JP2017005631A - テラヘルツ波導波回路 - Google Patents

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学 小熊
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幹隆 井藤
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隆司 郷
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修一郎 浅川
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Abstract

【課題】量産に適したテラヘルツ波用の導波路作製技術はまだ存在していない。特に1THzよりも低い周波数のテラヘルツ波領域では、導波路の短辺が数100μm程度まで長くなるため、導波路を形成するときの加工深さに関連する問題は深刻であって、テラヘルツ波用の集積回路を実現するときの大きな障害となっていた。【解決手段】本発明のテラヘルツ波導波回路では、2枚の基板を貼り合わせて中空構造の導波路を形成することで、形成が必要な溝の深さが従来技術の半分で済む。溝形成時の加工ズレ量を半分に抑制できる。これによって、中空構造の導波路を利用して作製されたフィルタでは、中心波長ズレを半分に抑制し、反射減衰量を抑制した導波回路を実現できる。さらに、溝を加工中の熱衝撃や導波回路を使用中の振動衝撃によって導波回路が割れてしまう問題が避けることもできる。より薄く、価格の安いSi基板などを選択可能となり、より低い周波数側のテラヘルツ波領域用の導波回路も実現可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、テラヘルツ帯の電磁波を導波する導波路およびそれを用いた集積回路に関する。
テラヘルツ波は、電波(マイクロ波)と光の中間領域にある電磁波であって、明確な定義はないが、周波数がおおよそ0.1THz〜10THzの範囲の電磁波として知られている。電波や光と比べれば充分な利用には至っていない未開拓な電磁波とも言われている。テラヘルツ波を用いると、樹脂材料、医薬品、生体などの有機物の定量分析や透過画像撮影が可能であり、さまざまな分野でテラヘルツ波の応用が盛んになってきている。しかしながら、現在のテラヘルツ波の応用システムでは、透過率や透過率スペクトル、すなわちテラヘルツ波の強度計測をベースにしたものに止まっている。テラヘルツ波のコヒーレンシー(可干渉性)を生かした誘電率の高精度な計測や、干渉を用いた高感度な透過イメージ取得には未だ至っていない。
テラヘルツ波の利用に関するこのような状況は、テラヘルツ波の生成・検出そのものが難しく、近年になってようやくテラヘルツ波の生成・検出が実現されたばかりである事情がある。このように、テラヘルツ波の利用は未成熟な段階ではあるが、特定の分野においては、例えば透過画像撮影装置が実用化されていることを考えれば、テラヘルツ波の社会的なニーズはかなり高いものであると見ることができる。テラヘルツ波の応用研究は今後さらに大きく発展していくと考えられる。
現時点のテラヘルツ波を利用する大半の計測器には、テラヘルツ光源と検出器との間に被検査物体を置くような簡単な構成のものが多い。さらにより複雑な構成を持つ様々な発展型システムも期待されている。例えば、スイッチを用いてテラヘルツ波のビーム光路を切り替えて複数点を短時間で連続して計測したり、広帯域テラヘルツ波の中から特定の周波数のみを選択してサンプルに照射したりする構成が注目されている。
このようなテラヘルツ波の発展型システムへの応用をさらに促すためには、フィルタリングや方路切り替えなど、テラヘルツ波そのものを操作する基盤技術をさらに充実させる必要がある。同じ電磁波でも、光やマイクロ波の領域では、導波路/導波管技術により波長(周波数)フィルタ、スイッチなどの機能が小型高性能で既に実現され、しかも1つの基板上に複数個分の機能が集積化されているケースもある。1つの基板上への集積化技術は、単に小型、低コストで量産性に優れているなどのメリットだけでなく、例えば被計測光および参照光の光路長を安定に保って振動の影響を全く受けない干渉型の計測系を実現できるなど、特性の飛躍的な向上にも役立つ。
G. Chattopadhyay, et al., "Submillimeter-Wave 90° polarization Twists for Integrated Waveguide Circuits"., The IEEE Microwave and Wireless Components Letters., vol. 20 no. 1, pp. 592-594 (2010) C. A. Leal-Sevillano, et al., "Silicon Micromachined Canonical E-Plane and H-Plane Bandpass Filters at the Terahertz Band"., The IEEE Microwave and Wireless Components Letters., vol. 23 no. 6, pp. 288-290 (2013) Y. Miura, et al., "A 60GHz Double-layer Waveguide Slot Array with more than 32dBi and 80% Efficiency over 5GHz Bandwidth Fabricated by Diffusion Bonding of Laminated Thin Metal Plates"., IEEE Antennas and Propagation Society International Symposium, pp. 1-4 (2010)
しかしながら、テラヘルツ波を利用する導波回路を面基板上に形成した集積化回路の実現に向けた取り組みは進んでいない。その主な理由には、テラヘルツ波の波長の値自体に起因する制限がある。先にも述べたように、テラヘルツ波はおおよそ0.1THz〜10THzの範囲の電磁波と言われているので、典型的な周波数を1THzとした場合、その空間波長は300μmとなる。このテラヘルツ波の波長に合わせて、マイクロ波と同様のシングルモードの中空導波管を作製する場合、管内の寸法は270μm×135μmとなる。このような数100μmサイズの中空導波管を機械加工切削によって切削して作ることも不可能ではないが、特殊なエンドミルを用いて高精度に作製する必要がある。当然に複数の導波回路を集積化するのは難しく、量産性も無い(非特許文献1)。
また、半導体産業で用いられているフォトリソグラフィおよびドライエッチングなどの加工法によっても、上記のサイズの中空導波管を作製するのはやはり難しい。フォトリソグラフィおよびエッチング技術は、ミクロンからサブミクロン程度のサイズのパターンの作製において、精度と量産性に非常に優れている。しかしながら、深さ方向に数100μmもの加工が必要な深溝の加工には向いておらず、長時間の加工が必要になる(問題1)。また、加工深さに対して十分な厚さを持つ基板を用いない場合、エッチング加工中の熱衝撃やダイシング中の振動衝撃で基板が割れてしまう(問題2)。深溝の加工に関しては、エッチング・モードおよびパッシベーション・モードを交互に繰り返すBOSH法が提案されている。この方法によっても、100μm前後の幅および深さを持つ溝の加工には、溝幅における数μmの誤差や数度の側壁傾斜誤差が発生する(問題3)。結果として、フォトリソグラフィおよびエッチング技術を利用して作製した導波路型フィルタにおいて、反射減衰量が10dB劣化したり、中心周波数が2〜3割も設計値からずれてしまったりなどの、集積化を難しくする特性上の問題が報告されている(非特許文献2)。
テラヘルツ波よりもやや周波数の低いミリ波領域の先行例として、厚さ0.3mm程度の金属板を加工し、これを数層重ねて貼り合わせることによって中空導波を作製した報告もある(非特許文献3)。しかし、この貼合わせによる作製方法をテラヘルツ波領域の導波路に適用するには、基板材料に特殊な性能を持ったものが必要になり、高価であって量産性に欠けることになる。基板の入手性や量産技術の蓄積を考えれば、テラヘルツ波においても、一般の集積回路に利用されているシリコンウェファ基板などを利用できるのが好ましい。上述の貼合わせによる作製方法では、集積化する導波回路を内包できる程度の面積を持ち(条件1)、通常のシリコン基板(例えば500μm)よりも1桁から1桁以上薄く(条件2)、さらには、機械加工および貼合わせ作業に耐え得る強度・剛性(条件3)を持った特殊な金属板が必要となる。高い剛性をもつ金属は種類が限られることから、貼合わせ法によるテラヘルツ波用の中空導波路が実現できたとしても、結局高価なものになってしまう。
上述のように、量産に適したテラヘルツ波用の導波路作製技術はまだ存在していないのが現状である。特に、上で検討した1THzよりも低い周波数のテラヘルツ波領域では、導波路の短辺が数100μm程度にまでさらに長くなるため、導波路を形成するときの加工深さの問題はより深刻であって、テラヘルツ波用の集積回路を実現するときの大きな障害となっている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、テラヘルツ波導波路を含む集積回路を、低コストで量産性良く実現できる導波回路を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、導波回路パターンの溝が形成された第1の基板と、前記導波回路パターンと対称な形状を有する、対応する導波回路パターンの溝が形成された第2の基板であって、前記第1の基板上の前記導波回路パターンの溝と、前記対応する導波回路パターンの溝とが対向するように、前記第1の基板と重ね合わせられ、前記対向する2つの溝によって中空構造の導波路が形成される、第2の基板とを備え、少なくとも、前記第1の基板および前記第2の基板上に形成された前記中空構造の導波路の表面に金属膜が形成されていることを特徴とする導波回路である。
上述の第1の基板上の導波路パターンと、第2の基板上の対応する導波路パターンは、鏡面対称な形状を持つ。尚、ここで言う鏡面対称とは、2つのパターンの間の対称線上に鏡を置いたときに、一方のパターンが、鏡の中に写される他方のパターンの鏡像と一致する関係にあることを意味する。
請求項2に記載の発明は、請求項1の導波回路であって、前記第1の基板上の前記導波回路パターンの溝の深さと、前記第2の基板上の前記対応する導波回路パターンの溝の深さが概ね等しく、前記溝の深さ方向は、前記中空導波路の短辺方向であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の導波回路であって、前記中空構造の導波路は、テラヘルツ波領域の信号を伝搬可能なサイズを持ち、前記第1の基板および前記第2の基板はシリコン基板であって、前記溝はフォトリソグラフィおよびドライエッチング法によって形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3いずれかの導波回路であって、重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の前記中空構造の導波路において、前記導波回路の内部の導波路幅よりも徐々に広がる開口部構造を備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3いずれかの導波回路であって、重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空導構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、外部からの入力信号または外部への出力信号の反射光を前記基板の外部に反射・散乱する傾斜壁構造を持つことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3いずれかの導波回路であって、重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、前記中空構造の導波路の断面構造に対応する前記導波回路の動作波長の4分の1となる奥行き長さ持ち前記中空構造の導波路の方向に沿って伸びた1つ以上の空洞をさらに備えたことを特徴とする。
本発明のテラヘルツ波導波回路によれば、従来技術と比べて、導波路などの構造の加工誤差を半分に抑制し、その結果、フィルタの中心波長ズレや、反射減衰量の増加を抑制することができる導波回路を実現する。さらに加工中の熱衝撃や導波回路使用中の振動衝撃による導波回路の破損を避けることができるので、より薄く価格の安い基板を選択可能となる。導波路サイズがさらに大きい、より低い周波数側のテラヘルツ波領域用の導波回路も実現可能となる。
図1は、本発明の実施例1のテラヘルツ波導波回路の構成を示す図である。 図2は、本発明の導波回路を構成する2つの基板のより詳細な構造を示した図である。 図3は、本発明の実施例2のテラヘルツ波導波回路の構成を示す図である。
本発明のテラヘルツ波導波回路によれば、2枚の基板を貼り合わせて中空構造の導波路を形成することにより、形成が必要な溝の深さが半分で済む。そのため溝を形成時の加工ズレ量を半分に抑制できる。その結果、中空構造の導波路を利用して作製されたフィルタの中心波長ズレを半分に抑制し、反射減衰量を抑制した導波回路を実現できる。さらには溝を加工中の熱衝撃や導波回路を使用中の振動衝撃によって導波回路が割れてしまう問題が避けることができる。より薄く、価格の安い基板を選択可能となり、より低周波数側のテラヘルツ波領域用の導波回路を実現可能となる。以下の説明では、光と電波の中間的領域にあるテラヘルツ波を伝搬させるため、中空構造の導波路を含む回路を「導波回路」と呼んでいるが、「導波路回路」と同じ意味で使用している。
以下、図面を参照しながら本発明のテラヘルツ波導波回路の実施例を詳細に説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1のテラヘルツ波導波回路の構成を示す図である。図1の(a)は、導波回路10の全体を見た斜視図であり、図1の(b)は、A−A´線を通る導波路断面を見た図である。図1の(a)に示す様に導波路1は中空導波路であり、その大きさ(内寸)は横280μm、高さ140μmである。導波回路10で使用するテラヘルツ波の周波数を1THzと想定してこの値とした。使用する周波数に応じて導波路の断面サイズを変化させる必要があるのは、マイクロ波の導波管と同様である。図1の(b)の断面図からわかるように、中空構造の導波路1は、下部基板2上に形成された第1の溝と、上部基板3上に形成された対応する第2の溝を対向させて重ね合わせることによって実現している。下部基板2および上部基板3が対向して重ね合わされる面上には、金属膜4が形成されている。金属膜4の詳細な構成については、後述する。
したがって、本発明のテラヘルツ波導波回路は、導波回路パターンの溝(5a)が形成された第1の基板(2)と、前記導波回路パターンと対称な形状を有する、対応する導波回路パターンの溝(5b)が形成された第2の基板(3)であって、前記第1の基板上の前記導波回路パターンの溝と、前記対応する導波回路パターンの溝とが対向するように、前記第1の基板と重ね合わせられ、前記対向する2つの溝によって中空構造の導波路が形成される、第2の基板とを備え、少なくとも、前記第1の基板および前記第2の基板上に形成された前記中空構造の導波路の表面に金属膜(4)が形成されているものとして実施できる。
上述の第1の基板2上の導波路パターンと、第2の基板3上の対応する導波路パターンは、鏡面対称な形状を持つ。尚、ここで言う鏡面対称とは、2つのパターンの間の対称線上に鏡を置いたときに、一方のパターンが、鏡の中に写される他方のパターンの鏡像と一致する関係にあることを意味している。例えば、図2(c)の基板2と図2(d)の基板3との間の中間に鏡を置いて、基板2を写したとき、基板3のパターンが、基板2のパターンの鏡像になっている関係にある。
図2は、本発明の導波回路を構成する2つの基板のより詳細な構造を示した図である。図2の(c)、(d)は、それぞれ下部基板2、上部基板3の溝が形成される面を見た図であり、図2の(a)、(b)は、下部基板2のA−A´線、上部基板3のB−B´線を含む断面図である。図2の(c)、(d)を見ればわかるように、2つの基板2、3の中間に折り返し線を仮想して、左右を合わせて対向させれば、2つの基板面上の溝5a、5bの各パターンは完全に重なり、鏡面対称の導波回路パターンとなる。溝5a、5bの深さはいずれも70μmであり、2枚の基板2、3を貼り合わせることによって、中空部の基板厚さ方向(短辺方向)の高さを140μmとした。
したがって、本発明のテラヘルツ波導波回路では、第1の基板上の導波回路パターンの溝の深さと、第2の基板上の前記対応する導波回路パターンの溝の深さが概ね等しく、前記溝の深さ方向は、前記中空導波路の短辺方向となる。図2の構成では、2つの基板における溝5a、5bの深さを同じものとして説明したが、極端に差異が無い限りは、他の必要性から、溝の深さが異なっていても良い。
2つの基板2、3の材料は半導体産業で一般に用いられているシリコンを採用し、基板厚さは価格が低廉な525μmのものを選択した。深さ70μmの溝5a、5bの形成には、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを用いた。使用したエッチング条件では、深さ70μmの溝を加工するのには約3.5時間のエッチング時間が必要であった。本発明の導波回路の構成によれば、従来技術で1枚の基板上の深溝を一気に形成する場合と比べて、形成する溝の深さが半分で済む。このため、チャンバーの清掃などの前処理時間を含めても1日内に加工を終了する工程を実現することが可能となり、実際の製造プロセス上の工程管理が簡単となった。フォトリソグラフィを利用するためには、2つの基板に対して、鏡面対称の関係にある2枚のフォトマスクが必要となる。CAD等を利用して、第1の基板のための1枚(下部基板2)のフォトマスクのパターン設計を行えば、第2の基板のためのもう1枚(上部基板3)のフォトマスクについては、CADの電子データ上でパターンを反転すれば良く、実際の設計工程上での手間やコストの増加はない。
また、2つの基板2、3の溝5a、5bの部分を含む基板面上には、金属膜4として金を蒸着した。中空導波路/導波管の内壁を金属とすることによって電磁波を中空内に閉じ込める機能に加え、金属膜4は、下部基板2と上部基板3とを熱圧着する際の接着層としても機能する。図1、図2に示した実施例1では、基板面上の全面に金属膜を蒸着した構成としたが、金属の材料コストを削減したい場合には溝5a、5bの内部および溝5a、5bの近傍のみに金を蒸着して、残りの基板面上の部分では、接着剤を用いて2枚の基板の貼り合わせても良い。
本実施例においては、簡単のため基板面上にU字型の導波路が1本だけある導波回路パターンとなっているが、これだけに限られない。本発明の2つの基板面上に鏡面対称に形成された対応する導波回路パターンの溝を重ね合わせて構成された中空導波路を持つ本発明の導波回路を用い、多数の導波路からなる導波回路パターンを持つ、例えばマッハツェンダー干渉計型やアレイ導波路回折格子型の周波数フィルタなどの様々なテラヘルツ波導波回路を実現できるのは言うまでもない。
また図1の(a)の斜視図には描いていないが、例えば、図2の(c)、(d)に示した基板端面6a、6bには、金属膜が施されることが望ましい。テラヘルツ波は、導波路の一方の入り口、例えば、図2の(c)、(d)における上辺の端面6a、6bの開口部から入力される。基板材料が高抵抗シリコンの場合、テラヘルツ波の吸収が低く、導波路入口以外の部分からテラヘルツ波が侵入したときに基板内をテラヘルツ波が伝搬してしまうのを防止するためである。
上述のように、2つの基板面上に鏡面対称に形成された対応する導波回路パターンの溝を重ね合わせて構成される本発明の導波回路によれば、従来技術のように一度に深い溝を形成する場合と比べて、加工が必要な溝の深さが半分で済む。したがって、深い溝を形成するために必要なエッチング時間が半分で済む。さらに、溝の深さが半分で済むため、エッチング加工中の熱衝撃やダイシング中の振動衝撃で割れてしまう可能性を抑えるとともに、より薄い基板を使用することも可能となる。さらには、BOSH法などを用いてエッチングをした場合に依然として生じていた、溝幅における数μmの誤差や数度の側壁傾斜誤差を半減させることができる。
溝加工と溝の側面補強を交互に行うBOSH法などの深堀りエッチング技術では、溝のエッチング加工が進んでいくときのマスクギャップの誤差や、側壁傾斜角度に起因して生じる溝幅の誤差などは、概ね加工する溝の深さに比例する。したがって、溝の深さを半分にできれば、片方の基板の溝で生じる最大誤差を半分にできる。2つの基板を重ね合わせて得られる導波路の幅の最大誤差も概ね半分に抑えることができる。
本実施例では、基本的な導波回路の構造および作製方法に焦点を当てて説明してきたが、次の実施例では、導波回路内に導入するテラヘルツ波信号の反射の影響を減らす構造を提示する。
[実施例2]
図3は、本発明の実施例2のテラヘルツ波導波回路の構成を示す図である。図3の(a)〜(c)はいずれも、導波回路の導波路入口の近傍に信号発生器への信号反射防止構造を設けた導波回路を示す。いずれの図も、2枚の基板の内の1枚について、導波路の溝を形成した面上で、基板周辺部の導波路入り口の近傍における導波回路パターンを示している。一般に信号発生器から発生するテラヘルツ波は球面上に広がるので、導波回路内へ入力する前にレンズ(例えば、高密度ポリエチレンレンズ)を用いて波面が平らなコリメート波(以下ビームと呼ぶ)とする。図3の(a)を参照すると、ビーム25の直径(強度が中心ピークのe2分の1に減少する幅を言う)が導波路21の幅と一致していない場合、テラヘルツ波の電力の一部が基板の開口部から内部の導波路21に入らず基板端面20で反射してしまう。ビームの入力する位置がずれた場合も同様に反射が生じる。このような反射ビームは、図示してない信号発生器へ戻ることになる。この戻りビームは信号発生器の動作上の不安定要因となり望ましくないため、導波路入口付近に信号発生器への反射を防止する構造を設ける必要がある。上述の導波路入力側の場合と同様に、テラヘルツ波導波回路の出力側においても、後段のデバイスからの戻り信号(ビーム)は、導波回路の動作に影響を与える可能性がある。
図3の(a)は、信号反射防止の構造の第1の構成例であって、導波路入口付近の導波路開口部22の幅を導波回路内部の導波路21の幅Wと比べてテーパ状に広げ、ビーム25の直径よりも確実に導波路の開口部22の幅を大きくした構造を持つ。具体的には、実施例1の1THzのテラヘルツ波の場合、2つの基板の開口部22の深さを導波路と同じ70μmとして、開口部22の最大幅を1500μm、テーパ状に幅が変化している部分の導波路方向長さを1300μmとすることができる。テーパ部分22の形状を最適に設定して、反射減衰量が最小となるように各寸法を決定できる。開口部22の深さを70μm以上にしても良い。
開口部22の形状は、基板周辺部に向かって広がるテーパ状だけに限られず、信号発生器からのテラヘルツ波を導波路21内へ導くことができるものであれば良い。したがって、本発明の導波回路において、重ね合わされた第1の基板2および第2の基板3の端面近傍の、中空構造の導波路において、前記導波回路の内部の導波路幅よりも徐々に広がる開口部構造(22)を有することが好ましい。
図3の(b)は、信号反射防止の構造の第2の構成例であって、導波路入口付近に導波路開口部の範囲からはみ出して入力されたテラヘルツ波を信号発生器から外れた方向に散乱・反射させて信号発生器へは戻さない反射壁構造23a、23bを設けた構造を持つ。導波路入口付近に設置した斜めの壁23aおよび23bによって、入射テラヘルツ波信号のビーム25のはみ出した部分を、左右斜め方向への散乱信号29a、29bとして跳ね除けることができる。散乱信号の方向はビーム25の到来方向から外れているため、信号発生器へ戻ることはなく信号発生器の動作を不安定にすることはない。
より具体的には、反射壁構造23a、23bの傾斜角度は、導波路の方向から40°程度斜めの構造とすることができる。形成する導波路の開口角を考慮して、戻りビームのレベルを下げる傾斜角度を決定すれば良い。したがって、本発明の導波回路において、重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空導構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、外部からの入力信号または外部への出力信号の反射光を前記基板の外部に反射・散乱する傾斜壁構造(23a、23b)を持つこともできる。
図3の(c)は、信号反射防止の構造の第3の構成例であって、導波路入口付近の開口部の両側に、基板端面に沿って1つ以上の空洞24a〜24fを設けた構造を持つ。これらの空洞24a〜24fの各々は、導波路21の形成された方向と同じ方向に、動作波長の4分の1となる長さDを持っている。信号発生器からのビーム25の一部は、開口部脇の基板の端面で反射波27として戻るが、空洞内に導かれたビームは、空洞の奥で反射して、反射ビーム28は空洞内を往復するうちに反射波27よりも1/2波長だけ長い伝搬距離を進むことになる。2つの反射波27、28間の位相は180度ずれており、相互に逆相の関係となって干渉して消失するため、反射波は信号発生器には戻らない。したがって、使用するテラヘルツ波の周波数(波長)に合わせて、空洞の長さDを決定すれば良い。また、1/2波長と云う極めて短い距離ではあるが、上記の空洞24a〜24fに導かれたビームは空洞内を伝搬する必要があるので、空洞の幅は、導波路と同程度(七割)以上の幅があることが望ましい。空洞の数は、反射ビームの発生状況に応じて、両脇に1個ずつでも良いし、2個以上を配置しても良い。
具体的には、導波路と空洞との識別も考慮に入れて空洞24a〜24fの幅を250μm、隣り合う空洞同士の距離を20μm、繰り返し距離を270μmとした。したがって、本発明の導波回路において、重ね合わされた第1の基板および第2の基板の端面近傍の、中空構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、前記中空構造の導波路の断面構造に対応する前記導波回路の動作波長の4分の1となる奥行き長さ持ち前記中空構造の導波路の方向に沿って伸びた1つ以上の空洞(24a〜24f)をさらに備えることもできる。
実施例2の信号発生器への反射防止構造を実施例1のテラヘルツ波導波回路と併用することで、導波回路の入口または出口におけるテラヘルツ波の反射を防止できる。このため、反射減衰量特性を含めた特性の良い導波回路の実現が可能となる。上述の導波回路の信号の入り口側の反射防止構造として説明をしたが、既に述べたように同様の構造を導波路出口側にも設けるのが望ましい。テラヘルツ波の導波回路は、テラヘルツ波をさらに操作する後段のデバイスなどに接続されることが多い。このため、導波回路の出力側にも反射防止構造がないと、テラヘルツ検出器などの後段にあるデバイスと導波路出口端面の間をテラヘルツ波が往復し、定在波が発生する可能性があるからである。
図3の各図に示した実施例2の各反射防止構造は、実施例1で説明した2つの基板内部の中空導波路と同様に、2つの基板の面上にそれぞれ対応する鏡面対称のパターンを形成して、2つの基板を対向させて重ね合わせることで、中空導波路と同時に形成することができる。したがって、実施例1と同様に、加工が必要な反射防止構造の各部分の深さが半分で済む。深い溝などを形成するために必要なエッチング時間が半分で済み、エッチング加工中の熱衝撃やダイシング中の振動衝撃で基板が割れてしまう可能性も低くなる。より薄い基板を使用することも可能となり、BOSH法などを用いてエッチングをした場合に生じていた、溝幅の数μmに及ぶ誤差や数度の側壁傾斜誤差も半減させることができる。
以上述べたように本発明のテラヘルツ波導波回路によって、従来技術と比べて、導波路などの構造の加工誤差を半分に抑えることができる。その結果、フィルタの中心波長ズレや、反射減衰量の増加を抑制した導波回路を実現する。導波路の加工中または使用中の基板破損を避け、より薄く価格の安い基板を選択可能となる。集積化と量産性に優れたテラヘルツ波導波回路の構成を提供して、さらに高度なテラヘルツ波の応用に役立つことができる。
本発明は、一般的に電磁波の干渉を利用した計測、分析システムなどに利用できる。特に、通信システムや定量分析システム、透過画像撮影システムなどに利用できる。
1、21 導波路
2、3 基板
4、4a、4b 金属膜
5a、5b 溝
10 導波回路
20 基板端面
22 開口部
23a、23b 反射壁
24a〜24f 空洞
25 入力ビーム
27、28、29a、29b 反射ビーム

Claims (6)

  1. 導波回路パターンの溝(5a)が形成された第1の基板(2)と、
    前記導波回路パターンと対称な形状を有する、対応する導波回路パターンの溝(5b)が形成された第2の基板(3)であって、前記第1の基板上の前記導波回路パターンの溝と、前記対応する導波回路パターンの溝とが対向するように、前記第1の基板と重ね合わせられ、前記対向する2つの溝によって中空構造の導波路が形成される、第2の基板と
    を備え、
    少なくとも、前記第1の基板および前記第2の基板上に形成された前記中空構造の導波路の表面に金属膜(4)が形成されていることを特徴とする導波回路。
  2. 前記第1の基板上の前記導波回路パターンの溝の深さと、前記第2の基板上の前記対応する導波回路パターンの溝の深さが概ね等しく、前記溝の深さ方向は、前記中空導波路の短辺方向であることを特徴とする請求項1に記載の導波回路。
  3. 前記中空構造の導波路は、テラヘルツ波領域の信号を伝搬可能なサイズを持ち、前記第1の基板および前記第2の基板はシリコン基板であって、前記溝はフォトリソグラフィおよびドライエッチング法によって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の導波回路。
  4. 重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空構造の導波路において、前記導波回路の内部の導波路幅よりも徐々に広がる開口部構造(22)をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の導波回路。
  5. 重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空導構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、外部からの入力信号または外部への出力信号の反射光を前記基板の外部に反射・散乱する傾斜壁構造(23a、23b)を持つことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の導波回路。
  6. 重ね合わされた前記第1の基板および前記第2の基板の端面近傍の、前記中空構造の導波路の端部において、前記端部の開口部に隣接して、前記中空構造の導波路の断面構造に対応する前記導波回路の動作波長の4分の1となる奥行き長さ持ち前記中空構造の導波路の方向に沿って伸びた1つ以上の空洞(24a〜24f)をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の導波回路。
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