JP2016193461A - 刃先交換式ドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】インサート取付座から切削インサートが抜け出ることを防止できること。
【解決手段】ドリル本体10と、ドリル本体10の先端面11に開口する凹状のインサート取付座14に装着される切削インサート2と、を備え、インサート取付座14は、ドリル本体10の先端部において径方向に互いに離間して対向配置される一対のクランプ部同士の間に形成され、一対のクランプ部同士は、ドリル本体10の先端部に螺着するクランプネジ40のねじ込み量に応じて、互いに接近離間可能とされ、クランプ部には、切削インサート2に対して周方向から当接するトルク伝達面14cが形成され、切削インサート2には、トルク伝達面14cに当接するトルク受け面35bが形成され、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bには、少なくともインサート取付座14に対する切削インサート2の先端側へ向けた移動を規制する抜け出し規制手段が設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ドリル本体の先端面に開口する凹状のインサート取付座に、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着される刃先交換式ドリルに関するものである。
従来、例えば下記特許文献1に示されるような刃先交換式ドリルが知られている。
この刃先交換式ドリルは、軸線回りに回転させられるドリル本体と、ドリル本体の先端面に開口する凹状のインサート取付座に着脱可能に装着され、前記先端面から先端側へ向けて切れ刃を突出させる切削インサートと、を備えている。
また、インサート取付座は、ドリル本体の先端部において径方向に互いに離間して対向配置される一対のクランプ部同士の間に形成されており、一対のクランプ部同士は、ドリル本体の先端部に螺着するクランプネジのねじ込み量に応じて、互いに接近離間可能とされている。
具体的に、この特許文献1では、ドリル本体の先端部に、雌ねじ部を備えた挿通孔が径方向に延びて形成されており、この挿通孔内には、前記雌ねじ部に螺合させられる雄ねじ部を備えたクランプネジが挿通されているとともに、このクランプネジの頭部に、止め部材が対向配置されている。
そして、クランプネジの雄ねじ部を挿通孔の雌ねじ部に対して緩み方向にねじ回すことにより、クランプネジの頭部が止め部材を径方向外側へ向けて押圧し、これにより一対のクランプ部同士が互いに離間させられて、インサート取付座に切削インサートを挿入することができる。
また、クランプネジの雄ねじ部を挿通孔の雌ねじ部に対して締め込み方向にねじ回すことにより、クランプネジの頭部が挿通孔内に形成されたテーパ状の壁面を径方向内側へ向けて押圧し、これにより一対のクランプ部同士が互いに接近させられて、インサート取付座に切削インサートがクランプされる。
特開2004−330391号公報
ところで、この種の刃先交換式ドリルでは、下記のような課題を有していた。
被削材に穴加工を行った後、刃先交換式ドリルが後退させられるとき(つまり被削材に形成した加工穴から刃先交換式ドリルを引き抜く際)に、加工穴の穴曲がり、面粗さ、切屑溶着等の状態により、刃先交換式ドリルが加工穴の内周面と干渉する場合があり、このような場合に、インサート取付座から切削インサートが抜け出るおそれがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、インサート取付座から切削インサートが抜け出ることを防止できる刃先交換式ドリルを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、軸線回りに回転させられるドリル本体と、前記ドリル本体の先端面に開口する凹状のインサート取付座に着脱可能に装着され、前記先端面から先端側へ向けて切れ刃を突出させる切削インサートと、を備えた刃先交換式ドリルであって、前記インサート取付座は、前記ドリル本体の先端部において径方向に互いに離間して対向配置される一対のクランプ部同士の間に形成されており、一対の前記クランプ部同士は、前記ドリル本体の先端部に螺着するクランプネジのねじ込み量に応じて、互いに接近離間可能とされており、前記クランプ部には、前記切削インサートに対して周方向から当接するトルク伝達面が形成され、前記切削インサートには、前記トルク伝達面に当接するトルク受け面が形成され、前記トルク伝達面及び前記トルク受け面には、少なくとも前記インサート取付座に対する前記切削インサートの先端側へ向けた移動を規制する抜け出し規制手段が設けられることを特徴とする。
この刃先交換式ドリルでは、ドリル本体の先端面に開口するインサート取付座に切削インサートが挿入され、一対のクランプ部同士がクランプネジのねじ込み量に応じて接近させられることにより、これらクランプ部の間に切削インサートがクランプされて、インサート取付座に対して切削インサートが装着される。
クランプ部にはトルク伝達面が形成されており、切削インサートにはトルク受け面が形成されていて、インサート取付座において切削インサートがクランプされたときに、これらのトルク伝達面とトルク受け面とが周方向に当接させられる。
そして本発明の刃先交換式ドリルによれば、トルク伝達面及びトルク受け面には、少なくともインサート取付座に対する切削インサートの先端側へ向けた移動を規制する抜け出し規制手段が設けられている。これにより、例えば、被削材に穴加工を行った後、刃先交換式ドリルが後退させられるとき(つまり被削材に形成した加工穴から刃先交換式ドリルを引き抜く際)に、加工穴の穴曲がり、面粗さ、切屑溶着等の状態により、刃先交換式ドリルが加工穴の内周面と干渉することがあっても、インサート取付座から切削インサートが抜け出すことが防止される。
以上より、本発明によれば、穴あけ加工時に、たとえインサート取付座に対して切削インサートを先端側へ向けて抜け出させる向きの外力が作用した場合であっても、インサート取付座から切削インサートが抜け出ることを、確実に防止することができる。またこれにより、穴あけ加工を精度よく安定して行うことが可能になる。
また、本発明の刃先交換式ドリルにおいて、前記抜け出し規制手段は、前記トルク伝達面及び前記トルク受け面のいずれか一方に設けられる凹部と、前記一方とは異なる他方に設けられるとともに、前記凹部に係止される凸部と、を備えることが好ましい。
この場合、上述した作用効果を確実に奏功しつつも、抜け出し規制手段を、トルク伝達面及びトルク受け面において互いに係止される凹部及び凸部により形成して、簡単な構造とすることができる。
また、本発明の刃先交換式ドリルにおいて、前記凹部が、前記切削インサートの前記トルク受け面に設けられ、前記凸部が、前記クランプ部の前記トルク伝達面に設けられることが好ましい。
例えば超硬合金等からなり靱性を確保しにくい切削インサートにおいては、凹部及び凸部のうち、上記構成のように凹部が形成されることが好ましい。
具体的に、上記構成とは異なり、切削インサートに凸部が形成される場合には、この凸部が加工時などに強い衝撃を受けて欠損する可能性が考えられる。つまり、この切削インサートに抜け出し規制手段を形成するために、出っ張り形状の凸部を設けることは、該凸部に衝撃が集中して作用しやすくなることから、好ましくはない。
一方、切削インサートに凹部が形成される場合には、衝撃を集中して受けるような箇所が形成されにくいため、欠損も生じにくい。
また、切削インサートの製造時において、圧粉体を成形し、焼結する各工程を考慮した場合でも、切削インサートに凹部が形成されていると、凸部が形成されている場合より取り扱い性がよい。
また、本発明の刃先交換式ドリルにおいて、前記凹部及び前記凸部が、前記トルク伝達面及び前記トルク受け面における基端側部分に配置されることが好ましい。
この場合、トルク伝達面及びトルク受け面における基端側部分に凹部及び凸部が配置されているので、トルク伝達面及びトルク受け面における先端側部分においては、これらの面同士の当接領域を大きく確保することができる。つまり、穴あけ加工に供される切れ刃に近い位置において、切削負荷(トルク)を安定して受けることができるので、穴あけ加工の精度を良好に維持することができる。
また、本発明の刃先交換式ドリルにおいて、前記凹部と前記凸部が係止されたときに、前記トルク伝達面と前記トルク受け面が互いに離間する向きへの移動も規制されることが好ましい。
この場合、凹部と凸部が係止されたときに、上述のインサート取付座に対する切削インサートの先端側へ向けた移動(抜け出し)が規制されるのみならず、インサート取付座に対して切削インサートが周方向に移動(回転)することも規制される。
従って、インサート取付座に対する切削インサートの抜け出しを防止しつつも、該インサート取付座内において切削インサートががたつくようなことも防止されて、穴あけ加工の精度がより向上する。
本発明の刃先交換式ドリルによれば、インサート取付座から切削インサートが抜け出ることを防止できる。
本発明の一実施形態に係る刃先交換式ドリルを示す側面図である。 図1の刃先交換式ドリルの先端部(要部)を拡大して示す側面図である。 ドリル本体のインサート取付座に、切削インサートを装着する手順を説明する図であり、刃先交換式ドリルの(a)正面図、(b)側面図を表している。 ドリル本体のインサート取付座に、切削インサートを装着する手順を説明する図であり、刃先交換式ドリルの(a)正面図、(b)側面図を表している。 ドリル本体のインサート取付座に、切削インサートを装着する手順を説明する図であり、刃先交換式ドリルの(a)正面図、(b)側面図を表している。 一対のクランプ部を、クランプネジのねじ込み量に応じて接近離間させる作用を説明する縦断面図であり、(a)アンクランプ状態(クランプネジ中間位置)、(b)アンクランプ状態(切削インサート着脱操作時)、(c)クランプ状態(切削インサート締結時)を表している。 切削インサートを示す(a)正面図、(b)側面図である。 図7(a)の矢視Aを示す図である。 図7(a)の矢視Bを示す図である。 抜け出し規制手段(の凸部)の形状を説明する図である。 抜け出し規制手段(の凸部)の形状の変形例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る刃先交換式ドリル1について、図面を参照して説明する。
〔刃先交換式ドリルの概略構成、及びドリル本体〕
図1及び図2において、本実施形態の刃先交換式ドリル1は、工作機械の主軸等に装着されて軸線O回りに回転させられるドリル本体10の先端部に、切れ刃34を有する切削インサート2がクランプ(固定)及びアンクランプ(固定を解除)可能に構成されたものである。
図1において、刃先交換式ドリル1のドリル本体10は、その基端側部分に位置する円柱状のシャンク部17が、工作機械の主軸等に着脱可能に装着される。また、ドリル本体10の先端側部分に位置して被削材に切り込む刃部18には、切削インサート2が着脱可能に装着される。
図示の例では、ドリル本体10のうち、シャンク部17に対して刃部18が小径とされており、ドリル本体10全体としては略多段円柱状をなしている。
図2に示されるように、ドリル本体10の先端面11に開口する凹状のインサート取付座14には、切削インサート2が着脱可能に装着される。また、インサート取付座14に切削インサート2が装着された状態で、ドリル本体10の先端面11から先端側へ向けて、切削インサート2の切れ刃34が突出させられる。
〔本明細書で用いる向き(方向)の定義〕
本明細書においては、ドリル本体10の軸線O方向のうち、シャンク部17から刃部18へ向かう向き(図1における下側、図2においては上側)を先端側といい、刃部18からシャンク部17へ向かう向き(図1における上側、図2においては下側)を基端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向の内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向といい、周方向のうち、切削時に主軸によりドリル本体10が回転させられる向きを工具回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対側(反工具回転方向)という。
〔切屑排出溝〕
ドリル本体10の先端側部分(刃部18)の外周には、ドリル本体10の先端面11に開口する一対の切屑排出溝12が、周方向に互いに間隔をあけて、軸線Oを挟んで互いに反対側となる位置に形成されている。切屑排出溝12は、軸線O方向の先端から基端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれるように、螺旋状をなしている。
〔クーラント供給孔〕
図1において、ドリル本体10の内部には、軸線O方向に沿って延びるクーラント供給孔19が形成されている。クーラント供給孔19は、その基端部がドリル本体10の基端面に開口しており、その先端部が切削インサート2の切れ刃34に向けて開口している。
クーラント供給孔19の内部には、工作機械の主軸等からクーラント(油性又は水溶性の切削液剤)が供給され、該クーラントは、クーラント供給孔19の先端開口から切削インサート2の切れ刃34へ向けて噴射させられる。
なお、刃先交換式ドリル1の外部から切れ刃34に向けてクーラントを供給する機構が別途設けられている場合には、ドリル本体10にクーラント供給孔19が設けられていなくてもよい。
〔インサート取付座〕
図2〜図6に示されるように、ドリル本体10の先端部には、ドリル本体10の先端面11に開口して基端側に向けて窪む凹状のインサート取付座14が形成されている。
具体的に、このインサート取付座14は、ドリル本体10の先端部において先端側に向けて開口し、かつ、径方向に沿って延びるとともに径方向の両側に向けても開口していて、溝状をなしている。インサート取付座14の内部には、該インサート取付座14に対して先端から基端側へ向けて、切削インサート2が挿入される。
インサート取付座14は、軸線O方向の先端側を向くとともに軸線Oに略垂直に形成された底面14aと、底面14aから先端側へ向けて立ち上がる一対のクランプ面14bと、同じく底面14aから先端側へ向けて立ち上がる一対のトルク伝達面14cと、を備えている。また、クランプ面14bとトルク伝達面14cとは、周方向に連なって形成されている。
図3(a)(b)に示されるように、インサート取付座14において一対のクランプ面14bは、それぞれ径方向内側(軸線O側)を向くとともに、軸線Oを挟んで互いに反対側に配置されている。一対のクランプ面14b同士は、ドリル本体10の先端部において周方向に等間隔をあけて配置されている。
また、インサート取付座14において一対のトルク伝達面14cは、それぞれ工具回転方向Tを向くとともに、軸線Oを挟んで互いに反対側に配置されている。一対のトルク伝達面14c同士は、ドリル本体10の先端部において周方向に等間隔をあけて配置されている。
クランプ面14bは、トルク伝達面14cの径方向内側の端縁から工具回転方向Tとは反対側へ向けて延びるように形成されている。クランプ面14bは、トルク伝達面14cとの間に凸状の鈍角を形成するように、該トルク伝達面14cに接続している。また、トルク伝達面14cは、径方向に沿うように延びて形成されている。
また、トルク伝達面14cは、そのクランプ面14bに接続する径方向内側の端縁とは反対側の端縁(つまり径方向外側の端縁)が、ドリル本体10の外周面に接続している。
クランプ面14bは、そのトルク伝達面14cに接続する工具回転方向Tの端縁とは反対側の端縁(つまり工具回転方向Tとは反対側の端縁)が、切屑排出溝12における工具回転方向Tとは反対側を向く壁面に接続している。
図6(a)に示されるように、クランプ面14bは、軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次径方向の外側へ向けて僅かに傾斜させられている。このため、一対のクランプ面14b同士は、底面14aから軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次互いの間の距離を僅かに狭めるように接近して形成される。
図3(a)(b)において、トルク伝達面14cは、軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tへ向けて傾斜させられている。また、トルク伝達面14cには、本発明の特別な技術的特徴である「抜け出し規制手段」の構成要素として、凸部23が形成されている。抜け出し規制手段及びその凸部23については、詳しく後述する。
図6(a)〜(c)において、インサート取付座14における軸線O方向の先端側を向く底面14aには、軸線O方向の基端側へ向けて窪む穴部15が形成されている。穴部15は、軸線Oに垂直な断面(つまり横断面)が軸線Oを中心とした略円形状をなしている。
穴部15の内径は、この穴部15の内周面が切屑排出溝12の壁面よりも径方向内側に位置するような大きさに設定されている。このため、図5(b)に示されるように、穴部15は、後述するスリット16以外の部分では切屑排出溝12の壁面(内面)に開口されていない。
底面14aには、軸線O方向の基端側へ向けて延びるスリット16が開口している。スリット16は、ドリル本体10の先端部において、軸線Oを含んで該軸線Oに平行となるように延びているとともに、穴部15を二分するように底面14aから基端側へ向けて切り込まれている。またスリット16は、切屑排出溝12の壁面にも開口している。つまりスリット16は、径方向にも延びているとともに、その径方向の両側が切屑排出溝12を通してドリル本体10の外周に開口している。
また、スリット16の基端部には、該基端部以外の部位よりも内径が大きくされた円孔状の底部16aが形成されている。底部16aは、径方向に沿って延びているとともに、ドリル本体10の先端部を径方向に貫通している。
特に図示していないが、ドリル本体10の先端部を軸線O方向の先端から基端側へ向けて見た正面視において、スリット16は、クランプ面14bが延びる方向と略平行となるように、径方向に延びている。
〔クランプ部〕
上述したインサート取付座14及びスリット16がドリル本体10の先端部に形成されていることによって、図3及び図6に示されるように、ドリル本体10の先端部には、径方向に互いに離間して一対のクランプ部13a、13bが対向配置される。つまり、ドリル本体10の先端部は、インサート取付座14、穴部15及びスリット16により径方向に分断された一対のクランプ部13a、13bを有している。そして、インサート取付座14は、ドリル本体10の先端部における一対のクランプ部13a、13b同士の間に形成される。
一対のクランプ部13a、13bは、第1クランプ部13aと、第2クランプ部13bとからなる。第1クランプ部13a及び第2クランプ部13bには、インサート取付座14において互いに接続する、クランプ面14b及びトルク伝達面14cがそれぞれ配置される。
クランプ部13a、13bには、切削インサート2に対して径方向から(具体的には、径方向の内側へ向けて)当接するクランプ面14bと、切削インサート2に対して周方向から(具体的には、周方向のうち工具回転方向Tへ向けて)当接するトルク伝達面14cと、が形成されている。
また、一対のクランプ部13a、13b同士は、ドリル本体10の先端部に螺着するクランプネジ40のねじ込み量に応じて、互いに接近離間可能とされている。
〔挿通孔、止め部材、クランプネジ、及び切削インサートのインサート着脱機構〕
本実施形態の刃先交換式ドリル1は、ドリル本体10の先端部に螺着するクランプネジ40のねじ込み量に応じて、一対のクランプ部13a、13b同士を互いに接近離間させることにより、インサート取付座14に対して切削インサート2をクランプ及びアンクランプさせることが可能な、切削インサート2のインサート着脱機構を備えている。
この切削インサート2のインサート着脱機構は、挿通孔20、止め部材22及びクランプネジ40を有している。
図6(a)〜(c)に示されるように、ドリル本体10の先端部において、インサート取付座14よりも軸線O方向の基端側に位置する部分には、スリット16に交差して(つまりスリット16の一対の内壁に開口して)、径方向に延びる多段孔状の挿通孔20が設けられている。
挿通孔20は、ドリル本体10の先端部を径方向に貫通することによって、その延在方向(孔の中心軸方向)Lの両端部が、第1クランプ部13aの外周面と第2クランプ部13bの外周面とに開口させられている。
挿通孔20は、第1クランプ部13aの外周面に開口して延在方向Lのドリル内部側(径方向内側)へ向かって延びる収容部21と、該収容部21の前記ドリル内部側に連なり、収容部21から前記ドリル内部側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ状の壁面25と、壁面25の前記ドリル内部側に連なり、一定の内径とされてスリット16内に開口する貫通孔26と、貫通孔26よりも若干小径とされ、第2クランプ部13b内に配置されるとともに、その延在方向Lの両端部がスリット16及び第2クランプ部13bの外周面に開口する雌ねじ部27と、を有している。
挿通孔20のうち、収容部21、壁面25及び貫通孔26は、第1クランプ部13a内に配置され、雌ねじ部27は、第2クランプ部13b内に配置される。
収容部21のうち、少なくとも延在方向Lのドリル外部側の端部(径方向外側の端部)には、雌ねじ部が形成されており、該雌ねじ部には、止め部材22が螺着されている。
止め部材22は、円筒状をなしており、その外周面に前記雌ねじ部に螺着する雄ねじ部が形成されていて、収容部21の内部に収容されている。止め部材22には、該止め部材22を延在方向Lに貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔の内部には、クランプネジ40をねじ回すための六角レンチ等の作業用工具を挿通することができる。
挿通孔20内には、クランプネジ40が収容されている。クランプネジ40は、収容部21に配置され止め部材22及び壁面25に対して接近離間可能とされた頭部と、雌ねじ部27に螺着する雄ねじ部と、を有している。
クランプネジ40の頭部における延在方向Lの両側には、止め部材22と、壁面25と、が配置されている。
不図示の作業用工具によって、雌ねじ部27に対するクランプネジ40の雄ねじ部のねじ込み量を、緩み方向に調整する(つまりクランプネジ40を緩み方向にねじ回す)ことにより、図6(b)に示されるように、クランプネジ40の頭部が、止め部材22に対して延在方向Lのドリル外部側(径方向外側)へ向けて移動するとともに、該止め部材22に当接し、この止め部材22を前記ドリル外部側へ向けて押圧可能である。
つまり、クランプネジ40を緩み方向にねじ回すことにより、そのねじ込み量に応じて一対のクランプ部13a、13bは弾性変形して、これらのクランプ部13a、13b同士は、径方向に互いに離間移動させられる。
また、作業用工具によって、雌ねじ部27に対するクランプネジ40の雄ねじ部のねじ込み量を、締め込み方向に調整する(つまりクランプネジ40を締め込み方向にねじ回す)ことにより、図6(c)に示されるように、クランプネジ40の頭部が、壁面25に対して延在方向Lのドリル内部側(径方向内側)へ向けて移動するとともに、該壁面25に当接し、この壁面25を前記ドリル内部側へ向けて押圧可能である。
つまり、クランプネジ40を締め込み方向にねじ回すことにより、そのねじ込み量に応じて一対のクランプ部13a、13bは弾性変形して、これらのクランプ部13a、13b同士は、径方向に互いに接近移動させられる。
〔切削インサート〕
図7〜図9において、切削インサート2は、超硬合金等の硬質材料により形成されたインサート本体30を有している。
インサート本体30は、先端面31、基端面32、外周面、すくい面33、逃げ面、切れ刃(先端刃)34、リーディングエッジ(外周刃)、クランプ受け面35a、トルク受け面35b、軸部36、及び凹部(抜け出し規制手段)37を、少なくとも有している。
先端面31は、切削インサート2がインサート取付座14に装着されたときに、軸線O方向の先端側を向く面であり、この先端面31は、径方向外側に向かうに従い漸次基端側へ向けて傾斜している。図8に示されるように、軸線Oに直交する方向から切削インサート2を見た側面視において、先端面31は、先端側へ向けて凸となるV字状をなしている。
図7(a)に示される切削インサート2の正面視(先端面31を正面に見た図)において、先端面31のうち、工具回転方向Tの先端縁には切れ刃34が位置しており、該切れ刃34の工具回転方向Tとは反対側に隣接する部分が、逃げ面とされている。
基端面32は、切削インサート2がインサート取付座14に装着されたときに、インサート取付座14の底面14aに着座させられる面であり、軸線Oに垂直な平面状をなしている。また、基端面32には、軸線O方向の基端側へ突出する軸部36が形成されており、この軸部36は、軸線Oに垂直な断面が軸線Oを中心とした略円形状をなしている。軸部36は、インサート取付座14の穴部15に挿入される。
すくい面33は、インサート本体30の外周面において、ドリル本体10の切屑排出溝12の先端側の延長上に形成されて、切屑排出溝12の先端部をなす溝状部分の内面に位置している。すくい面33は、凹曲面状をなしており、この切削インサート2がインサート取付座14に装着されたときに、工具回転方向Tを向くとともに、ドリル本体10の切屑排出溝12の壁面の先端側に滑らかに連なる。
切れ刃(先端刃)34は、先端面31(の逃げ面)と、すくい面33との交差稜線に形成される。また、切れ刃34の径方向外側の端縁に接続して、軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びる、リーディングエッジ(外周刃)が形成されている。
切削インサート2は、一対のクランプ受け面35aと、一対のトルク受け面35bと、を備えている。また、クランプ受け面35aとトルク受け面35bとは、周方向に連なって形成されている。
図7(a)(b)に示されるように、一対のクランプ受け面35aは、それぞれ径方向外側(軸線Oとは反対側)を向くとともに、軸線Oを挟んで互いに反対側に配置されている。一対のクランプ受け面35a同士は、切削インサート2において周方向に等間隔をあけて配置されている。
この切削インサート2がインサート取付座14に装着され、クランプされるときに、クランプ受け面35aは、インサート取付座14のクランプ面14bに当接させられる。
また、一対のトルク受け面35bは、それぞれ工具回転方向Tとは反対側を向くとともに、軸線Oを挟んで互いに反対側に配置されている。一対のトルク受け面35b同士は、切削インサート2において周方向に等間隔をあけて配置されている。
この切削インサート2がインサート取付座14に装着され、クランプされるときに、トルク受け面35bは、インサート取付座14のトルク伝達面14cに当接させられる。
クランプ受け面35aは、トルク受け面35bの径方向内側の端縁から工具回転方向Tとは反対側へ向けて延びるように形成されている。クランプ受け面35aは、トルク受け面35bとの間に凹状の鈍角を形成するように、該トルク受け面35bに接続している。また、トルク受け面35bは、径方向に沿うように延びて形成されている。
また、トルク受け面35bは、そのクランプ受け面35aに接続する径方向内側の端縁とは反対側の端縁(つまり径方向外側の端縁)が、切削インサート2の外周面に接続している。
クランプ受け面35aは、そのトルク受け面35bに接続する工具回転方向Tの端縁とは反対側の端縁(つまり工具回転方向Tとは反対側の端縁)が、切削インサート2の切屑排出溝12(切屑排出溝12の先端部)における工具回転方向Tとは反対側を向く壁面に接続している。
図7(b)に示されるように、クランプ受け面35aは、軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次径方向の外側へ向けて僅かに傾斜させられている。このため、一対のクランプ受け面35a同士は、基端面32から軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次互いの間の距離を僅かに狭めるように接近して形成される。
図7(a)及び図8に示されるように、トルク受け面35bは、軸線O方向の基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tへ向けて傾斜させられている。また、トルク受け面35bには、本発明の特別な技術的特徴である「抜け出し規制手段」の構成要素として、凹部37が形成されている。抜け出し規制手段及びその凹部37については、詳しく後述する。
〔抜け出し規制手段〕
そして、図2、図3及び図7〜図9に示されるように、インサート取付座14のトルク伝達面14c、及び、切削インサート2のトルク受け面35bには、少なくともインサート取付座14に対する切削インサート2の軸線O方向の先端側へ向けた移動を規制する、抜け出し規制手段が設けられている。
具体的に、この抜け出し規制手段は、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bのいずれか一方に設けられる凹部37と、前記一方とは異なる他方に設けられるとともに、凹部37に係止される凸部23と、を備えている。
本実施形態においては、凹部37が、切削インサート2のトルク受け面35bに設けられており、凸部23が、クランプ部13a、13bのトルク伝達面14cに設けられている。
図2及び図3(a)(b)において、凸部23は、トルク伝達面14cにおける基端側部分に配置されている。また、凸部23は、トルク伝達面14cにおける少なくとも径方向の外側部分に配置されている。
凸部23は、トルク伝達面14cの該凸部23以外の部位よりも工具回転方向Tに向けて突出している。図3(a)(b)に示される例では、凸部23が該凸部23以外の部位よりも工具回転方向Tへ向けて突出する突出高さ(突出量)が、径方向外側へ向かうに従い大きくされている。
図2及び図7〜図9において、凹部37は、トルク受け面35bにおける基端側部分に配置されている。また、凹部37は、トルク受け面35bにおける少なくとも径方向の外側部分に配置されている。
凹部37は、トルク受け面35bの該凹部37以外の部位よりも工具回転方向Tに向けて窪んでいる。
図2に示されるように、凹部37内に凸部23が挿入された状態で、凹部37と凸部23との間には、軸線O方向に隙間が設けられていてもよいし、隙間が設けられずに、これらが互いに当接していてもよい。
すなわち、凹部37と凸部23とは、インサート取付座14に対する切削インサート2の先端側への移動による「抜け出し」を規制可能に係止されればよく、つまり切削インサート2が、インサート取付座14に対して先端側へ向けて僅かに移動した場合であっても、抜け出し状態となる以前の所定範囲内において、これらの凹部37と凸部23とが係止されて、切削インサート2のそれ以上の移動が規制されればよい。
凹部37と凸部23との間に、軸線O方向に隙間が設けられる場合、凹部37と凸部23の基端側部分に位置する隙間については、軸線O方向の長さが0.5mm以下であることが好ましく、より望ましくは0.05mm以下である。つまり、前記長さ以上の隙間が設けられた場合には、隙間が大きくなった分だけ、凹部37と凸部23とが軸線O方向に強く衝突したり、がたつきが生じる可能性がある。
ここで、図10に示されるものは、本実施形態の凸部23及び凹部37を径方向から見た側面図であり、この側面視において、凸部23の工具回転方向T(図10における右側)を向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側(図10における左側)を向く底面は、軸線Oに平行に延びている。
また、図11(a)(b)に示されるものは、本実施形態の凸部23及び凹部37の変形例である。
図11(a)(b)に示される側面視において、凸部23の工具回転方向T(図11における右側)を向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側(図11における左側)を向く底面は、軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けて、傾斜して延びている。
具体的に、図11(a)に示される側面視では、凸部23の工具回転方向Tを向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側を向く底面の、軸線O方向の単位長さあたりの周方向へ向けた変位量(つまり「傾き」に相当)が、トルク伝達面14cの前記変位量と、略同等である。
また、図11(b)に示される側面視では、凸部23の工具回転方向Tを向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側を向く底面の、軸線O方向の単位長さあたりの周方向へ向けた変位量が、トルク伝達面14cの前記変位量よりも大きくされている。
また、図11(a)に示される例では、凸部23の基端部のうち、工具回転方向Tに位置する部分に、該基端部における他の部位よりも基端側へ向けて突出する係止突起24が形成されている。また、凹部37の基端部のうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する部分に、該基端部における他の部位よりも先端側へ向けて突出する係止突起38が形成されている。
そして、凹部37と凸部23が係止され、具体的には、凹部37の基端部と凸部23の基端部が互いに密着したときに、係止突起24、38同士も互いに周方向に当接して係止され、これにより、トルク伝達面14cとトルク受け面35bが互いに離間する向きへの移動(つまり周方向への相対移動)も規制されることになる。
〔インサート取付座に対する切削インサートの装着手順〕
次に、ドリル本体10の先端部に形成されたインサート取付座14に、切削インサート2を装着する手順について、図3〜図6を参照して説明する。
なお、図6(a)〜(c)に示されるものは、インサート取付座14に対する切削インサート2の装着手順を説明するための縦断面図であり、図6(a)は、アンクランプ状態(クランプネジ40中間位置)、図6(b)は、アンクランプ状態(切削インサート2着脱操作時)、図6(c)は、クランプ状態(切削インサート2締結時)を表している。
図6(a)において、まず、挿通孔20内に挿通されたクランプネジ40の頭部に形成されている、六角穴等の穴部(不図示)に対して、六角レンチ等の作業用工具(不図示)を嵌合させる。具体的には、挿通孔20内においてクランプネジ40の頭部に対向配置された止め部材22の貫通孔から、作業用工具を、挿通孔20の収容部21内に挿入する。
そして、クランプネジ40の頭部に形成された穴部に、作業用工具を嵌合させた後、この作業用工具を回転させることにより、クランプネジ40を緩み方向にねじ回していく。
挿通孔20内に挿通されたクランプネジ40は、その雄ねじ部が、挿通孔20における雌ねじ部27に螺着させられた状態となっていることから、クランプネジ40を緩み方向に回転させると、クランプネジ40の雄ねじ部を挿通孔20の雌ねじ部27から緩めることができる。そして、図6(b)に示されるように、クランプネジ40の頭部が、挿通孔20の延在方向Lのドリル外部側(径方向外側)に向かって移動して、挿通孔20内の収容部21内に固定された止め部材22を押圧する。
これにより、ドリル本体10の先端部は、穴部15も含めてスリット16の位置を挟んで二分された第1クランプ部13aと第2クランプ部13bとが互いに離間するような弾性変形を行う。すなわち、第1クランプ部13a側に位置するクランプ面14b及びトルク伝達面14cと、第2クランプ部13b側に位置するクランプ面14b及びトルク伝達面14cとが互いに離間するとともに、スリット16で二分された穴部15の内周面同士も互いに離間する。
このようにしてインサート取付座14が開かれると、該インサート取付座14への切削インサート2の挿入が可能となる。
次いで、図3(a)に示されるように、ドリル本体10の先端部に形成されたインサート取付座14に対し、切削インサート2を、軸線O方向の先端から基端側へ向かって見て、インサート本体30のクランプ受け面35aの延びる方向が、インサート取付座14のクランプ面14bの延びる方向とは非平行となる状態で、具体的には、インサート取付座14(のクランプ面14b)に対して、切削インサート2(のクランプ受け面35a)が工具回転方向Tへ向けて所定角度だけ回転させられた状態として、切削インサート2を軸線O方向の基端側へ向けてスライド移動させて、インサート取付座14内に挿入する。
なお、このように切削インサート2を正規の取り付け姿勢からは回動させられた状態としつつ、インサート取付座14内に挿入する目的は、該インサート取付座14に切削インサート2を挿入するときに、トルク伝達面14cに設けられた凸部23に対して、切削インサート2の基端面32や凹部37等が干渉して挿入不能となることを回避するためである。
図4(b)において、インサート取付座14に切削インサート2が挿入されると、インサート本体30の基端面32に形成された軸部36は、インサート取付座14の底面14aに形成された穴部15に挿入され、インサート本体30の基端面32は、インサート取付座14の底面14aに当接させられる。
この状態から、図4(a)に白抜き矢印で示されるように、インサート取付座14に対して切削インサート2を、工具回転方向Tとは反対側へ向けて回転させる。これにより、インサート本体30のクランプ受け面35aが、インサート取付座14のクランプ面14bに対して略平行に対向配置される。またこれと同時に、インサート本体30のトルク受け面35bが、インサート取付座14のトルク伝達面14cに対して略平行に対向配置される。
次いで、作業用工具をクランプネジ40の頭部の穴部に嵌合した状態で、この作業用工具を回転させることにより、クランプネジ40を締め込み方向にねじ回していく。
挿通孔20内に挿通されたクランプネジ40は、その雄ねじ部が、挿通孔20における雌ねじ部27に螺着させられた状態となっていることから、クランプネジ40を締め込み方向に回転させると、クランプネジ40の雄ねじ部を挿通孔20の雌ねじ部27にねじ込むことができる。そして、図6(c)に示されるように、クランプネジ40の頭部が、挿通孔20の延在方向Lのドリル内部側(径方向内側)に向かって移動して、挿通孔20内に形成されたテーパ状の壁面25を押圧する。
これにより、ドリル本体10の先端部は、穴部15も含めてスリット16の位置を挟んで二分された第1クランプ部13aと第2クランプ部13bとが互いに接近するような弾性変形を行う。すなわち、第1クランプ部13a側に位置するクランプ面14b及びトルク伝達面14cと、第2クランプ部13b側に位置するクランプ面14b及びトルク伝達面14cとが互いに接近するとともに、スリット16で二分された穴部15の内周面同士も互いに接近する。
インサート取付座14における一対のクランプ面14bが、インサート本体30における一対のクランプ受け面35aにそれぞれ密着してこれらを押圧し、かつ、インサート取付座14における一対のトルク伝達面14cが、インサート本体30における一対のトルク受け面35bにそれぞれ密着してこれらを押圧する。このようにして、切削インサート2がインサート取付座14にクランプ(固定)状態とされ、装着される。
また、切削インサート2をインサート取付座14から取り外すには、上述した手順とは逆の手順を行えばよい。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の刃先交換式ドリル1では、ドリル本体10の先端面11に開口するインサート取付座14に切削インサート2が挿入され、一対のクランプ部13a、13b同士がクランプネジ40のねじ込み量に応じて接近させられることにより、これらクランプ部13a、13bの間に切削インサート2がクランプされて、インサート取付座14に対して切削インサート2が装着される。
クランプ部13a、13bにはトルク伝達面14cが形成されており、切削インサート2にはトルク受け面35bが形成されていて、インサート取付座14において切削インサート2がクランプされたときに、これらのトルク伝達面14cとトルク受け面35bとが周方向に当接させられる。
そして本実施形態の刃先交換式ドリル1によれば、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bには、少なくともインサート取付座14に対する切削インサート2の先端側へ向けた移動を規制する抜け出し規制手段が設けられている。これにより、例えば、被削材に穴加工を行った後、刃先交換式ドリル1が後退させられるとき(つまり被削材に形成した加工穴から刃先交換式ドリル1を引き抜く際)に、加工穴の穴曲がり、面粗さ、切屑溶着等の状態により、刃先交換式ドリル1が加工穴の内周面と干渉することがあっても、インサート取付座14から切削インサート2が抜け出すことが防止される。
以上より、本実施形態によれば、穴あけ加工時に、たとえインサート取付座14に対して切削インサート2を先端側へ向けて抜け出させる向きの外力が作用した場合であっても、インサート取付座14から切削インサート2が抜け出ることを、確実に防止することができる。またこれにより、穴あけ加工を精度よく安定して行うことが可能になる。
また、本実施形態では、前記抜け出し規制手段が、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bのいずれか一方に設けられる凹部37と、前記一方とは異なる他方に設けられるとともに、凹部37に係止される凸部23と、を備えているので、上述した作用効果を確実に奏功しつつも、抜け出し規制手段を簡単な構造とすることができる。
また、本実施形態では、凹部37が、切削インサート2のトルク受け面35bに設けられ、凸部23が、クランプ部13a、13bのトルク伝達面14cに設けられるので、下記の作用効果を奏する。
すなわち、抜け出し規制手段として、上述のように凹部37と凸部23を用いる場合、例えば超硬合金等からなり靱性を確保しにくい切削インサート2においては、凸部23よりも凹部37が配置されることが好ましい。
具体的に、上記構成とは異なり、切削インサート2に凸部23が形成される場合には、この凸部23が加工時などに強い衝撃を受けて欠損する可能性が考えられる。つまり、この切削インサート2に抜け出し規制手段を形成するために、出っ張り形状の凸部23を設けることは、該凸部23に衝撃が集中して作用しやすくなることから、好ましくはない。
一方、切削インサート2に凹部37が形成される場合には、衝撃を集中して受けるような箇所が形成されにくいため、欠損も生じにくい。
また、切削インサート2の製造時において、圧粉体を成形し、焼結する各工程を考慮した場合でも、切削インサート2に凹部37が形成されていると、凸部23が形成されている場合よりも、取り扱い性がよい。
また、本実施形態では、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bにおける基端側部分に、凹部37及び凸部23が配置されているので、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bにおける先端側部分においては、これらの面同士の当接領域を大きく確保することができる。つまり、穴あけ加工に供される切れ刃34に近い位置において、切削負荷(トルク)を安定して受けることができるので、穴あけ加工の精度を良好に維持することができる。
また、本実施形態で説明した図11(a)の変形例では、凸部23に係止突起24が形成され、凹部37に係止突起38が形成されていて、凹部37と凸部23が係止されたときに、係止突起24、38同士も互いに周方向に係止されて、トルク伝達面14cとトルク受け面35bが互いに離間する向き(周方向)への移動についても規制されるようになっている。
つまりこの場合、凹部37と凸部23が係止されたときに、上述のインサート取付座14に対する切削インサート2の先端側へ向けた移動(抜け出し)が規制されるのみならず、インサート取付座14に対して切削インサート2が周方向に移動(回転)することも規制される。
従って、インサート取付座14に対する切削インサート2の抜け出しを防止しつつも、該インサート取付座14内において切削インサート2ががたつくようなことも防止されて、穴あけ加工の精度がより向上する。
また、図11(a)(b)に示される変形例では、この側面視において、凸部23の工具回転方向Tを向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側を向く底面が、軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けて、傾斜して延びているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、凸部23の頂面の突出高さ(トルク伝達面14cの凸部23以外の部位からの突出量)が、軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次低くなり、またこれに応じて、凹部37の底面の深さ(トルク受け面35bの凹部37以外の部位からの窪み量)も、軸線O方向の先端側へ向かうに従い漸次小さくなる。
従って、切削インサート2のうち、大きな切削負荷を受ける切れ刃34に近い位置において、該切削インサート2の肉厚を十分に確保することができ、この切削インサート2の剛性を高めることができる。
特に、図11(b)に示される変形例のように、この側面視において、凸部23の工具回転方向Tを向く頂面、及び、凹部37の工具回転方向Tとは反対側を向く底面の、軸線O方向の単位長さあたりの周方向へ向けた変位量(つまり傾き)が、トルク伝達面14cの前記変位量よりも大きくされていると、切削インサート2の剛性を顕著に高めることができ、より好ましい。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、抜け出し規制手段として、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bのうちいずれか一方に設けられる凹部37と、前記一方とは異なる他方に設けられて凹部37内に係止される凸部23と、を備えた例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、抜け出し規制手段は、少なくともインサート取付座14に対する切削インサート2の先端側へ向けた移動を規制可能な構成を有していればよい。従って、トルク伝達面14c及びトルク受け面35bに、凸部23及び凹部37を形成する代わりに、抜け出し規制手段として、例えば下記のような構成を用いることが可能である。
トルク伝達面14c及びトルク受け面35bを、それぞれ凹凸のない平滑な面に形成する。そして、トルク伝達面14cを、インサート取付座14の底面14aから軸線O方向の先端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tに向けて傾斜させ(つまり前述の実施形態とは逆向きに傾斜させ)、トルク受け面35bについても、切削インサート2の基端面32から軸線O方向の先端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tに向けて傾斜させるとともに、これらを当接させる。このような構成によっても、穴あけ加工時において、インサート取付座14に対する切削インサート2の先端側へ向けた移動を規制することが可能である。
また、抜け出し規制手段として、凹部37と凸部23を用いる場合においても、これらの形状は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。例えば、凹部37と凸部23の組合せとして、溝とリブを用いたり、多角形柱と多角形穴を用いたり、半球体と半球穴を用いたり、その他、周知の凹部と凸部の組合せを種々に適用することができる。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 刃先交換式ドリル
2 切削インサート
10 ドリル本体
11 先端面
13a 第1クランプ部(クランプ部)
13b 第2クランプ部(クランプ部)
14 インサート取付座
14c トルク伝達面
23 凸部(抜け出し規制手段)
34 切れ刃
35b トルク受け面
37 凹部(抜け出し規制手段)
40 クランプネジ
O 軸線

Claims (5)

  1. 軸線回りに回転させられるドリル本体と、
    前記ドリル本体の先端面に開口する凹状のインサート取付座に着脱可能に装着され、前記先端面から先端側へ向けて切れ刃を突出させる切削インサートと、を備えた刃先交換式ドリルであって、
    前記インサート取付座は、前記ドリル本体の先端部において径方向に互いに離間して対向配置される一対のクランプ部同士の間に形成されており、
    一対の前記クランプ部同士は、前記ドリル本体の先端部に螺着するクランプネジのねじ込み量に応じて、互いに接近離間可能とされており、
    前記クランプ部には、前記切削インサートに対して周方向から当接するトルク伝達面が形成され、
    前記切削インサートには、前記トルク伝達面に当接するトルク受け面が形成され、
    前記トルク伝達面及び前記トルク受け面には、少なくとも前記インサート取付座に対する前記切削インサートの先端側へ向けた移動を規制する抜け出し規制手段が設けられることを特徴とする刃先交換式ドリル。
  2. 請求項1に記載の刃先交換式ドリルであって、
    前記抜け出し規制手段は、
    前記トルク伝達面及び前記トルク受け面のいずれか一方に設けられる凹部と、
    前記一方とは異なる他方に設けられるとともに、前記凹部に係止される凸部と、を備えることを特徴とする刃先交換式ドリル。
  3. 請求項2に記載の刃先交換式ドリルであって、
    前記凹部が、前記切削インサートの前記トルク受け面に設けられ、
    前記凸部が、前記クランプ部の前記トルク伝達面に設けられることを特徴とする刃先交換式ドリル。
  4. 請求項2又は3に記載の刃先交換式ドリルであって、
    前記凹部及び前記凸部が、前記トルク伝達面及び前記トルク受け面における基端側部分に配置されることを特徴とする刃先交換式ドリル。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の刃先交換式ドリルであって、
    前記凹部と前記凸部が係止されたときに、前記トルク伝達面と前記トルク受け面が互いに離間する向きへの移動も規制されることを特徴とする刃先交換式ドリル。
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