mが特に好ましい。一方、当該床シートの平均幅の上限としては、2.2mが好ましく、2mがより好ましく、1.8mがさらに好ましく、1.6mが特に好ましい。
当該床シートの平均厚さの下限としては、1.6mmが好ましく、2mmがより好ましい。一方、当該床シートの平均厚さの上限としては、10.5mmが好ましく、5.0mmがより好ましく、3.0mmがさらに好ましい。当該床シートの平均厚さが上記下限より小さい場合、緩衝性、耐久性等が不十分となるおそれがある。逆に、当該床シートの平均厚さが上記上限を超える場合、取扱性が低下するおそれがある。
(ベース層)
ベース層1は、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有し、難燃性、緩衝性等の床シートに要求される特性を有する。ベース層1は、ゴムをマトリックスとして含有することが好ましい。ベース層1がゴムをマトリックスとして含有することで、上記マトリックスがポリ塩化ビニル等のゴム以外の樹脂である場合と比較し、当該床シートの燃焼時の発煙量を低減できる。ベース層1は、例えば後述するベース層形成用組成物により形成される。
ベース層1の平均厚さの下限としては、0.5mmが好ましく、1.5mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。一方、ベース層1の平均厚さの上限としては、10.0mmが好ましく、4.5mmがより好ましく、3.0mmがさらに好ましい。ベース層1の平均厚さが上記下限より小さい場合、当該床シートの耐久性、緩衝性等が低下するおそれがある。逆に、ベース層1の平均厚さが上記上限を超える場合、当該床シートの製造コスト増加のおそれや取扱性低下のおそれがある。
ベース層1のJIS−K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」に準拠して測定したタイプAデュロメータ硬さの下限としては、50が好ましく、70がより好ましく、85がより好ましい。一方、ベース層1の上記硬さの上限としては、95が好ましく、90がより好ましい。ベース層1の上記硬さが上記下限より小さい場合、当該床シートの耐久性が低下するおそれや歩き易さが低下するおそれがある。逆に、ベース層1の上記硬さが上記上限を超える場合、当該床シートの緩衝性が不十分となるおそれがある。
[ベース層形成用組成物]
ベース層形成用組成物は、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有する。ベース層形成用組成物は、通常無機系難燃剤、有機系難燃剤及び/又は充填材を含有する。
ベース層形成用樹脂組成物が含有する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられ、これらの中でポリ塩化ビニルが好ましい。なお、上記樹脂は、架橋構造が形成されていてもよい。
ポリ塩化ビニルとは、塩化ビニルをモノマーとするポリマーである。但し、ポリ塩化ビニルは、エチレン、酢酸ビニル等の他のモノマーと塩化ビニルとの共重合体であってもよい。ポリ塩化ビニルの全構造単位に対する塩化ビニルに由来する構造単位の割合の下限としては、60モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、95モル%がさらに好ましい。また、ポリ塩化ビニルの全構造単位に対する塩化ビニルに由来する構造単位の割合としては100モル%が特に好ましい。
ベース層形成用組成物がマトリックスとして含有するゴムとしては、例えば天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の汎用ゴムが挙げられ、これらの中で、加工性及び製造コストの観点から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。なお、上記ゴムは、加硫されていてもよく、加硫されていなくてもよい。
上記スチレン−ブタジエンゴムにおけるスチレンのブタジエンに対する質量比率(スチレン/ブタジエン)としては、特に限定されないが、例えば23.5以上46以下である。上記質量比率を上記範囲とすることで、通常のゴム加工設備でもベース層1を容易かつ確実に成形できる。
ベース層形成用組成物における上記樹脂又はゴムの含有量の下限としては、15質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。一方、上記樹脂又はゴムの含有量の上限としては、70質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。上記樹脂又はゴムの含有量が上記下限より小さい場合、ベース層1の成形が困難となるおそれがある。逆に、上記樹脂又はゴムの含有量が上記上限を超える場合、難燃剤、充填材等の添加剤の含有量が不十分となり、当該床シートの難燃性等が不十分となるおそれがある。
ベース層形成用組成物が含有する無機系難燃剤としては、特に限定されないが、当該床シートの発煙量低減や難燃性向上の観点から、水酸化アルミニウム及び三酸化アンチモンが好ましい。
ベース層形成用組成物が水酸化アルミニウムを含有する場合、ベース層形成用組成物における水酸化アルミニウムの含有量の下限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、70質量部が好ましく、75質量部がより好ましく、78質量部がさらに好ましい。一方、水酸化アルミニウムの含有量の上限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、88質量部が好ましく、85質量部がより好ましく、82質量部がさらに好ましい。水酸化アルミニウムの含有量が上記下限より小さい場合、当該床シートの発煙量が増加するおそれや難燃性が低下するおそれがある。逆に、水酸化アルミニウムの含有量が上記上限を超える場合、ベース層1が剛直となり当該床シートの緩衝性が低下するおそれがある。
ベース層形成用組成物が三酸化アンチモンを含有する場合、ベース層形成用組成物における三酸化アンチモンの含有量の下限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、2質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましい。一方、三酸化アンチモンの含有量の上限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、8質量部が好ましく、7質量部がより好ましく、6質量部がさらに好しい。三酸化アンチモンの含有量が上記下限未満である場合、当該床シートの難燃性が低下するおそれがある。逆に、三酸化アンチモンの含有量が上記上限を超える場合、ベース層1が剛直となり当該床シートの緩衝性が低下するおそれがある。
ベース層形成用組成物が含有する有機系難燃剤としては、特に限定されないが、塩素化パラフィンが好ましい。ベース層形成用組成物が塩素化パラフィンを含有する場合、ベース層形成用組成物における塩素化パラフィンの含有量の下限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、1.5質量部がさらに好ましい。一方、塩素化パラフィンの含有量の上限としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、9質量部がさらに好ましい。塩素化パラフィンの含有量が上記下限より小さい場合、当該床シートの難燃性低下のおそれがある。逆に、塩素化パラフィンの含有量が上記上限を超える場合、当該床シートの燃焼時に有害なガスが生じ易くなるおそれがある。
塩素化パラフィンの炭素数としては、特に限定されないが、例えば12以上26以下である。また、塩素化パラフィンの分子量における塩素原子の総原子量の割合(塩素化率)としては、特に限定されないが、難燃性向上の観点から、40%以上70%以下が好ましい。
ベース層形成用組成物が含有する充填材としては、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。ベース層形成用組成物におけるクレーの含有量としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、例えば80質量部以上150質量部以下である。また、ベース層形成用組成物における炭酸カルシウムの含有量としては、樹脂又はゴム100質量部に対して、例えば25質量部以上60質量部以下である。
ベース層形成用組成物が加硫されていないゴムを含有する場合、ベース層形成用組成物はこのゴムの加硫のために硫黄及び加硫促進剤をさらに含有することが好ましい。この場合、ベース層形成用組成物における硫黄の含有量としては、ゴム100質量部に対して、例えば2質量部以上10質量部以下である。また、ベース層形成用組成物における加硫促進剤の含有量としては、ゴム100質量部に対して、例えば0.5質量部以上5質量部以下である。
ベース層形成用組成物は、上記成分以外に、例えば老化防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、ジエチレングリコール、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化チタン等の他の任意成分をさらに含有してもよい。ベース層形成用組成物における上記他の任意成分の含有量としては、特に限定されないが、例えば樹脂又はゴム100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下である。
[意匠層]
意匠層2は、意匠の付与された層である。意匠層2としては、接着剤層4の表面側又は保護層3の裏面側に印刷により積層された層でもよく、表面側から視認できる意匠が付与された樹脂フィルム(以下、「意匠付き樹脂フィルム」ともいう)でもよい。意匠層2に付与される意匠としては、特に限定されず用途等に合わせて適宜変更可能であるが、例えば車椅子スペース、非常口の位置等を示すピクトグラムなどの図形、各種案内用文字、模様、写真などが挙げられる。また、意匠層2に付与される意匠としては、単色でもよく、多色でもよい。意匠層2の平均厚さとしては、特に限定されないが、例えば1μm以上500μm以下である。
意匠層2は、意匠の付与のため、通常着色剤を含有する。意匠層2の含有する着色剤としては、特に限定されないが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、カドミウムレッド、黄鉛、チタンイエロー、コバルトブルー、群青等の無機着色剤、アニリンブラック、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機着色剤、アルミニウム、真鍮、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片により形成される光輝性着色剤などが挙げられる。
意匠層2が接着剤層4の表面側又は保護層3の裏面側に印刷により積層された層である場合、上記印刷に用いるインクとしては、接着剤層4及び保護層3との親和性向上の観点から、樹脂、溶媒及び着色剤を含有する樹脂系インクが好ましい。つまり、意匠層2は、樹脂系インクにより形成されることが好ましい。上記樹脂系インクが含有する樹脂としては、接着剤層4や保護層3との親和性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はこれらの共重合体等である。
意匠層2は、上述した成分以外に、他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、例えば可塑剤、酸化防止剤、難燃剤等の添加剤などが挙げられる。上記難燃剤としては、例えばベース層1で例示した無機系難燃剤、有機系難燃剤等が挙げられる。意匠層2が上記他の成分を含有する場合、意匠層2における上記他の成分の含有量としては、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
当該床シートは、ベース層1及び意匠層2の間に接着剤層4が積層されていることで、意匠層2における着色剤、添加剤等の成分の含有量を増加させても、接着剤層4が上記成分のベース層1への移行を阻害するので、意匠層2の脱色や接着剤層4及びベース層1の硬化等を抑制できる。そのため、意匠層2の可塑性や、付与された意匠の鮮明さ等の意匠層2に要求される特性を容易に向上できる。
なお、意匠層2の裏面には、銀塗工等により形成される図示しない目止め層が積層されていてもよい。このように、意匠層2の裏面に目止め層が積層されていることで、意匠層2における着色剤、添加剤等の成分の含有量を増加させても、目止め層が上記成分の接着剤層4及びベース層1への移行を阻害するので、上述の意匠層2に要求される特性をより容易に向上できる。
[保護層]
保護層3は、ポリ塩化ビニルを主成分とする耐摩耗性及び難燃性に優れる透明の層であり、当該床シートの難燃性と意匠層2の耐久性とを向上する。ポリ塩化ビニルとしては、ベース層1で例示したものと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
保護層3の平均厚さの下限としては、0.08mmが好ましく、0.15mmがより好ましく、0.18mmがさらに好ましい。一方、保護層3の平均厚さの上限としては、0.60mmが好ましく、0.50mmがより好ましく、0.40mmがさらに好ましく、0.25mmが特に好ましい。また、保護層3の平均厚さとしては、0.18mm以上0.25mm以下が特に好ましい。保護層3の平均厚さが上記下限よりも小さい場合、意匠層2の耐久性の低下のおそれや、当該床シートの難燃性の低下のおそれがある。逆に、保護層3の平均厚さが上記上限を超える場合、当該床シートの燃焼時に発煙量が増加するおそれがある。
保護層3におけるポリ塩化ビニルの含有量の下限としては、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。一方、保護層3におけるポリ塩化ビニルの含有量の上限としては、99質量%が好ましく、95質量部がより好ましい。保護層3におけるポリ塩化ビニルの含有量が上記下限より小さい場合、当該床シートの難燃性と意匠層2の耐久性とが低下するおそれがある。逆に、保護層3におけるポリ塩化ビニルの含有量が上記上限を超える場合、後述する他の成分の含有量が小さくなるため、保護層3に所望の特性を付与できないおそれがある。但し、保護層3におけるポリ塩化ビニルの含有量は、100質量%であってもよい。
保護層3は、透明性、耐摩耗性、難燃性等を損なわない範囲で他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、例えば可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤等の添加剤、他の樹脂などが挙げられる。上記難燃剤としては、例えばベース層1で例示した無機系難燃剤、有機系難燃剤等が挙げられる。保護層3が上記他の成分を含有する場合、保護層3における上記他の成分の含有量としては、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、例えば1質量部以上20質量部以下である。
[接着剤層]
接着剤層4は、接着剤により形成される層であり、ベース層1及び意匠層2の間に積層され、意匠層2が含有する成分のベース層1への移行を阻害する。また、接着剤層4は、ベース層1及び意匠層2の層間接着力も向上する。接着剤層4を形成する接着剤としては、特に限定されないが、例えば光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、2液混合型接着剤等の反応系接着剤、ホットメルト接着剤、溶剤型接着剤、水分散系接着剤等が挙げられ、これらの中で接着剤層4の平均厚さや接着剤層4が形成される位置を調整し易くする観点から、ホットメルト接着剤が好ましく、シート状のホットメルト接着剤がより好ましい。
接着剤層4の平均厚さの下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。一方、接着剤層4の平均厚さの上限としては、150μmが好ましく、120μmがより好ましく、80μmがさらに好ましい。接着剤層4の平均厚さが上記下限より小さい場合、意匠層2が含有する成分のベース層1への移行の阻害が不十分となるおそれがある。逆に、接着剤層4の平均厚さが上記上限を超える場合、当該床シートの難燃性、緩衝性等が低下するおそれがある。
上記ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とする。上記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、これらの中で、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの組み合わせが好ましい。なお、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率としては、例えば20質量%以上40質量%以下である。また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体であってもよい。上記変性エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物や、無水マレイン酸等のカルボン酸、塩化ビニル、スチレンなどのグラフトにより変性したエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中でエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物が好ましい。
上記熱可塑性樹脂の分子量の下限としては、5,000が好ましく、10,000がより好ましく、20,000がさらに好ましい。一方、上記熱可塑性樹脂の分子量の上限としては、100,000が好ましく、50,000がより好ましく、40,000がさらに好ましい。上記熱可塑性樹脂の分子量が上記下限より小さい場合、接着剤層4の強度が低下するおそれや、意匠層2の含有する成分のベース層1への移行の阻害が不十分となるおそれがある。逆に、上記熱可塑性樹脂の分子量が上記上限を超える場合、上記熱可塑性樹脂の融点やMFRが上昇しすぎることで接着剤層4の接着性等が低下するおそれがある。ここで「分子量」とは、JIS−K7252−1:2008年「プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方−第1部:通則」に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される数平均分子量を指す。
上記熱可塑性樹脂のガラス転移点としては、例えば−10℃以上20℃以下である。ここで「ガラス転移点」とは、JIS−K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定した中間点ガラス転移温度をいう。
上記熱可塑性樹脂の密度の下限としては、0.9g/cmが好ましく、1.1g/cmがより好ましく、1.25g/cmがさらに好ましい。一方、上記熱可塑性樹脂の密度の上限としては、1.4g/cmが好ましく、1.3g/cmがより好ましい。上記熱可塑性樹脂の密度が上記下限より小さい場合、接着剤層4の強度が低下するおそれや、意匠層2の含有する成分のベース層1への移行の阻害が不十分となるおそれがある。逆に、上記熱可塑性樹脂の密度が上記上限を超える場合、接着剤層4の柔軟性が低下するおそれがある。ここで「密度」とは、JIS−K7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して測定した値をいう。
上記熱可塑性樹脂の融点の下限としては、80℃が好ましく、100℃がより好ましい。一方、上記熱可塑性樹脂の融点の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。上記熱可塑性樹脂の融点が上記下限より小さい場合、接着剤層4の強度が低下するおそれがある。逆に、上記熱可塑性樹脂の融点が上記上限を超える場合、接着時に他層の劣化等が生じるおそれがある。ここで「融点」とは、JIS−K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点ピーク温度を指す。
上記熱可塑性樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)の下限としては、5g/10分がより好ましく、10g/10分がさらに好ましく、15g/10分がさらに好ましい。一方、上記MFRの上限としては、25g/10分が好ましく、18g/10分がより好ましい。上記MFRが上記下限より小さい場合、接着剤層4の強度が低下するおそれがある。逆に、上記MFRが上記上限を超える場合、ベース層1及び意匠層2の層間接着力が低下するおそれがある。ここで「MFR」とは、JIS−K7210−1:2014「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の求め方−第1部:標準的試験方法」に準拠して測定した値をいう。
上記ホットメルト接着剤における上記熱可塑性樹脂の含有量の下限としては、60質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限より小さい場合、ベース層1及び意匠層2の層間接着力が不十分となるおそれや、意匠層2が含有する成分のベース層1への移行の阻害が不十分となるおそれがある。
上記ホットメルト接着剤は、難燃剤、硬化剤、可塑剤、酸化防止剤、補強剤、充填材、消泡剤、界面活性剤等の他の任意成分をさらに含有してもよい。上記難燃剤としては、例えばベース層1で例示した無機系難燃剤、有機系難燃剤等が挙げられる。上記ホットメルト接着剤における上記他の成分の含有量としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば1質量部以上10質量部以下である。
[粘着剤層]
粘着剤層5は、ベース層1の裏面側に積層される。この粘着剤層5を形成する粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤が挙げられる。
アクリル系粘着剤とは、アクリル樹脂を主成分とする粘着剤である。上記アクリル樹脂は、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルを常法によりビニル重合することで得られる。また、上記アクリル樹脂は、光学特性、耐熱性等の向上の観点から、改質用モノマーとの共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する。上記アルキル基の炭素数の下限としては、通常1であり、4が好ましい。一方、上記アルキル基の炭素数の上限としては、例えば18であり、12が好ましい。具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
上記アクリル系粘着剤には、イソシアネート系硬化剤等の硬化剤、可塑剤、酸化防止剤、補強剤、充填材、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。
アクリル系粘着剤に硬化剤を添加する場合、上記硬化剤の添加量の下限としては、アクリル系粘着剤100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、1.3質量部がさらに好ましい。一方、上記硬化剤の添加量の上限としては、アクリル系粘着剤100質量部に対して、5質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。硬化剤の添加量が上記下限より小さい場合、粘着剤層5に適度な弾性を与えることが困難となるおそれがある。逆に、硬化剤の添加量が上記上限を超える場合、粘着剤層5の粘着力が不十分となるおそれがある。
粘着剤層5の平均厚さの下限としては、50μmが好ましく、60μmがより好ましく、70μmがさらに好ましく、80μmが特に好ましく、90μmがさらに特に好ましい。一方、粘着剤層5の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、400μmがより好ましく、300μmがさらに好ましく、200μmが特に好ましく、160μmがさらに特に好ましい。粘着剤層5の平均厚さが上記下限より小さい場合、当該床シートの床面への敷設時の粘着力が不十分となるおそれがある。逆に、粘着剤層5の平均厚さが上記上限を超える場合、当該床シートの製造コストの増加のおそれや取扱性低下のおそれがある。
(用途)
当該床シートは、駅、住居、オフィス等の建造物やバス、鉄道等の車両などの床面に敷設して用いる。当該床シートの用途としては、優れた難燃性及び意匠性を発揮させる観点から、鉄道車両の床面への敷設に好適に用いることができる。
<床シートの製造方法>
当該床シートの製造方法としては、例えばベース層を用意する工程(ベース層用意工程)と、透明の保護層を用意する工程(保護層用意工程)と、ベース層、接着剤層、意匠層及び保護層がこの順に積層された積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、上記積層体を加熱加圧する工程(加熱加圧工程)と、加熱加圧工程後、上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する工程(粘着剤層積層工程)とを備える方法等が挙げられる。
(ベース層用意工程)
本工程では、ベース層を用意する。ベース層を用意する方法としては、例えば上述したベース層形成用組成物をオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて混練し、カレンダーロール等を用いた圧延加工によってシート状に成形する方法が挙げられる。なお、ベース層形成用組成物が加硫されていないゴムを含有する場合、シート状に加工した後、連続加硫機(ロードプレス)等を用いて加硫加工するとよい。上記加硫加工の条件としては、例えば温度を140℃以上200℃以下、時間を5分以上30分以下とできる。
(保護層用意工程)
本工程では、保護層を用意する。保護層を用意する方法としては、特に限定されず、例えばポリ塩化ビニル及び任意成分を含有する組成物をベース層で例示した方法によってシート状に成形する方法等が挙げられる。また、市販のポリ塩化ビニルシートを用いてもよい。
(積層体形成工程)
本工程では、ベース層、接着剤層、意匠層及び保護層がこの順に積層された積層体(以下、「第1積層体」ともいう)を形成する。第1積層体を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば後述する第1の方法、第2の方法、第3の方法、第4の方法等が挙げられる。以下、各方法について説明する。
第1の方法では、ベース層と、接着剤層としてのシート状のホットメルト接着剤と、意匠層としての意匠付き樹脂フィルムと、保護層とをこの順に重畳することで第1積層体を形成する。また、第1の方法では、接着剤層及び意匠層をベース層に重畳する方法として、シート状のホットメルト接着剤に印刷によって意匠層を積層し、得られた接着剤層及び意匠層を含む積層体の接着剤層側をベース層の表面側に重畳する方法を用いてもよい。さらに、第1の方法では、意匠層及び保護層を接着剤層に重畳する方法として、保護層の裏面側に印刷によって意匠層を積層し、得られた意匠層及び保護層を含む積層体の意匠層側を接着剤層(シート状のホットメルト接着剤)の表面側に重畳する方法を用いてもよい。
第2の方法では、ベース層の表面側に液状の接着剤の塗布によって接着剤層を積層し、得られたベース層及び接着剤層を含む積層体の接着剤層側に意匠層としての意匠付き樹脂フィルムと保護層とをこの順に重畳することで第1積層体を形成する。また、第2の方法では、ベース層及び接着剤層を含む積層体に意匠層と保護層とを重畳する方法として、保護層の裏面側に印刷によって意匠層を積層し、得られた意匠層及び保護層を含む積層体の意匠層側をベース層及び接着剤層を含む積層体の接着剤層側に重畳する方法を用いてもよい。
第3の方法では、まず意匠層としての意匠付き樹脂フィルムの裏面側に液状の接着剤の塗布によって接着剤層を形成する。次に、得られた接着剤層及び意匠層を含む積層体の接着剤層側をベース層の表面側に重畳し、得られたベース層、接着剤層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に保護層の裏面側を重畳することで第1積層体を形成する。
第4の方法では、まず保護層の裏面側に印刷によって意匠層を積層し、この保護層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に液状の接着剤を塗布することで接着剤層を積層する。次に、ベース層の表面側に保護層、意匠層及び接着剤層を含む積層体の接着剤層側を重畳することで第1積層体を形成する。
なお、第1〜第3の方法で意匠層として意匠付き樹脂フィルムを用いる場合、意匠層及び保護層の層間接着力向上の観点から、意匠付き樹脂フィルム及び保護層の間にシート状のホットメルト接着剤をさらに積層してもよく、予め意匠付き樹脂フィルムの表面側及び/又は保護層の裏面側に接着剤を塗布しておいてもよい。
また、各層の層間接着力を向上する観点から、本工程の前に、保護層、シート状のホットメルト接着剤、意匠付き樹脂フィルム、及び/又は保護層を有機溶媒、水性エマルジョン等を用いて脱脂洗浄することが好ましい。
意匠層を印刷により積層する場合、印刷方法としては、例えばグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等が挙げられ、これらの中でグラビア印刷及びスクリーン印刷が好ましい。また、本工程では、複数の印刷方法を組み合わせて用いてもよい。
(加熱加圧工程)
本工程では、上記積層体を加熱加圧する。上記加熱加圧の条件としては、例えば温度は100℃以上170℃以下、時間は30秒以上500秒以下、圧力は0.5N/cm以上20N/cm以下である。
(粘着剤層積層工程)
本工程では、上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する。上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができる。
<鉄道床構造体>
当該鉄道床構造体は、鉄道車両の床材と、この床材の表面に積層される当該床シートと
を備える。
上記鉄道車両の床材としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができ、例えばステンレス鋼材、ウレタン系下地材、エポキシ系下地材等によって構成されるものが挙げられる。
<鉄道床構造体の製造方法>
当該鉄道床構造体の製造方法としては、例えば当該床シートを裏面側が鉄道車両の床材の表面と対向するように積層する工程を備える方法等が挙げられる。当該床シートが粘着剤層を備えない場合、上記積層する工程の前に、当該床シートの裏面側及び/又は上記鉄道車両の床材の表面側に接着剤又は粘着剤を塗布する工程をさらに備えるとよい。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
当該床シートにおいて、粘着剤層は任意構成である。そのため、当該床シートの製造工程においては、粘着剤層形成工程は任意工程である。
また、意匠層は、ベース層の表面側の全面に積層されていてもよく、ベース層の表面側の一部にのみ積層されていてもよい。意匠層がベース層の表面側の一部にのみ積層されている場合、保護層は、ベース層及び意匠層を含む積層体の表面側のうち、意匠層が積層されている領域にのみ積層されていてもよく、意匠層が積層されていない領域の一部又は全面にさらに積層されていてもよい。接着剤層は、ベース層の表面側のうち、意匠層が積層されている領域にのみ積層されていてもよく、意匠層が積層されていない領域の一部又は全面にさらに積層されていてもよい。但し、接着剤層は、ベース層の表面側のうち、保護層が積層されていない領域には通常積層されない。接着剤層がベース層の表面側のうち、意匠層が積層されていない領域にさらに積層されている場合、この接着剤層は、ベース層及び保護層の密着性向上にも寄与する。
当該床シートは、さらに他の層を備えていてもよい。上記他の層としては、例えば保護層の表面側に積層されるトップコート層、接着剤層の表面側及び/又は裏面側に積層されるプライマー層、粘着剤層の裏面側に積層される離型シート等が挙げられる。また、当該床シートは、意匠層及び保護層の間に積層される接着剤層をさらに備えてもよい。この場合、意匠層は、上記接着剤層の裏面側に印刷により積層された層であってもよい。また、上記接着剤層は、意匠層及び保護層の間にのみ積層されていてもよく、保護層の裏面側のうち、意匠層が積層されていない領域の一部又は全面にさらに積層されていてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[ベース層の製造]
まず、所定配合の組成物をバンバリーミキサー及びオープンロールを用いて混練り加工し、次に、カレンダーロールによって圧延加工を行いシート状の長尺物を得て、連続加硫機(ロートプレス)によって加硫加工(160℃、10分)し、これにより床シートに用いるベース層(平均厚さ2.3mm)を製造した。
上記所定配合は、以下の通りである。
未加硫ゴム:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)(JSR社の「JSR1502」)90質量部
未加硫ゴム:ハイスチレンゴム(JSR社の「JSR0061」)10質量部
充填材:クレー(R.T.Vanderbilt社の「Dixie Clay」)125質量部
充填材:炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社の「重炭」)50質量部
無機系難燃剤:水酸化アルミニウム(昭和電工社の「ハイジライトH−42M」)80質量部
無機系難燃剤:三酸化アンチモン(鈴裕化学社の「ファイアカット AT3」)5質量部
有機系難燃剤:塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ社の「エンパラ70F」)8質量部
老化防止剤(大内新興化学社の「ノクラック224」)4質量部
粘着付与剤(脂肪族系炭化水素樹脂、日本ゼオン社の「クイントンA−100」)5質量部
ジエチレングリコール(三菱化学社の「ジエチレングリコール」)3質量部
シランカップリング剤(デグサジャパン社の「Si−69」)1質量部
酸化亜鉛(ハクスイテック社の「酸化亜鉛3種G」)5質量部
ステアリン酸(日本油脂社の「ビーズステアリン酸椿」)2質量部
硫黄(細川化学工業社の「オイル硫黄」)6質量部
加硫促進剤(大内新興化学社の「ノクセラー NS−P」)1.5質量部
[試験例1の床シートの製造]
保護層としての平均厚さ0.2mmのポリ塩化ビニル(PVC)のフィルム(バンドー化学社の「CL54620」)を上記ベース層に載置し、加熱加圧(120℃、300秒間、10N/cm)することで試験例1の床シートを製造した。
[試験例2の床シートの製造]
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.2mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のフィルム(東ソー・ニッケミ社の「ウルトラセン」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例2の床シートを製造した。
[試験例3の床シートの製造]
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.2mmのアセテートのフィルム(合樹産業社の「TACフィルム」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例3の床シートを製造した。
[試験例4の床シートの製造]
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.10mmの熱可塑性エラストマーのフィルム(JSR社の「RBシート」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例4の床シートを製造した。
[試験例5の床シートの製造]
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりにワックス(スイショウ油化工業社の「ラスター」)を平均厚さ0.03mmとなるように塗布することで保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例5の床シートを製造した。
<耐摩耗性の評価>
JIS−K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に準拠したテーバー摩耗試験によって試験例1〜5の床シートの耐摩耗性を評価した。試験条件は、荷重9.8N、回転速度60回/分、摩耗輪CS−H22、回転数1,000回とした。耐摩耗性は、試験後に保護層が残存してベース層が露出していない場合を「良好(A)」、保護層が摩耗してベース層が露出していた場合を「良好ではない(B)」と評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2017014704
<難燃性の評価>
一般社団法人「日本鉄道車両機械技術協会」が実施する燃焼試験(鉄道車両用非金属材料)に準拠して試験例1〜3の床シートの難燃性を評価した。具体的には、まず、各床シートをB5判(182mm×257mm)に切断したものを試験片とし、この試験片の長手方向が水平面に対して45°傾斜し、表面側が下方となる状態で保持した。次に、直径17.5mm、深さ7.1mm、厚さ0.8mmの円柱状の鉄製の燃料容器に純エチルアルコールを0.5cc入れた。この燃料容器をコルクの台に載せ、燃料容器の底面の中央が試験片の表面側(燃焼面)の中央の垂直下方25.4mmに位置するよう配設した。その後、燃料容器の純エチルアルコールに着火して燃え尽きるまで放置し、燃焼中及び燃焼後に観察し、本燃焼試験の燃焼性規格の基準によって、燃焼性が低い順に不燃性、極難燃性、難燃性、緩燃性又は可燃性に区分した。なお、試験室内は、雰囲気温度15℃以上30℃以下、雰囲気湿度60%以上75%以下で空気の流動がない状態に維持した。各試験片の難燃性は、上述の燃焼性規格によって不燃性、極難燃性又は難燃性に区分される場合を「良好(A)」、緩燃性又は可燃性に区分される場合を「良好ではない(B)」と評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2017014704
表1及び表2から明らかなように、試験例1の床シートは、耐摩耗性及び難燃性がいずれも良好であった。このことから、当該床シートは、保護層の主成分がポリ塩化ビニルであることで、難燃性と意匠層の耐久性とに優れると判断される。一方、試験例2〜5の床シートは、耐摩耗性及び難燃性の少なくとも一方が良好でなかった。
当該床シート及び当該鉄道床構造体は、難燃性と意匠層の耐久性とに優れる。
1 ベース層
2 意匠層
3 保護層
4 接着剤層
5 粘着剤層

Claims (8)

  1. 床面に敷設される床シートであって、
    樹脂又はゴムをマトリックスとして含有するベース層と、このベース層の一方の面側の少なくとも一部に積層される意匠層と、上記ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に積層される透明の保護層と、上記ベース層及び意匠層の間に積層される接着剤層とを備え、
    上記保護層が、ポリ塩化ビニルを主成分とすることを特徴とする床シート。
  2. 上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有する請求項1に記載の床シート。
  3. 上記接着剤層の平均厚さが40μm以上150μm以下である請求項1又は請求項2に記載の床シート。
  4. 上記接着剤層が、ホットメルト接着剤により形成される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の床シート。
  5. 上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とする請求項4に記載の床シート。
  6. 上記ベース層の意匠層と反対側に積層される粘着剤層をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の床シート。
  7. 鉄道車両の床面に敷設される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の床シート。
  8. 鉄道車両の床材と、
    この床材の表面に積層される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の床シートと
    を備える鉄道床構造体。
JP2015129321A 2015-06-26 2015-06-26 床シート及び鉄道床構造体 Pending JP2017014704A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015129321A JP2017014704A (ja) 2015-06-26 2015-06-26 床シート及び鉄道床構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015129321A JP2017014704A (ja) 2015-06-26 2015-06-26 床シート及び鉄道床構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017014704A true JP2017014704A (ja) 2017-01-19

Family

ID=57828095

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015129321A Pending JP2017014704A (ja) 2015-06-26 2015-06-26 床シート及び鉄道床構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017014704A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022160027A (ja) * 2021-04-06 2022-10-19 住江織物株式会社 車両用床表示フィルム
KR102531732B1 (ko) * 2022-09-15 2023-05-12 송주호 난연 보행매트

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5890959A (ja) * 1981-11-26 1983-05-30 アキレス株式会社 積層シ−ト
JP2003161030A (ja) * 2001-11-27 2003-06-06 Suminoe Textile Co Ltd プリント硬質床材及びその製造方法並びにプリント床構造
JP2005028769A (ja) * 2003-07-07 2005-02-03 Toppan Printing Co Ltd 化粧材
JP2009019293A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Asahipen Corp 粘着壁紙
JP2010145903A (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 Band Elastomer Kk フロアマーキングシート及びフロアマーキングシートの施工方法
JP2013067163A (ja) * 2011-08-10 2013-04-18 Bando Chemical Industries Ltd 車両用床シート、車両の床構造体、車両の床構造体の施工方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5890959A (ja) * 1981-11-26 1983-05-30 アキレス株式会社 積層シ−ト
JP2003161030A (ja) * 2001-11-27 2003-06-06 Suminoe Textile Co Ltd プリント硬質床材及びその製造方法並びにプリント床構造
JP2005028769A (ja) * 2003-07-07 2005-02-03 Toppan Printing Co Ltd 化粧材
JP2009019293A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Asahipen Corp 粘着壁紙
JP2010145903A (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 Band Elastomer Kk フロアマーキングシート及びフロアマーキングシートの施工方法
JP2013067163A (ja) * 2011-08-10 2013-04-18 Bando Chemical Industries Ltd 車両用床シート、車両の床構造体、車両の床構造体の施工方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022160027A (ja) * 2021-04-06 2022-10-19 住江織物株式会社 車両用床表示フィルム
KR102531732B1 (ko) * 2022-09-15 2023-05-12 송주호 난연 보행매트

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20180086945A1 (en) Pressure-sensitive adhesive tape
US20200165045A1 (en) Lid material for press-through packages
TWI396625B (zh) 多層物件以及製造多層物件的方法
JP6077692B1 (ja) リサイクル可能な合成樹脂タイル及びその製造方法
US10583636B2 (en) Soft touch laminates constructed with improved fire retardant properties for transportation
US20170158919A1 (en) Sheet to be pasted on road surface, floor, or wall surface and set for forming sheet to be pasted on road surface, floor, or wall surface
KR101677942B1 (ko) 데코타일 표층용 친환경수지 조성물 및 이를 구비한 데코타일
JP2017014704A (ja) 床シート及び鉄道床構造体
WO2016158411A1 (ja) 粘着テープ
CN106029375B (zh) 覆层膜
US11660836B2 (en) Decorative sheet
KR20200014382A (ko) 다층 필름 및 그 제조 방법
JP7205028B2 (ja) 合成樹脂表皮材及びその製造方法
JP2017013254A (ja) 床シート及び鉄道床構造体
JP6734077B2 (ja) 金属調加飾フィルム及び加飾成形品
JP2018167561A (ja) 床シート及び鉄道床構造体
KR101857850B1 (ko) 생분해성 고분자를 포함하는 선박용 난연 타일
JP4992564B2 (ja) 化粧シート
JP5590765B2 (ja) オレフィン系難燃床材
JP2018127797A (ja) オレフィン系合成樹脂タイル
JP6254749B1 (ja) 意匠付き多層ゴムシート、鉄道床構造体及び意匠付き多層ゴムシートの製造方法
JP6953138B2 (ja) 加飾フィルム及び加飾成形品
KR101736690B1 (ko) 아스팔트 방수 시트용 다층 공압출 필름 및 이의 제조 방법
WO2018008277A1 (ja) 意匠付き多層ゴムシート、鉄道床構造体及び意匠付き多層ゴムシートの製造方法
JP2004131512A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製法及びその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190123

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190401

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190730