JP2016222228A - 車両用ドアインパクトビーム - Google Patents
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Abstract
【課題】曲げ剛性が高く、軽量かつ安価な車両用ドアインパクトビームを提供する。
【解決手段】 車両用ドアインパクトビームは、第1溝部、第2溝部及び接続壁部を有する。第1溝部及び第2溝部は、第1ドアパネルに沿って所定の方向へ延び、第2ドアパネル側へ向かって開放されている。第2溝部は、前記第1溝部の幅方向に所定の間隔をおいて配置されている。接続壁部は、前記第2ドアパネルに沿って前記所定の方向に延びている。接続壁部は、第1溝部の一方の側壁部と、前記第2溝部の一方の側壁部とを接続する。前記第1溝部は、他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有する。前記第2溝部は他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有する。前記第1溝部、前記第2溝部、及び前記接続壁部が押出成型法を用いて一体的に形成されている。
【選択図】図4
【解決手段】 車両用ドアインパクトビームは、第1溝部、第2溝部及び接続壁部を有する。第1溝部及び第2溝部は、第1ドアパネルに沿って所定の方向へ延び、第2ドアパネル側へ向かって開放されている。第2溝部は、前記第1溝部の幅方向に所定の間隔をおいて配置されている。接続壁部は、前記第2ドアパネルに沿って前記所定の方向に延びている。接続壁部は、第1溝部の一方の側壁部と、前記第2溝部の一方の側壁部とを接続する。前記第1溝部は、他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有する。前記第2溝部は他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有する。前記第1溝部、前記第2溝部、及び前記接続壁部が押出成型法を用いて一体的に形成されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用ドアインパクトビームに関する。
下記特許文献1乃至3に記載されているように、車両用ドアの内部に取り付けられる車両用ドアインパクトビームは知られている。車両用ドアインパクトビームは、車両用ドアに物体が衝突したとき、車両用ドアに作用した衝撃を吸収し、車両用ドアが大きく変形することを抑制する。
特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームは、筒状に形成されている。すなわち、これらの車両用ドアインパクトビームは、車両用ドアのインナーパネル側に配置された内壁部と、車両用ドアのアウターパネル側に配置された外壁部を有する。内壁部及び外壁部は、平行に延設され、互いに対向している。また、これらの車両用ドアインパクトビームは、内壁部と外壁部との間に形成されて内壁部と外壁部とを接続する一対の側壁部を有する。言い換えれば、これらの車両用ドアインパクトビームは、上記の内壁部、外壁部及び側壁部によって囲まれた中空部を有する。これらの車両用ドアインパクトビームは、アルミニウム合金製である。これらの車両用ドアインパクトビームは、押出成形法を用いて製造される。
また、特許文献3の車両用ドアインパクトビームは、所定の方向へ延設されていて、インナーパネル側へ開放された溝状に形成されている(特許文献3の図3(b)参照)。つまり、この車両用ドアインパクトビームは、溝の底部を構成する底壁部と、溝の側部を構成する側壁部を有する。前記側壁部は、前記底壁部における幅方向両端部に接続され、互いに対向している。前記側壁部におけるインナーパネル側の端部には、溝の外側(底壁部及び側壁部によって囲まれた空間の外側)へ延びるフランジ部が形成されている。また、底壁部のアウターパネル側の面には、その長手方向に延びる凹部(溝部)が形成されている。つまり、この凹部は、アウターパネル側へ開放されている(特許文献3の図3(a)参照)。この車両用ドアインパクトビームは、帯状の金属鋼板をプレス成形することにより製造される。
上記特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームは、筒状に形成されているので、押出工程における押出速度が、開放断面形状を有する部材を押出加工する場合に比べて遅い。また、車両用ドアインパクトビームをドアパネルに固定する際に用いるナットを内壁部に取り付けるため、押出工程を経た中間成形部材の両端部を斜めにカットする工程が必要である(特許文献2の図1参照)。
また、一般に車両用ドア内の空間は狭い。とくに、車両用ドアインパクトビームの前端部及び後端部が配置される部分(つまり、車両用ドアの前端部及び後端部)の車幅方向の寸法が小さい。したがって、特許文献1又は2のように、車両用ドアインパクトビームが押出成形法を用いて製造される場合、車両用ドアインパクトビームの車幅方向の寸法を、車両用ドアの前端部及び後端部の空間の車両幅方向の寸法に合わせて小さく設定すると、車両用ドアインパクトビームの十分な強度を確保するために、車両用ドアインパクトビームの各壁部の肉厚を大きくする必要がある。そのため、車両用ドアインパクトビームの重量が比較的大きくなる。
一方、車両用ドア内において車両用ドアインパクトビームの中間部付近が配置される部分の空間の車幅方向の寸法は、前端部及び後端部が配置される部分に比べて広い。そこで、まず、押出成形法を用いて直線状に延びる中間成形部材を製造する。この中間成形部材の車幅方向の寸法は、車両用ドアの前端部及び後端部の空間の車幅方向の寸法よりも大きい。そして、中間成形部材の前端部及び後端部を車幅方向に押し潰す(プレス成形する)ことにより、前端部及び後端部の車幅方向の寸法を小さくする。しかし、この場合、図15に示すように、側壁部が内側に折れ曲がり(座屈し)、ナットを固定するスペースが失われる可能性が高い。
また、物体が車両用ドアに衝突した際、前記衝突による荷重が特許文献3の車両用ドアインパクトビームに作用すると、前記物体の侵入量(ストローク)が増大するに従って、車両用ドアインパクトビームは、その開放端側(インナーパネル側)が開くように変形し、その曲げ剛性(衝撃吸収性能)が低下する。
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、曲げ剛性が高く、軽量かつ安価な車両用ドアインパクトビームを提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両(V)のドア(DR)を構成する第1ドアパネル(OP)と第2ドアパネル(IP)との間に配置される車両用ドアインパクトビーム(10,10A,10B,10C)であって、前記第1ドアパネルに沿って所定の方向へ延びる底壁部(21)及び前記底壁部の幅方向における両端部にそれぞれ接続されていて前記所定の方向に延びる一対の側壁部(22,23)を備え、前記第2ドアパネル側へ向かって開放されている第1溝部(20)と、前記第1溝部の幅方向に所定の間隔をおいて配置された第2溝部(30)であって、前記第1ドアパネルに沿って前記所定の方向へ延びる底壁部(31)及び前記底壁部の幅方向における両端部にそれぞれ接続されていて前記所定の方向に延びる一対の側壁部(32,33)を備え、前記第2ドアパネル側へ向かって開放されている第2溝部(30)と、前記第1溝部の前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部であって前記第2溝部側に位置する側壁部(23)と、前記第2溝部の前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部であって前記第1溝部側に位置する側壁部(33)とを接続する接続壁部(40)であって、前記第2ドアパネルに沿って前記所定の方向に延びる接続壁部と、を備え、前記第1溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部(22)における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部(221)を有し、前記第2溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部(321)を有し、前記第1溝部、前記第2溝部、及び前記接続壁部が押出成型法を用いて一体的に形成されている、車両用ドアインパクトビームとしたことにある。
この場合、前記第1溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の外側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部(222)を有し、前記第2溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の外側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部(322)を有するとよい。
また、この場合、前記第1溝部の内側に形成された前記凸部の突出高さと前記第1溝部の外側に形成された凸部の突出高さとが同一であり、前記第2溝部の内側に形成された前記凸部の突出高さと前記第2溝部の外側に形成された凸部の突出高さとが同一であるとよい。
車両用ドアインパクトビームに上記のような凸部を形成することにより、第1溝部及び第2溝部の側壁部がそれぞれの溝の内側(底壁部及び側壁部によって囲まれた空間の内側)へ入り込むように、車両用ドアインパクトビームの各部を変形させることができた。車両用ドアインパクトビームは特許文献3の車両用ドアインパクトビームと同様に車室側へ開放されているが、特許文献3の車両用ドアインパクトビームとは異なり、その長手方向における中間部を押圧した際、側壁部が外側へ開いて荷重が急激に低下することが抑制される。これにより、車両用ドアインパクトビームの曲げ剛性を従来の筒状の車両用ドアインパクトビームと同等にすることができた。
また、上記の構成によれば、車両用ドアインパクトビームの長手方向に垂直な断面形状が開放断面形状、つまり内部に閉じた空間が形成されない断面形状である。したがって、従来の筒状の車両用ドアインパクトビームよりも押出速度を早くすることができる。つまり、上記特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームのような筒状の部材を製造する場合よりも、材料を金型から押し出し易い。そのため、従来よりも高強度の材料を用いることができる。また、上記特許文献2の車両用ドアインパクトビームとは異なり、接続壁部の第1ドアパネル側の面にナットを取り付けるために中間成形部材の両端部を斜めにカットする工程が不要である。したがって、製造コストを削減できる。
また、本発明の特徴は、前記第1溝部の底壁部が、前記第1溝部の側壁部よりも厚く形成され、前記第2溝部の底壁部が、前記第2溝部の側壁部よりも厚く形成され、前記接続壁部が、前記第1溝部及び前記第2溝部の側壁部よりも厚く形成されている、車両用ドアインパクトビームとしたことにある。
本発明においては、車両用ドアインパクトビームの曲げ剛性に与える影響が大きい第1溝部及び第2溝部の底壁部、並びに接続壁部を、曲げ剛性に与える影響が小さい側壁部よりも厚くした。このように構成することにより、車両用ドアインパクトビームの曲げ剛性を高く保つとともに、車両用ドアインパクトビームを軽量化できる。
また、本発明の他の特徴は、前記第1溝部及び前記第2溝部の長手方向における端部の溝深さが、前記第1溝部及び前記第2溝部の長手方向における中央部の溝深さよりも小さい、車両用ドアインパクトビームとしたことにある。
これによれば、車両用ドアインパクトビームの長手方向における端部の車幅方向の寸法が比較的小さいので、車両用ドアの端部の内部空間が狭い場合であっても、車両用ドアインパクトビームを車両用ドアに取り付けることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記第1溝部の前記端部における前記第1ドアパネル側の部分が前記第2ドアパネル側の部分よりも上方に位置し、前記第2溝部の前記端部における前記第1ドアパネル側の部分が前記第2ドアパネル側の部分よりも下方に位置している車両用ドアインパクトビームとしたことにある。これによれば、図15の例とは異なり、接続壁部から見て第1ドアパネル側に位置する部分に十分な空間が形成される。つまり、接続壁部の第1ドアパネル側の面にナットを取り付けるスペースを確保できる。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用ドアインパクトビーム10について説明する。まず、車両用ドアインパクトビーム10が取り付けられる車両Vの概略について説明する。図1に示すように、車両Vのフレーム(車室の骨格を構成する部品)には、ドアDRが開閉可能に取り付けられている。このドアDRの内部に本実施形態に係る車両用ドアインパクトビーム10が取り付けられる。ドアDRは、公知のようにアウターパネルOPとインナーパネルIPとを備えており、車両用ドアインパクトビーム10はアウターパネルOPとインナーパネルIPとの間に配置される。車両用ドアインパクトビーム10はインナーパネルIPに締結される。なお、本実施形態では、本発明が、車両Vの左側のドアDRに取り付けられる車両用ドアインパクトビーム10に適用された例について説明するが、本発明は、他のドアに取り付けられる車両用ドアインパクトビームにも適用可能である。
図2に示すように、車両用ドアインパクトビーム10は、長尺状に形成されていて、インナーパネルIPの後端部から前端部に亘って延設される。車両用ドアインパクトビーム10は、その前端側が後端側よりも上方に位置するように傾斜した状態で、インナーパネルIPに締結される。
つぎに、車両用ドアインパクトビーム10の構成について詳しく説明する。車両用ドアインパクトビーム10は、アルミニウム合金材を押出加工することにより直線状に形成された中間成形部材M(図3参照)を、インナーパネルIPの外側面(左面)に沿うように曲げ加工して製造される。
つぎに、車両用ドアインパクトビーム10の形状について、図4を用いて説明する。図4の紙面における左右方向が車幅方向に相当する。なお、図4に示すように、車両用ドアインパクトビーム10の車内側を右と定義する。また、車両用ドアインパクトビーム10の車外側を左と定義する。また、図4の紙面に垂直な方向をビーム長手方向と定義する。このビーム長手方向は車幅方向に直交している。また、図4の紙面における上下方向、すなわち、ビーム長手方向及び車幅方向に直交する方向を、ビーム幅方向と定義する。なお、車両用ドアインパクトビーム10のビーム幅方向における一端側を下と定義する。また、車両用ドアインパクトビーム10のビーム幅方向における他端側を上と定義する。
図4に示すように、車両用ドアインパクトビーム10は、その長手方向に垂直な断面形状が開放断面形状、つまり内部に閉じた空間が形成されない断面形状であるように構成されている。車両用ドアインパクトビーム10は、その長手方向に延びるとともに右方へ開放された溝状の第1溝部20及び第2溝部30を有する。つまり、第1溝部20及び第2溝部30の溝深さ方向が車幅方向に一致している。
第1溝部20は、底壁部21及び側壁部22,23を有する。底壁部21は、ビーム長手方向に延びる板状に形成されている。底壁部21の板厚方向は、車幅方向に一致している。また、底壁部21の幅方向(底壁部21の長手方向及び板厚方向に垂直な方向)がビーム幅方向に一致している。側壁部22,23は、底壁部21の幅方向における上端部及び下端部から右方(車室側)へそれぞれ延びるとともにビーム長手方向にそれぞれ延びる板状に形成されている。側壁部22,23の板厚方向は、ビーム幅方向に一致している。側壁部22における右端部には、下方及び上方(溝(底壁部21及び側壁部22,23によって囲まれた空間)の内側及び外側)へ突出するとともにビーム長手方向に延びる凸部221及び凸部222がそれぞれ形成されている。
第2溝部30は、第1溝部20の下方にて、第1溝部20に対して平行に延設されている。第1溝部20及び第2溝部30の車幅方向における位置は同一である。第2溝部30は、第1溝部20と同様の底壁部31及び側壁部32,33を有する。また、側壁部32における右端部には、上方及び下方(溝(底壁部31及び側壁部32,33によって囲まれた空間)の内側及び外側)へ突出するとともにビーム長手方向に延びる凸部321及び凸部322がそれぞれ形成されている。
側壁部23及び側壁部33における右端部同士が、接続壁部40によって接続されている。接続壁部40は、ビーム長手方向に延びる板状に形成されている。接続壁部40の板厚方向は、車幅方向に一致している。側壁部23、側壁部33及び接続壁部40によって、車両用ドアインパクトビーム10の長手方向に延びるとともに左方へ開放された溝部Gが形成されている。接続壁部40の長手方向における両端部には、図示しない貫通孔がそれぞれ形成されている。特許文献2の車両用ドアインパクトビームと同様に、接続壁部40の左面であって、貫通孔が形成された部分に図示しないナットが取り付けられる。
車両用ドアインパクトビーム10のビーム長手方向の寸法は、800mmである。車両用ドアインパクトビーム10のビーム幅方向の寸法W10は、56mmである。車両用ドアインパクトビーム10の車幅方向の寸法D10は、25mmである。第1溝部20及び第2溝部30のビーム幅方向の寸法W20及び寸法W30は、17mmである。側壁部22,23,32,33の板厚t1は、それぞれ3mmである。底壁部21,31及び接続壁部40の板厚t2は、それぞれ8mmである。凸部221,222,321,322の突出高さhは、それぞれ3mmである。凸部221,222,321,322の肉厚t3は、それぞれ3mmである。上記の各部の寸法は一例であり、任意に変更可能である。ただし、板厚t2を板厚t1よりも大きく設定する。
インナーパネルIPの右側(車室内側)からボルトが前記貫通孔に挿入されて前記ナットに締結されることにより、車両用ドアインパクトビーム10がインナーパネルIPの左側面に固定される。車両用ドアインパクトビーム10がインナーパネルIPに固定された状態では、ビーム長手方向における両端部がインナーパネルIPに当接しているが、ビーム長手方向における中間部とインナーパネルIPとは離間している。
車両用ドアインパクトビームの長手方向における両端部を固定し、中央部を左側から右側へ押圧したときの荷重とストロークとの関係を表すF−S曲線を図5に示す。同図において、本実施形態である車両用ドアインパクトビーム10の特性を実線で示し、従来の筒状の車両用ドアインパクトビーム(特許文献1及び特許文献2参照)の特性を破線で示す。車両用ドアインパクトビーム10に上記のような凸部221,222,321,322を形成することにより、側壁部22及び側壁部32がそれぞれの溝の内側へ入り込むように、車両用ドアインパクトビーム10の各部を変形させることができた。車両用ドアインパクトビーム10は特許文献3の車両用ドアインパクトビームと同様に車室側へ開放されているが、特許文献3の車両用ドアインパクトビームとは異なり、中間部を押圧した際、側壁部22及び側壁部32が外側へ開いて荷重が急激に低下することが抑制される。これにより、車両用ドアインパクトビーム10の曲げ剛性を従来の筒状の車両用ドアインパクトビームと同等にすることができた。
また、車両用ドアインパクトビーム10は開放断面形状であるように構成されているので、従来の筒状の車両用ドアインパクトビームよりも押出速度を早くすることができる。つまり、上記特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームのような筒状の部材を製造する場合よりも、材料を金型から押し出し易い。そのため、従来よりも高強度の材料を用いることができる。従来のアルミニウム合金材の引張強度は400MPa程度であるが、車両用ドアインパクトビーム10においては、引張強度が500MPa程度のアルミニウム合金材を採用することができる。
また、溝部Gは左方(アウターパネル側)へ開放されているので、上記特許文献2の車両用ドアインパクトビームとは異なり、接続壁部40の左面にナットを取り付けるために中間成形部材Mの両端部を斜めにカットする工程が不要である。したがって、製造コストを削減できる。
また、車両用ドアインパクトビーム10においては、曲げ剛性に与える影響が大きい第1溝部20及び第2溝部30の底壁部21,31、並びに接続壁部40を、曲げ剛性に与える影響が小さい側壁部22,23,32,33よりも厚くした。これにより、曲げ剛性を高く保つとともに、車両用ドアインパクトビーム10を軽量化できる。
また、特許文献1及び特許文献2の車両用ドアインパクトビームにおいては、アルミニウム合金材を押出加工することにより直線状に形成された中間成形部材をインナーパネルIPに沿うように曲げ加工する際、断面形状の崩れを防止するために、筒内に治具(芯材)を挿入する必要がある。この場合、曲げ加工の後に、治具を引き抜くのが困難である。これに対し、車両用ドアインパクトビーム10においては、治具を各溝部に挿入した状態で曲げ加工したとしても、その後に治具を比較的容易に取り外すことができる。
なお、車両用ドアDRの前端部及び後端部におけるインナーパネルIPとアウターパネルOPとの距離が、他の部分(車両用ドアの中央部)に比べて小さく形成されている場合がある(図6参照)。例えば、車両用ドアDRが閉じられた状態において、車両のセンターピラーと車両用ドアが干渉することを避けるため、インナーパネルIPの後端部が湾曲形成されることにより、車両用ドアDRの後端部の内部空間が狭い場合がある。この場合、車両用ドアインパクトビーム10の前端部及び後端部を車幅方向に押し潰すように加工して、車両用ドアインパクトビーム10Aとすればよい。つまり、車両用ドアインパクトビーム10Aの前端部及び後端部の車幅方向の寸法は、他の部分における車幅方向の寸法よりも小さく形成されている。
具体的には、図7並びに図8及び図9に示すように、第1溝部20及び第2溝部30の前端部及び後端部におけるアウターパネルOP側の端部(つまり溝の底部側)が互いに遠ざかるように、第1溝部20及び第2溝部30の底部側を湾曲させる。すなわち、第1溝部20におけるアウターパネルOP側の部分がインナーパネルIP側の部分に比べて上方に位置し、第2溝部30におけるアウターパネルOP側の部分がインナーパネルIP側の部分に比べて下方に位置するように、両者の前端部及び後端部をそれぞれプレス加工する。
図7における、車両用ドアインパクトビーム10Aの前端部F及び後端部Rがプレス加工された部分である。前端部Fの長手方向に垂直な断面は、その切断位置に拘わらず一定であり、その形状は図8に示す通りである。また、後端部Rの長手方向に垂直な断面は、その切断位置に拘わらず一定であり、その形状は図9に示す通りである。そして、前端部Fから後方へ向かうに従って、断面形状が徐々に変化している。また、後端部Rから前方へ向かうに従って断面形状が徐々に変化している。なお、車両用ドアインパクトビーム10Aの長手方向における中央部Oの断面形状は、図4に示す通りである。
前端部Fの長手方向の寸法は、50mmである。一方、後端部Rの長手方向の寸法は100mmである。前端部F及び後端部Rの車幅方向の寸法は、30mmである。中央部Oの車幅方向の寸法は35mmである。
上記のように、車両用ドアインパクトビーム10Aの長手方向における端部(前端部F及び後端部R)の車幅方向の寸法が比較的小さいので、車両用ドアDRの端部の内部空間が狭い場合であっても、車両用ドアインパクトビーム10Aを車両用ドアDRに取り付けることができる。また、第1溝部20におけるアウターパネルOP側の部分がインナーパネルIP側の部分に比べて上方に位置し、第2溝部30におけるアウターパネルOP側の部分がインナーパネルIP側の部分に比べて下方に位置している。すなわち、図15の例とは異なり、接続壁部40から見てアウターパネルOP側に位置する部分に十分な空間が形成される。つまり、接続壁部40のアウターパネルOP側の面にナットを取り付けるスペースを確保できる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図10に示すように、凸部222及び凸部322を省略してもよい。このように構成した車両用ドアインパクトビーム10Bの曲げ剛性は、図11に示すように、上記実施形態の車両用ドアインパクトビーム10の曲げ剛性と同等である。なお、図11においては、車両用ドアインパクトビーム10の特性を実線で示し、車両用ドアインパクトビーム10Bの特性を一点鎖線で示している。
また、図12に示すように、凸部223,231,232,323,331,332をさらに設けた車両用ドアインパクトビーム10Cとしてもよい。凸部223は、側壁部22における左端部にて、上方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。凸部231は、側壁部23における右端部にて、上方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。凸部232は、側壁部23における左端部にて、下方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。凸部323は、側壁部32における左端部にて、下方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。凸部331は、側壁部33における右端部にて、下方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。凸部332は、側壁部33における左端部にて、上方へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。なお、凸部223,231,232,323,331,332の突出高さは、凸部221,222などと同等である。また、凸部223,231,232,323,331,332の板厚は、底壁部21,31又は接続壁部40の板厚と同等である。また、図12における凸部222,223,231,232,322,323,331,332のうちのいずれか1つ又は複数の凸部を省略してもよい。
また、前端部F及び後端部Rの断面形状を、図13及び図14に示すような形状に設定してもよい。なお、図13に示すように、前端部F及び後端部Rのいずれか一方又は両方のビーム幅方向の寸法を、中央部Oのビーム幅方向の寸法よりも大きくしても良い。
10,10A,10B,10C・・・車両用ドアインパクトビーム、20,30・・・溝部、21,31・・・底壁部、22,23,32,33・・・側壁部、221,222,223,231,232,321,322,323,331,332・・・凸部、40・・・接続壁部、G・・・溝部、DR・・・ドア、IP・・・インナーパネル、M・・・中間成形部材、OP・・・アウターパネル、V・・・車両
Claims (6)
- 車両のドアを構成する第1ドアパネルと第2ドアパネルとの間に配置される車両用ドアインパクトビームであって、
前記第1ドアパネルに沿って所定の方向へ延びる底壁部及び前記底壁部の幅方向における両端部にそれぞれ接続されていて前記所定の方向に延びる一対の側壁部を備え、前記第2ドアパネル側へ向かって開放されている第1溝部と、
前記第1溝部の幅方向に所定の間隔をおいて配置された第2溝部であって、前記第1ドアパネルに沿って前記所定の方向へ延びる底壁部及び前記底壁部の幅方向における両端部にそれぞれ接続されていて前記所定の方向に延びる一対の側壁部を備え、前記第2ドアパネル側へ向かって開放されている第2溝部と、
前記第1溝部の前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部であって前記第2溝部側に位置する側壁部と、前記第2溝部の前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部であって前記第1溝部側に位置する側壁部とを接続する接続壁部であって、前記第2ドアパネルに沿って前記所定の方向に延びる接続壁部と、を備え、
前記第1溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有し、
前記第2溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の内側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有し、
前記第1溝部、前記第2溝部、及び前記接続壁部が押出成型法を用いて一体的に形成されている、車両用ドアインパクトビーム。 - 請求項1に記載の車両用ドアインパクトビームにおいて、
前記第1溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第1溝部の外側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有し、
前記第2溝部は、前記一対の側壁部のうちの他方の側壁部における、前記第2ドアパネル側の端部から前記第2溝部の外側へ突出し、且つ前記所定の方向へ延びる凸部を有する、車両用ドアインパクトビーム。 - 請求項2に記載の車両用ドアインパクトビームにおいて、
前記第1溝部の内側に形成された前記凸部の突出高さと前記第1溝部の外側に形成された凸部の突出高さとが同一であり、
前記第2溝部の内側に形成された前記凸部の突出高さと前記第2溝部の外側に形成された凸部の突出高さとが同一である、車両用ドアインパクトビーム。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の車両用ドアインパクトビームにおいて、
前記第1溝部の底壁部が、前記第1溝部の側壁部よりも厚く形成され、
前記第2溝部の底壁部が、前記第2溝部の側壁部よりも厚く形成され、
前記接続壁部が、前記第1溝部及び前記第2溝部の側壁部よりも厚く形成されている、車両用ドアインパクトビーム。 - 請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載の車両用ドアインパクトビームにおいて、
前記第1溝部及び前記第2溝部の長手方向における端部の溝深さが、前記第1溝部及び前記第2溝部の長手方向における中央部の溝深さよりも小さい、車両用ドアインパクトビーム。 - 請求項5に記載の車両用ドアインパクトビームにおいて、
前記第1溝部の前記端部における前記第1ドアパネル側の部分が前記第2ドアパネル側の部分よりも上方に位置し、
前記第2溝部の前記端部における前記第1ドアパネル側の部分が前記第2ドアパネル側の部分よりも下方に位置している、車両用ドアインパクトビーム。
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