JP2016221772A - 軟質樹脂の造粒方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軟質樹脂を溶融状態とし、次いで、前記軟質樹脂を、多管式熱交換器を用いて降温した上で、ダイス出口から該軟質樹脂を吐出し、水中で回転刃により切断し水中造粒することを特徴とする軟質樹脂の造粒方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、このような課題を解決するものであり、安定した造粒が可能な、軟質樹脂の造粒方法を提供するものである。
〔1〕軟質樹脂を溶融状態とし、次いで、前記軟質樹脂を、多管式熱交換器を用いて降温した上で、ダイス出口から該軟質樹脂を吐出し、水中で回転刃により切断し水中造粒することを特徴とする軟質樹脂の造粒方法。
〔2〕前記多管式熱交換器で、軟質樹脂の粘度が30Pa・s以上となる温度まで降温する〔1〕に記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔3〕前記ダイス出口での半径方向の軟質樹脂の温度差を10℃以下とする〔1〕又は〔2〕に記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔4〕前記多管式熱交換器における軟質樹脂の出口粘度と入口粘度との比が5.0以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔5〕前記多管式熱交換器を流動する冷媒の出口温度と入口温度との差が10℃以下である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔6〕前記多管式熱交換器が、軟質樹脂が通過する管内にスタティックミキサを備える〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔7〕前記多管式熱交換器の流路長/胴径比(L/D比)が2〜10である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
〔8〕前記軟質樹脂が、少なくとも(1)、(2)のいずれかを満たすプロピレン系重合体である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
〔9〕前記軟質樹脂の引張弾性率が、1〜200MPaであり、前記軟質樹脂の温度230℃、加重21.18Nの条件におけるメルトフローレート(MFR)が、1〜10,000g/10分である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の軟質樹脂の造粒方法。
本発明の造粒方法では、多管式熱交換器で、軟質樹脂が粘度30Pa・s以上(より好ましくは40Pa・s以上、更に好ましくは50Pa・s以上)となる温度まで降温することが好ましい。
すなわち、本発明の造粒方法においては、より顕著に安定した造粒を行う観点から、好ましくは、ダイス出口での半径方向の軟質樹脂の温度差(以下、単に「出口温度差」ともいう)を10℃以下とする。
出口温度差は、より顕著に安定した造粒を行う観点から、好ましくは10℃以下、より好ましくは7℃以下、更に好ましくは5℃以下である。
なお、半径方向の樹脂の温度差とは、ダイス出口付近で、樹脂が流動する方向に対する垂直断面において、その中心部とその外周部における最大温度差を意味する。ここで、中心部とは、垂直断面の中心に最も近い場所に位置するダイス穴を指し、外周部とは、垂直断面の中心から最も離れた場所に位置するダイス穴を指す。
なお、降温後の軟質樹脂の温度は、好ましくは軟質樹脂の融点より高い温度である。
多管式熱交換器の冷媒を内部に流動させることで、この間を通過する軟質樹脂を冷却する、即ち、多管式熱交換器においては、その構造に起因して、どうしても冷媒の入口粘度と出口粘度との間に差が生じることとなり、これを通過する軟質ポリオレフィン樹脂にも局所的な温度ムラが発生して、結果、ダイス穴から押し出される軟質樹脂に温度差が生じ造粒の安定性が低下することが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、多管式熱交換器の内部を循環する冷媒の出口温度と入口温度の比を所定範囲内に抑えることで、これを通過する軟質樹脂の局所的な温度ムラを抑えて、カッティング不良を十分に低減し、より安定した造粒が可能な軟質樹脂の造粒方法が提供されることを見出した。上記冷媒の出口温度と入口温度との差は、冷媒の流量を調整することにより制御することができる。
本発明の造粒方法では、多管式熱交換器の流路長/胴径比(L/D比)は、適宜設定可能であるが、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜9、更に好ましくは4〜8である。
次に、本発明の造粒方法が適用できる、軟質樹脂について説明する。
軟質樹脂の引張弾性率は、好ましくは1〜200MPa、より好ましくは5〜150MPa、更に好ましくは10〜100MPaである(JIS K 7113に準拠して測定した値である)。また、温度230℃、加重21.18Nの条件における、該軟質樹脂のメルトフローレート(以下「MFR」ともいう)は、好ましくは1〜10,000g/10分、より好ましくは3〜5,000g/10分であり、更に好ましくは5〜3,000g/10分である(JIS K7210に準拠して測定した値である)。
なお、引張弾性率及びMFRの測定方法は、以下に記載のとおりである。
JIS K 7113に準拠して、下記条件にて引張弾性率を測定する。
・試験片(2号ダンベル) 厚み:1mm
・クロスヘッド速度:100mm/分
・ロードセル:100N
・測定温度:23℃
JIS K7210に準拠し、温度230℃、加重21.18Nの条件で測定する。
軟質樹脂は、多管式熱交換器内での温度ムラに起因して、その粘度が大きく変化するので、結果、管内の流量が不均一になりやすく、安定した造粒を損なうという課題が発生する。それ故に、本願発明の効果を顕著に得ることができる。
〔オレフィン系重合体〕
軟質樹脂として用いられる、オレフィン系重合体は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が1〜80J/gであることが好ましい。
本発明のオレフィン系重合体は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、更に好ましくはプロピレンである。これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。なお、本発明において、単に「オレフィン系重合体」という場合には、オレフィン系共重合体も含まれる。
オレフィン系重合体としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体などが挙げられ、プロピレン系重合体がより好ましい。
さらに、前記プロピレン系重合体は、前記オレフィン系重合体を構成するモノマーの50モル%以上が、プロピレンモノマーであることがより好ましく、前記プロピレン系重合体が、(i)及び/又は(ii)を満たす重合体であってもよい。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
前記オレフィン系重合体、及び前記プロピレン系重合体の融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは1〜80J/g、より好ましくは10〜70J/g、更に好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは20〜50J/gである。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線(ベースライン)とで囲まれる面積を求めることで算出される。
なお、半結晶化時間は、示差走査型熱量計を用いて、試料を窒素雰囲気下、190℃で3分間溶融状態とした後、液化窒素を導入し急速(約300℃/分)に25℃まで降温後、この温度で保持し、試料温度が25℃になった時点から、結晶化発熱ピークが観測されるまでの時間を意味する。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(4)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
(5)[rmrm]>2.5モル%
(6)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦2.0
(7)重量平均分子量(Mw)が20,000〜1,000,000である。
メソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。[mmmm]は、好ましくは25〜55モル%、より好ましくは30〜50モル%、更に好ましくは40〜50モル%である。
プロピレン系重合体の融点(Tm−D)は、強度や成形性の観点から高い方が好ましい。当該融点(Tm−D)は、好ましくは0〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃、より更に好ましくは60〜80℃である。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点(Tm−D)とする。融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。[rrrr]/(1−[mmmm])のこの値が大きくなると既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、べたつきの原因となる。なお、上記における[rrrr]及び[mmmm]は、割合(モル%/100)である。
プロピレン系重合体における[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、更に好ましくは0.01〜0.04である。
プロピレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、高強度の観点から、好ましくは4未満である。オレフィン系重合体、及びプロピレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは1.5〜2.5である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、ポリプロピレンの立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどポリプロピレンのランダム性が増加する。
プロピレン系重合体のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5モル%を超えることが好ましく、より好ましくは2.6モル%以上、更に好ましくは2.7モル%以上であり、そして、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、更に好ましくは4モル%以下である。
トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される[mm]×[rr]/[mr]2の値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなる。本発明に用いるプロピレン系重合体は、上式の値が通常2以下、好ましくは1.8〜0.5、更に好ましくは1.5〜0.5の範囲である。
重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜800,000、更に好ましくは80,000〜500,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
具体的に例示すれば、
(i)一般式(I):
で表される遷移金属化合物、及び
(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物若しくはその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物、及び(ii−2)アルミノキサン、から選ばれる少なくとも1種の成分
を含有する重合用触媒が挙げられる。
同様にメタロセン触媒で製造されているプロピレン系重合体の例としては、プロピレンとエチレンの共重合体(Exxon Mobel 社製vistamaxxなど)、エチレンとオクテンの共重合体(ダウ・ケミカル社製Engageなど)、プロピレンとエチレン、ブテン共重合体(Degussa社製ベストプラストなど)等が挙げられる。
図1は本発明に使用される第1形態の装置の基本構成を模式的に示す図である。図2は本発明に使用される多管式熱交換器の基本構成を模式的に示す断面図である。図3は本発明に使用される第2形態の装置の基本構成を模式的に示す図である。
第1形態に係る装置は、軟質樹脂を溶融する溶融槽11と、溶融状態の軟質樹脂の降温を行う多管式熱交換器12と、降温された軟質樹脂を棒状に吐出するダイス13と、前記ダイスから吐出された軟質樹脂を水中で切断する回転刃141を有する水中カッティングチャンバ14と、水中から造粒された軟質樹脂を取り出す脱水機15とを備える。
多管式熱交換器12は、溶融状態の軟質樹脂が流入させられる樹脂流入口121を有する予備室122と、降温された軟質樹脂が排出させられる樹脂排出口123とを有する樹脂集合室124と、それら予備室122と樹脂集合室124との間に設けられ、液体冷媒が流入させられる冷媒流入口125及び排出させられる冷媒出口126を有する冷媒室127と、その冷媒室127内に設けられて、予備室122及び樹脂集合室124間を接続する複数本(例えば14本)の中空の伝熱管128と、それら伝熱管128の流通方向とは垂直方向に、且つ、互い違いに設けられた複数(例えば6枚)の冷媒誘導板129とを備えている。
なお、伝熱管128の中には、冷却能力向上のため、スタティックミキサが備えられていることが好ましい(図示せず)。
多管式熱交換器の流路長/胴径比(L/D比)は、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜9、更に好ましくは4〜8である。なお、多管式熱交換器において胴径は、供えられた伝熱管の管径の総和を意味し、流路長は、伝熱管の流路長を意味する。
本発明の造粒方法においては、例えば、軟質樹脂は溶融槽11に供給され、該溶融槽内で昇温し溶融状態の軟質樹脂とされる。溶融状態の軟質樹脂は、多管式熱交換器12に送られ、該多管式熱交換器にて軟質樹脂を降温する。
当該多管式熱交換器12を流動する冷媒の出口温度と入口温度との差は、半径方向の樹脂の温度差を低減し、より顕著に安定した造粒を行う観点から、好ましくは10℃以下、より好ましくは7℃以下、更に好ましくは5℃以下である。
カッティングチャンバ14では、回転刃141が高速で回転し樹脂を切断する。また、カッティングチャンバ14内には冷却水Wが流され、切断されたペレットは、当該冷却水によりチャンバー14から脱水機15に搬送される。そして、脱水機15により、ペレット樹脂と冷却水が分離される。
冷却水は、好ましくは融着防止剤を含む。融着防止剤としては、シリコーン等が挙げられる。融着防止剤の含有量は、冷却水に対して、好ましくは100〜5000質量ppm、より好ましくは500〜1000質量ppmである。
第2形態に係る装置は、上述の第1形態に係る装置と構成が基本的に共通する。共通する構成については、図3において第1形態での説明と同様の番号を付して、詳細な説明を省略する。
第2形態に係る装置は、多管式熱交換器12とダイス13との間に、スタティックミキサ16を更に備える。多管式熱交換器12から送られた軟質樹脂は、スタティックミキサ内で混合され、送られた軟質樹脂の出口温度差を低減することができる。すなわち、当該スタティックミキサ16を備えることで、ダイス出口付近での軟質樹脂の温度差を低減することが可能となり、安定した造粒を行うことができる。
以上、本発明の製造方法により、造粒された軟質樹脂(以下、「軟質樹脂ペレット」ともいう)が得られる。
軟質樹脂ペレットの引張弾性率は、好ましくは1〜200MPa、より好ましくは5〜150MPa、更に好ましくは10〜100MPaである。
当該引張弾性率は、JIS K 7113に準拠して測定する。
軟質樹脂ペレットの温度230℃、加重21.18Nの条件におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1〜10,000g/10分、より好ましくは3〜5,000g/10分、更に好ましくは5〜3,000g/10分である。
当該メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して測定する。
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量ΔH−Dとして求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
以下に示す装置および条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
半結晶化時間は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製「DSC−7」)を用いて測定した。
190℃における溶融粘度は、ブルックフィールド社製B型粘度計(型式:HADV-E、型番:KN3312442)で測定した。
引張弾性率は、JIS K 7113に準拠して、下記条件にて測定した。
試験片:2号ダンベル(厚み:1mm)
クロスヘッド速度:100mm/分
ロードセル:100N
測定温度:23℃
攪拌機付きの内容積20Lのステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/hr、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、並びに(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、トリイソブチルアルミニウム及びプロピレンを質量比1:2:20で、事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で30μmol/hrで連続供給した。
反応器内の全圧を1.0MPa・Gに保つようプロピレンと水素とを水素の比率が製造例1より非常に小さい条件で連続供給し、重合温度を70℃付近で適宜調整し所望の分子量を有する重合溶液を得た。
得られた重合溶液に、酸化防止剤をその含有割合が1000質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、ポリプロピレン系重合体(PP1)を得た。
重合温度を70℃から71℃に変更した以外は、製造例1と同様の方法でポリプロピレン重合体を得た。
製造例1で得られたポリプロピレン重合体を内容積3m3のステンレス製溶融槽を用いて、内温180℃で脱溶媒を実施した。
その後、溶融樹脂を移送ポンプにて、多管式熱交換器(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製、L/D比=4)に移送した。多管式熱交換器にて軟質樹脂を126℃まで冷却した後、造粒機にて水中造粒した。冷却条件の詳細は表1に示した。造粒機は田辺プラスチックス機械社製のPASC−21HSを使用し、冷却水の水温を10℃、カッターの周速を3.8m/sとした。また、冷却水には、シリコーン(信越化学工業社製、X−22−904)を600質量ppmになるように添加した。
水中造粒した結果、上記造粒方法において、吐出された軟質樹脂が回転刃に巻きつくことなく、安定したポリプロピレンペレットの造粒が可能であった。
「製造例1で得られたポリプロピレン重合体」を「製造例2で得られたポリプロピレン重合体」とし、多管式熱交換器での冷却条件を、表2に示したとおりとした以外は、実施例1と同様の条件で実施例2の造粒を実施した。水中造粒した結果、上記造粒方法において、吐出された軟質樹脂が回転刃に巻きつくことなく、安定したポリプロピレンペレットの造粒が可能であった。
12:多管式熱交換器
13:ダイス
14:水中カッティングチャンバ
141:回転刃
15:脱水機
16:スタティックミキサ
W:冷却水
Claims (9)
- 軟質樹脂を溶融状態とし、
次いで、前記軟質樹脂を、多管式熱交換器を用いて降温した上で、ダイス出口から該軟質樹脂を吐出し、水中で回転刃により切断し水中造粒することを特徴とする軟質樹脂の造粒方法。 - 前記多管式熱交換器で、軟質樹脂が粘度30Pa・s以上となる温度まで降温する請求項1に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記ダイス出口での半径方向の軟質樹脂の温度差を10℃以下とする請求項1又は2に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記多管式熱交換器における軟質樹脂の出口粘度と入口粘度との比が20以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記多管式熱交換器を流動する冷媒の出口温度と入口温度との差が20℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記多管式熱交換器が、軟質樹脂が通過する管内にスタティックミキサを備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記多管式熱交換器の流路長/胴径比(L/D比)が2〜10である請求項1〜6のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
- 前記軟質樹脂が、少なくとも(1)、(2)のいずれかを満たすプロピレン系重合体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
(1)[mmmm]が20〜60モル%である。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。 - 前記軟質樹脂の引張弾性率が、1〜200MPaであり、前記軟質樹脂の温度230℃、加重21.18Nの条件におけるメルトフローレート(MFR)が、1〜10,000g/10分である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の軟質樹脂の造粒方法。
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