JP2016217885A - 温度測定装置、熱伝導率測定装置および熱伝導率測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡単な構成で、様々な物体の表面温度をより高い精度および確度で測定することができる温度測定装置、熱伝導率測定装置および熱伝導率測定方法を提供する。
【解決手段】温度測定用センサ11aが、被測定物1の表面に接触させて温度を測定可能に設けられている。保護熱源センサ11bが、温度測定用センサ11aとの間で熱を交換可能に、温度測定用センサ11aに近接または接触して設けられている。温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、温度に応じて電気抵抗が変化し、電気抵抗値に基づいて温度測定可能、かつ電気抵抗を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成された、同じサーミスタから成っている。制御手段13が、温度測定用センサ11aで温度を測定するとき、温度測定用センサ11aの電気抵抗と等しくなるよう、保護熱源センサ11bの電気抵抗を制御可能に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】温度測定用センサ11aが、被測定物1の表面に接触させて温度を測定可能に設けられている。保護熱源センサ11bが、温度測定用センサ11aとの間で熱を交換可能に、温度測定用センサ11aに近接または接触して設けられている。温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、温度に応じて電気抵抗が変化し、電気抵抗値に基づいて温度測定可能、かつ電気抵抗を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成された、同じサーミスタから成っている。制御手段13が、温度測定用センサ11aで温度を測定するとき、温度測定用センサ11aの電気抵抗と等しくなるよう、保護熱源センサ11bの電気抵抗を制御可能に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、温度測定装置、熱伝導率測定装置および熱伝導率測定方法に関する。
工業分野や医療分野においては、物体の表面温度を高精度・高確度で計測することが非常に重要となっている。従来、物体の表面温度を正確に計測するために、熱電対や白金測温抵抗体、サーミスタ、放射温度計などが一般的に使用されている。これらのうち、熱電対は、物体表面に接触させて、熱電効果を利用して温度計測を行うものであるが、温度差によって発生する電圧が微小であることや、温度を決定するためには冷接点の正確な温度が必要であることから、精度や確度を高めるには限界があるという問題があった。また、測定対象の物体と周囲とに温度差がある場合、リード線や固定用テープ等への熱損失によって物体の温度が変化し、正確な表面温度を計測することは困難であるという問題もあった。
また、白金測温抵抗体やサーミスタは、熱電対と同様に物体表面に接触させて温度計測を行うものであり、熱電対と比較して、精度も確度も共に高い。しかし、温度計測を行う際に物体表面に接触させることにより、物体から白金測温抵抗体やサーミスタに熱が移動して、物体の表面温度が変化するため、正確な温度計測が困難であるという問題があった。
一方、放射温度計は、非接触で物体から放射されるエネルギーによって温度計測を行うものである。放射温度計は、物体の表面から放射されるエネルギーを正確に計測可能であるが、温度を決定するためには正確な放射率の情報が別途必要となる。しかし、その放射率は、物体の光物性のみならず表面状態にも依存するパラメータであり、正確に計測するのが非常に難しいため、物体の表面温度を高精度に決定することは困難であるという問題があった。
そこで、これらの問題を解決し、サーミスタを用いて、高精度かつ高確度で温度計測を行う温度測定装置が開発されている。例えば、回路基板に実装された加熱検知用サーミスタの補正値を検査するために、その回路基板に実装された半導体素子の表面温度と外気温とをそれぞれ計測する高精度サーミスタを備えた検査装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、サーミスタの測定温度と、サーミスタを含むシステムの状態に対応するサーミスタの目標温度との温度差に応じてサーミスタを自己発熱させることにより、サーミスタの温度検出の遅れ時間を短縮する装置(例えば、特許文献2参照)や、複数のサーミスタにより体から逃げる熱流束を測定し、その熱流束がゼロになるよう、その熱流束に対して反対向きにヒータで加熱することにより、体温を正確に測定可能なセンサ(例えば、特許文献3または4参照)も開発されている。
なお、生体組織などの熱伝導率を測定する方法として、被測定物に熱をパルス的に与え、加熱後の温度減衰から熱伝導率を算出する熱パルス減衰法を利用してモデル計算を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
Nachiket M Kharalkar, Linda J Hayes and Jonathan W Valvano, "Pulse-power integrated-decay technique for the measurement of thermal conductivity", Meas, Sci. Technol., 2008, 19, 075104
しかしながら、特許文献1に記載の検査装置では、被測定物にもサーミスタが必要であり、被測定物が限定されてしまうという課題があった。また、被測定物の表面からサーミスタに移動する熱を考慮していないため、測定される温度の精度や確度がまだ低いという課題もあった。特許文献2に記載の装置では、温度の測定時間は短縮されるが、被測定物の表面からサーミスタに移動する熱を考慮していないため、やはり測定される温度の精度や確度がまだ低いという課題があった。特許文献3および4に記載のセンサでは、複数のサーミスタ以外にもヒータが必要であり、構成がやや複雑になるという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、比較的簡単な構成で、様々な物体の表面温度をより高い精度および確度で測定することができる温度測定装置、熱伝導率測定装置および熱伝導率測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る温度測定装置は、温度に応じて所定の物理量が変化し、前記物理量の値に基づいて温度測定可能、かつ前記物理量を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成された2つの同じ発熱温度センサと、各発熱温度センサに接続された制御手段とを有し、一方の発熱温度センサは、被測定物の表面に接触させて温度を測定可能に設けられ、他方の発熱温度センサは、前記一方の発熱温度センサとの間で熱を交換可能に、前記一方の発熱温度センサに近接または接触して設けられ、前記制御手段は、前記一方の発熱温度センサで温度を測定するとき、前記一方の発熱温度センサの前記物理量と等しくなるよう、前記他方の発熱温度センサの前記物理量を制御可能に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る温度測定装置は、温度に応じて所定の物理量が変化する発熱温度センサを用いて、以下のようにして、様々な物体の表面温度を測定することができる。すなわち、まず、一方の発熱温度センサを、被測定物の表面に接触させる。このとき、一方の発熱温度センサとの間で熱を交換可能に、一方の発熱温度センサに近接または接触して設けられた他方の発熱温度センサの物理量を、一方の発熱温度センサの物理量と等しくなるよう、制御手段により制御して、他方の発熱温度センサを、一方の発熱温度センサの温度と等しい温度に発熱させる。これにより、被測定物の表面の温度と各発熱温度センサの温度とが等しくなるため、一方の発熱温度センサから他方の発熱温度センサに、また、被測定物の表面から一方の発熱温度センサに熱が移動するのを防ぐことができる。この状態で、一方の発熱温度センサにより温度を測定することにより、高精度かつ高確度で温度を測定することができる。
このように、本発明に係る温度測定装置は、温度測定用の一方の発熱温度センサ(温度測定センサ)に対する非定常の保護熱源として他方の発熱温度センサ(保護熱源センサ)を設けることにより、被測定物の表面から一方の発熱温度センサへ流入する熱を相殺し、被測定物の状態を変化させることなく温度を測定することができる。これにより、接触式手法にも関わらず、様々な物体の表面温度をより高い精度および確度で測定することができる。
本発明に係る温度測定装置は、他方の発熱温度センサの物理量を変化させることにより、その物理量に対応する温度で他方の発熱温度センサが発熱することを利用して、高精度かつ高確度で温度測定を行うことができる。このため、別途にヒータなどを使用することなく、発熱温度センサが2つのみの比較的簡単な構成で、被測定物の表面からの熱の移動を考慮した温度測定を行うことができる。なお、他方の発熱温度センサは、2つ以上の発熱温度センサから成っていてもよい。
2つの発熱温度センサは、温度に応じて所定の物理量が変化し、その物理量の値に基づいて温度測定可能、かつその物理量を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成されたものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、その物理量が電気抵抗であるサーミスタや白金測温抵抗体から成っている。
本発明に係る熱伝導率測定装置は、本発明に係る温度測定装置を有し、前記制御手段は、前記一方の発熱温度センサを所定の温度で発熱させるよう、前記一方の発熱温度センサの前記物理量を制御可能に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る熱伝導率測定方法は、本発明に係る熱伝導率測定装置の前記一方の発熱温度センサを前記被測定物の表面に接触させ、前記制御手段により前記一方の発熱温度センサを前記所定の温度で発熱させた後、前記一方の発熱温度センサで前記被測定物の表面の温度変化を測定することを特徴とする。
本発明に係る熱伝導率測定装置は、本発明に係る熱伝導率測定方法により、被測定物の熱伝導率を測定することができる。本発明に係る熱伝導率測定装置は、被測定物の加熱と温度測定とを1台で行うことができるため、被測定物を加熱したときの熱応答を容易に測定することができ、被測定物の熱物性を高精度かつ高確度で測定することができる。例えば、被測定物に熱をパルス的に与え、加熱後の温度減衰から熱伝導率を算出する熱パルス減衰法を、容易に実施することができる。この熱パルス減衰法を行う際には、従来はリード線等への熱損失を考慮して、サーミスタ等の熱源を被測定物に埋め込んでいたが、本発明に係る熱伝導率測定装置によれば、熱損失を考慮する必要も、熱源を埋め込む必要もなく、非侵襲で、高精度かつ高確度に熱伝導率を測定することができる。
本発明によれば、比較的簡単な構成で、様々な物体の表面温度をより高い精度および確度で測定することができる温度測定装置、熱伝導率測定装置および熱伝導率測定方法を提供することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図7は、本発明の実施の形態の温度測定装置を示している。
図1に示すように、温度測定装置10は、温度測定用センサ11aと保護熱源センサ11bとチューブ12と制御手段13とを有している。
図1乃至図7は、本発明の実施の形態の温度測定装置を示している。
図1に示すように、温度測定装置10は、温度測定用センサ11aと保護熱源センサ11bとチューブ12と制御手段13とを有している。
温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、同じ大きさおよび規格のサーミスタから成っている。温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、温度に応じて電気抵抗が変化し、その電気抵抗値に基づいて温度測定可能、かつ電気抵抗を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成されている。温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、チューブ12の長さ方向に沿って並べた状態で、チューブ12の内部に挿入されている。温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、熱を交換可能に互いに近接するよう配置されており、チューブ12の後端側の開口からそれぞれのリード線14が取り出されている。チューブ12の先端側に配置された温度測定用センサ11aは、チューブ12の先端側の開口から一部(前半分)が突出しており、その突出部分を被測定物1の表面に接触させて温度を測定可能に設けられている。チューブ12の後端側に配置された保護熱源センサ11bは、温度測定用センサ11aの突出部分とは反対側に近接している。なお、保護熱源センサ11bは、温度測定用センサ11aに接触していてもよい。
図1に示す具体的な一例では、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、ガラス封入型のNTCサーミスタから成っており、外径が0.43mmである。また、チューブ12は、FEP製である。なお、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bは、サーミスタに限らず、例えば白金測温抵抗体から成っていてもよい。また、温度測定用センサ11aが一方の発熱温度センサを成し、保護熱源センサ11bが他方の発熱温度センサを成している。
制御手段13は、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bのリード線14に接続されている。制御手段13は、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bの電気抵抗値を測定して温度を測定可能、かつ温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bの電気抵抗を制御して、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bを発熱可能に構成されている。これにより、制御手段13は、温度測定用センサ11aで温度を測定するとき、温度測定用センサ11aの電気抵抗と等しくなるよう、保護熱源センサ11bの電気抵抗を制御可能になっている。また、制御手段13は、温度測定用センサ11aを所定の温度で発熱させるよう、温度測定用センサ11aの電気抵抗を制御可能になっている。
次に、作用について説明する。
温度測定装置10は、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bを用いて、以下のようにして、様々な物体の表面温度を測定することができる。すなわち、まず、温度測定用センサ11aを、被測定物1の表面に接触させる。このとき、保護熱源センサ11bの電気抵抗を、温度測定用センサ11aの電気抵抗と等しくなるよう、制御手段13により制御して、保護熱源センサ11bを、温度測定用センサ11aの温度と等しい温度に発熱させる。これにより、被測定物1の表面の温度と温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bの温度とが等しくなるため、温度測定用センサ11aから保護熱源センサ11bに、また、被測定物1の表面から温度測定用センサ11aに熱が移動するのを防ぐことができる。この状態で、温度測定用センサ11aにより温度を測定することにより、高精度かつ高確度で温度を測定することができる。
温度測定装置10は、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bを用いて、以下のようにして、様々な物体の表面温度を測定することができる。すなわち、まず、温度測定用センサ11aを、被測定物1の表面に接触させる。このとき、保護熱源センサ11bの電気抵抗を、温度測定用センサ11aの電気抵抗と等しくなるよう、制御手段13により制御して、保護熱源センサ11bを、温度測定用センサ11aの温度と等しい温度に発熱させる。これにより、被測定物1の表面の温度と温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bの温度とが等しくなるため、温度測定用センサ11aから保護熱源センサ11bに、また、被測定物1の表面から温度測定用センサ11aに熱が移動するのを防ぐことができる。この状態で、温度測定用センサ11aにより温度を測定することにより、高精度かつ高確度で温度を測定することができる。
このように、温度測定装置10は、温度測定用センサ11aに対する非定常の保護熱源として保護熱源センサ11bを設けることにより、被測定物1の表面から温度測定用センサ11aへ流入する熱を相殺し、損失する熱量を限りなくゼロに近づけることにより、被測定物1の状態を変化させることなく温度を測定することができる。これにより、接触式手法にも関わらず、様々な物体の表面温度をより高い精度および確度で測定することができる。
温度測定装置10は、保護熱源センサ11bの電気抵抗を変化させることにより、その電気抵抗に対応する温度で保護熱源センサ11bが発熱することを利用して、高精度かつ高確度で温度測定を行うことができる。このため、別途にヒータなどを使用することなく、2つのサーミスタのみの比較的簡単な構成で、被測定物1の表面からの熱の移動を考慮した温度測定を行うことができる。
温度測定装置10は、表面温度の測定のみならず、高精度かつ高確度な熱物性や流速の測定、非侵襲医療診断への応用が可能である。例えば、流れる流体中に温度測定装置10を設置することにより、その流速を測定可能である。このとき、従来はリード線14等への熱損失の影響があるため、厳密に正確な値を測定することが困難であったが、温度測定装置10を用いることにより、熱損失の影響をなくした場合の正確な温度変化を測定することが可能となり、高精度かつ高確度で流速を測定することができる。また、温度測定装置10を別途にもう1つ用いることにより、さらに高精度かつ高確度な流体温度の測定が可能となり、さらに高精度かつ高確度で流速を測定することができる。このように、温度測定装置10は、高精度かつ高確度な流速計として使用することもできる。
[温度測定実験]
図1に示す温度測定装置10を使用して、実際に温度測定を行った。被測定物1として、35℃に一定に保たれたアルミニウムを用い、室温が26℃に保たれた実験室において測定を行った。保護熱源である保護熱源センサ11bのサーミスタを有効にしたとき、および無効にしたときについて温度測定を行った。その結果を、図2に示す。図2に示すように、保護熱源センサ11bが無効の場合、リード線14およびチューブ12等への熱損失の影響により、30秒経過後であっても、0.3℃程度低い温度を示すことが確認された。これに対し、保護熱源センサ11bが有効の場合、約20秒経過後に、正確に35℃を示しており、熱損失の影響をなくすことができることが確認された。
図1に示す温度測定装置10を使用して、実際に温度測定を行った。被測定物1として、35℃に一定に保たれたアルミニウムを用い、室温が26℃に保たれた実験室において測定を行った。保護熱源である保護熱源センサ11bのサーミスタを有効にしたとき、および無効にしたときについて温度測定を行った。その結果を、図2に示す。図2に示すように、保護熱源センサ11bが無効の場合、リード線14およびチューブ12等への熱損失の影響により、30秒経過後であっても、0.3℃程度低い温度を示すことが確認された。これに対し、保護熱源センサ11bが有効の場合、約20秒経過後に、正確に35℃を示しており、熱損失の影響をなくすことができることが確認された。
また、図2に示すように、保護熱源センサ11bが有効のとき、温度測定装置10によれば、10秒程度でほぼ正確な温度を測定可能であり、また、十分な時間(20〜30秒以上)経過後には、0.01℃以下の誤差で正確な温度が測定できることが確認された。
保護熱源センサ11bが有効の場合の、温度測定用センサ11aおよび保護熱源センサ11bの温度応答を、図3に示す。図3に示すように、保護熱源センサ11bのサーミスタが、温度測定用センサ11aのサーミスタの応答に追従する挙動を示すことが確認された。このことから、保護熱源センサ11bを使用することにより、室温よりも高い温度を有する被測定物1の場合に生じる熱損失を最小にすることができ、正確な表面温度測定が可能となることがわかる。
[熱伝導率の測定]
図1に示す温度測定装置10を、熱伝導率測定装置として使用し、熱伝導率の測定を行った。被測定物1として、寒天で固めた35℃の水(1wt%)を用い、熱パルス減衰法により熱伝導率の測定を行った。測定では、まず、温度測定用センサ11aを被測定物1の表面に接触させ、温度測定用センサ11aに、一定電力をパルス的に5秒間与えて所定の温度で発熱させた。このとき、保護熱源センサ11bも、温度測定用センサ11aと同様に発熱させる。その後、温度測定用センサ11aで被測定物1の表面の温度変化を測定し、その加熱後の温度減衰から熱伝導率を算出した。測定は、繰り返し10回行った。
図1に示す温度測定装置10を、熱伝導率測定装置として使用し、熱伝導率の測定を行った。被測定物1として、寒天で固めた35℃の水(1wt%)を用い、熱パルス減衰法により熱伝導率の測定を行った。測定では、まず、温度測定用センサ11aを被測定物1の表面に接触させ、温度測定用センサ11aに、一定電力をパルス的に5秒間与えて所定の温度で発熱させた。このとき、保護熱源センサ11bも、温度測定用センサ11aと同様に発熱させる。その後、温度測定用センサ11aで被測定物1の表面の温度変化を測定し、その加熱後の温度減衰から熱伝導率を算出した。測定は、繰り返し10回行った。
温度測定の結果を、図4に示す。図4に示すように、10回の測定値がほとんど重なっており、再現性が高く、非常に高い精度で温度測定ができていることが確認された。また、図4から算出される熱伝導率は、0.596±0.0056 W/(m・K)であり、既知の水の熱伝導率の約0.60 W/(m・K)と非常に良く一致していることが確認された。
このように、温度測定装置10(熱伝導率測定装置)によれば、被測定物1の加熱と温度測定とを1台で行うことができるため、被測定物1を加熱したときの熱応答を容易に測定することができ、被測定物1の熱物性を高精度かつ高確度で測定することができるといえる。今回使用した熱パルス減衰法を行う際には、従来はリード線14等への熱損失を考慮して、サーミスタ等の熱源を被測定物1に埋め込んでいたが、温度測定装置(熱伝導率測定装置)10によれば、熱損失を考慮する必要も、熱源を埋め込む必要もなく、非侵襲で、高精度かつ高確度に熱伝導率を測定することができる。
[悪性黒色腫の早期発見への応用]
悪性黒色腫は、皮膚疾患の中で最も死亡率が高いことが知られている。しかし、手術によって腫瘍を適切に取り除くことができれば、五年後の生存率は100%に近くなるため、早期発見・早期治療が非常に重要である。従来、黒子との識別は、一般的にデルマスコピーと呼ばれる拡大鏡を使用して、腫瘍の色や形状に基づいて行っていたが、皮膚科医の勘や経験によって診断率が大きく異なるため、定量的な診断手法が求められている。
悪性黒色腫は、皮膚疾患の中で最も死亡率が高いことが知られている。しかし、手術によって腫瘍を適切に取り除くことができれば、五年後の生存率は100%に近くなるため、早期発見・早期治療が非常に重要である。従来、黒子との識別は、一般的にデルマスコピーと呼ばれる拡大鏡を使用して、腫瘍の色や形状に基づいて行っていたが、皮膚科医の勘や経験によって診断率が大きく異なるため、定量的な診断手法が求められている。
温度測定装置10は、非侵襲的かつ正確に物体の温度および熱物性を計測することができるため、健常な皮膚の熱物性と悪性黒色腫の熱物性との差異を温度測定装置10で測定することにより、悪性黒色腫の早期診断を行うことができると考えられる。そこで、温度測定装置10により悪性黒色腫の早期診断が可能か否かを、二次元軸対称熱伝導解析を用いて検証した。
図5に、検証に用いた二次元軸対称数値計算モデルを示す。このモデルの左上の皮膚表面に、温度測定装置10の温度測定用センサ11aのサーミスタが接触している。図5に示すモデルは、表皮、真皮乳頭層、真皮網状層、脂肪層、筋肉層の5層構造とし、真皮乳頭層に悪性黒色腫2が存在しているものと仮定している。また、悪性黒色腫2の進行の影響を考慮するために、図6に示すように、進行度(Early stage, Clark level 2, Clark level 3, Clark level 4)毎に腫瘍の寸法を変えて、それぞれの場合についてモデル計算を行った。
モデル計算は、非特許文献1に記載の方法により行った。すなわち、計算では、まず皮膚表面に第3種境界条件を与えた際の定常計算を行い、生体内初期温度分布を決定した。その後、温度測定装置10の温度測定用センサ11aに一様な発熱量をパルス的に5秒間与えた時の温度上昇および加熱後5秒間の温度減衰を計算し、それらの情報から見かけの熱伝導率を決定した。
モデル計算の結果を、図7に示す。図7には、悪性黒色腫2がない健常な皮膚の場合(悪性黒色腫の体積がゼロのとき)の計算結果も示している。図7に示すように、悪性黒色腫2の体積が大きくなるほど、見かけの熱伝導率が大きくなっており、見かけの熱伝導率と腫瘍体積との間に正の相関があることが確認された。悪性黒色腫2の体積が大きくなるほど、腫瘍の進行が進み、危険度が増すことが知られていることから、温度測定装置10を用いて悪性黒色腫2の熱伝導率を測定することにより、悪性黒色腫2の診断が可能になるものと考えられる。
本発明に係る温度測定装置は、体温や物質の表面温度などの測定以外にも、熱伝導率測定装置として利用可能である。また、流速計、風速計、半導体の検査装置、食品の品質管理装置、悪性黒色腫などの疾患の診断装置などとしても利用することもできる。
1 被測定物
2 悪性黒色腫
10 温度測定装置
11a 温度測定用センサ
11b 保護熱源センサ
12 チューブ
13 制御手段
14 リード線
2 悪性黒色腫
10 温度測定装置
11a 温度測定用センサ
11b 保護熱源センサ
12 チューブ
13 制御手段
14 リード線
Claims (4)
- 温度に応じて所定の物理量が変化し、前記物理量の値に基づいて温度測定可能、かつ前記物理量を変化させることにより対応する温度で発熱可能に構成された2つの同じ発熱温度センサと、
各発熱温度センサに接続された制御手段とを有し、
一方の発熱温度センサは、被測定物の表面に接触させて温度を測定可能に設けられ、
他方の発熱温度センサは、前記一方の発熱温度センサとの間で熱を交換可能に、前記一方の発熱温度センサに近接または接触して設けられ、
前記制御手段は、前記一方の発熱温度センサで温度を測定するとき、前記一方の発熱温度センサの前記物理量と等しくなるよう、前記他方の発熱温度センサの前記物理量を制御可能に設けられていることを
特徴とする温度測定装置。 - 前記2つの発熱温度センサは、サーミスタまたは白金測温抵抗体から成り、
前記物理量は電気抵抗から成ることを
特徴とする請求項1記載の温度測定装置。 - 請求項1または2記載の温度測定装置を有し、
前記制御手段は、前記一方の発熱温度センサを所定の温度で発熱させるよう、前記一方の発熱温度センサの前記物理量を制御可能に設けられていることを
特徴とする熱伝導率測定装置。 - 請求項3記載の熱伝導率測定装置の前記一方の発熱温度センサを前記被測定物の表面に接触させ、前記制御手段により前記一方の発熱温度センサを前記所定の温度で発熱させた後、前記一方の発熱温度センサで前記被測定物の表面の温度変化を測定することを特徴とする熱伝導率測定方法。
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JP2022126749A (ja) * | 2020-06-23 | 2022-08-30 | Semitec株式会社 | 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法 |
DE112022000702T5 (de) | 2021-01-19 | 2023-11-09 | Hirosaki University | Temperaturmessvorrichtung, thermometer, temperaturmessverfahren und temperaturdämpfungsmessverfahren |
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2015
- 2015-05-20 JP JP2015103156A patent/JP2016217885A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2022126749A (ja) * | 2020-06-23 | 2022-08-30 | Semitec株式会社 | 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法 |
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