JP2016533311A - 低放射率および抗日射グレイジング - Google Patents

低放射率および抗日射グレイジング Download PDF

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Abstract

本発明は、熱処理を受ける時に特性が非常にわずかにのみ変化する低放射率および抗日射グレイジング系に関する。それらは、n層の赤外線反射機能層およびn+1層の誘電体コーティングの交互の配置を含んでなる薄層の積層と、基板から最も遠い最後の機能層の上に直接重ねられたバリア層とを含んでなり、(i)基板に最も近い第1の誘電体コーティングは、基板と直接接触する、酸化物から製造される層を含んでなり、(ii)2層の機能層によって包囲される1層または複数層の内部誘電体コーティングは、両側面において、5nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層によって包囲される、5nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層を含んでなり、(iii)バリア層は酸化亜鉛をベースとするか、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなり、かつ(iv)基板から最も遠い最後の誘電体コーティングが、基板から出発して、以下の順番で、3nmより大きい厚さを有する、酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層および10nmより大きい厚さを有する、窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層を含んでなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、低放射率および抗日射特性を同時に有し、かつ建築物の窓に組み込むこと、または自動車グレイジングの分野で使用することが可能なグレイジング系に関する。
そのようなグレイジング系は、一般に、赤外線反射材料をベースとする少なくとも2層の機能層および少なくとも3層の誘電体コーティングを含んでなり、各機能層が誘電体コーティングによって包囲される薄層の系で被覆されたガラスシートの種類の透明な基板から形成される。機能層は、一般に数ナノメートルの厚さの銀の層である。誘電層に関しては、それらは透明であって、慣習的に金属酸化物および/または窒化物から製造される。これらの異なる層は、例えば、磁気援用カソードスパッタリング、より一般には「磁電管スパッタリング」と呼ばれるものなどの真空蒸着技術によって析出される。
これらのグレイジング系は、抗日射特性を有し、例えば、大きいガラス表面を有する密閉空間における過剰な過熱のリスクを低減し、それによって、夏季の空調で考慮されるべき動力負荷を低減し得る。この場合、グレイジングは、可能な限り少ない量の低い全太陽放射エネルギーを通過させることを可能にしなければならず、すなわち、可能な限り低い日射透過率(SFまたはg)を有さなければならない。しかしながら、建築物の内部の十分な照度を提供するために、一定レベルの光透過が保証されることは非常に望ましい。これらのいくぶん対立する必要条件は、光透過対日射透過率の比率によって定義される高い選択性(S)を有するグレイジングユニットを得ようとする要求を表す。また、これらのグレイジング系は低い放射率を有し、これは高波長赤外線を通しての熱損失の低減を可能にする。したがって、それらは大きいガラス表面の断熱を改善し、冬季のエネルギー損失および暖房費用を低減する。
これらのグレイジング系は、一般に、二重もしくは三重グレイジングユニットまたは積層グレイジングユニットなどの複数のグレイジングユニットとして組み立てられ、コーティング積層を有するガラスシートが、コーティングを有するか、またはコーティングを有さない1枚以上の他のガラスシートと組み合わされており、低放射率多層積層は、複数のグレイジングユニットの場合、ガラスシート間の内部空間と接触して、または積層グレイジングユニットの場合、積層ユニットの中間層接着剤と接触して存在する。
いくつかの場合、機械的応力に対する耐性を改善するために、1枚または複数枚のガラスシートの熱強化などのグレイジングを機械的に強化する作業が必要である。特定の用途に関しては、高温での屈曲作業によって、ガラスシートに多少複雑な湾曲を与えることも必要となり得る。グレイジング系を製造および成形するプロセスにおいて、すでに処理された基板をコーティングするのではなく、すでにコーティングされた基板に熱処理作業を実行するうえで特定の利点がある。これらの作業は、比較的高い温度で実行され、これは、赤外線を反射する材料をベースとする機能層、例えば、銀をベースとする層が劣化し、それらの光学的特性および赤外線に関連する特性を損失する傾向がある温度である。これらの熱処理は、特に、熱処理の種類およびシートの厚さ次第で、空気中でガラスシートを560℃より高い温度、例えば、560℃〜700℃、特に約640℃〜670℃度まで、約3、4、6、8、10、12または15分間加熱することにある。屈曲処理の場合、ガラスシートは、次いで、所望の形状に屈曲されてもよい。強化処理は、次いで、シートの機械的強化を得るため、空気ジェットまたは冷却液によって平面または屈曲ガラスシートの表面を急冷することからなる。
したがって、コーティングされたガラスシートが熱処理を必要とする場合、光学的および/またはエネルギー特性を失うことなく、熱強化および/または屈曲処理に耐えることができる(以後、「テンパリング可能」と記載されることもある)コーティング構造を形成するには、非常に注意が必要である。特に、誘電体コーティングを形成するために使用される誘電体物質は、いずれかの都合の悪い構造的な変更も示すことなく、熱処理の高温に耐えなければならない。特にこの使用のために適切な材料の例は、亜鉛スズ混合酸化物、窒化ケイ素および窒化アルミニウムである。例えば、熱処理の間に遊離酸素を捕捉することによって、または遊離酸素が銀に向かって移動することを妨害することにより、処理の時点で、銀の代わりに酸化可能なバリア層が存在することを確実にすることによって、機能層、例えば、銀をベースとする層が処理中に酸化しないことを確実にすることも必要である。
加えて、これらの層組立体の形成は、可能な限り完全な中性に向かう傾向がある要求を伴って、反射および透過の両方における満足な色ももたらさなければならない。難点は、同時に、色の必要条件を「基本的」条件と関連するもの:高い光透過、非常に低い放射率、熱処理に耐える能力と組み合わせることである。
さらに考慮しなければならない別の必要条件は、熱処理されていない製品および熱処理された他の製品が、同一の用途のため、例えば、同じ建築物正面内で、互いに組み合わされなければならない時があるという事実からもたらされる。したがって、以前は、非強化グレイジングユニットのための一方、および強化または屈曲されることが意図されたグレイジングユニットのための他方の2種類の低放射率の層の積層を並行して開発および製造することが必要であった。これは、研究および開発の両方に関して、ならびに特に生産ストック管理において複雑である。それ以来、基板が強化または屈曲の種類の熱処理を受ける場合に関して、それらの特性、特に、それらの光学的およびエネルギー特性がほとんど変化しない、いわゆる「自己適合性」コーティング積層が開発されている。
さらに、層を形成する材料の光学特性を支配する原理は周知であるが、これらのグレイジングユニットの生産方法には追加的な難点が存在する。析出条件、特に析出速度は、考慮される材料の性質次第である。析出速度は、経済的に許容可能な工業的製造のために十分でなければならない。それは、時間経過において、シートの全表面上で、かつ層に欠陥が生じることなく、機能安定性を保証する複数の因子次第である。
これらの様々な必要条件を満たすためにいくつかの解決案が提案されたが、これらの新しい要求の必要条件に対応することが可能な実際に満足なグレイジングユニットを提供する解決案はない。
欧州特許第1140721号明細書は、ガラス/誘電体I/Ag I/AZO/誘電体II/Ag II/AZO/誘電体III型の銀をベースとする層のコーティング積層を記載しており、特に、誘電体は、亜鉛スズ混合酸化物の下層および酸化亜鉛の上層を含む。欧州特許第1140721号明細書から、記載されるコーティング積層が熱処理可能であり、かつ熱処理後、それらの光学的特性がわずかな変化のみを示すことが理解される。しかしながら、熱処理後に、この種類の層上に曇りおよび許容できない斑点が現れたこと、およびスクエアあたりの電気抵抗が増加したことが示され、より高く、したがって、より好ましくない放射率をもたらしたことが示された(以下に記載する比較例1を参照のこと)。
文献国際公開第03/010105号パンフレットは、銀層の下にTi層を含むことを特徴とする、二重銀層によるコーティング積層を記載する。全ての提案された積層は、ガラス上の窒化物層で開始する。それらは、その光学的変更を最小にし、光学的欠陥の外観を最小にして、コーティング積層の熱性能レベルを維持しながら、熱処理可能であるとして提示される。しかしながら、提案された積層は、かなりの欠点を有し、熱処理の前のこれらの製品の化学的安定性は十分ではない(以下に記載する比較例2も参照のこと)。したがって、これらの層は、その後の熱処理なしで使用すること、または熱処理を受ける前に長時間にわたって貯蔵および場合により輸送することが必要であり、熱処理の前のそれらの老化耐性が適切である必要がある。
したがって、本発明の目的は、光学的およびエネルギー特性に関して有効であり、かつ、次いで、強化または屈曲の種類の熱処理を受けても、もしくは受けなくても、これらの性能レベルを保持する新型の低放射率および抗日射薄層の積層を開発することである。
本発明において、以下の情報が使用される。
・ 光透過(LT)は、グレイジングによって透過される発光物D65/2°の入射光束のパーセントである。
・ 光反射(LR)は、グレイジングによって反射される発光物D65/2°の入射光束のパーセントである。これは、層側面(LRc)または基板側面(LRg)から測定されてよい。
・ エネルギー透過(ET)は、規格EN410にしたがって算出される、グレイジングによって透過される入射エネルギー放射のパーセントである。
・ エネルギー反射(ER)は、規格EN410によって算出される、グレイジングによって反射される入射エネルギー放射のパーセントである。これは、建築物または車両の外部側面(ERext)あるいは建築物または車両の内部側面(ERint)上で測定されてよい。
・ 日射透過率(SFまたはg)は、一方でグレイジングによって直接透過され、グレイジングによって吸収され、次いで、グレイジングに関するエネルギー供給源の反対方向に放射される入射エネルギー放射のパーセントである。これは、本明細書において、規格EN410によって算出される。
・ U値(係数k)および放射率(ε)は、規格EN673およびISO 10292によって算出される。
・ CIELAB 1976値(L)は、色合いを定義するために使用される。これは、発光物D65/10°によって測定される。

は、熱処理の間の色合いの変化、すなわち、熱処理前後間の色の差異を表す。
・ オームパースクエア(Ω/□)で表されるスクエアあたりの抵抗(R)(シート抵抗)は、薄フィルムの電気抵抗を測定する。
・ 値が「a〜bの範囲」として記載される場合、それらはaまたはbと等しくてもよい。
・ 複数のグレイジング構造における層の積層の配置は、グレイジングユニットの面の典型的な連続番号に従って与えられ、面1は、建築物または車両の外部上にあり、および面4(二重グレイジングユニットの場合)または面6(三重グレイジングユニットの場合)は内部上にある。
・ 本明細書において、窒化ケイ素または酸化ケイ素層が言及される場合、磁電管スパッタリングコーティングの技術分野において周知であるように、層に少量のアルミニウムが組み込まれていてもよいことを理解すべきである。そのようなアルミニウムは、一般に多くとも10重量%の量で、ドーピング剤として含まれる。
・ 明瞭にするために、本明細書において、「下」、「上」、「下位」、「上位」、「第1」または「最後」などの用語を使用する場合、常に、下方のガラスから出発して、ガラスからさらに離れて上方に進む連続層に関連する。そのような配列は、直接接触が明示される場合を除いて、画定された層の間に追加的な中間層を含んでなってもよい。
本発明は請求項1によるグレイジングユニットに関し、および従属請求項は好ましい実施形態を提供する。
本発明は、n層の赤外線反射機能層およびn+1層の誘電体コーティングであって、n>1である、n層の赤外線反射機能層およびn+1層の誘電体コーティングの交互の配置を、各機能層が誘電体コーティングによって包囲されるように含んでなる薄層の積層とともに提供される透明基板を含んでなるグレイジングユニットに関する。実際に本発明は、少なくとも2層の赤外線反射機能層を含んでなるコーティング積層のみに関する。本発明によるグレイジングは、基板から最も遠い最後の機能層の上に直接重ねられたバリア層を含んでなり、かつ以下を特徴とする。
(i)基板に最も近い第1の誘電体コーティングは、基板と直接接触する、酸化物から製造される層を含んでなり、
(ii)2層の機能層によって包囲される1層または複数層の内部誘電体コーティングは、両側面において、5nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層によって包囲される、5nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層を含んでなり、
(iii)バリア層は酸化亜鉛をベースとするか、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなり、かつ
(iv)基板から最も遠い最後の誘電体コーティングは、基板から出発して、以下の順番で、3nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層と、10nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層とを含んでなる
ことを特徴とする。
コーティング積層の層の特定の選択のため、ならびに主として、基板と直接接触する酸化物から製造される層の存在、酸化物層によって包囲される内部誘電体コーティング中の窒化ケイ素または酸化ケイ素の層、および最後の誘電体コーティングの窒化ケイ素または酸化ケイ素の適切な層の組み合わせのため、そのようなグレイジングユニットは、以下の利点を提供し得る(別の標準的な厚さ4mmの透明ソーダ石灰フロートガラスシートとともに、二重グレイジングユニットに組み込まれた標準的な厚さ6mmの透明ソーダ石灰フロートガラスシート上のコーティングは、アルゴンで90%まで充填された15mmのガラスシート間の間隔をあけ、層の積層は位置2にある)。
・ 低い放射率(ε≦0.038、好ましくは、ε≦0.025)と同時の高い光透過(LT≧68%)が熱損失を制限する。
・ 低い日射透過率(SF<41%)によって、日光による過剰な過熱のリスクを低減することができる。
・ 高い選択性(LT/SF≧1.75)。
・ U≦1.1W/(mK)、好ましくは、U≦1.0W/(mK)の値を達成することが可能な断熱特性。
・ 単一グレイジングであっても、複数のグレイジングであっても、透過および反射における色合いの中立性。単一グレイジングの好ましい値:
透過:88≦L≦94 −6≦a≦+4 −4≦b≦+4
反射基板側面:25≦L≦40 −4≦a≦+3 −16≦b≦0
・ 熱処理される可能性。コーティングは高温に耐性を有するか、または熱処理なしで使用される。
・ 欠陥のない美的外観。熱処理前または後に、曇りが極めて限定的または存在せず、および熱処理後の許容できない斑点がない。
・ 熱処理後、実質的に不変の光学的およびエネルギー特性の保持によって、熱処理された製品または熱処理されていない製品を互いの付近で使用することが可能となる(「自己適合性」)。単一グレイジングで、透過および反射において色が変化しないか、ほとんど変化せず(ΔE≦8、好ましくは≦5、より好ましくは≦2)、かつ/または光透過および反射およびエネルギー値が変化しないか、ほとんど変化しない(Δ=|(熱処理前の値)−(熱処理後の値)|≦5、好ましくは≦3、より好ましくは≦1)。
・ 熱処理を行わない使用のため、または熱処理前の時間間隔のための十分な化学的耐性。特に、気候チャンバー試験または規格EN1036−2012による塩スプレー試験の結果において、1日後、好ましくは3日後に肉眼で見られるいずれの欠陥またはいずれの変色もない。
本発明者らは、実際に、特に熱処理されていない製品の化学的安定性を確実にするために、基板と直接接触する酸化物(多くの既知のコーティング積層の場合のように、窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素などの窒化物ではない)から製造される層を有することが不可欠であるのみならず、特に熱処理後の曇りの外観およびスクエアあたりの抵抗の悪化を制限するために、1層または複数層の内部誘電体コーティング中の酸化物層によって包囲される窒化ケイ素または酸化ケイ素の層を有することも不可欠であったこと、ならびに、最終的に、特に熱処理されていない製品の化学的安定性のため、かつ熱処理後の自己適合性および欠陥の不在のために、酸化亜鉛をベースとするか、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなるバリア層に加えて、最後の誘電体コーティングにおいて酸化物層より上に窒化ケイ素または酸化ケイ素の層を有することが不可欠であったことを見出している。
本発明による第1の誘電体は、単層として、または最低層として、酸化物から製造される層を含んでなる。有利には、基板と直接接触する酸化物から製造されるこの層は、Zn、Sn、TiおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物の層である。それは、好ましくは、亜鉛スズ混合酸化物の層、より好ましくは、亜鉛スズの割合が、50−50重量%に近い(ZnSnO)、例えば、52−48重量%の亜鉛スズ混合酸化物の層である。亜鉛スズ混合酸化物は、例えば、SiOまたはAlと比較して、それが良好な析出速度を有するため、および/または例えば、純粋なZnOまたは酸化ビスマスと比較して、良好な安定性を示すため、有利であり得る。またさらに、例えば、TiまたはZrの酸化物と比較して、積層の熱処理後、曇りを発生させる傾向をあまり有さないため、有利であり得る。基板と直接接触する酸化物から製造される層は、有利には、少なくとも15nm、好ましくは少なくとも20nmの厚さを有する。これらの最小の厚さの値は、特に、熱処理されていない製品の化学安定性を確実にすることができ、また熱処理に対する耐性も確実にすることができる。
第1の誘電体コーティングは、好ましくは、少なくとも15nm、より好ましくは少なくとも20nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは多くとも55nm、より好ましくは多くとも50nmである。
本発明者らは、2層の機能層によって包囲される誘電体コーティングに、「内部誘電体コーティング」という用語を与えた。2層の機能層によるコーティング積層の場合、単一の内部誘電体コーティングがある。3層の機能層によるコーティング積層の場合、2層の内部誘電体コーティングがある。内部誘電体コーティングが一般に参照される以下の記載において、具体的に明示されていない場合であっても、同一の考慮すべき問題は、いくつかの内部誘電体コーティングを有する場合に適用される。本発明による内部誘電体コーティングは、両側面において、5nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層によって包囲される、5nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層を含んでなる。したがって、本発明による内部誘電体コーティングは、基板から出発して、以下の順番で、以下の配列を含んでなるが、必ずしも直接接触していない:
SiO以外の酸化物//SiまたはSiO//SiO以外の酸化物。
5nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される内部誘電体コーティングの層は、好ましくは、Zn、Sn、TiおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物の層である。これらは、好ましくは、亜鉛スズ混合酸化物の層、より好ましくは、亜鉛スズの割合が、50−50重量%に近い(ZnSnO)、例えば、52−48重量%の亜鉛スズ混合酸化物の層である。あるいは、これらは、例えば、約65/35のTi/Zrの重量比のチタンジルコニウム混合酸化物の層であってもよい。酸化ケイ素以外の酸化物から製造される内部誘電体コーティングの層は、1つ以上の層から形成されてもよい。それらは好ましくは少なくとも5nm、少なくとも8nmまたは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも12nmまたは少なくとも15nmの厚さを有する。それらの厚さは、好ましくは多くとも50nmまたは多くとも40nm、より好ましくは多くとも30nmである。有利には、窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される内部誘電体コーティングの層の下に位置する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される内部誘電体コーティングの層は、窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される内部誘電体コーティングの層の上に位置するものより厚い。これは、製品の「自己適合性」を改善し得る。
5nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される内部誘電体コーティングの層は、好ましくは、少なくとも8nmまたは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも12nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは多くとも55nmまたは多くとも50nm、より好ましくは45nmである。窒化ケイ素は、磁電管スパッタリングによって産業的に析出することがより容易であるため、かつ酸化ケイ素よりもわずかに高い屈折率(nSiN=2.0、nSiO2=1.5)によって、より良好な光エネルギーの特性さえもが得られることを可能にするため、酸化ケイ素より一般に好ましい。あるいは、この層は、むしろ、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムの層であってもよいが、この解決案は、主にコーティング耐久性の理由のため、好ましくなかった。
内部誘電体コーティングは、好ましくは少なくとも24nmまたは少なくとも30nm、より好ましくは少なくとも35nmまたは少なくとも40nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは多くとも150nmまたは多くとも120nm、より好ましくは多くとも100nmである。
機能層の直接下にあり、かつそれと接触する最上層として、その上に機能層が重ねられた誘電体コーティングの少なくとも1つ(すなわち、第1の誘電体コーティングまたは内部誘電体コーティング)、あるいは好ましくは、その上に機能層が重ねられた各誘電コーティングは、有利には、酸化亜鉛をベースとする層も含んでなってもよい。これは、「核形成」または「湿潤」層と呼ばれることもあり、その上での銀の成長を促進し、製品でスクエアあたりの抵抗を増加させるために役立つ。この酸化亜鉛をベースとする層は酸化亜鉛からなってよく、場合により他の金属、例えば、アルミニウムで、一般に約2重量%、多くとも10重量%の割合でドーピングされていてもよい。これは、好ましくは多くとも15nm、好ましくは1.5〜10nm、より好ましくは3〜10nmの範囲の厚さを有する。
本発明によると、積層は、基板から最も遠く離れた最後の機能層上に直接重ねられた、すなわち、上記最後の機能層より上にあり、かつそれと直接接触するバリア層を含んでなる。このバリア層は、酸化亜鉛をベースとする(すなわち、酸化物の金属質の部分の少なくとも50原子%、好ましくは少なくとも60原子%、より好ましくは少なくとも70原子%、なおより好ましくは少なくとも80原子%の量のZnを含んでなる)か、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなる。より好ましくは、上記バリアは、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛、または場合によりスズでドーピングされたインジウム酸化物からなる。なおより好ましくは、上記バリア層は、純粋なZnOの層(iZnOと示される)、または多くとも10重量%、好ましくは約2重量%の割合で、アルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛の層(AZOと示される)である。これらの種類のバリアは、製品の「自己適合性」およびスクエアあたりの抵抗を改善する利点を有する。バリア層は、好ましくは、多くとも20nmまたは多くとも18nm、より好ましくは多くとも16nm、好ましくは、1〜18nm、または2〜18nm、より好ましくは3〜16nmの範囲の厚さを有する。
基板から最も遠い、本発明による最後の誘電体コーティングは、基板から出発して、以下の順番で、3nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物で製造される層と、10nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層とを含んでなる。
3nmを超える厚さを有する酸化物から製造される、最後の誘電体コーティングの層は、好ましくは、Zn、Sn、TiおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物の層である。それは、好ましくは、亜鉛スズ混合酸化物の層、より好ましくは、亜鉛スズの割合が50−50重量%に近い(ZnSnO)亜鉛スズ混合酸化物の層である。これは、好ましくは少なくとも4nm、より好ましくは少なくとも5nmまたは少なくとも6nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは、多くとも25nmまたは多くとも20nm、より好ましくは、多くとも18nmまたは多くとも15nmである。
最後の誘電体コーティングのこの酸化物層の上には、それと直接接触しているとは限らないが、10nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層がある。それは、好ましくは、少なくとも12nmまたは少なくとも14nm、より好ましくは少なくとも15nmまたは少なくとも16nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは、多くとも40nmまたは多くとも35nm、より好ましくは、多くとも30nmまたは多くとも25nmである。窒化ケイ素は、磁電管スパッタリングによって産業的に析出することがより容易であるため、かつそれが最後の誘電体において、酸化ケイ素よりも良好な機械的安定性および良好な熱処理に対する耐性を提供し得るため、酸化ケイ素より一般に好ましい。この窒化ケイ素層は、コーティング積層の最後の層でもよい。あるいは、この層は、むしろ、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムの層であってもよいが、この解決案は、主にコーティング耐久性の理由のため、好ましくなかった。
有利には、最後の誘電体コーティングは、コーティング積層の最後の層を形成する保護トップコートを含んでなってもよい。これは、好ましくは、TiおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物または準化学量論的酸化物からなり、より好ましくは、例えば、約65/35に近いTi/Zrの重量比のチタンジルコニウム混合酸化物からなる。そのような層は、グレイジングの化学的および/または機械的安定性を改善し得る。この保護トップコートは、好ましくは少なくとも3nm、好ましくは少なくとも5nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは、多くとも15nmまたは多くとも12nm、より好ましくは多くとも10nmまたは多くとも8nmである。
最後の誘電体コーティングは、好ましくは少なくとも10nmまたは少なくとも15nm、より好ましくは少なくとも20nmまたは少なくとも22nmの厚さを有する。その厚さは、好ましくは多くとも80nmまたは多くとも60nm、より好ましくは多くとも50nmまたは多くとも48nmである。
誘電体コーティングは、本質的として上記の層間の直接接触が守られる限り、1つ以上の他の誘電層:例えば、金属酸化物、窒化物または酸窒化物、好ましくは、ZnO、TiO、SnO、Si、ZrO、亜鉛スズ混合酸化物、またはチタンジルコニウム混合酸化物から製造される誘電体物質の1つ以上の層を追加的に含んでなってもよい。亜鉛スズ混合酸化物の場合、50−50重量%に近い亜鉛スズの割合、または90−10重量%に近い亜鉛スズの割合を有し得る。
有利には、内部誘電体コーティングは、2.2を超える屈折率を有する誘電体物質を含んでなってもよい。この種類の材料は、グレイジングの選択性のさらなる増加を実際に可能にし得る。これは、好ましくは、Ti、NbおよびZrから選択される1つの元素を含んでなる酸化物、より好ましくは、例えば、約65/35に近いTi/Zrの重量比のチタンジルコニウム混合酸化物である。
赤外線反射機能層は、好ましくは銀をベースとする層である。銀からなるか、あるいは場合により、例えば、多くとも5重量%、好ましくは約1重量%の割合で、パラジウムまたは金でドーピングされてもよい。銀をベースとする層における少量のドーピング剤の組み込みは、積層の化学的安定性を改善し得る。機能層は、有利には少なくとも6nmまたは少なくとも8nm、好ましくは少なくとも9nmの厚さを有する。それらの厚さは、好ましくは多くとも22nmまたは多くとも20nm、より好ましくは18nmである。これらの厚さ範囲は、良好な光透過を保持しながら、所望の低放射率および抗日射機能が達成されることを可能にし得る。2層の機能層を有するコーティング積層において、より良好な選択性を得るために、基板から最も遠く離れた第2の機能層の厚さは、第1のものよりわずかに大きいことが好ましくなり得る。2層の機能層によるコーティング積層の場合、第1の機能層は、例えば、8〜18nmの厚さを有し得、かつ第2の機能層は、10〜20nmの厚さを有し得る。
本発明のいくつかの実施形態において、積層は、最後の機能層以外の少なくとも1つ、または好ましくは各機能層上に直接重ねられる(すなわち、それの上にあり、かつ直接接触する)バリア層を含んでなってもよい。バリア層は、酸化亜鉛をベースとする(すなわち、酸化物の金属質の部分の少なくとも50原子%、好ましくは少なくとも60原子%、より好ましくは少なくとも70原子%、なおより好ましくは少なくとも80原子%の量のZnを含んでなる)か、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなる。より好ましくは、バリアは、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛、または場合によりスズでドーピングされたインジウム酸化物からなる。なおより好ましくは、上記バリア層は、純粋なZnOの層(iZnOと示される)、または多くとも10重量%、好ましくは約2重量%の割合で、アルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛の層(AZOと示される)である。これらの種類のバリアは、製品の「自己適合性」およびスクエアあたりの抵抗を改善する利点を有する。バリア層は、好ましくは、多くとも20nmまたは多くとも18nm、より好ましくは多くとも16nm、好ましくは、1〜18nm、または2〜18nm、より好ましくは3〜16nmの範囲の厚さを有する。
本発明のいくつかの実施形態において、薄層の積層は、基板から出発して、以下の順番で、
(i)20〜40nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(ii)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、
(iii)9〜17nmの範囲の厚さを有する第1の銀をベースとする機能層と、
(iv)2〜16nmの範囲の厚さを有する、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛のバリア層と、
(v)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
(vi)10〜50nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(vii)10〜50nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
(viii)5〜50nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(ix)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、
(x)10〜20nmの範囲の厚さを有する第2の銀をベースとする機能層と、
(xi)2〜16nmの範囲の厚さを有する、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛のバリア層と、
(xii)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
(xiii)3〜20nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(xiv)10〜35nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
(xv)任意選択的に、3〜10nmの範囲の厚さを有する、チタンジルコニウム混合酸化物の層と
を少なくとも含んでなるか、またはそれらからなる。
本発明のこれらの実施形態において、層(vi)の厚さ、または適用可能である場合、層(v)および(vi)の厚さの合計は、有利には、層(viii)および(ix)の厚さの合計より大きい。
本発明の他の実施形態において、内部誘電体コーティングは、基板から出発して、以下の順番で、
(i)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
(ii)10〜30nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(iii)10〜45nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
(iv)5〜30nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
(v)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、ならびに
層(ii)と層(iii)との間、または層(iii)と層(iv)との間の、2〜30nmの範囲の厚さを有するチタンジルコニウム混合酸化物の層、あるいは一方が層(ii)と層(iii)との間、および他方が層(iii)と層(iv)との間にある、2〜30nmの範囲の厚さを有する2層のチタンジルコニウム混合酸化物の層と
を少なくとも含んでなるか、またはそれらからなる。
本発明のこれらの実施形態において、チタンジルコニウム混合酸化物の層の厚さを追加する根拠があり得る、層(ii)の厚さまたは適用可能である場合に層(i)および(ii)の厚さの合計は、有利には、チタンジルコニウム混合酸化物の層の厚さを追加する根拠があり得る、層(iv)および(v)の厚さの合計より大きい。
本発明によるグレイジングユニットは、複数のグレイジングユニット、例えば、二重または三重グレイジングユニットで、好ましくは使用される。それらは、以下の特性を有してもよい。
本発明の特定の実施形態は、実施例1〜10、ならびに比較例1〜4に関して、例として記載される。
実施例および比較例の厚さは、全て、オングストロームで示される。全ての層は、真空下での磁気援用カソードスパッタリングを使用して析出された。熱処理が実行された場合、次の条件で実行された:9分30秒間、670℃での静的オーブンにおける硬化。
実施例1〜8
表Iに記録される本発明による層の積層は、ガラスシート上へ析出され、次いで、熱処理された。熱処理前後のスクエアあたりの抵抗の値を表に示し、この処理によって値がほとんど変化しないことが示される(Δ<0.4)。これらのグレイジングユニットは、「テンパリング可能」および「自己適合性」であることが証明された。熱処理された製品は曇りまたは斑点を示さず、および熱処理の前、製品は良好な化学的安定性を有する。
以下の特性は、熱処理前に実施例1a、実施例7および実施例8による試料において測定され、Δの変化は熱処理の前後の値の間で算出された。
実施例9
本発明による3層の機能層によるコーティング積層の実施例をガラスシートの上へ析出して、表IIに示す。
この種類のコーティング積層は熱処理に対して耐性を有し、自己適合性である(ΔE<8)。(上記で定義される)二重グレイジングにおいて、50〜65%のLT値、および1.9より高い選択性が得られる。
比較例1および2
表IIIに記録される本発明によらない層の積層は、ガラスシート上へ析出され、次いで、熱処理された。熱処理前後のスクエアあたりの抵抗の値を表に示し、この処理によって値が非常に悪化したことが示される。これらのグレイジングユニットは、したがって、「自己適合性」であると考えることができない。さらに、これらの比較例では熱処理の後、肉眼で認識できる激しい曇りが生じた。
比較例1と本発明による実施例との比較によって、以下が実証される。
・ 特に曇りの外観を制限し、放射率の増加を導く熱処理の後のスクエアあたりの抵抗を増加させるための内部誘電体コーティングにおいて酸化物層によって包囲される窒化ケイ素または酸化ケイ素の層を有することの利点、ならびに
・ 特に自己適合性のための、最後の誘電体コーティングにおける酸化物層より上の窒化ケイ素の層を有することの利点。
比較例2は、ガラスと接触する層が、窒化物から製造され、本発明の場合のように酸化物から製造されないコーティング積層を示す。この比較例による試料には、いずれかの熱処理前に、気候チャンバー試験および規格EN 1096−2012による塩スプレー(「中性塩スプレー」)試験を行った。気候チャンバーの1日後、比較例2による試料は、実施例1による試料より劣化し、それは3日後も同様であった。塩スプレーの1日後、比較例2による試料は、実施例1による試料より劣化し、それは2日後も同様であった。これらの劣化は、肉眼で見える斑点および/または欠陥の外観によって明白であった。これは、特に、熱処理されていない製品のより良好な化学的安定性のために、基板と直接接触する酸化物から製造される層を有することの利点を実証する。
以下の表中、
・ ZSOは、亜鉛スズ割合が50−50重量%に近い(ZnSn)亜鉛スズ混合酸化物を表す。
・ AZOは、約2重量%の割合でアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛を表す。
・ SiNは、窒化ケイ素を表す。
・TZOは、約65/35のTi/Zrの重量比のチタンジルコニウム混合酸化物を表す。
実施例10ならびに比較例3および4
本発明によるコーティング積層の実施例および本発明によらない2つの比較例を、以下の通り、ガラスシート上へ析出した。
以下の特性が観察された。
中性塩スプレー試験の結果は、表中で1〜5までの規模で与えられ、5は劣化せず、1は非常に劣化したことを意味する。
実施例10と、比較例3および4との間の比較によって、バリア層と窒化ケイ素層との間の上位の誘電体コーティングにおける酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層の存在の有益な効果:熱処理による中性塩スプレーへのはるかにより良好な耐性、ならびに光およびエネルギー透過におけるはるかにより少ない変化が示される。

Claims (17)

  1. n層の赤外線反射機能層およびn+1層の誘電体コーティングであって、n>1である、n層の赤外線反射機能層およびn+1層の誘電体コーティングの交互の配置を、各機能層が誘電体コーティングによって包囲されるように含んでなる薄層の積層とともに提供される透明基板と、前記基板から最も遠い最後の機能層の上に直接重ねられたバリア層とを含んでなるグレイジングにおいて、
    (i)前記基板に最も近い第1の誘電体コーティングは、前記基板と直接接触する、酸化物から製造される層を含んでなり、
    (ii)2層の機能層によって包囲される前記1層または複数層の内部誘電体コーティングは、両側面において、5nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層によって包囲される、5nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層を含んでなり、
    (iii)前記バリア層は酸化亜鉛をベースとするか、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムからなり、かつ
    (iv)前記基板から最も遠い最後の誘電体コーティングは、前記基板から出発して、以下の順番で、3nmを超える厚さを有する酸化ケイ素以外の酸化物から製造される層と、10nmを超える厚さを有する窒化ケイ素または酸化ケイ素から製造される層とを含んでなる
    ことを特徴とする、グレイジング。
  2. 前記基板と直接接触する酸化物から製造される前記層が、亜鉛スズ混合酸化物の層である、請求項1に記載のグレイジング。
  3. 前記基板と直接接触する酸化物から製造される前記層が、少なくとも20nmの厚さを有する、請求項1または2に記載のグレイジング。
  4. 前記1層または複数層の内部誘電体コーティングの酸化ケイ素以外の酸化物から製造される前記層が、亜鉛スズ混合酸化物から製造される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグレイジング。
  5. 各誘電体コーティングであって、その上に機能層が重ねられた各誘電体コーティングが、前記機能層の直接下にあり、かつそれと接触する酸化亜鉛をベースとする層を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグレイジング。
  6. 前記機能層の直接下にあり、かつそれと接触する各酸化亜鉛をベースとする層が、多くとも15nm、好ましくは3〜10nmの範囲の厚さを有する、請求項5に記載のグレイジング。
  7. 各機能層より上に、かつそれと直接接触して、前記積層が、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛、または場合によりスズでドーピングされた酸化インジウムから製造されるバリア層を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグレイジング。
  8. 前記または各バリア層が、多くとも20nm、好ましくは2〜18nmの範囲の厚さを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグレイジング。
  9. 前記最後の誘電体コーティングが、前記積層の前記最後の層を形成し、かつTiおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物、場合により準化学量論的酸化物からなる保護トップコートを追加的に含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のグレイジング。
  10. 前記保護トップコートが、多くとも15nm、好ましくは3〜10nmの範囲の厚さを有する、請求項9に記載のグレイジング。
  11. 前記薄層の積層が、前記基板から出発して、以下の順番で、
    (i)20〜40nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (ii)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、
    (iii)9〜17nmの範囲の厚さを有する第1の銀をベースとする機能層と、
    (iv)2〜16nmの範囲の厚さを有する、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛のバリア層と、
    (v)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
    (vi)10〜50nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (vii)10〜50nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
    (viii)5〜50nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (ix)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、
    (x)10〜20nmの範囲の厚さを有する第2の銀をベースとする機能層と、
    (xi)2〜16nmの範囲の厚さを有する、場合によりアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛のバリア層と、
    (xii)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
    (xiii)3〜20nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (xiv)10〜35nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
    (xv)任意選択的に、3〜10nmの範囲の厚さを有する、チタンジルコニウム混合酸化物の層と
    を少なくとも含んでなるか、またはそれらからなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のグレイジング。
  12. 前記薄層の積層が、前記誘電体コーティングの少なくとも1つにおいて、2.2より高い屈折率を有する誘電体物質の層を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のグレイジング。
  13. 2.2より高い屈折率を有する前記誘電体物質が、Ti、NbおよびZrから選択される少なくとも1つの元素の酸化物である、請求項12に記載のグレイジング。
  14. 内部誘電体コーティングが、前記基板から出発して、以下の順番で、
    (i)任意選択的に、4〜10nmの範囲の厚さを有する、酸化亜鉛の層、または少なくとも80/20、好ましくは少なくとも90/10のZn/金属の重量比で別の金属(例えば、Al)を含んでなる酸化亜鉛をベースとする層と、
    (ii)10〜30nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (iii)10〜45nmの範囲の厚さを有する窒化ケイ素の層と、
    (iv)5〜30nmの範囲の厚さを有する亜鉛スズ混合酸化物の層と、
    (v)3〜10nmの範囲の厚さを有する、場合によりドーピングされた酸化亜鉛の層と、ならびに
    層(ii)と層(iii)との間、または層(iii)と層(iv)との間の、2〜30nmの範囲の厚さを有するチタンジルコニウム混合酸化物の層、あるいは一方が層(ii)と層(iii)との間、および他方が層(iii)と層(iv)との間にある、2〜30nmの範囲の厚さを有する2層のチタンジルコニウム混合酸化物の層と
    を少なくとも含んでなるか、またはそれらからなる、請求項12または13に記載のグレイジング。
  15. 前記1層または複数層の内部誘電体コーティングの酸化ケイ素以外の酸化物から製造される前記層が、チタンジルコニウム混合酸化物から製造される、請求項1〜10、12または13のいずれか一項に記載のグレイジング。
  16. 単一グレイジングにおいて多くとも8、好ましくは多くとも5の、ΔEによって定義される、前記熱処理されていないグレイジングと、前記熱処理されたグレイジングとの間の透過および反射における色の変化を示す、請求項1〜15のいずれか一項に記載のグレイジング。
  17. 単一グレイジングにおいて多くとも5、好ましくは多くとも3の、前記熱処理されていないグレイジングと、前記熱処理されたグレイジングとの間の光およびエネルギー透過および反射値の変化を示す、請求項1〜16のいずれか一項に記載のグレイジング。
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