JP2016511171A - ホットフィル容器を高延伸倍率でブロー成形する方法 - Google Patents

Abstract

ホットフィル容器（１）を、壁及び閉鎖底部（１９）が付設されたプリフォーム（１６）をブロー成形することにより製造する方法であって、前記方法は、−プリフォーム（１６）をプラスチックのガラス転移温度よりも高い温度に加熱するステップと、−このような加熱プリフォーム（１６）を、金型底部（３６）及び側壁（３４Ａ，３４Ｂ）が配設された金型（３２）の内部に導入するステップであって、側壁が所定温度に加熱される、導入するステップと、−プリフォーム（１６）をブロー成形して容器（１）を形成することにより、それに続いて高温内容物を充填するステップと、を含み、−前記プリフォーム（１６）の壁は、厚さが大きい下側セグメント（２４）を有し、底部（１９）は、下側セグメント（２４）よりも薄い厚さを有し、−プリフォーム（１６）に、３．４〜３．９の長さ方向延伸倍率、及び３．５〜３．９のフープ方向延伸倍率が付与される。

Description

本発明は概して、プラスチック（殆どの場合、熱可塑性物質、例えばＰＥＴ）材料からなるプリフォームからブロー成形する、又は延伸ブロー成形することにより形成されるボトルのような容器の製造に関する。更に詳細には、本発明は、ホットフィル容器、すなわち高温（普通、容器の原料となる材料のガラス遷移温度よりも高い温度）の液体を充填するために用意される容器の製造に関するものである。

普通射出成形されるが、圧縮成形することもできる従来のプリフォームは、環状突起部の下方端で終端して支持縁部（プリフォーム及び容器を製造工程及び充填工程の異なるステップで支持するために使用される）を形成する、ねじ山の付いた上面開口円筒形部又はネック部と、支持縁部の下方に延びる略円筒形の壁部と、壁部の下方に延びる丸みを帯びた閉鎖底部と、からなる。

従来のブロー成形法を行なっている間、プリフォームは、軸方向（又は、長さ方向）に延伸されると同時に、半径方向（又は、フープ方向）に延伸されて容器を形成する。長さ方向及びフープ方向に同時に延伸されると、分子の二軸配向性が材料に付与されることにより、最終容器は、容器に収容される液体の静圧による機械的応力に耐えるためにほぼ十分高い良好な構造的剛性を有するようになる。

しかしながら、二軸配向性は、残留応力を材料内に生じる。このような残留応力は、高温内容物を充填している間に解放されて（特に、液体が、材料のガラス遷移温度よりも高い温度を有する場合）、容器の変形が生じて、容器を使用するためには適さなくなり、従って、容器を販売するためには適さなくなる。

高温内容物を充填している間の容器の変形を低減するために、ブロー成形を、所定の温度に加熱されている側壁と、金型底部と、を備える金型の内部で行なって、ブロー処理を、容器がこれらの側壁に８０℃〜１８０℃の所定温度に所定時間（普通、数秒）だけ接触する状態を保つヒートセットと呼ばれる熱処理を行なうことにより完了させることが知られている。

一般的に、２つの側壁が設けられる。これらの側壁は、普通、“半型”と呼ばれる。これらの半型を互いから離れるように、且つ金型底部から離れるように移動させて、プリフォームを導入するか、又は完成容器を取り出すことができる。これらの側壁は、ブロー成形工程中に、互いに密着するように、且つ金型底部に密着するように配置される。

しかしながら、ヒートセット処理では、ホットフィル容器の変形問題の一部しか解決することができない。実際、冷却時には、蓋をした容器内の液体、及び液体上方の空気は、体積が減少して、容器がへこみ易くなる。

幾つかの解決策は、このようなへこみが外観に及ぼす影響を減らすために考えられている。これらの解決策は普通、容器の形状に関係する。

例えば、容器の本体に変形可能なサイドパネルを設けることが提案されており、これらのサイドパネルは、へこんで内側に湾曲し、且つ容器の蓋を開けると、外側に戻る方向に湾曲する。このような容器は、本体に可撓性があって不意に内容物が噴き出す可能性があるので、ユーザが注意深く取り扱う必要がある。

容器に、容器に加わる種々の応力及び歪みに耐えることができる底部を設けることが提案されており、これについては、例えば米国特許第６，８９６，１４７号明細書（Ｇｒａｈａｍに譲渡された特許）を参照されたい。

近年、容器の底部に、へこみに起因する変形の少なくとも一部を吸収することができる特殊形状を付与するとともに、容器の本体に剛性（すなわち、高温内容物充填による変形に耐える）構造を設けることが提案されており、これについては、例えば米国特許第７，４５１，８８６号明細書（Ａｍｃｏｒに譲渡された特許）を参照されたい。

変形可能な底部は、変形可能なサイドパネルよりも、ユーザの観点からすると、容器が強固であると感じることにより、内容物が取り扱い中に噴き出す危険が相当低くなるという点で有利である。しかしながら、変形可能な底部が変形することにより吸収される真空の度合いは不十分であり、本体が変形して楕円形の形状になってしまう（このような良く知られている変形は、当業者から“ｏｖａｌｉｚａｔｉｏｎ（楕円化）”と呼ばれている）。

米国特許出願公開第２００８／００４７９６４号明細書（Ｄｅｎｎｅｒらによる出願であり、ＣＯ２ＰＡＣに譲渡されている）には、容器の底部に配置される圧力パネルを備える容器が開示されている。圧力パネルは、外側傾斜位置と内側傾斜位置との間で移動することができることにより、容器の内部の圧力変化を補償する。容器の内部の真空吸引力の全部又は一部を小さくするために、圧力パネルを外側傾斜位置からメカニカルプッシャーにより移動させて、圧力パネルを強制的に内側傾斜位置に移動させる。圧力パネルが外側傾斜位置から内側傾斜位置に反転することにより、容器の内部体積を小さくすることができる。

Ｄｅｎｎｅｒは更に、このようなプラスチック容器をブロー成形する例示的な方法を提供し、この方法では、ＰＥＴのような軟化ポリマー材料を、側壁部及び金型底部を有するブロー金型の内部に充填し、この金型底部は、これらの側壁部に対して垂直方向に、後退位置と前進位置との間で移動することができる。この金型底部を金型キャビティの内部を上方に変位させて、容器の底部の内側に深く設定された横方向圧力パネルを形成する。

Ｄｅｎｎｅｒは、真空を補償する度合いを最大にすることができるという点で、変形可能な底部を有するこれまでの解決策の不具合を理論上軽減する解決策を提供しているが、Ｄｅｎｎｅｒは、可動金型底部を利用して圧力パネルを深く落ち着かせるということを単に記述しているだけで、目標とする容器を形成することができるプロセスの全体を開示するということをしておらず、可動金型底部の使用は、既に記載した通り、例えば米国特許第４，０３５，４５５号明細書（Ｒｏｓｅｎｋｒａｎｚらによる出願）を参照すると、既に公知になっていることが分かる。具体的には、Ｄｅｎｎｅｒは、プリフォームの特定の構造的特徴、目標とする容器を、材料が容器全体を通じて適正に分布するように正確に形成することができるよう使用されなければならないプロセスの特定の特徴を列挙しているものではない。

米国特許第６８９６１４７号明細書 米国特許第７４５１８８６号明細書 米国特許出願公開第２００８／００４７９６４号明細書

本発明の主目的は、先行技術における上記不具合を軽減することにある。

本発明の１つの目的は、高さのある自立用リング、及び外側に傾斜した反転可能な中心ダイアフラムが付設されたホットフィル容器を製造するための完全な方法を提案することにある。

本発明の別の目的は、このようなホットフィル容器の性能を高めることにある。

本発明の更に別の目的は、このようなホットフィル容器の安定性を高めるとともに、反転可能なダイアフラムの反転を容易にすることにある。

ホットフィル容器をプラスチックプリフォームから、前記プリフォームをブロー成形することにより製造する方法が提供され、前記容器には、高さのある自立用リングと、外側に傾斜する反転可能な中心ダイアフラムと、を含む底部が設けられ、前記プリフォームは、開口ネック部と、壁と、閉鎖底部と、を有し、前記方法は、
−プリフォームをプラスチックのガラス転移温度よりも高い温度で加熱するステップと、
−このような加熱プリフォームを、金型底部及び側壁が配設された金型の内部に導入するステップであって、側壁が所定温度に加熱される、導入するステップと、
−プリフォームをブロー成形して容器を形成することにより、それに続いて高温内容物を充填するステップと、を含み、
−前記プリフォームの壁は、略円筒形の主セグメントと、底部に隣接する厚さが大きい下側セグメントと、を有することにより、前記下側セグメントが延伸して容器の高さのある自立用リングを形成し、底部が下側セグメントよりも薄い厚さを有することにより、底部が延伸すると、容器の反転可能なダイアフラムを形成するよう延伸し、
−プリフォームに、３．４〜３．９の長さ方向延伸倍率、及び３．５〜３．９のフープ方向延伸倍率が付与される。

種々実施形態によれば、別々の構成を採る場合、又は組み合わせた構成を採る場合、
−延伸倍率は３．６〜３．８である；
−フープ方向延伸倍率は３．７〜３．８である；
−プリフォームの下側セグメントは、主セグメントの壁厚よりも約１０％大きい壁厚を有する；
−底部は、壁厚が略一定の中心領域を有する；
−中心領域は、下側セグメントの壁厚の８０％未満の壁厚を有する；
−中心領域は、下側セグメントの壁厚の７０％未満の壁厚を有する；
−中心領域は、下側セグメントの壁厚の約６５％の壁厚を有する；
−プリフォームは、延伸ロッドにより軸方向に延伸される；
−プリフォームには、心だしインデックスが付設され、インデックスを延伸ロッドの下側先端に形成される凹部に収容することができる。

本発明の上記目的及び利点、及び他の目的及び利点は、好適な実施形態についての詳細な説明を、添付の図面と合わせて考察することにより明らかになる。

プリフォーム、及びプリフォームから成形される結果として得られるホットフィル容器の両方を示す実際に近い断面図である。 図１の容器を示す実際に近い底部斜視図である。 容器の底部の図１の容器の詳細を示す実際に近い拡大部分断面図である。 図１のプリフォームを示す実際に近い拡大断面図である。 プリフォームの底部の近傍の図４のプリフォームの詳細を示す実際に近い拡大部分断面図である。 ホットフィル容器を製造するための可動金型底部を有する金型を含む延伸ブロー成形装置の実際に近い断面図であり、容器を形成することになるプリフォームを示している。 図６の延伸ブロー成形装置の実際に近い断面図であり、延伸ブロー成形装置内でプリフォーム（点線でも示される）から成形される容器を詳細に示している。 図６の成形装置の金型底部の実際に近い斜視図である。 図８の金型底部の詳細を示す実際に近い拡大断面図である。

図１は、高温内容物（お茶、フルーツジュース、又はスポーツドリンクのような）を充填するために適するホットフィル容器１を示している。

容器１は、ねじ山の付いた上面開口円筒形部又はネック部２を含み、このネック部２は、ネック部の下方端で、より大きな直径の支持縁部３で終端する。縁部３の下方では、容器１は肩部４を含み、この肩部４は縁部３に、短い長さの上側円筒形端部を介して接続される。

肩部４の下方では、容器１は壁部５を有し、この壁部５は、容器の主軸Ｘを中心とする略円筒状をなしている。壁部５は、図１及び図２に示すように、応力に耐えうる高剛性化環状リブ６を含み、壁部５を、水平断面で見たときに楕円形になり易くする（このような変形は、普通に起こり、楕円化と呼ばれる）。

ネック部２は、参照記号Ｄ１で指示される外径（ねじ谷とねじ谷の間で測定したときの）を有し、壁部５は、参照記号Ｄ２で指示される全径を有する。

壁部５の下方端では、容器１は底部７を有し、底部７は、容器１を閉鎖し、且つ容器１をテーブルのような平面に載置することができる。

容器底部７は、後で説明されるような高さのある自立用リングである自立用リング８と、外側に傾斜する反転可能な中心ダイアフラム９と、を含み、このダイアフラム９は、容器１に内容物を充填し、蓋をして冷却した後に、強制的に上方に（すなわち、容器１に対して内側に）押し上げる（例えば、機械的に）ことができることにより、内容物を冷却することにより生じる真空圧変化を吸収することができる。

自立用リング８は、リング突起の下側部分１０の容器の壁部５に、内周部１１及び支持フランジ１２を接続する。内周部１１は、支持フランジ１２をダイアフラム９に接続する。

好適な実施形態では、壁部５の下側部分１０は、図３に示す横断面で見たときに、凹部が容器１に対して内側を向いた状態の円弧形を有することにより、参照記号Ｄ３で指示される支持フランジ１２の外径は、壁部５の全径Ｄ２よりも小さくなっている。

内周部１１は、錐体の円錐台形の形状を有し、そして図３に示す横断面で見たときに、容器１に対して内側に抜き勾配で傾斜している。

内周部１１が円錐形であることにより、屈曲剛性及び係止機能がダイアフラム９に、ダイアフラム９の反転位置（図３の破線で示す）で付与されるので、内周部１１の直径を、ダイアフラム９との内周部の接合部で拘束して、ダイアフラム９がダイアフラム９の反転位置から内周部１１に対して元に戻る方向に関節運動するのを防止する。その結果、ダイアフラム９が、容器の内容物による静圧が作用しただけで、再度反転してダイアフラム９の元の位置（図３の実線）に戻るのが防止される。

内周部１１は、支持フランジの外径Ｄ３について重要となる軸方向突起部を有しているので、“ｈｉｇｈ ｓｔａｎｄｉｎｇ ｒｉｎｇ（高さのある自立用リング）”という表現が自立用リング８に付されている。更に詳細には、参照記号Ｈ４で指示される内周部１１の軸方向突起部（又は、高さ部分）は、支持フランジ１２の外径Ｄ３の１／１０よりも大きく、且つ支持フランジ１２の外径Ｄ３の１／１０〜１／５であることが好ましい：

図３の例に対応する１つの好適な実施形態では、内周部１１の高さＨ４は、支持フランジ１２の外径Ｄ３の約１／６である：

支持フランジ１２は、Ｗ４で指示される半径方向突出長さ、又は半径方向幅を有し、Ｗ４は、支持フランジ１２の外径Ｄ３よりも小さい。更に詳細には、支持フランジ１２の幅Ｗ４は、支持フランジ１２の外径Ｄ３の５％〜１０％であり、また好適には、約６％であり：

また好適には：

である。

また、支持フランジ１２の幅Ｗ４は、内周部１１の高さＨ４に対する比が、１／５〜１／３であることが好ましく、約１／４であることが好ましく：

また好適には：

である。

更に、図１に図示され、且つ図３の実線で図示されるブロー成形直後の内容物が充填されていない状態の容器１では、支持フランジ１２は、容器軸に直角な平面内を真っ直ぐに延びておらず、錐体の円錐台形の形状を有し、且つ図１の横断面で見たときに、容器軸Ｘに直角な平面に対して微小な内側傾斜角Ａ１を有する様子を示している。これによって、静圧がダイアフラム９にダイアフラムの上方反転位置（図３の破線で図示される）のダイヤフラムへの作用下でバネ効果又は吸収効果を付与し、圧力がダイアフラム９に加わると、ダイアフラム９が反転してダイアフラムの元の位置（図３の実線）に戻るのではなく、支持フランジ１２が枢動して支持平面に当接するようになる。

図１に図示され、且つ図３の実線で図示されるブロー成形直後の内容物が充填されていない状態の容器１では、反転可能なダイアフラム９は、ダイアフラム９が高さのある自立用リング８の内周部１１の上端に接続される位置の先鋭な頂部を有する外周縁１３から、内側及び下方の両方に延び、下方に向かって、ダイアフラム９が上方突出中心凹部１５に接続される位置のより平滑な内周縁１４に達する。

好適な実施形態では、Ｗ５で指示されるダイアフラム９の半径方向突出長さ、又は半径方向幅は、Ｒ３で指示される支持フランジ１２の外半径の５０％〜８０％であり、また好適には、約６０％であり（この場合、Ｒ３はＤ３の半分である）：

また好適には：

である。

更に、Ｈ５で指示されるダイアフラムの軸方向突出長さ、又は軸方向高さは、ダイアフラムの内周縁が、容器軸Ｘに直角であり、且つ高さのある自立用リング８の外周縁によって画定される自立面よりも僅かに上方の位置で延在するように設定される。

別の表現をすると、ダイアフラム９の高さＨ５は、高さのある自立用リング８の高さＨ４よりも僅かに低い。好適な実施形態では、ダイアフラム９の高さＨ５は、自立用リング８の高さＨ４の８５％超であり、また好適には、約９０％であり：

また好適には：

である。

図４及び図５では、前に開示されている容器１が形成されることになるプリフォーム１６を更に詳細に示している。プリフォーム１６は、射出成形法又は圧縮成形法により、単一のプラスチック材料、好適にはＰＥＴから形成される。

プリフォーム１６は、容器１と同じネック部２（ネック部２は、容器をブロー成形している間の変化を受けない）を備え、このネック部２も、ネック部の下側の支持縁部３で終端する。

縁部３の下方では、プリフォーム１６は、壁１８を含む本体１７と、壁１８の下側にある閉鎖底部１９と、を有し、閉鎖底部１９は、プリフォーム１６をネック部２とは反対側の下側で終端させる。プリフォーム本体１７の長さ（すなわち、縁部３の下方の長さ）は、Ｌで指示される。

プリフォームの壁１８及び底部１９では、プリフォーム１６は、外周面２０及び内周面２１を有する。

図４に示すように、プリフォーム１６の壁１８は、略円筒形の主セグメント２２と、主セグメント２２を上方で終端させ、且つ縁部３に接続される上側セグメント２３と、主セグメント２２を下方で終端させ、且つ底部１９に接続される下側セグメント２４と、からなる。

容器１をブロー成形している間、主セグメント２２は、容器１の壁部５を形成し、上側セグメント２３は、容器１の肩部４を形成し、下側セグメント２４は、容器１の高さのある自立用リング８を形成し、そしてプリフォーム１６の底部１９は、反転可能なダイアフラム９、及び図７に矢印で示す中心突出凹部１５を形成する。

上側セグメント２３との主セグメント２２の接合部で測ったときの主セグメント２２の全径は、Ｄ６で指示される。

プリフォーム１６が小容量（すなわち、０．５リットル又は０．６リットルのような１リットル未満の容量）の容器１に対応する図示の実施形態では、主セグメント２２の全径Ｄ６は、ネック部２の直径Ｄ１よりも短い。プリフォームが、より大きな容量（すなわち、１．５リットル又は２リットルのような１リットル超の容量）の容器１に対応する別の実施形態では、この関係が逆になる。

図示の例に対応する好適な実施形態では、上側セグメント２３は、ホーン（ｈｏｒｎ）の形状を有し、且つ直径Ｄ６の主セグメント２２を直径Ｄ１の縁部３になだらかに接続する。図４から分かるように、上側セグメント２３のプリフォーム１６の壁厚は、プリフォーム軸Ｘ（軸Ｘは、次に起こる容器の軸Ｘに一致している）に直角な方向に測定したときに、壁厚がネック部２（ねじ山を除く）のプリフォーム１６の壁厚に一致する箇所である縁部３の直下の値Ｔ１から主セグメントとの接合部の値Ｔ２に増加し、この場合、Ｔ１はＴ２よりも小さく、好適にはＴ２の半分未満であり：

また好適には：

である。

図示の好適な実施形態では、主セグメント２２は、外周面２０の抜き勾配Ｂ１が小さく、且つ内周面２１の抜き勾配Ｂ２が小さい錐体の円錐台形の形状であり、両方の抜き勾配Ｂ１及びＢ２は、２°未満であり、好適には：

である。

好適な実施形態では、Ｂ１は、１°よりも小さく、好適には約０．６°である。また、好適な実施形態では、Ｂ２は１．５°よりも小さく、好適には約１．３°である。

好適な実施形態では、軸方向に測定したときにＬ１で指示される主セグメント２２の長さは、プリフォーム１６の長さＬの６０％〜７０％であり、また好適には、６５％〜７０％であり：

また好適には：

である。

プリフォーム壁厚は、好適な実施形態では、主セグメント２２に沿って略一定とすることができるが、プリフォーム壁厚は、プリフォーム軸Ｘに直角な方向に測定したときに、上側セグメント２３と主セグメント２２との接合部の値Ｔ２から、主セグメント２２と下側セグメント２４との接合部の値Ｔ３に僅かに（且つ、直線的に）増加する：

上側セグメント２３及び主セグメント２２の材料分布を計算して、肩部４及び壁部５の容器１の略一定の厚さを有するようにする。

上側セグメント２３の厚さが増加すると、縁部３の直下に位置する材料は、プリフォーム１６の上側セグメント２３と主セグメント２２との接合部に位置する材料よりも延伸する度合いが低い（殆どが、半径方向又はフープ方向に延伸する）ので、容器肩部４の材料厚さを十分大きくすることができる。同様に、主セグメント２２の厚さが増加すると、主セグメント２２と上側セグメントとの接合部に位置する材料は、延伸する度合いが低い（軸方向又は長さ方向、及び半径方向又はフープ方向の両方の方向に延伸する）ので、容器１の壁部５の材料厚さを十分大きくすることができる。

図示の好適な実施形態では、下側セグメント２４は、壁厚が漸増する上側セクション２５を、主セグメント２２に隣接して有し、そして壁厚が略一定の下側セクション２６を、底部１９に隣接して有している。下側セクション２６では、プリフォーム１６は、Ｔ４で指示される壁厚を有し、この壁厚の値は従って、主セグメント２２と下側セグメント２４との接合部に位置するプリフォーム１６の壁厚の値Ｔ３よりも大きい。好適な実施形態では、Ｔ４はＴ３よりも５％〜１５％大きく、例えばＴ３よりも約１０％大きく：

また好適には：

であり、例えば：

である。

下側セグメント２４のプリフォーム１６の壁厚が増加すると、下側部分１０及び支持フランジ１２を補強することができ、更に詳細には、下側部分１０と支持フランジ１２との接合部の近傍で補強することができ、この接合部では、剛性が一方において、反転過程を容易にするために必要とされ、且つ他方において、容器１の良好な安定性を、大量取扱い時に、又は保管作業時に、且つ容器１の個々の通常の使用時に実現するために必要とされ、この場合、容器は、テーブル又は冷蔵庫棚のような平面の上に垂直に自立するように保管される。

好適な実施形態では、軸方向に測定したときにＬ２で指示される下側セグメント２４の長さは、主セグメント２２の長さＬ１の３０％〜４０％であり、また好適には、３０％〜３５％である。好適な図示の例では、Ｌ２はＬ１の約３３％であり：

また好適には：

であり、例えば：

である。

図４に図示される好適な実施形態では、プリフォーム１６には、プリフォーム１６の内周面２１からプリフォーム１６の軸方向Ｘに内側に突出する丸く立ち上がった心だしインデックス２７が付設される。

また、プリフォーム１６が射出成形される構成の図４に示す１つの実施形態では、プリフォーム１６には、下方に突出する中心突出部２８が付設され、中心突出部２８は、プリフォーム１６が射出成形された金型に形成される射出ゲートのカウンタープリントに対応する。

好適な実施形態では、プリフォーム１６の底部は、球形ドームの形状の中心領域２９を有し、中心領域２９の曲率中心Ｃは、プリフォーム軸Ｘの上に位置する。

中心領域２９では、プリフォーム１６の外周面２０及び内周面２１はともに、共通の曲率中心Ｃを持つ球形であることが好ましい。

従って、中心領域２９（心だしインデックス及び突出部から離れた領域）では、プリフォーム１６は、曲率中心Ｃから半径方向に測定したときのＴ５で指示される壁厚を有し、この壁厚は略一定である。

図示の例では、プリフォーム１６の底部には更に、周辺領域３０が付設され、周辺領域３０は、下側セグメント２４の下方に位置し、且つ中心領域２９との接合部を形成する。周辺領域３０は、中心領域２９の曲率中心Ｃから半径方向に測定したときに、漸減する壁厚を有することにより、底部１９の中心領域２９のプリフォーム１６の壁厚Ｔ５は、下側セグメント２４の壁厚Ｔ４よりも小さくなる。

好適な実施形態では、中心領域２９のプリフォーム１６の壁厚Ｔ５は、下側セグメント２４の壁厚Ｔ４の５０％〜８０％であり（好適には、７０％未満であり、例えば約６５％であり）：

好適には：

であり、例えば：

である。

周辺領域３０の壁厚が減少し、且つプリフォーム底部１９の中心領域２９の壁厚が比較的小さくなる（且つ一定である）と、以下に開示されるように、反転可能なダイアフラム９への印刷を一層良好に行なうことができ、且つ反転可能なダイアフラム９の材料の厚さを減らすことができることにより、ダイアフラム９の反転を容易に行なうことができる。

プリフォーム１６からのホットフィル容器１の製造は、図６及び図７に示すように、ブロー金型３２及び延伸ロッド３３を含むブロー成形装置３１を利用することにより行なわれる。

ブロー金型３２は、側壁３４Ａ，３４Ｂを平均周囲温度よりもずっと高く、且つ好適な実施形態では、約８０〜１８０℃である所定温度に加熱する不図示の加熱手段（熱水又は熱油のような加熱流体を循環させる孔、又は側壁３４Ａ，３４Ｂ内に収容される電気ラジエータのような）を含む側壁３４Ａ，３４Ｂを有する。

側壁３４Ａ，３４Ｂは一体となって、プリフォーム１６を収容する金型キャビティ３５の少なくとも一部を画定し、且つ容器１の下側部分１０及び肩部４を含む壁部５のカウンタープリントを形成する。

ブロー金型３２は更に、金型底部３６を有し、金型底部３６は、支持フランジ１２、内周部１１、ダイアフラム９、及び中心突出凹部１５を含む容器底部７のカウンタープリントを形成する上側表面３７を有する。側壁３４Ａ，３４Ｂは金型底部３６と一体となって、容器１の成形キャビティ３５全体を画定する。

金型底部３６は、側壁３４Ａ，３４Ｂに対して、上側表面３７がブロー成形される容器底部７の下方に突出する後退位置（図６）と、上側表面３７がキャビティ３５を塞いでブロー成形される容器底部７の正確な場所まで突出する上昇位置（図７）との間で移動することができる。

これによって、材料がブロー成形中に過延伸されることにより、プリフォーム１６の材料が最初に、金型底部３６の後退位置にある容器底部７の最終位置を超えて延伸され、そして次に、金型底部３６が、金型底部の上昇位置に移動して延伸材料を押し上げることにより、容器底部７の最終形状を形成する。

このようなプロセスでは、印刷品質を一層良好にし、材料厚を一層良好にすることができることにより、下側部分１０から内周部１１に至る剛性を一層良好にすることができる。

容器１の延伸ブロー成形を行なっている間、心だしインデックス２７を、延伸ロッド３３の下側先端に軸方向に形成される対応する凹部３８に収容する。これにより確実に、プリフォーム１６の正しい心だしを、プリフォーム１６が金型底部３６に達するまで行なうことができる。

容器１のブロー成形が終了するまでは、中心外側突出部２８は、金型底部３６に軸方向に形成される中心凹部３９に収容されている。これにより確実に、容器底部７の正しい中心位置決めが、金型底部３６が金型底部の後退位置から金型底部の上昇位置まで移動して容器底部７を押し上げている間に行なわれる。

容器１のブロー成形を行なっている間、プリフォーム１６に３．４〜３．９の長さ方向延伸倍率、及び３．５〜３．９のフープ方向延伸倍率を付与する。

長さ方向延伸倍率は、本体１７に沿って測定したときの、すなわち縁部３の直下から図１に示す軸方向の横断面で見たときの底部１９の中心に至るプリフォーム１６の外周面２０と内周面２１との間の平均線４０の展開長さと、縁部３の直下から、図１に示す軸方向の横断面で見たときの底部７の中心に至る容器１の展開長さとの比である。

フープ方向延伸倍率は、主セグメント２２の平均直径Ｄ７（すなわち、平均線４０で測って、主セグメント２２の長さの約半分の位置での直径）と、容器１の壁部５の全径Ｄ２との比である。

好適な実施形態では、長さ方向延伸倍率は、３．６〜３．８である。また、好適な実施形態では、フープ方向延伸倍率は、３．７〜３．８である。

このような延伸倍率をこれまでに開示された材料分布と組み合わせることにより、容器壁部５及び容器底部に、ブロー成形中に一層良好にプリントすることができる。更に詳細には、これにより、容器１の壁部５にある剛性リブ６へのプリントが容易になり、これらの剛性リブは、壁部５に、容器１の内部に真空が発生することに起因する変形に対する剛性を付与することができ、且つ容器１の変形の殆どを容器底部７に閉じ込めることができる。

金型底部３６が図８及び図９に更に詳細に図示されている。図８に示すように、金型底部３６は円筒ピストン４１を備え、この円筒ピストンにより、金型底部３６は、側壁３４Ａ，３４Ｂの底部に対応するボア４２内を軸方向に移動して案内されることができる。ピストン４１は、容器底部７のカウンタープリントを形成する上側表面３７で終端し、容器底部７は、支持フランジ１２と、高さのある自立用リング８の内周部１１と、更には、ダイアフラム９及び中心突出凹部１５と、を含む。

上側表面３７は、容器底部７の環状支持フランジ１２に対応する環状縁面４３を含む。この縁面４３は、金型底部軸（この軸は、プリフォーム軸及び容器軸Ｘに略一致する）に直角な平面内を延在することが全くなく、錐体の円錐台の形状であり、且つ図９の横断面として図示される場合に、金型底部軸に直角な平面に対して１°〜１０°、好適には２°〜５°、例えば約３°の微小な角度Ａ１で内側に傾斜している様子を示している。

上側表面３７は更に、高さのある自立用リング８の内周部１１に対応する円錐台形の外周面４４を含む。外周面４４は、環状縁面４３の内周縁から、内周部１１とダイアフラム９との間の接合部にある外周縁１３に対応する先鋭頂部４５にまで上方に突出している。外周面４４は、金型底部軸に平行な垂直線に対して、１°〜１０°、好適には３°〜６°、例えば約４．５°の抜き勾配Ａ２を定義する。

金型底部３６の上側表面３７は更に、反転可能なダイアフラム９に対応して下方に傾斜する円錐台形の内周面４６を含む。内周面４６は、頂部４５から下方に円環内周縁４７まで延在し、この円環内周縁４７の位置で、内周面４６が、容器底部７の中心凹部１５に対応する中心押し上げ***部４８に接続される。

頂部４５は、頂部が、Ｒで指示される１．５ｍｍ以下の曲率半径を有しているので先鋭である。好適な実施形態では、頂部４５の曲率半径Ｒは０．２５ｍｍ以下である。頂部４５は更に、測定可能な曲率半径を持たない、すなわち曲率半径は０．１ｍｍ以下である。これにより、先鋭な接合部を、容器底部７の内周部１１とダイアフラム９との間に設けることができるので、ダイアフラム９が内側に向かう反転動作を一層良好に行なうことができるとともに、反転後の容器底部７の剛性を一層高めることができ、内周部１１とダイアフラム９との間の接合部の外周縁１３の先鋭頂部は、確実な（軸方向断面として見た場合に）ヒンジ部を内周部１１とダイアフラム９との間に形成する。金型底部３６の一部を旋盤加工することにより、先鋭な頂部４５を具体的に実現することができる。

外周面４４及び内周面４６は交差することにより、図９に示すような軸方向の横断平面で図示される場合に、頂部４５において、５０°〜７０°、好適には６０°〜６５°の角度Ａ３を定義する。好適な実施形態では、角度Ａ３は約６３°である。

抜き勾配Ａ２、先鋭頂部４５、及び角度Ａ３を組み合わせることにより、良好に組み合わされた成形能力及び成形性能を容器底部７に付与することができる。具体的には、既に説明したように、ダイアフラム９の上方反転が容易に行なわれるのに対し、ダイアフラム９の外側（又は、逆戻り）反転が防止されることにより、ダイアフラム９をダイアフラムの反転位置にロックすることができる。また、引き抜き量ＥＶ（すなわち、図３に斜線で図示されるダイアフラム反転中に置き換わる液体の液量）は、容器１の液体の全液量に対して充填後に最大になる。

引き抜き量ＥＶはまた、内周縁４７が、縁面４３の外周縁で画定される縁平面Ｐ（容器１の自立面に対応する）に近接して位置することにより最大になるので、内周縁４７を縁平面から、１ｍｍ〜５ｍｍ、好適には約２ｍｍのクリアランスＣＬで離間させる。このようなクリアランスＣＬにより、静圧に起因する充填後の容器底部７の中心凹部１５の下方のピストン運動を小さくすることができ、容器の支持フランジ１２で自立する容器１の安定性に影響を及ぼすことがない。

図８に示す好適な実施形態では、押し上げ***部４８は、横断面で見たときに星形であり、且つ一連のカウンタープリント４９（図示の例では５個のカウンタープリント）を備え、これらのカウンタープリント４９で、容器１をブロー成形している間にカウンタープリントにより、凸状補強リブ５０を容器底部７の中心凹部１５に形成するので、中心凹部１５の剛性を高めて、内容物の静水圧及び温度による複合的影響を受けて中心凹部１５が反転するのを防止することができる。

ダイアフラム９の反転は、マンドレルを介して機械的に行なわれることが好ましく、マンドレルは、中心凹部１５に収容することができる上部頂部を有し、且つ容器１への充填操作、容器１に蓋をする操作、及び容器１を冷却する操作が行なわれた後に、容器１の密閉状態が保たれている状態で上方に移動する。マンドレルの圧力を受けている状態で、ダイアフラム９は、ダイアフラム９が、図３に破線で示すダイアフラム９の最終位置に向かって上方に反転するまで、外側に僅かに湾曲している内周部１１との先鋭な接合部を中心に変形して関節運動する。次に、高さのある自立用リング８の内周部１１は、湾曲することにより高さのある自立用リング８の元の位置に戻り、この元の位置では、高さのある自立用リング８が円弧形を形成し、この円弧形は、内容物の静圧を受けているダイアフラム９から加わる座屈拘束力及び曲げ拘束力に耐えることができる。

Claims (10)

1. ホットフィル容器（１）をプラスチックプリフォーム（１６）から、前記プリフォーム（１６）をブロー成形することにより製造する方法であって、前記容器（１）には、高さのある自立用リング（８）と、外側に傾斜する反転可能な中心ダイアフラム（９）と、を含む底部（７）が設けられ、前記プリフォーム（１６）は、開口ネック部（２）と、壁（１８）と、閉鎖底部（１９）と、を有し、前記方法は、
   プリフォーム（１６）をプラスチックのガラス転移温度よりも高い温度に加熱するステップと、
   このような加熱プリフォーム（１６）を、金型底部（３６）及び側壁（３４Ａ，３４Ｂ）が配設された金型（３２）の内部に導入するステップであって、側壁が所定温度に加熱される、導入するステップと、
   プリフォーム（１６）をブロー成形して容器（１）を形成することにより、それに続いて高温内容物を充填するステップと、を含み、
   前記プリフォーム（１６）の壁（１８）は、略円筒形の主セグメント（２２）と、底部（１９）に隣接する厚さが大きい下側セグメント（２４）と、を有することにより、前記下側セグメント（２４）が延伸して容器（１）の高さのある自立用リング（８）を形成し、底部（１９）が下側セグメント（２４）よりも薄い厚さを有することにより、底部（１９）が延伸すると、容器（１）の反転可能なダイアフラム（９）を形成するよう延伸し、
   プリフォーム（１）に、３．４〜３．９の長さ方向延伸倍率、及び３．５〜３．９のフープ方向延伸倍率が付与されることを特徴とする、方法。
2. 延伸倍率が３．６〜３．８である、請求項１に記載の方法。
3. フープ方向延伸倍率が３．７〜３．８である、請求項１又は請求項２に記載の方法。
4. プリフォーム（１６）の下側セグメント（２４）が、主セグメント（２２）の壁厚よりも約１０％大きい壁厚を有する、請求項１から３のいずれか一項に記載の方法。
5. 底部（１９）が、壁厚が略一定の中心領域（２９）を有する、請求項１から４のいずれか一項に記載の方法。
6. 中心領域（２９）が、下側セグメント（２４）の壁厚の８０％未満の壁厚を有する、請求項５に記載の方法。
7. 中心領域（２９）が、下側セグメント（２４）の壁厚の７０％未満の壁厚を有する、請求項５に記載の方法。
8. 中心領域（２９）が、下側セグメント（２４）の壁厚の約６５％の壁厚を有する、請求項５に記載の方法。
9. プリフォーム（１６）が、延伸ロッド（３３）により軸方向に延伸される、請求項１から８のいずれか一項に記載の方法。
10. プリフォーム（１６）には、心だしインデックス（２７）が付設され、インデックス（２７）を延伸ロッド（３３）の下側先端に形成されるカウンタープリント（３８）に収容することができる、請求項４に記載の方法。

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