JP2016530510A - 非グリコシル化suPARバイオマーカー及びその使用 - Google Patents

非グリコシル化suPARバイオマーカー及びその使用 Download PDF

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Abstract

【要約文】タンパク尿マーカー及びそれらの使用方法が提供される。これらのマーカーは、タンパク尿症を診断すること、タンパク尿症を予後診断すること、及びタンパク尿症を治療することを含む用途を満たす。そのほか、主題の方法を実施する用途を満たす試薬、装置及びキットが提供される。

Description

蛋白尿症マーカー及びそれらの使用方法が提供される。
関連出願への相互参照
この出願は、2013年8月1日に出願された米国仮出願61/851226号に対する優先権の利益を主張し、その出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
蛋白尿症可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲン型活性化因子受容体(suPAR)は、糖尿病性腎症や巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)などの腎障害における蛋白尿症の原因因子として示唆されている。例えば、一次FSGS及び再発性FSGSを有する患者の約2/3は、suPARの血清レベルが増加していることが以前に示されている。in vitro及びin vivoの研究を使用して、suPARが足細胞の足突起(FPs)でαvβ3インテグリンを活性化し、回りまわって、マウスで蛋白尿症を誘発することが示されている。
しかし、suPARレベルは、蛋白尿症と関連していないがん及び感染症を含む多くの疾患で上昇している。したがって、suPARの検体レベルの蛋白尿症への関連性はまだ不明である。本出願は、これらの問題に対処する。
蛋白尿症マーカー及びそれらの使用方法が提供される。これらのマーカーは、蛋白尿症の診断、蛋白尿症の予後診断、及び蛋白尿症の治療など、多くの用途を満足させる。さらに、本主題の方法の実施での使用を満足させる試薬、装置及びキットが提供される。
図1aは、ドメインの研究で使用されるC末端Hisタグ化nonGly-suPARタンパク質断片が記載される。図1bは、図2a及びsuPARタンパク質(R&D)に示されるタンパク質断片を分離したSDS-PAGEゲルの銀染色を示している。試料中のタンパク質の高純度に注意せよ。図1cは、大腸菌におけるnonGly-suPARの断片の発現を示す。パネル1(一番左のパネル):全細菌溶解物のクマシー染色。パネル2(中央のパネル):Sigma社からの抗PLAUR ABを用いたウェスタンブロット解析。パネル3(最も右のパネル):パネル2の過剰露出;レーン3、DII-DIII;レーン4、DI-DII;レーン5、DIII;レーン6、DII;レーン7、DI。 図2a(図2-1a)は、FSGS患者からの血漿(「FSGS血清」)がαvβ3インテグリンを活性化し、そそして抗体ATN615を使用したFSGS血漿からのsuPARの枯渇は(「FSGS血清ΔsuPAR」)、αvβ3インテグリン活性化を改善することを示す。本図はまた、野生型完全グリコシル化suPAR(Gly-suPAR)が非グリコシル化suPAR(nonGly-suPAR)とは対照的にαvβ3の強力な活性化因子ではないことを示す。より強力な活性化は、その後のGly-suPARの50ng/mLの存在下で、1ng/mLのnonGly-suPARを添加することによって認められることに注意せよ。したがって、nonGly-suPARは生理的レベルでインテグリンの強力な活性化因子である。 図2b(図2-2b)は、図2a(パネル1〜3)での結果の計量を提供する。少なくとも30細胞が、条件ごとに計数された。データは、平均±S.E.M、N=3を表す。図2c(図2-2c)は、suPAR(DI-DII及びDII-DIII)の非グリコシル化断片によるαvβ3インテグリンの定量に加えて、図2a(パネル4、5)での結果の定量を提供する。少なくとも30細胞が、条件ごとに計数された。データは、平均±S.E.M、n=3を表す。 図3a及び3bは、Gly-suPAR(パネルa)とnonGly-suPARの両方が、プロテインG及びプロテインAに結合することを示す。パネル3aにおいて、* 溶出工程の間に放出されたプロテインA(65kDa)。 図4a〜4cは、nonGly-suPARが野生型マウスに蛋白尿症を誘導することを示す。図4a棒グラフは、マウスでのnonGly-suPARの注入前後のアルブミン尿症のレベルを示す。データは、6匹の動物の平均±S.Dを表す。図4bは、nonGly-suPARを注入した後の、動物の尿中のネフリンの出現を示す(レーン10〜14)。PBSの注入は、注入時のストレスの対照として使用され、そして、その注入はまた足細胞に傷害を与える(レーン5〜9でネフリンシグナルの出現に注意)。尿へのネフリンの損失(ネフロン尿)は、ネフリンがヒトにおける微量アルブミン尿を進行させるため、足細胞傷害の早期診断ツールとして提案されている(Ziyadeh FN及びWolf G, 2008, Current diabetes reviews 4 (1), 39-45)。図4cは、図4bの結果の計量を提供する。 図5a及び5bは、ELISA実験において使用される抗suPAR抗体(R&D)はGly-suPARのみを認識することを示す。パネルa:ウェスタンブロット。パネルb:クマシーブルー。レーン1: 哺乳動物細胞で発現されるR&D Hisタグ化全長suPAR、500ng/レーン。レーン2:大腸菌で発現されるHisタグ化全長suPAR。レーン3:大腸菌で発現されるHisタグ化D2-D3 suPAR。レーン4: 大腸菌で発現するHisタグ化D1-D2 suPAR。レーン5:大腸菌で発現されるHisタグ化D1 suPAR。レーン6:大腸菌で発現させたHisタグ化D2 suPAR。レーン7:大腸菌で発現されたHisタグ化D3 suPAR。シグナルは、サーモサイエンティフィックからのSUPERSIGNALR(商標)West Fempto最大感度基板を使用して展開された。 図6a〜6e(図6-1a,b及び図6-2c〜e)は、血漿中のsuPARレベルがβ3インテグリン活性化と相関しないことを表すデータを提供する。パネルa:FSGS患者の血清は増加したsuPARレベルを示したのに対し、腹膜透析を受けている患者又は敗血症を有する透析患者は、より顕著であることを示した。パネルb:接着斑の総量レベル(FA:パキシリン染色によって決定される)に対する活性化インテグリン(AP5染色)のレベルの比率の測定。パネルc:誘発された強力なβ3インテグリン活性化の血清の数。しかし、インテグリンのレベルとsuPARレベル及び活性化との間で統計的に有意な相関が認められなかった。パネルd及びe:腹膜透析患者(パネルd)又は敗血症(パネルe)の腹膜透析患者の血清によってβ3インテグリンの活性化は誘発されなかった。
添付の図面と併せて読めば、本発明は、以下の詳細な説明から最もよく理解される。特許又は出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を含む本特許又は特許出願公報のコピーは、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁により提供される。一般的な慣行に従って、図面の様々な外観が一定の縮尺ではないことを強調しておく。それどころか、様々な特徴の寸法は任意に拡大又は明確にするために減少される。以下の図が図面に含まれる。
発明の詳細な説明
方法及び組成が、蛋白尿症の評価を提供するために提供される。前記方法の態様は、被検体からの試料中の非グリコシル化suPARのレベルを評価することを含む。また、蛋白尿症を治療するための方法もまた提供される。さらに、それらの試薬、装置及びキットが、本主題の方法を実施するための使用を満たすために提供される。これら及び他の目的、メリット、並びに本発明の特徴が、以下にさらに詳細に記載されるように組成及び方法の詳細を読むことにより当業者に明らかになる。
本発明の方法及び組成が記載される前に、本発明は、記載される特定の方法又は組成に限定されず、したがって、当然ながら変化することが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施態様のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別途記載しない限り、その範囲の上限と下限の間に、その下限の単位の10分の1まで、その各介在値もまた開示されると理解される。記載された範囲におけるいかなる記載された値又は介在する値と、記載された範囲における記載された又は介在するいかなる他の値との間のより小さな各範囲は、本発明の範囲に包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、その範囲に含まれてもよく又は除外されてもよく、そして、いずれも、いずれでもない又は両方が限定する各範囲もまた本発明の範囲に包含され、記載された範囲におけるいかなる特別に除外された限定に従う。記載された範囲は、限定の1つ又は両方を含む場合に、これらの包含される限定のいずれか又は両方を除外する範囲がまた本発明に包含される。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般的に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。いかなる方法及び本明細書に記載のものと類似又は同等の材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、いくつかの潜在的かつ好ましい方法及び材料が本明細書に記載される。本明細書で言及する全ての刊行物は、刊行物の引用に関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、矛盾が存在するまで、組み込まれた出版物のいかなる開示に優先することが理解される。
この開示に関して当業者に明らかであるように、本明細書に記載され図示された各個別の実施態様は、本発明の範囲又は精神から切り離すことなく、いかなる他のいくつかの実施態様の特徴と容易に切り離され又は結合され得る明確な構成要素及び特徴を有する。言及されるいかなる方法が、言及される事象の順序において、又は、論理的に可能な他のいかなる順序において実施される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈が特に明確に指示しない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の言及を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、そのような複数の細胞を含み、そして、「ペプチド(the peptide)」への言及は、1又はそれ以上のペプチド、及び例えば当業者に知られたそれの均等物等への言及を含む。
本明細書で議論される刊行物は、本出願の出願日前の開示のためにのみ提供される。本発明が先行発明によって、このような刊行物に先行する資格がないことについての承認と何ら解釈されるべきではない。さらに、提供される公表日は、独立して確認する必要がある実際の公開日と異なっている場合がある。
組成
本発明のいくつかの態様では、蛋白尿症バイオマーカーが提供される。「蛋白尿症」は、尿中の血清タンパク質の過剰量の存在を意味する。「蛋白尿症バイオマーカー」又は「蛋白尿症マーカー」は、試料(例えば、血液試料又は尿試料)中での存在が蛋白尿症に関連づけられる、すなわち相関する分子実体を意味する。例えば、蛋白尿症マーカーは、健常人と比較して、蛋白尿症が進行するであろう又は進行した個体からの試料中において、異なったレベル又は欠損した存在で、区別して表される場合がある。蛋白尿症マーカーは、多数の用途、例えば、被検体における蛋白尿症の診断、被検体の蛋白尿症の予後診断、被検体の蛋白尿症の観察、被検体のための蛋白尿症の治療を決定する、そして、研究においては、例えば、蛋白尿症の治療のための新しい薬剤の発見の用途を満足させる。これら及び他の応用は、以下でより詳細に記載される。
本発明のいくつかの態様では、対象の蛋白尿症バイオマーカーは、suPAR分析物である。「suPAR」とは、ウロキナーゼ(uPA)に対する膜結合受容体、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)の溶解型であるポリペプチドを意味する。「suPAR分析物」とは、suPARポリペプチド又はそれらの変異体若しくは断片を意味する。本出願において使用される用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、互換可能である。「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマー(アミノ酸配列)を指し、分子の特定の長さを指すものではない。従って、ペプチド及びポリペプチドは、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語はまた、例えば、翻訳後修飾されたポリペプチド、グリコシル化ポリペプチド、アセチル化ポリペプチド、リン酸化ポリペプチドなどを指す又は含む。定義内に含まれる天然及び非天然の両方の、例えば、アミノ酸、置換結合を有するポリペプチド、並びに当該分野で公知の他の修飾の1つ又はそれ以上の類似物を含むポリペプチドである。
また、uPARは、「CD87」としても知られ、PLAUR遺伝子によってコードされるグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型細胞表面タンパク質である。関連配列は、Genbankアクセッション番号NM 002659.3(uPARポリペプチドをコードする核酸配列SEQ ID NO:1)、及びNP_002650.1(uPARの成熟ポリペプチド、SEQ ID NO:2)を含む。uPARは、uPAR(I)(基本的にSEQ ID NO2の概ねアミノ酸2〜77からなる)、 uPAR(II)(基本的にSEQ ID NO2の概ねアミノ酸93〜179からなる)、uPAR(III) (基本的にSEQ ID NO2の概ねアミノ酸193〜274)として表示される3つのドメインを含み、膜近傍のGPIドメインによって細胞膜に繋留されている(Plougら、1991年 ; 結晶構造の開示:Llinasら、2005年)。「基本的になる」とは、本主題の発明の基本的で新規な特徴に物質的に影響しない特定の物質又はステップへ記載される組成又は方法の範囲の限定を意味する。例えば、開示された配列から「基本的になる」ドメインとは、開示されたアミノ酸配列に、指定された配列に基づく配列の境界で約10アミノ酸残基、例えば、約10残基、9残基、8残基、7残基、6残基、5残基、4残基、3残基、2残基又は1残基の指定された結合アミノ酸残基未満、又は、約1残基、2残基、3残基、4残基、5残基、6残基、7残基、8残基、9残基若しくは10残基の指定された結合アミノ酸残基以上を、足す又は差し引いたアミノ酸配列を有する。
成熟全長のuPARが、第1のリンカー領域内(すなわち、ドメインI及びIIの間)でuPAによって切断可能であり、uPAR(I)が遊離されることが観察されている(Hoyer-Hansen ら、1992年;Zhouら、2000年)。さらに又は代替的に、uPARは、suPAR(I-III) (分子量約30.7 kDa)、又はもしすでに第1の結合領域がuPAによって切断されているのであればsuPAR(II-III) (分子量約21 kDa)が細胞表面から削られて、GPIアンカーでプロテアーゼによって切断することができる(Piironenら「インタクトな開裂型ウロキナーゼ受容体の検出のための特異的イムノアッセイ」Clin. Chem. 2004年;50:2059-68;Hoyer-Hansen 及び Lund「組織及び生体液中のウロキナーゼ受容体変異体」 Adv. Clin. Chem 2007年; 44:65-102)。したがって、典型的な蛋白尿症マーカーは、suPAR(I-III)、suPAR(II-III)、uPAR(I)、及びそれらの断片、すなわち、ポリペプチド及びペプチド断片を含む。
本主題の組成で特に関心のあるのは、非グリコシル化されたsuPAR分析物である。非グリコシル化suPAR分析物(「nonGly-suPAR」)とは、低グリコシル化されたsuPARポリペプチド又はそれらの変異体若しくは断片を意味する。グリコシル化とは、分子、例えば、タンパク質、脂質又はそれ以外の有機分子が、翻訳と同時に又は翻訳後に糖質又はグリカン部分を含むように修飾される工程を意味する。例えば、大多数のタンパク質が合成される粗面小胞体においてグリコシル化が行われる。グリコシル化は、細胞質及び核においても惹起される場合がある。グリコシル化反応に対する多数の異なったメカニズムが存在し、それらのすべてのメカニズムは本開示によって包含され、その多数の異なったメカニズムは異なった官能基に結合されている糖分子をもたらす。これらは、N-結合グリカンを含み、そこでは、アスパラギンのアミノ基にグリカンが結合し、典型的にERにおいて起こる;O-結合グリコシル化は、単糖類が、セリン又はトレオニンのヒドロキシル基に結合され、典型的にER、ゴルジ体、細胞質、核で起こる;グリピエーション(glypiation)は、グリカンコアが、リン脂質とタンパク質を結合する;C-結合グリコシル化は、マンノースが、トリプトファンのインドール環に結合している;そして、リン酸グリコシル化は、グリカンが、リン酸ジエステル結合を介してセリンに結合している。タンパク質は、多くの場合、酵素の可用性、アミノ酸配列及びタンパク質構造に依存して、異なるグリコシド結合で複数の部位でグリコシル化されている。低グリコシル化は、不完全にグリコシル化されていることを意味する、すなわち、完全にグリコシル化される場合よりも、分子に結合する少ないグリカン部分を有する分子(例えば、suPAR(I-III)、suPAR(II-III)及び/又はsuPAR(I)、又はそのいかなるアイソフォーム)である。
uPARのグリコシル化パターンは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化及び電子スプレーイオン化質量分析法によって決定されている(Plougら、1998年)。組換えウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体のグリコシル化プロファイルは、チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現された(J. Biol. Chem. 273, 13933-13943)。理論に縛られることなく、uPARにおいて、再結合糖質に対する5つの潜在的な結合部位の4つのみが利用され、Asn233を含むドメインIII由来のトリプシンペプチドが糖質がなく定量的に回収されると考えられている。残りの4つの結合部位は、アスパラギン結合糖質の部位特異的な微小不均一性を表すことが示された。Asn52(ドメインI)及びAsn172(ドメインII)へのグリコシル化は、より小さい2アンテナ型複合型オリゴ糖によって支配され、一方、Asn162(ドメインII)及びAsn200(ドメインIII)は、主に3及び4アンテナ複合体型オリゴ糖を有する。したがって、完全にグリコシル化された全長suPARは、典型的に、4つ:ドメインI中の1つ、ドメインII中の2つ及びドメインIII中の1つの部位で、N結合糖質を含む
ある態様によれば、nonGly-suPAR(I-III)は、4つ以下の推定グリコシル化部位に、例えば、3つ、2つ、1つの部位又は部位なしでグリコシル化されている。ある態様において、nonGly-suPAR(II-III)は、3つ以下の推定グリコシル化部位、例えば2つ、1つの部位又は部位なしでグリコシル化されている。ある実施態様によれば、nonGly-suPAR(I)は、いかなる推定上のグリコシル化部位でグリコシル化されていない。上記低グリコシル化suPAR分子は、単独又は任意のいかなる組み合わせで、(例えば、バイオマーカーとして)本発明の方法、装置及びキットで利用されてもよい。
本開示の発明者らは、血液中の非グリコシル化suPARのレベルの上昇は、蛋白尿症の表現型に関連付けられており、蛋白尿症を誘導することができることを発見した。例えば、健常人で観察されるnonGly-suPARの検体レベルを超えるnonGly-suPARの検体レベルで、約1.5倍以上、例えば2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、4倍以上又は5倍以上の増加が、蛋白尿症の指標であり、又は蛋白尿症の発症の増加したリスクの指標である。そのようなものとして、nonGly-suPAR分析物、すなわち、非グリコシル化全長suPAR及び非グリコシル化suPAR、それらの変異体及び断片が、例えば上記のとおり、蛋白尿症マーカーとして使用することができる。
例えば、被検体nonGly-suPARの分析物が、完全にグリコシル化された種類と比較して、例えば25%より少ないグリカン部分を有している、又は、完全にグリコシル化されたsuPARと比較して、例えば、完全にグリコシル化されたsuPARの30%未満、40%未満、50%未満(すなわち半分)、60%、70%、80%若しくは90%未満のグリカン/糖部分を有していてもよい。換言すれば、本開示のnonGly-suPAR分析物は完全にグリコシル化されたsuPARよりも75%グリカン以下、例えば、完全にグリコシル化されたsuPARの70%グリカン以下、60%グリカン以下、50%グリカン(すなわち半分)以下、40%グリカン以下、30%グリカン以下、25%グリカン以下、20%グリカン以下又は10%グリカン以下を含む場合がある。したがって、例えば、完全にグリコシル化された全長のグリカンが、4つのN結合型糖鎖を含む場合、nonGly-suPARの変異体は、3つのN結合型グリカン、時には2つのN結合型グリカン又は1つのN結合型グリカン、又はN結合型グリカンのないものを含む場合がある。より一般的には、nonGly-suPAR分析物は、グリカン/糖部分が実質的にない、すなわち、グリカン部分を含まない。
検出されるsuPAR分析物がnonGly-suPAR分析物であることを決定する又は確認するためにいかなる利便的な方法を使用することができる。例えば、タンパク質がグリコシル化される範囲があるのであれば、グリカン基が過ヨウ素酸で化学的に再構築されることによって評価される場合がある。過ヨウ素酸は糖(特にシアル酸)の近隣のヒドロキシル基をアルデヒド又はケトンに酸化し、それにより、例えば、比色分析において複数の染色剤に反応性である。過ヨウ素酸はまた、架橋剤に対して糖を反応性にすることに使用され、それによって、精製又は検出のための標識分子又は固定化支持体(例えば、ビオチン、ストレプトアビジン)に共有結合させることができる。レクチンは、糖部分に対して高い特異性を有する糖質結合タンパク質である。レクチンの例は、コンカナバリンA(ConA)、レンチルレクチン(LCH、スノードロップレクチン(GNA))、リシン(RCA)、ピーナッツ凝集素(PNA)、ジャカリン(AIL)、ヘアリーベッチレクチン(VVL)、コムギ胚芽凝集素(WGA)、ニワトコレクチン(SNA)、イヌエンジュ白血球凝集素(MAL)、イヌエンジュ血球凝集素(MAH)、ハリエニシダアグルチニン(UEA)、ヒイロチャワンタケレクチン(AAL)などを含む。代替的に、グリカンは、質量分析法を使用して検出できる。例えば、関心のある分析物を、分析物特異的な抗体の使用によって濃縮することができ、グリカンはエンドグリカナーゼH(endo H)又はペプチド-N4-(N-アセチル-β-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ(PNGase)を介した酵素的切断により遊離され、そして、グリカンは液体クロマトグラフィーによってさらに精製され、タンパク質上のグリカン量が定量されることは周知技術である。例えば、「糖生物学の基礎、第2版」 Varki A、Cummings RD、Esko JD ら編集Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press 2009;Ruhaak ら、「同定及び定量におけるグリカン標識戦略及びその使用」Anal Bioanal Chem 397:3457-3481(2010);及びRothら、「タンパク質グリコシル化の同定及び定量」 Int. Journal of Carbohydrate Chem (2012)を参照せよ。これらの完全な開示は参照によって本明細書に取り込まれる。
方法
本発明のいくつかの態様において、例えば、蛋白尿症診断、蛋白尿症の予後診断、蛋白尿症治療の観察等の蛋白尿症評価のために、例えば、本主題の蛋白尿症バイオマーカーを使用するための方法が提供される。本主題の方法の実施において、試料のnonGly-suPAR分析物値を得るために、生物学的試料(例えば、血液試料又は尿試料)に対するnonGly-suPAR分析物レベルが評価される。「nonGly-suPARの分析物値」とは、被検体由来の生物学的試料中のnonGly-suPARレベルを表す値を意味する。用語「評価する(evaluating)」、「アッセイする」、「測定する」、「評価する(assessing)」及び「判定する」は、測定のいかなる形態の言及のために互換的に使用され、要素が存在するか否かを判定することを含み、定量的及び定性的な判定の両方を含む。評価は、相対的又は絶対的であってもよい。
「生物学的試料」とは、例えば、血液、尿、並びにそれらに由来する及びそれらの産物の生物学的起源の他の液体試料又は細胞について、診断、予後又は観察アッセイにおいて使用することができる生物から得られる種々のいかなる試料型を意味する。前記用語は、特定の構成成分のための試薬による処理、可溶化又は富化などによる調達後のいかなる方法において操作される試料を包含する。この用語は、臨床試料を包含し、そして、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体及び組織試料を含む。本発明の方法における使用のための臨床試料は、様々な供給源から得ることができる。ある態様において、「生物学的試料」又は「被検体からの試料」は、血液試料又は尿試料である。
特に関心のある試料源は、血液試料又はそれらの調製物、例えば、全血又は血清又は血漿及び尿を含む。約2μL〜約2,000μLの間の血液、血清又は尿の試料容量は、典型的にはnonGly-suPARの検体のレベル、したがってnonGly-suPARの検体値を決定するために十分である。一般的に、試料量は、約10μL〜約1,750μL、約20μL〜約1,500μL、約40μL〜約1,250μL、約60μL〜約1,000μL、約100μL〜約900μL、約200μL〜約800μL、約400μL〜約600μLの範囲である。多くの実施態様では、ヒトの試料に適した最初の供給源は血液試料である。そのような事例では、本主題のアッセイに用いる試料は一般的に血液由来の試料である。血液由来試料は、例えば、血清、血漿などの、全血又はその分画から派生されてもよく、いくつかの実施態様においては、試料は血液由来であり、凝血塊にされ、そして血清が分離され、アッセイに使用するために収集される。
いくつかの実施態様において、試料は、血清又は血清由来の試料である。流体血清試料を製造するためにいかなる利便的な手法を使用することができる。多くの実施態様では、方法は、凝固又は血清分離管に穿刺(例えば、指スティック、静脈穿刺)によって静脈血を引き出し、血液を凝血塊とし、凝血塊から血清を遠心分離で分離することを行う。そして、血清を集め、保存又はアッセイされる。
一旦、試料が得られると、直接使用するか、凍結されるか、又はnonGly-suPAR分析物値を決定するためにアッセイするまで、短期間、適切な培養培地で維持することができる。例えば、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、例えばマウスの齧歯類、ラット、ハムスター、霊長類などの動物モデルが用途を満たすことができるが、典型的には試料はヒト患者由来である。本明細書に開示される1つ又はそれ以上のsuPAR分析物の蛋白尿症を有する患者又は発症するリスクのある患者における相違する表現を表すいかなる利便的な組織試料が、本主題の方法で評価することができる。典型的には、適切な試料供給源は、関心のある分子実体、すなわち、RNA転写物又はタンパク質が放出された体液に由来することができる。
被検体試料は、nonGly-suPAR分析物値を得るための分析物の検出を向上させるためのいかなる種々の方法で処理されてもよい。例えば、試料が血液の場合、アッセイ前に、赤血球が試料から(例えば、遠心分離又は溶解によって)除去される場合がある。そのような処理は、例えばアフィニティー試薬を使用する分析物レベルの検出に関連するいかなる非特異的なバックグラウンドレベルの低減に役立てることができる。分析物の検出はまた、周知技術である操作(例えば、酸沈殿、アルコール沈殿、塩析、疎水性沈殿、濾過(例えば、Centrim 30TMの30kDよりも大きい分子を保持することが可能なフィルターを使用)、アフィニティー精製)を使用して、試料を濃縮することによって、向上することができる。いくつかの実施態様において、試験及び対照試料は、概ね中性(すなわちpH6.5〜8.0)のpHに調整され、維持される。かかるpH調整は、複合体形成を防止し、それによって、試料中のマーカーのレベルのより正確な定量が提供される。試料が尿の場合の実施態様において、試料のpHは調整され、マーカーの検出を向上させるために試料が濃縮される。
被検体からの生物学的試料中のnonGly-suPARの検体のレベルを評価するためのいかなる利便的な方法を、本主題の方法で使用することができる。例えば、試料中のnonGly-suPARの分析物のレベルを直接、例えば、その試料中nonGly-suPARのポリペプチド又はその変異体の量を、例えば、nonGly-suPAR特異的抗体を使用して直接的に検出することによって評価することができる。別の例として、試料中のnonGly-suPAR分析物のレベルを間接的に評価することができる。上述したように、例えば、レクチンはグリカン基に対する親和性を有し、非グリコシル化suPARからグリコシル化suPARを区別するために使用することができる。このように、試料からのグリコシル化タンパク質を除去するために、試料を、例えば固体支持体に結合したレクチン、例えばレクチン結合型カラム、レクチン結合ビーズなどに接触させてもよく;試料中nonGly-suPARの量を決定するために、例えばsuPAR特異的抗体を用い、試料中に残存するタンパク質が評価される。別の例として、試料中のsuPAR分析物が、例えば、特異的抗体を用いる免疫沈降により精製される場合があり;そして精製されたタンパク質中のグリカンの量が、例えば、質量分析によって、(例えば過ヨウ素酸、標識したレクチンなどでの)比色アッセイ等によって測定される。例えば以下に、より詳細に記載されるように、他の方法が、容易に当業者によって理解される。
上記の例によって示されるように、いくつかの例において、生物学的試料中のnonGly-suPAR分析物のレベルを評価することは、生物学的試料中のsuPARポリペプチド又はそれらの変異体若しくは断片を検出する又は精製することを含む場合がある。いくつかの例では、nonGly-suPARの分析物の量を評価することは、例えば、上記又は本明細書の実施例に記載のように、試料中のグリコシル化タンパク質を検出又は精製することを含む場合がある。生物学的試料中のsuPARタンパク質又はそれらの変異体若しくは断片及び/又はグリコシル化タンパク質を検出又は精製するためにいかなる利便的なプロトコール及び試薬が使用され、そこでは、アッセイされた試料中の1つ又はそれ以上のタンパク質が決定される。
例えば、生物学的試料中のsuPARポリペプチド又はそれらの変異体若しくは断片の検出又は精製は、suPAR分析物特異的アフィニティー試薬を用いて行うことができる。同様に、生物学的試料中のグリコシル化ポリペプチドの検出又は精製は、グリカン特異的なアフィニティー試薬を用いて行うことができる。「アフィニティー試薬」とは、分析物(例えば、suPAR分析物、すなわち、suPARポリペプチド、それらの断片又はペプチド)に対して高い結合アフィニティー及び結合特異性を有する分析物結合ドメイン、部分又は成分を有する試薬を意味する。「高い結合アフィニティー」とは、少なくとも約10-4M、通常少なくとも約10-6M又はそれ以上、例えば、10-9M以上の結合アフィニティーを意味する。アフィニティー試薬とは、タグ化されたアフィニティーリガンドとして存在する場合に、標的タンパク質に対する必要な結合アフィニティーを示す限り、分子の種々の異なったいかなるものであってもよい。「高い結合特異性」及び「特異的に結合する」とは、特異的な抗原へのアフィニティー試薬の高いアビディティ及び/又は高いアフィニティー結合を意味する。例えば、この特異的抗原のエピトームに結合する抗体は、特に、関心のある特異的抗原として、関連する又は同一の試料中の分子に存在する場合があるいかなる他のエピトープへの同じ抗体の結合よりも強い。したがって、例えば、関心のあるsuPAR分析物へ特異的に結合するアフィニティー試薬は、弱く、しかし検出可能な(例えば、関心のあるポリペプチドに対して10%未満の結合)レベルで、他のポリペプチドに結合できる場合がある。かかる弱い結合又はバックグラウンド結合は、例えば、適切な対照の使用によって、関心のあるポリペプチドへ結合する特異的アフィニティー試薬と容易に識別できる。
いくつかの例において、前記主題の方法は、suPAR分析物に対する高い結合アフィニティー及び結合特異性を有するアフィニティー試薬の使用を含む。ある例では、アフィニティー試薬は、nonGly-suPAR、すなわち、nonGly-suPARポリペプチド又はその断片に対して特異的なエピトープに対して高い結合アフィニティー及び結合特異性を有する。例えば、エピトープは、suPAR上のグリカン基が存在しないことによって作製される。ある他の例では、アフィニティー試薬は、グリコシル化suPAR分析物、すなわち、グリコシル化suPARポリペプチド又はその断片に特異的なエピトープに対して、高い結合アフィニティー及び結合特異性を有する。エピトープは、suPAR上のグリカン基の存在によって作製される。
ある実施態様によれば、2つ又はそれ以上のアフィニティー試薬が、前記方法を実施するときに使用され、又は、本開示の装置及びキットに含まれる場合がある。例えば、本開示の態様は、グリコシル化の形態にかかわらず、1つ又はそれ以上のsuPAR(I-III)、suPAR(II-III)及びsuPAR(I)に結合するアフィニティー試薬(例えば、抗体又はその結合断片);及び、1つ又はそれ以上のsuPAR(I-III)、suPAR(II-III)及びsuPAR(I)のグリコシル化された形態にのみ結合するアフィニティー試薬(例えば、抗体又はその結合断片)を含む。抗体のそのような組み合わせは、例えば、関心のある試料に存在するnonGly-suPAR量を決定するために、総suPARタンパク質レベル(グリコシル化の状態にかかわらず結合する抗体を使用する)を測定し、そしてグリコシル化されたsuPAR(グリコシル化されたsuPARにのみ結合する抗体を使用して測定する)を差し引くことによって、nonGly-suPARのレベルが決定される診断方法、装置又はキットでの用途を満たす。いかなる適切なアッセイ形式において、抗体の組み合わせが、これらに限定されないELISAを基礎とするアッセイ形式又はフローサイトメトリックアッセイなどを含んで、使用することができる。
いくつかの例では、suPARはuPARタンパク質の開裂産物であるため、suPAR分析物特異的アフィニティー試薬は、suPAR及びuPARの両方に見られるエピトープに対して高い特異性を有する場合がある。換言すれば、いくつかの例では、suPAR分析物特異的アフィニティー試薬はsuPAR及びuPARの両方に特異的である。他の例では、suPARの分析物特異的アフィニティー試薬はsuPARのみに、例えばsuPARで認められuPARで認められないエピトープ、例えばuPARの開裂によって作製されるエピトープに対して特異的である。いくつかの例では、本主題の方法は、一般に、例えば、レクチンのグリコシル化タンパク質に対して高い結合アフィニティーと特異的結合を有するアフィニティー試薬の使用を含む。
アフィニティー試薬は、小分子リガンド又は大分子リガンドであってもよい。小分子リガンドとは、分子量が約50〜約10,000ダルトン、通常は約50〜約5,000ダルトン、より一般的には約1000〜約1000ダルトンの範囲のリガンドを意味する。大分子とは、分子量が約10,000ダルトン又はそれ以上の大きさの範囲のリガンドを意味する。
小分子は、結合部位又はその断片と同様に、標的タンパク質に対して必要なアフィニティー及び特異性で結合することが可能ないかなる分子であってもよい。小分子は、1つ又はそれ以上の標的分析物との構造的な相互作用に対して、例えば、疎水性、親水性、静電的又は共有結合相互作用と同等な必要とする官能基を含む。標的分析物がタンパク質、例えば、suPARポリペプチドである場合、小分子は、タンパク質との構造的相互作用、例えば、水素結合、疎水性−疎水性相互作用、静電的相互作用などに対して必要な官能基を含み、典型的には、少なくとも、アミン、アミド、スルフヒドリル、カルボニル、ヒドロキシル又はカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの官能化学基を含む。小分子は、また、使用される特定のアッセイプロトコールに依存して、実質的に標的分析物に結合する小分子の結合能力に悪影響を与えることなく修飾され、及び/又は、標識成分、基質表面又は他のものとの共有結合にかかわることが可能な領域を含む。
小分子アフィニティーリガンドは、しばしば、環状炭素若しくは複素環構造及び/又は前記官能基の1つ又はそれ以上で置換された芳香族若しくは多環芳香族構造を含む。また、関心のある小分子は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はそれらの組み合わせを含む生体分子の中で認められる構造である。このような化合物は、種々の異なる公知技術のスクリーニングプロトコールで、関心のあるこれらを同定するためにスクリーニングすることができる。
小分子は、合成又は天然化合物のライブラリーを含む多種多様な供給源から得ることが可能な天然又は合成化合物に由来することができる。例えば、多数の手段が、ランダム化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの調製を含む有機化合物及び生体分子の多種多様なランダム及び指向的合成のために利用可能である。代替的に、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるか、又は容易に作製される。さらに、天然又は合成的に作製されたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段によって修飾され、コンビナトリアルライブラリーを作製するために使用できる。既知の小分子は、構造類似体を作製するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の指向性又はランダム化学修飾に供してもよい。
そのようなものとして、小分子は、コンビナトリアル手段によって作製される化合物のライブラリー、すなわち、化合物多様性コンビナトリアルライブラリーを含む天然発生の又は合成の分子ライブラリーから得られる場合がある。このようなライブラリーから得られる場合には、使用される小分子は、利便的な結合アフィニティーアッセイにおけるタンパク質標的のためのいくつかの望ましいアフィニティーを実証している。コンビナトリアルライブラリー、並びに製造及びスクリーニングする方法は、当技術分野において公知であり:5,741,713;5,734,018;5,731,423;5,721,099;5,708,153;5,698,673;5,688,997;5,688,696;5,684,711;5,641,862;5,639,603;5,593,853;5,574,656;5,571,698;5,565,324;5,549,974;5,545,568;5,541,061;5,525,735;5,463,564;5,440,016;5,438,119; 5,223,409に記載され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
代替的に、アフィニティー試薬は、大分子である場合がある。特に関心のある大分子のアフィニティーリガンドは、レクチンである。上述したように、レクチンは糖部分に対して非常に特異的な糖質結合タンパク質である。レクチンの例としては、コンカナバリンA(ConA)、レンチルレクチン(LCH、スノードロップレクチン(GNA))、リシン(RCA)、ピーナッツ凝集素(PNA)、ジャカリン(AIL)、ヘアリーベッチレクチン(VVL)、コムギ胚芽凝集素(WGA)、ニワトコレクチン(SNA)、イヌエンジュ白血球凝集素(MAL)、イヌエンジュ赤血球凝集素(MAH)、ハリエニシダアグルチニン(UEA)、ヒイロチャワンタケレクチン(AAL)などを含む。また、特に関心のある大分子のアフィニティーリガンドは、suPARの抗原性断片に対してアフィニティー及び特異性を有する抗体、それらの結合断片及び類似体であ。「抗原性断片」とは、哺乳動物をsuPARで免疫して生じる抗体又はその断片に結合することが可能なsuPARの一部分を意味する。好ましくは、単離された抗原性断片のエピトープに特異的に結合する抗体はまた、断片が由来する天然タンパク質に関連する同一のエピトープに結合する。ヒトsuPAR分析物に対して特異性を有する公知の抗体の例は、ATN615抗体(Lieら、「抗ウロキナーゼプラスミノーゲン活性型受容体(uPAR)抗体:結晶構造及び結合エピトープ」、J.Mol.Biol.2007 Jan 26;365(4):1117-29);IIIF10及びHD13.1 (Kotzsch ら、「がんにおけるヒトウロキナーゼ受容体(CD87)の定量のための新規ELISA」、Int.J.Oncol. 2000 Oct;17(4):827-34);R2, R3, R5, R9及びR23 (Piironenら、「ウロキナーゼ受容体の天然及び開裂された形態の検出のための特異的イムノアッセイ」、Clin.Chem. 2004;50:2059-68);Haastrupら、「同種異型の幹細胞移植の間における可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲン活性型受容体」(Scand. J. Immunol. 2011 Apr;73(4):325-9)、Lonnkvistら、「インフリキシマブ治療中のクローン病における炎症活性の評価のための血液化学マーカー」、Scand.J.Gastroenterol. 2011 Apr;46(4):420-7)、Gaoら、「腫瘍患者における免疫学的放射性アッセイによる可溶性ウロキナーゼ受容体の検出及びその応用」(Thromb.Res. 2001 Apr 1;102(1):25-31)、国際公開公報番号WO 2010/054189、これらの完全な開示は参照によって本明細書に取り込まれる。また、使用に適した大分子アフィニティーリガンドは、ポリ核酸アプタマーである。ポリ核酸アプタマーは、受容体又は抗体と極めて同様に、選択的にタンパク質に結合するために作用することができるRNAオリゴヌクレオチドであってもよい(Conradら、「コンビナトリアルケミストリー」、Methods Enzymol.(1996),267,336-367)。
抗体が、アフィニティーリガンドである場合、それらは、ポリクローナル組成物、すなわち、特異性によって異なる抗体の異種集団であってもよい。代替的に、それらは、モノクローナル組成物、すなわち、標的タンパク質に対して同じ特異性を有する同一抗体の均一な集団であってもよい。このように、アフィニティーリガンドは、いかなるモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体であってもよい。さらに他の実施態様では、アフィニティーリガンドは、抗体結合断片又は類似体であり、断片又は類似体は、標的タンパク質に対して必要とされる結合アフィニティーを有する。例えば、Fv、F(ab)2、のFab'及びFabなどの抗体フラグメントは、インタクトなタンパク質の開裂によって、例えばプロテアーゼ又は化学的開裂によって調製することができる。また、関心とされるものは、1本鎖抗体又はscFvなどの組換え産生された抗体断片であり、そのような組換え産生抗体断片は、上記抗体の結合特性を保持する。そのような組換え産生抗体断片は、主題の抗体の結合特性を保持するために、一般的に、主題の抗体の少なくともVH及びVLドメインを含む。本主題の発明のこれらの組換え産生抗体断片又はその類似体は、例えば、米国特許5,851,829号及び5,965,371号に開示された手法などのいかなる利便的な手法を使用して容易に調製することができ;これらの開示は、参照により本明細書に取り込まれる。
上記で説明されるレクチン及び抗体、それらの断片及び類似体は、商業的供給源、及び/又は、当業者に知られるポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それらの断片及び類似体、それらの組換え誘導体を含み、これらを産生する方法のいかなる利便的な技術を使用して調製される。
いくつかの例では、アフィニティー試薬は、例えば、検出を容易にするために、検出可能に標識される場合がある。「検出可能に標識されたアフィニティー試薬」及び「検出可能に標識された抗体」は、例えば、結合された検出可能な標識を有する抗体(又は結合特異性を保持する抗体断片)、レクチンなどのアフィニティー試薬を意味する。検出可能な標識は化学結合によって結合されてもよい、しかし、標識がポリペプチドの場合、代替的に遺伝子工学技術によって結合されてもよい。検出可能に標識されるタンパク質の製造方法は、周知技術である。検出可能な標識は、公知の種々の標識から選択されることが可能であるが、通常は放射性同位元素、蛍光色素分子、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ)、又は検出可能な信号(例えば、放射活性、蛍光、色)を放出するか、標識をその基質に曝露した後に検出可能な信号を放出する他の分子若しくは化合物である。種々の検出可能な標識/基質対(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体及びレクチンを標識するための方法、並びに抗原(例えば、suPAR又はsuPAR断片)を検出するための標識された抗体及びグリカンを検出するためのレクチンを使用するための方法は、周知技術である(例えば、Harlow及びLane編、「抗体:研究室マニュアル」 Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1988);「糖生物学の基礎、第2版」、Varki A, Cummings RD, Esko JDら編集、Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press 2009; Ruhaakら、「グリカン標識戦略並びに同定及び定量におけるそれらの使用」、Anal Bioanal Chem 397:3457-3481 (2010);及びRothら、「タンパク質グリコシル化の同定及び定量」、Int. Journal of Carbohydrate Chem(2012)を参照のこと)。
いかなる利便的なアッセイプロトコールを用いることができる。例えば、アッセイは、溶液中で実施することができる。別の例として、このアッセイは、(不溶性)固体支持体(例えば、ポリスチレン、ニトロセルロース、ビーズ)上で実行される場合がある。アッセイ形式の例として、ELISA(酵素連結免疫吸収アッセイ;例えば、Kotzschら、「SUPARNOSTICR ELISAキット (ViroGates)」、Int.J. Oncol. 2000 Oct;17(4):827-34、及び、Ronneら、「suPARの検出のためのELISA」、J.Immunol.Methods.1994 Jan 3;167(1-2):91-101、及びPiironenら、Clin.Chem. 2004;50:2059-68、並びにHenicら、「suPAR(I-III), suPAR(II-III), suPAR(I-III)+suPAR(II-III)、及びuPAR(I)の検出のための時間分解蛍光アッセイ」、Clin. Cancer Res. 2008 Sep 15;14(18):5785-93;「IRMAs (免疫放射学アッセイ;例えば、Gaoら、suPARを検出するための免疫放射学的アッセイ」、Thromb Res. 2001 Apr 1 ;102(1 ):25-31を参照のこと);及び、いかなる標準的な方法を使用するRIA(ラジオイムノアッセイ)、(例えば、「免疫学における現在のプロトコール」、Coliganら編;John Wiley & Sons, New York, 1992に記載)を参照のこと。典型的には、本アッセイは、対照(例えば、陽性対照又は陰性対照)の存在下実施される。例えば、ある実施態様において、既知濃度のsuPARを含む一連の標準試料が、陽性対照として役立つそれらの試料又はそれらの一定分量と平行してアッセイされる場合がある。さらに、ある実施態様において、各試料及び標準試料は、各々に対して平均値が得られるように、複数のウェルに加えられる。
例えば、アッセイは、溶液中で行われる場合、試験及び対照試料は、それぞれ、好ましくは、約1分から24時間まで、又はそれ以上の溶液中の分析物とのアフィニティー試薬複合体の形成を可能にするのに十分な時間、suPAR分析物のアフィニティー試薬とインキュベートされる場合がある。以前に述べたように、アフィニティー試薬は、検出可能な標識(例えば放射性核種、蛍光体、又は酵素)を含むことができる。次に、試料は、分析物及びアフィニティー試薬複合体を過剰で未反応のアフィニティー試薬を分離するために、例えば、抗アフィニティー試薬組成物(例えば、抗免疫グロブリン抗血清)を添加し、分析物及びアフィニティー試薬複合体を沈殿させるために遠心分離(例えば、1000xg、7分間)、又は、セファロース又はプラスチック製ウェルなどの固体支持体に固定された2次的な非標識suPAR分析物アフィニティー試薬(例えば、抗体)などのアフィニティー表面への結合によって処理される。suPAR分析物に結合するアフィニティー試薬の検出は、周知技術の種々の方法によって達成することができる。もし必要ならば、検出可能な標識に対する基質が試料に添加されてもよい。
別の例として、アッセイが固体支持体を使用する場合、該支持体はsuPAR分析物又はグリカンに特異的に結合可能なアフィニティー試薬(又は2つ又はそれ以上のアフィニティー試薬の組み合わせ)を有する場合がある。そこではアフィニティー試薬は支持体表面に結合している。アフィニティー試薬は安定で、洗浄に耐性の試料中のsuPARの固体支持体への結合を促進する。不溶性の支持体は、抗体又はそれらの断片及び類似体などで容易に可溶性材料から分離され、さもなければ、試料中のsuPAR分析物を測定する全体の方法と互換性のある、アフィニティー試薬が結合可能ないかなる組成であってもよい。そのような支持体の表面は、利便的な形状の固体又は多孔性であってもよい。アフィニティー試薬が結合する適切な不溶性支持体の例は、ビーズ、膜、及びマイクロタイタープレートを含む。これらは典型的には、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖類、ナイロン又はニトロセルロースで製造されている。マイクロタイタープレートは、基本的に利便的である。何故ならば、多数のアッセイが、少量の試薬及び試料を使用して、同時に実施できるからである。アフィニティー試薬(例えば、抗体、又はそれらの断片及び類似体)を固体支持体に結合するための方法は、周知技術である。支持体へのアフィニティー試薬の結合後、アフィニティー試薬によって占有されている領域の支持体に結合するブロッキング剤で支持体が処理される場合がある。適切なブロッキング剤は、牛血清アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどの非干渉タンパク質を含む。代替的に、Tween、NP40、TX100などの非干渉濃度のいくつかの界面活性剤が使用される場合がある。そのようなブロッキング処理は、非特異的結合を減少させる。代替的に、抗体支持体自体が、支持体表面の荷電特性を介して直接suPAR分析物を結合してもよく、したがって、suPAR分析物分子の荷電的性質のメリットを受ける。同様に、過ヨウ素酸は、グリカンを含むタンパク質を固体支持体に架橋させるために使用される場合がある。
試験及び対照試料(使用される場合)の各々は、分析物、例えば、suPAR分析物、総グリコシル化タンパク質糖のアフィニティー試薬への結合に十分な時間、固体支持体とインキュベートされる。一般的に、希釈された又はそうでない試料の約0.001〜1mLまでが十分であり、通常、0.01mLで十分である。インキュベーション時間は、例えば、suPARタンパク質、グリコシル化タンパク質等の分析物に対して、不溶性第1アフィニティー試薬に結合するのに十分な時間であるべきである。一般的に0.1〜3時間が十分であり、通常1時間で十分である。インキュベーション後、反応試料は、未結合又は非特異的に結合した物を取り除くために洗浄される場合がある。一般的に、概ね一般的にpH7〜8の希釈された非イオン性界面活性剤溶媒を、洗浄溶媒として使用することができる。リン酸緩衝生理液などのイオン性緩衝液が、洗浄ステップに使用されてもよい。1〜6回の洗浄が、試料中に存在する非特異的結合タンパク質を完全に洗浄するのに十分な容量で使用できる。好ましくは、洗浄ステップは、分析物/アフィニティー試薬複合体の解離を惹起することはない。
第1アフィニティー試薬によって結合されるエピトープとは異なるsuPARエピトープに好適に結合する抗suPAR分析物抗体、又はそれらの断片若しくは類似体などの第2のアフィニティー試薬が、次にsuPAR分析物−アフィニティー試薬複合体とインキュベートされる。第2アフィニティー試薬の濃度は、一般的に約0.1〜50μg/mL、好ましくは、約1μg/mLである。第2抗体を含む溶液は、一般的に約pH6.5〜9.5の範囲で緩衝される。インキュベーション時間は、第2アフィニティー試薬が利用可能な分子に結合するのに十分な時間であるべきである。一般的に、約0.1〜3時間が十分であり、通常1時間で十分である。第2アフィニティー試薬が結合した後、不溶性支持体が一般的に再び、基本的に前の洗浄に対して記載されたように、非特異的に結合した第2受容体を取り除くために洗浄される。非特異的に結合した物が取り除かれた後、結合したコンジュゲートによって産生される信号が、従来の手段によって検出される。
結合されたコンジュゲートは、いかなる利便的な方法によって検出されてもよい。例えば、支持体に結合したsuPAR分析物を検出するために使用される第2アフィニティー試薬は、suPAR分析物−第1アフィニティー試薬−第2アフィニティー試薬複合体の直接的又は間接的な検出を促進するために、検出可能に標識することができる。免疫複合体の直接的な測定を満足させる標識の例は、3H又は125Iなどの放射性標識、蛍光体、染色剤、ビーズ、化学発光剤、コロイド粒子などを含む。結合の間接的な測定を満足させる標識の例は、基質が色付く又は蛍光生成物を提供することができる酵素を含む。ある実施態様において、第2アフィニティー試薬(例えば、抗体又はそれらの断片及び類似体)が、適切な基質の添加後に検出可能な生成物の信号を提供することができる共有結合で結合された酵素である。コンジュゲートでの使用に対して適切な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼなどを含む。商業的に利用可能でない場合は、そのようなアフィニティー試薬−酵素コンジュゲートは、容易に当業者に知られる技術によって製造される。
代替的に、第2アフィニティー試薬に特異的に結合する第3の検出可能な標識されたアフィニティー試薬(例えば、抗体、又はそれらの断片及び類似体)は、suPAR分析物−第1アフィニティー試薬複合体を検出するために使用できる。第3アフィニティー試薬/第2アフィニティー試薬−特異的分子についての例は、抗体/抗抗体及びアビジン(又はストレプトアビジン)/ビオチンを含む。生成信号はしたがって増幅されるので、この技術は、試料中の少量のsuPAR分析物が存在する場合にメリットを有する場合がある。1つの例は、第2抗体に特異的な標識された抗体の使用である。第3試薬溶液の容量、組成及び濃度は、第2アフィニティー試薬に既に結合されたsuPAR分析物に測定可能に結合を提供する。一般的に試料と同一容量が使用され:約0.001〜1mLは十分であり、通常約0.1mLが満足させる。その濃度は、第2試薬に潜在的に結合されるsuPAR分析物を飽和させるために十分である。
酵素コンジュゲートが検出に使用される場合、検出可能な生成物を形成するように適切な酵素基質が提供される。より特別には、ペルオキシダーゼが選択される酵素コンジュゲートの場合に、好ましい基質組み合わせは、H2O及び適切な反応条件下で色付けされる生産物を生じるO-フェニレンジアミンである。上記で開示されている等の他の酵素コンジュゲートに対する適切な基質が、当業者に知られている。適切な反応条件と、種々の有用なコンジュゲート又はそれらの生成物を検出するための手段は、また、当業者に知られている。例えば、基質O-フェニレンジアミンの生成物に対して、490〜495nmの吸収光が光学分光計で利便的に測定される。
アッセイ形式の他の例として、分析物、例えばsuPAR分析物が、競合的結合アッセイを使用することによって測定できる。試験及び対照試料は、分析物/アフィニティー試薬複合体の形成を可能にするために、例えば、上記のアフィニティー試薬とインキュベートされる。アフィニティー試薬は、固体表面に固定されても又は溶液中にあってもよい。沈殿されたsuPAR分析物/アフィニティー試薬複合体から、又は、アフィニティー試薬が固定された固体支持体(もしあれば)から非結合物質を取り除くための洗浄後、試料は、次に、競合的suPAR、例えば、競合的組換えハイブリッドsuPAR又は本来のsuPAR分析物と競合する能力を保持する競合的suPAR断片の標準的な量で、抗suPAR分析物試薬に結合させるためにインキュベートされる。いくつかの例において、競合的suPAR試薬は、検出を促進するために検出可能に標識される場合がある。換言すれば、検出可能に標識されたsuPAR、検出可能に標識された組換えハイブリッドsuPAR、又は、検出可能に標識されたsuPARの断片が使用できる。「検出可能に標識されたsuPAR」、「検出可能に標識された組換えハイブリッドsuPAR」及び「検出可能に標識されたsuPAR断片」は、例えば、検出可能に標識されたアフィニティー試薬に対して上記のように、結合された検出可能な標識を有するsuPARポリペプチド又はsuPARポリペプチド/ペプチド断片を意味する。結合は、標準的な手段によって検出される:例えば、固体支持体(もしあるならば)又は沈殿された分析物/結合試薬複合体に結合された標識の量を測定することによって検出される。別の例において、競合的suPAR(すなわち、抗suPAR分析物アフィニティー試薬と試験試料をインキュベートした後の試験試料に導入されるsuPAR)は、体液試料から誘導されるsuPAR分析物に存在しないエピトープで標識されてもよく、そして、競合的suPAR分子の結合の検出がエピトープの検出によって促進される。例えば、競合的suPAR分子は、アッセイで使用されるアフィニティー試薬に競合的に結合する能力を保持する組換え融合タンパク質の場合がある。抗suAPRアフィニティー試薬へのsuPAR融合タンパク質の結合は、次に、試料を融合タンパク質と特異的に結合し、試料由来のsuPAR分析物に結合しない検出可能に標識された第2アフィニティー試薬とインキュベートされる場合がある。N末端アミノ酸の伸長に特異的に結合するアフィニティー試薬は、試料に存在するsuPAR分析物に結合することが期待されないため、組換え分子の組換えsuPAR融合タンパク質の例は、アミノ酸のN末端の伸長を含むものであり、そして、組換えsuPAR融合タンパク質は、そのような検出方法において使用される場合がある。suPAR融合タンパク質に導入可能な他のエピトープの例は、化学修飾のためのエピトープ及び(suPAR分析物にないペプチドエピトープを提供するために)天然に発生するsuPAR分析物に対して変更されたアミノ酸配列を有するエピトープを含む。陰性対照、例えば、健常人で認められる比較可能なsuPAR分析物レベルを含む試料よりも試験試料の検出可能に標識されたsuPARのより低い結合レベルは、試験試料中のsuPAR分析物の上昇したレベルの存在を示す。
いくつかの例において、1つ以上のsuPAR分析物−特異的アフィニティー試薬が使用されてもよい。suPARはuPARから誘導されるので、例えば、いくつかの例において、suPAR分析物−特異的アフィニティー試薬は、suPAR及びuPARの両方で認められるエピトープに対して特異性を有する。換言すれば、suPAR分析物−特異的アフィニティー試薬は、suPARと同様にuPARに対して実際に特異的である。いくつかの例において、suPARに特異的な第1supAR分析物−特異的アフィニティー試薬(すなわちsuPAR及びuPARの両方を検出する)及びuPAR(例えば、uPARのGPIアンカー)のみに特異的な第2アフィニティー試薬を使用することによって、suPAR及びuPARが区別されることが望ましい場合がある。
別の例として、例えば、suPAR(I-III)、suPAR(II-III)及びsuPAR(I)又はグリコシル化suPARの種々のsuPAR分析物変異体、対、非グリコシル化suPARの間を区別可能なsuPAR分析物−特異的アフィニティー試薬を使用することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実地態様において、suPARのすべての変異体を認識するアフィニティー試薬の単一の型が使用されてもよい。しかしながら、他の実施態様において、例えば、総suPAR及びnonGly-suPAR、又は総suPAR及びグリコシル化suPARのsuPARの特異的な変異体を認識する異なったアフィニティー試薬を使用することが望ましい場合がある。そのようなものとして、本発明の主題のアッセイは、試料中のsuPARの1つの変異体のみのレベルを検出する。他の実施態様において、本発明の主題のアッセイは、試料中のsuPARの1つ以上の変異体のレベルを検出する。
ある態様において、2つ又はそれ以上のアフィニティー試薬が、本主題の方法を実施する場合に使用される:例えば、本開示の態様は、グリコシル化の状態にかかわらず1つ又はそれ以上のsuPAR(I-III)、suPAR(II-III)及びsuPAR(I)に結合するアフィニティー試薬(例えば、抗体又はその結合断片);及び、1つ又はそれ以上のsuPAR(I-III)、suPAR(II-III)及びsuPAR(I)のグリコシル化された形態にのみ結合するアフィニティー試薬(例えば、抗体又はその結合断片):の使用を含む。抗体のそのような組み合わせは、例えば、総suPARタンパク質レベルを(グリコシル化の状態にかかわらず結合するアフィニティー試薬を使用して)測定し、そして、次に関心のある試料中に存在するnonGly-suPARの量を決定するために(グリコシル化suPARにのみに結合する抗体を使用して測定される)グリコシル化suPARの量を差し引くことによって、nonGly-suPARレベルを決定するための診断方法、装置又はキットにおいての使用を満足させる。抗体の組み合わせは、ELISAに基づくアッセイ形式、フローサイトメトリー、又はいかなる他の利便的なアッセイ形式などの、いかなる適切なアッセイの形式で使用されてもよい。
タンパク質レベルをアッセイするための、1つの代表的かつ利便的なプロトコールのタイプは、ELISAである。ELISA及びELISAを基本とするアッセイにおいて、関心のあるタンパク質に対して1つ又はそれ以上の特異的な抗体が、選択された固体表面、好ましくは、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルなどのタンパク質アフィニティーを示す表面に、固定化される場合がある。不完全に吸着された物質を除去するための洗浄後、アッセイプレートウェルは、ウシ血清アルブミン(BSA)、粉ミルクのカゼイン溶液などの試験試料に対して抗原的に中性であるとして知られる非特異的「ブロッキング」タンパク質でコーティングされる。これは、固定化表面の非特異的吸着部位のブロッキングを可能とし、それによって、抗原の表面への非特異的結合によって惹起されるバックグランドを減少させる。非結合ブロッキングタンパク質を除去するための洗浄後、固定化された表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形成が実施される条件下、試験される試料で接触される。そのような条件は、リン酸緩衝生理液/Tween又はPBS/Triton-X 100中のBSA又はウシγグロブリン(BCG)などの希釈剤で試料を希釈することを含み、これらは、非特異的バックグランドの低減をまた助ける傾向があり、そして、(他の温度も使用可能であるが)約25〜27℃のレベルの温度で約2〜4時間試料をインキュベートすることを可能にすることを含む。インキュベーション後、抗血清−接触表面が非免疫複合体物質を除去するために洗浄される。典型的には洗浄操作は、PBS/Tween、PBS/Triton-X 100、又はホウ酸緩衝液などの溶液での洗浄を含む。免疫複合体形成の発生及び量は、次に、第1抗体とは相違し、第2抗体の結合を検出する標的に特異性を有する第2抗体に結合する免疫複合体を差し引くことによって決定される場合がある。ある実施態様において、第2抗体は、例えばウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、又はアルカリホスファターゼの結合した酵素を有し、適当な発色基質とのインキュベーションで色付いた沈殿物を発生する。例えば免疫複合体形成の好ましい展開の時間及び条件下(例えば、PBS/TweenなどのPBSを含む溶液中における室温下2時間のインキュベーション)、ウレアーゼ又はペルオキシダーゼ−コンジュゲート抗ヒトIgGが使用される場合がある。第2抗体とのそのようなインキュベーション及び非結合物質を除去するための洗浄の後、例えば、ウレアーゼ標識における尿素とブロモクレゾールパープル、又はペルオキシダーゼ標識の事例における2,2’-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン)-6-スルホン酸(ABTS)とH202などの発色基質とのインキュベーションによって、標識の量が定量される。計量は、次に、例えば、可視光スペクトル分光光度計を使用して、発色の発生の程度を測定することによって達成される。
前述の形式は、アッセイプレートに試料を第1に結合させることによって変更することができる。その後、一次抗体がアッセイプレートとインキュベートされ、次に、一次抗体に対して特異性を有する標識された二次抗体を用いて、結合した一次抗体が検出される。
抗体(antibody)又は抗体(antibodies)が固定化された固体支持体は、広い種々の材料及び広い種々の形状、例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、レジン粒子等で製造することができる。基質は、信号/ノイズ比(S/N比)を最大化し、バックグランド結合を最小化し、並びに、分離の容易さ及びコストのために選択される場合がある。洗浄は、例えば、容器からビーズ又はディップスティックを除去する、マイクロタイタープレートなどの容器を空にする若しくは希釈すること、又は、ビーズ、粒子、発色カラム若しくはフィルターを洗浄液若しくは溶液で濯ぐことにより、使用される基質に対する最も適切な方法において達成される場合がある。
代替的に、試料中のタンパク質又はグリコシル化タンパク質のレベルを測定するための非ELISAに基づく形式が使用される場合がある。代表的な例は、これらに限定されない質量分析法、プロテオミクスアレイ、xMAPTMマイクロスフェア技術、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング法及び免疫組織化学を含む。例えば、グリコシル化されたタンパク質は、グリカンを染色剤に反応性にする過ヨウ素酸で検出される場合がある。過ヨウ素酸は、また、グリカンを含むタンパク質を固体支持体に架橋させるために使用できる。
そのようにして得られたnonGly-suPAR分析物の測定レベルは、試料に対するnonGly-suPAR分析物値として使用できる。代替的に、測定されたレベルは、nonGly-suPAR分析物値を得るためのいかなる数の方法において解析できる。例えば、nonGly-suPAR分析物のレベルは、例えばハウスキーピング遺伝子、例えばABL1、GAPDH又はPGK1の発現に対して、正規化される場合がある。別の例として、nonGly-suPAR分析物のレベルは、割合に至るために、総suPAR又はグリコシル化suPARのレベルと比較される場合がある。別の例として、nonGly-suPAR分析物のレベルは、例えば、蛋白尿症スコアに達する公知の他の蛋白尿症マーカーに対して考慮される場合がある。
いくつかの例において、被検体に対する試料に対するnonGly-suPAR分析物値を決定する又は取得する本主題の方法は、さらに、レポートとしてnonGly-suPAR分析物値を提供することを含む。したがって、いくつかの例において、本主題の方法は、試料におけるnonGly-suPAR分析物評価の結果を提供するレポートを発生又は出力するステップを含む場合があり、レポートは電子媒体の形式(例えば、コンピューターモニター上の電子的表示)又は有体媒体の形式(例えば、紙又は他の有体媒体へ印刷されたレポート)において提供される場合がある。いかなる形式のレポートが、例えば、公知として、又はより詳細に以下に記載されるように、提供される場合がある。
実用性
本明細書の組成及び方法は、(研究及び/又は臨床(例えば、臨床診断)用途を含む)さまざまな異なる用途での使用を満足し、例えば、関心のある試料でのnonGly-suPAR分析物の値を決定するために望ましい。本主題の方法のいくつかの態様では、nonGly-suPAR分析物の値は蛋白尿症の評価を提供するために用いられる。蛋白尿症の評価に関しては、蛋白尿症の診断、蛋白尿症の予後診断、蛋白尿症の観察の結果、蛋白尿症の治療のための示唆等を意味する。「蛋白尿症」という用語は、尿中の血清タンパク質の過剰量の存在を意味するために本明細書で用いられる。多くの方法が、例えば、時間を決めた(24時間)尿採取での定量的なタンパク質測定、現場での尿採取でのタンパク質レベルとクレアチニンレベルの割合の定量的なタンパク質測定(タンパク質/クレアチニン率、又は「PCR」)、尿の泡の出現又は過剰の泡立ち等を含む蛋白尿症を診断することについて当業者に知られている。かかる方法は当業者によって理解される。典型的に、アルブミンレベルは、実質的に尿中のアルブミンの正常なレベル(「正常アルブミン尿」)で検出され、24時間採取で約30mg未満(30mg未満/日)又は約30μg未満のアルブミン/mgクレアチニンのACR(「30μg未満/mg」)であり、アルブミンの穏やかに上昇したレベル(「微量アルブミン尿」)では24時間の尿採取では約30ないし300mg(30〜300mg/24時間)又は約30ないし300μgアルブミン/mgクレアチニンのACR(「30〜300μg/mg」)であり、アルブミンの顕著に高いレベル(「顕性アルブミン尿」)では、24時間採取で約300mg以上(300mg以上/24時間)又はクレアチニン1mgあたり約300μg以上のアルブミンのACR(「300μg以上/mg」)である。
蛋白尿症は、多くの場合、腎(腎)不全、泌尿器不全、膵不全、ネフローゼ症候群(すなわち、1日あたり3.5グラムよりも多いタンパク尿)、膜性腎症(MN)及び巣状糸球体硬化症(FSGS)等の糸球体疾患、子癇及び腎臓の中毒性病変の症状であり、例えば、糖尿病性腎疾患(糖尿病性腎障害(DNP))等の糖尿病の症状及び循環器系疾患の症状の場合がある。重度の蛋白尿症をともなって、一般的な低タンパク血症が発症し、低下したコロイド浸透圧(腹水症、浮腫、胸水症)をもたらす場合がある。
蛋白尿症を伴う場合のある疾患又は障害の1つの例は糖尿病である。糖尿病は、膵臓が血糖を調節するための十分なホルモンインスリンを産生できないときに(「1型糖尿病」)、又は、あるいは、身体が、膵臓が産生するインスリンを効率的に使用できない場合に(「2型糖尿病」)、生じる代謝疾患である。インスリン依存性糖尿病(IDDM)としても知られる1型糖尿病は、免疫系の細胞によってβ細胞の破壊又は機能障害から生じる。症状は、多尿症(頻尿)、多渇症(亢進した渇望)、過食症(亢進した空腹)及び体重減少を含む。前記疾患を発症する多くの人が健康であり、治療が顕著に正常な活動を害することはないが、T1Dは、もしインスリンで治療し、無期限に持続しなければ、致命的である。インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)としても知られる2型糖尿病は、β細胞がインスリンへの抵抗性を生じるのと同様に、経時的にβ細胞の機能及び数の段階的な減少による(骨格筋及び肝臓などの)末梢組織でのインスリンに対する抵抗性と関連する。結果として、T2Dでは、膵臓は血糖レベルを正常に保つために十分なインスリンを作れない。症状は、高血糖症(高い血糖)、糖尿病性ケトアシドーシス(尿中での増加したケトン)、及び高浸透圧高血糖症候群を含む。
いくつかの例では、糖尿病は糖尿病性腎疾患に進行する場合がある。「糖尿病性腎疾患」又は「糖尿病性腎障害」については、身体から老廃物及び過剰体液を除去する腎臓の機能がゆっくりと徐々に低下する、糖尿病によって生じた又は関連した慢性状態を意味する。糖尿病性腎疾患の症状は、微量アルブミン尿若しくは顕性アルブミン尿の発生、又は、糖尿病のいずれかの形態を有する正常アルブミン尿の個体でのGFRの進行的な低下を含む。初期の糖尿病性腎疾患では、被検体は、微量アルブミン尿陰性、又は、微量アルブミン尿と、正常又は高いGFR、すなわち90mL/分/1.73m2以上のGFRとを示す場合がある。進行的な糖尿病性腎疾患では、蛋白尿症は、微量アルブミン尿又はステージ2又はより悪い慢性腎疾患(CKD)、すなわち90cc/分/1.73m2未満の糸球体濾過率(GFR)に進行する。
蛋白尿症に関連する障害のもう1つの例は腎炎である。腎炎は腎臓の炎症である。腎炎のエビデンス、例えば尿中の血液及び/又はタンパク質、及び低下した腎機能等は、糸球体、尿細管、尿細管又は血管の周囲の組織に影響する免疫応答、炎症の種類、場所及び強度に依存する。「腎炎関連疾患」は、例えば、原発性糸球体疾患(急性びまん性増殖性糸球体腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、非溶連菌感染後糸球体腎炎、半月形糸球体腎炎、膜性腎症、リポイドネフローゼ、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、巣状増殖性糸球体腎炎及び慢性糸球体腎炎)、全身性疾患(全身性エリテマトーデス、糖尿病、アミロイド症、グッドパスチャー症候群、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病及び細菌性心内膜炎)、及び、遺伝性疾患(アルポート症候群、菲薄膜症候群及びファブリー病)を含むが、これらに限定されない。
蛋白尿症に関連する疾患又は障害のもう1つの例は糸球体硬化症である。糸球体硬化症は、ガラス状沈着物を生じること、又は、糸球体内で瘢痕化することが、多くの場合、腎動脈硬化症又は糖尿病に関係する変性腎疾患である。典型的に、循環している炎症性細胞の浸潤、間質の線維化、及び、尿細管萎縮がある。さまざまな因子によってもたらされる糸球体傷害は、タンパク質が可溶性免疫グロブリンA(slgA)、slgG及びslgMと結合し、基底膜に免疫複合体を形成して蛋白尿症を惹起する。これらの免疫複合体は炎症性リンパ球の走化性因子として機能し、患部で過剰免疫応答を惹起する(Bohle A.ら、 Kidney Int. 67 (Suppl.): 186S-188S (1998))。尿細管が炎症性細胞によって損傷されるとき、糸球体とつながった血管は、また、傷害され、閉塞される。結果として、糸球体は悪影響を及ぼされ、悪化する。これらの糸球体の変化は組織線維化をともない、最終的な腎不全へと進行する(例えば、Ratscchek Mら、Clin. Nephrol. 25: 221-226 (1986); Bohle A.ら、Clin. Nephrol. 29: 28-34 (1998); Bohle Aら、Kidney Blood Press Res. 19:191 -195 (1996)を参照せよ)。特に関心のあるのは、巣状糸球体硬化症(FSGS)である。FSGSは、肥厚した基底膜及び増加したメサンギウム基質をともなう糸球体毛細管の分節状の虚脱であり、多くの場合、蛋白尿症及び腎不全を惹起する。例えば、Kamannaら、Histol. Histopathol. 13: 169-179(1998); Wehrmannら、Clin. Nephrol. 33:1 15-122 (1990); Mackensen-Haenら、Clin. Nephrol. 37:70-77 (1992)を参照せよ。FSGSは、(体重増加に関連する)浮腫、低アルブミン血症(血液中のタンパク質の、低血清アルブミン)、高脂血症及び高血圧症(高血圧)によって特徴付けられる小児及び青年のネフローゼ症候群と、成人の蛋白尿症及び腎不全との原因である。FSGSは恒久的な腎不全を惹起することができる。
蛋白尿症に関係する疾患の他の例は当業者に容易に知られ、いかなるものも本主題の方法及び組成を用いて評価することができる。例えば蛋白尿症は、典型的に、増加した血清suPARレベルと相関する。そのようなものとして、上昇した血清suPARレベルが検出される病態は、例えば、本主題の方法を用いて蛋白尿症、発作性夜間血色素尿症、HIV-1感染症、肺炎球菌性菌血症、マラリア、敗血症、細菌及びウイルスのCNS感染症、TB、及び、固形腫瘍のさまざまな種類(***、前立腺及び卵巣がん)についてもまた評価される場合がある(例えば、Montuori, N.及びRagno, P. (2009). 多面的受容体の複数の活性:切断された可溶性uPARの役割、バイオサイエンスにおけるフロンティア: a journal and virtual library 14, 2494-2503;及びThuno, M.ら、(2009). suPAR: 分子結晶ボール、Disease markers 27, 157-172を参照せよ)。
いくつかの例では、nonGly-suPAR分析物の値が蛋白尿症を診断するために、つまり、被検体が蛋白尿症を罹患している(例えば、示す)か、蛋白尿症の重症度等についての決定を提供するために用いられる。いくつかの例では、被検体は蛋白尿症の臨床症状、例えば顕性アルブミン尿、例えば約90cc/分/1.73m2未満の低い糸球体濾過率等を示す場合がある。「糸球体濾過率」すなわちGFRに関しては、腎臓を通過して濾過される液体の流量を意味する。言い換えれば、単位時間あたりに腎臓(腎臓)糸球体毛細管からボウマン嚢に濾過される液体の量である。GFRは、多くの異なる手法によって決定されてもよい。例えば、イヌリン又はイヌリン類似体のシニストリンが血漿に注入され、尿でのその排出が測定される場合がある。もう1つの例として、GFRは、いかなる利便的な方法を用いて身体からのクレアチニンクリアランスの、決定された(CCr)又は推定された(eCCr)割合に基づいて評価される場合がある。他の例では、被検体は、例えば、90mL/分/1.73m2以上のGFRでは正常アルブミン尿と、従来の臨床方法によって蛋白尿症について無症状であるが、例えば、糖尿病、FSGS、微量アルブミン尿症、高血圧症、又は子癇前症、遺伝(heritage)(アフリカ系アメリカ人、アメリカンインディアン、ヒスパニック系アメリカ人、太平洋諸島のアメリカ人)、加齢、肥満、腎疾患の家族歴等の病状の蛋白尿症に関係する危険因子を有する。さらなる他の例では、被検体は従来の臨床方法によって蛋白尿症について無症状であり、蛋白尿症に関連する危険因子を全く有していない場合がある。
いくつかの例では、nonGly-suPAR分析物の値は蛋白尿症を予後診断するために、つまり、蛋白尿症の予後診断を提供するために用いられる。例えば、蛋白尿症ではない被検体由来の生物学的試料のnonGly-suPAR分析物の値が、被検体の蛋白尿症を発症する感受性又はリスクを予測するために用いられる場合がある。個人が蛋白尿症を発症するかを予測することに関しては、被検体が、翌週、次の2週間、次の3週間、次の4週間、次の2ヶ月間、次の3ヶ月間、次の6ヶ月間又はそれ以上で蛋白尿症を発症する可能性を決定することを意味する。もう1つの例として、蛋白尿症を有している被検体からの生物学的試料のnonGly-suPAR分析物の値は、例えば、初期の腎疾患か、例えば、進行性糖尿病性腎疾患を発展する初期の糖尿病性腎疾患、例えば、ステージ2の慢性腎疾患又はそれよりも悪いかどうかに関する予測の、疾患の進行及び/又は疾患の転帰の経過を予測するために用いられる場合がある。
いくつかの例では、nonGly-suPAR分析物の値は、蛋白尿症の治療に対する被検体の反応性、例えば、陽性反応、陰性反応、無反応を予測するために用いられる。いくつかの例では、nonGly-suPAR分析物の値は蛋白尿症を観察するために用いられる。蛋白尿症を「観察すること」に関しては、一般的に、例えば、蛋白尿症の診断を知らせるため、蛋白尿症の予後診断を知らせるため、蛋白尿症の治療の効果又は有効性に関する情報を提供するため、等に被検体の状態を観察することを意味する。
いくつかの例では、nonGly-suPAR分析物の値は、被検体の治療を決定するために用いられる場合がある。「治療」、「治療する」等の用語は、一般的に所望の薬理学的及び/又は生理学的な効果を得ることを意味するために本明細書で用いられる。前記効果は、完全に又は部分的に疾患又はその症状を予防するという観点から言うと、予防的であってもよいし、及び/又は、完全に又は部分的に疾患及び/又は疾患に起因する悪影響を治癒するという観点から言うと、治療的であってもよい。本明細書で用いられるところの「治療」は、哺乳類での蛋白尿症のいかなる治療を対象にしており、(a)蛋白尿症になりやすくなっているが、蛋白尿症を有している可能性があると未だ診断されていない被検体で蛋白尿症を発症することを予防すること、(b)蛋白尿症を阻害すること、すなわち、その発症を停止すること、又は、(c)蛋白尿症を緩和すること、すなわち、蛋白尿症の軽減を生じさせることを含む。治療剤は、蛋白尿症の発症前、発症中、発症後に投与される場合がある。進行中の蛋白尿症の治療は、治療が患者の望ましくない臨床症状を安定化するか、又は低下させる場合には、特に関心がある。本主題の療法は蛋白尿症の発症期の前に投与されてもよいし、場合によっては、疾患の発症期の後に投与されてもよい。「個体」、「被検体」、「宿主」及び「患者」という用語は本明細書で互換的に用いられ、診断、治療又は療法が望まれるいかなる哺乳類の被検体、特にヒトをいう。蛋白尿症治療は、例えばACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)、ARB(アンジオテンシン受容体阻害剤)等を含む当業者に知られたいかなる治療を含んでもよい。
いくつかの実施態様では、したがって、同定される類似性又は相違性が、例えば、蛋白尿症を診断する、蛋白尿症の予後診断する、蛋白尿症を観察する、蛋白尿症を治療する等の、蛋白尿症の評価を提供するために用いられる場合には、例えば、蛋白尿症を診断すること、蛋白尿症の予後診断をすること、蛋白尿症を観察すること、蛋白尿症を治療すること等の、蛋白尿症の評価を提供する本主題の方法は、類似性又は相違性を同定するために、得られたnonGly-suPAR分析物の値と、蛋白尿症のレファレンス要素とを比較することを含む場合がある。「蛋白尿症のレファレンス要素」に関しては、表現型(本例示では、蛋白尿症の表現型)を代表する、例えば、組織試料、蛋白尿症の値、値の範囲等の要素を意味し、例えば、被検体が健康か、又は蛋白尿症によって影響されているか、被検体が蛋白尿症を発症するリスクがあるか、被検体が治療法に反応する蛋白尿症を有するか等の、被検体の表現型を決定するために用いられる場合がある。
例えば、蛋白尿症のレファレンス要素は、蛋白尿症を有するか、又は有しない個体由来の試料の場合があり、例えば、特定の被検体のマーカー値の実験的な決定で、レファレンス/対照として用いられる場合がある。もう1つの例として、蛋白尿症のレファレンス要素は、蛋白尿症の状態に代表的なnonGly-suPAR分析物の値又は値の範囲の場合があり、特定の被検体のnonGly-suPAR分析物の値を解釈するためにレファレンス/対照として用いられる場合がある。例えば、試料のnonGly-suPARの量は、典型的には、蛋白尿症の表現型に関連しない試料よりも、蛋白尿症に関連する試料で、少なくとも1.5倍又はそれよりも大きく、例えば、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍又はそれよりも大きい。蛋白尿症のレファレンス要素は、例えば、蛋白尿症を有する又は蛋白尿症を発症する又は既知の治療によって管理可能である蛋白尿症を有する患者由来の試料又はマーカー値又はマーカー値の範囲の陽性レファレンス/対照等である場合がある。代替的に、蛋白尿症のレファレンス要素は、例えば、蛋白尿症を有していない又は蛋白尿症を発症するリスクがない患者由来の試料又はマーカー値又はマーカー値の範囲の陰性レファレンスである場合がある。蛋白尿症のレファレンス要素は、好ましくは同一の種類の試料であるか、又は、nonGly-suPAR分析物の値の場合には、観察される個体のnonGly-suPAR分析物の値をもたらすために用いられる試料と同一の種類の試料から得られる。例えば、個人の血清が評価される場合には、蛋白尿症のレファレンス要素は血清であることが好ましい。
ある実施態様では、得られたnonGly-suPAR分析物の値は、蛋白尿症について試験される個体に関する情報を得るために単一の蛋白尿症のレファレンス要素と比較される。他の実施態様では、得られたnonGly-suPAR分析物の値は、2つ又はそれ以上の蛋白尿症のレファレンス要素と比較される。例えば、得られたnonGly-suPAR分析物の値は、個人が蛋白尿症を発症するかに関して確認された情報を得るために、陰性レファレンス及び陽性レファレンスと比較される場合がある。もう1つの例として、得られたnonGly-suPAR分析物の値は、患者が治療に反応するか否かに関する情報を得るために、治療に反応する蛋白尿症を代表するレファレンス、及び治療に反応しない蛋白尿症を代表するレファレンスと比較される場合がある。
得られたマーカーレベル表示と、1つ又はそれ以上の蛋白尿症のレファレンス要素との比較は、さまざまな方法が当業者に知られる場合には、いかなる利便的な方法を用いて実施されてもよい。例えば、ELISAに関する当業者は、ELISAデータが、例えば、標準曲線に正規化すること、正規化された値を比較すること等によって比較される場合があることを知っている。比較ステップは、得られたマーカーレベルのプロファイルが対照/レファレンスのプロファイルといかに類似するか、又は非類似であるかに関する情報をもたらし、類似性/非類似性の情報が、例えば、蛋白尿症の発症を予測したり、蛋白尿症を診断したり、蛋白尿症患者を観察したり等をするために用いられる。マーカーレベル値を比較する方法もまた上記されている。類似性は、相対的マーカーレベル、絶対的マーカーレベル又は両方の組み合わせに基づいてもよい。ある実施態様では、類似性の判定は、被検体から得られたマーカーレベル表示の入力を例えばユーザーから受け取り、1つ又はそれ以上のレファレンス要素への類似性を決定し、蛋白尿症の予後診断を、例えば、ユーザー(例えば、研究室の実験補助者、医師、妊娠者等)へ返すように設計されるコンピューターに保存されたプログラムを有するコンピューターを用いて行われる。本発明のコンピューターで実施される態様のさらなる記載は以下に記載される。ある実施態様では、類似性の決定は、被検体のものと最も類似するレファレンス要素を決定するために、nonGly-suPAR分析物の値と、蛋白尿症のレファレンス要素の範囲、例えば、nonGly-suPAR分析物の値の範囲との目視比較に基づいてもよい。得られたnonGly-suPAR分析物の値が比較されるべき蛋白尿症のレファレンス要素の種類及び性質に依存して、上記の比較ステップは、アッセイされる細胞/体液に関するさまざまな異なる種類の情報を生じることができる。かかるように、上記のコンピューターステップは、蛋白尿症の発症の陽性/陰性の予測、蛋白尿症の陽性/陰性の診断、蛋白尿症の特徴付け、治療への蛋白尿症の反応性の情報等をもたらす。
他の実施態様では、nonGly-suPAR分析物の値は、蛋白尿症を評価するために、直接的に、すなわち、蛋白尿症のレファレンス要素との比較なしに用いられる。例えば、患者の血清でのnonGly-suPARの濃度が約1ng/mLよりも大きい場合、例えば、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、7ng/mL、10ng/mL又はそれ以上の場合には、患者が蛋白尿症を発症していると予測される場合がある。
いくつかの実施態様では、例えば、蛋白尿症を診断すること、蛋白尿症の予後診断をすること、蛋白尿症を観察すること等の、蛋白尿症の評価を提供する本主題の方法は、被検体のnonGly-suPAR分析物の値と共に用いられる追加の評価を含む場合がある。例えば、さらに本主題の方法は、例えば、尿中のタンパク質の上昇したレベル、浮腫等の、蛋白尿症と関連する1つ又はそれ以上の臨床パラメーター/因子を測定することを含む場合があり、臨床評価の陽性結果(すなわち、蛋白尿症と関連する1つ又はそれ以上の症状の検出)は、蛋白尿症の診断、蛋白尿症の予後診断を提供する、蛋白尿症を観察する等のためにnonGly-suPAR分析物の値と組み合わせて用いられる。
もう1つの例として、蛋白尿症の評価を提供する本主題の方法は、さらに、蛋白尿症を発症するリスクと関連がある1つ又はそれ以上の因子を評価することを含む場合がある。蛋白尿症のリスク因子の例は、例えば、微量アルブミン尿症、糖尿病、高血圧症、遺伝(アフリカ系アメリカ人、アメリカンインディアン、ヒスパニック系アメリカ人、太平洋諸島のアメリカ人)、加齢、体重及び腎疾患の家族歴を含むが、これらに限定されず、リスク評価の陽性結果(すなわち、蛋白尿症と関連する1つ又はそれ以上の症状の検出)は、蛋白尿症の診断、蛋白尿症の予後診断を提供、蛋白尿症を観察等のためにnonGly-suPAR分析物の値と組み合わせて用いられる。
本主題の方法は、被検体のさまざまな異なる種類について用いられてもよい。多くの実施態様では、被検体は、食肉目(例えば、イヌ及びネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット及びラット)、ウサギ目(例えば、ウサギ)及び霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー及びサル)を含む哺乳類動物網の範囲内である。ある実施態様では、動物又は宿主、すなわち被検体(また本明細書では患者ともいう)はヒトである。
いくつかの実施態様では、蛋白尿症の評価を提供する本主題の方法は、診断、予後診断、又は、観察結果を提供することを含む。いくつかの実施態様では、本明細書の蛋白尿症の評価は、すなわち、当業者の評価を含むレポートを作成すること、例えば、患者が現在蛋白尿症にかかっているか、被検体の蛋白尿症の種類、段階、又は、重度等の当業者の判定等(「蛋白尿症の診断」);患者の蛋白尿症の発症のし易さの、疾患進行の経過、治療への患者の反応性等の当業者の予測(すなわち当業者の「蛋白尿症の予後診断」);又は蛋白尿症の当業者の観察の結果を提供することによって提供される。したがって、本主題の方法は、さらに、当業者の評価の結果を提供するレポートを作成する又は出力するステップを含む場合があり、レポートは電子媒体の形態(例えば、コンピューターへの電子表示)又は有体媒体の形態(例えば、紙又は他の有体媒体に印刷されたレポート)で提供されることができる。レポートのいかなる形態は、例えば、当業者に知られているように、又は以下に非常に詳細に記載されたように提供される場合がある。
レポート
本明細書で記載されるところの「レポート」は、被検体の評価及びその結果に関して関心がある情報を提供する具体的要素を含む電子的又は有体の書類である。いくつかの実施態様では、本主題のレポートは、例えば、上記で非常に詳細に説明されているように、蛋白尿症のプロファイル又は蛋白尿症のスコアの、少なくとも蛋白尿症のマーカー表示を含む。いくつかの実施態様では、本主題のレポートは、例えば、蛋白尿症の診断、蛋白尿症の予後診断、蛋白尿症の観察解析、治療の推奨等の、少なくとも当業者の蛋白尿症の評価を含む。本主題のレポートは、完全に又は部分的に電子的に作成できる。さらに、本主題のレポートは、1)試験施設に関する情報;2)サービス提供者の情報;3)患者データ;4)試料データ;5)a)用いられるレファレンス値及びb)試験データを含むさまざまな情報を含む評価レポートで、試験データは例えばsuPARのレベル決定を含み、6)その他の特徴のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。
レポートは試験施設についての情報を含む場合があり、情報は、試料収集及び/又はデータ作成が行われた病院、診療所又は研究室に関する。試料収集は、例えば血液、尿、唾液等の液体試料;被検体由来の例えば組織生検等の組織試料を得ることを含むことができる。データ作成は、健常人、すなわち蛋白尿症ではない及び/又は蛋白尿症を発症していない個体と対比して蛋白尿症患者でマーカー濃度を測定することを含むことができる。情報は、例えば、試験施設の名称及び所在地、アッセイを実施した及び/又は入力データを入力した研究室の試験補助者の身分、アッセイが実施された及び/又は解析された日付及び時間、試料及び/又はデータが保存される場所、アッセイで用いた試薬(例えばキット等)のロット番号等に関する1つ又はそれ以上の詳細を含むことができる。本情報に対するレポートフィールドは、一般的に、ユーザーによって提供される情報を用いて追加できる。
レポートはサービス提供者についての情報を含む場合があり、ユーザーが所在する医療施設の外部又は医療施設の内部に所在する場合がある。かかる情報の例は、サービス提供者の名称及び所在地、評価者の名称、必要な又は希望する場合には試料収集及び/又はデータ作成を実施した者の氏名を含むことができる。本情報に対するレポートフィールドは、一般的に、使用者によって提供された情報を用いて追加でき、予め用意される選択の中から(例えばドロップダウン・メニューを用いて)選択できる。レポートにおける他のサービス提供者の情報は、結果及び/又は説明レポートについての技術情報の連絡先情報を含むことができる。
レポートは、(例えば、年齢、人種、血清型、子癇前症の発症、及び、妊娠の他のいかなる特徴を含む)患者の医療歴や、患者を同定するための情報等の管理患者データ(例えば、氏名、患者の誕生日(DOB)、性別、郵送先及び/又は自宅住所、診療記録番号(MRN)、医療施設での部屋及び/又はベッドの番号、保険情報等)、患者の観察評価を指示した医師又は他の医療従事者の氏名、指示している医師と異なる場合には、患者のケアに責任があるスタッフ医師の氏名(例えば、一次ケア医師)を含む、患者データのセクションを含むことができる。
レポートは、試料データのセクションを含む場合があり、患者から得られた生物学的試料(例えば、血液、尿、唾液又は組織の種類等)の供給源等の観察評価で分析された生物学的試料について、いかに試料が取り扱われたか(例えば、保存温度、調製プロトコール)、及び、採取された日付と時間についての情報を提供する場合がある。本情報に対するレポートフィールドは、一般的に、使用者によって入力された情報を用いて追加され得、これらのうちのいくつかは予め用意された選択として(例えばドロップダウン・メニューを用いて)提供される場合がある。レポートは結果のセクションを含む場合がある。例えば、レポートはsuPARレベル決定アッセイの結果(例えば、「血清中1.5nmol/リットルのnonGly-suPAR」)又は計算したnonGly-suPAR分析物の値を報告するセクションを含む場合がある。
レポートは評価レポートのセクションを含む場合があり、本明細書に記載されたようにデータ処理後に作成された情報を含む場合がある。説明レポートは被検体が蛋白尿症を発生する可能性の予測を含む。説明レポートは蛋白尿症の診断を含む。説明レポートは蛋白尿症の特徴付けを含むことができる。レポートの評価部分は、任意に推奨もまた含むことができる。例えば、結果が蛋白尿症でありうることを示す場合には、推奨は、当該分野で推奨されているように、食事療法が変更される、高血圧薬が投与される等の推奨を含むことができる。
レポートは追加要素又は修飾要素を含むことができることもまた容易に理解される。例えば、電子的な場合には、レポートは、レポートの選択された要素についてより詳細な情報を提供する内部又は外部のデータベースを指し示すハイパーリンクを含むことができる。例えば、レポートの患者データ要素は、電子患者記録へのハイパーリンク又は患者記録等にアクセスするためのサイトを含むことができ、患者記録は機密データベースで維持される。この後者の実施態様は病院内システム又は診療所内設定で関心がある場合がある。電子フォーマットの場合には、レポートが例えば、コンピューター記憶、ZIP装置、CD、DVD等のコンピューター可読媒体等の安定な物理媒体に記録される。
レポートは、一般的に、使用者によって要求される解析を十分に提供するための要素(例えば、計算したnonGly-suPAR分析物の値;蛋白尿症の予測、診断又は特徴付け)を少なくとも含むという条件で、レポートは上記の要素の全部又は一部を含むことができることが容易に理解される。
試薬、装置、システム及びキット
上記の方法のうちの1つ又はそれ以上を実施するための試薬、システム、装置及びそれらのキットもまた提供される。本主題の試薬、システム及びそのキットは非常に異なる場合がある。関心がある試薬は、例えば、1つ又はそれ以上の検出要素、例えば、タンパク質の検出用抗体又はペプチド、グリコシル化タンパク質の検出のためのレクチン等の、試料由来の上記のnonGly-suPAR分析物の値を作成する場合に使用するために特異的に設計される試薬を含む。同時に、例えば1つ又はそれ以上のタンパク質、例えばnonGly-suPAR及びGly-suPAR、nonGly-suPAR及び総suPAR、Gly-suPAR及び総suPAR、グリコシル化タンパク質及びnonGly-suPAR等の発現を検出するために用いられることが可能な検出エレメント、例えば1つ以上の抗体、ペプチド、レクチン等を含む組成の試薬カクテルもまた、包含される。
nonGly-suPAR分析物の値を作成するために特異的に作製される試薬の1つの種類は抗体である場合がある。例えば、抗体は、例えば、ELISA形式、xMAPTMマイクロスフェア形式、プロテオミックアレイ、ウェスタンブロット、ドットブロットや、フローサイトメトリー、免疫組織化学による解析用懸濁液で非グリコシル化suPARに特異的に結合する。もう1つの例として、抗体はグリコシル化suPARに特異的に結合する場合がある。3つ目の例として、抗体は、非グリコシル化suPAR及びグリコシル化suPARの両方に結合する、すなわち、抗体は総suPARに結合する場合がある。したがって、例えば、nonGly-suPARレベルはnonGly-suPARレベルを検出することによって、;又はGly-suPARレベル及び総suPARレベルを検出し、Gly-suPAR及び総suPARレベル間の差異を計算することによりnonGly-suPARレベルを評価すること;等によって評価される場合がある。かかる抗体と一緒に用いることができる他の試薬は、例えば、上記のようなレクチンを含む。抗体及びレクチンを用いる方法は当業者によく理解されており、上記で非常に詳細に記載される。かかるアフィニティー試薬は溶液で提供される場合がある。代替的に、それらは、固体基質、例えば、マルチウェルディッシュのウェル、xMAPマイクロスフェア、ニトロセルロース支持体等に事前に結合されて提供されてもよい。
いくつかの例では、装置、すなわち蛋白尿症評価装置が提供される。本明細書で用いられるところの「装置」という用語は、試料のnonGly-suPARレベルの評価で用いられる可能性がある機器の一部、nonGly-suPARレベルを測定するために用いられる可能性がある例えば1つ又はそれ以上の抗体、1つ又はそれ以上のペプチド、1つ又はそれ以上のレクチン等の、1つ又は2つ以上の検出要素を含む、例えばディップスティック、プレート又はアレイをいう。いくつかの実施態様では、装置は、1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR検出試薬を含む。いくつかの実施態様では、装置は、被検体由来の試料のnonGly-suPAR分析物の値を得るために構成されており、nonGly-suPAR分析物の値に基づいて被検体の蛋白尿症評価を作成する。
いくつかの例では、システムが提供される。本明細書で用いられるところの「システム」という用語は、試薬及び/又は装置の収集物をいうが、例えば、同一又は異なる供給源から試薬の収集物を購入することによって集められる。
いくつかの例では、キットが提供される。本明細書で用いられるところの「キット」という用語は、一緒に提供される、例えば販売される試薬及び/又は装置の収集物をいう。例えばnonGly-suPARレベルを検出するための、抗体を利用した検出プラットフォームは、組織化学試薬と一体とされる場合がある。もう1つの例として、組織化学試薬は、例えば、以下に記載されるような蛋白尿症評価装置とともに提供される場合がある。3つ目の例として、蛋白尿症評価装置は、レファレンス又はレファレンスレポートとともに提供される場合がある。試薬及び装置のかかる組み合わせは、個別化蛋白尿症治療用キットとして提供されることができることが想定される。
本主題発明のシステム及びキットは、上記のsuPAR特異的抗体収集物、グリコシル化タンパク質特異的レクチン及び/又は蛋白尿症評価装置を含む場合がある。システム及びキットは、さらに、さまざまな方法で用いられる1つ又はそれ以上の追加の試薬、かかるさまざまな緩衝溶媒、例えば、ハイブリダイゼーション及び洗浄緩衝液、既成のプローブアレイ、スピンカラム等の標識化されたプローブの精製試薬及び成分等、例えば、二次抗体、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート、化学蛍光又は化学発光の基質等のシグナル発生及び検出試薬を含む場合がある。
本主題のシステム及びキットは、1つ又はそれ以上の蛋白尿症のレファレンスもまた含む場合がある、多くの実施態様では、要素は、例えば、上記検出要素で決定されている「入力」マーカーの値に基づいて蛋白尿症評価をなすために、例えば、適切な実験又は演算手段によって用いることが可能なレファレンス又は対照試料又はマーカーの値である。代表的な蛋白尿症のレファレンスは、上記のような、蛋白尿症を有するか、又は有しないと知られている個体由来の試料、例えば、レファレンス又は対処のプロファイル又はスコアのnonGly-suPAR分析物の値のデータベース等を含む。
上記の構成要素に加えて、本主題のキットは、さらに、本主題を実行するための説明書を含む。これらの説明書は、さまざまな形態で本主題のキットに存在する場合があり、1つ又はそれ以上がキットに存在する場合がある。これらの説明書が存在する場合がある1つの形態は、キットのパッケージ、添付文書等で、適切な溶媒又は基質、例えば情報が印刷される一枚又は数枚の紙に印刷される情報としてである。もう1つの手段は、例えば、情報が記録されているフロッピーディスク、CD等のコンピューター可読媒体である。存在する可能性があるもう1つの手段は、離れた場所で情報にアクセスするためにインターネットを介して用いることが可能なウェブサイトアドレスである。いかなる利便的な手段がキットに存在してもよい。
実施例
以下の実施例は、本発明を製造し、使用する方法の完全な開示及び記載によって当業者に提供されるように提示され、発明者が発明とみなすものの範囲を限定する意図ではなく、以下の実験は、実施される全部又は最良の実験であることを示すことを意図する。使用される数字(例えば、量、温度など)に関する精度を保証するために努力がなされてきているが、しかし、いくつかの実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に断りのない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は大気圧近くである。
分子及び細胞生物化学での一般的な方法は、分子クローニング: 研究室マニュアル第3版、 (Sambrookら、HaRBor Laboratory Press 2001 ); 分子生物学におけるショートプロトコール第4版 (Ausubelら編、John Wiley & Sons 1999); タンパク質の方法 (Bollag ら、John Wiley & Sons 1996); 遺伝子治療のための非ウイルスベクター (Wagneら編 Academic Press 1999); ウイルスベクター (Kaplift及び Loewy 編, Academic Press 1995); 免疫学的方法マニュアル (I. Lefkovits編、Academic Press 1997);及び細胞及び組織培養:生命工学における研究室操作 (Doyle 及びGriffiths, John Wiley & Sons 1998) 等の標準的な教科書、引用によって本明細書に取り込まれる開示物等で見られる。本明細書で言及される遺伝子操作用の試薬、クローニングベクター及びキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma-Aldrich及びClonTech等の商業的供給者から入手可能である。
血漿中のsuPARレベルはβ3インテグリン活性と相関しない
FSGSでのsuPARの役割を研究するために、suPARレベルが標準的な経過観察来院の間にFSGS患者で測定された。対照として、腹膜透析(PD)の患者及び敗血症の患者由来の血清が、それらの3つの病態は増加したsuPARレベルを伴うので、使用された。以前に見られるように、FSGSの患者の血清は、増加したsuPARレベルを示す一方、suPARレベルは腹膜透析の患者又は敗血症の患者でさらに顕著であった(図6、パネルa)。これらのデータは、感染期間のsuPARの役割と同様に、腎機能の喪失が、増加した血漿suPARレベルをもたらすという知見と一致する。suPARレベルに基づいて、FSGS患者は2つの異なるサブグループ;3ng/mLよりも高いもの(平均=5.17±1.8、73%)と、3ng/mL未満のもの(平均=1.84±0.35、27%)とに分けられる。実際に、3ng/mL未満のレベルのFSGS患者は健常人と同様のsuPARレベルを示した(平均=1.82±0.32)。
足細胞のsuPARの病理学的効果はβ3インテグリンシグナル伝達の標準的に低レベルでの活性化を介してであることが示唆されている。したがって、我々は、次に、FSGS患者の血清中のsuPARレベルが、β3インテグリンの活性化と相関するかを試験した。異なる血清によって誘導されるβ3インテグリンの活性化を比較するために、活性化インテグリン(AP5染色)のレベルと、接着斑(パキシリン染色によって決定された、FA)の総量のレベルとの比を測定するように、原型のアッセイを改変した(図6、パネルb)。したがって、細胞サイズの変化又は培養中の細胞間の一般的な多様性に起因するFA数の変化は分析から削除される。β3の活性化アッセイは、患者の病態についていかなる予備知識を全く有しない盲検法で行われた。
培養で足細胞を増殖するために標準的に用いられる10%胎仔ウシ血清(FBS)の添加と比較する場合、4つの異なる健常血清(HS)によるインテグリンを活性化する量で有意差が全くなく、健常血清の添加は強力なβ3インテグリン活性化を生じないことを示す。したがって、FSGS血清の存在下での活性β3インテグリンの量が、健常血清のものと比較され、陰性対照として用いられた。多数の血清は明らかに強力なβ3インテグリンの活性化を誘導する一方、統計的に有意な相関はsuPARレベルとインテグリン活性化のレベルとの間に見出されなかった(図6、パネルc)。加えて、FSGS血清の分析は、血清添加がαvβ3又はαvβ1インテグリンのmRNAのレベルを変化させないことを示し、免疫蛍光によって観察されるβ3の活性化はインテグリンの立体構造の状態の変化に起因し、細胞培養でのβ3インテグリンの総レベルの変化に起因していないことを示唆した。さらに、suPARレベル又はAP5活性化は、非再発性と再発性FSGS由来の主要な事項を分離できなかった。驚くべきことに、β3インテグリンの活性化は、PD又は敗血症の患者の血清が最高のsuPARレベルを有していたものの、これらの血清によって誘導されなかった(図6、パネルd及びe)。総合して、これらのデータは、FSGS血清のサブセットが強力にβ3インテグリンを活性化したが、血漿中suPARレベルは、その活性化を予測できなかったことを示す。
巣状糸球体硬化症(FSGS)は、多くの場合、ステロイド抵抗性、高血圧、及び、腎不全への進行の高い発症率と相まって、明白な蛋白尿症によって特徴付けられる糸球体疾患である。それは、小児の最も一般的な進行性の糸球体疾患であり、成人の特発性ネフローゼ症候群の20〜25%を占める。FSGSの病因は、その組織学的パターンによって定義される一方、そのメカニズムは未だに不明である。腎生検は、臨床診断をなすための唯一の手段である。
組織学及びヒトの一元的データは、FSGSでの根本的原因として足細胞の機能不全を強く示す。足細胞は、糸球体濾過の機能に必須である腎臓の糸球体の、最終的に分化した細胞である。それらの機能は、複雑な構造、特にそれらの足突起(FP)に主に基づいており、アクチンで駆動される膜伸長である。これらの膜伸長の消失(FP消失といわれる)は、尿中のアルブミンの存在(蛋白尿症)、多くの場合、足細胞の消失、及び、慢性腎疾患及び末期腎不全の発症をもたらす最初のステップの傷害と堅く結び付けられる。
FSGSの現在の療法は、患者のわずか約50%に完全又は部分的な寛解をもたらす。用いられる治療は、シクロホスファミド、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、及びリツキシマブを伴う又は伴わないコルチコステロイド等の免疫応答の阻害剤を含む。もし、蛋白尿症が、これらの薬剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体阻害剤(ARB)及び/又は脂質降下薬等の非特異的療法によって低下できるのであれば、腎不全の進行が遅延される。全てのこれらの治療が失敗し、患者の腎機能が低下するとき、最終的に利用可能な治療は、血液透析及び/又は腎移植である。残念なことに、腎臓移植を受ける成人の約30%及び小児FSGS患者の最大80%で疾患が再発し、生着不全を惹起する。再発FSGSを促進する分子メカニズムの明確な理解が、新規な治療の開発に不可欠であり、患者に生来の腎臓を保ち、腎移植の必要性を予防する。
ヒト血漿由来のsuPARの免疫除去は、培養中の活性化αvβ3インテグリンの量を減少させる
FSGS患者由来のヒト血漿は、培養したヒト足細胞でαvβ3インテグリンの活性化を誘導するsuPARの上昇したレベルを含むことが示されている(Wei, Cら「巣状糸球体硬化症の原因としての循環しているウロキナーゼ受容体」、Nature Medicine, 17:952-960 (2011))。例えば、図1で示されるように、培養したヒト足細胞へのFSGSを有する患者由来のヒト血清の添加(〜10ng/mLのsuPAR)は、β3インテグリンの活性立体構造を検出する抗体での免疫蛍光によって証明されるように(AP5、GTI診断)、強力なαvβ3インテグリンの活性化をもたらす(図1、「FSGS血清」パネル)。ヒト足細胞を培養した無血清培地(SFM)での10%胎仔ウシ血清の添加(図1、「FBS」パネル)は、陽性シグナルをもたらさず、活性化がヒト血清の存在に依存することを示した。観察された活性化はヒト血漿でのsuPARの存在に起因することを示すために、suPARが、Tactic Pharma(Highland Park、IL)によって提供されるマウスモノクロナール抗suPAR抗体ATN615を用いて定量的に取り除かれた。血漿からのsuPARの除去が、R&D(Minneapolis、MN)が提供しているELISAを用いて認められ、ATN615 Abは、ヒト血漿からsuPARを99%よりも多い除去を示した。重要なことには、suPARの定量的な枯渇が、αvβ3インテグリンを活性化するFSGS血漿の能力を無効にした(図1a及び定量化についての図1b)。
興味深いことに、プロテインGアガロースビーズのみとのヒト血漿のインキュベーションによるヒトFSGS血漿の空除去(mock depletion)は、また、インテグリンの活性化を低下させた(図1b)。ELISAアッセイは、この手順が血漿のsuPARのレベルを約20〜50%低下させることを示す(〜3.5ng/mLのsuPARを標準的に含む空試料、n=3)。したがって、空除去したヒト血漿の強力なインテグリンの活性化を誘導する機能の障害は、これらの試料中の低下したsuPARの量によって説明することができた。これらのデータは、suPARがプロテインG及びプロテインAアガロースに結合した可能性を示唆する。
suPARはプロテインA及びプロテインGアガロースに結合する
プロテインA及びプロテインGアガロースに結合するsuPARの能力を直接的に試験するために、suPAR(R&D、Minneapolis、MN)が、プロテインGアガロースビーズ又はプロテインAアガロースビーズとともに8時間インキュベーションされた(図1c、最初)。カラムに充填されたsuPARのレベルと、カラムを流れ出たものとがウェスタンブロット解析及びR&D ELISAアッセイを用いて検出された(注目すべきは、図1cのタンパク質の濃度はゲルにロードされたタンパク質のレベルに対応しないが、これらは実験で用いられたものに対応する)。カラムに結合したsuPARはウェスタンブロット法によって検出された。総合して、これらのデータは、suPARがプロテインA及びプロテインBアガロースビーズの量に直接的に結合可能であることを示す。これらのデータは、免疫除去によって部分的に除去できる再発性FSGSで病原因子として作用するsuPARと一致する。
大腸菌での非グリコシル化suPARの発現
FSGSがsuPARの特定の形態で促進され、特異的断片又は修飾型グリコシル化パターン又は両方のいずれかであるという我々の仮説を試験するために、我々は、異なるsuPAR断片を大腸菌で発現させた(図2a)。細菌で発現されたタンパク質はグリコシル化されず、したがって、培養ヒト足細胞において、αvβ3インテグリンを活性化する能力に対する非グリコシル化suPAR(nonGly-suPAR)断片の効果を試験することができる。図2cで示されるように、全ての断片が大腸菌で効果的に発現された(総細菌タンパク質のクマシー染色)。タンパク質の大部分が、細菌での発現に起因する可能性が最も高いが、高度に不溶性であった一方、我々は、可溶性断片及び全長のsuPARの十分な量を精製することができた。タンパク質は、大腸菌のBL21 DE3株で発現され、それが細菌性エンドトキシンの高レベルを含まないように改変されているものの、さらに、全組換えタンパク質は、高性能エンドトキシン除去樹脂(Pierce、Rackford、IL)とのインキュベーションによって精製された。
NonGly-suPARは培養物においてαvβ3インテグリンの強力なアクチベーターである
組換えsuPARの添加が、培養されたヒト足細胞でαvβ3を増加することもまた示されている(Wei, C, et al., 上述)。しかし、活性化を観察するために必要とされるレベルはヒト血漿で観察されるレベル(5〜10ng/mL)よりも200倍(1μg/mL)高く、したがって、生理学的に疑問の余地があった。これらの実験で用いられた組換えsuPAR(R&D)は、Fc断片を含むsuPARの組換えマウスキメラ型(m-suPAR-Fc)であった。したがって、かかる改変されたマウスsuPARがヒト足細胞のαvβ3の有効なアクチベーターではない可能性が理論的にあった。我々は、マウスミエローマ細胞株で発現されたR&D(アクセッション#Q03405)が提供するグリコシル化C末端Hisタグ化ヒトsuPAR DI-DIII(Gly-suPAR)の生理学的に同等のレベルを用いてこれらの原型の実験を繰り返した。図3で示されるように、ヒト足細胞は、無血清培地で血清が24時間欠乏された。その後、50ng/mLのヒト組換えGly-suPARが一晩処理のために添加された。活性化αvβ3インテグリンはAP5抗体を用いて検出され、接着斑は抗パキシリンAbを用いて可視化された。我々は、活性化αvβ3インテグリンと共局在させた接着斑複合体(focal complexes)の多数の出現を認めた一方(データは示されない)、Gly-suPARの生理学的レベルの添加はαvβ3インテグリンの強力な活性化を生じなかった。これらのデータは、(4〜15ng/mLの間の)Gly-suPARの生理学的レベルが、FSGS血漿の添加によって認められる活性化の量を十分に誘導できないということを示す(図3と図1を比較せよ)。in vitroデータと一致して、野生型マウスでのマウスsuPAR-Fcの注入は顕著な蛋白尿症をもたらさなかった(Wei, Cら、上述)。総合して、これらのデータは、FSGSは、高レベルの野生型全長Gly-suPARによって促進されないことを強く示唆する。
驚くべきことに、非グリコシル化ヒトsuPARの生理学的レベルの添加(NonGly-suPAR、5ng/mL)は、αvβ3インテグリンの強力な活性化をもたらした(図3a、下部パネル)。活性化の程度はFSGS血漿を用いて認められたものと類似した(図1)。これらのデータは、グリコシル化の消失が、例えばαvβ3インテグリンに対するsuPARのアフィニティーを増加することによってsuPARをαvβ3インテグリンのより強力なアクチベーターにすることを強く示唆する。
野生型マウスへのNonGly-suPARの投与は蛋白尿症を誘導する
上記のデータは、NonGly-suPARがGly-suPARよりもαvβ3インテグリンのより強力なアクチベーターであることを示す。また、それらは、FSGS血漿によってヒト足細胞で観察されたαvβ3インテグリンの活性化は、suPARの病態の存在に起因することを示す。αvβ3インテグリンの活性化は、FPの消失及び蛋白尿症に対応すると考えられる(Wei, Cら「ウロキナーゼ受容体による腎バリア機能の調節」 、Nature medicine (2003), 14:55-63; Wei, C, ら「巣状糸球体硬化症の原因としての循環ウロキナーゼ受容体」、 Nature Medicine, 17:952-960 (2011))。この仮説をさらに試験するために、NonGly-suPARがBALB/Cマウスの尾静脈に注入され、アルブミン及びクレアチニンのレベルがELISAアッセイを用いて決定された。図4に示されるように、マウス1匹あたりわずか80ngのNonGly-suPAR投与が、蛋白尿症の統計的に有意な増加を誘導した。反対に、20μgのGly-suPAR(R&D)の投与は全く効果がなかった。蛋白尿症は、さらなるsuPAR注入を止めることによって回復可能であったが、延長された注入(>1週間)の後に永続化するように思われる。20μgのGly-suPAR(R&D)の投与は全く効果がなかった。平均的なマウスは、〜3mLの血液に〜1.5mLの血漿を有している。ヒトデータに基づいて、マウスは〜5ng/mLのsuPARを有する場合がある。したがって、suPARの5〜10倍の増加(25〜50ng/mL)が、ヒトデータに基づいて蛋白尿症を誘導すると予期される。マウス1匹あたり80ngの濃度(53ng/mL血漿)で、これらの実験は、蛋白尿症を誘導すると予期されるsuPAR濃度の範囲である。蛋白尿症は劇的でもなく、ネフローゼの範囲でもなかったが、観察された3倍の増加は、ヒト試料を注入したラットの蛋白尿症レベル(Sharm, M and Slavin VJ 1999, JASN 10)と同様に、Plaur-/-マウスでの蛋白尿症の増加と一致する(Wei C, ら「巣状糸球体硬化症の原因としての循環ウロキナーゼ受容体」、Nature medicine (2011), 17:952-960)。したがって、グリコシル化の消失が、suPARを足細胞のαvβ3インテグリンのより強力なアクチベーターにし、FPの消失及び蛋白尿症を促進する。
患者のsuPARレベルを測定するために用いられるELISAアッセイはGly-suPARのみを認識する
FSGS患者のsuPARの特定の形態の同定における主要な障害の一つは、商業的に入手可能なELISAアッセイによって認識される抗原部位の非公開の情報である。この情報は一般的に独占所有物と考えられ、したがって、研究者には入手不可能であると考えられる。我々は、特定のELISAアッセイ(R&D)において抗体によって認識される特定のドメインを決定するために完全にグリコシル化されたヒトsuPAR(R&D)に加えて我々の大腸菌発現suPAR断片を用いた。また、マウスモノクロナール抗suPAR抗体(R&D)は、主にグリコシル化suPARを認識するヒトのsuPARレベルを測定するために一般的に用いられる(図5)。したがって、R&D抗体によって認識される抗原部位は、アミノ酸とグリコシル化の組み合わせであり、R&D抗体はグリコシル化suPARを認識すると言われる場合がある。
前述は、単に本発明の原理を示す。当業者は、本明細書に明示的に記載されていないか、又は示されていないものの、本発明の原理を具現し、その精神及び範囲内に包含されるさまざまな構成を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に記載された全ての実施例及び条件付きの用語は、主に、従来技術の促進のために発明者によって寄与される本発明の原理及び概念を読者が理解するのを助けることを意図し、このような具体的に記載された実施例及び条件に限定されないものと解釈されるべきである。さらに、原理、態様及び本発明の実施態様と同様に、その具体的実施例を記載する本明細書の全ての記述は、その構造的及び機能的の両方の均等物を包含することを意図する。また、かかる均等物は、現在知られている均等物及び将来に開発される均等物、すなわち、構造に関わらず、同じ機能を実行するのに開発されるいかなるエレメントを含むことを意図する。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載されている例示的な実施態様に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の請求の範囲によって具体化される。

Claims (33)

  1. 被検体由来の試料に対する蛋白尿症マーカーを提供する方法であって、
    被検体由来の試料中の非グリコシル化suPAR (nonGly-suPAR)検体の量を評価するステップを含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記評価するステップが、
    グリコシル化suPAR分析物を前記試料から取り除くステップ、及び、
    前記試料中に残存するsuPAR分析物の量を測定するステップ
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記評価するステップが、
    suPAR分析物を前記試料から純化された試料に達するまで精製するステップ、及び、
    前記純化された試料中のグリカンの量を測定するステップ
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記評価するステップが、
    前記試料中の総suPAR量を測定するステップ、
    前記試料中のグリコシル化suPAR量を測定するステップ、及び、
    前記試料中のnonGly-suPARの量を決定するために、前記測定された総suPAR量から測定されたグリコシル化suPAR量を差し引くステップ
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記試料中の総suPAR量を測定するステップが、前記試料をグリコシル化suPAR及びnonGly-suPARに結合するアフィニティー試薬に接触させるステップを含み、前記試料中のグリコシル化suPARの量を測定するステップはグリコシル化suPARに結合し、nonGly-suPARに結合しないアフィニティー試薬を前記試料に接触させるステップを
    含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記評価するステップが、1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR検出試薬を含み、並びに、
    被検体由来の試料に対するnonGly-suPAR分析物値を取得すること、及び、
    前記nonGly-suPAR分析物値に基づいて蛋白尿症評価を出力すること
    が設定される蛋白尿症評価装置の使用
    を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記被検体が蛋白尿症を発症させるリスクにあることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記方法が、さらに、レポートを提供するステップを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記nonGly-suPAR分析物が、nonGly-suPAR(I-III)、nonGly-suPAR(II-III)、nonGly-suPAR(I)及びそれらのいかなる組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記被検体由来の試料が血液試料であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記被検体由来の試料が尿試料であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 被検体に対して蛋白尿症評価を提供するための方法であって、
    被検体由来の試料に対してnonGly-suPAR分析物値を取得するステップ;及び、
    取得されたnonGly-suPAR分析物値に基づいて蛋白尿症評価を提供するステップ
    を含むことを特徴とする方法。
  13. 前記評価が、蛋白尿症予後診断、蛋白尿症診断又は蛋白尿症治療に対する個体の反応性の評価であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記取得するステップが、被検体由来試料に対するnonGly-suPAR分析物値を取得し、nonGly-suPAR分析物値に基づいて前記被検体に対する蛋白尿症評価を出力する設定の蛋白尿症評価装置の使用を含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記提供するステップが、レファレンスに対してnonGly-suPAR分析物を比較するステップ、及び、前記比較に基づいて蛋白尿症評価を提供するステップを含むことを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記レファレンスが蛋白尿症を有しない個体の代表であり、前記レファレンスに対して前記試料中の上昇したnonGly-suPAR分析物値が、被検体が蛋白尿症を発症していること、又は、蛋白尿症を発症するリスクにあることを示すことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 前記被検体が正常な糸球体濾過速度(GFR)及び正常アルブミン尿を有することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記個体が微小アルブミン尿を有することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記個体が腎疾患を有することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記腎疾患がFSGS又は糖尿病性腎疾患であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. nonGly-suPAR分析物値を取得するステップが、nonGly-suPAR(I-III)、nonGly-suPAR(II-III)、nonGly-suPAR(I)及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるnonGly-suPARの濃度を測定するステップを含むことを特徴とする、請求項12〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記被検体由来の試料が、血液試料であることを特徴とする、請求項12〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記被検体由来の試料が、尿試料であることを特徴とする、請求項12〜21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 被検体由来の試料に対するnonGly-suPAR分析物値を取得すること、及び前記nonGly-suPAR分析物値に基づいて蛋白尿症評価を出力することが設定され、並びに、1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR検出試薬を含むことを特徴とする、蛋白尿症評価装置。
  25. 前記1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR分析物検出試薬が、固体支持体に結合していることを特徴とする、請求項24に記載の蛋白尿症評価装置。
  26. 前記1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR分析物検出試薬が、グリカンに特異的な検出要素及びsuPAR分析物に特異的な検出要素を含むことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
  27. 前記1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR分析物検出試薬が、Gly-suPAR分析物に特異的な検出要素、及びsuPAR分析物に特異的な検出要素を含むことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
  28. 1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR分析物検出試薬を含むことを特徴とする、個体における蛋白尿症を検出するためのキット。
  29. 前記1つ又はそれ以上のnonGly-suPAR分析物検出試薬が、固体支持体に結合していることを特徴とする、請求項28に記載のキット。
  30. 前記固体支持体に結合した前記nonGly-suPAR分析物検出試薬が、レクチンであることを特徴とする、請求項29に記載のキット。
  31. 前記キットが、suPARに対して特異的なnonGly-suPAR分析物検出可能な検出試薬をさらに含むことを特徴とする、請求項30に記載のキット。
  32. 前記固体支持体に結合した前記nonGly-suPAR分析物検出試薬が、suPAR特異的抗体であることを特徴とする、請求項29に記載のキット。
  33. 前記キットが、レクチンに対して検出可能なnonGly-suPAR検出試薬をさらに含むことを特徴とする、請求項32に記載のキット。
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