JP2016186028A - (メタ)アクリル系樹脂の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低分子量のものから高分子量のものまで効率的に製造することができる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】 (メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]を樹脂フィルムで充填包装した後、活性エネルギー線を照射して光重合させることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関し、更に詳しくは、溶液重合で製造困難な(メタ)アクリル系樹脂であっても、低分子量のものから高分子量のものまで、とりわけ中程度の分子量のものを効率的に製造することができる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関するものである。
従来より(メタ)アクリル系樹脂は、耐光性や透明性に優れていることから、建築材料や光学材料など、様々な用途に適用されている。
通常、このような(メタ)アクリル系樹脂は、種々の(メタ)アクリル系モノマー組成物を溶液重合することにより製造され、必要により酸素による重合阻害を防止するため窒素ガスやアルゴンガスでガス置換した環境を調整しながら製造され、実用に供されていることが多い。
この溶液重合では、溶媒と(メタ)アクリル系モノマーの配合比や、重合触媒の添加量や添加方法などの操作にて重合度や転化率を制御することができるが、溶媒を用いることから生成した重合体を取り出すには溶媒を除去する、つまり乾燥工程が必要となり煩雑である。
そこで、溶媒を使用せずに重合する方法があるが、この場合でも、求める重合度になる転化率で反応を停止する必要があり、それ故に残った未反応モノマーを乾燥する必要があり、結局煩雑な工程は残ることとなる。
また、(メタ)アクリル系モノマーの種類によっては、溶液重合では得られる(メタ)アクリル系樹脂の分子量を上げることが困難な場合がある。例えば、ポリメチルメタクリレートでは、重量平均分子量1万以上のものを溶液重合で製造するのが非常に困難であり、また、長時間を要するものであった。
そこで、溶液重合法に代わる重合方法として、近年では、(メタ)アクリル系モノマーに光重合開始剤を配合し、紫外線照射することにより、(メタ)アクリル系樹脂を製造する光重合法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特開2009−292936号公報 特開2005−132962号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の光重合法では、酸素の影響を充分に考慮せず、光重合を行っているため、重合阻害を受けてしまう可能性があり、また、重合転化率を向上させるために熱をかけるなどの必要もあり、効率よく(メタ)アクリル系樹脂を製造するにはまだまだ改良の余地が残るものであった。
更に、これを改良するために、シリコンゴム等をスペーサーとして2枚のガラスを対向させて空間部を設け、その中に光重合開始剤を含む(メタ)アクリル系モノマー組成物を充填し、光重合させる方法も考えられる。
しかし、該方法では重合を連続的に行うことができず、且つ、重合したポリマーをガラス間から取り出す際に大きな力が必要となる上に、ガラスを再使用するためには、付着したポリマーがある場合には該付着物の除去作業を行った上に、ガラス洗浄工程が必要となり、非常に煩雑な工程管理を要することとなる。
なお、本出願人は、特願2014−133824にて、(メタ)アクリル系樹脂の製造において、(メタ)アクリル系モノマー組成物を樹脂フィルムで充填包装し、かかるフィルム包装体に活性エネルギー線を照射することにより、酸素阻害を生じることなく良好な光重合を実施することができることを提案した。
確かに、活性エネルギー線照射による重合法で高分子量の(メタ)アクリル系樹脂を効率よく製造することができるが、高分子量のもののみならず、1万〜50万といった中程度の分子量を有する(メタ)アクリル系樹脂の要求も高まっており、そのためには更なる改良が必要である。
そこで、本発明ではこのような背景下において、効率よく(メタ)アクリル系樹脂を製造する方法を提供すること、しかも溶液重合では製造困難な(メタ)アクリル系樹脂であっても、低分子量のものから高分子量のものまで、とりわけ、中程度の分子量のものを効率的に製造することができ、且つ、容易に重合した(メタ)アクリル系樹脂を採取できる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情を鑑み鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル系樹脂を光重合法により製造するにあたり、(メタ)アクリル系モノマーを連鎖移動剤及び光重合開始剤とともに樹脂フィルムで充填包装し、かかるフィルム包装体に活性エネルギー線を照射することにより、酸素阻害を生じることなく良好な光重合を実施することができ、更に、重合操作終了後には樹脂フィルムを破壊することで容易に(メタ)アクリル系樹脂を採取することができることとなり、効率的に良好な(メタ)アクリル系樹脂が得られる製造方法を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、(メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]を、樹脂フィルムで充填包装した後、活性エネルギー線を照射して光重合させる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法に関するものである。
本発明の製造方法によれば、効率的に良好な(メタ)アクリル系樹脂を製造することができるものであり、溶液重合では製造困難な(メタ)アクリル系樹脂であっても、低分子量のものから高分子量のものまで、とりわけ中程度の分子量のものを効率的に製造することができ、且つ、容易に重合した(メタ)アクリル系樹脂を採取できるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系モノマーとは、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくとも一方を有するモノマーであり、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明は、(メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]を、樹脂フィルムで充填包装した後、活性エネルギー線を照射して光重合させる(メタ)アクリル系樹脂の製造方法である。
本発明で用いられる(メタ)アクリル系モノマー(A)は、光重合性を有するモノマーであればよく、エチレン性不飽和基を1個以上含有する化合物が挙げられる。中でも、ラジカル重合が容易である点から(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、単官能(メタ)アクリレート系化合物、2官能(メタ)アクリレート系化合物、3官能以上(メタ)アクリレート系化合物などが挙げられるが、特には後加工での他の配合組成との相溶性が良い点で単官能(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。
また、(メタ)アクリル系モノマー(A)として、重合性が良好である点から、アクリレート系化合物が好ましい。一方、得られるアクリル系樹脂を種々用途に用いる場合において、耐熱性等が求められるときはメタクリレート系化合物が好ましい。
なお、通常一般的に行われる溶液重合では、反応の比較的初期に重合物が三次元架橋状態となり、溶媒や未反応(メタ)アクリル系モノマーが包含されたゲル状になり均一な重合ができなくなったり、撹拌装置への負荷が大きく停止してしまったりすることから、エチレン性不飽和基を2個以上含有する化合物を配合する場合、その配合量には大きな制約があるが、本発明においては、そのような制約はないのである。
かかる単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート等の脂肪族系化合物;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシメチル(メタ)アクリレート、トリシクロデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式系化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系化合物;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)クリレート等の複素環系化合物
等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレート系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、特に、耐薬品性の高い高分子を得る点で脂環式系化合物、複素環系化合物が好ましく、更には耐水性や可視光線透過率が高い点で、特に脂環式系化合物が好ましい。
また、上記エチレン性不飽和基を1個含有する化合物として、官能基含有モノマーを用いることもでき、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、他の共重合モノマーとの反応性が高い点で2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが特に好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも他の共重合モノマーとの反応性が高い点で(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマーが好ましく用いられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これら官能基含有モノマーは、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
また、2官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等の脂肪族系化合物;
ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環式系化合物;
フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2,2’−ジフェニルプロパン)型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2,2’−ジフェニルプロパン)型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族系化合物;
等が挙げられる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の脂肪族系化合物;
1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環式化合物;
等が挙げられる。
更に、必要に応じて、その他の光重合性モノマーとして、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、(メタ)アクリロイルモルホリン等を用いることもできる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記官能基含有モノマーの単量体成分中における含有量としては、40重量%以下であることが好ましく、特には30重量%、更には10重量%、殊には5重量%であり、官能基含有モノマーの含有量が多すぎると親水性が高くなりすぎたり、粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下したりする傾向がある。
本発明で用いられる連鎖移動剤(B)としては、例えば、アルデヒド化合物やメルカプタン化合物等が挙げられるが、中でも反応性と透明性の点でメルカプタン化合物が好ましい。
かかるメルカプタン化合物としては、反応性の点から多官能メルカプタン化合物が好ましく、多官能メルカプタン化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。また、多官能メルカプタン化合物の中でも、モノマー組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で第2級メルカプト基を有するメルカプタン化合物を選択しても良い。また、(メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を撹拌直後に光重合する場合は第1級メルカプト基を有するメルカプタン化合物を選択しても良い。
かかるメルカプタン化合物としては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等の2官能チオール、1,3,5−トリス(2−(3−スルファニルブタノイルオキシ)エチル)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル−]−イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等の3官能チオール、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブタノアート)等の4官能チオールなどが挙げられる。
本発明においては、上記メルカプタン化合物の中でも特に、反応性の点で4官能チオールが好ましい。
本発明において、連鎖移動剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル系モノマー(A)100重量部に対して、0.001〜20重量部であることが好ましく、特には0.01〜10重量部、さらには0.05〜5重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、高分子量となりすぎる傾向があり、多すぎると低分子量となりすぎる傾向がある。
本発明で用いられる光重合開始剤(C)としては、光重合に通常一般的に用いられるものであればよく、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。
これら光重合開始剤(C)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
光重合開始剤(C)の含有量としては、(メタ)アクリル系モノマー(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、特には0.01〜7重量部、さらには0.01〜5重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、光重合が進まない傾向があり、多すぎると光重合物の低分子量化や黄変等の弊害を招く傾向がある。
本発明においては、更に、種々の目的に応じて、各種配合剤を配合することができる。
かくして(メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]を得ることができ、かかるモノマー組成物[I]に活性エネルギー線を照射して光重合させるわけであるが、その際、モノマー組成物[I]を樹脂フィルムで充填包装し、モノマー組成物[I]が充填されたフィルム包装体としておくことが重要である。
本発明で用いられる樹脂フィルムは、充填包装した際にモノマー組成物[I]が漏れ出さず光重合を阻害しないものであれば特に限定されないが、中でも、酸素による光重合阻害を生じさせないという点から、ガスバリア性樹脂フィルムであることが好ましい。
かかるガスバリア性樹脂フィルムとしては、酸素透過性がガスバリア性樹脂フィルムの厚みが20μmにおいて、20℃、ドライ条件の環境下で、200cc/m2・day・atm以下であることが酸素阻害を生じることなく良好な光重合を実施することができ、効率的に良好な(メタ)アクリル樹脂を製造することができる点で好ましく、特には100cc/m2・day・at以下、更には20cc/m2・day・at以下であることが好ましい。かかる値が高すぎると酸素阻害により良好な光重合ができず、重合度や転化率の低下を招く傾向がある。なお、下限値としては通常0.01cc/μm・day・atmである。
かかる酸素透過性の測定は、JIS K 7126 B法(等圧法)に示された測定方法に準じて、酸素透過度計を用いて測定して求められる。
また、本発明においては、光重合時に発生する熱を考慮した場合に、耐熱性に優れた樹脂フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度が 0℃以上、特には30℃以上、更には50℃以上であることが好ましい。かかるガラス転移温度が低すぎると光照射時に熱を受けた際に溶けて破袋する可能性がある。なお、かかるガラス転移温度の上限は、通常400℃である。
本発明で用いられる樹脂フィルムの厚さは、光線透過率の点から100μm以下であることが好ましく、特には10〜75μm、更には15〜50μmであることが好ましい。かかる厚さが厚すぎると光線透過率の低下を招く傾向があり、薄すぎると作業時の破袋による被液等、安全性を損なう傾向がある。
上記のような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、ナイロン6、2軸延伸ナイロンのようなナイロン系樹脂フィルム、変性ポリアクリロニトリル等のアクリルニトリル系樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルム等のビニルアルコール系樹脂フィルムまたはかかる一軸延伸や二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム等が挙げられるが、酸素透過性が非常に低い点で、特にビニルアルコール系樹脂フィルム、更には二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルムであることが好ましい。
かかるビニルアルコール系樹脂フィルムは、ビニルアルコール系樹脂より製膜されてなるものであり、ビニルアルコール系樹脂とは、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、好ましくは平均ケン化度が90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは97モル%以上である。
ビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記することがある)や、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記することがある)を挙げることができる。更に、PVA系樹脂としては、酢酸ビニルを単独重合し、それをケン化したPVAと、変性PVAを挙げることができ、かかる変性PVAとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。
以下、各ビニルアルコール系樹脂フィルムについて詳細に説明する。
まず、PVA系樹脂について説明する。
PVA系樹脂は水(温水も含む。)に溶解し得る熱可塑性樹脂であり、本発明で用いられるPVA系樹脂としては、PVAや変性PVAが挙げられ、かかる変性PVAとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。PVAは、酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。共重合変性PVA系樹脂は、酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体を共重合させた後ケン化して製造されるものであり、その変性量としては本発明の効果を損なわない範囲内であり、通常10モル%未満である。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩等が挙げられる。
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いることもでき、かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いる場合には、側鎖1,2−ジオール構造の含有量は、0.01〜20モル%であることが良好なフィルム成形性を得る点で好ましく、特には0.2〜15モル%、更には0.5〜12モル%が好ましい。
更に、変性PVAとしては、PVAを後変性することにより製造することもできる。かかる後変性の方法としては、PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記PVA系樹脂の重合度が1100以上、平均ケン化度90モル%以上であることが好ましく、重合度の更に好ましい範囲は1100〜4000、特に好ましい範囲は1200〜2600である。かかる重合度が低すぎると得られる樹脂フィルムとしたときの機械強度が低下する傾向にある。なお、重合度が高すぎると製膜および延伸時の加工性が低下する傾向にある。平均ケン化度の更に好ましい範囲は95〜100モル%、特に好ましい範囲は99〜100モル%である。かかる平均ケン化度が低すぎると耐水性が低下し、ガスバリア性の湿度による変化が著しくなる傾向にあるので、比較的高いものを選ぶことが好ましい。
また、上記PVA系樹脂の4重量%水溶液の粘度としては、2.5〜100mPa・s(20℃)が好ましく、更には2.5〜70mPa・s(20℃)、特には2.5〜60mPa・s(20℃)が好ましい。該粘度が低すぎるとフィルム強度等の機械的物性が劣る傾向があり、高すぎると樹脂フィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定されるものである。
これらのPVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
次に、EVOH系樹脂について説明する。
EVOH系樹脂は、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる、水(温水も含む。)には溶解しない熱可塑性樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、一般的に酢酸ビニルが用いられるが、他のビニルエステル系モノマー、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等の、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いてもよい。これらのモノマーは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
さらに、本発明の効果が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル系モノマー以外に、他のエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよい。他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類等が挙げられる。
また、EVOH系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するEVOH系樹脂を用いることも好ましく、側鎖1,2−ジオール構造含有は、0.01〜20モル%であることが良好なフィルム成形性を得る点で好ましく、特には、0.2〜15モル%、更には0.5〜10モル%が好ましい。
EVOH系樹脂のエチレン含有量は、通常20〜60モル%であるが、良好な延伸性を得る観点からは、エチレン含有量は25モル%以上であることが好ましく、さらには30モル%以上であることが特に好ましい。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン含有量は55モル%以下、さらには50モル%以下であることが特に好ましい。エチレン含有量が多すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、かかるEVOH系樹脂のエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
前記EVOH系樹脂におけるビニルエステル成分の平均ケン化度は、JIS K6726(ただしEVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて計測した値で、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかる平均ケン化度が低すぎた場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
前記EVOH系樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜35g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高すぎて流動不良が生じて、スジ・ムラなどの外観不良を発生する傾向がある。
かかるEVOH系樹脂には、本発明の目的を阻外しない範囲内で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
さらに、本発明の目的を阻外しない範囲内で加熱溶融する場合に安定性を向上させるためにEVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドすることもできる。ここでホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)であることが好ましい。
EVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素化合物の含有量は、好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOH系樹脂を得ることができる。ホウ素化合物の含有量が少なすぎると添加効果が小さく、多すぎるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
さらに、本発明に用いられるEVOH系樹脂は、公知の方法にてウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化など「後変性」されていてもよい。
これらのEVOH系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記ビニルアルコール系樹脂を用いてフィルム製膜するのであるが、かかる製膜方法も公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜される。
かかるビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常一軸延伸或いは二軸延伸フィルムとして用いることが好ましく、特にガスバリア性の点から、二軸延伸フィルムとして用いるのが好ましい。かかる一軸および二軸延伸フィルムの流れ方向(MD方向)の延伸倍率としては2.5〜5倍であることが好ましい。
かかる延伸処理方法は、通常行われる一軸延伸方法や、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
本発明においては、かかる二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルムの中でも、二軸延伸PVA系樹脂フィルム、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが好ましく用いられ、特には二軸延伸PVA系樹脂フィルムが好ましく用いられる。以下、これら二軸延伸フィルムの具体的な製法について説明する。
まず、二軸延伸PVA系樹脂フィルムについて説明する。
上記PVA系樹脂を用いて、PVA系樹脂フィルム(延伸前PVA系樹脂フィルム)を製膜するわけであるが、通常は、製膜用の原液として、PVA系樹脂濃度が5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%のPVA系樹脂−水の組成物を調製する。
かかるPVA系樹脂−水組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
PVA系樹脂フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記PVA系樹脂−水組成物を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
かかる方法における押出機内での溶融混練温度は、50〜170℃、特には55〜160℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招き、高すぎると発泡現象を招く傾向にある。また、製膜後のフィルムの乾燥については、70〜120℃で行うことが好ましく、更には80〜100℃で行うことが好ましい。
上記で得られたPVA系樹脂フィルムに対して、更に二軸延伸を施すことにより、本発明で好ましく用いられる二軸延伸PVA系樹脂フィルムとなる。
かかる二軸延伸については、機械の流れ方向(MD方向)の延伸倍率が2.5〜5倍、幅方向(TD方向)の延伸倍率が2〜4.5倍であることが好ましく、特に好ましくはMD方向の延伸倍率が3〜5倍、TD方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍である。該MD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難くかつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎるとフィルムがMD方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、TD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難く、かつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎると工業的にフィルムを製造する際に延伸時の破断が多発する傾向がある。
かかる逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸を行うにあたっては、PVA系樹脂フィルムの含水率を5〜30重量%、特には20〜30重量%に調整しておくことが好ましい。含水率の調整は、乾燥前のPVA系樹脂フィルムを引き続き乾燥する方法、含水率5重量%未満のPVA系樹脂フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施す方法等により行うことができる。かかる含水率が低すぎても、高すぎても延伸工程でMD方向、TD方向の延伸倍率を高めることができない傾向がある。
更に、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましく、特には140〜250℃であることが好ましい。熱固定温度が、融点より80℃以上低い温度の場合は、寸法安定性が悪く収縮率が大きくなる傾向があり、一方、融点より高い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
また、必要に応じて、熱変形性をさらに減少させる目的で、かかる二軸延伸PVA系樹脂フィルムに、水溶液への接触および乾燥の加工を施すことも可能である。水溶液との接触においては、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃の水溶液が用いられ、水溶液との接触時間は、水溶液の温度に応じて適宜選択されるが、工業的には10〜60秒であることが好ましい。
かかる水溶液との接触方法については、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の噴霧、水溶液の塗布、スチーム処理などが挙げられ、これらを併用することもできる。水溶液との接触の後、工業的には、エアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除き、次いでニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。また、乾燥機の種類としては、例えば、金属ロールやセラミックロール等に直接接触して乾燥する方法、あるいは非接触型の乾燥機を用いる方法などが挙げられる。
かかる水溶液との接触と乾燥の後に、得られた二軸延伸PVA系樹脂フィルムを再度巻き取ってロール状とする場合は、フィルムの水分量を通常3重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%にすることが望まれる。かかる水分量が多すぎるとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまう傾向があり、再度加工のための巻き出しを行う際にフィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
かくして二軸延伸PVA系樹脂フィルムが得られる。
次に、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムについて説明する。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系樹脂フィルム(延伸前EVOH系樹脂フィルム)を製膜するわけである。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系樹脂フィルムを製膜する際には、主に溶融成形が用いられる。以下に溶融成形方法について説明する。
かかる溶融成形時の条件としては、特に限定されないが、通常はノンベント、スクリュータイプ押出機を用い、溶融温度190〜250℃で押出製膜される。通常、圧縮比2.0〜4.5のスクリューを用い、Tダイス、または丸ダイスを用いて製膜される。
かくしてEVOH系樹脂フィルムが得られるわけであるが、該フィルムに対しては、更に、二軸延伸、好ましくは逐次二軸延伸を施すことにより、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムとすることができる。
かかる二軸延伸の面積倍率については、好ましくは3倍以上、より好ましくは6倍以上、特に好ましくは9倍以上であることが、ガスバリア性および機械強度の観点から重要である。延伸する方法としては、ダブルバブル法、テンター法、ロール法等の一軸または二軸延伸する方法等公知の延伸方法を採用することができ、二軸延伸の場合は、同時延伸、逐次延伸のいずれの方式も採用出来る。
また、延伸前の原反フィルムに予め含水させておくことで容易な連続延伸が可能となり、延伸前の原反フィルムの水分率としては、2〜30重量%が好ましく、特には5〜30重量%が好ましく、更には10〜30重量%が好ましい。水分率が少なすぎると、延伸斑が残りやすく、また特にテンターで延伸する場合、グリップに近い部分の延伸倍率が高くなるために、グリップ近辺での破れが生じやすくなることがある。一方、水分率が高すぎると、延伸された部分の弾性率が低く、未延伸部分との差が十分でなく、延伸斑が残りやすくなることがある。
かかる延伸温度に関しては、延伸前の原反フィルムの水分率によって多少異なるが、一般に50〜130℃の範囲が適応可能である。特に同時二軸延伸においては、70〜100℃の範囲において、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られやすく、逐次二軸延伸においては、ロールでの長手方向の延伸において70〜100℃、テンターでの幅方向の延伸において80〜120℃の温度範囲で行うことにより、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られやすい。
そして、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムの製造に関するさらに重要な因子としては、延伸後の熱処理と、その熱処理の結果として得られる二軸延伸EVOH系樹脂フィルムの密度および水分率がある。熱処理は、EVOHの融点より5℃〜40℃低い温度で、5〜20秒間行われることが好ましい。熱処理温度が低すぎると、熱処理が不十分なため、蒸着工程に耐えるだけの耐熱性および充分なガスバリア性が得られないことがある。一方、熱処理温度が高すぎると、部分的に延伸効果が低減されることがある。
かくして二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られる。
本発明では、上記で得られる樹脂フィルムを用いて、前記モノマー組成物を充填包装し、フィルム包装体とした後、活性エネルギー線を照射して光重合させる。
充填包装するに際しては、例えば、2枚の上記樹脂フィルムを3方ヒートシールして袋状を作製し、そこに前記モノマー組成物[I]を投入し、充填しながら残り1方をヒートシールすることなどにより行うことができる。
充填包装に際して、モノマー組成物[I]が充填されたフィルム包装体の中は、酸素による光重合阻害が起こらないようにするため酸素(含、空気)をできるだけ含まない環境にするすることが好ましく、かかる対策の1つとして、真空にする方法が挙げられる。真空にする際、その真空度は、800mPa・s以下であることが好ましく、特には700mPa・s以下、更には600mPa・s以下、殊には500mPa・s以下であることが好ましい。真空度が高すぎるとモノマーの仕込み量を少なくする必要があり量産性が低下する傾向がある。なお、モノマー組成物[I]が溢れ出なければ、真空度の下限は制限されないが、通常は一般的に1mPa・sである。
また、酸素(含、空気)を窒素やアルゴン等で置換するなどして、酸素(含、空気)による重合阻害が起きないよう配慮すれば、フィルム包装体中を真空にする必要はない。
活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、重合速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線を用いることが有利である。
紫外線照射により光重合させる際には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることが好ましい。
照射については、照射光量は1〜300J/cm2で行うことが好ましく、特には3〜200J/cm2、更には5〜150J/cm2であることが好ましい。照射光量が多すぎると生産性が低下する傾向があり、少なすぎると重合が不充分となる傾向にある。紫外線の照度は、10〜5000mW/cm2、特には100〜1000mW/cm2であることが好ましい。照度が小さすぎると露光時間が長くなり生産性が低下する傾向があり、逆に、照度が大きすぎると照射時間が短くなり重合度の再現性が低下したり、重合度が小さくなる傾向がある。
また、活性エネルギー線を照射する際には、充填包装されたモノマー組成物[I]をなるべく平面上に平坦に静置させた状態で少なくとも一方の面側、好ましくは上方の面側から照射することが好ましい。
上記モノマー組成物[I]が内包された包装体の厚みとして、平面上に平坦に静置させた状態で30〜3000μmであることが好ましく、特には100〜2000μmであることが好ましい。かかる厚みが厚すぎると内部まで活性エネルギー線照射による光重合が充分に進まない傾向があり、薄すぎると量産性が低下する傾向がある。
かくして活性エネルギー線照射による光重合により(メタ)アクリル系樹脂が得られる。
得られる(メタ)アクリル系樹脂については、使用する(メタ)アクリル系モノマー(A)の種類、連鎖移動剤(B)の種類及び含有量、活性エネルギー線の照射方法などにより、低分子量のものから高分子量のものまで製造することができ、例えば、0.5万〜200万の(メタ)アクリル系樹脂を製造することができる。中でも特に、本発明においては、中程度の分子量、例えば、1万〜50万の(メタ)アクリル系樹脂を効率的に製造するのに有効である。
本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、室温に対しガラス転移温度が高いものは固形物として得られ、室温よりガラス転移温度が低いものは粘稠体(ペースト)状で得られ、各種目的に応じて固形物のまま、あるいは溶解して各種用途に適用される。(メタ)アクリル系樹脂を溶解するに際しては、溶解性を良くするために粉砕機等で粉末状にすることも好ましい。かかる粉末状の粒径としては通常0.1〜10mmである。
本発明の製造方法によれば、これまで溶液重合で製造困難な(メタ)アクリル系樹脂であっても、低分子量のものから高分子量のものまで、とりわけ中程度の分子量のものを効率的に製造することができ、且つ、重合した(メタ)アクリル系樹脂を容易に採取できるものである。
更に、本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル系樹脂は、光硬化性のモノマー及び/またはオリゴマーや光重合開始剤、等と配合して光硬化性樹脂組成物とし、光照射により硬化せしめて、プラスチックシートとすることもでき、その際には、かかる(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、プラスチックシート製造時に造膜性を付与させり、得られるプラスチックシートの耐衝撃性を付与させたりすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
ジシクロペンタニルメタクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部とペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート(淀化学社製)1.0部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして下記の通り製造した二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量4.5万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。
〔二軸延伸PVAフィルム〕
ジャケット温度を60〜150℃に設定した二軸押出機型混練機(スクリューL/D=40)のホッパーからPVA(重合度1700、4重量%水溶液の粘度40mPa・s、ケン化度99.7モル%、酢酸ナトリウム含有量0.3%)と水をPVA/水の重量比40/60にて、定量ポンプにより供給し、混練し、吐出量500kg/hrの条件で吐出した。
この吐出物を直ちに一軸押出機(スクリューL/D=30)に圧送し、温度85〜140℃にて混練した後、Tダイより5℃のキャストロールに押出し、90℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥し、含水率25%のPVAフィルム(厚み150μm)を作製した。引き続き、かかるPVAフィルムをMD方向に3.8倍延伸した後、テンターでTD方向に3.8倍延伸し、次いで180℃で8秒間熱固定し、二軸延伸PVAフィルム(厚み12μm)を得た。なお、得られた二軸延伸PVAフィルムの厚さ20μmでの酸素透過性は0.1cc/m2・day・atm以下であり、また、樹脂フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度は71℃(但し、含水率は1%未満)であった。
実施例2
ジシクロペンタニルアクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部とペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート(淀化学社製)1.0部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして実施例1で用いたものと同様の二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量6万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。
実施例3
ジシクロペンタニルメタクリレートとジシクロペンタニルアクリレートを重量比で1:1になるように配合した混合物100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部とペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート(淀化学社製)1.0部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして実施例1で用いたものと同様の二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量4.7万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。
参考例1
ジシクロペンタニルメタクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして実施例1で用いたものと同様の二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量84万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。反応率は70%であった。なお、反応率は、ガスクロマトグラフィー法の内部標準法にて未反応ジシクロペンタニルメタクリレートを定量することにより求めた。
参考例2
ジシクロペンタニルアクリレート100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして実施例1で用いたものと同様の二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量120万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。反応率は98%であった。なお、反応率は、ガスクロマトグラフィー法の内部標準法にて未反応ジシクロペンタニルアクリレートを定量することにより求めた。
参考例3
ジシクロペンタニルメタクリレートとジシクロペンタニルアクリレートを重量比で1:1になるように配合した混合物100部に、光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.05部を配合したモノマー組成物を、樹脂フィルムとして実施例1で用いたものと同様の二軸延伸PVAフィルムを用いてなる包装袋に、真空度が500mPa・sとなるように充填包装し、得られたフィルム包装体を平面上で静置させた。その際のフィルム包装体の厚みは1000μmであった。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させ、次いで、二軸延伸PVAフィルムの包装袋から取り出し、粉砕機で粉砕加工し、重量平均分子量63万の(メタ)アクリル系樹脂紛体を得た。反応率は93%であった。なお、反応率は、ガスクロマトグラフィー法の内部標準法にて未反応ジシクロペンタニルアクリレートとジシクロペンタニルメタクリレートを定量することにより求めた。
比較例1
厚さ1mmで、125mm角のガラス上に、厚み1000μm、125mm角のシリコンラバーを密着させ、更にそのシリコンラバーの中心から半径50mmの円をシリコンラバーから切り抜くことによりガラス面を露出するように準備した基材に、ジシクロペンタニルメタクリレート100部に光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)1部を配合したモノマー組成物を、該基材の切り抜いた円から溢れ出ないようにガラス面に注ぎ込んだ。
その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、30パス行い、照射光量120J/cm2の紫外線照射を行った。その結果、取り出せるような固形物は得られず、反応率を測定すると10%未満であった。なお、反応率は、ガスクロマトグラフィー法の内部標準法にて未反応ジシクロペンタニルメタクリレートを定量することにより求めた。
比較例2
厚み500μm、幅10mm、長さ125mmのシリコンゴムを、厚み1mmで、125×125mmのソーダライムガラスの全周辺に配置し、ジシクロペンタニルメタクリレート100部に光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)0.1部を配合したモノマー組成物を注入後、同様のガラス板を被せ、その後、高圧水銀ランプ120W、1灯を用いて、18cmの高さから0.6m/minのコンベア速度で、4パス行い、照射光量20J/cm2の紫外線照射を行い、光重合させた。
ポリジシクロペンタニルメタクリレートを得ようとガラス板の剥離を試みるも強固に付着しており、取り出しができなかった。
比較例3
反応器に、メチルメタクリレート100部及び光重合開始剤として1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン(東京化成工業社製)1部を配合した後、窒素置換して密閉した。その後、還流下にて8時間重合反応を行い、ポリメチルメタクリレートを得た。
得られたポリメチルメタクリレートは、重量平均分子量0.3万で、反応率は55%であった。なお、反応率は、ガスクロマトグラフィー法の内部標準法にて未反応メチルメタクリレートを定量することにより求めた。
上記実施例1〜3においては、中程度の分子量の(メタ)アクリル系樹脂を効率的に製造でき、かつ、(メタ)アクリル系樹脂を容易に採取できたものであった。なお、参考例1〜3においては、高分子量の(メタ)アクリル系樹脂を効率的に製造するものであり、得られた(メタ)アクリル系樹脂も容易に採取することができた。
これに対して、比較例1においては反応率が極端に低いものであり、また、比較例2は、高分子量の(メタ)アクリル系樹脂は得られたものの、ガラスからの採取が困難であり実用的ではなかった。更に、比較例3は、通常行われる加熱重合であるが、これではポリメチルメタクリレートは得られたものの、重量平均分子量が0.3万程度のものであり、高分子量化することはできなかった。
従って、比較例の方法よりも実施例の方法のほうが、効率的に高分子量の(メタ)アクリル系樹脂を製造することができるものである。
本発明の製造方法により得られる(メタ)アクリル系樹脂は、塗料や粘着剤、光硬化性樹脂組成物の粘度調整等の用途に有効に用いられる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]を、樹脂フィルムで充填包装した後、活性エネルギー線を照射して光重合させることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  2. 樹脂フィルムの酸素透過性が、厚さ20μmにおいて、20℃、ドライ条件の環境下で、200cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  3. 樹脂フィルムの厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  4. 樹脂フィルムが、ビニルアルコール系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  5. ビニルアルコール系樹脂フィルムが、二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項4記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
  6. (メタ)アクリル系モノマー(A)、連鎖移動剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有するモノマー組成物[I]が内包された包装体の厚みが、平面上に平坦に静置させた状態で30〜3000μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の(メタ)アクリル系樹脂の製造方法。
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