JP2016215651A - フレキシブル銅張積層板及びフレキシブル回路基板 - Google Patents
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Abstract
Description
a)ポリイミド層は複数層からなり、前記銅箔層(A1、A2)との各積層面として第1の熱可塑性ポリイミド層(iia)と第2の熱可塑性ポリイミド層(iib)とを備え、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)のガラス転移温度がいずれも260℃以上であること;
b)第1の銅箔層(A1)は、厚さ(t1)が9〜18μmの範囲内であり、X線回折によって求めた(200)面の回折強度(I)と微粉末銅のX線回折によって求めた(200)面の回折強度(I0)との関係がI/I0>100である銅箔からなること;
c)第2の銅箔層(A2)は、厚さ(t2)が9〜18μmの範囲内であり、X線回折によって求めた(200)面の回折強度(I)と微粉末銅のX線回折によって求めた(200)面の回折強度(I0)との関係がI/I0>100である銅箔からなること;
を具備するフレキシブル銅張積層板である。
また、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成するジアミン成分が、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及び1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
ここで、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成する酸無水物成分の主成分がピロメリット酸二無水物であり、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成するジアミン成分の主成分が2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであるのがより好ましい。
一方で、前記銅箔層(A1)におけるI/I0の値(I1)と前記銅箔層(A2)におけるI/I0の値(I2)の差が10以下であるのが好ましい。
また、本発明は、これらのフレキシブル銅張積層板の前記銅箔層(A1)及び前記銅箔層(A2)を回路加工してなるフレキシブル回路基板である。
本発明のフレキシブル銅張積層板の製造方法では、銅箔(A)と、該銅箔(A)との積層面としての接着層を備えるポリイミドフィルム若しくは金属層付ポリイミド積層体(B)とを加熱圧着させるわけであるが、その加熱圧着には一対の熱プレスロールが用いられる。
)は、それらの特性を与えるその前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、それらのポリアミド酸は、一般に公知のジアミンと酸二無水物とを求められるポリイミドの特性に合わせて適宜選択し、これらを有機溶媒中で合成することで得ることができる。重合される樹脂粘度は、例えば、500cps以上35,000cps以下の範囲内とすることが好ましい。
)の熱膨張係数に近い12〜23ppm/Kとなるように、17ppm/K未満の熱膨張係数であることが好ましく、より好ましくは5〜10ppm/Kの範囲である。これにより、ポリイミド層全体の熱膨張係数を銅箔(A)の熱膨張係数とあわせることが可能となり、フレキシブル銅張積層体の反りや、エッチング後、加熱後の寸法変化率を抑制することが容易となる。
銅箔の(200)面結晶方位についてはMo対陰極を用いたXRD法により微粉末銅のX線回折によって求めた(200)面回折強度(Io)に対して試料の(200)面回折強度(I)を算出しI/Io値として定義した。
銅箔/ポリイミド/銅箔で構成された両面フレキシブル銅張積層板に対して市販のフォトレジストフィルムを貼り合せて、所定のパターン形成用マスクで露光した後、フォトレジストフィルムを貼り合せた側の銅箔が残るように反対面の銅箔を全面エッチオフしたのち、残った銅箔にL/S=100μm/100μmのパターンが形成されるようにレジスト層を硬化形成した(L:回路線幅、S:回路線間スペース幅)。次に、硬化レジスト箇所を現像して所定のパターン形成に不要な銅箔をエッチング除去し、更に硬化レジスト層をアルカリ液にて剥離除去することで試験サンプルを作製した。試験パターンにカバーレイを張り付けた後にIPC試験装置を用いて、屈曲半径r=1.5mm、ストローク25mm、摺動速度を1500cpmとした。屈曲寿命の判定としてはサンプルに所定の電圧を印可しながら屈曲試験を実施し、電気抵抗値が10%上昇したサンプルを配線断線とみなし屈曲回数とした。下記実施例及び比較例では、キャスト面銅箔に所定のパターンを形成した場合(ラミネート面銅箔(基材2)は除去)の屈曲特性と、ラミネート面銅箔(基材2)に所定のパターンを形成した場合の屈曲特性(キャスト面銅箔は除去)とを、それぞれ評価した。
市販のフォトレジストフィルムを銅箔/ポリイミド/銅箔で構成された両面フレキシブル銅張積層板に貼り合せて、所定のパターン形成用マスクで露光した後、銅箔表裏面それぞれの同位置に1mmの円形パターンのレジスト層を硬化形成する。次に、硬化レジスト箇所を現像して所定のパターン形成に不要な銅箔層をエッチング除去し、更に硬化レジスト層をアルカリ液にて剥離除去することで試験サンプルを作製した。サンプルを乾燥させた後に、温度の異なる半田浴槽に10秒浸漬し銅箔の膨れ、剥がれの現象が発生しない温度を測定しこの温度を半田耐熱温度とした。
市販のフォトレジストフィルムを銅箔/ポリイミド/銅箔で構成された積層体にラミネートし所定のパターン形成用マスクで露光した後、銅配線幅が1mmのパターンになるようにレジスト層を硬化形成する。次に、硬化レジスト箇所を現像して所定のパターン形成に不要な銅箔層をエッチング除去し、更に硬化レジスト層をアルカリ液にて剥離除去することで試験サンプルを作製した。サンプルを乾燥させた後に、東洋精機株式会社製引っ張り試験器(ストログラフ M-1)にて180°引き剥がし法によりピール強度を測定した。
寸法変化率の測定は、以下の手順で行った。
まず、300mm角の試料(フレキシブル銅張積層板)を用い、200mm間隔にてドライフィルムレジストを露光、現像することによって、位置測定用ターゲットを形成した。更に温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中にてエッチング前(常態)の寸法を測定した後に、試験片のターゲット以外の銅をエッチング(液温40℃以下、時間10分以内)により除去した。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中に24±4時間静置後、位置ターゲット間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各3箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後の寸法を測定した。次に、本試験片を250℃のオーブンで1時間加熱処理し、その後の位置ターゲット間の距離を測定する。縦方向及び横方向の各3箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもって加熱処理後の寸法変化率とする。加熱寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B−A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間距離
B ; 配線形成後のターゲット間距離
加熱寸法変化率(%)=(D−C)/C × 100
C ; 配線形成後のターゲット間距離
D ; 加熱後のターゲット間距離
フレキシブル銅張積層板から10cm×10cmサイズのシートを作成し、このシートを机上に載置したときに最も机の面から浮き上がった部分の机の面からの高さを、ノギスを用いて測定した。その高さを反り量とし、反り量が2mm未満の場合「反りがない」と評価した。
銅箔上にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、熱処理し積層体とした。この積層体の銅箔をエッチング除去して得られたポリイミドフィルム(10mm×22.6 mm)をDMAにて20℃から500℃まで5℃/分で昇温させたときの動的粘弾性を測定し、ガラス転移温度Tg(tanδ極大値)を求めた。
銅箔をエッチングして得られたポリイミドフィルムを、セイコーインスツルメンツ製のサーモメカニカルアナライザーを使用し、250℃まで昇温し、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、240℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えるとともに窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。このポリアミド酸aから得られたポリイミドのガラス転移点温度は310℃で、線熱膨張係数は45ppm/Kであった。
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)を投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が15wt%、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。このポリアミド酸bから得られたポリイミドのガラス転移点温度は380℃で、線熱膨張係数は8ppm/Kであった。
熱電対及び攪拌機を備えるとともに窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸cの樹脂溶液を得た。このポリアミド酸cから得られたポリイミドのガラス転移点温度は240℃で、線熱膨張係数は42ppm/Kであった。
厚さ12μmで長尺状の圧延銅箔(JX日鉱日石金属製HA箔;I/Io=7)の片面に合成例1で調製したポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布した後(第一層目)、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、この塗布面側に合成例2で調製したポリアミド酸bの樹脂溶液を硬化後の厚みが7.6μmとなるように均一に塗布し(第二層目)、135℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、この塗布面側に第一層目で塗布したものと同じポリアミド酸aの樹脂溶液を硬化後の厚みが2.2μmとなるように均一に塗布し(第三層目)、130℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。この長尺状の積層体を130℃から開始して300℃まで段階的に温度が上がるように設定した連続硬化炉にて、合計6分程度の時間をかけて熱処理し、ポリイミド層の厚みが12μmの片面フレキシブル銅張積層板を得た(基材1)。
基材1に用いる銅箔と、基材2の銅箔として、それぞれ長尺状の厚さ12μmの圧延銅箔(日立金属製HPF-ST-X)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。キャスト面銅箔では、(200面)I/Ioが205であり、IPC試験による屈曲回数は1600万回であった。一方のラミネート面銅箔の(200面)I/Ioは200であり、IPC試験による屈曲回数は1700万回でありキャスト面同等の屈曲特性を有していた。また、半田耐熱温度は350℃であった。
市販のポリイミドフィルム(カプトンEN)の両面に合成例1にて合成したポリアミド酸aの樹脂溶液を塗布乾燥した後、大気雰囲気にて硬化を行い、熱可塑性ポリイミドを含むポリイミドイミドフィルムを得た(基材1)。このポリイミドフィルムの両側に実施例1で示した銅箔(基材2)を実施例1と同様にして360℃の温度で熱ラミネートし、その後、熱風加熱炉にて380℃1分間の加熱処理を行い、両面フレキシブル銅張積層体を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。ラミネート面側の銅箔の(200面)I/Ioは198であり、IPC試験による屈曲回数は1300万回であった。半田耐熱温度は320℃であった。
実施例1と同様にして片面銅張積層板(基材1)を作製した後、実施例1で示した銅箔(基材2)を用いて、ラミネート条件を表1の条件にて実施した。そして、再加熱工程の熱処理を行わずに、比較例1に係る両面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。キャスト面銅箔では、(200面)I/Ioが195であり、IPC試験による屈曲回数は1700万回であった。一方のラミネート面銅箔の(200面)I/Ioは87とキャスト面銅箔や実施例におけるラミネート面銅箔の約半分に満たず、IPC試験による屈曲回数は700万回と実施例の50%以下であった。
加熱圧着工程におけるラミネート温度T1を380℃にし、また、再加熱工程を350℃60秒で行った以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る両面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。キャスト面銅箔では、(200面)I/Ioが195であり、IPC試験による屈曲回数は1700万回であった。一方のラミネート面銅箔の(200面)I/Ioはラミネート後から向上せず90であり、IPC試験による屈曲回数は760万回であった。
加熱圧着工程におけるラミネート温度T1を380℃にし、また、再加熱工程を350℃600秒で行った以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る両面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。再加熱工程の時間を延長させてもラミネート面銅箔の(200面)I/Ioは89であり、IPC試験による屈曲回数は720万回であった。
基材1の片面フレキシブル銅張積層板を得るにあたり、実施例1において第一層目と第三層目で使用したポリアミド酸のかわりに、それぞれ合成例3で示したポリアミド酸cを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る両面フレキシブル銅張積層板を得た。得られた両面フレキシブル銅張積層板についての評価結果を表2に示す。ラミネート面銅箔(200面)I/Ioは189と向上しIPC試験による屈曲回数は1550万回とキャスト面銅箔と同等まで発現したが、半田耐熱性が250℃であり部品実装時の半田リフロー等に耐えられないレベルであった。
Claims (6)
- ポリイミド層と、該ポリイミド層の一方の面に設けられた第1の銅箔層(A1)と、該ポリイミド層のもう一方の面に設けられた第2の銅箔層(A2)と、を備えたフレキシブル銅張積層板であって、以下のa〜cの構成:
a)ポリイミド層は複数層からなり、前記銅箔層(A1、A2)との各積層面として第1の熱可塑性ポリイミド層(iia)と第2の熱可塑性ポリイミド層(iib)とを備え、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)のガラス転移温度がいずれも260℃以上であること;
b)第1の銅箔層(A1)は、厚さ(t1)が9〜18μmの範囲内であり、X線回折によって求めた(200)面の回折強度(I)と微粉末銅のX線回折によって求めた(200)面の回折強度(I0)との関係がI/I0>100である銅箔からなること;
c)第2の銅箔層(A2)は、厚さ(t2)が9〜18μmの範囲内であり、X線回折によって求めた(200)面の回折強度(I)と微粉末銅のX線回折によって求めた(200)面の回折強度(I0)との関係がI/I0>100である銅箔からなること;
を具備するフレキシブル銅張積層板。 - 前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成する酸無水物成分は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル銅張積層板。
- 前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成するジアミン成分は、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、及び1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル銅張積層板。
- 前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成する酸無水物成分の主成分はピロメリット酸二無水物であり、前記熱可塑性ポリイミド層(iia)及び前記熱可塑性ポリイミド層(iib)を構成するジアミン成分の主成分は2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル銅張積層板。
- 前記銅箔層(A1)におけるI/I0の値(I1)と前記銅箔層(A2)におけるI/I0の値(I2)の差が10以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキシブル銅張積層板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブル銅張積層板の前記銅箔層(A1)及び前記銅箔層(A2)を回路加工してなるフレキシブル回路基板。
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