JP2016198294A - 生体情報検出装置及び電子機器 - Google Patents

生体情報検出装置及び電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2016198294A
JP2016198294A JP2015080630A JP2015080630A JP2016198294A JP 2016198294 A JP2016198294 A JP 2016198294A JP 2015080630 A JP2015080630 A JP 2015080630A JP 2015080630 A JP2015080630 A JP 2015080630A JP 2016198294 A JP2016198294 A JP 2016198294A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
biological information
light receiving
information detection
subject
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015080630A
Other languages
English (en)
Inventor
彰 植松
Akira Uematsu
彰 植松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2015080630A priority Critical patent/JP2016198294A/ja
Priority to US15/094,275 priority patent/US20160296129A1/en
Publication of JP2016198294A publication Critical patent/JP2016198294A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/02Detecting, measuring or recording pulse, heart rate, blood pressure or blood flow; Combined pulse/heart-rate/blood pressure determination; Evaluating a cardiovascular condition not otherwise provided for, e.g. using combinations of techniques provided for in this group with electrocardiography or electroauscultation; Heart catheters for measuring blood pressure
    • A61B5/024Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate
    • A61B5/02416Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate using photoplethysmograph signals, e.g. generated by infrared radiation
    • A61B5/02427Details of sensor
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/0059Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons using light, e.g. diagnosis by transillumination, diascopy, fluorescence
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/02Detecting, measuring or recording pulse, heart rate, blood pressure or blood flow; Combined pulse/heart-rate/blood pressure determination; Evaluating a cardiovascular condition not otherwise provided for, e.g. using combinations of techniques provided for in this group with electrocardiography or electroauscultation; Heart catheters for measuring blood pressure
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/02Details of sensors specially adapted for in-vivo measurements
    • A61B2562/0233Special features of optical sensors or probes classified in A61B5/00
    • A61B2562/0238Optical sensor arrangements for performing transmission measurements on body tissue
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/18Shielding or protection of sensors from environmental influences, e.g. protection from mechanical damage
    • A61B2562/185Optical shielding, e.g. baffles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/02Detecting, measuring or recording pulse, heart rate, blood pressure or blood flow; Combined pulse/heart-rate/blood pressure determination; Evaluating a cardiovascular condition not otherwise provided for, e.g. using combinations of techniques provided for in this group with electrocardiography or electroauscultation; Heart catheters for measuring blood pressure
    • A61B5/024Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate
    • A61B5/02438Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate with portable devices, e.g. worn by the patient
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/68Arrangements of detecting, measuring or recording means, e.g. sensors, in relation to patient
    • A61B5/6801Arrangements of detecting, measuring or recording means, e.g. sensors, in relation to patient specially adapted to be attached to or worn on the body surface
    • A61B5/6802Sensor mounted on worn items
    • A61B5/681Wristwatch-type devices

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Measuring Pulse, Heart Rate, Blood Pressure Or Blood Flow (AREA)

Abstract

【課題】 機器の小型化、及び外乱光の影響の抑止という2点を両立する生体情報検出装置及び電子機器等を提供すること。【解決手段】 生体情報検出装置10は、被検体に対して光を照射する発光部42と、被検体からの光を受光する受光部44とを有するセンサー部40と、被検体に接触する接触部50を含み、発光部42から生体内部を経由して受光部44に入射する光パワーをPSとし、受光部44から接触部50の端部までの距離をrNとしたときに、端部の外側から生体内部を経由して受光部44に入射する外乱光の光パワーをrNの関数であるPN(rN)とした場合に、rN≦10mm、且つα≦PS/{PN(rN)×1000}を満たすように外乱光の減衰率αが設定される。【選択図】 図1

Description

本発明は、生体情報検出装置及び電子機器等に関する。
従来、光電センサーを用いて被験者(ユーザー)の生体情報を検出する手法が知られている。ここでの生体情報とは例えば脈波情報であり、発光部から照射された光の、血管での反射光、或いは血管を透過した透過光を受光部で受光することで、皮下の血管の脈動を表す信号を取得する。
特許文献1には、光電センサーを用いた脈波測定装置が開示されている。特許文献1に開示された手法は、運動強度に応じて周波数のピーク探索範囲を変更することで、ユーザーが非安静状態でも精度よく脈拍数を測定することを考慮したものとなっている。
特開2014−54447号公報 特開平7−148170号公報
A N Bashkatov, E A Genina, V I Kochubey and V V Tuchin. Optical properties of human skin, subcutaneous and mucous tissues in the wavelength range from 400 to 2000nm.
特許文献1のように、光電センサーを用いて生体情報を検出する場合、適切な検出を行うためには信号成分とノイズ成分との関係を考慮しなくてはならない。ここでの信号成分とは、発光部から照射され、生体内部を経由して受光部に入射する光に対応するものである。一方、ノイズ成分とは外乱光に対応するものである。外乱光には種々の光が考えられるが、最も影響が大きいのは太陽光である。
その際、生体情報検出装置を小型化しようとすると、生体内部を経由して受光部に入射してしまう太陽光の強度(光パワー)が大きくなってしまう。なお、生体内部での光の伝搬に関しては、特許文献2や非特許文献1に詳細な記載がみられる。
生体情報検出装置はユーザーにより装着されるウェアラブル装置として実現されることが想定されるため、小型化の要求が大きいところ、小型化を進めるほどノイズの影響が強くなってしまうという関係にある。従来、生体情報検出装置の検出精度を高めるために、発光部の光強度を高くする、受光部の感度を高くする、光学フィルターを用いるといった種々の手法は広く用いられてきた。しかし、生体情報検出装置の小型化のために、外乱光(太陽光)の影響を抑止するという観点、特に機器のサイズと光学的な減衰率(阻止率)というパラメーターの適切な設定を行うという観点での技術の開示はみられるものではない。
本発明の幾つかの態様によれば、機器の小型化、及び外乱光の影響の抑止という2点を両立する生体情報検出装置及び電子機器等を提供することができる。
本発明の一態様は、被検体に対して光を照射する発光部と、前記被検体からの光を受光する受光部とを有するセンサー部と、前記被検体に接触する接触部と、を含み、前記発光部から前記被検体である生体内部を経由して前記受光部に入射する光パワーをPSとし、前記受光部から前記接触部の端部までの距離をrNとしたときに、前記端部の外側から前記生体内部を経由して前記受光部に入射する外乱光の光パワーをrNの関数であるPN(rN)とした場合に、rN≦10mm、且つα≦PS/{PN(rN)×1000}を満たすように前記外乱光の減衰率αが設定される生体情報検出装置に関係する。
本発明の一態様では、接触部の端部までの距離rNを小さく抑えるとともに、rNの関数であり外乱光の光パワーを表すPNと、信号光の光パワーを表すPSとから、外乱光の減衰率αを設定する。このようにすれば、生体情報検出装置を小型化しつつ、外乱光の影響を抑止して適切な検出を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、rN≦10mm、且つ、α≦1/30を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されてもよい。
これにより、rN及びαとして具体的な値を設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、rNがrN≦10の範囲で小さくなるほど、α≦1/30の範囲でαが小さくなるように前記外乱光の前記減衰率αが設定されてもよい。
これにより、減衰度合いをより大きくする(αを小さくする)ことで、生体情報検出装置をより小型化すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、rN≦8mm、且つ、α≦1/100を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されてもよい。
これにより、rN及びαとして具体的な値を設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、rN≦5mm、且つ、α≦1/1000を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されてもよい。
これにより、rN及びαとして具体的な値を設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記受光部に設けられ、前記受光部に入射する光を制限する光学フィルターをさらに含み、前記光学フィルターにより、前記減衰率αが設定されてもよい。
これにより、光学フィルターにより減衰率αを実現することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記光学フィルターは、多層膜フィルターを含んでもよい。
これにより、多層膜フィルターを少なくとも含む光学フィルターにより減衰率αを実現することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部が設けられる筺体を含み、前記接触部は、前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記筺体が前記被検体に接触する筺体面であってもよい。
これにより、筐体を有する生体情報検出装置を実現すること、及び当該筐体の面により接触部を実現すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部が設けられる筺体を含み、前記接触部は、前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記被検体に対向する前記筺体の面であってもよい。
これにより、筐体を有する生体情報検出装置を実現すること、及び当該筐体の被検体に対向する面により接触部を実現すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部が設けられる筺体を含み、前記接触部は、前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記被検体に対向する前記筺体の面のうちの、前記被検体側に突出した突出領域であってもよい。
これにより、筐体を有する生体情報検出装置を実現すること、及び当該筐体の被検体に対向する面の突出領域により接触部を実現すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー部からのセンサー情報に基づいて、生体情報の検出処理を行う処理部をさらに含んでもよい。
これにより、センサー情報に基づいて生体情報を検出することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記生体情報は、脈波情報であってもよい。
これにより、センサー情報に基づいて脈波情報を検出することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記発光部から前記生体内部を経由して前記受光部に入射し、前記脈波情報に対応する光パワーをPMとした場合に、PM≧PS/1000であってもよい。
これにより、信号光の光パワーPSと、脈波情報に対応する光パワーPMとの関係を考慮した上で、減衰率αを決定すること等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、上記の生体情報検出装置を含む電子機器に対応する。
図1(A)、図1(B)は、発光部、受光部、筐体の配置例と信号光、外乱光の関係を表す平面図及び断面図。 波長と吸収係数μa、散乱係数μs’の関係例。 生体内の伝搬距離と光パワーとの関係例。 皮膚に照射される太陽光の光パワーの分光特性。 太陽光の波長帯域と光パワーの関係例。 生体内部を経由して受光部に入射する外乱光の光パワーの演算手法の例。 接触部の端部までの距離rNと外乱光パワーPNの関係例。 減衰率αの設定例。 本実施形態に係る受光部及び多層膜フィルターの断面図。 受光部に角度制限フィルターを設ける場合の断面図。 図11(A)、図11(B)は角度制限フィルターの形成工程の説明図。 角度制限フィルターの形成工程の説明図。 生体情報検出装置の構成例。 図14(A)、図14(B)は生体情報検出装置の外観図。 生体情報検出装置の他の外観図。 図16(A)〜図16(C)は接触部の具体例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、生体情報の検出に光電センサーを用いる手法が広く知られている。光電センサーは発光部と受光部を含み、発光部から照射され、生体内部を経由した光を受光部で受光することで生体情報の検出を行う。この際、受光部は光を検出可能である(例えば光電変換を行う)素子であればよく、当該受光部に入射している光がどのような光であるかを区別するものではない。例えば、入射する光の光源が何か、或いは光の伝搬経路がどのような経路であるか、といったことは受光部では区別しない。そのため、外乱光が入射する場合、当該外乱光と、発光部から照射され生体内部を経由した光とを区別できない。
生体情報の検出で利用したいのは、上述したように発光部から照射され生体内部を経由した光(以下、信号成分に対応する光であるため信号光とも表記する)であり、外乱光はノイズ成分となる。外乱光において最も寄与度が高い光は太陽光であるため、以下太陽光を対象に説明を行う。
そのため、従来の生体情報検出装置においても、太陽光の受光部への入射を妨げるような構造を用いることが普通である。例えば、図14(A)〜図15等を用いて後述するような腕時計型(バンド型)の生体情報検出装置では、本体部(ケース部30、筐体)のうち、被検体に接触する接触面側に光電センサー(センサー部40)を設けている。このようにすれば、生体情報を検出する状態、すなわち腕時計型機器がユーザーの腕の装着されている状態では、受光部は、光電センサー(及び回路基板等の生体情報検出装置を構成する部材)を含む筐体と、生体とに挟まれることになる。つまり、筐体が遮光部材となり、太陽光が受光部に直接入射することを抑止できる。
しかし、生体情報の検出において発光部から照射された光が生体内部を経由する、狭義には血管領域まで到達し、血管で反射されて受光部に達することからわかるように、光は生体内部を伝搬する特性を有する。つまり、筐体等を遮光部材とすることで、太陽光が直接受光部に入射することは抑止できても、当該遮光部材により遮光されない位置から生体内に入射し、生体内を伝搬した光が受光部に入射することまで抑止することは難しい。
具体例を図1(A)、図1(B)を用いて説明する。図1(A)は、発光部、受光部、筐体の配置例と信号光、外乱光の関係を表す平面図であり、図1(B)はその断面図である。図1(A)に示したように、ここでは円形の遮光エリアが設けられる例、具体的には円板形状の筐体を用いる例を想定している。そして、筐体と生体200とに挟まれる位置に、発光部42と受光部44が設けられる。なお、図1(A)では筐体の中央部に受光部44が設けられ、中央からずれた位置に発光部42を設けるものとしたが、位置関係はこれに限定されず、発光部42と受光部44の中点が筐体の中央部となるような配置や、発光部42が筐体の中央部となるような配置としてもよい。
この場合、図1(A)に示したように、太陽光は生体表面(皮膚)のうち、遮光エリア以外のエリアには入射することになる。そのため、図1(B)に示したように、受光部44には発光部42から照射され生体内を経由した光LSと、遮光エリア外の点から入射し生体内を経由した太陽光LNとが入射することになる。
ここで、LSの光パワーをPS、LNの光パワーをPNとした場合、受光部44の出力値のうち、信号成分がPS、ノイズ成分がPNに対応(狭義には比例)することになり、S/N比はPS/PNに対応した値となる。
また、遮光エリア外の所与の一点をkとし、kから入射し生体内を経由した太陽光の光パワーをpn(k)とした場合、PNはpn(k)を遮光エリア外の全領域にわたって積分した値となる。例えば、図1(B)に示したように、受光部からの距離がrN以上となる範囲から入射した太陽光が、生体内部を経由して受光部44に入射する光パワーの総和がPNである。なお、具体的な計算例については図6を用いて後述する。
つまり、遮光エリア外の領域を狭くする、すなわち遮光エリアを広くすることで、ノイズ成分PNを小さくすることが可能である。特に、図3を用いて後述するように、生体内部を伝搬する平面方向での距離が長くなるほど、生体内部での光の減衰は指数関数的に大きくなる。つまり、受光部44に比較的近い位置からの太陽光の入射を抑止できるということから考えても、遮光エリアを広くすることによるPNの減少の効果は大きい。
ここで、遮光エリアの広さが筐体、或いはそれに類する生体情報検出装置の部材の大きさに対応することに鑑みれば、生体情報検出装置のサイズを大きくするほど太陽光に起因するノイズの影響を抑止可能であると言える。逆に言えば、生体情報検出装置を小型化しようとすると、太陽光に起因するノイズの影響が大きくなってしまう。
そのため、従来の生体情報検出装置では極端な小型化はされていなかった。具体的には、腕時計型の機器であれば、本体部(バンド部を除いた筐体部分)の直径が20mmより大きく、図1(B)のrNであればrN>10mmである。しかし、直径20mmを超えるようなサイズは、大型の腕時計相当であり、人の手首の太さ(直径)との比較においてある程度大きなサイズとなる。つまり、このようなサイズの生体情報検出装置は、装着することで邪魔になる可能性があり、特に手首の細い女性や子供には適しているとは言えない。なお、ここで距離rNは、図1(A)のような平面視における、受光部44の中心からの距離である。あるいは、平面視において受光部が矩形である場合には、対角線の交点を受光部の中心と定義し、対角線の交点からの距離であるとすることもできる。また、受光部44の位置は中心を基準とするものには限定されず、種々の代表位置を用いてもよい。代表位置は重心位置でもよいし、端点に対応する位置でもよいし、平面視において受光部44に含まれる他の位置であってもよい。この場合、距離rNは受光部44の代表位置からの距離となる。
そこで本出願人は、rNが10mm以下となるような小型化を実現しつつ、生体情報が検出可能な程度にノイズ成分(PN)を抑える手法を提案する。具体的には、本実施形態に係る生体情報検出装置10は、被検体に対して光を照射する発光部42と、被検体からの光を受光する受光部44とを有するセンサー部40と、被検体に接触する接触部50とを含む。そして、発光部42から生体内部を経由して受光部に入射する光パワーをPSとし、受光部44から接触部50の端部までの距離をrNとしたときに、端部の外側から生体内部を経由して受光部44に入射する外乱光の光パワーをrNの関数であるPN(rN)とした場合に、下式(1)及び下式(2)を満たすように外乱光の減衰率αが設定される。
rN≦10mm ・・・・・(1)
α≦PS/{PN(rN)×1000} ・・・・・(2)
ここで接触部50とは、生体情報検出装置10のうち、生体情報の検出時に生体に接触する部分を表し、図14(A)〜図15を用いて後述するような腕時計型の生体情報検出装置10であれば、ケース部30(筐体)のうちの生体側の面を表す。具体的には、生体情報検出装置10の筐体が本体部と裏蓋部とを組み合わせて実現されるのであれば、裏蓋部が接触部50であってもよいし、筐体が射出成形等で一体形成される場合であれば、そのうちの生体側の一部であってもよい。また、接触部50は、生体情報検出装置10の生体側に設けられる部材全体である必要はない。例えば、生体情報検出装置10が裏蓋部を有する場合に、裏蓋部の一部が生体に接触し、他の部分が接触しない(生体に対して浮く)構成としてもよい。その場合の接触部50は、裏蓋部のうちの生体に接触する部分を表す。
また、外乱光の減衰率αとは、α<1を満たす正数であり、光パワーPNの外乱光が受光部44に入射しようとした場合に、その光パワーをα×PNに減衰させる特性を表す。なお、図8を用いて後述するように、信号光を減衰させることは好ましくないため、実際には信号光に対応する波長帯域の光は減衰させず(100%、或いはそれに近い割合で透過させ)、それ以外の波長帯域の光パワーをα倍に減衰させるものとすればよい。
この場合、外乱光についても、信号光に対応する波長帯域の光については減衰されないことになるため、光パワーの減衰は厳密にはα×PNとはならないかもしれない。しかし、図3を用いて後述するように、生体内を伝搬する光は、波長が短いほどその減衰度合いが大きい。そのため、太陽光の分光特性(図4を用いて後述)のうち、短い波長帯域に対応する0.4μm〜0.6μmの光は、減衰度合いが大きいため、受光部44に到達する外乱光に占める光パワーは無視して問題ない程度に小さいものとなる。ここでの信号光は例えば緑の波長帯域に対応する0.5μm〜0.6μm等を用いることを想定している。そのため、外乱光のうち、信号光に対応する波長帯域の光を透過する(αで減衰しない)としても、そのことによる光パワーPNへの影響は考慮しなくても問題ないと言える。つまり本実施形態では、図8に示すような特性の光学フィルター等を用いるものとするが、それにより外乱光の光パワーはα×PNになると考えて差し支えない。
つまり、最終的に受光部44により受光される外乱光起因の光パワーは、PN(rN)×αとなり、上式(2)を満たすようなαを設定することで、PN(rN)×α≦PS/1000、すなわち外乱光起因の光パワーを、信号光の光パワーの1/1000に抑えるような減衰率を設定することが可能になる。
脈波情報は血流量の変動から求められるものであるため、実際に脈波情報を表す信号は信号光LSのAC成分(すなわちPSの変動分であるAC成分)となる。そして、特許文献1には、PSに対応する信号に対して、2桁程度小さい信号値がAC成分に対応するとの記載が見られ、本出願人による実験でも、AC成分はDC成分の1/800〜1/300程度であることがわかっている。つまり、脈派に対応する信号成分は、PS/800〜PS/300程度の値となるため、外乱光による信号を、当該脈波に対応する信号成分と十分区別可能な程度に小さくしておけば、適切な脈波情報(広義には生体情報)の検出が可能となる。その点、上式(2)を満たすものとすれば、PN(rN)×α≦PS/1000となるため、脈波に対応する成分に対してノイズ成分を十分小さくすることが可能である。
さらに、これらの設定は上式(1)を条件として行われているため、生体情報検出装置の小型化も可能になる。つまり本実施形態の手法によれば、生体情報検出装置の小型化と、外乱光の影響抑止を両立することが可能になる。
なお、具体的な数値については後述するが、上式(1)と(2)の両方を満たそうとした場合、αは1/30以下といった非常に小さい値となる。すなわち光の減衰度合いを非常に大きくする必要があり、一例としては高性能な光学フィルターを実現しなくてはならない。その点、本出願人は図9〜図12を用いて後述する多層膜フィルターや角度制限フィルター等を用いるため、αに関する条件を満たすことが可能である。
以下、生体内部の光の伝搬シミュレーションに基づいて、上式(1)及び(2)を満たす具体的なαの数値の求め方を説明する。合わせて、より小型化を進めた場合(rNを100mmよりもさらに小さくした場合)のαの具体例についても説明する。さらに、αを実現する具体的な構成例として光学フィルターについて説明し、最後に本実施形態に係る生体情報検出装置10の具体的な構成例を説明する。
2.受光部−端部間の距離rNと減衰率αの設定例
具体的なrN,αの設定例について説明する。まず図2〜図7を用いて生体内の光の伝搬等の本実施形態の原理を説明する。次に、図8〜図12を用いて、減衰率αを実現する具体的な構成の例として光学フィルターの説明を行う。
2.1 本実施形態の手法の原理
生体内部、特に皮膚内での光の伝搬特性は種々知られており、例えば特許文献2には、下式(3)が開示されている。下式(3)において、R(r)がrmmの距離を伝搬した光強度、Zが仮想的な入射深さ、Dが拡散係数、μaが吸収係数を表す。また、拡散係数Dは下式(4)により表され、下式(4)におけるμs’は散乱係数(補正散乱係数)を表す。
また、非特許文献1のFigure 2.(a)及び(b)には吸収係数μaと散乱係数μs’に関する開示があり、これに基づいて、図2に示すように、光の波長帯域と、当該波長帯域におけるμa、μs’の関係を導くことができる。
上式(3)、(4)及び図2を用いることで、図3を導くことができる。図3は、皮膚内での伝搬距離rと、光パワー(光強度)Rの関係を示したものである。具体的には、各波長帯域について、図2で示されるμa、μs’の値を上式(3)、(4)に代入すればよい。なお、図3を導くに当たり、仮想的な入射深さとして、Z=1mmを用いている。また、図3では、距離r=0での光強度を1としている。すなわち、図3は距離rだけ伝搬したときの光パワーの減衰度合いを表すグラフである。
図3からわかるように、波長が短いほど距離に対する光パワーの減衰度合いが大きく、波長が長いほど減衰度合いが小さい。比較的波長が長い帯域である赤い光(例えば0.6μm以上)は、減衰度合いが小さいことになるため、この波長帯域の信号光を用いた場合には、外乱光の影響が大きくなる。なぜなら、受光部44から遠い位置で入射した外乱光についても皮膚内での減衰度合いが小さいまま受光部44まで到達してしまうためである。本実施形態では、この点も考慮して緑の光(波長帯域は例えば0.5μm〜0.6μm)を用いるものとして説明を行う。ただし、赤等の波長帯域を用いる実施形態も否定されるものではない。
ここで、信号光として0.5μm〜0.6μmの光を用い、且つ発光部42と受光部44との間の距離rSを2mmとした場合、図3から光パワーとしてR=0.00471(/mm)という値が求められる。つまり、発光部42から照射された光の光パワーは、0.00471倍に減衰されて受光部44で受光される。仮に、生体内部を経由せずに発光部42から照射され受光部44で受光される光の光パワーを1mWとすれば、rS=2mmに設定した場合の信号光の光パワーPSは、下式(5)となる。
PS=1mW×0.00471/mm
=4.71×10−3mW/mm ・・・・・(5)
なお、発光部42の発光強度を高くする、発光部42にレンズ等を設けて光の指向性を高くする、或いは受光部44の受光感度を高くする、といった種々の手法により、生体内部を経由しないと仮定した場合の発光部42から照射され受光部44で受光される光の光パワーを大きくすることができ、PSを大きくすることが可能である。また、発光部42と受光部44との距離rSを小さくしてもPSは大きくできる。ただし、現状でも発光部42や受光部44の性能、配置等が異なる種々の製品が知られているが、そのような異なる製品でも信号光の光パワーPSの水準は上式(5)程度とされているものが多数である。よって本実施形態の以下の説明では、PSは上式(5)で表される値であるものとしてパラメーターの設定等を行う。ここで、距離rSは、図1(A)のような平面視、あるいは図2(B)のような断面視における、発光部42の中心から受光部44の中心までの距離である。また、平面視において発光部、受光部が矩形である場合には対角線の交点間の距離とすることができる。なお、受光部44の位置の基準を代表位置としてもよい点は距離rNの場合と同様である。また、発光部42の位置の基準についても、中心ではなく代表位置としてもよい。つまり、距離rSは、発光部の代表位置から受光部の代表位置までの距離であってもよい。
上述したように、PSのうち脈波に対応するAC成分は1/800〜1/300程度である。言い換えれば、発光部42から生体内部を経由して受光部44に入射し、脈波情報に対応する光パワーをPMとした場合に、PM≧PS/1000である。ここでのPMは例えばPSのAC成分のパワーに対応する。
その点を考慮して、受光部44で受光される外乱光の光パワーは、PSの1/1000程度に抑えておくとよい。すなわち外乱光の光パワーは上式(5)の1/1000である4.71×10−6mW/mm以下とすればよい。このようにすれば、脈波情報に対応する光パワーを考慮した上で処理を行うことができる。そのため、ノイズに対応する光パワーPNに対する、脈波情報に対応する光パワーPMの大きさを適切に設定する(具体的にはPM>PNとする)ことが可能になる。
よって次に、受光部44に入射する外乱光(太陽光)の光パワーPNの評価を行う。まず太陽光の光パワーの分光特性を図4に示す。図4の横軸が波長、縦軸が単位面積当たり、単位波長当たりの光パワー(単位はW/m・μm)を表す。図4は地表面に降り注ぐ太陽光の光パワーを表すものであり、生体(ユーザーの皮膚)に照射される太陽光の光パワーを表すものと考えてよい。
図4から、波長帯域ごとの太陽光の光パワーを求めたものが図5である。図5では、0.4μm〜1.0μmの範囲を0.1μmごとに区切った波長帯域を考えている。例えば、図4のうち、A1で示した範囲の面積に相当する情報が、図5における0.4μm〜0.5μmの波長帯域での単位面積当たりの光パワーとなる。ただし、図4での単位がW及びmを用いているのに対して、図5ではmW、mmを用いているため、その変換を行う必要がある。
なお、図9等を用いて後述するように、受光部44(光検出領域121)の感度波長域は、例えば0.3μm〜1.1μm、或いは0.4μm〜1.0μm程度の範囲に設定されることが考えられる。この場合、当該感度波長域以外の波長の光が入射したとしても、当該光が受光部44で検出されることはなく、当該光は信号としてもノイズとしても寄与しない。よって本実施形態では、PNの評価を行うに当たって、波長帯域として受光部44の感度波長域であることが想定される波長帯域、具体的には図5に示したように0.4μm〜1.0μmの範囲を対象として処理を行うものとする。なお、この波長帯域は、0.3μm〜1.1μmとしてもよいし、他の波長帯域としてもよく、受光部44の感度波長域等の特性に合わせて種々の変形実施が可能である。
図1(A)等に示したように、受光部44を中心として半径rNの筐体が遮光部材として設けられる生体情報検出装置10を考える。この場合、受光部44からの距離がrNより大きくなる全ての点に対して太陽光が入射することになる。ただし、実際にはユーザーの体の大きさは有限であるし、図3に示したように生体内の伝搬距離が大きくなるほど光パワーは指数関数的に減少していく。よって受光部44からの距離がrNより大きい点として、受光部44から無限遠の点まで考慮する必要性は低く、ここではrN<r<30mmの範囲を考慮する。また、上述したように太陽光の波長帯域については0.4μm〜1.0μmだけを考えるものとする。
具体的な計算例を図6に示す。図6は受光部44を中心として、領域を同心円状に区分したものである。図6のB5は受光部44を中心とした半径5mmの円を表す領域である。
そして、受光部44からの距離がrとなる点、すなわち受光部44を中心とする半径rの円上の点では、0.4μm〜0.5μmの光が、0.130mW/mmの強度で入射し(図5)、図3のR0.4−0.5(r)に対応する比率で減衰され、R0.4−0.5(r)×0.130mW/mmというパワーで受光部44に入射する。同様に、1.0μmの波長帯域まで考えれば、受光部44からの距離がrとなる点に入射した光は、下式(6)で表される光パワーpnに減衰されて受光部44に入射されることになる。
pn=R0.4-0.5(r)×0.130 + R0.5-0.6(r)×0.155 + R0.6-0.7(r)×0.145 +
R0.7-0.8(r)×0.126 + R0.8-0.9(r)×0.102 + R0.9-1.0(r)×0.083(mW/mm2)
・・・・・(6)
上式(6)が、受光部44から距離rである一点に入射して生体内部を経由した光パワーであることを考慮すれば、上式(6)を図6のうちのrN<r<30mmを満たす全範囲(極座標系であればθは0〜2π)について積分すれば筐体サイズをrNとしたときの外乱光のパワーPNを求めることができる。
実際の演算については、図6に示したように同心円状の領域を設定し、各領域ごとに計算してもよい。例えば、B5の領域は面積が(6−5)π(mm)である。B5内には受光部44までの距離が5mmの点、6mmの点、及びその間の距離の点が混在することになるが、その際の光パワーの減衰度合いを5mmでの減衰度合いと6mmでの減衰度合いの平均値で代表する。例えば、領域B5内の点に入射した0.4μm〜0.5μmの光についての減衰度合いを下式(7)のR’0.4−0.5であると考えればよい。
R'0.4-0.5(B5)={R0.4-0.5(5)+R0.4-0.5(6)}/2 ・・・・・(7)
他の波長帯域についても同様に領域B5に入射した光パワーの減衰度合いを5mmでの減衰度合いと6mmでの減衰度合いの平均値R’で代表するものとすれば、領域B5に入射し、生体内を経由して受光部44に入射する光の光パワーpn(B5)は、下式(8)により求められる。
pn(B5)={R'0.4-0.5(B5)×0.130 + R'0.5-0.6(B5)×0.155 + R'0.6-0.7(B5)×0.145 +
R'0.7-0.8(B5)×0.126 + R'0.8-0.9(B5)×0.102 + R'0.9-1.0(B5)×0.083}
× (62-52)π ・・・・・(8)
同様に、受光部44から距離が6mm〜7mmである領域B6、7mm〜8mmである領域B7といったように、受光部44からの距離がimm〜i+1mmである領域Biに入射した光が生体内部を経由して受光部44に入射する光パワーpn(Bi)を求めることができる。ここでは上述したように、受光部44からの距離が30mm以下の範囲を考慮しているため、pn(B29)まで求めればよい。
このようにすれば、各同心円状の領域ついて、当該領域に入射した太陽光が、生体内部を経由して受光部44に入射する光パワーpnを求めることができる。ここで、図1(A)等に示したように、生体情報検出装置10の筐体として半径5(mm)の円板形状の筐体を用い、当該筐体により半径5mmの遮光エリアが設定される場合を考える。この場合、受光部44から5mm以内の範囲の生体への太陽光の入射は抑止されるため、太陽光が入射する領域としては、B5、B6、・・・B29の集合の領域を考慮すればよい。そのためPNはpn(B5)〜pn(B29)の総和となる。
これを一般化し、生体情報検出装置10の筐体として半径rN(mm)の円板形状の筐体を用い、当該筐体により半径rNmmの遮光エリアが設定される場合を考える。この場合、太陽光が入射する領域としては、BrN、BrN+1、・・・B29の集合の領域を考慮すればよい。そのためPN(rN)は下式(9)により求めることが可能である。
図3に示したように、R0.4−0.5(r)等の数値は既知である。よって、上式(9)に具体的な値を代入することで、PNとrNの数値関係を求めることができ、これを図示したものが図7である。なお、以上では0.4μm〜1.0μmの波長帯域を対象として処理を行ったが、上述したように、短い波長の光は伝搬距離rに対する減衰度合いが大きく、PNに対する寄与度が小さい。よって例えば、比較的波長が短い0.4μm〜0.6μmの波長帯域についての処理を省略し、0.6μm〜1.0μmの波長帯域を対象として上述の処理を行うといった変形実施が可能である。また、ここではrNとして5mm以上の値を想定したため、B5〜B29の領域を対象としたが、さらに受光部44に近い領域、例えば受光部44からの距離が4mm〜5mmである領域B4等を考慮してもよく、その場合、rN<5mmの場合のPN(rN)を求めることも可能になる。
仮に、減衰率αにより外乱光を減衰させず、生体情報検出装置10のサイズrNにより上述した4.71×10−6mW/mm以下という条件を満たすように設定するものとすると、図7より例えばrN=17mmとする必要がある。図7よりrN=17の時のPNは3.36×10−6mW/mmとなるため、4.71×10−6mW/mm以下という条件を満たす。
しかし、この場合rNが大きくなりすぎ、例えば生体情報検出装置10を腕時計型機器とし、上記rNを円板形状の本体部の半径であるとすれば、本体部の直径が34mmとなる。時計の文字盤を想像すればわかるように、直径34mmというサイズは非常に大きく、装着が煩わしく感じられる可能性もあり好ましくない。
よって本実施形態では、生体内部を経由して受光部44に入射する外乱光の光パワーPNをα倍(<1)に減衰させる。このようにすれば、図7から求められるPNそのものを4.71×10−6mW/mm以下とせずとも、α×PN≦4.71×10−6mW/mmとすればノイズに対応する光パワーを十分小さくできる。つまり、rNをより小さくすることが可能になり、生体情報検出装置10の小型化が可能になる。
例えば、上述したようにrN≦10mm、すなわち直径20mmというサイズは、腕への装着等を考慮した場合に望ましい値である。図7より、PN(10)=1.40×10−4mW/mmであるため、α=1/30とすれば、α×PN(10)=1.40×10−4×1/30=4.67×10−6mW/mm≦4.71×10−6となり、上式(1)及び上式(2)の両方を満たすことが可能になる。また、減衰度合いをより大きくする、すなわちαを1/30に比べさらに小さくしても上記条件を満たすことが可能である。
つまり、rN≦10mm、且つ、α≦1/30を満たすように外乱光の減衰率αが設定されることで、生体情報(脈波情報)を適切に検出可能な生体情報検出装置10を実現することが可能になる。
この際、rNがrN≦10の範囲で小さくなるほど、α≦1/30の範囲でαが小さくなるように外乱光の減衰率αが設定される。すなわち、rNが小さいほど外乱光の影響が大きくなるため、減衰度合いを大きく(αを小さく)することで、外乱光の影響を適切に抑えることが可能になる。
例えば、rN≦8mm、且つ、α≦1/100を満たすように外乱光の減衰率αが設定されてもよい。図7よりPN(8)=4.58×10−4mW/mmであるため、α=1/100とすれば、α×PN(8)=4.58×10−6mW/mm≦4.71×10−6となり、上式(1)及び上式(2)の両方を満たすことが可能になる。
同様に、rN≦5mm、且つ、α≦1/1000を満たすように外乱光の減衰率αが設定されてもよい。図7よりPN(5)=3.42×10−3mW/mmであるため、α=1/1000とすれば、α×PN(5)=3.42×10−6mW/mm≦4.71×10−6となり、上式(1)及び上式(2)の両方を満たすことが可能になる。
2.2 減衰率αを実現する具体的な構成例
上述したように、本実施形態では、接触部50の端部の外側から生体内部を経由して受光部44に入射する外乱光の光パワーPNをα倍に減衰させる。その際、rN≦10という小型化を実現するためには、αは上述したように1/30〜1/1000といった非常に小さい値とする必要がある。一般的な従来製品でも光学フィルター等を設けているものはあるが、その際の減衰率は数分の1程度(具体的には1/10よりも大きい程度)にとどまっており、これは高性能な光学フィルターを実装することが困難であるという理由が考えられる。
しかし本出願人は、1/30〜1/1000といった減衰率を有する高性能な光学フィルターを実装可能である。具体的な減衰率の例を図8に示す。上述したように、信号光の波長帯域は透過させ、それ以外の波長帯域の光の光パワーをα倍に減衰させる。ここでは信号光の波長帯域が0.5μm〜0.6μmであるため、当該帯域の透過率を100%、他の波長帯域の減衰率をαとすればよい。また、上述したように1.0μm以上の波長帯域を無視してもよいとすれば、当該波長帯域での減衰率をαとする必要はなく、例えば透過率を100%としてもよい。
つまり、本実施形態に係る生体情報検出装置10は、受光部44に設けられ、受光部44に入射する光を制限する光学フィルターをさらに含み、当該光学フィルターにより、減衰率αが設定されてもよい。これにより、光学フィルターを設けることで減衰率αを実現することができる。
その際、光学フィルターは、多層膜フィルター(誘電体多層膜111)を含んでもよい。多層膜フィルターを用いることで、上述したような非常に小さいαを実現することが可能になる。
図9に半導体ウェハーからダイシングにより切り出された1つの受光センサー140の構成例(断面図)を示す。図9に示したように、半導体ウェハーから切り出される複数の受光センサー140の各センサーは、半導体基板101と、誘電体多層膜111と、光検出領域121を含む。ここでの光検出領域121は、受光部44に対応し、例えばフォトダイオード(PD)であり、具体的にはPN接合ダイオード等で実現される。光検出領域121の感度波長域は、PN接合を形成する際のドーピング濃度等でも変化するが、例えば300〜1100nm(0.3〜1.1μm)程度、或いは400〜1000nm(0.4〜1.0μm)程度の波長帯域である。
誘電体多層膜111(多層膜光学フィルター)は、図9に示したように、第1の屈折率の第1の屈折率層と、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率の第2の屈折率層とが積層された膜である。図9に示したとおり、第1の屈折率層(以下、高屈折率層)は酸化チタン(具体的には二酸化チタンTiO2)の層であり、第2の屈折率層(以下、低屈折率層)は酸化ケイ素(具体的には二酸化ケイ素SiO2)の層であってもよい。
光学的な処理を行うことを考慮すれば、所与の進路(光路)上において、屈折率の変化点を設けるとよい。この場合、高屈折率層と低屈折率層が接する面が当該屈折率の変化点となる。つまり、高屈折率層と低屈折率層を積層するに当たっては、図9に示したように、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層するとよい。なお、半導体基板101と垂直(略垂直)な方向に沿って、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層する。図9等では積層方向における両端の面を高屈折率層としているため、積層数は奇数(例えば61等)となるが、これに限定されるものではない。
また、誘電体多層膜111は、バンドパスフィルターとなる膜である。上述したTiO2を用いた高屈折率層と、SiO2を用いた低屈折率層を積層することで、所定の波長帯域の光を阻止することが可能であることがわかっている。そして具体的には、高屈折率層と低屈折率層を合わせて20層程度積層することで、200nm程度の波長帯域が阻止可能となる。
本実施形態においては、通過帯域の周辺の波長帯域を、誘電体多層膜111により遮蔽することで、所望の通過帯域を有するバンドパスフィルターを実現する。例えば、通過帯域が500〜600nmであれば、阻止波長帯域は300〜500nm及び600〜1100nmとすればよい。これは、紫外光及び青色光(300〜500nm)、赤色光(600〜700nm)、及び近赤外光(700〜1100nm)をカットする特性に対応する。この際、誘電体多層膜111全ての層が300〜500nm及び600〜1100nmを阻止する特性を有するのではなく、誘電体多層膜111をいくつかの群に分けて考えるとよい。
具体的には、誘電体多層膜111は、第1群の屈折率層と第2群の屈折率層を有し、第1群の屈折率層で第1の周波数帯域を減衰させ、第2群の屈折率層で第2の周波数帯域を減衰させ、第1の周波数帯域と第2の周波数帯域との間の第3の周波数帯域が通過帯域となる光学フィルターである。
例えば、誘電体多層膜111のうちの20層を用いて、300〜500nmを阻止する。この場合、当該20層が上記第1群の屈折率層であり、300〜500nmが第1の周波数帯域となる。また、誘電体多層膜111のうちの40層を用いて、600〜1100nmを阻止する。この場合、当該40層が上記第2群の屈折率層であり、600〜1100nmが第2の周波数帯域となる。また、この場合の第3の周波数帯域は500〜600nmとなる。
上述したように、第1群,第2群の屈折率層とは、高屈折率層及び低屈折率層の一方のみが20或いは40層積層されるのではなく、それぞれが高屈折率層と低屈折率層を含む(狭義には交互に積層される)ものである。また、第2群の屈折率層をさらに分割して考えてもよい。例えば、第2群の屈折率層のうちの20層を用いて、600〜800nmを阻止(減衰)し、第2群の屈折率層のうちの他の20層を用いて、800〜1100nmを阻止すればよい。
このようにすれば、非常に高精度なバンドパスフィルターを実現することが可能になる。デジタルカメラ等のイメージセンサー(撮像センサー)に設けられるカラーフィルターも可視光のうちの特定の波長域を通過帯域とするバンドパスフィルターであるが、その精度は非常に低い。なぜなら、イメージセンサーでは受光した信号を画像に変換してユーザーに提示する。そのため、所望の波長帯域からずれる波長帯域の光を受光してしまったとしても、出力画像が大きく変化するものではなく、特に人間の目では問題を発見しづらい。本実施形態に係る受光センサーはより高精度なバンドパスフィルターを含むことを想定しており、例えば上述したαを実現するために、阻止帯域での信号の透過率を1/100〜1/10000以下といった程度に抑える。そのためには、上述したように屈折率の異なる層を多数積層する誘電体多層膜を用いるとよい。
また、減衰率αを実現するに当たり、多層膜フィルター以外のフィルターを設けてもよい。例えば、図10に示したように、誘電体多層膜111と光検出領域121との間に、角度制限フィルター151を設け、多層膜フィルターと角度制限フィルター151の両方によりαを実現してもよい。或いは、多層膜フィルターを設けずに角度制限フィルター151によりαを実現してもよい。図11(A)〜図12に角度制限フィルター151を形成する工程の例を示す。
まず図11(A)のS1に示すように、フォトリソグラフィー、イオン注入、フォトレジスト剥離の工程により、P型基板上にN型拡散層(フォトダイオードの不純物領域)を形成する。S2に示すように、フォトリソグラフィー、イオン注入、フォトレジスト剥離、熱処理の工程により、P型基板上にP型拡散層を形成する。このN型拡散層がフォトダイオードのカソードとなり、P型拡散層(P型基板)がアノードとなる。
次に図11(B)のS3に示すように、SiO2のデポジション、研磨(例えばCMP、Chemical Mechanical Polishing)による平坦化の工程により、絶縁膜を形成する。S4に示すように、フォトリソグラフィー、SiO2の異方性ドライエッチング、フォトレジスト剥離の工程により、コンタクトホールを形成する。S5に示すように、TiN(窒化チタン)のスパッタリング、W(タングステン)のデポジション、Wのエッチバックの工程により、コンタクトホールの埋め込みを行う。S6に示すように、アルミのスパッタリング、TiNのスパッタリング、フォトリソグラフィー、アルミとTiNの異方性ドライエッチング、フォトレジスト剥離の工程により、1段目のアルミ配線を形成する。
次に図12のS7に示すように、上記S3〜S6と同様の工程によりビアコンタクトと2段目のアルミ配線を形成する。以降はS7の工程を必要回数繰り返す。図12には3段目のアルミ配線まで形成した場合を図示する。さらにS8に示すように、SiO2のデポジション、CMPによる平坦化の工程により、絶縁膜を形成する。以上の配線形成工程により、角度制限フィルターを構成するアルミニウム配線とタングステンプラグが積層される。なお、図10の角度制限フィルター151は、5段目のアルミ配線まで形成した例であり、後述する角度θの条件が満たされれば、角度制限フィルター151の構成は種々の変形実施が可能である。
図10にWで示したタングステンプラグを設けることで、角度θを30度に制限している。そのため、図10に示したように光検出領域121へ入射しようとする光のうち、入射角(光検出領域の面に垂直な方向に対する角度)が30度未満の光は光検出領域121に到達するのに対して、入射角が30度以上の光が光検出領域121に到達しない(到達する前にタングステンプラグにより遮られる)ようにできる。
また、上述した0.3〜1.1μmを受光する例のように、受光部44(フォトダイオード)自体も感度に波長依存性があることが知られている。つまり、減衰率αは、多層膜フィルターと角度制限フィルター151の少なくとも一方から実現されるものには限定されず、多層膜フィルターと角度制限フィルター151の少なくとも一方及び受光部44自体の特性により実現されてもよい。
3.生体情報検出装置の構成例
次に本実施形態に係る生体情報検出装置10の構成例を説明する。本実施形態に係る生体情報検出装置10は、図13に示したように、情報取得部60と、記憶部70と、処理部80を含む。ただし、生体情報検出装置10は、図13の構成に限定されず、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
情報取得部60は、発光部42及び受光部44からなるセンサー部40(脈波センサー)からのセンサー情報(脈波センサー情報)を取得する。
記憶部70は、処理部80等のワーク領域となるもので、その機能はRAM等のメモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。記憶部70は、情報取得部60が取得した脈波センサー情報を記憶する。また、記憶部70は、処理部80での処理結果を記憶してもよい。
処理部80は、センサー部40からのセンサー情報に基づいて、生体情報の検出処理を行う。具体的には、当該センサー情報は脈波センサー情報であり、生体情報は脈波情報である。このようにすれば、外乱光の影響を適切に抑止し、生体情報検出装置10において精度よく生体情報(狭義には脈波情報)を検出することが可能になる。
図14(A)〜図15に生体情報(狭義には脈波情報)を収集する生体情報検出装置10の外観図の一例を示す。本実施形態の生体情報検出装置10はバンド部11とケース部30とセンサー部40を有する。ケース部30はバンド部11に取り付けられる。センサー部40は、ケース部30に設けられる。
バンド部11はユーザーの手首に巻き付けて生体情報検出装置10を装着するためのものである。バンド部11はバンド穴12、バックル部14を有する。バックル部14はバンド挿入部15と突起部16を有する。ユーザーは、バンド部11の一端側を、バックル部14のバンド挿入部15に挿入し、バンド部11のバンド穴12にバックル部14の突起部16を挿入することで、生体情報検出装置10を手首に装着する。なお、バンド部11は、バックル部14の代わりに尾錠を有する構成としてもよい。
ケース部30は、生体情報検出装置10の本体部に相当するものである。ケース部30の内部には、センサー部40や不図示の回路基板等の生体情報検出装置10の種々の構成部品が設けられる。即ち、ケース部30は、これらの構成部品を収納する筐体である。
ケース部30には発光窓部32が設けられている。発光窓部32は透光部材により形成されている。そしてケース部30には、フレキシブル基板に実装されたインターフェースとしての発光部が設けられており、この発光部からの光が、発光窓部32を介してケース部30の外部に出射される。
生体情報検出装置10は、ユーザーの手首に装着され、当該装着された状態で脈波情報(広義には生体情報)の計測が行われる。具体的には、センサー部40は発光部42と受光部44を有する光電センサーを含み、当該光電センサーを用いて脈波情報を計測する。なお、光電センサーを用いた脈波情報の計測については広く知られた手法であるため詳細な説明は省略する。また、生体情報検出装置10の装着部位は足首、指、上腕などでもよい。
また、生体情報検出装置10は図14(A)〜図15のバンド型(腕時計型)のものに限定されず、胸に装着するバンド型装置、頸部等に貼り付ける装置、メガネ型(顔装着型)装置等、種々の装置を用いることが可能である。さらに、搭載されるセンサーも光電センサーに限定されず、超音波センサーや体動センサー(例えば加速度センサー)、GPS受信機などの位置センサー等、種々のセンサーを利用可能である。
図14(A)〜図15等に示したように、生体情報検出装置10は、センサー部40が設けられる筺体(例えばケース部30)を含んでもよい。この場合、生体と接触する接触部50は、筺体が被検体(ユーザー)に装着された場合に、筺体がユーザーに接触する筺体面である。このようにすれば、筐体の所与の面を生体と接触させることで接触部50を実現でき、当該筐体により遮光エリアを実現することが可能になる。つまりこの場合、接触部50の端部までの距離rNは筐体サイズに対応することになり、rNを小さくすることで筐体サイズ(広義には生体情報検出装置10のサイズ)の小型化が可能になる。
当然、生体情報検出装置10の筐体が円板形状であり、その接触面である筐体面が円形状となるものには限定されない。言い換えれば、受光部44から接触部50の端部までの距離は全ての端部上の点において一定値(rN)となるものには限定されず、より複雑な形状となることが一般的である。その場合、「受光部44から接触部50の端部までの距離rN」の設定手法は種々考えられる。例えば、生体情報の検出精度を重視するのであれば、遮光エリアを実際よりも狭く見積もっておいた方が安全である。つまり、受光部44から接触部50の端部までの距離のうちの最小値をrNとすればよい。ただし、ここではPMがPS/1000としているが、実際には1/800〜1/300程度であり、その点で既にマージンがある。つまり、受光部44から接触部50の端部までの距離のうちの最大値や平均をrNとするような変形実施も可能である。
また、本実施形態に係る接触部50は他の観点から考えることが可能である。例えば、生体情報検出装置10は、センサー部40が設けられる筺体(ケース部30)を含み、接触部50は、生体情報検出装置10が被検体に装着された状態において、被検体に対向する筺体の面であってもよい。一例としては、上述したようにケース部30が裏蓋部を含み、接触部50とは、装着状態において被検体と対向する当該裏蓋部の面である。例えば、生体情報検出装置10の外観図が図16(A)であるとすれば、接触部50は、ケース部30のうちの、C1に示した面により実現される。
また、装着状態において被検体に対向する面の全てが接触部50に対応する必要はない。例えば、接触部50は、生体情報検出装置10が被検体に装着された状態において、被検体に対向する筺体の面のうちの、被検体側に突出した突出領域であってもよい。
生体情報(脈波情報)の検出においては、測定対象とする被検体の部位に対して、適切な押圧を加える必要がある。これは、脈波情報では動脈の信号を検出対象とし、静脈の信号はノイズ要因となるところ、動脈と静脈ではその信号が消失する(血管内の血流が十分弱くなる)押圧が異なることによる。具体的には、静脈の信号が十分小さくなる静脈消失点に対応する押圧をP1とし、動脈の信号が十分小さくなる動脈消失点に対応する押圧をP2とした場合、P1<P2となる。そのため、P1<P<P2となる押圧Pを加えることで、動脈の信号を検出しつつ、静脈の信号による影響を抑止できるため、精度のよい脈波情報検出が可能となる。
このように、生体情報の検出では被検体に対する押圧が重要となるため、当該押圧を効率的に実現するために、ケース部30の被検体側の面には突出領域が設けられることがある。図15に示した生体情報検出装置10であればケース部30のうち、センサー部40が設けられる部分が突出領域に対応する。具体的には、図16(B)に示すように、裏蓋部の被検体側の面に透光部材46を設け、当該透光部材46は、生体情報検出装置10から被検体に向かう方向を第1の方向DR1とした場合に、当該第1の方向DR1において、裏蓋部の他の部分に比べて被検体側に突出する構造としてもよい。このようにすれば、生体情報検出装置10を被検体に装着した場合に、荷重機構(例えば図14(A)のバンド部11)による荷重を突出領域に集中させやすくなるため、効率的に所望の押圧を実現することが可能になる。
或いは、所与の基準面を設定し、当該基準面に対する高さに基づいて、突出しているか否かを判定してもよい。一例としては、発光部42や受光44が設けられる半導体基板101の面、或いは半導体基板101に平行な面を基準面とする。図16(B)の例では、半導体基板101のうち、発光部42等が設けられる面の裏面を基準面とし、当該基準面に対する高さhが周辺部よりも大きい領域を突出領域とする。ここで、基準面に対する高さは、当該基準面に交差する(狭義には直交する)方向での距離を用いればよく、図16(B)の例であれば、基準面に交差する方向とは上述した第1の方向DR1である。図16(B)では、透光部材46は、基準面に対する高さがh1となる面、h2となる面、及びh1〜h3の範囲で変化する曲面から構成されるため、例えば、曲面のうち高さがh2以上となる領域を突出領域と考えればよい。
図16(B)の場合、C2に示した領域が突出領域となり、当該突出領域が本実施形態に係る接触部50となる。このようにすれば、突出領域により生体に対する適切な押圧を実現できるとともに、当該突出領域を接触部50とすることで、外光による影響を適切に低減するパラメーターの設定が可能となる。なお、突出領域は透光部材46により形成されるものには限定されず、図16(C)のような構造としてもよい。図16(C)は生体情報検出装置10のケース部30を、装着時に被検体側となる方向から観察した斜視図である。図16(C)では、発光部42や受光部44自体が被検体側に突出し、発光部42や受光部44が突出領域(及び接触部50)となっている。また、突出領域については、図16(B)、図16(C)以外の変形実施も可能である。
また上述したように、本実施形態に係る生体情報検出装置10は、腕に装着されるものには限定されず、指に装着されるクリップ状、或いはリング状の機器であってもよいし、メガネ型等の顔に装着される機器であってもよい。
或いは、本実施形態に係る生体情報検出装置10は明確な筐体を含むものには限定されず、シール状の機器であってもよい。例えば、傷口の保護等に広く用いられている絆創膏のような機器としてもよい。この場合、絆創膏であれば傷口に接触するガーゼが設けられる位置に、本実施形態に係る発光部42及び受光部44を設ければよい。この場合、生体情報検出装置10は、樹脂等から形成される筐体を含むものではなく、粘着性を有するテープ部分により遮光エリアを実現する。このようなシール状の生体情報検出装置10は、手軽に利用できることが望ましく、且つ皮膚のかぶれ等のおそれを考慮すれば、小型化に対する要求も大きい。つまり、適切な小型化が可能である本実施形態の手法との親和性が非常に高い。
また本実施形態の手法は、上記の生体情報検出装置を含む電子機器に適用することも可能である。
4.変形例
以上では、PSが上式(5)の値であるものとして説明を行った。これは上述したように、現状種々の光学センサーを用いた製品(狭義には生体情報検出装置)が知られているところ、多くの製品において信号レベル(信号に対応する光パワー)は同程度の水準となっていることを考慮したものである。
しかし、上述したようにPSは種々の設定により、その値を変更することが可能である。例えば、発光部42から照射される光のパワーを強くしたり、レンズ等を設けて光の指向性を高めたりすることで、受光部44に入射する光パワーを高くすることが可能である。また、同じパワーの光が入射したとしても、受光部44の受光感度を少なくとも信号光LSの波長帯域において高くすることでも、受光部44の出力における信号成分を大きくすることが可能である。このように、発光部42及び受光部44の特性を変更することで、PSを大きくすることが可能になる。この場合、具体的には上式(5)の1行目に示した「1mW」という値が大きくなる。
或いは、図3に示したように、生体内部での伝搬距離が大きくなるほど、光パワーの減衰度合いが大きくなる。よって、発光部42と受光部44との間の距離を短くすれば、PSを大きくすることが可能である。
つまり、上述の例ではPSをほぼ一定値であると考えていたが、実際にはPSは、発光部42の特性L、受光部44の特性P、及び発光部42と受光部44の間の距離rSに依存する変数である。言い換えれば、PSはLとPとrSの関数PS(L,P,rS)である。よって、上述したrNとαの関係を考慮したパラメーター設定を行うだけでなく、PSを決定するパラメーターL,P,rSについても、関係性を考慮した設定を行ってもよい。
この場合、上式(2)は下式(10)のようになる。
α×PN(rN)≦PS(L,P,rS)/1000 ・・・・・(10)
つまり本実施形態の変形例では、生体情報検出装置10は、α、rN,L,P,rSの少なくとも5つのパラメーターが、上式(1)及び上式(10)の関係を満たすように設定されるものであってもよい。例えば、α,L,Pを所与の値とした場合に、α×PN(rN)≦PS(rS)/1000を満たすように、rN及びrSを設定してもよい。rNは大きくするほどS/N比を向上させることが可能であり、rSは小さくするほどS/N比を向上させることが可能である。
この場合、rNとrSは生体情報検出装置10の寸法に関わるものであるため、生体情報検出装置10のサイズ、形状、部品配置により、生体情報の検出精度と小型化を両立することが可能になる。例えば、部品の配置精度等の問題からrSの最小値(これ以上、発光部42と受光部44を近づけられないという距離)が決定されれば、rNの最小値、すなわち生体情報検出装置10の小型化の限界が決定される関係となる。逆に、小型化の要求としてrNを所定値以下としたいという条件が決定されれば、当該条件下で生体情報を適切に検出するためのrSの値、すなわち発光部42と受光部44をこれだけ近づけなくてはいけないという配置条件が決定される。
また、パラメーターLの一例は発光部42の発光強度(LEDパワー)であり、この場合はLを大きくするほどS/N比が向上する。そのため、Lを大きくすることで、rN,α、rS等に対する条件を緩くすることが可能である。例えば、rNを小さくしてさらなる小型化を実現する、或いはαを大きくして光学フィルターに対する性能要求を緩和する、或いはrSを大きくして部品配置に対する制限を緩和する、といったことが可能である。
その他、本変形例では、上式(1)及び(10)を満たすという条件下で、種々のパラメーターを柔軟に設定することが可能である。なお、パラメーターPの具体例としては、受光部44の感度が考えられ、さらに具体的には、感度波長域はそのままで所与の波長帯域における感度を変更するパラメーターであってもよいし、受光部44の感度波長域自体を変更するパラメーターであってもよい。ただしパラメーターPについては、Pを変更することでPSだけでなくPNも変化する可能性がある、言い換えればPNがrNとPの関数PN(rN,P)となる場合がある。つまり、パラメーターPについてはどのような設定がS/N比を向上させるものであるかを慎重に考慮した上で設定を行うことが好ましい。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また生体情報検出装置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10 生体情報検出装置、11 バンド部、12 バンド穴、14 バックル部、
15 バンド挿入部、16 突起部、30 ケース部、32 発光窓部、
40 センサー部、42 発光部、44 受光部、50 接触部、60 情報取得部、
70 記憶部、80 処理部、101 半導体基板、111 誘電体多層膜、
121 光検出領域、140 受光センサー、151 角度制限フィルター、
SiO2 二酸化ケイ素、TiO2 二酸化チタン

Claims (13)

  1. 被検体に対して光を照射する発光部と、前記被検体からの光を受光する受光部とを有するセンサー部と、
    前記被検体に接触する接触部と、
    を含み、
    前記発光部から前記被検体である生体内部を経由して前記受光部に入射する光パワーをPSとし、
    前記受光部から前記接触部の端部までの距離をrNとしたときに、前記端部の外側から前記生体内部を経由して前記受光部に入射する外乱光の光パワーをrNの関数であるPN(rN)とした場合に、
    rN≦10mm、且つ、
    α≦PS/{PN(rN)×1000}
    を満たすように前記外乱光の減衰率αが設定されることを特徴とする生体情報検出装置。
  2. 請求項1において、
    rN≦10mm、且つ、α≦1/30
    を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されることを特徴とする生体情報検出装置。
  3. 請求項1又は2において、
    rN≦8mm、且つ、α≦1/100
    を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されることを特徴とする生体情報検出装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    rN≦5mm、且つ、α≦1/1000
    を満たすように前記外乱光の前記減衰率αが設定されることを特徴とする生体情報検出装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記受光部に設けられ、前記受光部に入射する光を制限する光学フィルターをさらに含み、
    前記光学フィルターにより、前記減衰率αが設定されることを特徴とする生体情報検出装置。
  6. 請求項5において、
    前記光学フィルターは、多層膜フィルターを含むことを特徴とする生体情報検出装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記センサー部が設けられる筺体を含み、
    前記接触部は、
    前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記筺体が前記被検体に接触する筺体面であることを特徴とする生体情報検出装置。
  8. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記センサー部が設けられる筺体を含み、
    前記接触部は、
    前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記被検体に対向する前記筺体の面であることを特徴とする生体情報検出装置。
  9. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記センサー部が設けられる筺体を含み、
    前記接触部は、
    前記筺体が前記被検体に装着された場合に、前記被検体に対向する前記筺体の面のうちの、前記被検体側に突出した突出領域であることを特徴とする生体情報検出装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
    前記センサー部からのセンサー情報に基づいて、生体情報の検出処理を行う処理部をさらに含むことを特徴とする生体情報検出装置。
  11. 請求項10において、
    前記生体情報は、脈波情報であることを特徴とする生体情報検出装置。
  12. 請求項11において、
    前記発光部から前記生体内部を経由して前記受光部に入射し、前記脈波情報に対応する光パワーをPMとした場合に、
    PM≧PS/1000であることを特徴とする生体情報検出装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の生体情報検出装置を含むことを特徴とする電子機器。
JP2015080630A 2015-04-10 2015-04-10 生体情報検出装置及び電子機器 Pending JP2016198294A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015080630A JP2016198294A (ja) 2015-04-10 2015-04-10 生体情報検出装置及び電子機器
US15/094,275 US20160296129A1 (en) 2015-04-10 2016-04-08 Biological information detection apparatus and electronic apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015080630A JP2016198294A (ja) 2015-04-10 2015-04-10 生体情報検出装置及び電子機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016198294A true JP2016198294A (ja) 2016-12-01

Family

ID=57112189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015080630A Pending JP2016198294A (ja) 2015-04-10 2015-04-10 生体情報検出装置及び電子機器

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20160296129A1 (ja)
JP (1) JP2016198294A (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110169765B (zh) * 2019-05-14 2023-12-15 华为技术有限公司 一种智能穿戴设备
EP4393385A1 (en) * 2022-12-31 2024-07-03 Kingfar International Inc. Photoelectric physiological signal acquiring and processing device

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5742104B2 (ja) * 2010-03-25 2015-07-01 セイコーエプソン株式会社 光デバイス及び生体情報検出器

Also Published As

Publication number Publication date
US20160296129A1 (en) 2016-10-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5663900B2 (ja) 分光センサー装置及び電子機器
JP6496256B2 (ja) マルチサイト測定アクセサリー、マルチサイト測定デバイス、及びマルチサイト測定システム
JP6094652B2 (ja) 光学センサー、電子機器及び脈拍計
TWI759400B (zh) 垂直腔表面發射雷射低發散角近接感測器
US9613939B2 (en) Opto-electronic modules including features to help reduce stray light and/or optical cross-talk
JP2017153876A (ja) 測定装置および検出装置
US20160035914A1 (en) Filter coating design for optical sensors
JP2016198294A (ja) 生体情報検出装置及び電子機器
EP4327726A1 (en) Polarized photoplethysmography (ppg) biosensors, arrays and systems
JP6112190B2 (ja) 分光センサー及びパルスオキシメーター
US20210038080A1 (en) Optical diagnostic sensor systems and methods
JP2022117113A (ja) 検出装置および測定装置
KR102138100B1 (ko) 물체 이미지와 상태 정보의 합성 이미지를 표시하는 전자기기 및 방법
JP5862754B2 (ja) 脈拍センサー及び脈拍計
JP2018061675A (ja) 検出装置および測定装置
JP2016182286A (ja) 生体情報センサ
JP7395848B2 (ja) 生体情報測定装置
JP5862753B2 (ja) 分光センサー装置及び電子機器
JP6476873B2 (ja) 光検出装置、光検出モジュール及び電子機器
JP5821400B2 (ja) 分光センサー及び角度制限フィルター
JP2020171459A (ja) 生体情報測定装置
JP2023125158A (ja) 検出装置および測定装置
JP2023066600A (ja) 検出装置および測定装置
TW202326183A (zh) 光感測裝置
JP2022131019A (ja) 検出装置および測定装置