JP2017008423A - コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維およびその製造方法 - Google Patents

コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単糸数が多い場合であっても引張弾性率に優れたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維およびその製造方法を提供すること。【解決手段】コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維に対して、繊維束の幅が特定範囲となるように高張力熱延伸を実施する。【選択図】なし

Description

本発明は、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維に関する。さらに詳しくは、高引張弾性率を有するコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維およびその製造方法に関する。
従来、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分を主成分としてなるパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、高強度、高引張弾性率の特徴を有することから、樹脂やゴム等の補強材用途や、ロープ等の様々な産業資材用途に用いられている。
このようなパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、一般的に、いわゆる「湿式紡糸法」あるいは「半乾半湿式紡糸法」によって製造される。すなわち、光学的に等方性の紡糸用溶液を、口金を通して押し出し、空気または不活性気体中を一旦通過させた後に、または通過させることなく直接に、凝固浴中の凝固液と接触させ、その後、水洗、乾燥、延伸等の工程を経て、最終的な繊維を得る(特許文献1参照)。
そしてこれまで、高い引張弾性率を有するコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維を得るために、様々な検討がなされている。例えば、「湿式紡糸法」あるいは「半乾半湿式紡糸法」によって製造したパラ型全芳香族コポリアミド繊維を、特定の条件で緊張熱処理する方法が報告されている(特許文献2〜4参照)。
しかしながら、構成する単糸数が多い繊維束の場合には、緊張熱処理を実施すると、繊維束が収束して加熱が不均一となり、結果として繊維束の引張弾性率はそれ程向上させることができず、現時点では、未だ十分に満足できる引張弾性率は実現できていなかった。
特開昭60−110918号公報 特開平7−166417号公報 特開平8−296116号公報 特開平8−311715号公報
本発明は、かかる従来技術を背景になされたものであり、その目的とするところは、単糸数が多い場合であっても引張弾性率に優れたパラ型全芳香族コポリアミド延伸繊維およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。そして、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維に対して、繊維束幅を特定範囲として高張力熱延伸を施すことで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、引張弾性率が665cN/dtex以上であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の物性>
[引張弾性率]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、引張弾性率が665cN/dtex以上の繊維となる。引張弾性率は、675cN/dtex以上であることが好ましく、685cN/dtex以上であることが最も好ましい。
[引張強度]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、引張強度が高い程好ましい。好ましくは25.5cN/dtex以上であり、さらに好ましくは26.0cN/dtex以上である。
[単糸数]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、単糸数が500フィラメント以上の繊維であることが好ましい。単糸数が多い場合であっても、引張弾性率が高いことが本発明の特徴であり、単糸数としては、1000フィラメント以上であることがさらに好ましく、2000フィラメント以上であることが最も好ましい。
[単糸繊度]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、単糸繊度が0.8〜6.0dtexである。単糸繊度は、1.0〜5.0dtexであることが好ましく、1.1〜4.0dtexであることが最も好ましい。
<コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維>
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の原繊維となるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維は、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを主成分とするものである。繊維中に含まれるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドは、繊維質量全体に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。
<コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの製造方法>
本発明の繊維の材料となるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドのポリマー溶液を得ることができる。
[原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの原料となる芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、テレフタル酸ジクロライドを用いる。本発明においては、芳香族環に置換基が存在していても差し支えない。また、テレフタル酸ジクロライド以外の少量のジカルボン酸ジクロライド成分を、テレフタル酸ジクロライドとともに併用してもよい。
(芳香族ジアミン成分)
コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの原料となる芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを組み合わせて用いる。本発明においては、芳香族環に置換基が存在していても差し支えない。また、パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテル以外の少量のジアミン成分を、これらとともに併用してもよい。
[原料組成比]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの製造に用いるアミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として用いることも可能である。なお、用いる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[中和反応]
反応終了後には、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加して、中和反応を実施することが好ましい。
[重合後処理等]
重合して得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドは、アルコール、水などの非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得られたポリマー溶液を、そのまま紡糸用溶液(ドープ)に調製して用いることも可能である。
一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記したコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
<コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造方法>
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の原繊維となるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得る方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、以下に記載するような半乾半湿式紡糸法を採用することができる。
[紡糸用溶液(ドープ)の調製工程]
原繊維を得るにあたっては、先ず、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調製する。紡糸用溶液(ドープ)を調製する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により調製することができる。
ここで、紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いる溶媒としては、上記したコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの重合に用いられる溶媒であって、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドおよびその他の任意成分を溶解または分散させることのできる溶媒であることが好ましい。なお、用いられる溶媒は、1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。
コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま紡糸用溶液(ドープ)として用いることも可能である。
さらに、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。任意成分を配合する場合には、紡糸用溶液(ドープ)の調製において導入することができる。その他の任意成分としては、無機塩、繊維状または粉末状等の充填剤、酸化防止剤、耐候剤、染料、帯電防止剤、難燃剤、導電性ポリマー、その他の重合体等を挙げることができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ルーダーやミキサ等を使用して導入することも可能である。
紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの濃度は、0.5質量%〜30質量%の範囲とすることが好ましく、1質量%〜25質量%の範囲とすることがより好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないことから紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、口金の吐出孔から吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり、安定的に紡糸することが困難となる。
[紡糸・凝固工程]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の原繊維となるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造においては、上述の如く調製された紡糸用溶液(ドープ)を用いて、エアギャップを設けた半乾半湿式紡糸法によって繊維を成形することが好ましい。すなわち、先ず、上記で得られた紡糸用溶液(ドープ)をノズルから吐出し、続いて、凝固浴中の凝固液に接触させて、可塑化状態にある凝固糸を形成する。
凝固浴としては、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの貧溶媒が用いられるが、紡糸用溶液(ポリマードープ)の溶媒が急速に抜け出して、得られる凝固糸に欠陥ができないように、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。貧溶媒としては水、良溶媒としてはコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド用の溶媒を用いることが好ましい。良溶媒/貧溶媒の質量比は、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの溶解性や凝固性にもよるが、15/85〜40/60の範囲とすることが好ましい。
[水洗工程]
次に、紡糸・凝固工程で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、水を用いて糸中のNMPを拡散させ、糸中から除去することを目的とする。糸からNMPを十分に除去できれば、温度や水洗時間等の水洗条件は、特に限定されるものではない。
[乾燥工程]
次に、水洗後の糸を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はないが、作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲とすることが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置や、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
[熱延伸工程]
次に、乾燥後の繊維を熱延伸する。この工程は、繊維に熱を付与することで、分子構造を緻密化するとともに、延伸することで分子の配向を促して、物性を向上させることを目的とする。このときの熱延伸温度は、300〜600℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは320℃〜580℃、最も好ましくは350〜550℃の範囲である。熱延伸温度が300℃未満の場合には、糸の延伸が十分に得られず好ましくない。一方で、600℃を超える場合には、ポリマーの熱分解が起こるために繊維が劣化し、機械的物性が著しく低下する。
熱延伸工程における延伸倍率は、5倍〜15倍とすることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。またこの熱延伸工程は、必要に応じて多段階に分けて行っても特に差し支えはない。
[巻取工程]
次に、ワインダーによって巻き取る。この際、ワインダーに巻き取る直前に、必要に応じて、繊維に対して帯電抑制や潤滑性等を付与する目的で油剤を付与しても特に差し支えなく、その場合、付与する油剤の種類や量等は特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま適用することができる。また、ワインダーでの巻取方法および巻取条件については、特に限定されるものではなく、公知のワインダーを用いて、条件を適宜調整して巻き取ることができる。
<コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造>
[高張力熱延伸工程]
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を得るためには、上記のような方法で得られた原繊維となるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維に対して、繊維束の幅を特定範囲として高張力熱延伸を施す。
この高張力熱延伸工程は、高張力下で熱延伸することで、分子の配向をさらに促して、物性を向上させることを目的とする。本発明においては、繊維束の幅を特定範囲として十分に開繊できれば、装置及び条件は、特に限定されるものではない。
なお、上記の原繊維を製造するための熱延伸工程後に、本発明に係る高張力熱延伸工程を連続的に実施しても特に差し支えない。
(繊維束の幅)
高張力熱延伸工程においては、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維に対して、繊維束の幅を以下の式(1)を満足させるように高張力熱延伸することが必須である。
繊維束の幅(mm)≧ 単糸直径(mm)×単糸数(本)/3 (1)
なお繊維束の幅は、式(2)を満足させることが好ましく、式(3)を満足させることが最も好ましい。
繊維束の幅(mm)≧ 単糸直径(mm)×単糸数(本)/2 (2)
繊維束の幅(mm)≧ 単糸直径(mm)×単糸数(本)/1 (3)
(温度)
高張力熱延伸工程における温度は、50〜450℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは100℃〜425℃、最も好ましくは150〜400℃の範囲である。温度が50℃未満の場合には、張力を付与しても単なる弾性変形しか起こらず、張力を除くと直ちに延伸前の形態に戻るため、引張弾性率の向上に寄与しない。一方で、450℃を超える場合には、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの熱分解が起こるばかりでなく、擬似的な熱可塑状態となって延伸時に高い張力を掛けることが困難となり、その結果、機械的物性が向上しなくなるため望ましくない。
(張力)
高張力熱延伸工程における張力は、30〜60Nの範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは35〜55N、最も好ましくは40〜50Nの範囲である。張力が30N未満の場合には、分子配向の形成が小さく引張弾性率の向上が小さくなる。一方で、60Nを超える場合には、繊維中の単糸一部が破断して品位が低下するだけでなく、繊維中の引張断糸率に寄与する有効な単糸数が減少し、引張弾性率が低下するため望ましくない。
(延伸倍率)
高張力熱延伸工程における延伸倍率は、1.01倍〜1.20倍とすることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。またこの熱延伸工程は、必要に応じて多段階に分けて行っても特に差し支えはない。
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)繊維の繊度
得られた繊維束を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値、すなわち10000mあたりの質量を、繊度(dtex)として算出した。
(2)繊維の引張弾性率及び引張強度
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
撚り係数 :1
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
<実施例1>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
紡糸用溶液(ポリマードープ)として、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド)の濃度6質量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液を準備した。
紡糸用溶液(ポリマードープ)を105℃に加熱し、穴径0.3mm、穴数が1000の紡糸口金を取り付けて105℃に加熱した紡糸パックに送液し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度が30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させ、ポリマーが凝固した凝固繊維束を得た(湿式法)。
次いで、55℃に調整した水洗浴に、凝固繊維束を通過させて水洗を行った後、200℃の乾燥ローラーにて乾燥させた。
次いで、繊維束の乾燥後、380℃で1段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は2.4倍であった。引き続き、530℃で2段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は4.0倍であった。さらに、400℃で3段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は1.02倍であった。
得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表1に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
次いで、得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維に対して、非接触熱処理炉を用いて高張力熱延伸を行った。このときの張力は50N、温度は300℃、延伸倍率は1.04倍とした。高張力熱延伸工程における繊維束の幅は12mmとした。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表1に示す。
Figure 2017008423
<実施例2>
高張力熱延伸工程における繊維束の幅を8mmとした以外は、実施例1と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表1に示す。
<実施例3>
高張力熱延伸工程における繊維束の幅を4mmとした以外は、実施例1と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表1に示す。
<実施例4>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
紡糸口金の穴数を500とした以外は、実施例1と同様にしてコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得た。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表1に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
次いで、高張力熱延伸工程における繊維束の幅を10mmとした以外は、実施例1と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表1に示す。
<実施例5>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
紡糸口金の穴数を1500とした以外は、実施例1と同様にしてコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得た。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表1に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
次いで、高張力熱延伸工程における繊維束の幅を10mmとした以外は、実施例1と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表1に示す。
<比較例1>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
実施例1と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得た。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表2に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
高張力熱延伸工程における繊維束の幅を3mmとした以外は、実施例1と同様にしてコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表2に示す。
Figure 2017008423
<比較例2>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
実施例4と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得た。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表2に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
高張力熱延伸工程における繊維束の幅を2mmとした以外は、実施例4と同様にしてコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表2に示す。
<比較例3>
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の製造]
実施例5と同様にして、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維を得た。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維の繊度、フィラメント数、単糸直径を、表2に示す。
[コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造]
高張力熱延伸工程における繊維束の幅を4mmとした以外は、実施例5と同様にしてコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維を製造した。得られたコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の各物性を、表2に示す。
本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、引張弾性率に優れた繊維となる。また同時に、繊維を構成する単糸の破断が抑制されているため、引張強度の高い繊維となる。したがって、本発明のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維は、様々な産業資材用途で有用であり、ゴムや樹脂等の補強材用途やロープ用途等において特に有用である。

Claims (5)

  1. 引張弾性率が665cN/dtex以上であるコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維。
  2. 引張強度が25.5cN/dtex以上である請求項1記載のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維。
  3. コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド原繊維に、繊維束の幅が式(1)を満たすよう高張力熱延伸を実施する、請求項1または2記載のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造方法。
    繊維束の幅(mm)≧単糸直径(mm)×単糸数(本)/3 (1)
  4. 前記高張力熱延伸は、温度50〜450℃の範囲で実施する、請求項3記載のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造方法。
  5. 前記高張力熱延伸は、張力30〜60Nの範囲で実施する、請求項3または4記載のコポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド延伸繊維の製造方法。
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