JP2016196332A - ネジ付き金属容器 - Google Patents

Abstract

【課題】口部及び肩部からなるネック部において、缶軸に対して垂直方向の強度（ネック部横剛性）を向上させることができるネジ付き金属容器を提供する。
【解決手段】ネジ付き金属容器１は、胴部２、肩部３および口部４からなり、この口部４は、肩部３の上端３ａに接続する基部８と、該基部の上方に、スカート谷部６ａ、スカート部６、ネジ部５を有する。更に、基部８は、スカート谷部６から下方に向かって漸次拡径する半径方向外側に凸の膨出部と、該膨出部から下方に向かって滑らかに湾曲する半径方向内側に凸のビード部とを有し、該ビード部が周方向に線状又は点在するように延びている。そして、膨出部とビード部との間の缶軸に対して垂直方向の距離（ビード高さ）Ｈは、０．１〜０．６ｍｍである。
【選択図】図１

Description

本発明は、金属製容器の口部にネジ部を有し、このネジ部にネジ付きキャップを螺合することにより、前記口部を封止するタイプのネジ付き金属容器に関し、特に、口部と肩部とからなるネック部の強度を改善し、容器内に内容物を充填してキャッピングする際、ネック部の変形を防止したネジ付き金属容器に関する。

図９は、従来のネジ付き金属容器である飲料缶等の口部近傍を示す一部正面図であり、図１０は、キャッピング工程を示す一部断面図である。このネジ付き金属缶５１には、２ピースタイプと、３ピースタイプとがあり、それぞれ特定の製造工程（図示せず）を経てボトル形状に成形される。すなわち、２ピース缶は、アルミニウム板を底付きの筒状体に成形した後、筒状体の上端開口部をネッキング加工して縮径する。この縮径によって、缶軸に対して内向きに傾斜した肩部５３と、肩部５３の上端５３ａから上方の部分に筒状の口部５４が形成されると共に、肩部５３の下方に筒状の胴部５２が形成される。そして、口部５４にネジ部５５、スカート部５６及びこのスカート部よりも小径のスカート谷部５６ａを成形すると共に、口部５４の上端にカール部５７を成形することによって、ネジ付き金属缶５１が製造される。また、３ピース缶（図示せず）は、前記筒状体の底部を絞り加工して縮径する。この縮径によって、筒状体の底部側に缶軸に対して内向きに傾斜した肩部５３と底付きの口部５４が形成され、筒状体の開口部側に胴部５２が形成される。そして、底付きの口部５４の上端を切断して開口させ、口部５４にネジ部５５、スカート部５６及びこのスカート部よりも小径のスカート谷部５６ａを成形すると共に、口部５４の上端にカール部５７を成形する。さらに、胴部５２の下端開口部に底蓋（図示しない）を接合することによって、ネジ付き金属缶５１が製造される。なお、これら２ピース缶及び３ピース缶のスカート谷部５６ａの下方には、スカート谷部５６ａよりも大径の基部５８が形成されている。この基部５８から上端のカール部５７までの領域が口部５４を形成し、基部５８は肩部５３の上端５３ａに接続している。

このようなネジ付き金属缶５１内に内容物が充填された後、口部５４は、図１０に示すキャッピング工程によって、金属製のキャップ６０で封止される。すなわち、筒状のキャップ６０を口部５４に被せ、プレッシャーブロック６１により、缶５１に対してその軸方向に荷重を印加する。そして、この軸荷重が印加されたキャップ６０により内容物を密封した状態で、キャップ６０の側方から、ネジ巻きローラ６２を缶５１のネジ部５５に沿って押し当てると共に、裾巻きローラ６３を缶５１のスカート部５６からスカート谷部５６ａの領域に沿って押し当てる。これにより、キャップ６０の側壁には、雌ネジ部６０ａが形成されると共に、その側壁の下端には、スカート部５６とスカート谷部５６ａとの間の段差５６ｂに沿って、折り曲げられたカシメ部６０ｂが形成される。この内容物の密閉状態は、キャップ６０を螺脱して開栓するまでの間、保持される。このように、ネジ付き金属缶５１の製造工程において、キャップ６０に雌ネジ部６０ａ及びカシメ部６０ｂを形成する際、缶５１に対し、プレッシャーブロック６１により缶軸方向に荷重が印加され、ネジ巻きローラ６２及び裾巻きローラ６３により缶軸に垂直の方向に荷重が印加される。

近時、缶の製造コストの低減のため、材料の使用量を低減すべく、缶の素材の厚さを薄肉化する要求が強い。しかし、素材を薄くすると、ネジ付き金属缶全体の強度が低下する。特に、裾巻きローラ６３はスカート谷部５６ａに直接押し当てられるため、この缶軸に垂直の方向に印加される荷重によって、口部５４及び肩部５３からなるネック部に局部変形が生じてしまう。この局部変形は、口部の外径が３０ｍｍ以上、特に３５ｍｍ以上の口部が広い缶であって、口部の外径と胴部の外径との比（口径／胴径）が０．５以上、特に０．６以上の缶において生じやすい。よって、特に、口部が広い缶の場合は、キャッピング工程時の変形を防止する必要があるため、ネジ付き金属缶の肉厚を薄肉化することに限界があって、材料の使用量を低減できなかった。

特許文献１は、ネジ部下端と肩部上端の半径方向及び軸方向の強度向上を目的としたものであり、口部下端から、半径方向に拡大するテーパー状の肩部上端周囲に一個の内側に滑らかに湾曲する凹部及び／又は一個の外側に滑らかに湾曲する凸部を形成したネジ付き金属缶が開示されている。

特許第３５６１７９６号公報

しかしながら、この従来技術においては、その所期の目的は達成できたものの、素材の薄肉化を考慮したものではない。さらに、キャッピング工程において、裾巻きローラが缶のスカート谷部に直接押し当てられることによってネック部が局部変形する点について、検討されたものでもない。すなわち、特許文献１の構成からなるネジ付き金属缶に使用する素材を薄くした場合、口部及び肩部からなるネック部において、缶軸に対して垂直方向の強度（ネック部横剛性）が不足し、キャッピング工程の際、ネック部に局部変形が生じる問題があった。

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、口部及び肩部からなるネック部において、缶軸に対して垂直方向の強度（ネック部横剛性）を向上させることができるネジ付き金属容器を提供することを目的とする。

本発明に係るネジ付き金属容器は、
筒状の胴部と、
該胴部の上部に、缶軸に対して傾斜しかつ上方に向かって縮径した肩部と、
該肩部の上部に、上方に向かって延びる筒状の口部とからなり、
該口部は、肩部の上端に滑らかに接続する基部と、該基部に接続するスカート谷部と、該スカート谷部に接続するスカート部と、該スカート部に接続するネジ部と、を有し、
前記基部は、スカート谷部から下方に向かって漸次拡径する半径方向外側に凸の膨出部と、該膨出部から下方に向かって滑らかに湾曲する半径方向内側に凸のビード部とを有し、該ビード部が周方向に線状又は点在するように延びており、
前記膨出部のうち缶軸から最も離れた外表面と前記ビード部のうち缶軸に最も近い外表面との間の缶軸に対して垂直方向の距離（ビード高さ）が、０．１〜０．６ｍｍであることを特徴とする。

このネジ付き金属容器において、前記ビード部を形成する湾曲線の曲率半径が０．５〜２．５ｍｍであることが好ましい。また、このネジ付き金属容器において、前記膨出部が前記ビード部と滑らかに湾曲して接続しており、膨出部を形成する湾曲線の曲率半径が２．０〜５．０ｍｍであることが好ましい。

更に、このネジ付き金属容器において、前記口部の外径と前記胴部の外径との比である（口径／胴径）比が、０．５以上である場合に、有効である。

本発明によれば、肩部の上端の上方、すなわち口部の下端に位置する基部に、ビード高さが０．１〜０．６ｍｍであるビード部を形成したので、口部及び肩部からなるネック部の横剛性が向上する。このため、キャッピング工程において、金属容器の口部に横方向（缶軸に対して垂直方向）の荷重が印加されても、このネック部の横剛性が高いので、局部的に変形してしまうことが防止される。また、容器の素材厚さを薄くすることにより生じるネック部の横剛性が不足する問題が解消されるため、素材の厚さ（容器の肉厚）を薄くして容器を軽量化することができる。
ビード部を形成する湾曲線の曲率半径を０．５〜２．５ｍｍに形成した場合、または、ビード部を形成する湾曲線の曲率半径を０．５〜２．５ｍｍに形成し、かつ膨出部を形成する湾曲線の曲率半径を２．０〜５．０ｍｍに形成した場合、全高など軸方向における容器の寸法を変更することなく、ネック部の横剛性を向上させることができる。
口部の外径と胴部の外径との比である（口径／胴径）比が０．５以上である場合、ネック部の横剛性を効果的に向上させることができる。

本発明の実施形態に係るネジ付き金属缶の全体を示す正面図である。 図１に示す金属缶の口部近傍を拡大した縦断面図である。 図２の一部拡大図であって、ビード高さを示す図である。 ビード部を有する基部の変形例を示す図である。 金属缶の強度を評価する試験方法を示す概略図であり、（ａ）はネック部強度評価試験を示し、（ｂ）は軸強度評価試験を示す。 試験缶のビード部近辺を拡大した図であり、実線部分は本実施形態の缶を示し、破線部分は従来の缶を示す。 軸強度及びネック部横剛性と、ビード高さとの間の実験結果及び解析結果を示すグラフ図である。 ビード部の変形例を示す図である。 従来のネジ付き金属缶を示す一部正面図である。 従来のキャッピング時の荷重負荷状況を示す図である。

以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図１は、本発明の実施形態に係るネジ付き金属缶の全体を示す正面図、図２は、その口部近傍を示す図である。図１に示すように、本実施形態のネジ付き金属缶１は、アルミニウム板に絞り加工や絞りしごき加工を施し、又はアルミニウムスラグにインパクト加工を施すなどの方法により底付きの筒状体を成形し、筒状体の開口端側の部分を縮径加工して、缶軸に対して内向きに傾斜した肩部３と、肩部３の上端３ａから上方の部分に筒状の口部４を形成すると共に、肩部３の下方に筒状の胴部２を形成する。そして、口部４にネジ部５、スカート部６及びスカート部よりも小径のスカート谷部６ａを成形すると共に、口部４の上端にカール部７を成形することによってネジ付き金属缶を製造する。このような缶は２ピース缶と呼ばれるが、３ピース缶であってもよく、３ピース缶（図示せず）は、前記筒状体の底部側を縮径して肩部３と底付きの口部４を形成し、筒状体の開口部側に筒状の胴部２を形成する。そして、底付きの口部４の上端を切断して開口させ、口部４にネジ部５、スカート部６及びスカート部よりも小径のスカート谷部６ａを成形すると共に、口部４の上端にカール部７を成形する。さらに、胴部２の下端開口部に底蓋（図示せず）を接合することによってネジ付き金属缶を製造する。なお、これら２ピース缶及び３ピース缶のスカート谷部６ａの下方には、スカート谷部６ａよりも大径の基部８が形成されている。この基部８から上端のカール部７までの領域が口部４を形成し、基部８は肩部３の上端３ａに接続している。

このようなネジ付き金属缶１は、缶内に内容物が充填された後、その口部４が、図９と同様のキャッピング工程により、金属製のキャップ６０で封止される。即ち、筒状のキャップ６０を口部４に被せ、プレッシャーブロック６１により、缶１に対してその軸方向に荷重を印加する。そして、この軸荷重が印加されたキャップ６０により内容物を密封した状態で、キャップ６０の側方から、ねじ巻きローラ６２を缶１のネジ部５に沿って押し当てると共に、裾巻きローラ６２を缶１のスカート部６からスカート谷部６ａの領域に沿って押し当てる。これにより、キャップ６０の側壁には、雌ネジ部６０ａが形成されると共に、その側壁の下端には、スカート部６とスカート谷部６ａとの間の段差６ｂに沿って、折り曲げられたカシメ部６０ｂが形成される。この内容物の密封状態は、キャップ６０を螺脱して開栓するまでの間、保持される。

本実施形態においては、図２、図３に示すように、スカート谷部６ａと肩部３の上端３ａとの間、すなわち口部４のうち最も下端に位置する基部８に、スカート谷部６ａから下方に向かって漸次拡径する半径方向外側に凸の膨出部８ａと、該膨出部８ａから下方に向かって滑らかに湾曲する半径方向内側に凸のビード部８ｂとが、全周にわたって形成されている。本発明者らは、このビード部８ｂのビード高さＨを、０．１〜０．６ｍｍの範囲、好ましくは０．２〜０．４ｍｍの範囲にすると、口部４及び肩部３からなるネック部の横剛性が向上することを見出した。ここで、ビード高さＨとは、図３に示すように、膨出部８ａのうち缶軸から最も離れた外表面を通る缶軸と平行な線Ｌａと、ビード部８ｂのうち缶軸に最も近い外表面を通る缶軸と平行な線Ｌｂとによって形成される、缶軸と平行な２つの線Ｌａ、Ｌｂ間における缶軸に対して垂直方向の距離であり、この距離をビード高さＨとして規定する。言い換えると、膨出部８ａの最大外径をＤａ、ビード部８ｂの最小外径をＤｂとすると、ビード高さＨは、Ｈ＝（Ｄａ−Ｄｂ）／２となる。

このように、口部４の基部８に形成したビード部８ｂは、そのビード部８ａの底部（線Ｌｂ）を通る湾曲線の曲率半径ｒ１を０．５〜２．５ｍｍに形成してもよい。また、ビード部８ａの上方に位置する膨出部８ａは、ビード部９ｂに隣接して滑らかに湾曲させてもよい。その場合、膨出部８ａの頂部（線Ｌａ）を通る湾曲線の曲率半径ｒ２は、２．０〜５．０ｍｍに形成してもよい。ビード部８ｂの湾曲線が上記範囲の曲率半径ｒ１である場合、または、ビード部８ｂの湾曲線が上記範囲の曲率半径ｒ１であって、膨出部８ａの湾曲線が上記範囲の曲率半径ｒ２である場合、限られた高さ範囲でビード部８ｂと膨出部８ａを形成することができる。このため、缶軸方向の缶の寸法（全高、口部高さ等）を変更することなく、口部４及び肩部３からなるネック部の横剛性を向上させることができる。

更に、口部４の外径は３０ｍｍ以上、特に３５ｍｍ以上であって、口部４の外径と胴部２の外径との比（口径／胴径）が、０．５以上、特に０．６以上である場合に、即ち、口部が広い缶である場合に、口部４及び肩部３からなるネック部に局部変形が生じやすい。そのため、本発明はこのような口部が広い缶に対して有効である。なお、本発明において、口部４の外径とは、ネジ部５のネジ山の外径のことをいう。例えば、胴部２の外径が５３ｍｍであって、ネジ部５のネジ山外径すなわち口部４の外径が３７ｍｍである場合、（口径／胴径）比は０．７０となる。また、この口部を封止するキャップ（図１０の符号６０）は、その外径が３８ｍｍである。

図１〜図３に戻って、基部８は、膨出部８ａとビード部８ｂとを隣接させて滑らかに接続した形状に形成しているが、図４に示す形状であってもよい。すなわち、図４（ａ）に示すように、膨出部が缶軸と平行な直線部８ｃを有する膨出部８ａ’であってもよい。また、図４（ｂ）に示すように、ビード部８ｂと肩部３の上端３ａとの間に、缶軸と平行な直線部８ｄを設けてもよく、図４（ｃ）に示すように、膨出部８ａ’及び直線部８ｄを設けてもよい。

次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態においては、口部４の基部８に形成したビード部８ｂの高さＨが０．１〜０．６ｍｍ、好ましくは０．２〜０．４ｍｍであり、このようなビード部８ｂを肩部３の上端３ａに位置する口部４の基部８に形成したので、キャッピング工程において、缶軸に対して垂直方向の荷重を受けても、口部４及び肩部３からなるネック部において局部変形が発生することが防止される。

以下に説明するのは、本発明の効果を確認した試験である。
［試験１］
ビード部８ｂによる缶の強度変化を検証するため、図５に示す方法を用いて試験を行った。図５（ａ）はネック部強度評価試験を示す概略図であり、口部４のスカート谷部６ａに缶の半径方向中心に向かう荷重（図中矢印）を丸印で示す圧縮用治具によって印加し、口部４及び肩部３からなるネック部の横剛性（半径方向の剛性）を測定する。また図５（ｂ）は軸強度評価試験を示す概略図であり、長方形で示す圧縮用治具によって、缶軸方向（矢印方向）に荷重を印加し、軸強度を測定する。

試験缶は、缶１の全高が１３０ｍｍ、胴部２の外径が５３ｍｍ、口部４の外径（ネジ部５の外径）が３７ｍｍ、胴部２の肉厚が０．２０ｍｍ、ネジ部５の肉厚が０．３３ｍｍのものを使用した。図６は、試験缶のビード部近辺を拡大した図であり、実線部分は本実施形態の缶を示す。一方、破線部分は従来の缶を示し、口部の下端に位置する基部５８から肩部３の上端５３ａまでの形状が本実施形態の缶と異なっている。また図６は、従来の缶のビード高さＨが０ｍｍであり、本実施形態の缶のビード高さＨが０ｍｍを超えていることを示している。この従来の缶及び本実施形態の缶を試験缶として、図５（ａ）、（ｂ）に示す方法により、ネック部横剛性と軸強度を測定した。その結果を図７に示す。

図７において、■及び◆は、ビード高さを、０ｍｍ、０．２ｍｍ、０．３ｍｍ及び０．５ｍｍに形成した試験缶の測定結果を示すと共に、ネック部横剛性の測定結果を■により示し、軸強度の測定結果を◆により示す。また、図７中の破線は、上記条件において、軸強度及びネック部横剛性を解析した結果を示す。この破線が示すように、ビード高さが増大するにしたがって、ネック部横剛性が高くなり、その一方で軸強度は低くなる傾向を示す。ところで、キャッピング時の健全性を確保するためには、軸強度は１．６ｋＮ以上、ネック部横剛性は４７Ｎ／ｍｍ以上であることが好ましいとされている。図７では、ビード高さを０．６ｍｍにしたとき、その軸強度が、キャッピング条件において好ましいとされている１．６ｋＮに近い数値まで低下する。また、ビード高さが０．６ｍｍを超える場合、ビード部における缶軸方向の強度が低くなり、ビード部において座屈し易くなる。そのため、ビード高さは、０．１〜０．６ｍｍの範囲にするのが好ましい。さらに好ましいのは、ビード高さを０．２〜０．４ｍｍの範囲にした場合であり、この範囲では、軸強度を著しく低下させることなく、ネック部横剛性を増大させることができる。

［試験２］
次に、素材の薄肉化（缶の軽量化）に関する試験を行った。その結果を表１に示す。なお、表１中のＮｏ．３（参考缶）は、薄肉化していない素材（厚さが０．４３５ｍｍのアルミニウム合金板）を用いた缶であって、図６の破線部に示すビード高さＨを０ｍｍとしたものである。このＮｏ．３（参考缶）に使用した素材に対して薄肉化した素材は、ビード高さを０ｍｍとした缶において、軸強度が１．６ｋＮ程度となる素材（厚さが０．３８５ｍｍのアルミニウム合金板）を準備した。この薄肉化した素材を用いて、Ｎｏ．１（ビード高さを０ｍｍとした従来の缶）とＮｏ．２（ビード高さを０．２ｍｍとした本実施形態の缶）の２種類を製作した。なお、これらＮｏ．１〜３の缶は、缶１の全高、胴部２の外径及びネジ部５の外径に関する基本仕様を上記の試験１で使用した試験缶と略同じ寸法、すなわち、缶１の全高を１３０ｍｍ、胴部２の外径を５３ｍｍ、口部４の外径（ネジ部５の外径）を３７ｍｍとした。そして、胴部２の肉厚は、Ｎｏ．１及びＮｏ．２の缶を０．１７ｍｍにし、Ｎｏ．３の缶を０．２０ｍｍにすると共に、ネジ部５の肉厚は、Ｎｏ．１及びＮｏ．２の缶を０．３２ｍｍにし、Ｎｏ．３の缶を０．３５ｍｍにした。

表１に示すように、ビード高さを０．２ｍｍとした本実施形態の缶（Ｎｏ．２）は、ビード高さが０ｍｍである従来の缶（Ｎｏ．１）と同程度の軸強度を維持しつつ、ネック部横剛性が好ましいとされている４７Ｎ／ｍｍ以上に大きく向上することが実証された。また、本実施形態の缶（Ｎｏ．２）は、缶重量において約１２％の軽量化を実現しつつ、キャッピング条件において好ましいとされている軸強度（１．６ｋＮ以上）及びネック部横剛性（４７Ｎ／ｍｍ以上）に近い強度が得られることを示している。すなわち、この試験によって、ビード部が素材の薄肉化（缶の軽量化）に貢献することが実証された。

以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、図１〜図４に示したビード部９ｂは、図８に示す種々の形状を採用することが可能である。図８（ａ）は複数の線状のビード部２１、又図８（ｂ）は複数の点状のビード部２２である。これらビード部２１、２２は、周方向に間隔を開けて、口部４の基部９に等間隔で設けてもよい。図８（ｃ）は、缶軸方向の異なる高さ位置に２つ以上のビード部２３及び膨出部２４を形成したものである。いずれの場合も、図１〜図４と同様の効果を奏する。

１，５１ ネジ付き金属缶
２，５２ 胴部
３，５３ 肩部
３ａ，５３ａ 肩部上端
４，５４ 口部
５，５５ ネジ部
６，５６ スカート部
６ａ，５６ａ スカート谷部
６ｂ，５６ｂ 段差
７，５７ カール部
８，５８ 基部
８ａ，８ａ’，２４ 膨出部
８ｂ，２１，２２，２３ ビード部
８ｃ 直線部
６０ キャップ
６０ａ 雌ネジ部
６０ｂ カシメ部
６１ プレッシャーブロック
６２ ネジ巻きローラ
６３ 裾巻きローラ

Claims (4)

1. 筒状の胴部と、
   該胴部の上部に、缶軸に対して傾斜しかつ上方に向かって縮径した肩部と、
   該肩部の上部に、上方に向かって延びる筒状の口部とからなり、
   該口部は、肩部の上端に接続する基部と、該基部に接続するスカート谷部と、該スカート谷部に接続するスカート部と、該スカート部に接続するネジ部と、を有し、
   前記基部は、スカート谷部から下方に向かって漸次拡径する半径方向外側に凸の膨出部と、該膨出部から下方に向かって滑らかに湾曲する半径方向内側に凸のビード部とを有し、該ビード部が周方向に線状又は点在するように延びており、
   前記膨出部のうち缶軸から最も離れた外表面と前記ビード部のうち缶軸に最も近い外表面との間の缶軸に対して垂直方向の距離（ビード高さ）が、０．１〜０．６ｍｍであることを特徴とするネジ付き金属容器。
2. 前記ビード部を形成する湾曲線の曲率半径が０．５〜２．５ｍｍである請求項１に記載のネジ付き金属容器。
3. 前記膨出部が前記ビード部と滑らかに湾曲して接続しており、膨出部を形成する湾曲線の曲率半径が２．０〜５．０ｍｍである請求項２に記載のネジ付き金属容器。
4. 前記口部の外径と前記胴部の外径との比である（口径／胴径）比は、０．５以上であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のネジ付き金属容器。

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