JP2017013483A - 涼感積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、積層体を衣類に貼り付けた後に、積層体が水分を含むことにより、涼感を体感でき、かつ洗濯や伸縮に対しての堅牢度も維持している涼感積層体を提供することである。
【解決手段】衣類1に一体化させて使用する涼感積層体10であって、
当該涼感積層体10は、1層以上の樹脂層11から形成されており、
前記樹脂層11のうち少なくとも1層に涼感剤14を含むことで涼感効果が得られることを特徴とする涼感積層体10。
【選択図】 図1

Description

本発明は衣類に一体化させて使用する積層体に関し、特に、涼感を体感できる積層体の開発に関する。
近年、スポーツウェアやジャージ、夏用の肌着やパジャマのような衣類において、着ている人の体感温度を下げるためのさまざまな工夫がなされている。例えば、暑さを緩和するために冷却剤(保冷剤)を入れるポケットを有するシャツや、放熱性の良い生地を使用することで涼感効果が得られる涼感衣類、水分を含むことにより涼感効果が得られる糖アルコールを耐久性良く付着させた繊維構造物を利用した衣類等があり、多種多様な方法により体感温度を下げる効果が実現されている。これら技術を使用した衣類について具体的な例を以下に示す。
・冷却剤ポケット付シャツ:夏の暑い時期などに、体内温度の上昇による暑さを緩和するため、シャツの首筋や脇の下などに冷却剤(保冷剤)を収納するポケットを設けることにより、冷却剤で皮下血管を冷やすことで、涼しさを体感出来る衣類(特許文献1)が開示されている。
・涼感衣類:Tシャツのような衣類において、暑さ対策として放熱性の良い生地を使用することで体感温度を下げることを前提として、体温調整能力が著しく低下する高齢者などが冷房の影響による寒すぎ(冷えすぎ)を防止するために、年齢による発汗機能の低下が少ない胸部などの部分的のみに放熱性の良い生地を利用している涼感衣類(特許文献2)が開示されている。
・繊維構造物:繊維表面に、糖アルコールと平均粒子径が5〜400nmの無機粒子を含有した被膜を形成することによって、繊維構造物に対して優れた涼感と洗濯耐久性を付与できるので、衣類に使用することで涼感が体感可能であること(特許文献3)が開示されている。
特開2013−32603号公報 特開平11−247011号公報 特開2007−70744号公報
しかしながら、上記のような方法によって涼感は体感出来るものの、例えば冷却剤ポケット付シャツ(特許文献1)では、保冷剤がなければ涼感を得ることが出来ない。また、涼感衣類(特許文献2)では、部分的にベース生地とは異なる放熱性の良い生地を使用しているため、一般的な衣類に比べて量産する際に手間がかかりコストが大幅に上がってしまう恐れがあり、例えば学校指定のジャージやユニフォーム等に使用する際には、多くの人達に影響を与えてしまう。
一方で、一般的な衣類へ印刷や貼り付けが可能な積層体に涼感が体感出来る機能を付与することにより、上記のような問題については解決できるが、従来は衣類用の積層体を衣類へ印刷または貼り付けをする際には、洗濯や伸縮、割れに対しての堅牢度を上げる為に色層(積層体の表面)には耐摩耗性・耐水性の優れた被膜を作るのが一般的である。このような構造では、例えば空気中の水分や衣類を着ている人の汗等の水分を積層体が含むことにより、涼感効果が得られるような機能は、当然ながら耐水性の優れた被膜に遮られてしまうため、実現出来ない。
そして、上記の繊維構造物(特許文献3)のように、単純に涼感機能を有する糖アルコールが付着した繊維を衣類に使用することは可能であるが、洗濯耐久性が良いとは言え、例えば寝具などに使用するには適しているが、着用後には必ず洗濯の必要がある衣類に使用する場合は、過度な洗濯により涼感剤が抜け落ちて涼感効果が衰えてしまう可能性がある。仮に耐洗濯性を上げるために従来の衣類用の積層体と同じように耐水性の優れた被膜化を施したとしても、前述のとおり、水分を含むことが出来ずに涼感効果を得ることが出来ない。また、本発明者らの調査では、水分を含むことにより肌に触れている部分の体感温度を下げる機能を有する衣類用の積層体は、これまでに開発されていない。
そこで、本発明者らは、従来の衣類に、簡単に印刷や後付けが可能な衣類用の積層体に着眼し、該積層体が水分を含むことにより涼感が体感出来る機能を持たせ、且つ、耐洗濯性も維持出来る被膜化を行うことによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を開発するに至った。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、積層体を衣類に印刷または貼り付けた後に、積層体が水分を含むことにより、涼感を体感でき、且つ、洗濯や伸縮に対しての堅牢度も維持している涼感積層体を提供することにある。さらに、本発明は、夏の暑い日などに体感温度とともに問題となる臭気対策も考慮し、涼感効果と共に消臭効果も同時に得られる涼感積層体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、衣類に一体化させて使用する涼感積層体であって、
当該涼感積層体は、1層以上の樹脂層から形成されており、
前記樹脂層のうち少なくとも1層に涼感剤を含むことで涼感効果が得られることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、1層以上の樹脂層で形成されており、該樹脂層に涼感剤を入れることで、涼感積層体に汗等の水分が浸透することにより、涼感を体感でき、且つ、洗濯や伸縮に対しての堅牢度も維持している。ここで、涼感積層体とは、例えば転写ラベルのように衣類へ転写して使用するものや、衣類へ直接印刷することで形成するようなものであり、また、これらに限定されるものではない。
また、上記発明に係る涼感積層体は、
前記樹脂層のうち少なくとも1層は、熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂との樹脂混合物であって、
さらに前記樹脂混合物のうち少なくとも1層に涼感剤を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、1層以上の樹脂層に熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂を混合した樹脂混合物を使用し、該樹脂混合物に涼感剤を入れることで、涼感積層体に汗等の水分が浸透することにより、涼感を体感でき、且つ、洗濯や伸縮に対しての堅牢度も維持している。また樹脂混合物の割合は、熱硬化性樹脂10〜90質量%とパウダー状の熱可塑性樹脂90〜10質量%とすることが好ましく、特に好ましくは熱硬化性樹脂50〜80質量%とパウダー状の熱可塑性樹脂50〜20質量%であることが好適である。
また、上記発明に係る涼感積層体は、
前記樹脂層のうち少なくとも1層は、熱可塑性樹脂と架橋剤を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、1層以上の樹脂層に熱可塑性樹脂と架橋剤を使用し、さらに該樹脂層に涼感剤を入れて熱圧着または熱処理を行い、涼感積層体に汗等の水分が浸透することにより、涼感を体感でき、且つ、洗濯や伸縮に対しての堅牢度も維持している。また架橋剤の割合は、樹脂層に対して1〜15質量%とすることが好ましく、特に好ましくは2〜10質量%であることが好適である。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
表面層と中間層と接着層の3層から形成されており、
前記中間層の一面側が表面層、他面側が接着層であって、
前記接着層が、衣類と接する方向へ接着可能であって、
前記表面層および中間層は、前記樹脂層であり、該表面層および中間層の両方またはいずれか一方に涼感剤を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、表面層と中間層と接着層の3層を有しており、該接着層によって衣類への貼り付けが可能となる。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
前記涼感剤は糖アルコールを含むものであって、
前記樹脂層の積層方向における各層の厚みは、500μm以下であることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、涼感剤にキシリトールやエリスリトールのような糖アルコールを使用することで、衣類に貼り付けた際に、空気中の水分や衣類を着ている人の汗等の水分によって、涼感積層体に触れている部分から涼感を得ることができる。また、樹脂層の厚さを500μm以下にすることで、衣類に貼り付けた際の柔軟性も保たれている。
なお、樹脂層の厚みを500μm以上にしてしまうと、柔軟性にかけ、衣類に貼り付けた後の着心地が著しく悪化してしまう恐れがある。そのため、着心地の悪化を抑えるには、表面層の厚みは500μm未満とすることが好ましく、特に好ましくは5μm〜50μmが好適である。
また、本発明に係る涼感積層体は、
前記接着層は、ウレタン系又はポリエステル系樹脂の何れか1つを含み、
100°C〜180°Cの熱を前記接着層に加えることによって、衣類と、当該涼感積層体とを、接着することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体の接着層は、100℃〜180℃で加熱することで、衣類と涼感積層体とを接着させることが出来る。また、衣類と涼感積層体とを接着させた後は、再度、接着層に熱を加えない限り、衣類から当該涼感積層体を簡単にはがすことは出来ない。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
前記各層の積層方向における接着層の厚さは、150μm以下であることを特徴とする。
すなわち、接着層の厚さを150μm以下にすることで、適度に衣類に絡みつき且つ衣類に貼り付けた際の柔軟性も保たれ、特に好ましくは50μm〜120μmが好適である。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
衣類へ直接印刷して形成することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、各樹脂層を衣類へ直接印刷することにより形成され、該涼感積層体が汗等の水分を含むことにより、衣類に後付けした涼感積層体と同様の涼感効果を発揮する。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
前記樹脂層のうち少なくとも1層は1液型樹脂を含み、
前記1液型樹脂は涼感剤を有し、
当該涼感積層体は、衣類へ直接印刷して形成することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、1液型樹脂を使用した樹脂層を衣類へ直接印刷することにより形成され、印刷後の後処理として硬化反応待機時間を設けることにより、適度な被膜化が実現出来る。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
前記樹脂層のうち少なくとも1層に消臭剤を含むことで消臭効果が得られることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、消臭剤の吸着作用によりアンモニアなどの臭気成分を吸着することで、涼感効果と共に消臭効果も得られる。
また、上記本発明に係る涼感積層体は、
前記涼感効果および消臭効果は、当該涼感積層体を洗濯及び/または乾燥させることでその効果が回復することを特徴とする。
すなわち、本発明に係る涼感積層体は、すでに吸湿状態または吸着状態になってしまった場合に、洗濯・乾燥工程を経ることで、涼感効果および消臭効果を回復し、その効果を維持することが出来る。
本発明の涼感積層体は、1層以上の樹脂層において、それぞれ特定組成の樹脂および樹脂混合物を使用することによって、涼感積層体が空気中の水分や汗等の水分を含むことによって、衣類に貼り付けた涼感積層体に触れている肌から熱を奪い、涼感を体感出来る効果を奏する。また、本発明は、涼感積層体に消臭剤を入れることで吸着作用により、涼感効果と共に消臭効果も得られる効果を奏する。
更に、本発明の涼感積層体の樹脂層は、衣類へ貼り付ける際の熱圧着や衣類へ直接印刷した際の後処理によって被膜化するため、一般的な衣類用の積層体と同様の堅牢度を維持する効果を奏する。
本発明に係る涼感積層体の断面図である。 本発明に係る涼感積層体を衣類に貼り付ける工程の概略である。 衣類へ直接印刷して形成された涼感積層体の断面図および印刷工程の概略で ある。
以下、本発明の涼感積層体について、図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を超えない限り何ら以下の例に限定されるものではない。
図1に、本発明に関する涼感積層体10の断面図を示す。図1に示すように、本発明に関する涼感積層体10は、3層で構成されており、表面層11、中間層12、接着層13を有している。また、表面層11および中間層12にはそれぞれ涼感剤14を有しており、場合によって、中間層12のみに、または表面層11のみに有していても良い。表面層11は色層としての役割を果たしており、色材には、一般的な蛍光剤、絵具、染料、アルミ粉末、アルミペースト、パール粉末等が使用できる。中間層12は表面層11を機能的に補助するバックアップ層(色層としての補助や涼感機能の補助)としての役割を果たしている。バックアップ層としての中間層12には、特に涼感剤14を含ませることが好適である。また、図示を省略するが、表面層11と中間層12の両方またはどちらか一方に、消臭剤を含ませても良い。このように表面層11および中間層12に消臭剤が含む場合には、涼感効果と共に消臭効果も得られる。
図2に、本発明に関する涼感積層体10を衣類1に貼り付ける工程の概略を示す。涼感積層体10を衣類1の所定位置に配置させた後、表面層11から熱が加えられる(図2(a))。その熱によって、接着層13を溶かした後、冷却することで、涼感積層体10を備えた衣類を得ることが出来る(図2(b))。
ここで、表面層11および中間層12は、熱圧着することにより、生地に絡み付きながら経時的に硬化(被膜化)するため、洗濯時に涼感内14が流れ落ちることはなく、また、熱圧着による被膜化は、結果として適度な被膜化となり、水分が涼感剤14に届く程度のわずかな隙間を有しているため水分が浸透可能であり、涼感剤14による涼感効果が得られると推測される。
図3に、本発明に関する涼感積層体20の衣類1への印刷工程の概略および断面図を示す。はじめに衣類1の所定位置へ樹脂層である中間層12を印刷する(図3(a))。乾燥工程の後、中間層12の上に表面層11を印刷する(図3(b))。さらに衣類1に直接印刷することで完成した涼感積層体20に、使用する樹脂に応じた後処理(例えば、ベーキング乾燥や空気中の湿気による硬化反応待機等)を行い、図2と同様の被膜化を施すことにより涼感積層体20の堅牢度を上げている。
ここで、中間層12は図1と同様に、表面層11を機能的に補助するバックアップ層(色層としての補助や涼感機能の補助)としての役割を果たしており、涼感剤が入っていなくても良いが、涼感効果を増やすために涼感剤14を含ませることが好適である。また、図3に示すとおり、涼感積層体20は、衣類1へ直接印刷することで形成されることから、図1の涼感積層体10の接着層13に相当する層はなくてもよい。
樹脂層
本発明の涼感積層体10と涼感積層体20において、樹脂層である表面層11および中間層12は、熱硬化性樹脂と、パウダー状の熱可塑性樹脂の樹脂混合物からなることを特徴としている。加えて表面層11および中間層12は涼感剤14を有しており、涼感剤14には糖アルコールを含んでいる。また、熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂の樹脂混合物の他に、熱可塑性樹脂と架橋剤や、1液型樹脂等を用いることも出来る。
<熱硬化性樹脂>
ここで言う熱硬化性樹脂とは、初期重合物を加熱することで架橋反応を起こし、硬化する樹脂をあらわしている。したがって、熱硬化性樹脂は架橋反応後(加熱後)に再度加熱をしても軟化しなくなる性質を持つ。前記熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂(PU)、エポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、シリコン樹脂(SI)などを挙げることができる。その中でも、涼感剤およびパウダー状の熱可塑性樹脂との相性やコスト等の観点から特にウレタン樹脂(PU)が好適である。なお、上記熱硬化性樹脂は単独に限定されるものではなく、2種類以上を併用しても良い。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂とは、熱硬化性樹脂のように高分子間で架橋する構造ではなく、一定の温度以上(100℃〜300℃)に加熱することで軟化して可塑性をもち、冷却すると固化する樹脂をあらわしている。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂(TPU)、ABS樹脂(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネイト(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルホン(PSF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。その中でも特に樹脂特性やコスト等の観点からポリウレタン樹脂(TPU)が好適である。なお、上記熱可塑性樹脂は単独に限定されるものではなく、2種類以上を併用しても良い。
<1液型樹脂>
1液型樹脂とは、空気中の湿気を吸湿して、あるいは蒸発・乾燥して架橋反応を起こし、硬化する樹脂をあらわしている。したがって、1液型樹脂は架橋反応後は再度軟化しなくなる性質を持つ。1液型樹脂としては、例えば湿気硬化型樹脂、蒸発乾燥型樹脂などを上げることができる。その中でも特に樹脂特性やコスト等の観点から蒸発乾燥型樹脂が好適である。なお、上記1液型樹脂は単独に限定されるものではなく、2種類以上を併用しても良い。
<涼感剤>
前記涼感剤に含まれる糖アルコールは、水分を含むことにより涼感効果を得られれば良く、例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、グリセロールなどを挙げることができる。これらの糖アルコールのうち、特に吸熱性、安定供給の観点からキシリトールまたはエリスリトールが好適である。
なお、上記糖アルコールは、単独に限定されるものではなく、2種類以上を併用し、あるいは糖アルコール以外の他物質と混合して使用しても良い。
<消臭剤>
本発明における消臭剤は、アンモニアや酢酸やイソ吉草酸などの臭気成分に対して消臭効果を発揮出来ればよく、例えば吸着作用による消臭剤としては、活性炭、ゼオライトなどを挙げることが出来る。また、例えば化学作用による消臭剤としては、光触媒、金属イオンなどを挙げることが出来る。これらの消臭剤のうち、金属イオンとゼオライトが好ましく、特に好ましくは吸着作用と化学作用とを兼ね備えた銀ゼオライトが好適である。
なお、上記消臭剤は、単独に限定されるものではなく、2種類以上を併用し、あるいは消臭剤以外の他物質と混合して使用しても良い。
<架橋剤>
本発明における架橋剤は、一定条件下でポリマー樹脂と架橋反応を起こす物質のことを言う。架橋剤の量により、架橋反応後の樹脂の硬化を調整できる。本発明において架橋剤にはポリイソシアネート、特にブロックイソシアネートを使用するのが好適である。
接着層
本発明における接着層13は、涼感積層体10を衣類1に貼り付けるための接着作用を発揮すればよく、市販されている接着材などを利用することも出来る。
但し、涼感積層体10は洗濯時の負荷および洗濯時に使用する洗剤への耐薬剤性を有している必要があり、接着層13には熱可塑性材料またはホットメルト材料を使用することが好ましい。
更に、その熱可塑性材料の中でも、樹脂層11または中間層12との相溶性の観点から、接着層13にはウレタン系樹脂が好ましく、特に熱可塑性ポリウレタン系樹脂を使用することが好適である。
具体的な熱可塑性材料としては、ホットメルトフィルム、ホットフィルムシート(エーテル系、エステル系)が使用できる。
また、接着層13の形態は、例えば加熱により流動化可能な熱可塑性材料を中間層12に塗布することも可能であるが、本発明では熱可塑性ポリウレタン系樹脂を厚さ30μm〜150μm、特に好ましくは50μm〜120μm程度の範囲となるように塗工する。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明を行うが、本発明の趣旨を超えない限り何ら以下の実施例に限定されるものではない。
まず最初に、涼感積層体に利用する涼感剤による涼感効果の確認を行った。
(涼感剤による涼感効果の確認)
本発明に係る涼感積層体は、キシリトールやエリスリトールのような糖アルコールの特性を利用して、涼感効果を得ている。そこで下記条件で、糖アルコールによる涼感効果の確認を行った。
・試験方法
試料を2枚合わせにして四辺を縫い合わせ試験片とし、試験片内部中央に熱電対型温度センサーを差し込む。約36℃の雰囲気中で試験片中央部に約0.2mlの水を滴下し、湿潤部の温度を10分間測定する。ここで加工品は糖アルコールを含んだ生地であり、未加工品は糖アルコールを含まない生地とする。

・環境条件
室温 :36±2℃
湿度 :60±4%RH
水温 :36℃
温度計 :熱電対型温度センサー

[表1]
時間(秒) 測定温度(℃)
加工品 未加工品
0 36.4 36.3
10 36.7 36.1
20 35.7 35.7
30 34.7 34.9
40 33.7 34.2
50 32.8 33.4
60 32.0 32.9
120 29.4 32.5
180 28.4 32.5
240 28.0 32.3
300 28.0 32.2
360 27.9 32.2
420 27.8 32.1
480 27.9 32.1
540 27.8 32.1
600 27.7 32.1
表1に示すように、加工品(糖アルコールを含む生地)と未加工品(糖アルコールを含まない生地)では測定温度に明らかな温度差が生じているのが分かる。120秒経過後から徐々に温度差が大きくなり、180秒経過後には4℃程度の温度差が生じており、この状態が600秒経過後まで保たれている。このように、涼感剤としてキシリトールやエリスリトールのような糖アルコールを使用することで、水分を含むことにより、確かな涼感効果が得られることが分かった。
(消臭剤による消臭効果の確認)
本発明に係る涼感積層体は、涼感剤とともに銀ゼオライトのような消臭剤を涼感積層体に入れることで、吸着作用を利用して消臭効果を得ることが出来る。そこで下記条件で、銀ゼオライトによる消臭効果の確認を行った。
※(社)繊維評価技術協議会の機器分析実施マニュアルに基づく。
・試験方法
(A)ガスクロマトグラフ法
試験片を入れた500mL容三角フラスコに臭気成分溶液を滴下し密閉後、2時間放置後のピーク面積を測定する。

消臭剤 : 銀ゼオライト
初期ガス濃度: イソ吉草酸 約38ppm
測定時間 : 2時間後
試料サイズ : 50cm

[表2]
試料 減少率(%)
イソ吉草酸
涼感積層体 92
表2に示すように、臭気成分として使用したイソ吉草酸では、減少率が約90%以上もの大きな消臭効果(減少率)を得ることが出来た。このように、消臭剤として銀ゼオライトを利用することで、物理吸着や化学作用による良好な消臭効果を得ることが出来た。ここで、上記消臭効果のうち吸着作用によるものは、仮に飽和した場合には消臭効果がなくなることが予想される。しかしながら、実際に人が感じる臭気は非常に濃度が低く、飽和に達するまでに時間がかかる。つまり、消臭効果は長期に渡り持続するのである。
次に、本発明に係る涼感積層体の本実施例において使用した評価方法について説明する。
(涼感効果試験)
涼感積層体の涼感効果を確認するための試験を行った。試験には衣類に用いられる生地を使用し、下記にて詳しく説明する実施例1〜5および比較例1〜2の涼感積層体と一体化した生地を製作する。涼感積層体中央部分に0.2mlの水を滴下し、涼感積層体湿潤部の時間経過に対する温度測定を行った。
・環境条件
室温 :36±2℃
湿度 :60±4%RH
水温 :36℃
温度計 :熱電対型温度センサー
(耐洗濯性試験)
涼感積層体の耐洗濯性を確認するための試験を行った。実施例1および実施例2は涼感積層体10を貼り付けた生地に対して、また、実施例3〜5は涼感積層体20を直接印刷した生地に対して、以下の条件による洗濯試験を行った。
・試験方法
洗濯方法:JIS L 0217 103法
洗濯機:二層式家庭用電気洗濯機
洗濯方法詳細:浴比 :1:30
水流 :強
洗い :5分(水温:40℃)
すすぎ回数 :2回(水温:30℃以下)
洗濯洗剤 :洗濯用合成洗剤(市販品)
乾燥 :脱水後、吊干し
実施例1
熱硬化性樹脂(ウレタン樹脂(PU))とパウダー状の熱可塑性樹脂(ポリウレタン樹脂(TPU))との樹脂混合物(ユニ化成株式会社製:UNIBINDERシリーズのSA−BA)に涼感剤としてキシリトールおよびエリスリトール(タナテックスケミカルズジャパン株式会社製:TASTEX COOL−EX)を入れて、表面層およびバックアップ層としての中間層をシルクスクリーン印刷により製作する(樹脂混合物と涼感剤の総量に対して涼感剤を35%配合)。この時、剥離可能なフィルム上に表面層、中間層の順番で印刷する。その後、図1に示すような積層として接着層をシルクスクリーン印刷により製作し、乾燥工程を経て、涼感積層体10を製作した。この時の表面層および中間層の厚さは共に50μm、接着層の厚さは120μmとした。このようにして製作した涼感積層体10を、150℃に熱したアイロンで15秒間〜20秒間かけて熱圧着することで、涼感積層体10を貼り付けた生地が得られた。また、涼感積層体10はシルクスクリーン印刷に限らず、例えばロールコーター等の別の方法で製作しても良い。
実施例2
表面層およびバックアップ層としての中間層を熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂の樹脂混合物として、涼感剤であるキシリトールとエリスリトールの配合量を減らした(樹脂混合物と涼感剤の総量に対して涼感剤を15%配合)涼感積層体10を製作し、150℃に熱したアイロンで15秒〜20秒かけて熱圧着することで、涼感積層体10を貼り付けた生地を得た。それ以外の工程は実施例1と同様である。
実施例3
表面層およびバックアップ層としての中間層を熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂の樹脂混合物として、涼感剤であるキシリトールとエリスリトールを配合(樹脂混合物と涼感剤の総量に対して涼感剤を35%配合)し、涼感積層体20を製作する。ここで本実施例では、生地に涼感積層体20を直接印刷することにより、涼感積層体20付きの生地を得た。最初に生地の所定位置へ中間層12を印刷する。乾燥後、中間層12のうえに表面層11を印刷し、ベーキング乾燥工程を経て涼感積層体20付きの生地を得た。
実施例4
表面層およびバックアップ層としての中間層を熱可塑性樹脂に10質量%の架橋剤を添加した樹脂として、涼感剤であるキシリトールとエリスリトールを配合(熱可塑性樹脂と架橋剤と涼感剤の総量に対して涼感剤を35%配合)し、涼感積層体20を製作した。本実施例も実施例3と同様の工程で生地に涼感積層体20を直接印刷することにより、涼感積層体20付きの生地を得た。
実施例5
表面層11およびバックアップ層としての中間層12を1液型樹脂として、涼感剤14であるキシリトールとエリスリトールを配合し、涼感積層体20を作成する。ここで本実施例では、実施例3と同様に衣類1に使用する生地に涼感積層体20を直接印刷することにより、涼感積層体付きの生地を得た。また、印刷後、後処理として硬化反応待機時間を設けることにより、涼感積層体20付きの生地を得た。
比較例1
表面層およびバックアップ層としての中間層に、熱可塑性樹脂に20質量%の架橋剤を添加した樹脂を使用し、涼感剤にキシリトールとエリスリトールを入れて(樹脂混合物と涼感剤の総量に対して涼感剤を35%配合)涼感積層体20を製作した。本比較例も実施例3と同様の工程で、生地に涼感積層体20を直接印刷することにより、涼感積層体20付きの生地を得た。
比較例2
表面層およびバックアップ層としての中間層が熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂との樹脂混合物として、涼感剤であるキシリトールとエリスリトールを入れずに涼感積層体10を製作し、150℃に熱したアイロンで15秒〜20秒かけて熱圧着することで、涼感積層体10を貼り付けた生地を得た。それ以外の工程は実施例1と同様である。
実施例1〜比較例2の条件
実施例1:熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂 /涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ貼り付け) (総量に対して35質量%配合)
実施例2:熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂 /涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ貼り付け) (総量に対して15質量%配合)
実施例3:熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂 /涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ直接プリント) (総量に対して35質量%配合)
実施例4:熱可塑性樹脂に架橋剤を10%添加/涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ直接プリント) (総量に対して35質量%配合)
実施例5: 1液型樹脂 /涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ直接プリント) (総量に対して35質量%配合)
比較例1:熱可塑性樹脂に架橋剤を20%添加/涼感剤キシリトール、エリスリトール
(生地へ直接プリント) (総量に対して35質量%配合)
比較例2:熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂 /涼感剤なし
(生地へ貼り付け)
−涼感効果の試験結果−
[表3]
時間(秒) 測定温度(℃)
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 比較例1 比較例2
0 36.0 36.0 36.0 36.0 36.1 36.1 36.1
10 36.1 36.4 36.1 35.4 35.7 35.9 35.4
20 35.3 35.5 35.3 34.6 35.1 35.3 34.5
30 34.7 34.7 34.7 34.0 34.6 35.1 33.9
40 34.1 34.2 34.1 33.5 34.1 35.1 33.5
50 33.7 33.8 33.7 33.3 33.6 35.0 33.2
60 33.3 33.5 33.3 33.0 33.2 34.9 33.0
120 32.3 32.6 32.3 32.4 31.8 34.7 32.5
180 32.0 32.3 32.0 32.2 31.2 34.6 32.3
240 31.8 32.3 31.8 32.2 31.1 34.5 32.4
300 31.8 32.4 31.8 32.4 31.0 34.5 32.5
360 31.7 32.5 31.7 32.6 31.0 34.4 32.8
420 31.7 32.6 31.7 32.8 31.0 34.4 33.2
480 31.7 32.6 31.7 33.0 31.0 34.4 33.4
540 31.7 32.6 31.7 33.1 31.0 34.4 33.6
600 31.7 32.7 31.7 33.1 31.0 34.4 33.6
上記表3に示すように、実施例1、実施例3、実施例5は非常に優れた涼感効果が得られているのが分かる。また実施例2および実施例4は、安定した涼感効果が得られているものの、実施例1、実施例3、実施例5に比べて涼感効果が少ないことが分かる。これは、実施例2は実施例1、実施例3、実施例5に比べて涼感剤の配合量が少ないためであり、このことから、涼感剤の量の影響によって得られる涼感効果が変わることが分かった。また、実施例4は熱可塑性樹脂に10%の架橋剤を添加し、熱処理によって被膜化が施されてはいるが、水分を含むことが出来る適度の被膜化であるので、涼感効果が得られた。
また、実施例3は生地へ直接印刷することで涼感積層体を製作したが、実施例1と同様の涼感効果を得られており、製作方法による涼感効果の差はほとんどなく、安定した効果が得られた。
これに対し、比較例1および比較例2では、水を滴下したことにより、一時的に温度は下がったものの、すぐに温度上昇をしてしまい、ほとんど涼感効果を得ることが出来なかった。これは、比較例1は、熱可塑性樹脂に20%の架橋剤を添加した樹脂を使用することにより、完全に表面が被膜化されており、涼感剤であるキシリトールおよびエリスリトールに水分が届いていないため、涼感効果が得られていないことが分かる。また、比較例2には樹脂混合物に涼感剤であるキシリトールおよびエリスリトールを入れていないので、涼感積層体に水分が含んでいても涼感効果が得られていないことが予想される。このことから、涼感剤が入っていることにより、はじめて涼感効果が得られることが分かる。
上記の涼感効果の試験結果によって、特定組成の樹脂および熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂が混合されている場合であって、且つ、涼感剤が樹脂層に含まれる時にのみ、安定した涼感効果が得られることが分かった。
−耐洗濯性の試験結果−
[表4]
洗濯回数 涼感効果
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5
0 ○ ○ ○ ○ ○
1 ○ ○ ○ ○ ○
5 ○ ○ ○ ○ ○
10 ○ ○ ○ ○ ○
全体評価 良い 良い 良い 良い 良い
○:洗濯後に洗濯前と同等の涼感効果が得られていることを指す。
×:洗濯後に洗濯前の涼感効果がほとんど得られていないことを指す。
上記表4に示すように、実施例1〜実施例5は洗濯回数が5回、10回の時でも、洗濯をしていない状態(洗濯回数が0回の時)と変わらず、良好な涼感効果を得られており、耐洗濯性に優れていることが分かる。これは、熱処理や湿度、乾燥等の影響による硬化(被膜化)によって、涼感積層体の耐洗濯性および耐摩耗性(堅牢度)がしっかりと維持されていることをあらわしている。また、一般的に、生地に涼感加工が施されている涼感生地では、洗濯するたびに涼感剤が少しずつ流れ落ちてしまい、涼感効果が弱くなる傾向があると言われている。
これに対し、試験結果から、本発明の樹脂層は、表面層に耐水性の優れた被膜を施した従来の積層体と同様な耐洗濯性が得られていることが分かる。
(涼感効果および消臭効果の回復)
上記のとおり、本発明に係る涼感積層体は涼感効果が得られ、且つ、耐洗濯性も維持していることが分かった。また、涼感積層体に消臭剤を入れることで、涼感効果と共に消臭効果も同時に得られることが分かった。ここで、本発明に係る涼感積層体の機能耐久性(涼感効果および消臭効果の回復)について以下の試験結果を用いて説明する。
はじめに本発明に係る涼感積層体の涼感効果の回復に関する試験を行った。
この試験における洗濯前(洗濯前の涼感積層体)とは、すでに吸湿状態である涼感積層体のことであり、洗濯後(洗濯後の涼感積層体)とは、上述した耐洗濯性試験と同等の洗濯・乾燥工程を経た涼感積層体のことである。

・試験方法
試料を2枚合わせにして四辺を縫い合わせ試験片とし、試験片内部中央に熱電対型温度センサーを差し込む。約36℃の雰囲気中で試験片中央部に約0.2mlの水を滴下し、湿潤部の温度を10分間測定する。ここで加工品は糖アルコールを含んだ生地であり、未加工品は糖アルコールを含まない生地とする。

・環境条件
室温 :36±2℃
湿度 :60±4%RH
水温 :36℃
温度計 :熱電対型温度センサー

[表5]
時間(秒) 測定温度(℃)
洗濯前 洗濯後 未加工品
0 35.9 35.8 36.0
10 35.6 35.6 35.6
20 34.9 35.2 35.1
30 34.5 34.7 34.8
40 34.2 34.1 34.6
50 34.0 33.5 34.5
60 33.9 33.1 34.4
120 33.8 32.0 34.1
180 34.1 32.0 34.1
240 34.2 32.1 34.1
300 34.3 32.1 34.2
360 34.3 32.0 34.2
420 34.3 32.0 34.2
480 34.3 32.0 34.3
540 34.3 32.0 34.3
600 34.3 31.9 34.3
上記表5に示すように、洗濯前の涼感積層体は未加工品と同様に水を滴下したことにより、一時的に温度は下がったものの、すぐに温度上昇をしてしまい、ほとんど涼感効果を得ることが出来なかった。これに対し、洗濯後の涼感積層体は、優れた涼感効果が得られているのが分かる。つまり、すでに吸湿状態である洗濯前の涼感積層体に対して、一般的な衣類と同じように洗濯・乾燥工程を加えることで、涼感効果が回復していると言える。したがって、本発明に係る涼感積層体は何度でも良好な涼感効果を得ることが出来る。
次に銀ゼオライトなどの消臭剤を入れた本発明に係る涼感積層体による消臭効果の回復についての確認を行った。
この試験における洗濯前とは、すでに臭気成分を吸着状態である涼感積層体のことであり、洗濯後とは、上記耐洗濯性試験と同等の洗濯・乾燥工程を経た涼感積層体のことである。
また、下記試験方法は、(社)繊維評価技術協議会の機器分析実施マニュアルに基づくものである。

・試験方法
(B)検知管法
試験片を入れたサンプリングバッグに3Lの臭気ガスを封入し、2時間放置後のガス濃度を検知管で測定する。

消臭剤 : 銀ゼオライト
初期ガス濃度: アンモニア 100ppm
酢酸 30ppm
測定時間 : 2時間後
試料サイズ : 100cm

[表6]
試料 減少率(%)
アンモニア 酢酸
涼感積層体(洗濯前) 61 88
涼感積層体(洗濯後) 88 96
表6に示すように臭気としてのアンモニアに対しては、洗濯前の涼感積層体では、臭気の減少率は61%であったのに対し、洗濯後の涼感積層体では減少率が88%と回復(上昇)したのが分かる。同様に臭気としての酢酸に対しては、洗濯前の涼感積層体では、減少率が88%であったのに対し、洗濯後の涼感積層体では減少率が96%と回復(上昇)しているのが分かる。つまり、前述の涼感効果の回復と同様に、洗濯・乾燥を行うことにより、消臭効果の回復も期待でき、本発明の涼感積層体は消臭効果を何度も維持することが出来ると言える。
以上のように本発明の涼感積層体は衣類に簡単に印刷や貼り付けが可能であると共に、空気中の水分等により涼感効果が得られ、且つ耐洗濯性も維持しており、さらにユーザーが所望する意匠性も有している。また本発明の涼感積層体は、衣類内側への貼り付けも可能であり、この場合は従来の衣類の意匠性を変えずに、涼感効果が得られる衣類を得ることが出来る。
さらに、前述のとおり、本発明の涼感積層体に消臭剤を加えることで、涼感効果と共に消臭効果も同時に得ることが出来る。つまり、上記実施例1〜5に消臭剤を加えることで、夏の暑い日などの涼感対策および消臭対策の2つの問題を同時に解決可能な涼感積層体を得ることが出来る。そして本発明の涼感積層体は洗濯・乾燥をすることで、良好な涼感効果および消臭効果を維持することが可能となる。
本発明に係る涼感積層体は、印刷や熱圧着によって、スポーツウェア、ジャージ、ユニフォーム、Tシャツ類、シャツ類、パジャマ、タンクトップ、キャミソール、アンダーウェアなどの衣類に簡単に形成することができ、且つ、従来の衣類用の積層体では実現し得なかった、空気中の水分や汗等の水分を涼感積層体が含むことにより、衣類を着ている人が涼感を体感出来る機能を有する。また、同時に耐摩耗性、耐水性などの堅牢度も維持している特徴を持つものである。
1 衣類
10 20 涼感積層体
11 表面層
12 中間層
13 接着層
14 涼感剤

Claims (11)

  1. 衣類に一体化させて使用する涼感積層体であって、
    当該涼感積層体は、1層以上の樹脂層から形成されており、
    前記樹脂層のうち少なくとも1層に涼感剤を含むことで涼感効果が得られることを特徴とする涼感積層体。
  2. 請求項1に記載の涼感積層体であって、
    前記樹脂層のうち少なくとも1層は、熱硬化性樹脂とパウダー状の熱可塑性樹脂との樹脂混合物であって、
    さらに前記樹脂混合物のうち少なくとも1層に涼感剤を含むことを特徴とする涼感積層体。
  3. 請求項1および請求項2の何れかに記載の涼感積層体であって、
    前記樹脂層のうち少なくとも1層は、熱可塑性樹脂と架橋剤を含むことを特徴とする涼感積層体。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の涼感積層体であって、
    前記涼感剤は糖アルコールを含むものであって、
    前記樹脂層の積層方向における各層の厚みは、500μm以下であることを特徴とする涼感積層体。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の涼感積層体であって、
    当該涼感積層体は、表面層と中間層と接着層の3層から形成されており、
    前記中間層の一面側が表面層、他面側が接着層であって、
    前記接着層が、衣類と接する方向へ接着可能であって、
    前記表面層および中間層は、樹脂層であり、該表面層および中間層の両方またはいずれか一方に涼感剤を含むことを特徴とする涼感積層体。
  6. 請求項5に記載の涼感積層体であって、
    前記接着層は、ウレタン系又はポリエステル系樹脂の何れか1つを含み、
    100°C〜180°Cの熱を前記接着層に加えることによって、衣類と、当該涼感積層体とを、接着することを特徴とする涼感積層体。
  7. 請求項5または請求項6に記載の涼感積層体であって、
    前記各層の積層方向における接着層の厚さは、150μm以下であることを特徴とする涼感積層体。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の涼感積層体であって、
    当該涼感積層体は、衣類へ直接印刷して形成することを特徴とする涼感積層体。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の涼感積層体であって、
    前記樹脂層のうち少なくとも1層は1液型樹脂を含み、
    前記1液型樹脂は涼感剤を有し、
    当該涼感積層体は、衣類へ直接印刷して形成することを特徴とする涼感積層体。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の涼感積層体であって、
    前記樹脂層のうち少なくとも1層に消臭剤を含むことで消臭効果が得られることを特徴とする涼感積層体。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の涼感積層体であって、
    前記涼感効果および消臭効果は、当該涼感積層体を洗濯及び/または乾燥させることでその効果が回復することを特徴とする涼感積層体。
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