発明の詳細な説明
本発明は、多重化可能タグベースのレポーターシステム、及び生成及び使用方法に関する。本発明は、レポーター及び捕捉プローブ、及び前記レポーター又は捕捉プローブ及び標的分子に結合するプローブを含むナノレポーターが、複雑な混合物における複数の標的分子の正確且つ効率的な検出及び定量化のために利用され得る発見に基づかれる。さらにそれらのナノレポーターは、より信頼でき且つ再生できる、ナノレポーターの製造方法を可能にし、そしてこれまでのナノレポーターシステムの変動性及び偽陽性の両者を低める。タグベースのナノレポーターシステムは、アッセイの遺伝子特異的成分が現在、そのナノレポーター及び捕捉試薬から分離され、そして安価で且つ広く入手できるDNAオリゴヌクレオチドにより可能にされるので、そのアッセイ設計の経済的且つ急速な柔軟性を可能にする。単一組のナノレポーターが、アッセイの遺伝子特異的オリゴヌクレオチド部分を単純に置換することにより、異なった実験における無限の遺伝子をプローブするために使用され得る。非タグベースのレポーターシステム(図1)においては、レポーター及び捕捉試薬(例えば、標識結合領域及び結合された標識、及び親和性成分)は、標的特異的領域に共有結合され、そして変更するのに複雑且つ高価である。
本発明は、標的特異的配列を含む第一領域、及び標的に結合しない第二領域の2種の領域を含むプローブを提供する。第一領域及び第二領域はオーバーラップしない。第二領域は、レポータープローブ又は捕捉プローブの領域に結合するか、又はハイブリダイズすることができるタグ配列を含む。レポータープローブに結合するか、又はハイブリダイズするプローブは、レポーターオリゴ(例えば、図2におけるオリゴA)として本明細書においては言及される。捕捉プローブに結合するか、又はハイブリダイズするプローブは、捕捉オリゴ(例えば、図2におけるオリゴB)として本明細書においては言及される。
本発明は、標的特異的配列を含む第一領域、及び配列番号1〜1345のいずれか1つ又はその相補体を含む第二の非オーバーラップ領域の2つの領域を含む組成物(また、レポーターオリゴ又は捕捉オリゴとして本明細書において言及される)を提供する。
本発明は、第一及び第二プローブを含む組成物を提供する。1つの実施形態によれば、前記第一プローブは、標的特異的配列を含む第一領域、及び前記標的に結合しない第二の非オーバーラップ領域を含む。前記第二の非オーバーラップ領域は、第二プローブに結合するか又はハイブリダイズするタグ配列を含む。いくつかの実施形態によれば、第二プローブは、少なくとも1つのRNA分子にハイブリダイズされる少なくとも1つの標的結合領域を含むことができ、ここで前記RNA分子は、標識されるか、又はナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する1又は2以上の標識モノマーに結合される。いくつかの実施形態によれば、第二プローブは、少なくとも1つの親和性成分を含むことができる。第二プローブはまた、標識結合領域及び/又は親和性成分とオーバーラップしない領域を含む。いくつかの実施形態によれば、この領域は、第一プローブのタグ配列に対して相補的であり、そしてその配列を結合する。1つの実施形態によれば、第一プローブ(例えば、レポーターオリゴ又は捕捉オリゴ)の第二領域、又は第二プローブ(例えば、レポータープローブ又は捕捉プローブ)の第一領域は、配列番号1〜1345のいずれか1つ、又はその相補体を含む。
いくつかの実施形態によれば、第二プローブは2つの標識結合領域を含むことができ、ここで前記第一及び第二標識結合領域は、それぞれ、第一及び第二RNA分子にハイブリダイズされ、そして各第一及び第二RNA分子は、それぞれ、第一及び第二シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合される。いくつかの実施形態によれば、第二プローブは、3又はそれ以上の標識結合領域を含むことができ、ここで、各標識結合領域において、シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合されるRNA分子が結合することができる。標識されたモノマーから放されるシグナルは、特異的標的分子を同定するナルポーターコードに寄与する。
本発明の組成物は、種々の標識モノマー、例えば蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、又は直接的に(例えば、発光による)、又は関節的に(例えば、蛍光標識された抗体の結合による)、検出され得る、当業界において知られている他のモノマーのいずれかにより標識され得る。一般的に、レポーター又は捕捉プローブにおける1又は2の標識結合領域は、1又は2以上の標識モノマーにより標識され、そしてレポータープローブ又は捕捉プローブの標識結合領域に結合される標識モノマーにより放されるシグナルは、標的を同定するコードを構成する。特定の実施形態によれば、標識結合領域からの所定のシグナルの欠如(すなわち、「暗い」スポット)はまた、ナノレポーターコードの一部を構成することができる。
特定の好ましい実施形態によれば、標識モノマーは、蛍光団又は量子ドットである。
いくつかの実施形態によれば、第一プローブは、レポーターオリゴであり、そして第二プローブは、レポータープローブである。本発明のレポーターオリゴは、標的特異的配列を含む第一領域、第一領域とオーバーラップせず、そしてレポータープローブに結合するか、又はハイブリダイズできるタグ配列を含む第二領域の2つの領域を含む。本発明のレポータープローブは、レポーターオリゴのタグ配列に結合する相補的配列を含む第一領域、及び少なくとも1つの標識結合領域を含む第二の非オーバーラップ領域を含む。いくつかの側面によれば、前記第二領域は、1、2又は3個の標識結合領域を含むことができ、ここで各標識結合領域で、シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合されるRNA分子が結合できる。標識されたモノマーから放されるシグナルは、特異的標的分子を同定するナノレポーターコードに寄与する。
いくつかの実施形態によれば、レポータープローブは、標的分子に直接的に結合も、ハイブリダイズもしない。このレポータープローブは、レポーターオリゴに結合し、そして標的特異的捕捉オリゴに結合される捕捉プローブをさらに含む組成物中の標的分子を検出するために使用される。
いくつかの実施形態によれば、第一プローブは、捕捉オリゴであり、そして第二プローブは、捕捉プローブである。本発明の捕捉オリゴは、標的特異的配列を含む第一領域、及び第一領域とはオーバーラップせず、そして捕捉プローブに結合するか又はハイブリダイズできるタグ配列を含む第二領域の2種の領域を含む。本発明の捕捉プローブは、捕捉オリゴのタグ配列に結合する相補的配列を含む第一領域、及び精製及び/又は固定化のための1又は2以上の親和性成分を含む第二の非オーバーラッピング領域を含む。その親和性成分は、共有又は非共有手段により、捕捉プローブに結合され得る。精製及び/又は固定化のために適切な種々の親和性成分は、公知である。好ましくは、親和性成分は、ビオチンである。いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは、第二親和性成分、例えばオリゴカラムへのハイブリダイゼーションを介して親和性精製のために使用される反復配列を含むことができ、ここで前記カラムは、捕捉プローブの反復配列に対して相補的であるオリゴを含む。
いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは、標識されない。他方では、いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは、少なくとも1つのRNA分子にハイブリダイズされる少なくとも1つの標識結合領域を含み、ここで前記RNA分子は、標識されるか、又はナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する1又は2以上の標識モノマーに結合される(図3)。いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは複数の標識結合領域を含み、ここで各標識結合領域で、シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合されるRNA分子が結合できる。標識されたモノマーから放されるシグナルは、特異的標的分子を同定するナノレポーターコードに寄与する。
いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは、標的分子に直接的に結合も又ハイブリダイズもしない。この捕捉プローブは、捕捉オリゴに結合し、そして標的特異的レポーターオリゴに結合されるレポータープローブをさらに含む組成物における標的分子を検出するために使用される。
本発明は、第一組成物及び第二組成物を含むタグベースのナノレポーターシステムを提供し、ここで前記第一組成物は、第一プローブ及び第二プローブを含み、前記第一プローブは、第一標的特異的配列を含む第一領域;及び前記第一領域をオーバーラップせず、そして前記標的分子に結合しない第二領域を含み;前記第二プローブは、前記第一プローブの第二領域に結合する第一領域;及び第一RNA分子にハイブリダイズされる第一標識結合領域、ここで前記第一RNA分子は第一シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合され;及び第一標識結合領域にオーバーラップせず、そして第二RNA分子にハイブリダイズされる第二標識結合領域、ここで前記第二RNA分子は第二シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合される、を含み;そして前記第二組成物は、第三プローブ及び第四プローブを含み、前記第三プローブは、第二標的特異的配列を含む第一領域;及び前記標的分子に結合しない第二領域を含み、ここで前記第一領域及び第二領域はオーバーラップせず;前記第四プローブは、前記第三プローブの第二領域に結合する第一領域;及び親和性成分を含む第二領域を含み、ここで前記第一領域は前記第二領域とオーバータップせず;ここで前記第一標的特異的配列及び第二標的特異的配列は同じ標的分子の異なった領域に結合し、そして前記第一組成物中の第一及び第二プローブは、第二組成物中の第三又は第四プローブに結合することができず、そして前記組成物対がその標的分子に結合される場合、第一及び第二シグナルの同一性及びお互いに対するそれらの位置が、標的分子を同定するコードの少なくとも一部を構成する。いくつかの実施形態によれば、前記第二プローブはさらに、第一RNA分子にハイブリダイズされる第一標識結合領域を少なくとも含み、ここで前記第一RNA分子は、第一シグナルを構成する光を放出する1又は2以上の標識モノマーに結合される。例えば、タグベースのナノレポーターシステムは、タグ配列を介してレポーターオリゴに結合するか、又はハイブリダイズするレポータープローブ、ここで前記レポーターオリゴはまた、標的分子に特異的に結合し、及びタグ配列を介して捕捉オリゴに結合するか又はハイブリダイズする捕捉プローブ、ここで前記捕捉オリゴはまた、標的分子に特異的に結合し、を含む。レポーターオリゴ及び捕捉オリゴは、標的分子の異なった領域に結合する。組成物対(レポータープローブ/オリゴ及び捕捉プローブ/オリゴ)が標的分子に結合されると、レポータープローブ及び任意には、捕捉プローブからのシグナルの同一性は、標的分子を同定するシグナルの一部を構成する。さらに、レポーターオリゴは、捕捉プローブ又は捕捉オリゴ、又は異なった標的分子を検出するいずれかのプローブ又はオリゴ、又は生体分子サンプルに存在するいずれか他の生物学的配列にハイブリダイズしない。同様に、捕捉オリゴは、レポータープローブ又はレポーターオリゴ、又は異なった標的分子を検出するいずれか他のプローブ又はオリゴ、又は生体分子サンプルに存在するいずれか他の生物学的配列にハイブリダイズしない。
いくつかの実施形態によれば、第一プローブの第二領域、又は第二プローブの第一領域は、配列番号1〜1345のいずれか1つ、又はその相補体を含み、そして第三プローブの第二領域、又は第四プローブの第一領域は、配列番号1〜1345のいずれか1つ、又はその相補体を含む。いくつかの実施形態によれば、第一プローブの第二領域及び第三プローブの第二領域は、同じ配列ではない。従って、第一及び第二プローブは、第三又は第四プローブにハイブリダイズすることはできず、そして第三及び第四プローブは、第一又は第二プローブにハイブリダイズすることはできない。
本発明のタグベースのナノレポーターシステムは、レポータープローブ/レポーターオリゴが標的分子上の捕捉プローブ/捕捉オリゴの上流にハイブリダイズするよう配向され得る。他方では、本発明のタグベースのナノレポーターシステムは、捕捉プローブ/捕捉オリゴが標的分子上のレポータープローブ/レポーターオリゴの上流にハイブリダイズするよう配向され得る。
タグベースのナノレポーターシステムの組成物を例示する図が、図2及び3に示される。
図3は、検出のための標識モノマーに結合される少なくとも1つの標識結合領域を含む捕捉プローブを用いるタグベースのレポーターシステムを示す。このシステムにおいては、ユニーク標識及び各対応する捕捉オリゴを有する各補足プローブは、それぞれ特定のタグ及びその相補体を含む。例えば、各捕捉プローブが単一の蛍光スポットを含むシステムにおいては、捕捉プローオブの各色が、特異的タグ配列に割り当てられ、そして各捕捉オリゴが特定の色を有する捕捉プローブのタグ配列に対する相補的配列を含むであろう。特定の遺伝子に割り当てられる最終コードは、レポータープローブからのスポットカラー及び捕捉プローブからの追加のスポットカラーの両者を含むであろう。
本発明はまた、本明細書に記載される組成物及びシステムを用いて、生体分子サンプルにおける個々の又は複数の標的分子を検出するか又は定量化する方法も提供する。
特定の実施形態によれば、検出方法が多重アッセイ下で実施され、それにより、複数の標的分子が同じアッセイ(単一の反応混合物)下で検出される。好ましい実施形態によれば、アッセイは、複数の標的分子が同時に検出される、ハイブリダイゼーションアッセイである。特定の実施形態によれば、同じアッセイにより検出される複数の標的分子は、少なくとも5の異なる標的分子、少なくとも10の異なる標的分子、少なくとも20の異なる標的分子、少なくとも50の異なる標的分子、少なくとも75の異なる標的分子、少なくとも100の異なる標的分子、少なくとも200の異なる標的分子、少なくとも500の異なる標的分子、又は少なくとも750の異なる標的分子、又は少なくとも1000の異なる標的分子である。他の実施形態によれば、同じアッセイにより検出される複数の標的分子は、最大50の異なる標的分子、最大100の異なる標的分子、最大150の異なる標的分子、最大200の異なる標的分子、最大300の異なる標的分子、最大500の異なる標的分子、最大750の異なる標的分子、最大1000の異なる標的分子、最大2000の異なる標的分子、又は最大5000の異なる標的分子である。さらなる他の実施形態によれば、検出される複数の標的分子は、前述の範囲間の数の異なる標的分子、例えば20〜50の異なる標的分子、50〜200の異なる標的分子、100〜1000の異なる標的分子、500〜5000の異なる標的分子、及び同様の数の異なる標的分子であるが、但しそれらの数だけには限定されない。
好ましくは、標的分子は、DNA(cDNAも包含する)又はRNA(mRNA及びcRNAも包含する)である。
本発明は、サンプル、例えば一組の遺伝子における複数の標的分子を検出するための多重アッセイのために特に有用であり得る。多重アッセイにおける各標的分子、又は目的の遺伝子が、レポーターオリゴにおいてユニークな又は明確なタブ配列に割り当てられ、それにより、レポータープローブに関連する標識モノマーのユニーク線状配列により設計されるように、ユニークレポーターコードと各遺伝子とを関連づける。単一の非標識捕捉プローブが、捕捉プローブに結合する各標的特異的捕捉オリゴの領域がすべての標的遺伝子について同じである、すべての遺伝子のために使用され得る。そのようなシステムによれば、各個々の標的遺伝子についての特異性が、各捕捉オリゴの標的特異的配列により指図され;従って、各標的遺伝子は、ユニーク標的特異的配列及びユニバーサル捕捉タグ配列を含むユニーク捕捉オリゴを有する。
下記に提供される説明及び実施例から理解されるように、本発明は、以前のナノレポーターシステム、例えば米国特許公開US2010/0015607号及びUS2010/0047924号に記載されるそれらのシステムよりも多くの利点を提供する。それらの以前の「標準」ナノレポーターシステムにおいては、レポータープローブ及び捕捉プローブは、目的の各遺伝子標的のための小さなバッチでカスタムメイドされ、これは非常に非効率的である。プローブの遺伝子特異的部分は、レポータープローブの場合、レポーターコード領域に、又は捕捉プローブの場合、親和性成分領域に共有結合される。従って、製造費用を高め、そして一般的な商品在庫としてプローブの効果的生成を妨げる、ほとんど無制限の数のそれらの試薬の可能な変形が存在する。
さらに、ユニーク標的特異的レポーター及び捕捉プローブを生成するための酵素的又は化学的連結の標準アプローチは、一貫性及び効率に制限を有する。例えば、選択されたレポーターコード配列への標的特異的配列の連結を通しての遺伝子特異的レポータープローブの製造は、次の2種の固有の欠点を有する:1)反応は完結することができず、標的特異的配列を担持しないレポーターを導き、そして従って、目的の標的を検出できず、それにより、その特定の標的についてのアッセイの感度を低め、そして2)高処理量製造の間、遺伝子特異的オリゴ又はコード特異的レポーターの交差汚染のレベルが、誤ったレポーターコードに関連し、そして偽陽性の読み出しを生成する遺伝子特異的プローブを生ぜしめる。
連結によるユニーク標的特異的捕捉プローブの生成は、親和性配列の一般的性質のために交差汚染を受けないが、各遺伝子特異的捕捉プローブは、アッセイの感度を維持するために、連結されたレポータープローブに類似する、最終のプールされた試薬において一定濃度以上である必要性により影響される。連結工程の酵素的又は化学的性質のために、各遺伝子特異的捕捉プローブ及びレポータープローブ連結は、反応の完結のためには別々にモニターされるべきであり、それがかなりの労力と費用を伴う。
本明細書に記載されるタグベースのシステムは、標準のナノレポーターシステムの高い費用及び非効率的製造工程については解決策を提供し、そして交差汚染及び変動性の問題を排除することにより試薬の品質を改善する。特に、連結は、タグベースのシステムの構造成分の製造から完全に排除される。タグベースのシステムで使用するためのレポータープローブは、レポーターオリゴのタグに結合する在庫タグ領域を用いて設計され得、ここで前記タグ領域は、各レポーターコードのために事前に定められ、そして事前に設計され、そして従って、大量バッチで生成され得る。それらのタグ領域は、ユニークレポーターコードを形成する標識結合領域に隣接して、各個々のレポーターを生成するために使用される特定のプラスミド中にクローン化される。この手段では、タグに結合する領域は、コード特異的レポーター分子の内因性及び一貫性部分である。従って、プローブレスレポーターの不用意な生産が排除され、それにより、製造効果を向上させ、そして標的アッセイ感度の変動性を低める。さらに、レポーターは、遺伝子特異的プローブオリゴヌクレオチド又はコード特異的レポーターのいずれかの汚染を通して誤ったカラーコードとのプローブの誤った会合から生成されず、従って、そのような偽陽性の可能性を排除し、そしてデータの質を改善する。従って、本発明は、生産の品質、及びレポータープローブの効果的活性を定量化する能力を改善し、より一貫して感度及び低められた偽陽性を通してアッセイからの改善されたデータを導く。
同様に、捕捉プローブは、多重アッセイにおけるすべてのハイブリダイゼーション反応又は標的分子について、連結なしで、単一の又は限定数の相補的タグ配列を用いて、合成分子として完全に合成され得る。従って、捕捉プローブは、高い費用対効果の態様で、個々のビオチン化されたオリゴヌクレオチドとして大規模なバッチで製造され得る。試薬はまた、容易に定量化され得る。タグベースの捕捉プローブは、多重化実験において各ハイブリダイゼーション反応についての数において同一であるか、又は限定されるので、標準のナノレポーターアッセイシステムの各特異的標的のためのユニーク捕捉プローブを生成するために、多重連結反応の生成物の定量化及びプールに固有のプローブ対プローブ変動性は、もはや要因ではない。標的特異的捕捉オリゴはまた、合成DNAオリゴヌクレオチドとして効率的に合成され得、それにより、アッセイ試薬生成の効率及び性質を実質的に改善する。ハイブリダイゼーションの特異性及び従って、多重アッセイデータの精度及び再現性が、試薬の品質が改善するにつれて、改善される。
タグベースのシステムの1つのさらなる利点は、同じ在庫管内でレポータープローブ及び捕捉プローブの両者と共に試薬を配合する能力である。これは、低められたバックグラウンドに関係し;標準のシステムにおいては、遺伝子特異的レポーター及び捕捉プローブの予備混合及び貯蔵が、いくつかの標的特異的プローブの時間の経過と共に偽相互作用のために、アッセイバックグラウンドの有意な上昇を導く。すべての配列相互作用は、プローブ設計の間、予測されも、排除もされ得る;ほとんど無限の可能な標的特異的プローブが存在するので、試薬の製造の前、そのような相互作用を、実験的に予備スクリーンすることは不可能である。タグベースのシステムにおいては、固定された組の捕捉オリゴが、固定された組のレポーターオリゴとの相互作用を有さないよう、実験的に予備スクリーンされており、そして従って、バックグラウンドは予備混合された製剤において安定である。予備混合された製剤は、試薬製造を単純化し、そしてアッセイ一貫性に寄与し、そして誤りの予測できないバックグラウンドの可能性を低める。
本発明は、標準の非タグベースのナノレポーターシステムに比較して、低いバックグラウンドシグナルを示す。標準ナノレポーターシステムにおけるバックグラウンドは、それらが担持する遺伝子特異的配列を通して、捕捉プローブとレポータープローブとの予測できない直接的相互作用のために、最も一般的である。この直接的な相互作用が、標的分子により連結される必要なしで、二重の精製を受けることができる複合体の捕捉及びレポーター分子による形成を可能にし;前記捕捉のビオチン化は、さらに、この複合体のイメージングカートリッジにおける捕捉及び計数を可能にする。そのような相互作用は、標的分子の不在下でさえ、バックグラウンドレポーター計数を導く。反応における配列の多重性は上昇するので、多重性が高まるほど、そのような相互作用の傾向が高くなる。しかしながら、タグされた中間体が使用される場合、遺伝子特異的配列が、ビオチンかされていないオリゴヌクレオチド上に担持され;遺伝子特異的配列と、お互いとの又はレポーターとの偽の相互作用が、実行可能なビオチン化された複合体を導かない。さらに、固定された捕捉プローブタグが、固定されたプールのレポータータグに対して予備スクリーンされ、そして非特異的相互作用を排除するために、実験的に調節されるか、又は取り換えられ、そして最少のバックグラウンドを有するそれらが、使用のために予備選択され得る。
本発明はまた、レポータープローブ及び捕捉プローブの改良された製造方法も提供する。レポータープローブを製造するための本明細書に記載される方法は、タグ配列又はその相補体を含む第一領域の配列を、発現プラスミドに少なくとも1つの標識結合領域を含む第二領域の配列に隣接して導入し、そして単一の分子を生成するために、前記第一及び第二領域を転写することを包含する。捕捉プローブを製造するための本明細書に記載される方法は、タグ配列又はその相補体を含む第一領域の配列を、発現プラスミドに少なくとも1つの親和性成分及び任意には、少なくとも1つの標識結合領域を含む第二領域の配列に隣接して導入し、そして単一の分子を生成するために、前記第一及び第二領域を転写することを包含する。さらに、本発明は、レポーター又は捕捉プローブをコードする発現プラスミドを提供し、ここで前記レポーター又は捕捉プローブの第一領域は、配列番号1〜1345のいずれか1つ、又はその相補体を含む。
ナノレポーター命名法
標準のナノレポーターシステム:用語「標準ナノレポーターシステム(standard nanoreporter system)」とは、標的分子に直接結合するための標的特異的配列を含む捕捉及びレポータープローブを使用する既存の非タグベースのナノレポーターシステムのことである。このシステムは、複数の標的分子の効果的検出及び定量化を可能にするが、しかしながら、いくつかの欠点を有する。
タグベースのナノレポーターシステム:用語「タグベースのナノレポーターシステム(tag-based nanoreporter system)」とは、各標的分子のために4種のプローブを用いるレポーターシステムのことである。プローブのうち2種(例えば、レポーター及び捕捉オリゴ)は、標的分子に対して特異的に結合し、そしてそれぞれまた、タグ配列を介して、検出標識(たとえば、レポータープローブ)又は親和性成分(例えば、捕捉プローブ)のいずれかを含む別のプローブにも結合する。このシステムは、プローブの製造のためのより信頼でき、且つ再生可能な方法を可能にし、そしてこれまでの非タグベースのナノレポーターシステムの変動性及び偽陽性を低める。
ナノレポーター:用語「ナノレポーター(nanoreporter)」とは、標準のナノレポーターシステムに言及しない場合、標的特異的領域、及び第二プローブにハイブリダイズする領域、ここで第二プローブは親和性成分を含み、を有する第一プローブ、及び標的特異的領域、及び第四プローブにハイブリダイズする領域、ここで第四プローブは標識結合領域又は親和性成分を有し、を有する第三プローブを含む、タグベースのナノレポーター又は組成物のことである。例えば、本発明のナノレポーターとは、レポーターオリゴ及びレポータープローブ対、及び捕捉オリゴ及び捕捉プローブ対を組む組成物を言及し、ここでレポーターオリゴ及び捕捉オリゴの標的特異的配列は、同じ標的分子の異なった配列を認識するか又は結合する。ナノレポーターは好ましくは、合成、すなわち天然に存在しない核酸分子である。
プローブ:これは、配列特異的相互作用を介して別の分子に対して特異的にハイブリダイズできる分子のことである。いくつかの実施形態によれば、プローブは、標的特異的配列を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、プローブは、他のプローブにハイブリダイズできる配列を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、プローブは、標識結合領域、及び検出のために適切な結合される標識モノマーを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、プローブは、少なくとも1つの親和性成分、例えば、ビオチン又は反復ヌクレオチド配列を含むことができる。
レポータープローブ:ナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する少なくとも1つの標識モノマーにより標識され、そして標的特異的配列を含んでも、又は含まなくても良い分子。標的特異的配列を有さないレポータープローブは、代わりに、第二プローブ(本明細書においては、「レポーターオリゴ」として言及される)上に存在するタグ配列に対して相補的であるタグ特異的配列を含む。レポータープローブは、標的特異的配列を介して標的分子に結合する第二プローブに結合するか又はハイブリダイズする。
捕捉プローブ:精製及び同定化のための少なくとも1つの親和性タグを有し、そして標的特異的配列を含んでも、又は含まなくとも良い分子。好ましくは、親和性成分は、ビオチンである。捕捉プローブはまた、親和性精製のために、追加の親和性成分、例えば反復ヌクレオチド配列も含むことができる。いくつかの実施形態によれば、捕捉プローブは、ナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する少なくとも1つの標識モノマーを含む。標的特異的配列を有さない捕捉プローブは、代わりに、第二プローブ(本明細書においては、「捕捉オリゴ」として言及される)上に存在するタグ配列に対して相補的であるタグ特異的配列を含む。捕捉プローブは、標的特異的配列を介して標的分子に結合する第二プローブに結合するか又はハイブリダイズする。
レポーターオリゴ:レポーターオリゴは、第一領域、及び第一領域とオーバーラップせず、そして標的分子に結合しない第二領域に、標的特異的配列を含むプローブである。第二領域は、レポータープローブに結合する。
捕捉オリゴ:捕捉オリゴは、第一領域、及び第一領域とオーバーラップせず、そして標的分子に結合しない第二領域に、標的特異的配列を含むプローブである。第二領域は、捕捉プローブに結合する。
TAG:レポータープローブ又は補足プローブに結合するレポーター又は捕捉オリゴの領域、及び/又はレポーターオリゴ又は捕捉オリゴに結合するレポーター又は捕捉プローブに存在するその相補的配列。この配列は好ましくは、既知生物学的ゲノム又はそれらのゲノム由来の配列に対して有意な類似性を有さない「エイリアン(alien)」配列から成る。それらのタグはまた、典型的には、構造性質、例えば溶解温度及び二次構造により選択される。
標的特異的配列:用語「標的特異的配列(target-specific sequence)」とは、標的分子を結合できる分子実体のことである。本発明のタグベースのナノレポーターシステムにおいては、標的特異的配列は、レポーター又は捕捉プローブにおけるタグ配列に共有結合される。標的分子は、好ましくは(但し、必ずしも必要ではないが)、天然に存在するか又は合成DNA又はRNA分子、又は天然に存在するRNA分子のcDNA、又は前記cDNAの相補体である。
セグメント:用語「セグメント(segment)」とは、一般的に、ナノレポーターを標識するために、ナノレポーターの標識結合領域に結合される分子実体のことである。セグメントは、それに、直接的に(共有又は非共有)、間接的に結合される1又は2以上の標識モノマーを有することができる。
ナノレポーターコード:ナノレポーターからの光のスポットの順序及び性質(例えば、主発光波長、任意にはまた、サイズ)は、ナノレポーターの標的特異的配列を介してナノレポーターにより結合され得る標的分子を同定するナノレポーターコードとして作用する。ナノレポーターが標的分子に結合される場合、ナノレポーターコードはまた、標的分子も同定する。任意には、スポットのサイズは、ナノレポーターコードの構成成分であり得る。ナノレポーターコードはまた、レポーターコード、バーコード又はコードとしても知られている。
スポット:スポットは、ナノレポーター検出の場合、ナノレポーター上の単一の標識結合部位に結合される標識モノマーから検出され、そして標識結合領域のサイズ及び標識モノマーの性質(例えば、主発光波長)に依存して、顕微鏡下で可視化される場合、光の単一の点源として現れることができる集合シグナルである。ナノレポーターからのスポットは、オーバーラッピングしても又はオーバーラッピングしなくても良い。その標的分子を同定するナノレポーターコードは、スポットのサイズの任意の順序、すなわち他のスポットに対するその位置、及び/又はそのシグナルの性質(例えば、主発光波長)を包含する。一般的に、本発明の各プローブ、プローブ対、組成物又は組成物対に関しては、隣接する標識結合領域は、非オーバーラッピングであり、そして/又は隣接する標識結合領域からのスポットは、空間的及び/又は分光的に区別できる。
タグ
本明細書に言及される「タグ(tag)」は、レポータープローブ又は捕捉プローブにハイブリダイズするレポーター又は捕捉オリゴの配列、及びその対応するレポーター又は捕捉オリゴにハイブリダイズするレポーター又は捕捉プローブに依存するそれらの相補的配列、又は相補体である。レポーター又は捕捉オリゴにおいては、タグ配列は、標的特異的配列に隣接するが、しかしオーバーラップしない。多重化反応においては、所定のタグのみが、レポータープローブ及びレポーターオリゴ対、又は捕捉プローブ及び捕捉オリゴ対を形成するために、その相補体にハイブリダイズすべきである。この与えられるタグは、異なったオリゴ、レポータープローブ又は捕捉プローブのいずれか他のタグ、又は実験が行われるハイブリダイゼーションの条件下で反応に存在するいずれか他の生物学的又は合成核酸配列に対して交差ハイブリダイズすべきではない。
好ましくは、一組のタグは、既知の生物学的ゲノム又はそれらのゲノムに由来する配列に対して有意な類似性を有さない「エイリアン(alien)」配列である。いくつかの実施形態によれば、タグは、10個の塩基、15個の塩基、20個の塩基、25個の塩基、30個の塩基、35個の塩基、40個の塩基、45個の塩基、50個の塩基、55個の塩基、又は60個の塩基の長さであり得る。好ましくは、タグは、25又は35個の塩基の長さである。タグはまた、各タグのハイブリダイゼーションが、同じ反応において混合される場合、その特異性を保持するよう、同じハイブリダイゼーション条件下で、類似する融解温度(Tm)を有さなければならない。さらに、タグは、相補的標的へのハイブリダイゼーションの動力学に影響を及ぼすいずれかの二次構造を実質的に有すべきではない。表1におけるサンプルタグは、Tmについて一致し、そして最少の二次構造及び既知の生物学的配列との交差ハイブリダイゼーションについてスクリーンされた「エイリアンタグ」である。各タグは、標的特異的配列に隣接して合成され、そして多重反応においてレポーターオリゴ又は捕捉オリゴのタグ領域として利用され得る。
標的特異的配列
用語「標的特異的配列(target-specific sequence)」とは、標的分子を結合することができる分子実体を意味する。タグベースのナノレポーターシステムの場合、捕捉又はレポーターオリゴの標的特異的配列は、第二領域とオーバーラップせず、標的に結合せず、そして捕捉又はレポータープローブに結合するか、又はハイブリダイズする第一領域に存在する。
標的特異的配列は一般的に、アミノ酸配列(すなわち、ポリペプチド又はペプチド配列)又は核酸配列である。
標的特異的配列がアミノ酸配列である特定の実施形態によれば、標的特異的配列は、抗体フラグメント、例えば抗体Fab’フラグメント、単鎖Fv抗体である。
標的特異的配列は好ましくは、核酸配列であり、そして最も好ましくは、タグ配列に共有結合されるオリゴヌクレオチド内にあり、捕捉又はレポータープローブにハイブリダイズするか又は結合するオリゴヌクレオチド、すなわち捕捉オリゴ又はレポーターオリゴをもたらす。標的特異的核酸配列は好ましくは、少なくとも15個の長さのヌクレオチドであり、そしてより好ましくは、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである。特定の実施形態によれば、標的特異的配列はほぼ、10〜500、20〜400、30〜300、40〜200又は50〜100個の長さのヌクレオチドである。他の実施形態によれば、標的特異的配列はほぼ、30〜70、40〜80、50〜90、60〜100、30〜120、40〜140又は50〜150個の長さのヌクレオチドである。
標的特異的ヌクレオチド配列は好ましくは、825mMのNa+(5×SSC)における各プローブについては、約65〜95℃のTm、最も好ましくは約78〜83℃のTmを有する。
標的分子
用語「標的分子(target molecule)」とは、標的特異的配列が認識する(それに対する特異的結合パートナーである)、標識されたナノレポーター(すなわち、レポータープローブ/オリゴ対及び捕捉プローブ/オリゴ対)の結合により検出されるか又は測定される分子である。好ましくは、標的分子は、次のいずれかであり得るが、但しそれだけには限定されない:DNA、cDNA、RNA又はmRNA。一般的に、標的分子は、天然に存在する分子、又は天然に存在する分子のcDNA、又は前記cDNAの相補体である。
標的分子は、他の構成成分を含む生体分子サンプルの一部であり得るか、又はサンプルの単独の主要構成成分であり得る。標的分子は、全細胞又は組織、細胞又は組織抽出物、分画されたその溶解物、又は実質的に精製された分子の構成成分であり得る。標的分子は、例えば液体固相下で、固体表面、例えばチップ、マイクロアレイ又はビーズに結合され得る。また、標的分子は、既知又は未知の構成又は配列を有することができる。
特定の実施形態によれば、標的分子は染色体ではない。他の特定の実施形態によれば、標的分子は、1,000kb(又は1mb)以下、500kb以下、250kb以下、175kb以下、100kb以下、50kb以下、20kb以下、又は10kb以下のサイズである。さらに他の特定の実施形態によれば、標的分子は、その細胞環境から単離される。
標識結合領域の設計
本発明は、タクベースのナノレポーターの標識及び検出を最適にする特徴を有するよう設計された人工的核酸分子(DNA,RNA又はDNA/RNAハイブリッド)であるレポーター及び/又は捕捉プローブを提供する。
レポータープローブ又は捕捉プローブは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜100又はそれ以上の標識結合領域を有することができる。
レポーター又は捕捉プローブの標識結合領域は、標識方法に依存してサイズ的に変化するであろう。種々の実質形態によれば、標識結合領域は、10nm〜10,000nmの長さ、より好ましくは、50nm〜5,000nmの長さ、より好ましくは100nm〜1,000nmの長さを有する。種々の実施形態によれば、標識結合領域は、約100nm〜約500nm、約150nm〜約450nm、約200nm〜約400nm、又は約250nm〜約350nmである。好ましい実施形態によれば、標識結合領域は、回折限界スポット、すなわち標準光学系により検出され得る最小スポットのサイズ(約nmである)に密接に対応する。
プローブが核酸である場合、1nmは約3個のヌクレオチドに対応し;従って、約300nmの標準結合領域は、約900個の塩基に対応する。他の好ましい実施形態によれば、標識結合領域は、約300個のヌクレオチド〜1,5kb、約450個のヌクレオチド−約1,35kb、約0.6kb〜約1.2kb又は0.75kb〜約1.05kbである。
本発明のそれらの側面によれば、レポーター又は捕捉プローブは、特定塩基の規則的パターン(「規則的に反復される塩基」)を含む、標識結合領域として有用な1又は2以上の領域を有するよう設計される。そのような領域においては、規則的に反復される塩基は、n番目±1残基(ここで、nは任意の数、好ましくは4〜25である)ごとの周期性で発生する。
好ましくは、領域中の25%以下の規則的反復された塩基は、前記定期的な間隔以外で出現する。例えば、100個のヌクレオチドの領域において、12個のチミジン塩基が存在し、そしてチミジンが規則的に反復された塩基である場合、本発明のこの側面によれば、それらの25%以下、すなわち3個のチミジン塩基がチミジンの規則的パターン外で出現する。特定の実施形態によれば、前記塩基の20%以下、塩基の15%以下、塩基の10%以下、塩基の9%以下、塩基の8%以下、塩基の7%以下、塩基の6%以下、塩基の5%以下、塩基の4%以下、塩基の3%以下、塩基の2%以下、又は塩基の1%以下、前記領域において前記規則的間隔以外で出現する。
レポーター又は捕捉プローブにおける領域中の規則的に反復された塩基、又はアニーリングされたセグメントにおけるその相補的な規則的に反復された塩基は、標識モノマー、好ましくは光を放出する標識モノマーを、ナノレポーターシグナルの良好な分布のために規則的な等間隔パターンで、ナノレポーターに結合するために使用され得る。好ましくは、領域が標識される場合、規則的に反復された塩基の出現の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%が、塩基への標識モノマーの共有結合により、又は規則的に反復される塩基の相補体がそのような標識される核酸へのハイブリダイゼーションにより、少なくとも1つの光放出モノマーに結合される。
出現のこの百分率は、当業界において知られているいずれかの手段により測定され得る。1つの方法においては、標識反応で生成される核酸の量が、精製され(例えば、RNAはQiagen RNeasyキットを用いて精製され得る)、そしてUV分光光度法にゆだねられる。適切な波長での吸光度(「A」)は、核酸(260nm)、及び出現が測定されるべき標識モノマー(例えば、Alexa Fluor 488については495 nm; Alexa Fluor 594については590 nm; Alexa Fluor 647については650 nm; 及びCy3については550 nm)の個々について測定される。核酸の吸光度は、標識モノマーについてのピーク波長での吸光度(A
LM)−その標識モノマーについての補正因子を減算することにより、標識モノマーからの「ノイズ(noise)」寄与を除去するために、260nmでの吸光度の値(「A260」)を調整することにより補正される。核酸がRNAである場合、1,000個のヌクレオチド当たり標識モノマーの数が、下記式に従って計算される:
ここで、EC
LMは、標識モノマーについての消衰係数である。この式から、光放出性標識モノマーに結合される規則的に反復される塩基の出現百分率が計算され得る。
一般的に、標識結合領域での好ましい規則的に反復する塩基は、チミジンであり、結果的に、その領域は、規則的に反復する塩基がウリジンである1又は2以上の相補的RNAセグメントへのハイブリダイゼーションにより標識され得る。これは、他のランダム配列において、標識モノマー結合部位としての、容易に入手できるアミノ−アリル−修飾UTPの使用を可能にする。好ましくは、前記領域の規則的周期性の他に、その領域(及びそれらを含む核酸)は、最小の二次構造を含む。全体的なGC含有率は好ましくは、50%近くに維持され、そして好ましくは、局所Tmを類似性にするために、比較的短い範囲にわたって一貫性である。
本発明の人工核酸、又は少なくとも、そこにおける領域は好ましくは、12個以上の長さの塩基である直接敵又は逆方向反復を有さない。他の実施形態によれば、人工核酸及び/又は領域は、約11、約10又は約9個以上の長さの塩基である直接的又は逆方向反復を有さない。
規則的に反復されるヌクレオチドがチミジン、及び約50%のGC含有率である典型的な領域においては、過剰のアデニンが豊富なTの損失を補うであろう。選択された配列を生成するために、4番目の塩基ごと〜25番目の塩基ごとの範囲のTの固定されたパターンを有するランダム配列が製造され、そしてスクリーニングされ、逆方向及び直接的反復の存在が最少にされる。
配列はまた、好ましくはスクリーニングされ、共通する6−塩基−カッター制限酵認識部位が無効にされ、従来の分子クローニング技法についての容易な操作が助けられる。選択された配列がさらに、予測される二次構造分析にゆだねられ、そして最小の二次構造を有するそれらの配列が、さらなる評価のために選択される。当業界において知られているいずれかのプログラム、例えばMFOLDプログラム(Zuker, 2003, Nucleic Acids Res. 31 (13):3406-15; Mathews et al., 1999, J. Mol. Biol. 288:911-940)が、二次構造を予想するために使用され得る。
適切な配列が、50個の塩基〜2kb(より長くあっても良い)の長さの範囲の標識結合領域に分けられる。各標識結合領域は、ユニーク配列であるが、しかし所定のレポーター配列における他の標識結合領域に関連して一貫した数及び空間のTを含む。それらの標識結合領域は、配列が重要ではない他の領域と共に散在することができる。ナノレポータースキャフォールドにおける合成標識結合領域は、異なった長さのものであり、そして/又は異なった規則的に反復される塩基を有することができる。RNAポリメラーゼT7、T3又はSP6による転写のための最適化された開始配列(転写体の位置+1で開始する)は、各標識結合領域の5′末端に付加され得る。制限部位は任意には、従来のクローニング技法を用いて、配列への個々の標識結合領域の特異的付加又は欠失を可能にするために、各標識結合領域の境界で付加される。ナノレポーターにおける合成標識結合領域の数は、好ましくは、1〜50の範囲である。さらに他の実施形態によれば、ナノレポーターにおける合成標識結合領域の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、15、20、30、40又は50の範囲、又はそれらの間での任意の範囲である。
本発明の合成核酸が、分子の生物学的安定性を高めるか、又は標識結合領域とアニーリングされたセグメントとの間で形成される重複体の物理的安定性を高めるよう設計された、天然に存在するヌクレオチド又は様々に修飾されたヌクレオチドを用いて、化学的に合成され得、例えばホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換のヌクレオチドが使用され得る。合成核酸を生成するために使用され得る修飾されたヌクレオチドの例は、次のものを包含する:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨ−ドウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、S−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5'−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオN6イソペンテニル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトシン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、 (acp3)w、及び2,6−ジアミノプリン。
他方では、合成核酸(すなわち、レポーター及び/又は捕捉プローブ)は、核酸がサブクローン化されているベクターを用いて、生物学的に生成され得る。
種々の実施形態によれば、本発明の合成核酸分子は、例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーション又は溶解性を改善するために、塩基成分、糖成分又はリン酸骨格で修飾され得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格が、ペプチド核酸を生成するために修飾され得る(Hyrup et al., 1996, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5-23を参照のこと)。本明細書において使用される場合、用語「ペプチド核酸(peptide nucleic acids)」又は「PNA」とは、核酸模倣物、例えばデオキシリボースリン酸骨格がシュードペプチド骨格により置換され、そして単に4個の天然核酸塩基が保持されているDNA模倣物を意味する。PNAの中性骨格は、低イオン強度下でDNA及びRNAへの特徴的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup et al., 1996, Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1): 5-23; Perry-O'Keefe et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 14670-675に記載されるように、標準の固相ペプチド合成プロトコルを用いて行われ得る。
各標識結結合領域のためのRNA分子(「セグメント」)を製造するために、ポリメラーゼ鎖反応(「PCR」)プライマーが、転写開始部位の直接的上流(5’)でRNAポリメラーゼプロモーター(T7、T3又はSP6)により開始し、そして3’制限酵素部位に続いて終わる二本鎖鋳型を生成するために設計される。この鋳型を用いて、RNA分子のインビトロ転写が、RNAにおけるアミノ−アリル−修飾された規則的に反復された塩基(例えば、UTP’)及び修飾されていない他の塩基(例えば、ATP、CTP及びGTP)の存在下で実施される。これは、あらゆる規則的に反復される塩基(例えば、U)が、RNA分子におけるその位置で標識モノマーの共有カップリングを可能にするために修飾されているRNA生成物を導く。
RNA分への光放出標識モノマーのカップリング及びスキャフォールドへの標識されたRNA分子のアニーリングが、下記のようにして実施される。
合成配列についてのいくつかの設計上の考慮事項が、表2に列挙されている。
標識モノマー
本発明のタグベースのナノレポーターは、種々の標識モノマーのいずれか、例えば蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、又は直接的に(例えば、発光による)、又は間接的に(例えば、蛍光標識された抗体の結合による)、検出され得る、当業界において知られている他のモノマーにより標識され得る。一般的に、レポーター及び/又は捕捉プローブにおける1又は2の標識結合領域は、1又は2以上の標識モノマーにより標識され、そしてレポータープローブ及び/又は捕捉プローブの標識結合領域に結合される標識モノマーにより放されるシグナルは、標的特異的オリゴが結合する標的を同定するコードを構成する。特定の実施形態によれば、標識結合領域からの所定のシグナルの欠如(すなわち、「暗い」スポット)はまた、ナノレポーターコードの一部を構成することができる。特定の好ましい実施形態によれば、標識モノマーは、蛍光団又は量子ドットである。
本発明により使用され得る標識モノマーの好ましい例は、蛍光団である。いくつかの蛍光団、例えばフルオレセイン、テトラメチルローダミン及びTexas Redが、ヌクレオチドを標識するための標識モノマーとして使用され得る。いくつかの異なった、全スペクトルに及ぶ蛍光団が知られており、そしてさらに生産され続けている。また、同じ蛍光団の異なった製剤が異なった用途のために生成されて来た。例えば、フルオレセインは、そのイソチオシアネート形(FITC)で、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの混合された異性体又は単一の異性体形(FITC)として、又はフルオレセインスクシンイミジルエステルの混合された異性体又は単一の異性体形(FITC)として、又はフルオレセインの異性体ジクロロトリアジン形(FAM)として使用され得る。それらのモノマーは、化学的に異なるが、しかしすべては、515−520nm間のピークを有する光を放し、それにより、類似するシグナルを生成する。フルオレセインの化学的修飾の他に、フルオレセインと同じか又は非常に類似する発光ピークを有する完全に異なった蛍光団が合成されて来た。例えば、Oregon Green色素は、フルオレセインに比較して、実質的に重ね合う励起及び発光スペクトルを有する。他の蛍光団、例えばRhodol Green及びRhodamine Greenは、それらの発光ピークで単にわずかにシフトされ、そしてその結果、またフルオレセインのための置換基として機能的に作用する。さらに、異なった製剤又は関連色素が、スペクトルの他の部分で光を放出する他の蛍光団を中心に開発されて来た。
ナノ粒子と呼ばれる非常に小さな粒子はまた、核酸を標識するための標識モノマーとしても使用され得る。それらの粒子は、1〜1000nmのサイズ範囲であり、そして多様な化学構造、例えば金及び銀粒子及び量子ドットを包含する。好ましい実施形態によれば、1つのみのオリゴヌクレオチド分子が各ナノ粒子にカップリングされる。従来のバッチ化学により、1:1の比でのオリゴヌクレオチド:ナノ粒子複合体を合成するためには、オリゴヌクレオチド及びナノ粒子の両者は、お互いと反応され得る、異なった種類の単一の反応基を必要とする。例えば、オリゴヌクレオチドがアミノ基を有し、そしてナノ粒子がアルデヒド基を有する場合、それらの基は、シッフ塩基を形成するために反応することができる。オリゴヌクレオチドは、当業界において良く知られている化学法を用いて、単一のアミノ又は官能基を結合するよう誘導体化され得る。しかしながら、ナノ粒子が誘導体化される場合、それは、いくつかの官能基によるナノ粒子の全表面の被覆をもたらす化学試薬により被覆される。
角度の付いた白色入射光により照射される場合、40〜120nmの範囲の銀又は金ナノ粒子は、高強度の単色光を散乱するであろう。散乱光の波長は、粒子のサイズに依存する。近接する4〜5個の異なった粒子が、重ね合わされる場合、特定の固有色を与える単色光を散乱する。粒子は、Genicon Sciencesのような会社により製造される。誘導体化された銀又は金粒子は、核酸を含む広範囲の分子に結合され得る。
標識モノマーとして使用され得る、別のタイプのナノ粒子は、量子ドットである。量子ドットは、広範囲の波長の光により励起される、1〜5nmの直径の蛍光結晶である。それらの結晶は、それらの化学組成及びサイズに依存する波長で、光、例えば単色光を放出する。量子ドット、例えばCdSe、ZnSe、InP又はInAsは、固有の光学特性を有する。それらの非常に小さなサイズのために、量子ドットは、オリゴヌクレオチドの溶解性又は使用に影響を与えないで直接的に、オリゴヌクレオチド中にカップリングされ得る。
多数の種類の粒子が、量子ドット結晶のサイズクラスの数に従って創造され得る。結晶のサイズクラスは、1)粒子の各所望のサイズクラスを創造するために結晶形成パラメーターの厳格な制御により、又は2)ゆるく制御された結晶形成パラメーター下での結晶バッチの創造、続いての所望するサイズ及び/又は発光波長に従っての仕分けのいずれかにより創造される。本発明においては、粒子を標識するためへの量子ドットの使用は、新規であるが、しかし半導体の分野においては古い。量子ドットが半導体発光/検出装置の真性シリコンエピタキシャル層内に埋め込まれている以前の文献の2つの例は、米国特許第5,293,050号及び第5,354,707号(Chopple Sokol, et al.)である。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターにおける1又は2以上の標識結合領域は、1又は2以上の発光色素により標識され、ここで各標識結合領域は、直接的に又は関節的に、1又は2以上の標識モノマーを含む。色素により放される光は、可視光又は不可視光、例えば紫外線又は赤外線であり得る。典型的な実施形態によれば、色素は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素;キサンテン色素、例えばフルオレセイン及びローダミン;α又はβ位にアミノ基を有する色素(例えば、ナフチルアミン色素、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネート及び2−p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホネート);3−フェニル−7−イソシアネートクマリンを有する色素;アクリジン、例えば9−イソチオシアネートアクリジン及びアクリジンオレンジ;ピレン、ベンゾオキサジアゾール及びスチルベン;3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5、5’−ジメチルオキサカルボシアニン(CYA)を有する色素;6−カルボキシフルオレセイン(FAM);5&6−カルボキシローダミン−110(R110);6−カルボキシローダミン−6G(R6G);N,N,N′、N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE);ALEXA Fluor.TM.; Cy2; Texas Red and Rhodamine Red;6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET);6−カルボキシ−2’4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン(ZOE);NAN; NED; Cy3; Cy3.5; Cy5; Cy5.5; Cy7; and Cy7.5; Alexa Fluor 350; Alexa Fluor 488; Alexa Fluor 532; Alexa Fluor 546; Alexa Fluor 568; Alexa Fluor 594;又はAlexa Fluor 647である。
標識モノマーは、当業界において良く知られている方法を用いて、ヌクレオチドに直接結合され得る。ヌクレオチドはまた、標識モノマーを結合するために、化学的に修飾されるか、又は誘導体化され得る。
ヌクレオチドは、最初に、標識モノマーに結合され、そして次に、核酸中に組込まれる。他方では、既存の核酸は、核酸内ヌクレオチドに標識モノマーを結合することにより、標識され得る。例えば、アミノアリル−(「AA−」)修飾されたUTPヌクレオチドは、転写の間、RNA生成物中に組込まれ得る。種々の実施形態によれば、RNAパッチを生成するための転写反応におけるUTPヌクレオチドの20%又はそれ以上が、AA修飾される。種々の実施形態によれば、転写反応におけるUTPの約20%〜100%、20%〜80%、30%〜80%、40%〜60%又は50%〜75%がAA−修飾され、好ましい実施形態によれば、転写反応におけるUTPの約50%が、AA−修飾される。
さらに、例えば異なったタイプの標識モノマー:ヌクレオチド複合体は、単一酸の核酸中に組込まれ得、ここでナノレポーターコードの1つの成分は、2以上のタイプのシグナルを含む。
ヌクレオチドの直接結合され得る蛍光色素がまた、標識モノマーとして使用され得る。例えば、FAM、JOE、TAMRA及びROXは、ヌクレオチドに結合されたアミン反応性蛍光色素であり、そして自動DNA配列決定に使用され得る。それらの蛍光標識されたヌクレオチド、例えばROX−ddATP、ROX−ddCTP、ROX−ddGTP 及びROX−ddUTPは、市販されている。
親和性成分
当業界において知られている種々の親和性成分が、本明細書に記載されるタグベースのナノレポーターを精製し、そして/又は固定化するために使用され得る。
親和性成分が検出又はイメージングのためにタグベースのナノレポーターを固定化するために使用される場合、それは本明細書において、「アンカー(anchor)」として言及され得る。好ましい実施形態によれば、ビオチンアンカーがナノレポーター(すなわち、タブベースのナノレポーターの捕捉プローブ)に結合され、ストレプタビジン被覆スライド上へのナノレポーターの固定化が可能にされる。
親和性成分は、種々の有用な用途、例えば精製(但し、それだけには限定されない)のために、ビーズ又は他のマトリックスへの結合のために使用され得る。
適切な親和性成分の非制限的例が、下記に提供される。ほとんどの親和性成分は、次のような2つの目的を果たすことが理解されるべきである:ナノレポーターの固定化のためのアンカーとしての目的;及びナノレポーターの精製のための成分としての目的(完全に又は部分的にのみアセンブルされるかのいずれか)。
特定の実施形態によれば、親和性成分は、タンパク質モノマーである。タンパク質モノマーの例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:免疫グロブリン定常領域(Petty, 1996, Metal-chelate affinity chromatography, in Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 2, Ed. Ausubel et al., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscienceを参照のこと)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST; Smith, 1993, Methods Mol. Cell. Bio. 4:220-229)、E.コリマルトース結合タンパク質(Guan et al., 1987, Gene 67:21-30)、及び様々なセルロース結合ドメイン(米国特許第5,496,934号;第5,202,247号; 第5,137,819号; Tomme et al., 1994, Protein Eng. 7:117-123)、等。他の親和性タグが、特定の結合パートナーにより認識され、従って、固体支持体上に固定され得る、結合パートナーへの親和性結合により単離及び固定化を促進する。例えば、親和性成分は、エピトープ、及び抗体の結合パートナーであり得る。そのようなエピトープの例は、FLAGエピトープ、アミノ酸408〜439でのmycエピトープ、インフルエンザウィルスヘマグルチニン(HA)エピトープ、又はジゴキシゲニン(「DIG」)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。他の実施形態によれば、親和性成分は、別のタンパク質又はアミノ酸、例えばアビジン/ストレプタビジン及びビオチンにより認識される、タンパク質又はアミノ酸配列である。
本発明の特定の側面によれば、親和性成分は、ヌクレオチド配列である。約8〜約30個の塩基、より好ましくは約10〜約20個の塩基の多くの種類の配列が、ナノレポーターの精製及び固定化のために使用され得、そして配列はタンデムに反復され得る(例えば、1〜10のタンデム反復)。そのような配列は好ましくは、アッセイされるサンプルにおいては、広く表されず(すなわち、遺伝子の5%未満、より好ましくは遺伝子の3%満、及び最も好ましくは、遺伝子の1%未満で存在する)(例えば、ナノレポーターがヒト細胞RNAの検出のために使用される場合、配列は好ましくは、ヒトゲノムにおいては広く表されず);多量体化される場合、内部的に又はコピー自体と、二次構造又は自己相補性をほとんどか又はまったく有さず(すなわち、多量体化されたタグのすべての二次構造は好ましくは、1MのNaClで25℃以下のTmを有する);セグメント又はタグ配列と有意な同一性又は相補性有さず(すなわち、相補的配列のTmは好ましくは0.2MのNaClで25℃以下である);そして50mMのNa+下で、約25〜65℃、より好ましくは、約40〜50℃のTmを有する。
特定の実施形態によれば、異なった配列が、精製及び固定化成分として使用される。この場合、例えば、精製成分は、上記の通りであり得るが、しかし固定化成分は10〜100個の塩基の範囲であり、そして50mMのNa+下で95℃までのTmを有する。他の実施形態は、固定化成分内に精製成分をネストすることである(例えば、親和性成分は、25個の塩基の配列を含み、この内、15個の塩基が精製成分として使用され、そして全25個の塩基が固定化成分として使用される)。
特定の場合、親和性成分は、ナノレポーターの精製又は固定化の他に、ナノレポーターを標識するために使用され得る。
当業者により理解されるであろうように、多くの方法、例えばDNAクローニング、DNA増幅、及び合成方法(但し、それらだけには限定されない)が、親和性成分のコード領域を得るために使用され得る。それらの検出及び単離のための親和性成分及び試薬のいくつかは、市販されている。
タグベースのナノレポーター集団
本発明は、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも750個、又は少なくとも1,000個のユニークタグベースのナノレポーターを含む、タグベースのナノレポーター(例えば、レポータープローブ/オリゴ及び捕捉プローブ/オリゴ対を含む組成物集団を提供する。本明細書において使用される場合、「ユニーク(unique)」とは、集団内のナノレポーターに関連して使用される場合、同じ集団における他のタグベースのナノレポーターと区別するコードを有するタグベースのナノレポーターを意味することが意図される。
特定の実施形態によれば、本発明は、少なくとも5,000個、少なくとも10,000個、少なくとも20,000個又は少なくとも50,000個のユニークナノレポーターを有するナノレポーター集団を提供する。
タグベースのナノレポーター集団のサイズ、及びその内部のレポーター及び捕捉オリゴの標的特異的配列の性質は、ナノレポーターの意図される使用に依存するであろう。標的特異的配列が所定の細胞型、例えば疾患細胞型のマーカーに対応するナノレポーター集団が製造され得る。特定の実施形態によれば、レポーター及び/又は捕捉オリゴの標的特異的配列が、細胞における異なったタイプの転写体の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を表す、タグベースのナノレポーター集団が生成される。特定の実施形態によれば、レポーター及び/又は捕捉オリゴの標的特異的配列が、細胞における異なった遺伝子の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を表す、タグベースのナノレポーター集団が生成される。さらに他の実施形態によれば、レポーター及び/又は捕捉オリゴの標的特異的配列の少なくともいくつかが、細胞又は組織において希少な転写体を現す、タグベースのナノレポーター集団が生成される。そのようなタグベースのナノレポーター集団は好ましくは、少なくとも5つの希少な転写体を表す。特定の実施形態によれば、そのようなタグベースのナノレポーター集団は、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個又は少なくとも50個の希少な転写体を表す。
特定の実施形態によれば、細胞又は組織は、哺乳類細胞又は組織であり、そしてより好ましくは、ヒト細胞又は組成である。
特定の実施形態によれば、タグベースのナノレポーター集団は、診断用又は予後用ナノレポーター集団である。例えば、血液製剤をスクリーンするために有用である診断用ナノレポーター集団が生成され、ここで標的特異的配列が、汚染性ウィルス、例えばB型肝炎、C型肝炎及びヒト免疫不全ウィルスの核酸に結合する。他方では、診断用ナノレポーター集団は、細胞疾患マーカー、例えば腫瘍抗原に対応する標的特異的配列を有するレポーター及び捕捉オリゴを含むことができる。予後用ナノレポーター集団は一般的に、所定の疾患、例えば癌の異なった工程を表すマーカーを認識する標的特異的配列を有するレポーター及び捕捉オリゴを含む。適切な標的特異的配列を選択することにより、タグベースのナノレポーター集団は、疾患を診断し、そして予後するために使用され得る。
生体分子サンプル
本発明のタグベースのナノレポーターシステムは、いずれかの生体分子における標的分子を検出するために使用され得る。当業者により理解されるように、サンプルは、次の任意の物を含むが、但しそれらだけには限定されない:細胞(一次細胞及び培養された細胞系を包含する)、細胞溶解物又は抽出物(RNA抽出物;精製されたmRNAを包含するが、但しそれらだけには限定されない)、組織及び組織抽出(RNA抽出物;精製されたmRNAを包含するが、但しそれらだけには限定されない)、体液(血液、尿、血清、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、水性又は硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門又は膣分泌物、汗及び***、浸出液を包含するが、但しそれらだけには限定されない)、滲出液(例えば、感染又は炎症の膿瘍又は任意の他の部位から得られる流体)、又は実質的に任意の生物の関節から得られた液体(例えば、正常関節、又は疾患、例えばリチウム様関節炎、変形性関節炎、痛風又は化膿性関節炎により影響される関節)、そして哺乳類サンプルが、好ましく、そしてヒトサンプルが特に好ましい;環境サンプル(空気、農業、水及び土壌サンプルを包含するが、但しそれらだけには限定されない);生物兵器剤サンプル;研究サンプル、例えば細胞外流体、細胞培養物からの細胞外上清液、細菌における封入体、細胞コンパートメント、細胞ペリプラズム、ミトコンドリアコンパートメント、等。
生体分子サンプルは、生体試料に間接的に由来する。例えば、目的の標的分子が細胞転写体、例えばメッセンジャーRNAである場合、本発明の生体分子は、メッセンジャーRNAの逆転写により生成されるcDNAを含むサンプルであり得る。別の例においては、本発明の生体分子サンプルは、生物試料を、分別、例えばサイズ分別又は膜分別にゆだねることにより生成される。
本発明の生体分子サンプルは、「天然(native)」のものであるか、または「処置された(treated)」(任意の数の処置を含み得る)ものであるかのいずれかであってもよい。天然とは、操作又は処置を受けていないものである。処置は、例えば医薬を含む候補剤への曝露、遺伝子工学(例えば、遺伝子の付加又は欠失)等を含む。
標識モノマーの分離
タグベースのナノレポーターから生成される全体のシグナルを検出する他に、本発明はナノレポーター上の標識モノマー(すなわち、スポット)から発せられるシグナルの空間位置の決定を提供し、ここで各スポットは、所定の標識結合領域に結合される標識モノマーからの集合シグナルを表す。スポットは、同じ波長又は異なった波長のシグナルを含むことができる。従って、ナノレポーター上のスポットの性質及びそれらの位置が、ナノレポーターコードを構成する。
種々の手段のいずれかが、個々のスポットを分離するために、ナノレポーターを「ストレッチする」ために使用され得る。例えばナノレポーターは、フローストレッチ技法(Henegariu et al., 2001, Biotechniques 31:246-250)、後退メニスカス技法(Yokota et al., 1997, Nuc. Acids Res. 25:1064-1070)、又は電気ストレッチング技法(Matsuura et al., 2001, Nuc. Acids Res. 29: E79)を用いてストレッチされ得る。
フローストレッチ、後退メニスカス又は電気ストレッチング技法の使用は、ナノレポーター内の標識結合領域の分離を可能にし、結果的に、特定のシグナルがナノレポーターにおいて位置決定される場所を空間的に決定することができる。従って、標識モノマーの同じ組み合わせ及び全体的なシグナルを有するユニークナノレポーターは、ナノレポーター内のそれらの標識モノマーの位置に基づいてお互いから分化され得る。
ナノレポーター内の標識結合領域又はスポットの位置を見つけるこの能力は、各標識結合領域における標識モノマーにより放されるシグナルの位置が、1組のユニークナノレポーターを生成する場合、際立った特徴として使用されることを可能にする。従って、複雑な組のナノレポーターが、ナノレポーター内の標識モノマーの位置を変えることにより、開始標識モノマーの同じ組み合わせを用いて生成され得る。
ナノレポーターをストレッチする前、上記のように、親和性タグを用いて、固体表面にナノレポーターを固定することが好ましい。
本発明の特定の側面によれば、ナノレポーターの一端が、特異的又は非特異的結合を介して、固体表面に固定され、ナノレポーターがストレッチされ、そして次に、前記レポーターの他端が、特異的又は非特異的結合を介して、固体表面に固定される。従って、ナノレポーターは、ナノレポーターに結合される標識モノマーにより放されるシグナル、及びお互いに対するそれらの位置を検出し、そして/又はイメージングすることにより、ナノレポーターコードの解決を促進するために、そのストレッチされたか又は拡張された状態で、「凍結(frozen)」される。本発明のそれらの側面は、下記に記載される。
ストレッチされたナノレポーターの固定化
本発明は、本明細書に記載されるタグベースのナノレポーターの一次構造の同定を促進する方法及び組成物を提供する。特定の側面によれば、本発明は、拡張された状態でのナノレポーターの選択的固定化のための方法を提供する。本発明によれば、ナノレポーターは、拡張のために使用される何らかの力下で完全に拡張される間、選択的に固定され得る。さらに、本発明の方法は、お互いに対して配向される拡張されたナノレポーターの選択的固定化を促進する。換言すれば、本発明の方法に従って、複数のナノレポーターが、お互いに対して同じ配向で容易に固定され得る。
1つの側面によれば、本発明は、拡張された状態でナノレポーターを選択的に固定するための方法を提供する。本発明のこの側面の方法に関しては、一般的に、ナノレポーターの第一の部分、又は標的特異的捕捉オリゴにハイブリダイズされる捕捉プローブは、当業者に知られているいずれかの技法により固定される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一の部分、又は標的特異的捕捉オリゴにハイブリダイズされる捕捉プローブは、選択的に又は非選択的に固定され得る。特定の実施形態によれば、その第一の部分は、1又は2以上の共有結合により固定される。特定の実施形態によれば、前記第一の部分は、1又は2以上の非共有結合により固定される。典型的な固定された第一の部分は、下記セクションに記載されている。
固定された第一の部分的により、ナノレポーターは、当業者に明らかなナノレポーターを拡張するためのいずれかの技法により拡張され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターを拡張するための技法は、本発明の方法のためには重要ではない。特定の実施形態によれば、ナノレポーターのクラスのために適切である、ナノレポーターを拡張するための技法は、当業者の判断に従う。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、ナノレポーターを拡張することができる力の適用により拡張される。その力は、ナノレポーターを拡張するために当業者に明らかないずれかの力であり得る。典型的な力は、動力、流体力、電磁力及びそれらの組み合わせを包含する。ナノレポーターを拡張するための特定の技法は、下記セクションに記載されている。
ナノレポーターは、それが当業者により拡張されたものとして認識される場合、拡張された状態下にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、ナノレポーターを拡張できる力の場にある場合、拡張された状態下にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、その平均流体力学的半径が、当業者により認識されるように、その天然の状態でのナノレポーターの平均流体力学的半径の二倍以上である場合、拡張された状態下にある。
本発明のこの側面によれば、前記方法は一般的に、ナノレポーターの第二部分を、それが拡張された状態下にある間、選択的に固定する工程を包含する。これは、第一部分と第二部分との間で拡張される固定されたナノレポーターをもたらすことができる。驚くべきことには、ナノレポーターは、拡張されながら、選択的に固定されるので、その拡張は固定されたナノレポーターに保存され得る。選択的固定化は、当業者に明らかなナノレポーターの一部の選択的固定化のための任意の技法に応じることができる。選択的固定化は、例えば1又は2以上の共有結合又は1又は2以上の非共有結合、又は両者の形式を介してであり得る。選択的固定化技法の特定の例は、下記セクションに記載される。特定の実施形態によれば、1又は2以上の結合対が、標的特異的レポーターオリゴにハイブリダイズされるレポータープローブである、ナノレポーターの第二部分を固定するために使用される。
第二部分は、当業者に明らかな任意の支持体上に固定され得る。支持体は、当業者に知られている固定化のために有用であると判断された任意の支持体であり得る。特定の実施形態によれば、第二部分は、別の分子に固定され得る。さらに有用な支持体は、表面、膜、ビーズ、多孔性材料、電極、アレイ、及び当業者に明らかないずれか他の支持体を包含する。
別の側面によれば、本発明は、選択的に固定され、拡張されたナノモノマーを含む組成物を提供する。組成物は一般的に、支持体、及びその支持体上に選択的に固定される、拡張されたナノレポーターを含む。支持体は、当業者に知られている任意の支持体であり得る。典型的な支持体は、下記のセクションに記載されるそれらを包含する。ナノレポーター中の少なくとも2つの部分が、支持体上に固定され、そしてナノレポーターはそれらの2つの部分間で拡張された状態で存在する。特定の実施形態によれば、ナノレポーター中の少なくとも1つの部分が、支持体上に選択的に固定される。特定の実施形態によれば、ナノレポーター中の2以上の部分が支持体上に選択的に固定される。ナノレポーターは、当業者に明らかないずれかの技法、特に本発明の方法により、拡張され、そして/又は固定され得る。
別の側面によれば、本発明は、配向状態でナノレポーターを選択的に固定するための方法を提供する。ナノレポーターは、上記に記載される任意のナノレポーターであり得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは柔軟性であり得るか、又は特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、剛性又は半剛性であり得る。本発明のこの側面の方法に関しては、一般的に、ナノレポーターの第一部分は、上記のようにして固定される。固定された第一部分により、ナノレポーターは、当業者に明らかなナノレポーターを拡張するための任意の技法により配向され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターを配向するための技法は、本発明の方法のためには重要ではない。特定の実施形態によれば、ナノレポーターのクラスのために適切なナノレポーターを配向するための技法は、当業者の判断に従う。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、ナノレポーターを配向できる力の適用により配向される。その力は、ナノレポーターを配向するために、当業者に明らかなる任意の力であり得る。典型的な力は、重力、流体力、磁気力、及びそれらの組み合わせを包含する。ナノレポーターを拡張するための特定の技法は、下記サブセクションに記載されている。
ナノレポーターは、それが当業者により配向されたものとして認識される場合、配向された状態下にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、ナノレポーターを配向できる力の場にある場合、配向された状態下にある。特定の実施形態によれば、当業者により認識されるように、ナノレポーターは、その末端が、ナノレポーターを配向できる力の場により、並列に配置される場合、配向された状態下にある。特定の実施形態によれば、複数のナノレポーターは、当業者により認識されるように、ナノレポーターの末端が並列に配列される場合、配向された状態にある。
本発明のこの側面によれば、前記方法は一般的にナノレポーターが配向された状態にある間、そのナノレポーターの第二部分に選択的に固定する工程を含む。これは、第一部分と第二部分との間で配向される、固定されたナノレポーターをもたらすことができる。驚くべきことには、ナノレポーターは、拡張される間、選択的に固定されるので、その配向は、固定されたレポーターに依存され得る。選択的に固定化は、上記方法に従うことができる。
別の側面によれば、本発明は、選択的に固定された配向ナノレポーターを含む組成物を提供する。前記組成物は一般的に、支持体、及びその支持体上に選択的に固定される、配向ナノレポーターを含む。支持体は、当業者の知られている任意の支持体であり得る。典型的な支持体は、下記セクションに記載されるそれらを包含する。ナノレポーター中の少なくとも2つの部分は、支持体上に固定され、そしてナノレポーターは、それらの2つの部分間で配向された状態で存在する。特定の実施形態によれば、ナノレポーター中の少なくとも1つの部分は、支持体上に選択的に固定される。特定の実施形態によれば、ナノレポーター中の両部分は、支持体上に選択的に固定される。ナノレポーターは、当業者に明らかないずれかの技法、特に本発明の方法により、配向され、そして/又は固定され得る。
本発明の方法及び組成物は、当業者に明らかないずれかの目的のために使用され得る。例えば、固定され、そして拡張され、そして/又は配向されたナノレポーターは、ナノレポーターが固定される支持体のための標識として使用され得る。固定され、そして拡張され、そして/又は配向されたナノレポーターの一次配列は、当業者に明らかないずれかの技法により同定され得る。好都合には、拡張され、そして/又は配向されたナノレポーターの固定化は、そのような技法を促進することができる。特定の実施形態によれば、固定され、そして拡張され、そして/又は配向されたナノレポーターは、ナノパス(nanopaths)の製造を導くために、例えばナノワイヤ又はナノ回路を創造するために使用され得る。固定され、そして拡張され、そして/又は配向されたナノレポーターのためのさらなる用途は、下記セクションに記載されている。
本明細書において使用されるすべての用語は、特に断らない限り、当業者には、それらの通常の意味を有する。次の用語は、次の意味を有するであろう。
本明細書において使用される場合、用語「結合対(binding pair)」とは、お互い選択的に結合でき、すなわち組成物中の他の成分に対してよりも高い親和性で、お互い結合できる、第一及び第二分子又は成分を意味する。結合対の膜間の結合は、共有又は非共有結合であり得る。特定の実施形態によれば、結合は非共有結合である。典型的な結合対は、免疫学的結合対(たとえば、対応する抗体又はその結合部分又はフラグメントと組み合わせての任意のハプテン性又は抗原化合物、例えばジゴキシゲニン及び抗−ジゴキシゲニン、フルオレセイン及び抗−フルオレセイン、ジニトロフェニル及び抗−ジニトロフェニル、ブロモデオキシウリジン及び抗−ブロモデオキシウリジン、マウス免疫グロブリン及びヤギ抗−免疫グロブリン)、及び非免疫学的結合対(例えば、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプタビジン、ホルモン−ホルモン結合タンパク質、受容体−受容体リガンド(例えば、アセチルコリン受容体−アセチルコリン又はその類似体)、IgG−タンパク質、レクチン−炭水化物、酵素−酵素補因子、酵素−酵素インヒビター、核酸重複体を形成できる相補的ポリヌクレオチド対、及び同様のもの)を包含する。例えば、免疫反応性結合メンバーは、抗原、ハプテン、アプタマー、抗体(一次又は二次)、及びそれらの複合体、例えば組換えDNA方法又はペプチド合成により形成されるそれらを包含する。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体、組換えタンパク質又はその混合物又はフラグメント、並びに抗体及び他の結合メンバーの混合物であり得る。他の通常の結合対は、次のものを包含するが、但し、それらだけには限定されない:ビオチン及びアビジン(又はそれらの誘導体)、ビオチン及びストレプタビジン、炭水化物及びれクチン、相補的ヌクレオチド配列(プローブ及び捕捉核酸配列を包含する)、相補的ペプチド配列、例えば組換え方法により形成されるそれら、エフェクター及び受容体分子、ホルモン及び結合タンパク質、酵素補因子及び酵素、酵素インヒビター及び酵素、等。
「選択的結合(selective binding)」とは、当業者により認識される組成物中の他の分子又は成分に関して、分子又は成分対のお互いに対する任意の選択的結合を意味する。特定の実施形態によれば、分子又は成分対は、それらが、他の分子又は成分に比較して、お互い選択的に結合する場合、選択的結合する。選択的結合は、別の分子又は成分に対して1つの分子又は成分の親和性又は結合性、又は両者を包含することができる。特定の実施形態によれば、選択的結合は、約1×10-5M未満、又は約1×10-6M未満、約1×10-7M未満、約1×10-8M未満、約1×10-9M未満、又は約1×10-10M未満の解離定数(KD)を必要とする。対照的に、特定の実施形態によれば、非選択的結合は、有意に低い親和性、例えば1×10-3超のKDを有する。
「拡張された状態(extended state)」とは、当業者により拡張されるように、認識される状態でのナノレポーターを意味する。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが溶液において、その天然のコンフォメーションに関して拡張される場合、拡張された状態で存在する。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それがナノレポーターを拡張できる力の場にある場合、拡張された状態下にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーターの拡張された状態は、定量的に決定され得る。そのような実施形態によれば、当業者は、ナノレポーターの端から端までのベクター(end-to-end vector)、すなわちナノレポーターの2つの末端間の距離として、Rを認識し、そして平均の端から端までのベクターとして<R>を認識し、結果的に当業者に適切であると思われる溶液において、Rの95%は2<R>以内であるであろう。典型的な溶液は、例えば水又はpH緩衝液中、ナノレポーターの希釈溶液を包含する。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、Rが2.0<R>である場合、拡張された状態にある。
「配向された状態(oriented state)とは、当業者により配向されたものとして認識されるであろう状態でのナノレポーターを意味する。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが溶液におけるその天然のコンフォメーションに対して配向される場合、配向された状態にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それがナノレポーターを配向できる力の場と並列して配置されている場合、配向される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、当業者により認識されるように並列して配置される複数のナノレポーターの1つである場合、配向される。
選択的固定化の方法
上記に記載されるように、本発明は、拡張された状態でナノレポーターの選択的固定化のための方法を提供する。ナノレポーターは、選択的に固定されると、当業者に明らかないずれかの目的のために使用され得る。
本発明の方法においては、ナノレポーターの第一部分が固定される。例えば、ナノレポーターの第一部分は、標的特異的捕捉オリゴに対してハイブリダイズされる捕捉プローブである。一般的に、第一部分は、それが当業者により固定されるものとして認識される場合、固定される。第一部分は、当業者に明らかないずれかの技法により固定され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分の固定化技法は、本発明の方法のためには重要でない。
ナノレポーターは、当業者に明らかないずれかの支持体上に固定され得る。支持体は、ナノレポーターが、制限なしに固定され得るいずれかの成分であり得る。特定の実施形態によれば、支持体は、表面、膜、ビーズ、多孔性材料、電極又はアレイである。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分は、非選択的に固定され得る。さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分は、選択的に固定され得る。好都合な実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分が固定された後、そのナノレポーターのある部分は、十分に移動すべきではなく、結果的に、ナノレポーターは、前記方法の次の工程下で拡張され得る。特に、特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分が非選択的に固定される場合、全ナノレポーターは、ナノレポーターのいずれかの部分の拡張を妨げられる程度まで、非選択的に固定されないことが重要である。
固定化は、当業者に明らかな支持体との任意の相互作用によってであり得る。固定化は、静電又はイオン相互作用、1又は2以上の共有結合、1又は2以上の非共有結合、又はそれらの組み合わせによってであり得る。特定の実施形態によれば、固定化は、電極との静電相互作用によってであり得る。さらなる実施形態によれば、固定化は、電極以外の支持体との静電相互作用によってである。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分の捕捉プローブは、結合対の第一メンバー(すなわち、親和性成分)を含む。結合対の第一メンバーは、ナノレポーターの第一部分に共有結合され得るか、又はそれらは非供給結合され得る。有用な共有結合及び非共有結合は、当業者に明らかであろう。有用な実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分が結合される抗体は、結合対の第二メンバーを含むであろう。支持体は、第二メンバーに共有結合され得るか、又はそれらは非共有結合され得る。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、1又は2以上の非共有結合を形成するために、支持体上の結合対のメンバーと結合することができる結合メンバーを含むことができる。典型的な有用な支持体は、リガンド、抗原、炭水化物、核酸、受容体、レクチン及び抗体から成る群から選択された結合成分を含むそれらを包含する。ナノレポーターの第一部分は、支持体の結合成分と結合することができる結合成分を含む。反応性成分を含む、典型的な有用な支持体は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:エポキシ、アルデヒド、金、ヒドラジド、スルフヒドリル、NHS−エステル、アミン、チオール、カルボキシレート、マレイミド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、ヒドロキシル、ペンタフルオロフェニル−エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルホン、又はそれらの混合物を含む表面。そのような表面は、市販源から入手され得るか、又は標準技法に従って調製され得る。
好都合な実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分は、アビジン−ビオチン結合対を介して支持体に結合され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、その第一部分にビオチン成分を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドナノレポーターは、ビオチン化されたヌクレオチド残基を含むことができる。同様に、ポリペプチドナノレポーターは、ビオチン化されたアミノ酸残基を含むことができる。アビジンを含む支持体は、当業者に知られているアビジンを含むいずれかの支持体であり得る。アビジンを含む有用な支持体は、市販されており、そして次のものを包含する:TB0200 (Accelr8)、SAD6、SAD20、SAD100、SAD500、SAD2000 (Xantec)、SuperAvidin (Array-It)、ストレプトアビジンスライド(カタログ番号MPC 000, Xenopore) 及び STREPTAVIDINnslide (カタログ番号439003, Greiner Bio-one)。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、支持体上のヌクレオチド配列を選択的に結合できるヌクレオチド配列を含むことができる。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、アビジンを含むことができ、そして支持体はビオチンを含むことができる。ビオチンを含む有用な支持体は、市販されており、そして次のものを包含する:Optiarray-ビオチン (Accler8)、 BD6、BD20、BD100、BD500及びBD2000 (Xantec)。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、支持体の結合成分を、共有又は非共有結合できる1又は2以上の他の分子と複合体を形成することができる。例えば、ナノレポーターの第一部分は、例えば支持体のアビジン成分を選択的に結合できるビオチン成分を含む別の分子を選択的に結合することができる。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、1又は2以上の共有結合を形成するために、支持体上の結合対のメンバーと反応できる結合対のメンバーを含むことができる。反応性基を含む典型的な有用な支持体は、スクシンアミド、アミン、アルデヒド、エポキシ及びチオールから成る群から選択される反応性成分を含むそれらの基を包含する。ナノレポーターの第一部分は、支持体の反応性成分と反応することができる反応性成分を含むであろう。反応性成分を含む典型的な有用な支持体は、OptArray-DNA NHS基(Accler8)、 Nexterion Slide AL (Schott) 及び Nexterion Slide E (Schott)を包含するが、但しそれらだけには制限されない。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、光活性化により支持体に結合され得る反応性成分を含むことができる。支持体は、光反応性成分を含むか、又はナノレポーターの第一部分は、光反応性成分を含むことができる。光反応性成分のいくつかの例は、次のものを包含する:アリールアジド、例えばN−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリチルアミド;フッ素化アリールアジド、例えば4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、例えば4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;及び5−ブロモ−デオキシウリジン。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブ)は、当業者に明らかな他の結合対を介して支持体に固定され得る。
ナノレポーターの拡張
本発明の特定の方法によれば、ナノレポーターは、拡張された状態で存在する。一般的に、任意のレポーターは、それが当業者により認識される場合、拡張された状態で存在する。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、ナノレポーターを拡張するために適切な条件下でナノレポーターを拡張できる力の場にある場合、拡張された状態下にある。そのような力及び条件は、当業者に明らかである。例えば、多くのナノレポーターは、流体力又は重力により拡張され得、そして多くの荷電されたナノレポーターは電磁力により拡張され得る。特定の実施形態によれば、前記力はナノレポーターに対して、間接的に適用され得る。例えば、ナノレポーターは、力により移動され得る成分を含むか、又はその成分に対して共有又は非共有結合され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは成分に結合され得る。
特定の実施形態によれば、前記力は電磁力である。例えば、ナノレポーター、例えばポリヌクレオチドが荷電される場合、ナノレポーターは、電場又は磁場において拡張され得る。前記場は、当業者の判断に従ってナノレポーターを拡張するのに十分に強くあるべきである。電場又は磁場においてナノレポーターを拡張するための典型的な技法は、Matsuura et al., 2002, J Biomol Struct Dyn. 20(3):429-36; Ferree & Blanch, 2003, Biophys J. 85(4):2539-46; Stigter & Bustamante, 1998, Biophys J. 1998 75(3):1197-210; Matsuura et al., 2001, Nucleic Acids Res. 29(16); Ferree & Blanch, 2004, Biophys J. 87(1):468-75に記載されており;それらの内容はその全体を参照により本明細書に組込まれる。
特定の実施形態によれば、前記力は流体力である。例えば、多糖、ポリペプチド及びポリヌクレオチドを包含する多くのナノレポーターは、移動する流体の場において拡張され得る。流体力は、当業者の判断に従って、ナノレポーターを拡張するのに十分な力であるべきである。流体力学的場においてナノレポーターを拡張するための典型的な技法は、Bensimon et al., 1994, Science 265:2096-2098; Henegariu et al., 2001, BioTechniques 31: 246-250; Kraus et al., 1997, Human Genetics 99:374-380; Michalet et al., 1997, Science 277:1518-1523; Yokota et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25(5):1064-70; Otobe et al., 2001, Nucleic Acids Research 29:109; Zimmerman & Cox, 1994, Nucleic Acids Res. 22(3):492-7, 及び米国特許第6,548,255号; 第 6,344,319号; 第 6,303,296号; 第6,265,153号; 第6,225,055号; 第6,054,327号; 及び第5,840,862号に記載されており;それらの内容はその全体を参照により本明細書に組込まれる。
特定の実施形態によれば、前記力は、重力である。好都合な実施形態によれば、重力の力は、ナノレポーターを拡張するために、流体力と組み合わされ得る。特定の実施形態によれば、前記力は、当業者の判断に従ってナノレポーターを拡張するのに十分に強くあるべきである。重力によりナノレポーターを拡張するための典型的な技法は、Michalet et al, 1997, Science 277:1518-1523; Yokota et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25(5):1064-70; Kraus et al., 1997, Human Genetics 99:374-380に記載されており;それらの内容はその全体を参照により本明細書に組込まれる。
特定の実施形態によれば、前記力は、移動メニスカスを介して適用される。当業者は、移動メニスカスが、流体力、表面張力、及び当業者により認識される任意の他の力を包含する種々の力を、ナノレポーターに適用できることを認識しているであろう。メニスカスは、蒸発及び重力を包含する、当業者に明らかな任意の技法により移動され得る。移動メニスカスによりナノレポーターを拡張するための典型的な技法は、米国特許第6,548,255号; 第6,344,319号; 第6,303,296号; 第6,265,153号; 第6,225,055号; 第6,054,327号;及び第5,840,862号に記載されており;それらの内容は、それらの全体を参照により本明細書に組込まれる。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、光トラップ又は光ピンセットにより拡張され得る。例えば、ナノレポーターは、光学力の適切な源によりトラップされるか又は移動され得る粒子を含むか、又はその粒子に共有又は非共有結合され得る。光トラップ又は光ピンセットにより粒子を移動するための有用な技法は、Ashkin et al, 1986, Optics Letters 11:288-290; Ashkin et al., 1987, Science 235:1517-1520; Ashkin et al., Nature 330:769-771; Perkins et al., 1994, Science 264:822-826; Simmons et al., 1996, Biophysical Journal 70:1813-1822; Block et al., 1990, Nature 348:348-352; and Grier, 2003, Nature 424: 810-816に記載されており;それらの内容は、それらの全体を参照により本明細書に組込まれる。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、当業者に明らかである上記の力の組み合わせにより拡張され得る。下記実施例においては、特定のナノレポーターが、電場及び流体力の組み合わせにより拡張される。
ナノレポーターは、それらがナノレポーターの拡張のための標準的基準に従って当業者により拡張されるものとして認識される場合、拡張される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが当業者により認識されるように、その三次構造特徴のほとんどを失う場合、拡張される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが当業者により認識されるように、その二次構造特徴のほとんどを失う場合、拡張される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが当業者により認識されるように、その一次構造特徴のほとんどを失う場合、拡張される。典型的なイメージング技法は、下記実施例に記載される。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの拡張された状態は、希釈溶液において遊離している場合、その平均流体力学的半径に対して、その流体力学的半径を比較することにより認識され得る。例えば、特定の実施形態によれば、ナノレポーター又はその一部は、その流体力学的半径が、希釈溶液においてその平均流体力学的半径の約2倍以上である場合、拡張される。より定量的には、Rは、希釈溶液において、ナノレポーター又はその一部の流体力学的半径を表し、そして<R>は、ナノレポーター又はその一部の平均流体力学的半径を表す。平均<R>は、ナノレポーター又はその一部についてのRが、希釈溶液において末結合である場合、時間の95%が2<R>未満であるよう計算されるべきである。特定の実施形態によれば、ナノレポーター又は、その一部は、1.5超の<R>、1.6超の<R>、1.7超の<R>、1.8超の<R>、1.9超の<R>、2.0超の<R>、2.1超の<R>、2.2超の<R>、2.3超の<R>、2.4超の<R>、2.5超の<R>、又は3.0超の<R>、である場合、拡張された状態下にある。特定の実施形態によれば、ナノレポーター又はその一部は、Rが2.0<R>超である場合、拡張された状態下にある。
ナノレポーターの配向
本発明の特定の方法においては、ナノレポーターは、配向された状態下である。一般的に、任意のナノレポーターは、それが当業者により認識される場合、配向される状態にある。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、ナノレポーターを配向するために適切な条件下でナノレポーターを配向することができる力の場下にある場合、配向された状態下にある。そのような力及び条件は、当業者に明らかであるはずである。
特定の実施形態によれば、前記力は電磁力である。例えば、ナノレポーター、例えばポリヌクレオチドが荷電されている場合、ナノレポーターは、電場又は磁場において配向され得る。前記場は、当業者の判断に従ってナノレポーターを配向するのに十分に強くあるべきである。電場又は磁場においてナノレポーターを配向するための典型的な技法は、上記に記載される。
特定の実施形態によれば、前記力は流体力である。例えば、多糖、ポリペプチド及びポリヌクレオチドを包含する多くのナノレポーターは、移動流体の場において配向され得る。流体力は、当業者の判断に従ってナノレポーターを配向するのに十分な力であるべきである。流体力学的場においてナノレポーターを配向するための典型的な技法は、上記に記載される。
特定の実施形態によれば、前記力は重力である。好都合な実施形態によれば、重力は、ナノレポーターを配向するために、例えば流体力と組み合わされ得る。特定の実施形態によれば、前記力は、当業者の判断に従ってナノレポーターを配向するのに十分な力であるべきである。重力によりナノレポーターを配向するための典型的な技法は、上記に記載される。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、当業者に明らかである上記力の組み合わせにより配向され得る。下記実施例においては、特定のナノレポーターが、電場及び流体力の組み合わせにより配向される。
ナノレポーターは、それがナノレポーターの配向のための標準的基準に従って当業者により配向されるものとして、認識される場合、配向される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、ナノレポーターを配向できる力の場を用いて、当業者により認識されるように、平行して配置される場合、配向される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、それが、当業者により認識されるように、平行して配置される複数のナノレポーターの1つである場合、配向される。例えば、複数のナノレポーターは、ナノレポーターの第一末端から第二末端へのベクターが、当業者により認識されるように、平行して存在する場合、複数の他のナノレポーターの対応する末端間のベクターに平行である。
ナノレポーターの第二部分の選択的固定化
上記で論じられたように、本発明の方法においては、タグベースのナノレポーターの第二部分は、選択的に固定される。ナノレポーターの第二部は、標的特異的レポーターオリゴにハイブリダイズされるレポータープローブである。レポータープローブは任意には、固定化のための成分を含む。
特定の実施形態によれば、本発明は、ナノレポーターが拡張された又は配向された状態にあると共に、及びナノレポーターの第一部分(すなわち、捕捉プローブを介して)が固定されながら、ナノレポーターの第二部分(すなわち、レポータープローブを介して)を選択的固定する単一の工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第一部分の固定化、及びナノレポーターの拡張又は配向のための典型的な方法は、上記セクションに詳細に記載されている。
特定の実施形態によれば、本発明は、ナノレポーターの第一部分を固定すると共に、ナノレポーターを拡張する工程、及びナノレポーターを拡張された状態にしながら、ナノレポーターの第二部分を選択的に固定する工程を包含する方法を提供する。ナノレポーターの第一部分の固定化、及びナノレポーターの拡張のための典型的な方法は、上記セクションに詳細に記載されている。
特定の実施形態によれば、本発明は、ナノレポーターの第一部分を固定化する工程、前記第一部分を固定しながら、ナノレポーターを拡張する工程、及びナノレポーターを拡張された状態にしながら、ナノレポーターを拡張する工程、及びナノレポーターを拡張された状態にしながら、ナノレポーターの第二部分を選択的に固定化する工程を包含する方法を提供する。ナノレポーターの第一部分の固定化、及びナノレポーターの拡張のための典型的な方法は、上記セクションに詳細に記載されている。
特定の実施形態によれば、本発明は、ナノレポーターの第一部分を固定しながら、ナノレポーターを配向する工程、及びナノレポーターを配向された状態にしながら、ナノレポーターの第二部分を選択的に固定化する工程を包含する方法を提供する。ナノレポーターの第一部分を固定化し、そしてナノレポーターを配向するための典型的な方法は、上記セクションに詳細に記載される。
特定の実施形態によれば、本発明は、ナノレポーターの第一部分を固定化する工程、前記第一部分を固定しながら、ナノレポーターを配向する工程、及びナノレポーターを配向された状態にしながら、ナノレポーターの第二部分を選択的に固定化する工程を包含する方法を提供する。ナノレポーターの第一部分を固定化し、そしてナノレポーターを配向するための典型的な方法は、上記セクションに詳細に記載される。
ナノレポーターの第二部分の選択的固定化は、当業者に明らかなナノレポーターの選択的固定化のための任意の技法に従うことができる。重要なことには、本発明の好都合な実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、非選択的に固定化されない。選択的固定化は、完全に拡張された状態又はほぼ完全に拡張された状態で、ナノレポーターの固定化を可能にする。選択的固定化もまた、配向された態様で、ナノレポーターの固定化を可能にすることができる。言い換えれば、ナノレポーターの第一部分及び第二部分は、ナノレポーターを拡張するために使用される場の方向に沿って固定化され得、そして第一部分は、場において第二部分を先行する。複数のナノレポーターが固定される場合、それは場に沿って均等に配向され得る。
上記で論じられたように、ナノレポーターの第二部分、又は標的特異的レポーターオリゴにハイブリダイズされるレポータープローブは、選択的に固定化される。固定化は、当業者に明らかな支持体とのいずれかの選択的反応によってであり得る。固定化は、静電又はイオン相互作用、1又は2以上の共有結合、1又は2以上の非共有結合、又はそれらの組み合わせを介してであり得る。特定の実施形態によれば、固定化は、電極との静電相互作用を介してであり得る。さらなる実施形態によれば、固定化は、電極以外の支持体との静電相互作用を介してである。
ナノレポーターの第一部分及び第二部分が同じ支持体に選択的に固定される場合、選択的固定化の技法は、もちろん、支持体と適合できるべきである。特定の実施形態によれば、固定化の技法は同じである。例えば、アビジンにより被覆された支持体上に、ナノレポーターの第一及び第二部分が、ビオチン−アビジン相互作用を介して選択的に固定化され得る。しかしながら、当業者により明らかなように、同じ相互作用が、同じ支持体上での固定化のために第一及び第二部分で使用される必要はない。例えば、支持体は、選択的結合できる複数成分を含むことができるか、又は第一部分は、非選択的に、又は当業者に明らかな他の技法により、固定化され得る。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、結合対の第一メンバーを含む。結合対の第二メンバーは、ナノレポーターの第二部分に共有結合され得るか、又はそれらは非共有結合され得る。有用な共有結合及び非共有結合は、当業者に明らかであろう。有用な実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分が結合される支持体は、結合対の第二メンバーを含むであろう。支持体は、第二メンバーに共有結合され得るか、又はそれらは非共有結合され得る。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、1又は2以上の非共有結合を形成するために、支持体上の結合対のメンバーと結合できる結合対のメンバーを含む。典型的な有用な支持体は、リガンド、抗原、炭水化物、核酸、受容体、レクチン及び抗体、例えば上記セクションに記載されるそれらから成る群から選択される結合成分を含むそれらを包含する。
好都合な実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、アビジン−ビオチン結合対を介して支持体に固定化され得る。特定の実施形態によれば、ナノレポーターは、その第一部分にビオチン成分を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドナノレポーターは、ビオチン化されたヌクレオチド残基を含むことができる。同様に、ポリペプチドナノレポーターは、ビオチン化されたアミノ酸残基を含むことができる。アビジンを含む有用な支持体は、上記セクションに記載されている。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分はアビジンを含むことができ、そして支持体はビオチンを含むことができる。ビオチンを含む有用な支持体は、上記のセクションに記載されている。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、1又は2以上の共有結合を形成するために、支持体上の結合対のメンバーと反応できる結合対のメンバーを含むことができる。反応性基を含む典型的な有用な支持体は、上記セクションに記載されている。
特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、光活性化により支持体に結合され得る反応性成分を含むことができる。支持体は、光活性成分を含むことができるか、又はナノレポーターの第二部分は、光反応性成分を含むことができる。光反応性成分のいくつかの例は、次のものを包含する:アリールアジド、例えばN−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリチルアミド;フッ素化アリールアジド、例えば4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、例えば4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;及び5−ブロモ−デオキシウリジン。
さらなる実施形態によれが、ナノレポーターの第二部分は、上記セクションに記載される他の結合対を介して支持体に固定され得る。
さらなる実施形態によれば、ナノレポーターの第二部分は、支持体の結合成分を、共有又は非共有結合することができる1又は2以上の他の部分により複合体を形成することができる。例えば、ナノレポーターの第二部分は、例えば支持体のアビジン成分を選択的に結合できるビオチン成分を含む別の分子を選択的に結合することができる。
拡張されたか又は配向されたナノレポーターの両部分の固定化
特定の実施形態によれば、本発明は、拡張されたか又は配向された状態で存在するナノレポーターの第一部分及び第二部分の選択的固定化方法を提供する。重要なことには、本発明のそれらの方法によれば、ナノレポーターは、ナノレポーターを拡張できるか、又は配向できる力の適用の前、固定化される必要はない。
それらの方法においては、ナノレポーターは、ナノレポーターを拡張できるか又は配向できる力により、拡張されるか、又は配向されるか、又は両者である。そのような力は、上記セクションに詳細に記載される。特定の実施形態によれば、前記力は、1つの位置にナノレポーターを保持しながら、ナノレポーターを拡張するか又は配向することができる力、すなわちナノレポーターを実施的に移動しないで、拡張するか又は配向することができる力である。典型的な力は、振動電磁場、及び振動流体力学的場を包含する。特定の実施形態によれば、力は振動電場である。振動電場においてナノレポーターを拡張するか又は配向するための典型的な技法は、Asbury et al., 2002, Electrophoresis 23(16):2658-66; Kabata et al., 1993, Science 262(5139):1561-3;及びAsbury and van den Engh, 1998, Biophys J. 74:1024-30に記載されており;それらの内容は、それらの全体を参照により本明細書に組込まれる。
前記方法においては、ナノレポーターは、拡張されるか、又は配向されながら、第一部分で及び第二部分で固定される。前記第一部分及び第二部分の両者は、非選択的に固定化され得、両者は選択的に固定化され得るか、又は1つは選択的に固定化され、そして他の1つは非選択的に固定化され得る。第一部分及び第二部分の固定化のための技法は、上記セクションに詳細に記載されている。
固定化のための支持体
本発明の方法においては、固定化のための支持体は、当業者に明らかなナノレポーターを選択的に結合できる任意の支持体であり得る。さらに、特定の側面によれば、本発明は、選択的に固定化されたナノレポーターを、拡張された状態で含む組成物を提供する。組成物は、拡張された状態でナノレポーターを固定化している、本明細書に記載されるような支持体を含む。もちろん、ナノレポーターは、本発明の方法に従って固定化され得る。
支持体の唯一の必要条件は、それが上記に記載されるようなナノレポーターの第二部分を選択的に結合できることである。従って、支持体は、フィルター又は膜、例えばニトロセルロース又はナイロン、ガラス、ポリマー、例えばポリアクリルアミド、ゲル、例えばアガロース、テキストラン、セルロース、ポリスチレン、ラテックス、又は捕捉化合物が固定され得る、当業者に知られている任意の他の材料であり得る。支持体は、多孔性材料、例えばアクリル、スチレンメチルメタクリレートコポリマー及びエチレン/アクリル酸から構成され得る。
支持体は、その形がナノレポーターの第二部分の選択的固定化を妨げない限り、任意の形を取ることができる。例えば、支持体は、ディスク、スラブ、ストリップ、ビーズ、極微粒子、被覆された磁気ビーズ、ゲルパッド、マイクロタイターウエル、スライド、膜、フリット、又は当業者に知られている他の形を有することができる。支持体は任意には、ハウジング、例えば支持体上に又は支持体を通して流体の流れを助ける、クロマトグラフィーカラム、スピンカラム、シリンジバレル、ピペット、ピペットの先端、96ウェル又は384ウェルプレート、マイクロチャネル、キャピラリー、等のハウジング内に配置される。
ナノレポーターは、単一の支持体又は複数の支持体上に固定され得る。例えば、特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一及び第二部分は、当業者により理解されるように、同じ支持体上に固定される。特定の実施形態によれば、ナノレポーターの第一部分は、第一の支持体上に固定され、同時に、ナノレポーターの第二部分は、第一とは異なる第二の支持体上に固定され得る。
支持体は、当業者に明らかないずれかの方法に従って調製され得る。十分な密度の反応性基を有する、本発明の典型的な支持体を、活性化するために使用され得る無数の技法のレビューのためには、Wiley Encyclopedia of Packaging Technology, 2d Ed., Brody & Marsh, Ed., "Surface Treatment," pp. 867 874, John Wiley & Sons (1997)、及びそこに引用される参考文献を参照のこと。酸化ケイ素支持体上にアミノ基を生成するために適切な化学的方法は、Atkinson & Smith, "Solid Phase Synthesis of Oligodeoxyribonucleotides by the Phosphite Triester Method," In: Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, M J Gait, Ed., 1984, IRL Press, Oxford, particularly at pp. 45 49 (及びそこに引用される参考文献)に記載されており;酸化ケイ素支持体上にヒドロキシル基を生成するために適切な化学的方法は、Pease et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5022 5026(及びそこに引用される参考文献)に記載されており;ポリマー、例えばポリスチレン、ポリアミド及びグラフトされたポリスチレン上に官能基を生成するために化学的方法は、Lloyd Williams et al., 1997, Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins, Chapter 2, CRC Press, Boca Raton, Fla.(及びそこに引用される参考文献)に記載されている。
典型的な有用な支持体は、ストレプタビジンにより被覆された表面、例えばAccelr8 TB0200を包含する。さらなる有用な支持体は、アミンを含むナノレポーターの部分と反応できる、N−ヒドロキシスクシンアミドにより被覆された表面を包含する。1つのそのような表面は、OptArray-DNA (Accelr8)である。さらなる有用な表面は、アルデヒドにより被覆された表面(例えば、Nexterion Slide AL, Schott及びエポキシにより被覆された表面(例えば、Nexterion Slide E, Schott)である。別の有用な表面は、アビジン又はストレプタビジンを含むナノレポーターの部分の選択的固定化のために有用な、ビオチン化されたBSA被覆表面である。
選択的に固定化され、拡張され又は配向されたナノレポーターの使用方法
特定の実施形態によれば、選択的に固定化され、拡張されたナノレポーターは、標識の分離及び順次検出のための高分子バーコードを創造するために使用され得る。分子に沿って間隔を空けて配置されるそれらの標識は、ナノレポーターが拡張され、そして固定される場合、読み取られ得るユニークコードを提供する。拡張及び選択的固定化は、高分子バーコードの解読を促進することができる。
選択的に固定化され、拡張されたナノレポーターはさらに、ナノレポーターの検出又はイメージングが有用である可能性のある状況下で使用され得る。それらは、診断、予後、治療及びスクリーニング目的のために使用され得る。例えば、それらは、疾患細胞型がサンプルに存在するかどうかを決定し、そして/又は疾患を段階的に分けるために、患者から得られた又は患者に由来する生体分子サンプルの分析に適用され得る。それらは、病原体感染、例えば細胞内細菌及びウィルスによる感染を、サンプルにおける、それぞれ細胞又はウィルスのマーカーの存在及び/又はマーカーの量を決定することにより診断するために使用され得る。本発明の組成物及び方法は、生物学的状態又は疾患状態の指標となるそれらの多くの標的分子、例えば疾患状態の結果としてアップレギュレート又はダウンレギュレートされる血液マーカーを定量化するために使用され得る。さらに、本発明の組成物及び方法は、患者のための治療コースの決定を助ける予後の情報を提供するために使用され得る。
タグベースのナノレポーターの検出
本発明のタグベースのナノレポーターは、所定のナノレポーター上の特異的シグナルを検出できる、当業界において入手できるいずれかの手段により検出される。ナノレポーターが蛍光標識される場合、適切な励起源の適切な配慮が検討され得る。可能な源は、アークランプ、キセノンランプ、レーザー、発光ダイオード又はそれらのいくつかの組み合わせを包含するが、但しそれらだけには限定されない。適切な励起源は、適切な光学検出システム、例えば反転蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、又は共焦点顕微鏡と組み合わせて使用される。好ましくは、ナノレポーター上のスポットの配列を決定するために、十分な空間解像度での検出を可能にする顕微鏡が使用される。
顕微鏡及び対物レンズの選択
顕微鏡の対物レンズに関する主要な考慮事項は、その開口数(NA)により決定される光学解像度に関する。一般的に、NAが多いほど、より良好な光学解像度が得られる。必要とされるNA好ましくは、δ=0.61λ/NA(δ=光学解像度及びλ=波長)の関係に基づいて、少なくとも1.07である。対物レンズにより集光される光の量は、NA4/Mag2(Mag=対物レンズの倍率)により決定される。従って、可能な限り光を集めるためには、高いNA及び低い倍率を有する対物レンズが選択されるべきである。
CCDカメラの選択及びイメージ捕捉技法
CCDカメラを選択する場合、最初の考慮事項は、イメージングシステムの最終解像度を部分的に決定する画素サイズである。最適には、光学解像度は、CCDカメラにより妥協されるべきではない。例えば、光学解像度を解決し、そして維持するために、60倍の倍率の後、CCDチップ上で12.6〜18μmに対応する、光学解像度が210〜300nmである場合、各スポットをサンプリングするためには、少なくとも2つの画素が存在すべきである。又は、CCDチップの画素サイズは、最大で6.3〜9μmであるべきである。
第二の考慮事項は、画素サイズ、量子効率、読み出しノイズ及び暗ノイズを包含するが、但しそれらだけには限定されない、多くの要因により決定され得る検出感度である。高感度を達成するためには、大きな画素サイズ(大きな収集領域を与えることができる)、高量子効率及び低ノイズを有する質的カメラを選択すべきである。それらの基準を有する典型的なカメラは、Hamamatsu Inc. からのOrca−Agカメラである。チップサイズは1344×1024画素であり;60倍率の対物レンズを用いる場合、視野は144×110μm2である。
コンピューターシステム
本発明は、ナノレポーターイメージ収集、ナノレポーター同定、及び/又はナノレポーターコードの解読を計算するために使用され得るコンピューターシステムを提供する。特に、本発明は、1つのプロセッサー及びそのプロセッサーにカップリングされるメモリを含み、そして1又は2以上のプログアムをコードする種々のコンピューターシステムを提供する。コンピューターシステムは、単一の装置により、ナノレポーターをイメージングし、イメージングを可能にし、ナノレポーターを同定し、そして解読し、並びにナノレポーターイメージング及び関連情報を記憶することに使用される顕微鏡に連結され得る。メモリによりコードされる1又は2以上のプログラムは、本発明の方法のプロセッサーによる実施を引き起こす。
さらなる他の実施形態によれば、本発明は、プロセッサー及びそのプロセッサーに連結されるメモリを有するコンピューターシステム(例えば、本発明の上記コンピューターシステムの1つ)と連結しての使用のためのコンピュータープログラム製品を提供する。本発明のコンピュータープログラム製品は、コードされ又はその上に組み込まれるコンピュータープログラム機構を有するコンピューター読み取り可能記憶媒体を含む。コンピュータープログラム機構は、コンピューターのメモリ中にロードされ、そして本発明の方法の工程のプロセッサーによる実施を引き起こすことができる。
前のサブセクションに記載される方法は、好ましくは、次のコンピューターシステムの使用により、及び次の方法に従って、実現され得る。本発明の方法の実現のために適切な典型的なコンピューターシステムは、内部構成要素を含み、そして外部構成要素に連結される。このコンピューターシステム中の内部構成要素は、主メモリと相互接続されるプロセッサー要素を包含する。例えば、コンピューターシステムは、200MHz又はそれ以上のクロック速度及び32MB又はそれ以上の主メモリを有するIntel Pentium(登録商標)ベースのプロセッサーであり得る。
外部構成要素は、大容量記憶を含む。この大容量記憶は、プロセッサー及びメモリと共に、典型的にはパッケージされる1又は2以上のハードディスクであり得る。
そのようなハードディスクは典型的には、1GB以上の記憶容量のものである。他の外部構成要素は、「マウス」又は他のグラフィック入力装置(図示されていない)であり得る、ポインティング装置と共に、モニター及びキーボードであり得るユーザーインターフェース装置を包含する。典型的には、コンピューターシステムはまた、他のローカルコンピューターシステム、リモートコンピューターシステム、又は広域通信ネットワーク、例えばインターネットへのEthernet(登録商標)リンクの一部であり得る、ネットワークリンクにリンクされる。このネットワークリングは、前記コンピューターシステムと他のコンピューターシステムとのデータ及び処理タスクの供給を可能にする。
本発明の技術分野において標準であり、そして特殊である、いくつかのソフトウェア構成要素が、このシステムの操作の間、メモリ中にロードされる。それらのソフトウェア構成要素は、本発明の方法に従って、集合的に機能するコンピューターシステムをもたらす。ソフトウェア構成要素は典型的には、大容量記憶装置に保存される。第一ソフトウェア構成要素は、コンピューターシステム及びそのネットワーク相互接続の管理を担当するオペレーティングシステムである。このオペレーティングシステムは例えば、Microsoft Windows(登録商標)ファミリー、例えばWindows(登録商標) 95、Windows(登録商標) 2000、又はWindows(登録商標) XP、又は他方では、Macintosh(登録商標) オペレーティング・システム、Linux(登録商標) オペレーティング・システム 又はUnix(登録商標) オペレーティング・システムのシステムであり得る。第二のソフトウェア構成要素は、本発明に特有な方法を実行するプログラムを助けるために、このシステムに便利に存在する通常の言語及び機能を包含することができる。本発明の分析方法をプログラムするために使用され得る言語は、例えばC, C++、 JAVA(登録商標)、 及びあまり好ましくはないが、 FORTRAN、PASCAL、及びBASICを包含する。本発明の別のソフトウェア構成要素は、手続き型言語又は記号パッケージでプログラムされるように、本発明の分析方法を包含する。
典型的な実施によれば、本発明の方法を実行するためには、ナノレポーターコード(すなわち、ナノレポーター上のスポットの順序と性質との間の相関関係、及びそのようなナノレポーターが結合する標的分子の同一性)がまず、コンピューターシステムにロードされる。次に、使用者は、所定のナノレポーターコードにより、ナノレポーターの存在及び任意には、量を決定する工程を実施する分析ソフトウェアの実行を引起す。
本発明の分析システムはまた、ソフトウェア構成要素がコンピューターシステムのメモリ中にロードされ得るよう、1又は2以上の上記ソフトウェア構成要素を含むコンピュータープログラム製品も包含する。特に、本発明のコンピュータープログラム製品は、コンピューター読み取り可能形式でその上に埋め込まれるか又はコードされる1又は2以上のコンピュータープログラム機構を有するコンピューター読み取り可能記憶媒体を包含する。コンピュータープログラム機構は、コンピューターシステムのメモリ中にロードされ得、そしてコンピューターシステムのプロセッサーによる、本発明の分析方法の実施を引起す、1又は2以上の上記に記載される分析ソフトウェア構成要素をコードする。
コンピュータープログラム機構は好ましくは、コンピューター読み取り可能記憶媒体上に保存されるか又はコードされる。典型的なコンピューター読み取り可能記憶媒体は、上記に論じられており、そして次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:本発明のコンピューターシステムの外部又は内部ハードドライブ、又はリムーバブルハードドライブであり得るハードドライブ;フロッピー(登録商標)ディスク;CD−ROM;又はテープ、例えばDATテープ。本発明のコンピュータープログラム機構に使用され得る、他のコンピューター読み取り可能記憶媒体もまた、当業者に明らかであろう。
本発明はまた、本発明の方法を実施するために有用なデータベースも提供する。データベースは、多種多様な標的分子のための参照ナノレポーターコードを包含することができる。好ましくは、そのようなデータベースは、コンピューターシステム中にロードされ得る電子形で存在するであろう。そのような電子形は、本発明の方法の実施のために使用されるコンピューターシステムの主メモリ中に、又はネットワークコネクションによりリンクされるか、又は大容量記憶媒体又はリムーバブル記憶媒体、例えばCD−ROM又はフロッピー(登録商標)ディスク上に埋め込まれるか、又はコードされる、他のコンピューターの主メモリにロードされるデータベースを包含する。
本発明の方法を実施するための別のシステム及び方法は、添付の請求の範囲内で理解されることを意図する。特に、添付の請求項は、当業者に容易に明らかであろう本発明の方法の実施のための別のプログラム構造の包含を意図する。
ナノレポーター技法の適用
本発明の組成物及び方法は、診断、予後、治療及びスクリーニング目的のために使用され得る。本発明は、多くの異なった標的分子が、本発明の方法を用いて、単一の生体分子サンプルから1度に分析され得る利点を提供する。例えば、これは、サンプルに対するいくつかの診断試験の実施を可能にする。
診断/予後方法
本発明の方法は、疾患細胞型がサンプルに存在するかどうかを決定し、そして/又は疾患を段階的に分けるために、患者から得られるか又は患者に由来する生体分子サンプルの分析に適用され得る。
例えば、血液サンプルは、サンプルにおける癌性細胞型マーカーの存在及び/又はそのマーカーの量を決定するために、本明細書に記載されるいずれかの方法に従ってアッセイされ得、それにより癌を診断するか又は段階的に分けることができる。
他方では、本明細書に記載される方法は、病原体感染、例えば細胞内細菌及びウィルスによる感染を、それぞれ、サンプルにおける細菌又はウィルスのマーカーの存在及び/又は量を決定することにより、診断するために使用され得る。
従って、本発明の組成物及び方法を用いて検出される標的分子は、患者マーカー(例えば、癌マーカー)、又は外来性剤、例えば細菌又はウィルスマーカーによる感染のマーカーのいずれかであり得る。
ナノレポーターの定量的性質のために、本発明の組成物及び方法は、本発明の組成物及び方法は、生物学的状態又は疾患状態の指標となるそれらの多くの標的分子、例えば疾患状態の結果としてアップレギュレート又はダウンレギュレートされる血液マーカーを定量化するために使用され得る。
さらに、本発明の組成物及び方法は、患者のための治療コースの決定を助ける予後の情報を提供するために使用され得る。例えば、腫瘍についての特定のマーカーの量は、患者からの小サンプルから正確に定量化され得る。乳癌のような特定の患者に関しては、特定の遺伝子、例えばHer2−neuの過剰発現が、より積極的なコースの治療が必要とされるであろうことを示唆する。
病理サンプルの分析
ホルムアルデヒド−又はパラホルムアルデヒド−固定パラフィン包埋組織サンプルから抽出されたRNAは、典型的には、品質が悪く(断片化)、そして収率が低い。これは、組織学的サンプル又はアーカイブ病理組織における低発現遺伝子の遺伝子発現分析を、非常に困難にし、そしてしばしば、完全に実行不可能にする。ナノレポーター技法は、非常に小量の低品質の全RNAの分析を可能にすることにより、この満たされていないニーズを満たすことができる。
そのような用途にナノレポーター技法を使用するために、全RNAが、ホルムアルデヒド−又はパラホルムアルデヒド−固定パラフィン包埋組織サンプル(又は類似の)から、市販のキット、例えばRecoverAll Total Nucleic Acid Isolation Kit (Ambion)を用いて、その製造業者の説明書に従って、抽出され得る。そのようなサンプルにおけるRNAは頻繁に、小さなフラグメント(200−500個の長さのヌクレオチド)に分解され、そして多くのパラフィン包埋組織学サンプルは単に、全RNAの10ngを産する。この断片化された全RNAの少量(5−100ng)が、本明細書に記載されるアッセイ条件に従って、ナノレポーターハイブリダイゼーションにおいて標的物質として直接的に使用され得る。
スクリーニング方法
本発明の方法は、中でも、種々の標的分子に対する、化合物、突然変異、温度変化、成長ホルモン、成長因子、疾患、又は培養条件の変化を包含する摂動の効果を決定するために使用され得、それにより、その標的分子の存在、不在又はレベルの同定が、特定の生物学的状態の指標である。好ましい実施形態によれば、本発明は、疾患状態の成分及び経路を明らかにし、そして発見するために使用される。例えば、「正常(normal)」組織を有する疾患組織に存在する標的分子の量の比較が、疾患に包含される重要な標的分子の解明を可能にし、それにより、疾患を治療するために使用され得る新規薬物候相補体の発見/スクリーニングのための標的を同定する。
キット
本発明は、さらに、本発明の1又は2以上の構成要素を含むキットを提供する。キットは、ナノレポーターを標識するための1又は2以上の構成要素と共に、予備標識されたレポーター又は捕捉プローブ、又は標識されていないレポーター又は捕捉プローブを含むことができる。キットはまた、標的特異的配列、及びレポーター又は捕捉プローブに結合するタグ配列を含むプローブも含む。
キットは、他の試薬、例えばハイブリダイゼーション反応を実施するための緩衝液、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、及びDNAリガーゼを含むことができる。
キットはまた、キットの構成要素を用いるための、及び/又は標的されたナノレポーターを製造し、そして/又は使用するための説明書も含むであろう。
実施例1.35−塩基のダグ配列の開発
レポータープローブ及びレポーターオリゴのための35−塩基のタグ配列を、The National Institute of Standards and TechnologyでのExternal RNA Control Consortium (ERCC)により創造される「エイリアン(alien)」配列から開発した。ERCC配列により開始し、35個の塩基のストレッチを、次の基準に基づいて選択した:
A.78−82℃のTm
B.列において3以下のG又はC
C.逆方向反復で7個以下の塩基の相同性
D.直列反復で9個の以下の塩基の相同性
E.30−70%のG/C含有率
F.非冗長NCBI核酸配列データベースに対するBLASTアラインメント、及びアラインメントについて11のヌクレオチド緊縮性カットオフ及び85%以下の全体的同一性又は相補性を有するすべてのナノレポーターシステム構成要素(交差ハイブリダイゼーション問題を最小にするために)
G.EcoRI、PstI 及び HindIII制限エンドヌクレアーゼ認識部位の不在
クローニング目的のために、各タグの最終塩基がGであるよう、選択された配列を修飾した。次に、タグを、上記基準に照らして再スクリーンした。クローニングに続いて、クローン化されたタグを配列決定し、そして任意の単一塩基変化を、上記基準にたらし再スクリーンし、その後、最終タグとして受け入れた。すべてのタグを、選択された捕捉グローブ及び捕捉オリゴタグとの相互作用について、機能的に試験した。
実施例2.22−塩基のタグ配列の開発
捕捉プローブ及び捕捉オリゴのための25−塩基のタグ配列を、実施例1において開発された35−塩基のタグ配列に類似する態様で開発したが、但し、GIC含有率は80%に高め、最終塩基をGに変更せず、そしてタグを制限部位のためにスクリーンしなかった。クローン化される代わりに、捕捉プローブ/捕捉オリゴタグを、捕捉プローブ分子又は捕捉オリゴの一部として、直接的に合成した。
タグを、既存のナノレポーター骨格プラスミド中に、標準の制限エンドヌクレアーゼ及び連結に基づくクローニング技法を用いて、クローン化した。各タグを、ユニークバーコードを生成するために使用されるユニーク骨格プラスミドに割り当て、結果的に、各バーコードとその関連タグとの間に1:1の対応関係が存在する。タグベースのシステムにおいては、従来のナノレポーター合成プロトコルを用いて、一本鎖DNA骨格を生成し、これは、標準の標識結合領域、及びハイブリダイゼーションプローブとして作用する、ユニークな一本鎖タグ配列を、標準のナノレポーターシステムに使用される、連結された遺伝子特異的プローブオリゴの代わりに含む。
実質例3.標準のナノレポーターシステムと、タグベースのナノレポーターシステムとの間の陰性対照の比較
この実施例においては、内部の陰性対照について生成される計数を、標準の非タクベースのナノレポーターシステムとタグベースのナノレポーターシステムとの間で比較した。標準の非タグベースのアッセイにおいては、100個の標的特異的レポータープローブのプールを、適切な標的特異的捕捉プローブと共に混合した。タグベースのアッセイにおいては、タグベースのプローブを有する96個のレポーターのプール(例えば、レポーターブローブ及びレポーターオリゴ)を、タグベースのアッセイのために必要な単一のユニバーサル捕捉プローブと共に混合した。
混合物を、氷上で30分又は2時間インキュベートした。その後、プレインキュベートされた混合物を、必要とされる追加のアッセイ構成要素とのハイブリダイゼーション反応に使用した。図4における結果は、アッセイのセットアップの間、生成されるバックグラウンドシグナルが、標準アッセイよりもタグベースのアッセイにおいて有意に低く、標準アッセイにおいては、時間と共にそれは上昇するが、タグベースのアッセイにおいては、経時的に安定のままであることを示す。
実施例4.タグベースのアッセイの柔軟性
この実施例は、遺伝子発現アッセイにおける1組の遺伝子の評価、及びこの初期評価に基づいて、続く実験におけるいくつかの同じ遺伝子及びいくつかの異なった遺伝子の測定を示す。非タグベースのナノレポーターを用いて、新規の遺伝子特異的ナノレポータープールが、かなりの費用で、及び4週間の典型的な製造時間で、続く実験のために必要とされる。
しかしながら、本発明のタグベースのナノレポーターシステムを用いれば、新規セットの遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ対と混合される元のレポータープールを用いて、続く実験を実施することが可能である。オリゴヌクレオチドプローブは、安価であり、そして迅速且つ容易に得られる。
システムの柔軟性を実証するために、216個の標的の多重測定を、同一の標的サンプル及び試薬を用いて2種の異なった実験下で行ったが、但し各実験において異なる192個の異なった遺伝子に対するオリゴヌクレオチドプローブ対のプールを除いた。両者の場合、それらのオリゴヌクレオチドプローブを、タグ1〜192に結合し、同じナノレポーター試薬によりそれらの検出を可能にした。24個の共通遺伝子に対するオリゴヌクレオチドプローブを、いくつかの標的が1つの実験から次の実験まで保持されている、上記状況を模倣するために、両実験においてタグ193−216に結合した。それらの一般的な遺伝子はまた、アッセイの再現性及び堅牢性を実証するのに役立つ。
図5における散布プロットは、同じ標的サンプル及び同一のコア試薬、例えば共通セットの24個の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ(赤の正方形)を用いての2つの実験からの遺伝子発現結果を示す。各実験はまた、追加の192個の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの異なったプール(青の正方形)も含み;両実験においては、それらの異なったプローブはタグ1〜192に関連付けられている。2つの実験間の共通遺伝子の高い相関性は、アッセイの再現性を実証し、ところが異なった遺伝子間の相関性の欠如は、オリゴヌクレオチドの新規プールのみを用いて、ユニークな組の遺伝子についての各実験下で得られる新規データを示す。データは、log2−(可視化目的のために形質転換された)である。
図5におけるデータは、共通遺伝子について得られた計数が両実験において一貫性を維持するが(0.99超のR2)、ところが他のタグに関連する計数は、それらが異なった遺伝子を検出する事実のために、2つの実験において完全に独立する(0.0018のR2)ことを実証する。同じ組のコア試薬を用いての2つの異なった組の遺伝子に対する特有のデータを生成する容易さは、タグベースのナノレポーターシステムに固有のものである。
実施例5.標準及びタグベースのナノレポーターシステムからの遺伝子発現データの比較
NanoStringのヒト炎症パネルに見出される190個の遺伝子を、同じ組の遺伝子に対する190の遺伝子特異的オリゴプローブと共に、標準の遺伝子特異的ナノレポーターアッセイ及びタグベースのナノレポーターアッセイの両者を用いて、2種の総RNAサンプル、すなわちヒト・リファレンスRNA及びヒト脳RNAにおいて測定した。各遺伝子のために、2種のサンプル型間での発現の倍率変化を計算した。バックグラウンド以上で発現されるすべての遺伝子についての標準及びタグベースのアッセイ間のlog倍率変化の相関関係(R2値)を決定した。すべてのアッセイは、三重反復して実施され、そして平均値が計算に使用された。
図6は、標準ナノレポーターアッセイと、タグベースのナノレポーターアッセイとの間の測定値の相関関係を提供する。190個の遺伝子の発現レベルを、2種のRNAサンプル、すなわちヒト・リファレンス及びヒト脳サンプルにおける各アッセイ型により測定した。2種のサンプル間の発現の倍率変化を、バックグラウンド以上で検出されるすべての遺伝子について決定した。散布プロットで示される、2種のアッセイ型からのデータの比較は、0.99超のR2を生成し、これは、タグベースのナノレポーターアッセイにより得られる測定値が、標準のナノレポーターアッセイにより得られる測定値との相関性が高いことを示唆する。
実験例6.タグベースのナノレポーターアッセイにおける技術的複製の再現性
本発明のタグベースのナノレポーターシステムは、技術的複製において非常に再現性のある結果を提供する。この実験においては、96個の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ対を、タグベースのレポーター及びユニバーサル捕捉プローブの96−プレックスプールと共に組み合わせ、そして12個の別々のアッセイにおいて、100ngのヒト・リファレンスRNAにハイブリダイズした。アッセイを独立して設定し、そして得られる計数を、内部陽性対照に対して標準化した。複製1に比較しての各複製の平均R2値は、0.99超であった。複製2に対する複製1の比較が図7に示されている。図7におけるデータは、このアッセイシステムにおける技術的複製の高い相関関係を示す。
実施例7.異なったRNAサンプル型における測定値の相関関係
本発明のタグベースのナノレポーターシステムを用いて、同じサンプルの異なったRNA調製型から得られた計数の相関関係を測定した。すべてのアッセイは、192個の遺伝子に対する多重化されたプローブを用いて三重反復して実施され、そして平均され、標準化された計数及びlog2−変換された計数が分析された。
ホルマリン−固定、パラフィン包埋(FFPE)組織実験に関しては、ヒト結腸及びヒト腎臓FFPEサンプルから精製されたRNAを、一致した冷凍組織サンプルから精製されたRNAに比較した。溶解物実験に関しては、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)及びヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のペレットを、RLT緩衝液(Qiagenにより製造されるグアニジニウム基材の溶解緩衝液)に溶解し、そしてそれらの溶解物を、アッセイに直接、使用し;同じ細胞サンプルから精製されたRNAを、対照として保持した。
表3は、凍結組織から得られた測定値と、FFPE組織から得られたそれらの測定値との間の90%相関関係を示す。FFPE組織から精製されたRNAは、凍結組織からのRNAに比べて高く分解され;90%の相関関係がそれらのサンプル型について強く、そしてそれらのRNAを、他のアッセイシステムにより測定する場合に見られるそれらの相関関係と同じである。
さらに、表3は、精製されたRNAにより生成されるデータに比較して、全細胞溶解物により生成されるデータ間のほとんど完全な相関関係を示す。表2における相関関係は、タグベースのナノレポーターアッセイシステムが異なった型のRNA調製物に対して一貫して作動することを示唆する。
1つのFFPE実験及び1つの溶解物実験からのデータのよる詳細な表示が、図8及び9に見出され得る。図8は、凍結された(x軸)又はホルマリン固定及びパラフィン包埋(FFPE;y軸)された結腸組織サンプルから精製されたRNAからの192の遺伝子についての遺伝子発現データの比較を示し、これは、それらの2つの型のサンプル調製物に対してタグベースのナノレポーターアッセイにより得られる結果の良好な相関関係を実証する。データは、可視化目的のためにlog2計数として示される。
図9は、HUVEC細胞から精製された(x軸)又は精製されていないHUVEC細胞溶解物(y軸)からの192の遺伝子についての遺伝子発現データの比較を示し、これは、それらの2つの型のサンプル調製物に対してタグベースのナノレポーターアッセイにより得られた結果の良好な相関関係を実証する。データは、可視化目的のために、log2計数として示される。
それらの結果は、タグベースのナノレポーターシステムが、異なった手段で調製された核酸サンプルに対する一貫した結果を得るために使用され得ることを示唆する。
実施例8.増幅されたサンプルにおけるタグベースのアッセイの性能
タグベースのナノレポーターシステムを用いて、RT−PCRにより増幅された少量サンプルにおける遺伝子発現を測定し、それにより、RNAをDNAに転換し、そして各標的のコピー数を増幅した。1対のRNAサンプル、すなわち100pgの開始量から増幅された、ヒト対照及びヒト脳サンプル間の遺伝子発現における倍率変化を、同じ対のサンプルからの100ngの増幅されていないRNA間の倍率変化と比較した。174個の遺伝子についてのプライマー対を含むプライマープールを、増幅のために使用した。96個のそれらの遺伝子を、すべての4種のサンプル(増幅された、及び増幅されていない、ヒト対照及びヒト脳サンプル)において、バックグラウンド以上に検出し、そして最終倍率変化分析に使用した。
図10は、バックグラウンド以上で検出される96個の遺伝子について決定された2種のサンプル間の発現の倍率変化を示す。散布プロットで示される、2種のアッセイ型からのlog2データの比較は、0.91超のR2をもたらし、このことは、タグベースのアッセイにより得られる測定値が、増幅されなかったサンプルと増幅されたサンプルとの間で一貫していることを示唆する。サンプル間の測定値の相違は、増幅されなかった反復測定値が典型的には、0.99超のR2値を有するので、増幅により導入された変動性のためであり、そしてタグベースのナノレポーターハイブリダイゼーション自体によるものではない(実施例6、図7を参照のこと)。
図10におけるデータは、増幅されなかったRNA、及びRT−PCRにより増幅されたRNAに対するタグベースのナノレポーター測定値間の強い相関関係を示し、これは、このアッセイシステムが増幅されたRNAサンプルに対して使用され得ることを示唆する。
実施例9.ゲノムDNAにおけるコピー数変動(CNV)の決定でのタグベースアッセイの性能
タグベースのナノレポーターシステムを用いて、27個の遺伝子(遺伝子当たり3個のプローブでの81個のプローブ)、10個の不変領域、X染色体上の3個の領域及びY染色体上の2個の領域を含む、96個のゲノム標的を測定した。アッセイは、1個の二倍体参照細胞系、9個の二倍体細胞系、及びそれぞれ、染色体13及び18についてのトリソミーを有する2つの細胞系からのゲノムDNA300ng、及び選択された遺伝子について二倍体であると推定される、12個の正常(非腫瘍)FFPEサンプルから精製されたゲノムDNAのサンプル入力により実行された。サンプルの性別は知られており、各サンプルにおけるX及びY−結合領域についての正しいコピー数の推定を可能にする。同じサンプルがまた、標的のナノレポーターシステムを用いてもアッセイされた。
各プローブのコピー数を、各実験DNAサンプルについての二倍体参照DNAについて計算した。%精度を、各サンプル中の各領域についての既知値と比較して評価した。
表4は、タグベースのナノレポーター及び標準のアッセイの両者を用いて、12個の組織サンプル及び12個の細胞系からのゲノムDNAにハイブリダイズされた96個のプローブについてのコピー数の%精度を示す。両アッセイ型は、細胞系DNAに対して100%の精度を付与し、そしてFFPE組織サンプルから精製された低品質DNAについて95%超の平均精度を付与した。結果は、タグベースのナノレポーターシステムが、異なった源からのゲノムDNAにおけるコピー数変動を測定するために非常に正確であり、そしてタグベースのナノレポーターシステムがCNVアッセイのための標準ナノレポーターシステムと同等の性能を有することを示唆する。