JP2017004639A - 有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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礼隆 遠藤
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秀謙 尾方
麻絵 伊藤
Asae ITO
麻絵 伊藤
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Akiko Iwata
晶子 岩田
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Abstract

【課題】高い発光効率が得られる有機EL装置を提供する。【解決手段】本発明の有機EL装置1は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられた発光体層を含む有機層と、有機層の一方の側に設けられ、発光体層から射出された光を反射する第1反射層と、有機層を挟んで第1反射層とは反対側に設けられ、発光体層から射出された光の一部を反射し、発光体層から射出された光の他の一部を透過する第2反射層と、を備える。第1反射層と第2反射層とによって共振器構造が構成され、第1反射層と第2反射層との間の光学距離は、発光体層の発光スペクトルにおける2つ以上の異なる波長の光のいずれに対しても共振条件を満たす光学距離に略一致する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置においては、色純度や光の取り出し効率を向上させる目的で、発光層から射出された光を一対の反射層の間で多重反射させて共振させる構造、いわゆる共振器構造が提案されている。共振器構造は、マイクロキャビティ構造と呼ばれることもある。発光層から射出された光が一対の反射層の間で共振すると、発光スペクトルが急峻になるとともに光強度が増大する、という効果が得られる。なお、エレクトロルミネッセンス(Electro-Luminescence)を以下、「EL」と略記する。
例えば下記の特許文献1には、低消費電力化を図る目的で、少なくとも青色波長域の光と緑色波長域との双方に発光スペクトルを有する燐光材料を含む青緑色燐光発光層を用いた有機EL装置が開示されている。特許文献1には、青色の光が共振するように共振器構造を設計することにより有機EL部からの光を青緑色から青色にすることができ、緑色の光が共振するように共振器構造を設計することにより有機EL部からの光を青緑色から緑色にすることができる、と記載されている。
国際公開第2013/073611号
特許文献1で用いられている青緑色燐光材料は、発光スペクトルのピークの半値幅が広いという特性を有する。このような青緑色燐光材料に共振器構造を適用した場合、低い発光効率しか得られない、という問題があった。ただし、これは青緑色燐光材料に限る問題ではなく、例えば他の色の蛍光材料に共振器構造を適用した場合にも共通の問題である。すなわち、有機EL装置には、発光材料に係わらず、より高い発光効率を得ることが求められている。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、高い発光効率が得られる有機EL装置を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の有機EL装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極および前記第2電極から電荷の注入により発光を生じる発光体層を含む有機層と、前記有機層の一方の側に設けられ、前記発光体層から射出された光を反射する第1反射層と、前記有機層を挟んで前記第1反射層とは反対側に設けられ、前記発光体層から射出された光の一部を反射し、前記発光体層から射出された光の他の一部を透過する第2反射層と、を備える。互いに離れて設けられた前記第1反射層と前記第2反射層とによって共振器構造が構成され、前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、前記発光体層の発光スペクトルにおける2つ以上の異なる波長の光のいずれに対しても共振条件を満たす光学距離に略一致する。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、前記2つ以上の異なる波長のうちの最大波長の光に対してのみ共振条件を満たす光学距離の2倍以上であってもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記発光体層は、少なくとも2つ以上の発光強度のピークを有する発光スペクトルを示す発光材料を含んでいてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記発光材料は燐光材料であってもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置は、前記第1反射層と前記第1電極との間に、光透過性を有する光学距離調整層を備えていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置は、前記第2反射層の前記有機層とは反対側に、前記2つ以上の異なる波長の光のうちの少なくとも一部を吸収し、前記2つ以上の異なる波長のいずれとも異なる波長の光を発光する蛍光体を含む波長変換層を備えていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置は、赤色光による表示を行う赤色サブ画素と、緑色光による表示を行う緑色サブ画素と、青色光による表示を行う青色サブ画素と、を含む複数の画素を備えていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記2つ以上の異なる波長の光は、緑色光と青色光とを含み、前記波長変換層として、前記緑色光と前記青色光とを吸収して赤色光を発光する蛍光体を含む赤色波長変換層が前記赤色サブ画素に対応して設けられていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記2つ以上の異なる波長の光は、少なくとも青色光を含み、前記波長変換層として、前記青色光を吸収して緑色光を発光する蛍光体を含む緑色波長変換層が前記緑色サブ画素に対応して設けられていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置において、前記青色サブ画素における前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、青色域の波長の光に対してのみ共振条件を満たす光学距離に略一致していてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置は、前記波長変換層の光射出側にカラーフィルターを備えていてもよい。
本発明の一つの態様の有機EL装置は、前記第2反射層の光射出側に光散乱層を備えていてもよい。
本発明の一つの態様によれば、高い発光効率が得られる有機EL装置を実現することができる。
第1実施形態の有機EL装置の断面図である。 (A)蛍光材料の発光スペクトルの一例を示す図であり、(B)燐光材料の発光スペクトルの一例を示す図である。 第2実施形態の有機EL装置の断面図である。 第3実施形態の有機EL装置の断面図である。 第4実施形態の有機EL装置の断面図である。 第5実施形態の有機EL装置の断面図である。 第6実施形態の有機EL装置の断面図である。 第7実施形態の有機EL装置の断面図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の有機EL装置の断面図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、本実施形態の有機EL装置1は、励起光源部2と、波長変換部3と、を備える。励起光源部2は、波長変換部3に含まれる蛍光体粒子を励起させるための励起光を射出する。波長変換部3は、励起光の照射により赤色の蛍光を発する蛍光体粒子を含む赤色波長変換層4Rを備える。波長変換部3では、赤色波長変換層4Rの蛍光体粒子が励起光を吸収し、励起光とは異なる波長域(色)の蛍光を発する。換言すると、励起光源部2から射出された励起光の波長域(色)は、波長変換部3により変換される。励起光源部2は、第1基板5と、発光部6と、第2基板7と、を備える。波長変換部3は、封止基板8と、赤色波長変換層4Rと、隔壁9と、を備える。励起光源部2および波長変換部3の詳細な構成については、後述する。
本実施形態の有機EL装置1は、表示装置として用いる。そのため、有機EL装置1は、マトリクス状に配列された複数の画素PXを有する。画素PXは、赤色の表示を行う赤色サブ画素11Rと、緑色の表示を行う緑色サブ画素11Gと、青色の表示を行う青色サブ画素11Bと、から構成されている。図1では、複数の画素のうち、赤色サブ画素11Rと緑色サブ画素11Gと青色サブ画素11Bとからなる一つの画素PXのみを代表して図示している。
[励起光源部]
第1基板5としては、例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等を含むプラスティック基板、アルミナ等を含むセラミックス基板等の絶縁性基板、もしくは、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等を含む金属基板、または、基板上に酸化シリコン(SiO)、有機絶縁材料等を含む絶縁物を表面にコーティングした基板、Al等を含む金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等を挙げることができる。なお、本実施形態で使用できる基板は、これらの基板に限定されるものではない。
例えば第1基板5の材料をガラスとした場合、高温プロセスによっても変形が起こらず、水分を透過させないため、発光部6の劣化が抑えられる点で好適である。第2基板7についても、第1基板5と同様の基板を用いることができる。ただし、第1基板5は光透過性を有していなくてもよいが、第2基板7は波長変換部3に向けて光を透過させるため、光透過性を有する必要がある。
図1では図示を省略したが、第1基板5の第2基板7と対向する側の面に、TFT回路が設けられている。TFT回路は、励起光源部2のスイッチング用素子および駆動用素子として機能する。TFT回路の具体的な構成としては、公知のTFT回路を用いることができる。
励起光源部2は、第1反射層13と、光学距離調整層14と、陽極15と、陰極16と、陽極15と陰極16との間に挟持された有機層17と、を備える。有機層17は、例えば正孔注入層19、正孔輸送層20、発光体層21、電子輸送層22、電子注入層23の5つの層が陽極15側から順に積層された構成を有する。本実施形態の陽極15は、特許請求の範囲の第1電極に相当する。本実施形態の陰極16は、特許請求の範囲の第2電極および第2反射層に相当する。すなわち、本実施形態の陰極16は、第2電極と第2反射層とを兼ねている。ただし、陰極16は、必ずしも第2電極と第2反射層とを兼ねていなくてもよく、励起光源部2は、陰極16とは別に第2反射層を備えていてもよい。一方、本実施形態の陽極15は、第1電極と第1反射層とを兼ねていないが、第1電極と第1反射層とを兼ねていてもよい。
有機層17は、本実施形態の構成に限定されず、少なくとも発光体層21を含んでいればよい。すなわち、有機層17は、発光体層21の単層構造であってもよいし、発光体層21と正孔輸送層20もしくは電子輸送層22等を含む多層構造であってもよい。有機層17は、例えば下記の9種類のうちのいずれかの構成を有することができるが、本発明の有機EL装置はこれらにより限定されるものではない。
(1)発光体層
(2)発光体層/正孔輸送層
(3)電子輸送層/発光体層
(4)電子輸送層/発光体層/正孔輸送層
(5)電子輸送層/発光体層/正孔輸送層/正孔注入層
(6)電子注入層/電子輸送層/発光体層/正孔輸送層/正孔注入層
(7)電子輸送層/正孔防止層/発光体層/正孔輸送層/正孔注入層
(8)電子注入層/電子輸送層/正孔防止層/発光体層/正孔輸送層/正孔注入層
(9)電子注入層/電子輸送層/正孔防止層/発光体層/電子防止層/正孔輸送層/正孔注入層
ここで、発光体層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層および電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
励起光源部2は、マイクロキャビティ効果を発現する共振器構造を有する。マイクロキャビティ効果を発現するためには、例えば一対の反射層間に存在する層全体の厚さを、増強させたい光の波長に応じて設定する。本実施形態においては、共振器構造として、第2反射層として機能する陰極16と第1反射層13との間に、光学距離調整層14、陽極15および有機層17が設けられている。この場合、光学距離調整層14、陽極15および有機層17の合計の膜厚を、増強させたい光の波長に応じて設定する。本実施形態の場合、一対の反射層のうち、少なくとも陰極16は、入射光の一部を透過させ、入射光の他の一部を反射させる特性、いわゆる半透過特性を有するものとする。第1反射層13は、入射光の略全てを反射させる特性を有することが望ましい。
これにより、発光体層21から発せられた光が第1反射層13と陰極16との間で多重反射を繰り返し、共振することにより、所望の波長の光が増強され、陰極16から出力される。この共振器構造によって、発光体層21から発せられた光に指向性を持たせることができる。このようにして、光をより効率良く波長変換部3に供給することができ、正面輝度を高めることができる。これにより、波長変換部3の蛍光体粒子に対して強度の高い励起光を照射することができ、発光効率を高めることができる。本実施形態の共振器構造の具体例については後述する。
発光体層21は、以下に例示する有機発光材料のみから構成されていてもよく、発光性のドーパントおよびホスト材料の組み合わせから構成されていてもよく、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)または無機材料中に分散された構成であってもよい。発光効率および発光寿命の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパントが分散されたものが好ましい。
有機発光材料としては、有機EL用の公知の発光材料を挙げることができる。この種の発光材料は、低分子発光材料、高分子発光材料等に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。有機発光材料として、蛍光材料、燐光材料等に分類されるものを用いることができる。低消費電力化の観点で、発光効率の高い燐光材料であることが好ましい。本実施形態では、有機発光材料として、青緑色の発光を呈する青緑色燐光材料を使用する。
具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
低分子有機発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料等が挙げられる。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等のポリスピロ誘導体が挙げられる。
発光体層21に任意に含まれる発光性のドーパントとしては、有機EL素子用の公知のドーパント材料を挙げることができる。このようなドーパント材料として、例えば、スチリル誘導体等の蛍光発光材料、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネートイリジウム(III)(FIrpic)、ビス(4’,6‘−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレートイリジウム(III)(FIr6)等の燐光発光有機金属錯体等が挙げられる。
ドーパントを使用する際のホスト材料としては、有機EL素子用の公知のホスト材料を挙げることができる。このようなホスト材料としては、上述した低分子発光材料、高分子発光材料、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、(PCF)等のカルバゾール誘導体、4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N−ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体、1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体等が挙げられる。
本実施形態の場合、発光体層21は、例えば440nm〜650nmの青緑色波長領域の光を発光する。具体的には、発光材料の一例として、発光ピーク波長が472nm付近と497nm付近とに2つ存在するFIrpicが用いられる。
電荷は、正孔と電子とを含む。陽極15から発光体層21への正孔の注入および輸送をより効率良く行なう目的で、正孔注入層19および正孔輸送層20が用いられる。陰極16から発光体層21への電子の注入および輸送をより効率良く行なう目的で、電子注入層23および電子輸送層22が用いられる。これらの層は、以下に例示する電荷注入・輸送材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)または無機材料中に分散された構成であってもよい。
電荷注入・輸送材料としては、有機EL素子用、有機光導電体用の公知のものを使用することができる。このような電荷注入輸送材料は、正孔注入・輸送材料および電子注入・輸送材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
正孔注入層19および正孔輸送層20の材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が挙げられる。
陽極15からの正孔の注入および輸送をより効率良く行なうという観点から、正孔注入層19の材料として、正孔輸送層20の材料との最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー障壁が小さい材料を用いることが好ましい。
正孔の注入性および輸送性をより向上させるため、材料にアクセプターをドープすることが好ましい。アクセプターとしては、有機EL素子用の公知のアクセプター材料を使用することができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
アクセプター材料としては、Au、Pt、W,Ir、POCl3、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料、TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物、TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物、フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料が挙げられる。このうち、TCNQ、TCNQF、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物は、キャリア濃度を効果的に増加させることができるため、より好ましい。
電子注入層23および電子輸送層22の材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料等が使用される。特に電子注入層23の材料には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、酸化リチウム(LiO)等の酸化物等が挙げられる。
陰極16からの電子の注入・輸送をより効率良く行なうという観点から、電子注入層23の材料としては、電子輸送層22の材料との最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー障壁が小さい材料を用いることが望ましい。
電子の注入効率および電子の輸送性をより向上させるため、電子注入層23および電子輸送層22の材料に、ドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL素子用の公知のドナー材料を使用することができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料、アニリン類、フェニレンジアミン類、ベンジジン類(N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等)、トリフェニルアミン類(トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等)、トリフェニルジアミン類(N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン)等の芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい)、TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料がある。このうち、芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属は、キャリア濃度を効果的に増加させることができるため、より好ましい。
正孔注入層19、正孔輸送層20、発光体層21、電子輸送層22および電子注入層23等を含む有機層17は、上述したこれらの層の材料を溶剤に溶解、分散させた発光層形成用塗液を用いて形成できる。このとき、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス、上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセス、または、レーザー転写法等が用いられる。ウエットプロセスにより有機層17を形成する場合、発光層形成用塗液は、レベリング剤、粘度調整剤等の塗液の物性を調整するための添加剤を含んでいてもよい。
陽極15および陰極16を形成する電極材料としては、公知の電極材料を使用することができる。陽極15を形成する電極材料としては、有機層17への正孔の注入をより効率良く行なえる観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属、および、インジウム(In)および錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)および亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)等が透明電極材料として挙げられる。陰極16を形成する電極材料としては、有機層17への電子の注入をより効率良く行なえる観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、または、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
陽極15および陰極16のうち、光を取り出す側に位置する電極は、発光体層21から発せられる光の少なくとも一部を透過させるものでなければならない。本実施形態では、発光体層21から発せられた光を第2基板7側、すなわち陰極16側から取り出す。そのため、陰極16は、発光体層21から発せられる光の一部を反射するとともに、他の一部を透過させる必要がある。本実施形態では、陰極16の材料として、例えば所望の光透過率を確保できるだけの膜厚を有するMg:Ag合金膜が用いられる。
陽極15は、陰極16とは異なり、反射層を兼ねていない。そのため、陽極15は、光反射性を有する必要はなく、光透過率が高い材料が好適に用いられる。本実施形態では、陽極15の材料として、例えばIZO膜が用いられる。なお、陽極15−陰極16間の各層の積層順を本実施形態とは逆にして、陽極15側から光を取り出し、陰極16側で光を反射させる構成を採用してもよい。
第1反射層13は、第1基板5の第2基板7と対向する側の面(図1における上側の面)に設けられている。第1反射層13は、発光体層21から発せられた光を陰極16側に向けて反射する。第1反射層13は、陰極16とは異なり、光透過性を有する必要はない。そのため、第1反射層13には、光反射率が高い材料が好適に用いられる。本実施形態では、第1反射層13の材料として、例えば光を透過させないだけの膜厚を有するAl膜が用いられる。
光学距離調整層14は、第1反射層13と陽極15との間に設けられている。光学距離調整層14は、第1反射層13と陰極16との間の光学距離を調整するために用いられる。例えば光学距離調整層14がなかったとしても、第1反射層13と陰極16との間に存在する他の層の膜厚を調整することにより、第1反射層13と陰極16との間の光学距離を調整することができる。しかしながら、光学距離調整層14以外の層は、要求される特性上の制約、もしくは製造プロセス上の制約等があり、膜厚を自由に調整するのが難しいことが多い。よって、本実施形態の有機EL装置1は、光学距離調整層14を備えることが望ましい。
光学距離調整層14は、発光体層21から発せられた光を第1反射層13に向けて透過させ、第1反射層13で反射した光を発光体層21に向けて再度透過させる。そのため、光学距離調整層14には、光透過率が高く、膜厚が自由に調整しやすい材料が好適に用いられる。本実施形態では、光学距離調整層14の材料として、例えば無機物(SiO、SiON、SiN等)や有機物(ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂等)の絶縁膜や透明導電性材料等のいずれを用いてもよい。
本発明の光学距離調整層に用いられる無機絶縁材料としては、従来知られている種々の金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物などを用いることができる。
金属酸化物の具体例としては、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等が挙げられ、金属窒化物の具体例としては、SiN、SiN等が挙げられ、金属フッ化物の具体例としては、MgF、LiF、AlF、CaF等が挙げられる。また、これらの混合物であってもよい。
光学距離調整層として有機化合物を用いてもよく、例えば被膜形成性ポリマーが好ましく用いられる。被膜形成性ポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
光学距離調整層として透明導電性材料を用いてもよく、透明電極を使用してもよい。例えば、インジウム(In)および錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)および亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)等が透明電極材料として挙げられる。
光学距離調整層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、または転写法を適用できる。
また、後述するように、光学距離調整層14は、必ずしも全てのサブ画素に設けられている必要はなく、一部のサブ画素には設けられていなくてもよい。
第1反射層13〜陰極16間の全ての層の側面に、封止層25が設けられている。封止層25は、有機層17の側面を封止し、水分等の浸入を防止する。封止層25は、任意の絶縁材料を用いて形成することができる。絶縁材料は、有機材料、無機材料のいずれであってもよい。図1では、サブ画素毎の構成の違いを明確にするため、励起光源部2はサブ画素毎に分離して示されている。しかしながら、実際には、励起光源部2は全てのサブ画素にわたって一体に設けられている。
[波長変換部]
波長変換部3は、封止基板8と、赤色波長変換層4Rと、隔壁9と、を備える。赤色波長変換層4Rおよび隔壁9は、封止基板8の励起光源部2と対向する側の面に設けられている。隔壁9は、隣り合うサブ画素の間を区画するように設けられている。赤色波長変換層4Rは、赤色サブ画素11Rに設けられ、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bには設けられていない。封止基板8は、励起光源部2とは反対側に配置されている。図1では、波長変換部3と励起光源部2とは離れているが、波長変換部3と励起光源部2とは接着されていてもよい。
封止基板8として、例えばガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等を含むプラスティック基板等の光透過率が高い材料からなる基板が好適に用いられる。ただし、本実施形態で用いられる封止基板8は、これらの基板に限定されるものではない。
本実施形態の有機EL装置1において、励起光源部2から射出された励起光は、波長変換部3に入射する。赤色サブ画素11Rの赤色波長変換層4Rに入射した励起光は、赤色光に波長変換されて射出される。緑色サブ画素11Gに入射した励起光は、波長変換されることなく射出される。同様に、青色サブ画素11Bに入射した励起光は、波長変換されることなく射出される。
赤色波長変換層4Rは、以下に例示する蛍光体材料のみから構成されていてもよく、添加剤等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)または無機材料中に分散された構成であってもよい。本実施形態の赤色波長変換層4Rは、例えば透明樹脂中に複数の蛍光体粒子26が分散された構成を有する。蛍光体粒子26は、青緑色の励起光の照射により赤色の蛍光を生じる蛍光体材料で構成されている。透明樹脂には、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)等の材料が用いられる。
本実施形態の蛍光体粒子26には、公知の蛍光体材料を使用することができる。このような蛍光体材料は、有機系蛍光体材料と無機系蛍光体材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
有機系蛍光体材料としては、青緑色の励起光を赤色光に変換する蛍光色素として、シアニン系色素:4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン、ピリジン系色素:1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート、およびローダミン系色素:ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101等が挙げられる。
無機系蛍光体材料としては、青緑色の励起光を赤色光に変換する蛍光体として、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO)6:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu3+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、MgGeOF:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25等が挙げられる。
赤色波長変換層4Rは、上記の蛍光体材料と樹脂材料とを溶剤に溶解、分散させた蛍光体層形成用塗液を用いて形成される。このとき、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセス、または、レーザー転写法等が用いられる。
隔壁9は、隣り合うサブ画素間を区画するように格子状に設けられている。隔壁9の断面形状は、封止基板8側から見て逆テーパ状であることが望ましい。すなわち、隔壁9の幅は、封止基板8に接する側で狭く、封止基板8とは反対側で広くなっている。隔壁9の材料には、光透過性材料もしくは遮光性材料が用いられてもよいし、光反射性材料が用いられてもよい。
蛍光は、蛍光体粒子26を中心として等方的に発せられる。ここで、逆テーパ状の隔壁9に光反射性材料を用いた場合、蛍光体粒子26から発せられた蛍光のうち、隔壁9に向かって進む光が隔壁9の側面で反射して方向を変え、封止基板8に向けて進む。これにより、波長変換部3からの光の取り出し効率を高めることができる。この観点から、隔壁9の断面形状を封止基板8側で狭く、封止基板8とは反対側で広い逆テーパ状とし、隔壁9の材料に光反射性材料が用いられることが好ましい。ただし、必ずしも隔壁9の全体が光反射性材料で構成されていなくてもよく、少なくとも隔壁9の側面が光反射性材料で構成されていればよい。
本実施形態の場合、封止基板8の励起光源部2に対向する面のうち、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bに対応する領域には何も設けられていない。この構成に代えて、封止基板8の励起光源部2に対向する面のうち、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bに対応する領域に、例えばPMMA、PVA等の任意の透明樹脂材料からなる光透過層が設けられていてもよい。さらに、光透過層は光散乱性を有していてもよい。
以下、本実施形態の有機EL装置1における共振器構造の光学距離について説明する。
上述したように、発光体層21の材料としては、蛍光材料や燐光材料がよく用いられる。
図2(A)は、蛍光材料の発光スペクトルの一例を示す図である。図2(B)は、燐光材料の発光スペクトルの一例を示す図である。図2(A)および図2(B)において、横軸は波長(nm)であり、縦軸はピーク値を1としたときの相対的な発光強度(a.u.)である。
蛍光材料は、一般的に励起子生成効率が低いために発光効率が低く、図2(A)に示すように、発光スペクトルが1つの発光ピーク波長を示し、半値幅が小さいことが多い。そのため、共振器構造における一対の反射層間の光学距離を1つの発光ピーク波長に合わせて設定すれば、発光ピーク波長の光を効率良く共振させることができる。
これに対して、燐光材料は、蛍光材料に比べて励起子生成効率が高いために発光効率が高く、図2(B)に示すように、発光スペクトルが例えば2つの発光ピーク波長を示し、半値幅が大きいことが多い。そのため、共振器構造における一対の反射層間の光学距離を、例えば2つの発光ピーク波長のうちの一方の発光ピーク波長に合わせて設定した場合、その発光ピーク波長の光は共振するが、他方の発光ピーク波長の光は共振しない。したがって、有機EL装置の全体として見た場合、共振器構造の効果が十分に発揮されないことになる。
そこで、本実施形態の場合、赤色サブ画素11Rに対応する励起光源部2において、第1反射層13と陰極16との間の光学距離Lは、発光体層21の発光スペクトルにおける2つの発光ピーク波長の双方に対して共振条件を満たす光学距離に略一致するように設定されている。これにより、2つの発光ピーク波長の光は、第1反射層13−陰極16間でともに共振する。その結果、2つの異なる発光ピーク波長において強度が高く、急峻なピークを持つ光が励起光源部2から射出され、発光効率に優れた有機EL装置を実現することができる。
具体的には、一対の反射層間の光学距離(本実施形態では第1反射層13と陰極16との間の光学距離)をLとし、有機EL装置1からの出力光を視認する角度をθとし、共振波長をλとし、干渉の次数をm(m=1,2,3,…)とし、各反射層で光が反射する際の位相シフトの和をΦ(rad)とする。一対の反射層間の光学距離Lは、一対の反射層間に存在する層全体の光学膜厚である。言い換えると、一対の反射層間の光学距離Lは、一対の反射層間に存在する複数の層の屈折率と膜厚との積の総和である。例えば一対の反射層間に存在する層が3層であり、第1層の屈折率がn1、第1層の膜厚がd1、第2層の屈折率がn2、第2層の膜厚がd2、第3層の屈折率がn3、第3層の膜厚がd3であったとすると、光学距離Lは、L=n1×d1+n2×d2+n3×d3、と表される。角度θについては、有機EL装置1の正面方向を角度θ=0°とする。
このとき、下記の(1)式で示される共振条件が満たされれば、共振波長λの光が共振し、増幅される。2つの発光ピーク波長、例えば波長λ1および波長λ2の双方に対して共振条件を満たすためには、波長λ1、波長λ2のいずれを代入しても(1)式が成立するように、一対の反射層間の光学距離Lを設定すればよい。
Figure 2017004639
赤色サブ画素11Rにおいて、第1反射層13と陰極16との間の光学距離Lは、発光体層21の発光スペクトルにおける2つの異なる波長λ1,λ2の光である青色光と緑色光のいずれに対しても共振条件を満たす光学距離に略一致している。青色光の共振波長λ1を例えば468nmとし、緑色光の共振波長λ2を例えば492nmとしたとき、青色光と緑色光のいずれに対しても共振条件を満たす光学距離Lは、例えば4797nmである。
第1反射層13と陰極16との間に存在する各層の膜厚および光学膜厚(nd:屈折率と膜厚との積)を表1に示す。表1では、第1反射層13と陰極16との間の有機層17の部分はまとめて示した。
Figure 2017004639
(1)式中の位相シフトΦをΦ=πとすると、表1に示すように、波長λ1=468nmにおいて、角度θ=0°、次数m=21、光学距離L=4797nmのとき、(1)式は成立する。また、波長λ2=492nmにおいて、角度θ=0°、次数m=20、光学距離L=4797nmのとき、(1)式は成立する。第1反射層13と陰極16との間の光学距離Lを4797nmと厚くする必要があるため、窒化アルミニウム(AlN:屈折率n=2.2)からなる膜厚1932nm(nd=4212nm)の光学距離調整層14を挿入している。
本実施形態の場合、緑色サブ画素11Gにおいて、第1反射層13と陰極16との間の光学距離Lは、緑色光のみが共振する光学距離に設定されている。緑色光の共振波長を例えば492nmとしたとき、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは615nmに設定されている。
第1反射層13と陰極16との間に存在する各層の膜厚および光学膜厚(nd:屈折率と膜厚との積)を表2に示す。表2では、第1反射層13と陰極16との間の有機層17の部分はまとめて示した。
Figure 2017004639
(1)式中の位相シフトΦをΦ=πとすると、表2に示すように、波長λ=492nmにおいて、角度θ=0°、次数m=3、光学距離L=615nmのとき、(1)式は成立する。第1反射層13−陰極16間の光学距離Lを615nmとする必要があるため、窒化アルミニウム(AlN:屈折率n=2.2)からなる膜厚14nm(nd=30nm)の光学距離調整層14を挿入している。
青色サブ画素11Bにおいて、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、青色光のみが共振する光学距離に設定されている。青色光の共振波長を例えば468nmとしたとき、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは585nmに設定されている。
第1反射層13と陰極16との間に存在する各層の膜厚および光学膜厚(nd:屈折率と膜厚との積)を表3に示す。表3では、第1反射層13と陰極16との間の有機層17の部分はまとめて示した。
Figure 2017004639
(1)式中の位相シフトΦをΦ=πとすると、表3に示すように、波長λ=468nmにおいて、角度θ=0°、次数m=3、光学距離L=585nmのとき、(1)式は成立する。青色サブ画素11Bは、他の2つのサブ画素と比べて光学距離Lが最も小さくて済む。そのため、この例では、青色サブ画素11Bにおいては、赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gと異なり、光学距離調整層14が挿入されていない。
本実施形態の有機EL装置1においては、赤色サブ画素11Rにおいて、青色域と緑色域の双方に急峻なピークを持つ光が励起光源部2から射出され、この光が波長変換部3の赤色波長変換層4Rにおいて波長変換され、赤色光が射出される。緑色サブ画素11Gにおいては、緑色域に急峻なピークを持つ光が励起光源部2から射出され、この光が波長変換されることなく、波長変換部3を透過して射出される。緑色サブ画素11Gと同様、青色サブ画素11Bにおいても、青色域に急峻なピークを持つ光が励起光源部2から射出され、この光が波長変換されることなく、波長変換部3を透過して射出される。このように、発光効率に優れた有機EL装置1を実現することができる。
2つの発光ピーク波長に対して共振条件を満たす赤色サブ画素11Rにおける、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、例えば2つの異なる発光ピーク波長のうちの最大波長の光に対してのみ共振条件を満たす緑色サブ画素11Gにおける、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lの2倍以上である。例えば、赤色サブ画素11Rの光学距離Lは4797nmであり、緑色サブ画素11Gの光学距離Lである625nmの2倍以上である。
本実施形態の場合、赤色サブ画素11Rにおける光学距離Lを4797nmとするために、厚い光学距離調整層14を形成しなければならない。その反面、光学距離Lが大きいことのメリットとして、(1)式を成立させるための角度θのモード数を増やすことができる。例えば共振波長λを492nm(緑色域)としたとき、(1)式を満足する種々のパラメータの組合せのうち、光学距離Lが4797nmと大きい場合、光学距離Lが369nmと小さい場合、のそれぞれで(1)式を満足する次数mと角度θの組合せを表4に示す。
Figure 2017004639
表4に示すように、光学距離Lが369nmと小さい場合には、次数m=1〜4に対応する4種類の角度θでしか(1)式は成立しない。これに対して、光学距離Lを4797nmと大きくした場合には、次数m=1〜20に対応する20種類の角度θで(1)式は成立する。
共振波長λを468nm(青色域)としたとき、(1)式を満足する種々のパラメータの組合せのうち、光学距離Lが4797nmと大きい場合、光学距離Lが351nmと小さい場合、のそれぞれで(1)式を満足する次数mと角度θの組合せを表5に示す。
Figure 2017004639
表5に示すように、光学距離Lが351nmと小さい場合、次数m=1,2に対応する2種類の角度θでしか(1)式は成立しない。これに対して、光学距離Lを4797nmと大きくした場合、次数m=1〜20に対応する20種類の角度θで(1)式は成立する。
以上、表4および表5を用いて説明したように、光学距離Lを大きくした場合、光学距離Lが小さい場合に比べて、より多くの角度から視認したときの光の強度を高めることができる。その結果、広い角度にわたって発光強度を高めることができる。
また、本実施形態の場合、波長変換部3の赤色サブ画素11Rにのみ赤色波長変換層4Rが設けられているため、波長変換部3の構成が極めて簡易なものとなる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
図3は、第2実施形態の有機EL装置の断面図である。
第2実施形態の有機EL装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、緑色サブ画素の構成が第1実施形態と異なる。
図3において、第1実施形態で用いた図1と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1実施形態においては、波長変換部の励起光源部に対向する面のうち、緑色サブ画素に対応する領域には波長変換層が設けられていなかった。これに対し、図3に示すように、第2実施形態の有機EL装置31においては、波長変換部33の緑色サブ画素11Gに対応する領域に緑色波長変換層4Gが設けられている。緑色サブ画素11Gにおいて、励起光源部32から射出された青緑色の励起光は、緑色波長変換層4Gに入射し、緑色光に波長変換されて波長変換部33から射出される。
緑色波長変換層4Gに含まれる蛍光体粒子26には、公知の蛍光体材料を使用することができる。このような蛍光体材料は、有機系蛍光体材料と無機系蛍光体材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
有機系蛍光体材料の場合、青緑色の励起光を緑色光に変換する蛍光色素として、クマリン系色素:2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2′−ベンゾチアゾリル)―7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2′−ベンゾイミダゾリル)―7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、ナフタルイミド系色素:ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等が挙げられる。
無機系蛍光体材料の場合、青緑色の励起光を緑色光に変換する蛍光材料として、(BaMg)Al1627:Eu2+,Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(SrBa)Al12Si:Eu2+、(BaMg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr−Sr:Eu2+、(BaCaMg)(PO)3Cl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZrSiO、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(BaSr)SiO:Eu2+等が挙げられる。
励起光源部32の緑色サブ画素11Gに対応する領域において、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、赤色サブ画素11Rと同様、青色光と緑色光の双方がともに共振する光学距離に設定されている。青色光の共振波長を例えば468nmとし、緑色光の共振波長を例えば492nmとしたとき、光学距離Lは4797nmに設定されている。第1反射層13と陰極16との間に存在する各層の膜厚および光学膜厚(nd:屈折率と膜厚との積)は、第1実施形態の表1に示した通りである。励起光源部32において、緑色サブ画素11Gに対応する領域には、窒化アルミニウム(AlN:屈折率n=2.2)からなる膜厚1932nmの光学距離調整層14が設けられている。
赤色サブ画素11Rおよび青色サブ画素11Bの構成は、第1実施形態と同一である。すなわち、赤色サブ画素11Rにおいて、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、青色光と緑色光の双方がともに共振する光学距離に設定されている。青色サブ画素11Bにおいて、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、青色光のみが共振する光学距離に設定されている。赤色サブ画素11Rに対応する領域には、窒化アルミニウム(AlN:屈折率n=2.2)からなる膜厚1932nmの光学距離調整層14が設けられている。青色サブ画素11Bに対応する領域には、光学距離調整層14が設けられていない。
第2実施形態の有機EL装置31の場合、赤色サブ画素11Rにおいて、青色域と緑色域のそれぞれに急峻なピークを持つ光が励起光源部32から射出され、この光が波長変換部33の赤色波長変換層4Rにおいて波長変換され、赤色光が射出される。緑色サブ画素11Gにおいても、赤色サブ画素11Rと同様、青色域と緑色域のそれぞれに急峻なピークを持つ光が励起光源部32から射出され、この光が波長変換部33の緑色波長変換層4Gにおいて波長変換され、緑色光が射出される。青色サブ画素11Bにおいては、青色域のみに急峻なピークを持つ光が励起光源部32から射出され、この光が波長変換されることなく、波長変換部33を透過して射出される。このようにして、発光効率に優れた有機EL装置31を実現することができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
図4は、第3実施形態の有機EL装置の断面図である。
第3実施形態の有機EL装置の基本構成は第2実施形態と同様であり、画素内に白色サブ画素が付加された点が第2実施形態と異なる。
図4において、第2実施形態で用いた図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1、第2実施形態においては、赤(R),緑(G),青(B)の3つのサブ画素で1つの画素が構成されていた。これに対し、図4に示すように、第3実施形態の有機EL装置41においては、赤(R),緑(G),青(B)の3つのサブ画素11R,11G,11Bに加え、白色光を射出するサブ画素11Wが設けられ、これら4つのサブ画素で1つの画素PXが構成されている。以下、白色光を射出するサブ画素を、白色サブ画素11Wと称する。赤(R),緑(G),青(B)の3つのサブ画素の構成は、第2実施形態と同一である。
励起光源部42の白色サブ画素11Wに対応する領域において、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gと同様、青色光と緑色光の双方がともに共振する光学距離に設定されている。青色光の共振波長を例えば468nmとし、緑色光の共振波長を例えば492nmとしたとき、光学距離Lは4797nmに設定されている。第1反射層13と陰極16との間に存在する各層の膜厚および光学膜厚(nd:屈折率と膜厚との積)は、第1実施形態の表1に示した通りである。励起光源部42において、白色サブ画素11Wに対応する領域には、窒化アルミニウム(AlN:屈折率n=2.2)からなる膜厚1932nmの光学距離調整層14が設けられている。
波長変換部43の白色サブ画素11Wに対応する領域に、励起光を赤色光に波長変換する赤色波長変換層4Rが設けられている。励起光を赤色光に波長変換する赤色波長変換層4Rが設けられている点において、白色サブ画素11Wと赤色サブ画素11Rとは共通である。ただし、白色サブ画素11Wの赤色波長変換層4Rの膜厚と赤色サブ画素11Rの赤色波長変換層4Rの膜厚とは異なる。白色サブ画素11Wの赤色波長変換層4Rの膜厚は、赤色サブ画素11Rの赤色波長変換層4Rの膜厚よりも薄い。白色サブ画素11Wの赤色波長変換層4Rの膜厚は、励起光源部42から射出された励起光の全てを吸収しきれない程度に薄く設定されている。
上記の構成により、赤色サブ画素11Rにおいては、励起光源部42から射出された青緑色の励起光が赤色波長変換層4Rに入射すると、略全ての励起光が赤色光に波長変換されて射出される。一方、白色サブ画素11Wにおいては、赤色波長変換層4Rの膜厚が薄いため、青緑色の励起光が赤色波長変換層4Rに入射すると、一部の励起光は波長変換されて赤色光となり、残りの励起光は波長変換されずに青緑光のまま射出される。その結果、白色サブ画素11Wからは、赤色光と青緑光とが合成された白色光が射出される。
第3実施形態の有機EL装置41の場合、白色サブ画素11W、赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gの3つのサブ画素において、青色域と緑色域のそれぞれに急峻なピークを持つ光が励起光源部42から射出され、この光が波長変換部43の各波長変換層において波長変換される。これにより、発光効率に優れた有機EL装置41を実現することができる。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。
図5は、第4実施形態の有機EL装置の断面図である。
第4実施形態の有機EL装置の基本構成は第2実施形態と同様であり、波長変換部にカラーフィルターが付加された点が第2実施形態と異なる。
図5において、第2実施形態で用いた図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、第4実施形態の有機EL装置51においては、波長変換部53における封止基板8の励起光源部52に対向する面に、カラーフィルター55が設けられている。赤色サブ画素11R、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bに対応して、赤色カラーフィルター55R、緑色カラーフィルター55Gおよび青色カラーフィルター55Bがそれぞれ設けられている。赤色サブ画素11Rにおいては、赤色カラーフィルター55R上に赤色波長変換層4Rが設けられている。緑色サブ画素11Gにおいては、緑色カラーフィルター55G上に緑色波長変換層4Gが設けられている。
第2実施形態においては、青色サブ画素11Bでは励起光源部32からの励起光を表示に利用していたため、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、青色光のみが共振する光学距離に設定されていた。これに対して、第4実施形態においては、青色サブ画素11Bについても、赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gと同様、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、青色光と緑色光の双方が共振する光学距離に設定されている。例えば青色光の共振波長を例えば468nmとし、緑色光の共振波長を例えば492nmとしたとき、光学距離Lは4797nmに設定されている。この場合、青色サブ画素11Bの励起光源部52から青緑色光が射出された後、青緑色光は青色カラーフィルター55Bを透過することで青色光となって波長変換部53から射出される。
第4実施形態の有機EL装置51の場合、赤色サブ画素11R、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bの3つのサブ画素において、青色域と緑色域のそれぞれに急峻なピークを持つ青緑色光が励起光源部52から射出される。赤色サブ画素11Rにおいて、青緑色光は、赤色波長変換層4Rによって波長変換された後、赤色カラーフィルター55Rを通して赤色光として射出される。同様に、緑色サブ画素11Gにおいて、青緑色光は、緑色波長変換層4Gによって波長変換された後、緑色カラーフィルター55Gを通して緑色光として射出される。青色サブ画素11Bにおいて、青緑色光は、青色カラーフィルター55Bにより青色光となって射出される。このようにして、発光効率に優れた有機EL装置51を実現することができる。
特に、第4実施形態の有機EL装置51は、カラーフィルター55を備えているため、各サブ画素11R,11G,11Bから射出される光の色純度を高めることができる。また、全てのサブ画素にわたって励起光源部52の構造および膜厚が共通であるため、励起光源部52の製造プロセスを簡略化することができる。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は、第5実施形態の有機EL装置の断面図である。
第5実施形態の有機EL装置の基本構成は第4実施形態と同様であり、画素内に白色サブ画素が付加された点が第4実施形態と異なる。
図6において、第4実施形態で用いた図5と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、第5実施形態の有機EL装置61において、1つの画素PXは、赤色サブ画素11R、緑色サブ画素11G、青色サブ画素11B、および白色サブ画素11Wの4つのサブ画素で構成されている。赤色サブ画素11R、緑色サブ画素11Gおよび青色サブ画素11Bの構成は、第4実施形態の有機EL装置と同様である。すなわち、赤色サブ画素11Rに赤色波長変換層4Rおよび赤色カラーフィルター55Rが設けられ、緑色サブ画素11Gに緑色波長変換層4Gおよび緑色カラーフィルター55Gが設けられ、青色サブ画素11Bに青色カラーフィルター55Bが設けられている。
白色サブ画素11Wの構成は、第3実施形態の有機EL装置と同様である。すなわち、波長変換部63の白色サブ画素11Wに対応する領域に、励起光を赤色光に波長変換する赤色波長変換層4Rが設けられている。白色サブ画素11Wの赤色波長変換層4Rの膜厚は、励起光源部62から射出された励起光の全てを吸収しきれない程度に薄く設定されている。白色サブ画素11Wにおいては、一部の励起光は波長変換されて赤色光となり、残りの励起光は波長変換されずに青緑色光のまま射出されることにより、白色光が射出される。白色サブ画素11Wには、カラーフィルター55は設けられていない。励起光源部62については、第1反射層13−陰極16間の光学距離Lは、全てのサブ画素にわたって青色光と緑色光の双方が共振する光学距離に設定されている。
第5実施形態の有機EL装置61の場合、全てのサブ画素11W,11R,11G,11Bにおいて、青色域と緑色域のそれぞれに急峻なピークを持つ光が励起光源部62から射出され、この光が波長変換部63の各波長変換層において波長変換される。これにより、発光効率に優れた有機EL装置61を実現することができる。さらに、有機EL装置61はカラーフィルター55を備えているため、射出される光の色純度を高めることができる。
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図7を用いて説明する。
図7は、第6実施形態の有機EL装置の断面図である。
第6実施形態の有機EL装置の基本構成は第2実施形態と同様であり、バンドパスフィルターを備えた点が第2実施形態と異なる。
図7において、第2実施形態で用いた図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、第6実施形態の有機EL装置71は、励起光源部32と波長変換部33との間にバンドパスフィルター74を備えている。バンドパスフィルター74は、赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gに対応する領域に設けられている。バンドパスフィルター74は、励起光源部32から射出された青緑色の励起光を透過し、赤色波長変換層4Rで生じた赤色の蛍光および緑色波長変換層4Gで生じた緑色の蛍光を反射する特性を有する。バンドパスフィルター74は、例えば誘電体多層膜により構成されている。その他の構成は、第2実施形態の有機EL装置と同様である。
第6実施形態においても、発光効率に優れた有機EL装置71を実現できる、といった第1〜第5実施形態と同様の効果が得られる。特に、第6実施形態の有機EL装置71はバンドパスフィルター74を備えたことにより、赤色波長変換層4Rもしくは緑色波長変換層4Gで等方発光した蛍光がバンドパスフィルター74で反射し、有機EL装置71の正面方向に向かって射出される。これにより、赤色波長変換層4Rおよび緑色波長変換層4Gで生じた蛍光の取り出し効率を高めることができる。
[第7実施形態]
以下、本発明の第7実施形態について、図8を用いて説明する。
図8は、第7実施形態の有機EL装置の断面図である。
第7実施形態の有機EL装置の基本構成は第2実施形態と同様であり、光散乱層を備えた点が第2実施形態と異なる。
図8において、第2実施形態で用いた図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、第7実施形態の有機EL装置81は、波長変換部83における封止基板8の励起光源部32と対向する側の面に光散乱層84を備えている。光散乱層84は、全てのサブ画素にわたる封止基板8の全面に設けられている。光散乱層84は、例えば基材の内部に基材の屈折率とは異なる屈折率の微粒子を分散させた部材、あるいは表面に微細な凹凸が設けられた部材などが用いられる。
赤色サブ画素11Rおよび緑色サブ画素11Gにおいて、光散乱層84は、赤色波長変換層4Rおよび緑色波長変換層4Gから射出された蛍光を透過しつつ散乱させる。青色サブ画素11Bにおいて、光散乱層84は、励起光源部32から射出された青色光を透過しつつ散乱させる。その他の構成は、第2実施形態の有機EL装置と同様である。
第7実施形態においても、発光効率に優れた有機EL装置81を実現できる、といった第1〜第6実施形態と同様の効果が得られる。特に、第7実施形態の有機EL装置は光散乱層84を備えたことにより、広い視野角にわたって明るい表示が可能な有機EL装置を実現できる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、励起光源部の発光体層の材料として燐光材料の例を挙げたが、発光体層の材料は必ずしも燐光材料に限ることはなく、蛍光材料であってもよい。また上記実施形態では、発光体層の発光スペクトルが2つの発光ピーク波長を持つ例を挙げたが、発光体層の発光スペクトルは必ずしも2つの発光ピーク波長を持っていなくてもよい。例えば発光体層の発光スペクトルがブロードな強度分布のピークを1つだけ持つような場合であっても、一対の反射層間の光学距離が、その強度分布内の2つの異なる波長の光に対して共振条件を満たすように設定されていてもよい。その場合でも、発光効率の高い有機EL装置を実現できる、という上記実施形態と同様の効果が得られる。
上記実施形態では、波長変換部を備え、励起光源部から射出された励起光を波長変換した後に射出させる有機EL装置の例を示したが、本発明の有機EL装置は必ずしも波長変換部を備えていなくてもよい。励起光源部から射出された励起光を波長変換することなく、そのまま用いる有機EL装置であってもよい。
上記実施形態では、有機EL装置を表示装置として用いる例を示したが、有機EL装置の用途は表示装置に限ることはなく、例えば照明装置として用いてもよい。その他、有機EL装置の各種構成要素の数、配置、形状、寸法、構成材料等の具体例については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
本発明は、有機ELディスプレイ等の表示装置、もしくは照明装置などに利用が可能である。
1,31,41,51,61,71,81…有機EL装置、2,32,42,52,62…励起光源部、3,33,43,53,63,83…波長変換部、4R…赤色波長変換層、4G…緑色波長変換層、11R…赤色サブ画素、11G…緑色サブ画素、11B…青色サブ画素、11W…白色サブ画素、13…第1反射層、14…光学距離調整層、15…陽極(第1電極)、16…陰極(第2電極、第2反射層)、21…発光体層、55…カラーフィルター、84…光散乱層。

Claims (12)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極および前記第2電極から電荷の注入により発光を生じる発光体層を含む有機層と、
    前記有機層の一方の側に設けられ、前記発光体層から射出された光を反射する第1反射層と、
    前記有機層を挟んで前記第1反射層とは反対側に設けられ、前記発光体層から射出された光の一部を反射し、前記発光体層から射出された光の他の一部を透過する第2反射層と、を備え、
    互いに離れて設けられた前記第1反射層と前記第2反射層とによって共振器構造が構成され、
    前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、前記発光体層の発光スペクトルにおける2つ以上の異なる波長の光のいずれに対しても共振条件を満たす光学距離に略一致する、有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、前記2つ以上の異なる波長のうちの最大波長の光に対してのみ共振条件を満たす光学距離の2倍以上である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記発光体層は、少なくとも2つ以上の発光強度のピークを有する発光スペクトルを示す発光材料を含む、請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記発光材料は燐光材料である、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記第1反射層と前記第1電極との間に、光透過性を有する光学距離調整層を備えた、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記第2反射層の前記有機層とは反対側に、前記2つ以上の異なる波長の光のうちの少なくとも一部を吸収し、前記2つ以上の異なる波長のいずれとも異なる波長の光を発光する蛍光体を含む波長変換層を備えた、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 赤色光による表示を行う赤色サブ画素と、緑色光による表示を行う緑色サブ画素と、青色光による表示を行う青色サブ画素と、を含む複数の画素を備えた、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 前記2つ以上の異なる波長の光は、緑色光と青色光とを含み、
    前記波長変換層として、前記緑色光と前記青色光とを吸収して赤色光を発光する蛍光体を含む赤色波長変換層が前記赤色サブ画素に対応して設けられた、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  9. 前記2つ以上の異なる波長の光は、少なくとも青色光を含み、
    前記波長変換層として、前記青色光を吸収して緑色光を発光する蛍光体を含む緑色波長変換層が前記緑色サブ画素に対応して設けられた、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  10. 前記青色サブ画素において、前記第1反射層と前記第2反射層との間の光学距離は、青色域の波長の光に対してのみ共振条件を満たす光学距離に略一致する、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  11. 前記波長変換層の光射出側にカラーフィルターを備えた、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  12. 前記第2反射層の光射出側に光散乱層を備えた、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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