JP2017014704A - 床シート及び鉄道床構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の床シートは、床面に敷設され、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有するベース層と、このベース層の一方の面側の少なくとも一部に積層される意匠層と、上記ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に積層される透明の保護層と、上記ベース層及び意匠層の間に積層される接着剤層とを備え、上記保護層が、ポリ塩化ビニルを主成分とすることを特徴とする。上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有するとよい。上記接着剤層の平均厚さとしては、40μm以上150μm以下が好ましい。上記接着剤層が、ホットメルト接着剤により形成されるとよい。上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とするとよい。当該床シートは、鉄道車両の床面に敷設されるとよい。
【選択図】図1
Description
ベース層1は、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有し、難燃性、緩衝性等の床シートに要求される特性を有する。ベース層1は、ゴムをマトリックスとして含有することが好ましい。ベース層1がゴムをマトリックスとして含有することで、上記マトリックスがポリ塩化ビニル等のゴム以外の樹脂である場合と比較し、当該床シートの燃焼時の発煙量を低減できる。ベース層1は、例えば後述するベース層形成用組成物により形成される。
ベース層形成用組成物は、樹脂又はゴムをマトリックスとして含有する。ベース層形成用組成物は、通常無機系難燃剤、有機系難燃剤及び/又は充填材を含有する。
意匠層2は、意匠の付与された層である。意匠層2としては、接着剤層4の表面側又は保護層3の裏面側に印刷により積層された層でもよく、表面側から視認できる意匠が付与された樹脂フィルム(以下、「意匠付き樹脂フィルム」ともいう)でもよい。意匠層2に付与される意匠としては、特に限定されず用途等に合わせて適宜変更可能であるが、例えば車椅子スペース、非常口の位置等を示すピクトグラムなどの図形、各種案内用文字、模様、写真などが挙げられる。また、意匠層2に付与される意匠としては、単色でもよく、多色でもよい。意匠層2の平均厚さとしては、特に限定されないが、例えば1μm以上500μm以下である。
保護層3は、ポリ塩化ビニルを主成分とする耐摩耗性及び難燃性に優れる透明の層であり、当該床シートの難燃性と意匠層2の耐久性とを向上する。ポリ塩化ビニルとしては、ベース層1で例示したものと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
接着剤層4は、接着剤により形成される層であり、ベース層1及び意匠層2の間に積層され、意匠層2が含有する成分のベース層1への移行を阻害する。また、接着剤層4は、ベース層1及び意匠層2の層間接着力も向上する。接着剤層4を形成する接着剤としては、特に限定されないが、例えば光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、2液混合型接着剤等の反応系接着剤、ホットメルト接着剤、溶剤型接着剤、水分散系接着剤等が挙げられ、これらの中で接着剤層4の平均厚さや接着剤層4が形成される位置を調整し易くする観点から、ホットメルト接着剤が好ましく、シート状のホットメルト接着剤がより好ましい。
粘着剤層5は、ベース層1の裏面側に積層される。この粘着剤層5を形成する粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤が挙げられる。
当該床シートは、駅、住居、オフィス等の建造物やバス、鉄道等の車両などの床面に敷設して用いる。当該床シートの用途としては、優れた難燃性及び意匠性を発揮させる観点から、鉄道車両の床面への敷設に好適に用いることができる。
当該床シートの製造方法としては、例えばベース層を用意する工程(ベース層用意工程)と、透明の保護層を用意する工程(保護層用意工程)と、ベース層、接着剤層、意匠層及び保護層がこの順に積層された積層体を形成する工程(積層体形成工程)と、上記積層体を加熱加圧する工程(加熱加圧工程)と、加熱加圧工程後、上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する工程(粘着剤層積層工程)とを備える方法等が挙げられる。
本工程では、ベース層を用意する。ベース層を用意する方法としては、例えば上述したベース層形成用組成物をオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて混練し、カレンダーロール等を用いた圧延加工によってシート状に成形する方法が挙げられる。なお、ベース層形成用組成物が加硫されていないゴムを含有する場合、シート状に加工した後、連続加硫機(ロードプレス)等を用いて加硫加工するとよい。上記加硫加工の条件としては、例えば温度を140℃以上200℃以下、時間を5分以上30分以下とできる。
本工程では、保護層を用意する。保護層を用意する方法としては、特に限定されず、例えばポリ塩化ビニル及び任意成分を含有する組成物をベース層で例示した方法によってシート状に成形する方法等が挙げられる。また、市販のポリ塩化ビニルシートを用いてもよい。
本工程では、ベース層、接着剤層、意匠層及び保護層がこの順に積層された積層体(以下、「第1積層体」ともいう)を形成する。第1積層体を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば後述する第1の方法、第2の方法、第3の方法、第4の方法等が挙げられる。以下、各方法について説明する。
本工程では、上記積層体を加熱加圧する。上記加熱加圧の条件としては、例えば温度は100℃以上170℃以下、時間は30秒以上500秒以下、圧力は0.5N/cm2以上20N/cm2以下である。
本工程では、上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する。上記積層体の裏面側に粘着剤層を積層する方法としては、特に限定されず従来公知の方法を用いることができる。
当該鉄道床構造体は、鉄道車両の床材と、この床材の表面に積層される当該床シートと
を備える。
当該鉄道床構造体の製造方法としては、例えば当該床シートを裏面側が鉄道車両の床材の表面と対向するように積層する工程を備える方法等が挙げられる。当該床シートが粘着剤層を備えない場合、上記積層する工程の前に、当該床シートの裏面側及び/又は上記鉄道車両の床材の表面側に接着剤又は粘着剤を塗布する工程をさらに備えるとよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
まず、所定配合の組成物をバンバリーミキサー及びオープンロールを用いて混練り加工し、次に、カレンダーロールによって圧延加工を行いシート状の長尺物を得て、連続加硫機(ロートプレス)によって加硫加工(160℃、10分)し、これにより床シートに用いるベース層(平均厚さ2.3mm)を製造した。
未加硫ゴム:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)(JSR社の「JSR1502」)90質量部
未加硫ゴム:ハイスチレンゴム(JSR社の「JSR0061」)10質量部
充填材:クレー(R.T.Vanderbilt社の「Dixie Clay」)125質量部
充填材:炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社の「重炭」)50質量部
無機系難燃剤:水酸化アルミニウム(昭和電工社の「ハイジライトH−42M」)80質量部
無機系難燃剤:三酸化アンチモン(鈴裕化学社の「ファイアカット AT3」)5質量部
有機系難燃剤:塩素化パラフィン(味の素ファインテクノ社の「エンパラ70F」)8質量部
老化防止剤(大内新興化学社の「ノクラック224」)4質量部
粘着付与剤(脂肪族系炭化水素樹脂、日本ゼオン社の「クイントンA−100」)5質量部
ジエチレングリコール(三菱化学社の「ジエチレングリコール」)3質量部
シランカップリング剤(デグサジャパン社の「Si−69」)1質量部
酸化亜鉛(ハクスイテック社の「酸化亜鉛3種G」)5質量部
ステアリン酸(日本油脂社の「ビーズステアリン酸椿」)2質量部
硫黄(細川化学工業社の「オイル硫黄」)6質量部
加硫促進剤(大内新興化学社の「ノクセラー NS−P」)1.5質量部
保護層としての平均厚さ0.2mmのポリ塩化ビニル(PVC)のフィルム(バンドー化学社の「CL54620」)を上記ベース層に載置し、加熱加圧(120℃、300秒間、10N/cm2)することで試験例1の床シートを製造した。
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.2mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のフィルム(東ソー・ニッケミ社の「ウルトラセン」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例2の床シートを製造した。
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.2mmのアセテートのフィルム(合樹産業社の「TACフィルム」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例3の床シートを製造した。
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりに平均厚さ0.10mmの熱可塑性エラストマーのフィルム(JSR社の「RBシート」)を用いて保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例4の床シートを製造した。
ポリ塩化ビニルのフィルムの代わりにワックス(スイショウ油化工業社の「ラスター」)を平均厚さ0.03mmとなるように塗布することで保護層を形成した以外は試験例1と同様に操作し、試験例5の床シートを製造した。
JIS−K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に準拠したテーバー摩耗試験によって試験例1〜5の床シートの耐摩耗性を評価した。試験条件は、荷重9.8N、回転速度60回/分、摩耗輪CS−H22、回転数1,000回とした。耐摩耗性は、試験後に保護層が残存してベース層が露出していない場合を「良好(A)」、保護層が摩耗してベース層が露出していた場合を「良好ではない(B)」と評価した。評価結果を表1に示す。
一般社団法人「日本鉄道車両機械技術協会」が実施する燃焼試験(鉄道車両用非金属材料)に準拠して試験例1〜3の床シートの難燃性を評価した。具体的には、まず、各床シートをB5判(182mm×257mm)に切断したものを試験片とし、この試験片の長手方向が水平面に対して45°傾斜し、表面側が下方となる状態で保持した。次に、直径17.5mm、深さ7.1mm、厚さ0.8mmの円柱状の鉄製の燃料容器に純エチルアルコールを0.5cc入れた。この燃料容器をコルクの台に載せ、燃料容器の底面の中央が試験片の表面側(燃焼面)の中央の垂直下方25.4mmに位置するよう配設した。その後、燃料容器の純エチルアルコールに着火して燃え尽きるまで放置し、燃焼中及び燃焼後に観察し、本燃焼試験の燃焼性規格の基準によって、燃焼性が低い順に不燃性、極難燃性、難燃性、緩燃性又は可燃性に区分した。なお、試験室内は、雰囲気温度15℃以上30℃以下、雰囲気湿度60%以上75%以下で空気の流動がない状態に維持した。各試験片の難燃性は、上述の燃焼性規格によって不燃性、極難燃性又は難燃性に区分される場合を「良好(A)」、緩燃性又は可燃性に区分される場合を「良好ではない(B)」と評価した。評価結果を表2に示す。
2 意匠層
3 保護層
4 接着剤層
5 粘着剤層
Claims (8)
- 床面に敷設される床シートであって、
樹脂又はゴムをマトリックスとして含有するベース層と、このベース層の一方の面側の少なくとも一部に積層される意匠層と、上記ベース層及び意匠層を含む積層体の意匠層側に積層される透明の保護層と、上記ベース層及び意匠層の間に積層される接着剤層とを備え、
上記保護層が、ポリ塩化ビニルを主成分とすることを特徴とする床シート。 - 上記ベース層がゴムをマトリックスとして含有する請求項1に記載の床シート。
- 上記接着剤層の平均厚さが40μm以上150μm以下である請求項1又は請求項2に記載の床シート。
- 上記接着剤層が、ホットメルト接着剤により形成される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の床シート。
- 上記ホットメルト接着剤がポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はこれらの組み合わせを主成分とする請求項4に記載の床シート。
- 上記ベース層の意匠層と反対側に積層される粘着剤層をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の床シート。
- 鉄道車両の床面に敷設される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の床シート。
- 鉄道車両の床材と、
この床材の表面に積層される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の床シートと
を備える鉄道床構造体。
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JP2015129321A JP2017014704A (ja) | 2015-06-26 | 2015-06-26 | 床シート及び鉄道床構造体 |
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2015
- 2015-06-26 JP JP2015129321A patent/JP2017014704A/ja active Pending
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