JP2016194035A - 水性コーティング組成物 - Google Patents

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浩輔 高見
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Abstract

【課題】変色が抑制された水性コーティング組成物の提供。
【解決手段】水酸基を有する銅化合物と、バインダーと、水性媒体とを含んでなる水性コーティング組成物であって、前記バインダーが、前記水性コーティング組成物中に分散体の形態で存在してなるものであり、前記コーティング組成物が、アンモニアおよびアミンの双方を含まないか、あるいは、アンモニアおよびアミンのいずれか一方を少なくとも含み、この場合において、イオンクロマトグラフィー分析法で測定されるアンモニアの濃度が0質量%以上0.06質量%以下であり、キャピラリー電気泳動法で測定されるアミンの濃度が0質量%以上0.15質量%未満である、水性コーティング組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、変色が抑制された水性コーティング組成物に関し、より詳細には、水酸基を有する銅化合物を含有するコーティング組成物であって、色味の青色への変化が抑制された水性コーティング組成物に関する。
銅化合物は、抗菌・抗ウイルス作用を有する化合物であって、光触媒との複合により、紫外線照射下で、相乗的に該作用を向上させることや、可視光応答性を発揮する化合物として知られている。
一方、酸化チタン(TiO)を用いた光触媒は、安価で化学的安定性に優れ、高い光触媒活性(有機化合物分解性、抗菌性等)を有し、人体に無害であること等により、広く用いられている。
銅化合物を酸化チタンなどに担持させ又はこれと混合したものは、優れた抗ウイルス作用を有することが知られている。
特表2009−526828号公報(特許文献1)には、ウイルス伝染を減少させる及び/又は防止するために、一般式Mで表される化合物のナノ粒子を用いることが記載されている。特許文献1には、このようなナノ粒子として、TiOとCuOの組合せが開示されている。
また、特開2006−232729号公報(特許文献2)には、CuO/TiO(質量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタンが、紫外線照射下でファージ・ウイルスを不活性化させることが記載されている。また、特許文献2には、このような銅化合物、酸化チタンおよび塗料用バインダーを含む水溶性塗料が記載されている。
さらに、特許第5343176号公報(特許文献3)には、2価銅化合物と最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下のルチル型酸化チタンの組み合わせにおいて、暗所下および可視光下双方において優れた抗ウイルス性が発現されることが記載されている。
特表2009−526828号公報 特開2006−232729号公報 特許第5343176号公報
本発明者らの行った実験によれば、水酸基を有する銅化合物をアンモニアおよび/またはアミンを含む水性コーティング組成物中に溶解すると、水性コーティング組成物の色味が青色に変化する現象が確認された。水性コーティング組成物に用いられる樹脂バインダーには、アミンやアンモニアを含むものがある。このアミンやアンモニアは、樹脂バインダー自体の分散安定性確保や、各種コーティング組成物原料と混合する際の凝集防止などを目的として添加されている。本発明者らは、今般、この樹脂バインダーに主として由来するアミンやアンモニアにより水性コーティング組成物の色味が青色に変化することを見出した。そして、本発明者らは、水性コーティング組成物にアンモニアおよびアミンの双方を含有させないか、あるいは、水性コーティング組成物に含まれるアンモニアおよびアミンそれぞれの含有量を特定の範囲内の量に調整することにより、水酸基を有する銅化合物の水性コーティング組成物中への溶解を抑制または防止することができ、その結果、色味が青色に変化しない水性コーティング組成物を得ることができるとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。
従って、本発明は、変色が抑制された水性コーティング組成物の提供をその目的としている。また、本発明は、長期間保存した場合であっても、その性能が劣化しない水性コーティング組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明による水性コーティング組成物は、水酸基を有する銅化合物と、バインダーと、水性媒体とを含んでなる水性コーティング組成物であって、前記バインダーが、前記水性コーティング組成物中に分散体の形態で存在してなるものであり、前記コーティング組成物が、アンモニアおよびアミンの双方を含まないか、あるいは、アンモニアおよびアミンのいずれか一方を少なくとも含み、この場合において、イオンクロマトグラフィー分析法で測定されるアンモニアの濃度が0質量%以上0.07質量%未満であり、キャピラリー電気泳動法で測定されるアミンの濃度が0質量%以上0.15質量%未満であることを特徴とする。
本発明によれば、変色が抑制された水性コーティング組成物が得られる。また、本発明は、長期間保存した場合であっても、その性能が劣化しない水性コーティング組成物が得られる。
水性コーティング組成物
本発明による水性コーティング組成物は、水酸基を有する銅化合物と、バインダーと、水性媒体とを含んでなる。バインダーは、水性コーティング組成物中に分散体の形態で存在している。この水性コーティング組成物は、アンモニアおよびアミンの双方を含まないか、あるいは、アンモニアおよびアミンのいずれか一方を少なくとも含む場合、イオンクロマトグラフィー分析法で測定されるアンモニアの濃度が0質量%以上0.06質量%以下であり、キャピラリー電気泳動法で測定されるアミンの濃度が0質量%以上0.15質量%未満である。好ましくは、アンモニア濃度の上限値は0.05質量%未満である。より好ましくは、アンモニア濃度の上限値は0.02質量%未満である。さらにより好ましくは、アンモニア濃度の上限値は0.01質量%未満である。好ましくは、アミン濃度の上限値は0.14質量%未満である。より好ましくは、アミン濃度の上限値は0.11質量%未満である。ここで、アミンの濃度とは、好ましくは1級アミン、2級アミンおよび3級アミンからなる群から選択される少なくとも一種の濃度あるいは合計濃度である。なお、水性コーティング組成物中に4級アミンが含まれていても、水酸基を有する銅化合物が水性コーティング組成物中に溶出することはない。アンモニアおよび/またはアミンの濃度を十分に小さくすることで、好ましくはアンモニアおよび/またはアミンを含まないことで、より長期間に亘って、水酸基を有する銅化合物が水性コーティング組成物中に溶出することが抑制できる。
水酸基を有する銅化合物
本発明による水性コーティング組成物は、水酸基を有する銅化合物を含む。水酸基を有する銅化合物は水に溶けにくい物質であるが、本発明者らは、水酸基を有する銅化合物が、アンモニアおよび/またはアミンを含む水性コーティング組成物中に溶解して、水性コーティング組成物が青色に変色する現象を確認した。その理由は定かではないが、例えば次のように考えられる。
水に難溶の水酸基を有する銅化合物であっても、銅原子に対して配位力が強いアンモニアおよび/またはアミンなどの物質が共存する水性媒体中では、これらが反応して錯体またはキレートを形成して、水性媒体中に溶解するものと考えられる。水酸基を有する銅化合物が溶解すると、保管中の安定性が損なわれる恐れがある。例えば、水性コーティング組成物の色味の変化などにより、所望の性能が発揮できなくなる恐れがある。また、水性コーティング組成物を、基材などに適用して被膜を形成する場合、形成された被膜の外観が、所望のものとは異なる場合がある。経時的に黄変等の不具合を引き起こす恐れもある。
本発明では、水性コーティング組成物全体に含まれるアンモニア濃度およびアミン濃度をそれぞれ所定値未満と小さくしている。これによって、水酸基を有する銅化合物が水性コーティング組成物に溶解することを効果的に抑制できる。
本発明による水性コーティング組成物は、長期保存による性能変化が生じにくいため、作製から時間が経過した場合でも所望の性能を発揮でき、不具合の発生を抑制することができる。
本発明の好ましい態様によれば、水酸基を有する銅化合物は、水酸基を有する2価銅化合物である。水酸基を有する2価銅化合物と光触媒粒子とを含む可視光応答型光触媒粒子(後述)を用いることにより、水性コーティング組成物から形成される光触媒層において、明所および暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性などの可視光応答性が十分に発現される。また、2価銅化合物は、1価銅化合物と比べて酸化等による変色が少ないため、可視光照射による光触媒層の変色を抑制することができ、光触媒塗装体の耐光性を高めることができる。
本発明において、2価銅化合物の種類は特に制限されない。2価銅化合物の具体例としては、2価銅無機化合物および2価銅有機化合物が挙げられる。
本発明において、水酸基を有する銅化合物は、好ましくは下記一般式(1)で表される水酸基を有する2価銅化合物である。
Cu(OH)X (1)
一般式(1)において、Xは陰イオンであり、好ましくはCl、Br、I、等のハロゲ
ン、CHCOO、NO、(SO1/2等の酸の共役塩基である。
その他の銅化合物
本発明による水性コーティング組成物は、本発明の効果(水性コーティング組成物の変色の抑制)を阻害しない範囲で、水酸基を有する銅化合物以外のその他の銅化合物をさらに含んでもよい。さらに、ある種の銅化合物は、水性コーティング組成物の変色を抑制しながら、光触媒塗装体の耐光性、抗ウイルス性を改善する。このような銅化合物としては、1価及び/又は2価の銅を含む化合物が挙げられ、より好ましい銅化合物は酸化銅である。
従って、本発明のより好ましい態様によれば、本発明による水性コーティング組成物は、水酸基を有する2価銅化合物と、酸化銅とを含んでなる。これにより、水酸基を有する2価銅化合物のみを含む場合に比べて、水性コーティング組成物の変色を抑制しながら、光触媒塗装体の耐光性、抗ウイルス性を高めることができる。酸化銅の好ましい具体例としては、CuO(ただし、1≦x≦2)で表される酸化銅であり、例えばCuO(酸化銅(II))、等が挙げられる。
バインダー
本発明による水性コーティング組成物はバインダーを含む。バインダーにより、水酸基を有する銅化合物および後述の光触媒粒子を含む可視光応答型光触媒粒子を基材表面に固定化することができる。バインダーは、有機系バインダー及び無機系バインダーのいずれも用いることができる。無機系バインダーには、例えば、シリカ微粒子、アルカリシリケート、アルキルシリケートなどのシリカ系バインダー等が挙げられる。これにより、可視光応答型光触媒粒子が基材表面に付着される。有機系バインダーには、例えば、高分子バインダー等が挙げられる。高分子バインダーは反応硬化及び溶媒揮発して高分子分散体が融着することにより薄膜を形成することができる。
高分子バインダーには、天然樹脂及び合成樹脂のいずれも使用することができる。合成樹脂には、例えば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、これらの樹脂をシリコーン変性、あるいはハロゲン変性させた樹脂を用いることも、シリコーン樹脂を用いることもできる。これらのうち、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、及びフッ素樹脂より選択される少なくとも一種がバインダーとして好適に利用できる。本発明のより好ましい態様によれば、バインダーは、これらの樹脂がエマルション、ディスパージョン等に分散体の形態で配合され、水性コーティング組成物中に存在する。
バインダーは、分散体として市販されているものを好適に用いることができる。分散体には、例えば安定剤として、アンモニアおよび/またはアミンを含むものが用いられている。本発明においては、これらアンモニアおよびアミンの双方を含まないものを好適に用いることができる。あるいは、アンモニアおよびアミンのいずれか一方を少なくとも含む場合、コーティング剤を調製するにあたり、そのバインダーを分散剤として利用した場合に得られるコーティング組成物中において、アンモニアおよびアミンの濃度を上記した範囲にあるように用いる。
樹脂エマルションの好ましい具体例としては、酸性分散型エマルション、界面活性剤のみで分散したエマルション、アルカリ性分散型エマルションで、分散剤またはpH調整剤として4級アミン、無機塩基を含むものが挙げられる。ただし、界面活性剤、4級アミン、無機塩基などは成膜体中に揮発せずに残留しやすく、塗膜強度や機能性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルションまたはディスパージョンはアンモニアおよびアミンを含まないものである。
バインダーの添加量は適宜決定されて良いが、水性コーティング組成物の固形分総量に対して10質量%以上65質量%以下程度が通常であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、また好ましくは55質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。このような量とすることで、塗装体の機械的強度を保持しながら、適度に光触媒を露出させることが可能となり、明所及び暗所で優れた抗菌性、抗ウイルス性を発揮させることができる。
水性媒体
本発明による水性コーティング組成物は水性媒体を含む。水性媒体としては、水、水と混合可能な有機溶剤(例えば、アルコール)、又はそれらの混合溶媒が好適に用いられ、より好ましい水性媒体は、水である。水性媒体の量は適宜決定されてよいが、水性コーティング組成物において、固形分濃度が30質量%以上80質量%以下となるように添加されることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。固形分濃度がこの範囲にあることで、水性コーティング組成物としての安定性が得られ、場合によっては、塗装体の隠蔽性を確保できるとの利点も得られる。
可視光応答型光触媒粒子
本発明の好ましい態様によれば、水性コーティング組成物は可視光応答型光触媒粒子をさらに含んでなる。可視光応答型光触媒粒子は、可視光照射により起こる光触媒反応によって有機物を分解する活性酸素種(・O 、・O、・OH、H及び・HO等)を生成するもの、または、可視光照射により起こる光励起によって価電子帯に生じる正孔(ホール)が有機物から電子を奪い取ることができるものであれば特に限定されない。なお、可視光とは、波長400nm〜700nm程度の波長領域の光をさす。可視光応答型光触媒粒子としては、光触媒粒子と上述の銅化合物とを含んでなる粒子を好適に用いることができる。このような可視光応答型光触媒粒子としては、例えば、特許第5343176号、特許第5537858号、に記載の可視光応答型光触媒粒子を好適に用いることができ、また特許第3885825号等に記載のアニオンドープ型の光触媒粒子に銅化合物を坦持した可視光応答型光触媒粒子を好適に用いることができる。
本発明において、可視光応答型光触媒粒子に含まれる光触媒粒子は好ましくは酸化チタンである。この酸化チタンは、ゾル状および粒子状のいずれの形態のものを用いても良い。酸化チタンゾルを用いる場合、ゾルの分散媒がアミンおよびアンモニアを含まないものを選択することが好ましい。ゾルの分散媒がアミンおよびアンモニアのいずれかを含む場合には、水性コーティング組成物中のアミン濃度およびアンモニア濃度が上述の所定値を超えないように、組成物中の酸化チタンゾルの濃度や、用いるバインダーの種類などを適宜選択することが好ましい。
本発明において、酸化チタンの平均粒径は、0.005μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.01μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。平均粒径が上記範囲にある酸化チタンは、微粒子で比表面積が大きいため、光触媒活性に優れた光触媒層を得ることができる。
本発明において、可視光応答型光触媒粒子に含まれる光触媒粒子および水酸基を有する銅化合物の水性コーティング組成物における存在形態としては、両者が混合した状態で存在していてもよいし、水酸基を有する銅化合物が光触媒粒子に担持された状態で存在していてもよい。本発明の好ましい態様によれば、可視光応答型光触媒粒子において、水酸基を有する銅化合物は光触媒粒子に担持されている。水酸基を有する銅化合物が光触媒粒子に担持されている場合、混合されている場合と比べて、水酸基を有する銅化合物と、アンモニアおよび/またはアミンとが接触する面積を小さくすることができる。そのため、水酸基を有する銅化合物と、アンモニアおよび/またはアミンとが反応して水性コーティング組成物中に溶出することをより効果的に抑制できる。
なお、水性コーティング組成物において、水酸基を有する銅化合物が、非光触媒性酸化物粒子に担持されていてもよい。非光触媒性酸化物粒子とは、光照射に応じた光触媒活性を有さない酸化物粒子である。非光触媒性酸化物粒子としては、シリカ粒子、光触媒活性を有さない酸化チタン粒子などを用いることができる。
本発明において、水性コーティング組成物の液性は、例えば塩基性である。これにより、水性コーティング組成物は分散安定性に優れる。
任意成分
水性コーティング組成物は、本発明の目的を達成可能な範囲内において、上記以外に任意成分を含有してもよい。任意成分としては、体質顔料、艶消し材、防腐剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、増粘剤などが挙げられる。
塗装体
本発明による塗装体は、基材と、当該基材の表面に形成されてなる、水性コーティング組成物からなる層とを少なくとも含んでなる。
基材
本発明による塗装体に含まれる基材は、その表面に光触媒層を形成可能な材料であればよい。基材は、無機材料、有機材料を問わず種々の材料であってよい。基材の具体例としては、繊維強化セメント板、石膏ボード、コンクリート部材、壁紙、繊維、金属、セラミック及びガラス等の一般的な部材からなる単一基材、並びに上述の部材の2種以上からなる複合基材が挙げられる。
製造方法
本発明による塗装体の製造方法は、基材を用意し、この基材の表面に水性コーティング組成物を適用して塗膜を形成し、この塗膜を適宜乾燥させて層を形成することを少なくとも含んでなる。
基材の用意
本発明による塗装体の製造方法にあっては、まず基材を用意する。基材については上記のとおりである。
塗膜の形成
本発明による塗装体の製造方法にあっては、次いで、基材の表面に水性コーティング組成物を適用して塗膜を形成する。ここで、「塗膜」とは、基材表面に濡れ広がった水性コーティング組成物からなる膜であり、乾燥する前の状態であるものを意味する。
水性コーティング組成物の基材への適用は、刷毛塗り、ローラー塗布、スプレーコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、流し塗り、スクリーン印刷、スポンジ等に含浸させて手塗りする等、一般に広く行われている塗布方法を利用できる。
本発明において、水性コーティング組成物を基材に適用する前に、基材にあらかじめ下塗材を適用しても良い。これにより、塗装体と基材との密着性を得ることができる。下塗材としては任意の材料を使用することができる。
層の形成
本発明による塗装体の製造方法にあっては、次いで、塗膜を適宜乾燥させて層を形成する。塗膜は常温乾燥させればよく、または必要に応じて加熱乾燥させてもよい。乾燥温度は5℃以上500℃以下であることが好ましい。バインダーとして高分子バインダーを用いる場合や、基材の少なくとも一部が樹脂成分を含む場合は、これらの耐熱温度等を考慮し、5℃以上200℃以下で乾燥させればよい。バインダーとして無機バインダーを用いる場合は、基材の耐熱温度を上限として、水酸基を有する銅化合物の耐熱温度を考慮し、500℃以下で乾燥させればよい。
水性コーティング組成物の調製
<樹脂エマルション(1)〜(10)>
市販の樹脂エマルションとして、(1)〜(10)を用意した。
(1)酢酸ビニル/ベオバ(ネオデカン酸ビニルエステル、ネオナノン酸ビニルエステル)共重合体
(2)酢酸ビニル/アクリル系樹脂
(3)フッ素系樹脂
(4)シリコーン系樹脂1
(5)シリコーン系樹脂2
(6)シリコーン系樹脂3
(7)アクリル系樹脂
(8)アクリル/シリコーン系樹脂
(9)アクリル/スチレン系樹脂
(10)シリコーン変性アクリル樹脂
<可視光応答型光触媒粒子>
可視光応答型光触媒粒子として、次の2種類を用意した。
(可視光応答型光触媒粒子A)水酸化銅化合物および酸化銅化合物が光触媒粒子に担持された可視光応答型光触媒粒子
(可視光応答型光触媒粒子B)酸化銅化合物が光触媒粒子に担持された可視光応答型光触媒粒子
<水性コーティング組成物A−1〜A−11>
イオン交換水49.6質量%、分散剤2.5質量%、消泡剤0.2質量%および白顔料48質量%を含むスラリーを47質量%と、上記可視光応答型光触媒粒子を2.3質量%と、上記(A−1)〜(A−11)のいずれかの樹脂エマルション(残部)とを混合・撹拌して水性コーティング組成物A−1〜A−11を得た。各水性コーティング組成物に含まれる樹脂エマルションの樹脂成分の種類および液性を表1に示す。各樹脂エマルションが含むアンモニアおよびアミンそれぞれの含有量のカタログ値を表1に示す。水性コーティング組成物A−1〜A10については、可視光応答型光触媒粒子として、可視光応答型光触媒粒子Aを用いた。水性コーティング組成物A−11については、可視光応答型光触媒粒子として、可視光応答型光触媒粒子Bを用いた。
Figure 2016194035
<水性コーティング組成物B−1〜B−12>
分散剤1〜5質量%、消泡剤0〜2質量%、白顔料30〜50質量%、およびイオン交換水残部を含むスラリーを47質量%と、可視光応答型光触媒粒子として上記可視光応答型光触媒粒子Aを2.3質量%と、アンモニア溶液またはアミン溶液を表2に示す割合(仕込値)で添加した樹脂エマルション(残部)とを混合・撹拌して水性コーティング組成物B−1〜B−12を得た。各水性コーティング組成物に含まれる樹脂エマルションとして、上記(A−3)の樹脂エマルションを用いた。
Figure 2016194035
各水性コーティング組成物(A−1〜A−11およびB−1〜B−12)に含まれるアンモニアの含有量を以下のようにイオンクロマトグラフィー分析法にて求めた。分析結果は表1および表2に示されるとおりであった。
前処理方法
(1)水性コーティング組成物をろ過して粒子等を取り除いた
(2)超純水で洗浄したPP遠心チューブに粒子除去後の水性コーティング組成物0.50 gを量り取り、超純水で調整した0.01N HClで10倍希釈した
(3)遠心分離(10000rpm,10min)した
(4)遠心フィルターユニット(アミコンウルトラ, ULTRAFREE, 10000NMWL, Regenerated Cellulose, 0.5mL)(回収液を受けるチューブは超純水で洗浄して使用、フィルターはサンプルが薄まってしまうため洗浄はせずに使用)に(3)の処理を施した(2)の上澄みを0.40mL入れた
(5)遠心分離(12000rpm,20min)した
(6)遠心フィルターユニット(アミコンウルトラ, ULTRAFREE, 5000NMWL, Regenerated Cellulose, 0.5mL)(回収液を受けるチューブは超純水で洗浄、フィルターはサンプルが薄まってしまうため未洗浄のまま使用)に(5)の処理を施した(4)の上澄みを入れた
(7)遠心分離(12000rpm,20min)した
(8)(7)の処理を施した(6)の上澄みを超純水で調整した0.01N HClで10~100倍希釈し(NH4 +の濃度が1ppm以下になるように適宜調整)、イオンクロマトグラフィーでアンモニア濃度を測定した
(9)超純水で(1)〜(7)の操作をしたものを3つ作成して操作ブランクとし、10σから定量下限値を算出した
イオンクロマトグラフィーの分析条件は下記表3に示すとおりとした。
Figure 2016194035
各水性コーティング組成物(A−1〜A−11およびB−1〜B−12)に含まれるアミンの含有量を以下のようにキャピラリー電気泳動法にて求めた。測定結果は表1および表2に示されるとおりであった。
前処理方法
(1)ポリ瓶(50mL)に樹脂エマルション1.0 gを量り取り、超純水で調整した0.01N HClで50mLに(50倍に)希釈した
(2)上記(1)で得られた溶液10mLを別のポリ瓶(50mL)に取り、超純水で調整した0.01N HClで40mLに(4倍に)希釈した(樹脂エマルションは最終的に200倍希釈された)
(3)上記(2)で得られた溶液を2日以上放置して不溶な成分を沈殿させた後、0.2μmのフィルターでろ過した
(4)上記(3)で得られたろ液のアミン濃度をキャピラリー電気泳動装置で測定した
キャピラリー電気泳動の測定条件は下記表4に示すとおりとした。
Figure 2016194035
水性コーティング組成物A−1〜A−11に含まれる樹脂エマルションが含むアミン含有量のカタログ値が0質量%のとき、各水性コーティング組成物に含まれるアミンの含有量を0質量%とみなした。また、キャピラリー電気泳動法によるアミン濃度の分析値が得られない場合、水性コーティング組成物B−1〜B−12に含まれる樹脂エマルションに添加したアミンの仕込値を、各水性コーティング組成物に含まれるアミンの含有量とみなした。
評価
<銅化合物溶解試験>
得られた各水性コーティング組成物を7日間暗所で保管した。その後、水性コーティング組成物の色の変化の有無を目視で確認した。結果を上記表1に示す。アンモニア濃度またはアミン濃度が高い場合であっても、作製直後は水性コーティング組成物の液色に変化が認められなかった。一方で、アンモニア濃度またはアミン濃度が高い場合には、時間経過とともに液色に変化が見られた。
塗装体
<塗装体の作製>
上記水性コーティング組成物A−7を用いて、2種類の塗装体を作製した。
(塗装体1)基材上に作製直後の水性コーティング組成物A−7を塗装した。基材として、下塗り材を施した石膏ボードを用いた。作製直後の水性コーティング組成物A−7は、色の変化は生じていなかった。
(塗装体2)作製後7日以上経過して、青く変色した水性コーティング組成物A−7を用いた以外は、塗装体1と同様の方法で塗装体2を作製した。なお、作製後7日以上経過した水性コーティング組成物A−7は、上部が特に青くなっていた。塗装する前に、液全体をよくかき混ぜて均一にしたものを塗装した。
<塗装体の評価>
上記塗装体1、2について、概観評価を実施した。外観変化は、MINOLTA SPECTROPGOTOMETER CM−3600Aを用い、標準光源をD65、ターゲットマスク:MAV(8mm)、di:2°とし、正反射光を含むSCI方式で測定した。
塗装体1の表面の色彩値をL 、a 、b と、塗装体2の表面の色彩値をL 、a 、b として、水性コーティング組成物の色変化の有無による塗装体の色彩値の変化ΔL、Δa、Δbを、それぞれ、ΔL=L −L 、Δa=a −a 、Δb=b −b として算出した。このように算出したΔL、Δa、Δbから、色差ΔEabを、ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2として算出した。ここで、ΔEabの値が小さいほど光照射による塗装体表面の変色が小さいことを意味する。結果を表5に示す。
Figure 2016194035
変色した水性コーティング組成物を用いた塗装体2は、表5からわかるとおりΔEab値が1.66と大きく、外観の色も変化した。水酸基を有する銅化合物が溶出した水性コーティング組成物を用いた場合、塗装体においても所望の性能を達成できないことが確認された。

Claims (8)

  1. 水酸基を有する銅化合物と、バインダーと、水性媒体とを含んでなる水性コーティング組成物であって、
    前記バインダーが、前記水性コーティング組成物中に分散体の形態で存在してなるものであり、
    前記コーティング組成物が、アンモニアおよびアミンの双方を含まないか、あるいは、アンモニアおよびアミンのいずれか一方を少なくとも含み、この場合において、イオンクロマトグラフィー分析法で測定されるアンモニアの濃度が0質量%以上0.06質量%以下であり、キャピラリー電気泳動法で測定されるアミンの濃度が0質量%以上0.15質量%未満である、水性コーティング組成物。
  2. 前記アミンが、1級アミン、2級アミンおよび3級アミンからなる群から選択される少なくとも一種のものである、請求項1に記載の水性コーティング組成物。
  3. 酸化銅(II)をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の水性コーティング組成物。
  4. 前記銅化合物が光触媒粒子に担持されてなる可視光応答型光触媒粒子をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性コーティング組成物。
  5. 前記アンモニアの濃度が0質量%以上0.01質量%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
  6. 前記アミンの濃度が0質量%以上0.14質量%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
  7. 基材の表面に形成されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物からなる層。
  8. 基材と、当該基材の表面に形成されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物からなる層とを少なくとも含んでなる、塗装体。
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