JP2016218181A - レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ - Google Patents

レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ Download PDF

Info

Publication number
JP2016218181A
JP2016218181A JP2015101204A JP2015101204A JP2016218181A JP 2016218181 A JP2016218181 A JP 2016218181A JP 2015101204 A JP2015101204 A JP 2015101204A JP 2015101204 A JP2015101204 A JP 2015101204A JP 2016218181 A JP2016218181 A JP 2016218181A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
light
crystal layer
laser
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015101204A
Other languages
English (en)
Inventor
江口 稔康
Toshiyasu Eguchi
稔康 江口
尚 青木
Takashi Aoki
尚 青木
豊 立岩
Yutaka TATEIWA
豊 立岩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hosiden Corp
Original Assignee
Hosiden Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hosiden Corp filed Critical Hosiden Corp
Priority to JP2015101204A priority Critical patent/JP2016218181A/ja
Publication of JP2016218181A publication Critical patent/JP2016218181A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Projection Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】スペックルノイズを低減し、且つ、高品質な画像を表示することができるレーザ光を用いた投射装置を提供する。
【解決手段】レーザ光を用いた投射装置10は、波長の異なる複数のレーザ光を所定の偏光方向で発生する光源部100と、複数のレーザ光を合成する合成光学部200と、複数のレーザ光から投射画像を形成する画像形成部300と、合成光学部200から出射した複数のレーザ光の偏光状態を変化させる液晶素子400と、を備える。該投射装置10においては、液晶素子400は一対の基板の間に液晶層を有し、液晶素子400は複数のレーザ光の透過領域において単一の偏光状態を生成し、偏光状態は1つの投射画像の形成中に変化し、液晶層の液晶分子は一対の基板の間で螺旋構造を有しており、液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性との積が2500nm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイに関する。
近年、小型で高効率なレーザ光を光源として用いた投射装置が開発されている。レーザ光は輝度が高く色再現性に優れており、広画角化、低消費電力化、高コントラスト化が可能なことから、投射装置としてヘッドマウントディスプレイやヘッドアップディスプレイ等への適用も進んでいる。
レーザ光はコヒーレンス性が高いので、投射装置で投射した面(投射面)の凹凸によりレーザ光が散乱されると、散乱光同士が干渉し、投射面に表示させた画像(表示画像)に明暗の斑点模様であるスペックルノイズが現れることがある。スペックルノイズにより表示画像の品質は著しく損なわれる。スペックルノイズは、レーザ光源を用いた投射装置特有の問題であり、従来より種々の解決の試みが行われてきた。
特許文献1には、レーザ光源から出射されたレーザ光の空間的な偏光分布を変換する偏光分布変換手段を備えた画像表示装置が開示されている。この偏光分布手段は、空間光変調器の隣接する画素に入射されるレーザ光の偏光方向が互いに直交するように偏光分布を変換する。偏光分布が変換された後のレーザ光は空間光変調器に入射され、空間光変調器で変調されたレーザ光がスクリーンに照射されて画像を表示する。スクリーンに表示された画像の中で、空間光変調器の隣接する画素に対応した領域に照射されたレーザ光は、その偏光方向が互いに直交しているため干渉が生じず、その結果スペックルノイズも生じない。よって、スペックルノイズの発生が大幅に抑制された高品質な画像を表示することができる。
特許文献2においては、レーザ光源から出射されたレーザ光の偏光状態を時間的に変化させる偏光制御ユニットを備え、画像を投射する表示光学系が開示されている。偏光制御ユニットは、1/2波長板をモータで回転させて偏光状態を時間的に変化させるよう構成されている。該表示光学系においては、レーザ光の偏光状態が時間的に変化するので、スクリーン上には異なるスペックルノイズが発生した複数の画像が順次表示される。例えばフレームレート60Hzで各画像が表示される場合には、スペックルノイズの発生する画像も1/60秒毎に切り替わる。これは人間の眼の残像時間よりも速いので、眼の残像効果により各フレームで発生したスペックルノイズが平滑化されて認識される。これにより表示画像におけるスペックルノイズを低減する。
特許文献3においては、レーザ光源から出射されたレーザ光の偏光状態を切り替える偏光状態変調部を備えた投射型画像表示装置が開示されている。偏光状態変調部は複数の特定偏光状態を所定の順番に従って映像信号のフレーム単位で順次切り替える。偏光状態変調部には液晶セル(液晶素子)を用いており、液晶セルに印加する交流電圧の大きさをフレーム単位で変えることで特定偏光状態を切り替えている。スペックルノイズの発生個所はレーザ光の偏光状態によって変化するので、該画像表示装置においては、異なる箇所にスペックルノイズが発生した画像がフレーム単位で順次スクリーン上に表示される。これにより、表示画像におけるスペックルノイズを低減する。
特許文献4においては、レーザ光源から出射されたレーザ光を2次元的に走査して1フレームの画像を形成し各フレームの描画の間にブランキング期間を有してスクリーン上に投射画像を表示するレーザ投射装置が開示されている。該レーザ投射装置は、レーザ光源から出射される光の偏光状態をブランキング期間中に変更する偏光変換部を備えている。偏光変換部は駆動制御装置と液晶素子を備えており、液晶素子に印加する交流電圧のオンとオフの切り替えをブランキング期間中に行うことでフレーム単位での偏光状態を切り替えている。このような駆動制御装置を備えることにより、フレーム単位では偏光状態が変化するものの各フレームの描画中には偏光状態が変化しないので、スペックルノイズを低減できると共に1フレーム内での輝度の変化がない良好な画像を投射することができる。
特開2002−062582号公報 特開2006−047422号公報 国際公開第2010/116838号 国際公開第2011/037039号
特許文献1においては、空間光変調器の隣接する画素に入射されるレーザ光の偏光方向が互いに直交するように偏光分布を変換しているものの、各画素の偏光方向は時間の経過によっては変化せず、また、1つおきの画素又は斜め方向の画素とは偏光方向が同じであるため、そのような画素間でスペックルノイズが発生するおそれがある。特許文献2においては、偏光状態を時間的に変化させるよう構成されているが、偏光状態を変化させるために1/2波長板をモータで回転させるため、駆動源が必要となり、表示光学系が大型化するおそれがある。
特許文献3、4においては、液晶素子を用いてフレーム単位で偏光状態を変化させており、各フレームの描画中は偏光状態を変化させずにフレームの切り替えタイミングで偏光状態を変化させている。液晶素子を用いると装置の小型化が可能になるが、液晶素子の液晶分子の印加電圧に対する応答速度は遅く、現実にフレームの切り替えタイミングで偏光状態を変化させるのは困難である。フレーム単位での変更状態の切り替えができないと同じ偏光状態で複数のフレームが描画されるので、スペックルノイズの低減効果を十分に得ることができないおそれがある。
また、例えば赤色、緑色、青色のように異なる色の光を発生する複数の光源がある場合、光の波長は色によって異なるので、液晶素子を透過する光は色により異なる旋光分散が発生し、印加電圧に対する偏光方向の特性も異なる。印加電圧に対する偏光方向の特性が異なると、投射画像中で同じ色を表示すべき複数の画素(パネル画素)で、光の色による偏光方向の特性の違いによって色の変化が生じてしまい、画像を見ている人間に違和感を与えてしまうおそれがある。
このように、スペックルノイズを低減し、且つ、高品質な画像を表示することができるレーザ光を用いた投射装置が求められている。
本発明に係るレーザ光を用いた投射装置の1つの実施形態は、波長の異なる複数のレーザ光を所定の偏光方向で発生する光源部と、前記複数のレーザ光を合成する合成光学部と、前記複数のレーザ光から投射画像を形成する画像形成部と、前記合成光学部から出射した前記複数のレーザ光の偏光状態を変化させる液晶素子と、を備え、前記液晶素子は一対の基板の間に液晶層を有し、前記液晶素子は前記複数のレーザ光の透過領域において単一の偏光状態を生成し、前記偏光状態は1つの前記投射画像の形成中に変化し、前記液晶層の液晶分子は前記一対の基板の間で螺旋構造を有しており、前記液晶分子の螺旋ピッチと前記液晶層の屈折率異方性との積が2500nm以上である。
このように、液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性の積が2500nm以上の関係を充足する液晶素子を備えた投射装置においては、フレーム単位で合成光の偏光方向が変化するので、スクリーン上に投射した表示画像におけるスペックルノイズが減少し、ノイズの少ない高品質の画像を表示することができる。また、液晶素子が波長の異なる複数のレーザ光の旋光分散が低減し偏光特性が同じになるように構成されているので、1つの投射画像の形成中に偏光方向が変化しても、印加電圧に対して波長の異なる複数のレーザ光の全ての偏光方向が同じように変化して、色の変化はほとんど生じない。従って、投射装置は、スペックルノイズが少なく高品質の画像を表示させることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記屈折率異方性が0.25よりも大きい。
屈折率異方性が0.25よりも大きいと、螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性の積が2500nm以上となる螺旋ピッチ、すなわち液晶層の厚さを小さくすることができるので、液晶層の液晶分子の応答速度を速めることができ、液晶素子として偏光方向の変化を短時間で完了させることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記液晶層における前記液晶分子のねじれ角が90度である。
このような構成とすれば、液晶層への電圧印加のオンとオフとで、液晶層を透過する光の偏光方向が90度変化する。これにより、偏光方向の変化によるスペックルノイズの低減効果を最大にすることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記液晶層は、複数の層を積層して構成される。前記液晶層は第1層と第2層とを積層して構成され、前記第1層における前記ねじれ角及び前記第2層における前記ねじれ角はいずれも45度であると好適である。
一般に、液晶素子の液晶層が複数であるN層の液晶層を積層して構成されている場合、液晶素子を通過する光の偏光方向をφ度変化させるためには、各液晶層への電圧印加を同電圧で同じタイミングで行うことで、印加電圧のオンとオフによる各液晶層での偏光方向の変化はφ/N度で済む。このとき、各液晶層における液晶分子のねじれ角はθ(=φ/N)度であればよく、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチpは各液晶層の厚さをdxとしたときに、p=dx×360/θとなる。
複数ある各液晶層において、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチと各液晶層の屈折率異方性との積はいずれも2500nm以上であるとする。
例えば、透過する光の偏光方向を90度変化させる場合、単層の液晶層を備えた液晶素子(単層素子)の螺旋ピッチと、単層の液晶層と同じ厚さの液晶層を積層して複数備えた液晶素子(複層素子)の螺旋ピッチとでは、複層素子の方が各液晶層の液晶分子のねじれ角が小さくて済む分、螺旋ピッチは大きくなる。単層素子の液晶素子の液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性との積が2500nmである場合において単層素子と複層素子とで屈折率異方性が同値であれば、複層素子の各液晶素子の液晶分子の螺旋ピッチと各液晶層の屈折率異方性との積は、単層素子より螺旋ピッチが大きくなる分だけ2500nmより大きくなる。これにより、波長の異なる複数のレーザ光の旋光分散が更に低減し偏光特性を同じにすることができる。
また、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチと各液晶層の屈折率異方性との積が2500nmになるように複層素子を構成するのであれば、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチが単層素子の螺旋ピッチよりも大きくなる分だけ各液晶層の屈折率異方性の値を小さくすることができる。これにより、各液晶層に屈折率異方性の値が小さい液晶を使用することが可能になり、液晶材料選択の幅を広げることができる。
さらに、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチと各液晶層の屈折率異方性との積が2500nmになるように複層素子を構成する場合において単層素子と複層素子とで屈折率異方性が同値であれば、複層素子において各液晶層の液晶分子のねじれ角を維持したまま螺旋ピッチが単層素子の螺旋ピッチと同値になるまで各液晶層の厚さを薄くすることができる。各液晶層の厚さが薄くなれば、各液晶層の液晶分子の応答速度を速めることができるので(連続体理論)、液晶素子として0度と90度の偏光方向の変化を短時間で完了させることができ、投射画像の形成中において偏光方向が0度と90度の時間を長くすることができる。その結果、投射装置は、スペックルノイズが少なく更に高品質の画像を表示させることができる。
この1つの実施形態のように、液晶素子が液晶層としてねじれ角がいずれも45度である第1層と第2層を備えると、交流電源による第1層、第2層への電圧印加を同電圧で同じタイミングで行うことで、印加電圧のオンとオフによる第1層、第2層を透過する光の偏光方向の変化はそれぞれ45度で済む。そのため、液晶素子として0度と90度の偏光方向の変化を短時間で完了させることができる。これにより、投射画像の形成中において偏光方向が0度と90度の時間を長くすることができるので、投射装置は、スペックルノイズが少なく更に高品質の画像を表示させることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記一対の基板の少なくとも前記光源部に近い側の基板の表面に反射防止膜が形成されている。前記反射防止膜は、無機材料からなる積層膜であると好適である。
このような構成とすれば、光源部から出射された光を有効に液晶素子に入射させることができるので、投射装置は、高輝度の画像を表示させることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記一対の基板の少なくとも前記光源部から遠い側の基板の表面に拡散膜が形成されている。拡散膜の代わりに前記複数のレーザ光を拡散させるための凹凸部が形成されていてもよい。
このような構成とすれば、液晶素子を透過した光のコヒーレンス性が低下するので、スクリーン上に投射される画像に現れるスペックルノイズを更に低減させることができる。また、スクリーン上に輝度むらの少ない均一輝度の画像を表示させることができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記光源部は、赤色光を発生する赤色レーザ光源と、緑色光を発生する緑色レーザ光源と、青色光を発生する青色レーザ光源とを含む。
このような構成とすれば、投射装置はカラー画像を投射することができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記画像形成部は、前記複数のレーザ光を走査する走査機構を含む。このとき、前記液晶素子は、前記合成光学部と前記画像形成部との間に配置される。
このような構成とすれば、走査機構を用いて、画像を投射することができる。
該投射装置の1つの実施形態においては、前記画像形成部は、前記複数のレーザ光を画素ごとに変調する空間光変調素子を含む。このとき、前記画像形成部は、前記光源部と前記液晶素子との間に配置される。
このような構成とすれば、空間光変調素子を用いた投射装置を構成することができる。
本発明に係る車載用ヘッドアップディスプレイの1つの実施形態は、上記のレーザ光を用いた投射装置を備える。
このような特徴構成とすれば、スペックルノイズが少なく高品質の画像を表示させることができるヘッドマウントディスプレイを得ることができる。
第1実施形態に係る投射装置の構成を表すブロック図である。 第1実施形態に係る液晶素子の構成を表す断面図である。 第1実施形態に係る液晶素子を光が透過したときの偏光状態の変化を表す概略図である。 画像投射時における偏光状態の変化を表すグラフである。 液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性との積が2500nm以上である液晶素子を赤色光、緑色光、青色光が透過したときの偏光特性を表すグラフである。 液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性との積が2500nm未満である液晶素子を赤色光、緑色光、青色光が透過したときの偏光特性を表すグラフである。 L*a*b*表色系における彩度差を表すグラフである。 液晶分子の螺旋ピッチと液晶層の屈折率異方性との積と、2つの色の彩度の差異と、の関係を表すグラフである。 第1実施形態の変形例に係る液晶素子の構成を表す断面図である。 第1実施形態の変形例に係る液晶素子を光が透過したときの偏光状態の変化を表す概略図である。 第1実施形態の変形例に係る液晶素子の構成を表す断面図である。 第1実施形態の変形例に係る液晶素子の構成を表す断面図である。 第1実施形態の変形例に係る液晶素子の構成を表す断面図である。 第2実施形態に係る投射装置の構成を表すブロック図である。 第1実施形態に係る投射装置を用いたヘッドアップディスプレイの構成を表すブロック図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1に第1実施形態に係る投射装置10の構成を表すブロック図を示す。投射装置10は、光源部100と、合成光学部200と画像形成部300と液晶素子400とを備えている。投射装置10は、光源部100で発生した光を合成光学部200で合成して合成光を生成し、液晶素子400で合成光の偏光状態(以下では、「偏光方向」とも称する)を変化させ、画像形成部300で合成光から投射画像を形成して、スクリーン500上に投射して画像(表示画像)を表示する。
スペックルノイズはスクリーン500の表面の凹凸により、合成光の散乱光が互いに干渉して発生する。スペックルノイズはスクリーン500上の表示画像に明暗の斑点模様となって現れ、これにより表示画像の品質が低下する。本実施形態に係る投射装置10においては、液晶素子400を透過する合成光の偏光状態をフレーム単位で変化させ、スペックルノイズを低減している。詳細は後述する。
光源部100は、緑色光を発生するレーザダイオード(LD)110、青色光を発生するLD120と、赤色光を発生するLD130とを備える。各色の光は所定の直線偏光状態で、且つ、スクリーン500上に表示される画像の画素(パネル画素)に対応して変調されて出射される。LD110〜130を備えることにより、投射装置10はカラー画像を投射することができる。なお、LD110は緑色レーザ光源の一例、LD120は青色レーザ光源の一例、LD130は赤色レーザ光源の一例である。
本実施形態においては、3色の光源にそれぞれ専用のLDを用いたが、白色光を発生するLDからダイクロイックミラー等で分離して2色又は3色の光源を構成してもよい。本実施形態では、LD110〜130を用いたが、他の色を発生するLDを用いて光源部100を構成してもよい。また、光源部100から出射する光の数は3つに限らず2つでも、4つ以上であってもよい。
合成光学部200は、LD110から発生した緑色光を反射するミラー210と、緑色光を透過しLD120から発生した青色光を反射するダイクロイックミラー220と、緑色光と青色光を透過しLD130から発生した赤色光を反射するダイクロイックミラー230とを備える。合成光学部200は緑色光と青色光と赤色光を合成して合成光を生成する。合成光の状態で緑色光、青色光、赤色光はいずれも同じ偏光方向を有している。
画像形成部300は、走査機構の一例である水平走査ミラー310と垂直走査ミラー320とを備えており、入射した合成光を2次元方向に走査する。本実施形態においては、水平走査ミラー310として、半導体製造技術等を用いて製作されたMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーであって、電磁力等を用いて往復揺動(共振振動)させることができるものを用いている。また、垂直走査ミラー320として、ガルバノミラーを用いている。水平走査ミラー310と垂直走査ミラー320は不図示の駆動源により駆動される。これにより、合成光は、スクリーン500上で上左端から、水平方向への走査及び垂直方向への走査を順次繰り返して下右端まで走査され、画像形成部300で形成された1フレームの画像が投射されて表示される。その後、再び走査位置は上記上左端へ戻り、次フレームの画像を投射、表示するための走査が始まる。なお、1フレームの投射画像は合成光が上右端から下左端まで走査されて表示される構成であってもよい。また、画像形成部300は、走査機構の他の一例として単一のミラーで水平方向と垂直方向を走査するように揺動させる構成であってもよい。
液晶素子400は、図2に示すように、透光性の基板411、412の間に透光性の液晶層441を設けると共に、液晶層441と基板411、412の間に液晶層441の液晶分子を配向させる透光性の配向層431、432と、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性材料からなり電圧を印加して液晶層441に作用させる電界を発生させる電極層421、422を備えている。液晶素子400は合成光学部200と画像形成部300との間に配置され、合成光学部200が出射した合成光を透過させて画像形成部300に入射させる。交流電源450により電極層421、422に電圧が印加されると、発生した電界により液晶素子400の液晶層441の液晶分子の配向状態が変化し、これにより、透過する合成光の偏光状態が変化する。なお、図2中のΔnは液晶層441の屈折率異方性を表し、dは液晶層441の厚さを表す。図中、左方から右方へ向かう矢印は合成光の進行方向を表す。
図3に、電圧が印加されていないときの液晶素子400を透過する光の偏光状態の変化を示す。液晶素子400の配向層431、432は液晶分子を一定方向に配列させる機能を有しており、本実施形態においては直交する方向に液晶分子を配列させるように対向して配置されている。そのため、液晶層441の液晶分子は配向層431から配向層432に向かうにつれて90度ねじれて配列される螺旋構造を有している。液晶層441を透過する光の偏光方向は液晶分子の配列に沿って回転する。
図3に示すように、矢印Aで示す光Xの偏光方向が矢印Bで示す配向層431近傍の液晶分子の配列方向と同じ場合、光Xは配向層431を透過して液晶層441に入射する。光Xは、液晶層441を透過中に液晶分子の配列に沿って矢印Dのように偏光方向が90度回転し、矢印Dの偏光状態のまま矢印Cで示す配向層432を透過して出射する。
一方、交流電源450により電極層421、422に電圧が印加されると、発生した電界の作用を受けて液晶分子は光Xの進行方向に沿って配列するため、液晶素子400の透過前後で光Xの偏光方向は矢印Aの方向のままで変化しない。このように、交流電源450による印加電圧のオンとオフとにより、液晶素子400を透過する光Xの偏光方向は90度変化する。この偏光方向の変化は合成光においても同様に発生する。
本実施形態においては、合成光全体の偏光状態を同時且つ同様に変化させるため、液晶素子400の液晶層441は、単一の画素を形成する構造を有する。このような構成を有する液晶素子400によれば、透過する合成光の偏光状態は透過する場所によらずに同じであり、偏光状態の変化も同時且つ同様に発生する。換言すれば、液晶素子400は、合成光において一つの偏光状態のみを生成する。
本実施形態においては、図4に示すように、1フレームの投射画像の描画時間(以下、「フレーム期間T」と称し、個々のフレーム期間Tを表すときには、フレーム期間T1、フレーム期間T2等と称する)中、すなわち、画像形成部300における投射画像の形成時間中に合成光の偏光方向が変化する。図4に示すように、フレーム期間T1中の第1変化時間τrで偏光方向が0度から90度に変化し、次のフレーム期間T2中の第2変化時間τdで偏光方向が90度から0度に変化する。フレーム期間T1とフレーム期間T2の時間は同じで、第1変化時間τrと第2変化時間τdの和はフレーム期間Tよりも短い。フレーム期間T1の間は交流電源450により電圧が印加され、フレーム期間T2の間は電圧の印加が停止される。上述したように、印加電圧に対する液晶分子の応答速度は遅いため、交流電源450により電圧を印加しても第1変化時間τrが経過しないと液晶分子は合成光の進行方向に揃う配列とならず、電圧の印加を停止しても第2変化時間τdが経過しないと液晶分子は螺旋構造の配列に戻らない。すなわち、偏光方向が90度変化するのに第1変化時間τr、第2変化時間τdを要する。
このような構成にすることにより、スクリーン500上にはフレーム単位で偏光方向が0度の投射画像と90度の投射画像とが交互に表示されるので、フレーム単位でスペックルノイズの発生箇所も変化する。これにより、各フレームで発生したスペックルノイズが平滑化され、スクリーン500上に表示される画像に現れるスペックルノイズが減少する。本実施形態においては、偏光方向が90度変化するので、他の角度の変化と比較してスペックルノイズの低減効果が最大となる。フレーム期間Tの途中で偏光方向が変化したとしても、水平走査ミラー310と垂直走査ミラー320の走査方向は一方向(上左端から下右端)なので、同じパネル画素に同じ偏光方向の合成光が2フレーム連続して投射されることはない。
上述したように、本実施形態の投射装置10においてはフレーム期間Tの途中で偏光方向が90度変化する。一般的に、光の色(波長)が異なると、液晶層441中では異なる旋光分散が発生し、印加電圧に対する偏光方向の特性(以下、「偏光特性」と称する)が異なる。図6に示すように、合成光の成分である緑色光、青色光、赤色光はそれぞれ波長が異なるため、旋光分散が異なり偏光特性も異なっている。偏光特性が異なっていると、本実施形態のようにフレーム期間T中に偏光方向を変化させたときに、印加電圧の値によっては投射画像中で同じ色を表示すべき複数のパネル画素で、緑色光、青色光、赤色光の偏光特性の違いによって色の変化が生じてしまい、画像を見ている人間に違和感を与えてしまうことがある。色の変化を生じさせないためには、緑色光、青色光、赤色光の偏光特性を同じにした上で投射画像を形成して投射する必要がある。
そのため本実施形態においては、液晶素子400の液晶層441の液晶分子の螺旋構造の螺旋ピッチをpとしたとき、p×Δn≧2500nm(Δnは上述の液晶層441の屈折率異方性)を充足するように構成されている。螺旋ピッチpは、液晶分子のねじれ角をθとしたときに、p=d×360/θの関係を有する(dは上述の液晶層441の厚さ)。本実施形態においては、図3に示す矢印Bと矢印Cの関係より、ねじれ角θは90度である。
液晶素子400がp×Δn≧2500nmの関係を充足すると、図5に示すように、緑色光、青色光、赤色光の旋光分散が低減し偏光特性が同じになる。これにより、本実施形態のようにフレーム期間T中に偏光方向が変化する構成であったとしても、印加電圧に対して緑色光、青色光、赤色光の全ての偏光方向が同じように変化するので、フレーム期間T中の投射画像において同じ色を複数のパネル画素に表示させても色の変化は生じない。
厳密に言うと、液晶素子400がp×Δn≧2500nmの関係を充足した状態であっても、図5に示すように、緑色光、青色光、赤色光の偏光特性はわずかに異なる。そのため、フレーム期間T中の投射画像において同じ色を複数のパネル画素に表示させたときには、当該複数のパネル画素の間では色がわずかに変化している可能性がある。しかし、投射された表示画像を見る人間がその色の違いを認識できなければ、その人間には同じ色に見え、色の変化は生じていないものとして認識される。
以下、国際照明委員会(CIE)で1976年に規格化され、日本工業規格JIS Z8781−4で採用されているL*a*b*表色系に基づいて、投射装置10においては、複数のパネル画素の間での色の変化が表示画像を見る人間には認識されないことを説明する。L*a*b*表色系において、L*は明度、a*とb*は色相と彩度を示す色度を表す。a*とb*は色により一義的に定まる値で、彩度(c*)はc*=((a*)2+(b*)21/2により求められる。また、2つの色の彩度の差異(Δc*)はΔc*=((Δa*)2+(Δb*)21/2(Δa*は2つの色のa*の差異、Δb*は2つの色のb*の差異)により求められる。
図7はL*a*b*表色系における彩度差を表すグラフである。Δa*、Δb*は2つの色の差異の方向を示しており、+Δa*は赤方向、−Δa*は緑方向、+Δb*は黄方向、−Δb*は青方向を示している。2つの色に差異がないときは2つの色のa*とb*は同値なので、Δa*=0、Δb*=0となり、Δc*=0となる。これはΔa*軸とΔb*軸との交点である。本実施形態に係る投射装置10やプロジェクタ等の表示装置における信頼性評価や商取引においては、Δc*≦1.2であれば、すなわち、Δc*が図7において破線で示す円の内側にあれば人間はその2つの色の差異を判別することができず、同じ色に見えるとされている。
図7、図8に示すように、液晶素子400においてp×Δn=2500nmのときには、投射画像において同じ色を表示する2つのパネル画素間の色の差異はΔa*=−0.8、Δb*=0.9となり、Δc*=1.2となる。また、p×Δn=2550nmのときには、投射画像において同じ色を表示する2つのパネル画素間の色の差異はΔa*=−0.6、Δb*=0.6となり、Δc*=0.8となる。これらはいずれもΔc*≦1.2であり、投射装置10を用いてフレーム期間T中の投射画像において同じ色を複数のパネル画素に表示させたときには、スクリーン500に投射された表示画像を見る人間がその色の違いを認識できず、色の変化は生じていないものとして認識される。
一方、p×Δn=2000nmのときには、投射画像において同じ色を表示する2つのパネル画素間の色の差異はΔa*=1.3、Δb*=1.5となり、Δc*=2.0となるので、フレーム期間T中の投射画像において同じ色を複数のパネル画素に表示させたときには、投射された表示画像を見る人間がその色の違いを認識して、表示画像に色むらが存在する等の違和感を覚えることとなる。
このように、p×Δn≧2500nmの関係を充足する液晶素子400を備えた投射装置10においては、フレーム単位で合成光の偏光方向が変化するので、スクリーン500上に投射した表示画像におけるスペックルノイズが減少し、ノイズの少ない高品質の画像を表示することができる。また、液晶素子400が緑色光、青色光、赤色光の旋光分散が低減し偏光特性が同じになるように構成されているので、フレーム期間T中に偏光方向が変化しても、印加電圧に対して緑色光、青色光、赤色光の全ての偏光方向が同じように変化して、色の変化はほとんど生じない。このときΔc*≦1.2となるので、色の変化が生じたとしても、スクリーン500に投射された表示画像を見る人間はその違いを認識することができず、色の変化は生じていないものとして認識される。従って、投射装置10は、スペックルノイズが少なく高品質の画像を表示させることができる。
通常、投射装置10に用いられている液晶層の屈折率異方性Δnは0.11〜0.22程度であるが、Δnが0.25よりも大きいことが好ましい。Δnが0.25よりも大きいと、p×Δn≧2500nmを充足するp、すなわちdを小さくすることができるので、液晶層441の液晶分子の応答速度を速めることができ(連続体理論)、液晶素子400として0度と90度の偏光方向の変化を短時間で完了させることができる。従って、図4に示す、フレーム期間Tにおける第1変化時間τrと第2変化時間τdとを短くして偏光方向が0度と90度の時間を長くすることができるので、投射装置10は、スペックルノイズが少なく更に高品質の画像を表示させることができる。
〔第1実施形態の変形例〕
以下、本発明の第1実施形態の変形例に係る投射装置10について図面に基づいて詳細に説明する。本変形例の説明においては、第1実施形態と同じ構成の箇所には同じ符号を付し、同様の構成に関する説明は省略する。
本変形例に係る投射装置10は、液晶素子400の構成が第1実施形態とは異なっている。具体的には、図9に示すように、液晶素子400が透光性の液晶層441と透光性の液晶層442とを備えている。液晶層441は透光性の基板411、413の間に設けられ、液晶層442は基板413、412の間に設けられている。液晶層441と液晶層442の屈折率異方性はいずれも同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、液晶層441の厚さはd1、液晶層442の厚さはd2である。図中、左方から右方へ向かう矢印は合成光の進行方向を表す。なお、本変形例において、液晶層441は第1層の一例であり、液晶層442は第2層の一例である。液晶層441の厚さd1と液晶層442の厚さd2とは同じ厚さである必要はないが、液晶層441と液晶層442の特性を同等にする場合には、液晶層441の厚さd1と液晶層442の厚さd2を同じ厚さにするのが望ましい。
液晶層441の両側には液晶層441の液晶分子を配向させる透光性の配向層431と配向層433が備えられ、液晶層442の両側には液晶層442の液晶分子を配向させる透光性の配向層433と配向層432が備えられる。また、配向層431と配向層433の外側、及び、配向層433と配向層432の外側には、ITO等の透光性材料からなり液晶層441、442に電圧を印加する電極層421、422がそれぞれ備えられる。
図10に、電圧が印加されていないときの液晶素子400を透過する光の偏光状態の変化を示す。配向層433は液晶分子を配向層431、432に対して45度に液晶分子を配列させるように配置されている。図10に示すように、矢印Aで示す光Xの偏光方向が矢印Bで示す配向層431近傍の液晶分子の配列方向と同じ場合、光Xは配向層431を透過して液晶層441に入射する。光Xは、液晶層441を透過中に液晶分子の配列に沿って矢印Eのように偏光方向が45度回転し、その偏光状態のまま矢印Eで示す2つの配向層433を透過して液晶層442に入射する。そして液晶層442を透過中に液晶分子の配列に沿って偏光方向が更に45度回転し、矢印Dの偏光状態で矢印Cで示す配向層432を透過して出射する。すなわち、光Xが液晶素子400を透過すると、第1実施形態と同様に、光Xの偏光方向は90度回転している。
本変形例のように、液晶素子400が液晶層441、442を備えると、交流電源450による液晶層441、442への電圧印加を同電圧で同じタイミングで行うことで、印加電圧のオンとオフによる液晶層441、442を透過する光の偏光方向の変化はそれぞれ45度で済む。そのため、液晶素子400として0度と90度の偏光方向の変化を短時間で完了させることができる。従って、図4に示す、フレーム期間Tにおける第1変化時間τrと第2変化時間τdとを短くして偏光方向が0度と90度の時間を長くすることができるので、投射装置10は、スペックルノイズが少なく更に高品質の画像を表示させることができる。
一般に、液晶素子の液晶層が複数であるN層の液晶層を積層して構成されている場合、液晶素子を通過する光の偏光方向をφ度変化させるためには、各液晶層への電圧印加を同電圧で同じタイミングで行うことで、印加電圧のオンとオフによる各液晶層での偏光方向の変化はφ/N度で済む。このとき、各液晶層における液晶分子のねじれ角はθ(=φ/N)度であればよく、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチpは各液晶層の厚さをdxとしたときに、p=dx×360/θとなる。
複数ある各液晶層において、各液晶層はp×Δn≧2500nmの関係を充足するものとする。
例えば、透過する光の偏光方向を90度変化させる場合、厚さdxの単層の液晶層を備えた液晶素子(単層素子)の螺旋ピッチp1と、単層の液晶層と同じ厚さdxの液晶層を積層してN層備えた液晶素子(複層素子)の螺旋ピッチp2とでは、複層素子の方が各液晶層の液晶分子のねじれ角θが小さくて済む分、螺旋ピッチp2は螺旋ピッチp1よりも大きくなる。単層素子の液晶層がp1×Δn=2500nmの関係を充足する場合において単層素子と複層素子とで屈折率異方性Δnが同値であれば、複層素子の各液晶素子のp2×Δnは、単層素子より螺旋ピッチp2が大きくなる分だけ2500nmより大きくなる。これにより、波長の異なる複数のレーザ光の旋光分散が更に低減し偏光特性を同じにすることができる。
また、複層素子の各液晶層がp2×Δn=2500nmの関係となるように構成するのであれば、各液晶層の液晶分子の螺旋ピッチp2が螺旋ピッチp1よりも大きくなる分だけ各液晶層の屈折率異方性Δnの値を小さくすることができる。これにより、各液晶層に屈折率異方性Δnの値が小さい液晶を使用することが可能になり、液晶材料選択の幅を広げることができる。
さらに、複層素子の各液晶層がp×Δn=2500nmの関係を充足する場合において単層素子と複層素子とで屈折率異方性Δnが同値であれば、複層素子において各液晶層の液晶分子のねじれ角θを維持したまま螺旋ピッチp2が螺旋ピッチp1になるまで各液晶層の厚さdxを薄くすることができる。各液晶層の厚さdxが薄くなれば、各液晶層の液晶分子の応答速度を速めることができるので(連続体理論)、液晶素子として0度と90度の偏光方向の変化を短時間で完了させることができ、投射画像の形成中において偏光方向が0度と90度の時間を長くすることができる。その結果、投射装置は、スペックルノイズが少なく更に高品質の画像を表示させることができる。
〔第1実施形態の他の変形例〕
図11に示すように、本変形例においては、液晶素子400の基板411の外側の表面に屈折率の異なる2種類の無機材料を交互に積層した反射防止膜460が形成されている。図中、左方から右方へ向かう矢印は合成光の進行方向を表す。このように基板411の表面に反射防止膜460を設けることにより、光源部100から出射された光を有効に液晶素子400に入射させることができるので、投射装置10は、高輝度の画像を表示させることができる。なお、反射防止膜460は基板411の内側の表面に設けてもよいし、基板411の両側の表面に設けてもよい。
〔第1実施形態の他の変形例〕
図12に示すように、本変形例においては、液晶素子400の基板412の外側の表面に拡散膜470が形成されている。若しくは、図13に示すように、基板412の外側の表面に凹凸部480が形成されている。図中、左方から右方へ向かう矢印は合成光の進行方向を表す。このように拡散膜470又は凹凸部480を設けることにより、液晶素子400を透過した光は拡散し、そのコヒーレンス性が低下するので、スクリーン500上に投射される画像に現れるスペックルノイズを更に低減させることができる。また、液晶素子400を透過した光を均一に画像形成部300に入射させて画像を形成することができるので、スクリーン500上に輝度むらの少ない均一輝度の画像を表示させることができる。なお、拡散膜470又は凹凸部480は基板412の内側の表面に設けてもよい。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る投射装置20について図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の説明においては、第1実施形態及びその変形例と同じ構成の箇所には同じ符号を付し、同様の構成に関する説明は省略する。図14に本実施形態の投射装置20の構成を表すブロック図を示す。
投射装置20は、光源部100と合成光学部200との間に画像形成部300を備え、合成光学部200の後段に液晶素子400と投射レンズ600を備えている。
本実施形態において、合成光学部200はダイクロイックプリズム240を備えている。また、画像形成部300は空間光変調素子330を備えている。光源部100のLD110、LD120、LD130はダイクロイックプリズム240の3方向に対向して配置され、空間光変調素子330は、LD110、LD120、LD130のそれぞれに対してダイクロイックプリズム240との間に配置されている。
本実施形態の投射装置20においては、LD110、LD120、LD130で発生した光は不図示のレンズ等で広げられ、各空間光変調素子330の全画素に均等に入射する。各空間光変調素子330では、画素ごとに変調して各色の画像を形成して出射する。空間光変調素子330から出射された光(各色の画像)は合成光学部200に入射し、そこで合成されて合成光(投射画像)が生成される。合成光学部200から出射された合成光は液晶素子400に入射する。合成光は液晶素子400を透過中にフレーム単位で偏光状態が変化する。液晶素子400から出射された合成光は投射レンズ600により拡大されて投射され、スクリーン500上に画像が表示される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、投射装置20は、p×Δn≧2500nmの関係を充足する液晶素子400を備えており、フレーム単位で合成光の偏光方向が変化するので、スクリーン500上に投射した表示画像におけるスペックルノイズが減少し、ノイズの少ない高品質の画像を表示することができる。また、液晶素子400が緑色光、青色光、赤色光の旋光分散が低減し偏光特性が同じになるように構成されているので、フレーム期間T中に偏光方向が変化しても、印加電圧に対して緑色光、青色光、赤色光の全ての偏光方向が同じように変化して、色の変化はほとんど生じない。このときΔc*≦1.2となるので、色の変化が生じたとしても、スクリーン500に投射された表示画像を見る人間はその違いを認識することができず、色の変化は生じていないものとして認識される。このように、投射装置20においても、スペックルノイズが少なく高品質の画像を表示させることができる。
〔ヘッドアップディスプレイへの適用〕
図15は、第1実施形態に係る投射装置10をヘッドアップディスプレイ50に適用した状態を表す概略図である。ヘッドアップディスプレイとは、人間の視野内に重ねて情報を表示させる装置である。これにより、例えば、車両の運転者の視野内にあるフロントガラスに情報を表示して、運転者が運転しながら当該情報を認識することを可能にする。
ヘッドアップディスプレイ50は、投射装置10に反射ミラー340を備えて構成される。本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ50は車両のダッシュボードに埋め込まれており、投射装置10の画像形成部300から投射された合成光が反射ミラー340で反射されて車両のフロントガラス700に投射される。
投射された画像(情報)は無限遠の点に結像しており、運転者には遠方にある仮想スクリーン510に該情報が表示されているように見える。従って、運転者は、車両の運転中に進行方向の遠方を注視した状態で、該情報に焦点を合わせて該情報を認識することができる。
なお、本実施形態においては、投射装置10のヘッドアップディスプレイ50への適用について説明したが、第1実施形態の変形例に係る投射装置10や第2実施形態に係る投射装置20をヘッドアップディスプレイ50に適用できることは言うまでもない。
投射装置10、20は、ヘッドアップディスプレイ50だけでなく、光源にレーザ光を用いるあらゆる投射装置や表示装置に適用することができる。例えば、プロジェクタ、プロジェクタテレビ、プロジェクションマッピング装置、デジタルサイネージ、ヘッドマウントディスプレイ、超小型プロジェクタ及びそれを内蔵した携帯情報端末等に適用することができる。
本発明は、レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイに利用することが可能である。
10、20 投射装置
50 ヘッドアップディスプレイ
100 光源部
110 レーザダイオード(緑色レーザ光源)
120 レーザダイオード(青色レーザ光源)
130 レーザダイオード(赤色レーザ光源)
200 合成光学部
300 画像形成部
310 水平走査ミラー(走査機構)
320 垂直走査ミラー(走査機構)
330 空間光変調素子
400 液晶素子
411 基板
412 基板
441 液晶層(第1層)
442 液晶層(第2層)
460 反射防止膜
470 拡散膜
480 凹凸部
Δn 屈折率異方性
p 螺旋ピッチ

Claims (15)

  1. 波長の異なる複数のレーザ光を所定の偏光方向で発生する光源部と、
    前記複数のレーザ光を合成する合成光学部と、
    前記複数のレーザ光から投射画像を形成する画像形成部と、
    前記合成光学部から出射した前記複数のレーザ光の偏光状態を変化させる液晶素子と、を備え、
    前記液晶素子は一対の基板の間に液晶層を有し、
    前記液晶素子は前記複数のレーザ光の透過領域において単一の偏光状態を生成し、
    前記偏光状態は1つの前記投射画像の形成中に変化し、
    前記液晶層の液晶分子は前記一対の基板の間で螺旋構造を有しており、
    前記液晶分子の螺旋ピッチと前記液晶層の屈折率異方性との積が2500nm以上である、レーザ光を用いた投射装置。
  2. 前記屈折率異方性が0.25よりも大きい、請求項1に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  3. 前記液晶層における前記液晶分子のねじれ角が90度である、請求項1又は2に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  4. 前記液晶層は、複数の層を積層して構成される、請求項1又は2に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  5. 前記液晶層は第1層と第2層とを積層して構成され、前記第1層における前記ねじれ角及び前記第2層における前記ねじれ角はいずれも45度である、請求項4に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  6. 前記一対の基板の少なくとも前記光源部に近い側の基板の表面に反射防止膜が形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  7. 前記反射防止膜は、無機材料からなる積層膜である、請求項6に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  8. 前記一対の基板の少なくとも前記光源部から遠い側の基板の表面に拡散膜が形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  9. 前記一対の基板の少なくとも前記光源部から遠い側の基板の表面に前記複数のレーザ光を拡散させるための凹凸部が形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  10. 前記光源部は、赤色光を発生する赤色レーザ光源と、緑色光を発生する緑色レーザ光源と、青色光を発生する青色レーザ光源とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  11. 前記画像形成部は、前記複数のレーザ光を走査する走査機構を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  12. 前記液晶素子は、前記合成光学部と前記画像形成部との間に配置される、請求項11に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  13. 前記画像形成部は、前記複数のレーザ光を画素ごとに変調する空間光変調素子を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  14. 前記画像形成部は、前記光源部と前記液晶素子との間に配置される、請求項13に記載のレーザ光を用いた投射装置。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載のレーザ光を用いた投射装置を備えた、車載用ヘッドアップディスプレイ。
JP2015101204A 2015-05-18 2015-05-18 レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ Pending JP2016218181A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015101204A JP2016218181A (ja) 2015-05-18 2015-05-18 レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015101204A JP2016218181A (ja) 2015-05-18 2015-05-18 レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016218181A true JP2016218181A (ja) 2016-12-22

Family

ID=57578351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015101204A Pending JP2016218181A (ja) 2015-05-18 2015-05-18 レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016218181A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019164215A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社リコー 画像投写装置及び移動体
CN111208696A (zh) * 2018-11-02 2020-05-29 中强光电股份有限公司 复合相位转换元件及投影装置
CN114503551A (zh) * 2019-10-23 2022-05-13 鲁姆斯有限公司 具有提高的均匀性和/或眼睛安全性的激光照射显示器

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019164215A (ja) * 2018-03-19 2019-09-26 株式会社リコー 画像投写装置及び移動体
JP7101341B2 (ja) 2018-03-19 2022-07-15 株式会社リコー 画像投写装置及び移動体
CN111208696A (zh) * 2018-11-02 2020-05-29 中强光电股份有限公司 复合相位转换元件及投影装置
CN114503551A (zh) * 2019-10-23 2022-05-13 鲁姆斯有限公司 具有提高的均匀性和/或眼睛安全性的激光照射显示器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9057880B2 (en) Laser beam scanned display apparatus and method thereof
US7746559B2 (en) Image projecting device and method
JP2004287440A (ja) 視差バリアおよび複数表示ディスプレイ
US7359013B2 (en) Display capable of selectively displaying two-dimensional and three-dimensional images
US7085049B2 (en) Multi-mode stereoscopic image display method and apparatus
JP2017076044A (ja) レーザ光を用いた投射型表示装置及び該投射型表示装置を用いた車載用ヘッドアップディスプレイ
JP5866936B2 (ja) 画像表示システム
US20130176407A1 (en) Beam scanned display apparatus and method thereof
JP2016218181A (ja) レーザ光を用いた投射装置及び該投射装置を用いたヘッドアップディスプレイ
JP6922655B2 (ja) 虚像表示装置
JP5633570B2 (ja) レーザ投射装置および画像投影システム
JPH04100088A (ja) 直視型画像表示装置
JP4928152B2 (ja) 背面投射型表示装置及びスクリーン
JP2010197917A (ja) 表示装置
JP2002139792A (ja) 画像表示装置
JP2018200384A (ja) 虚像表示装置
JP2007293100A (ja) 背面投射型表示装置及びスクリーン
JP2007328336A (ja) 照明装置及び表示装置
JP2004252273A (ja) 表示装置およびそれに用いられる回路装置
JP2014126757A (ja) スクリーンおよび画像表示システム
US8870382B2 (en) Method of reducing speckles in liquid-crystal display with coherent illumination
CN219958062U (zh) 投影***
JP2006047601A (ja) 立体視画像呈示方法並びに立体視画像生成投影装置及び呈示システム装置
CN109188830B (zh) 基于复合调制方式的光场显示***
JPH0937305A (ja) 立体画像表示装置