JP2016183283A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体を含有する樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
近年では植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
請求項1に係る発明は、
重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体を含有する樹脂組成物。
前記セルロース誘導体における前記アシル基の置換度が1.8以上2.5以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
前記セルロース誘導体の樹脂組成物全体に占める比率が70質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
射出成形により成形された請求項4に記載の樹脂成形体
本実施形態に係る樹脂組成物は、重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体(以下「特定のセルロース誘導体」とも称す)を含有する。
ここで、セルロース誘導体の成形適性を向上させる手段として、溶融温度を低下させることで熱流動性を高める方法も考えられるが、可塑性が増す分、弾性率が低下しまた耐熱性も低下する。即ち、セルロース誘導体における熱流動性と弾性率とは二律背反の関係にあり、両者の向上を実現することは容易でなかった。
この効果が奏される理由は明確ではないが、以下のように推察される。
なお、熱溶融させた際には前記末端間での水素結合が弱まるため、セルロース誘導体の分子量が前記範囲であることで、粘度は低下して熱流動性があがり、その結果成形適性が向上するものと考えられる。
また本実施形態に係る樹脂成形体は、成形精度つまり成形後の形状が求められる寸法を満たす度合いに優れ、かつ高い弾性率を有し、更に優れた耐熱性も得られる。
・重量平均分子量
本実施形態に用いられる特定のセルロース誘導体は、重量平均分子量が1万以上7.5万未満である。この重量平均分子量は、更に2万以上5万以下が好ましい。
重量平均分子量が7.5万以上だと、水素結合による弾性率上昇の効果が減少し、耐熱性上昇の効果も減少する。また、熱流動性にも劣る。一方、重量平均分子量が1万未満では、分子量が低くなり過ぎ弾性率が低下し、また耐熱性も低下する。
特定のセルロース誘導体として具体的には、例えば、一般式(1)で表されるセルロース誘導体が挙げられる。
nを40以上にすると、樹脂成形体の強度が高まりやすくなる。nを300以下にすると、樹脂成形体の柔軟性の低下が抑制されやすくなる。
本実施形態に用いられる特定のセルロース誘導体は、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されてなる。つまり、前記一般式(1)で表される構造を有するセルロース誘導体の場合、n個のR1、n個のR2、及びn個のR3のうちの少なくとも一部が炭素数1以上6以下のアシル基を表す。
したがって、一般式(1)で表されるセルロース誘導体中にn個あるR1は、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、n個あるR2、及びn個あるR3も、それぞれ、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。そして、これらのうちの少なくとも一部が炭素数1以上6以下のアシル基を表す。
特定のセルロース誘導体に置換するアシル基の炭素数は、更に1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。
RACで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることがより好ましい。
また前記炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
また前記炭化水素基は、炭素及び水素以外の他の原子(例えば酸素、窒素等)を有していてもよいが、炭素及び水素のみからなる炭化水素基であることがより好ましい。
炭素数1以上6以下のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。
これらの中でもアシル基としては、弾性率及び耐熱性の向上の観点、樹脂組成物の成形性の向上の観点から、アセチル基が好ましい。
特定のセルロース誘導体の置換度は、1.8以上2.5以下であることが好ましい。更には2以上2.5以下がより好ましく、2.2以上2.5以下が更に好ましい。
置換度が2.5以下であることにより、置換基同士の相互作用が強くなり過ぎず、分子の運動性の低下が抑制されることから、分子間での水素結合が起こり易くなり、弾性率がより高くなり、また耐熱性もより高くなる。一方、1.8以上であることにより、分子間の相互作用が小さくなり過ぎず、可塑化が抑制され、その結果弾性率がより高くなり、また耐熱性もより高くなる。
なお、置換度とは、セルロース誘導体のアシル化の程度を示す指標である。具体的には、置換度はセルロース誘導体のD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
本実施形態に用いられる特定のセルロース誘導体、つまり重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により合成される。
まず、アシル化前のセルロース、つまり水酸基がアシル基で置換されていないセルロースを準備し、その分子量を調整する。
前記アシル化前のセルロースの市販品としては、例えば、日本製紙社製のKCフロックW50、W100、W200、W300G、W400G、W−100F、W60MG、W−50GK、W−100GK、NDPT、NDPS、LNDP、NSPP−HR等が挙げられる。
攪拌の際の速度や時間等を調整することで、セルロースの分子量を求める値に調整することができる。なお、特に限定されるものではないが、攪拌の際の攪拌速度としては50rpm以上3000rpm以下の範囲が好ましく、100rpm以上1000rpm以下がより好ましい。また、攪拌時間は2時間以上48時間以下の範囲が好ましく、5時間以上24時間以下がより好ましい。
なお、攪拌の際に用いられる液体は、塩酸水溶液、ギ酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、硫酸水溶液などが挙げられる。
上記の方法などによって分子量を調整したセルロースを、公知の方法により炭素数1以上6以下のアシル基でアシル化することで、特定のセルロース誘導体が得られる。
例えば、前記セルロースが有する水酸基の一部をアセチル基で置換する場合であれば、酢酸、無水酢酸及び硫酸の混合物を用いてセルロースをエステル化する方法等が挙げられる。また、プロピオニル基で置換する場合であれば前記混合物の無水酢酸に代えて無水プロピオン酸を用いてエステル化する方法が、ブタノイル基で置換する場合であれば前記混合物の無水酢酸に代えて無水ブチル酸を用いてエステル化する方法が、ヘキサノイル基で置換する場合であれば前記混合物の無水酢酸に代えて無水ヘキシル酸を用いてエステル化する方法が、それぞれ挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物では、特定のセルロース誘導体の全体に占める比率が70質量%以上であることが好ましく、更には80質量%以上がより好ましい。該比率が70質量%以上であることにより、弾性率がより高くなり、また耐熱性もより高くなる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。
なお、可塑剤の含有量は、樹脂組成物全体に占める特定のセルロース誘導体の比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。より具体的には、樹脂組成物全体に占める可塑剤の比率は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。可塑剤の比率が上記範囲であることにより、弾性率がより高くなり、耐熱性もより高くなる。また、可塑剤のブリードも抑制される。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
R6は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(2−1)及び(2−2)中、R4及びR5が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(2)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
R4が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。R4が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR4が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロース誘導体との親和性が高まりやすくなる。このため、R4が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、R4が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH2)6−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R4としてn−ヘキシレン基(−(CH2)6−)を表す化合物であることが好ましい。
R5が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。R5が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はR5が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロース誘導体との親和性が高まりやすくなる。このため、R5が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、R5が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH2)4−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、R5としてn−ブチレン基(−(CH2)4−)を表す化合物であることが好ましい。
A1、及びA2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
A1、及びA2が表すアラルキル基としては、−RA−Phで示される基である。RAは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロース誘導体との親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HPLC1100を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロース誘導体への分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロース誘導体への分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、耐加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミナ、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルフォン樹脂;ポリエーテルスルフォン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、前記特定のセルロース誘導体、又は特定のセルロース誘導体と上記成分との混合物を溶融混練することにより製造される。ほかに、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することにより製造される。溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するセルロース誘導体の溶融温度に応じて決定されればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
具体的には、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば140℃以上240℃以下であり、好ましくは150℃以上220℃以下であり、より好ましくは160℃以上200℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば30℃以上120℃以下であり、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
セルロース(日本製紙社製KCフロックW50)2kgを、0.1M塩酸水溶液20L中に入れ、室温(25℃)で攪拌した。表1に示す攪拌時間で、それぞれの分子量のセルロースを得た。なお、攪拌装置として新東科学社製、製品名:EP−1800を用い、かつ攪拌の際の回転速度は500rpmに設定した。
(アセチル化工程)
表1の化合物1を1kg、氷酢酸500gを散布して前処理活性化した。その後、氷酢酸3.8kg、無水酢酸2.4kg、及び硫酸80gの混合物を添加し、40℃以下の温度で攪拌混合しながら、化合物1のエステル化を行った。繊維片がなくなった時をエステル化終了とした。
これに酢酸2kg、水1kgを加え、室温(25℃)で2時間攪拌した。
更にこの溶液を、20kgの水酸化ナトリウムを40kgの水に溶かした溶液中に攪拌しながらゆっくりと滴下した。得られた白色沈殿を吸引ろ過し、水60kgで洗い、セルロース誘導体(化合物6)を得た。
化合物3を用い、(アセチル化工程)終了後すぐに(精製工程)を実施した以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物11)を得た。
化合物3を用い、(脱アセチル工程)の攪拌時間をそれぞれ、0.5時間、1時間、3時間、5時間、10時間に変えた以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物12)、(化合物13)、(化合物14)、(化合物15)、(化合物16)を得た。
化合物3を用い、(アセチル化工程)の無水酢酸2.4kgをそれぞれ、無水プロピオン酸2kg/無水酢酸0.3kg、無水n−ブチル酸1.8kg/無水酢酸6kg、無水n−ヘキシル酸0.5kgに変えた以外は上記と同様にして、セルロース誘導体(化合物17)、(化合物18)、(化合物19)を得た。
これらの結果を表2にまとめる。
表4及び表5に示す実施例1〜23及び比較例1〜10に示す仕込み組成比、混練温度で、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物ペレットを得た。
・化合物26:ジメチルセルロース(ダイセル社製、L50、重量平均分子量170,000)
・化合物27:アジピン酸エステル混合物(大八化学工業社製、Daifatty101)
得られたペレットについて射出成形機(日精樹脂工業社製、PNX40)を用い、表6及び表7に示すシリンダ温度、金型温度で、ISO多目的ダンベル試験片(試験部長さ100mm、幅10mm、厚み4mm)を作製した。
得られたダンベル試験片について、万能試験装置(島津製作所社製、オートグラフAG−Xplus)を用いてISO−178に準拠する方法で曲げ弾性率を測定した。結果を表6及び表7に示した。
得られたダンベル試験片を用いて、荷重たわみ温度測定装置(東洋精機製作所社製、HDT−3)を用いて、ISO−75に準拠した方法で、1.8MPa荷重条件での荷重たわみ温度を測定した。結果を表6及び表7に示した。
ペレットの熱流動性を、以下の方法により評価した。結果を表6及び表7に示した。
メルトインデックサ(東洋精機製作所社製、MI3)にて、荷重10kg、温度200℃でのメルトボリュームレート(MVR)を測定した。
Claims (5)
- 重量平均分子量が1万以上7万5000未満であり、水酸基の一部が炭素数1以上6以下のアシル基で置換されたセルロース誘導体を含有する樹脂組成物。
- 前記セルロース誘導体における前記アシル基の置換度が1.8以上2.5以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロース誘導体の樹脂組成物全体に占める比率が70質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
- 射出成形により成形された請求項4に記載の樹脂成形体。
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