図1は、通常のねじナットを用いた従来技術によるマイクロ流体弁機構の上面斜視図である。
図2は、図1の従来技術によるマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図3は、特にばね付勢式ロック設計を有する、本発明に従って構成されたクイックリリース/マウント機構を用いたマイクロ流体弁機構の上面斜視図である。
図4は、図3のマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図5は、ばね付勢式ロック設計を延出状態で示す、図3のマイクロ流体弁機構の弁アセンブリの拡大側面図である。
図6は、ばね付勢式ロック設計を後退状態で示す、図5の弁アセンブリの側面図である。
図7は、図3のマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図8は、図3のマイクロ流体弁機構の分解後方斜視図である。
図9は、図3のマイクロ流体弁機構の別の分解上面斜視図である。
図10は、図3の弁機構の側断面図である。
図11は、ばね付勢式ロック設計を延出状態で示す、図10の弁アセンブリの部分拡大側断面図である。
図12は、図11の弁アセンブリのばね付勢式ロック設計の部分拡大側断面図である。
図13は、図11の弁アセンブリのアクチュエータアセンブリのハウジング窓46の上側内縁の面取り角度を示す図である。
図14は、図5の弁アセンブリのポッドハウジングの拡大上面斜視図である。
図15は、図14のポッドハウジングの後方斜視図である。
図16は、図14のポッドハウジングの底面斜視図である。
図17は、代替実施形態のばね付勢式ロック設計を用いた、図3のマイクロ流体弁機構の上面斜視図である。
図18は、図17のマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図19は、代替実施形態のばね付勢式ロック設計を延出状態で示す、図17のマイクロ流体弁機構の弁アセンブリの拡大側断面図である。
図20は、代替実施形態の磁気ロック式クイックリリース/マウント機構を用いた、図3のマイクロ流体弁機構の上面斜視図である。
図21は、図20の代替実施形態のマイクロ流体弁アセンブリの分解上面斜視図である。
図22は、図20の代替実施形態のマイクロ流体弁アセンブリの別の分解上面斜視図である。
図23は、図20のマイクロ流体弁機構の代替実施形態の磁気ロック式リリース/マウント機構の分解上面斜視図である。
図24は、図20のマイクロ流体弁機構のさらに別の代替実施形態の磁気ロック式リリース/マウント機構の分解上面斜視図である。
図25は、代替実施形態のバヨネット式クイックリリース/マウント機構を用いた、図3のマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図26は、図25の代替実施形態のマイクロ流体弁アセンブリの上面斜視図である。
図27は、図25の弁アセンブリの部分側断面図である。
図28は、図25の代替実施形態のマイクロ流体弁アセンブリの別の分解上面斜視図である。
図29は、代替実施形態の傾斜コイルばねロック式クイックリリース/マウント機構を用いた、図3のマイクロ流体弁機構の分解上面斜視図である。
図30は、図29の代替実施形態のマイクロ流体弁アセンブリの別の分解上面斜視図である。
図31は、図28の弁アセンブリの部分側断面図である。
本発明について、いくつかの具体的な実施形態を参照して説明するが、その説明は、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、添付の請求項によって規定される本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態として、本発明に種々の変更を実施することが可能である。なお、本明細書では、より分かりやすくするために、類似の構成要素は、いくつかの図面を通して同様の参照符号で示しているということに留意すべきである。
ここで(本発明の例示的な第1の実施形態を示す)図3〜10を参照すると、全体を30で示して、新規の多位置型マイクロ流体弁機構を提示しており、これは、ねじナットを使用することなく、クイックマウント/リリース機構35によって、迅速にアクチュエータアセンブリ32内に直接取り付けて、これによるクロックを受けることが可能なクイックマウント/リリース式剪断面弁アセンブリ31を備える。従って、より詳細に後述するように、弁アセンブリ31は、工具を使用することなく、単に手で弁アセンブリをアクチュエータアセンブリ内に入れたり出したりするように軸方向に押したり(取り付け)軸方向に引いたり(取り外し)することにより、アクチュエータアセンブリ32への迅速な取り付け/取り外しが容易に可能である。
アクチュエータアセンブリ32は、すべての実施形態で総じて、近位部および遠位部を有するアクチュエータハウジング33を備え、これは、その中を通って延びる貫通室を画成している。ハウジング33の遠位部は、遠位において遠位縁部62で終端している内周壁36を有し、これは、貫通室の遠位部で受容キャビティ43内への開口を画成している。
マイクロ流体弁機構30は、さらに、シャフト回転軸(図10)の周りでの回転用に、貫通室内に回転配置されたアクチュエータシャフト39を備える。アクチュエータシャフト39は、駆動アセンブリに連結するように構成された近位端と、受容キャビティ43内で終端している遠位端と、を有する。
回転弁アセンブリ31は、弁シャフト29を回転可能に支持するポッドハウジング41を有し、弁シャフトは、ポッドハウジングから近位に延びる近位端部を有する。ポッドハウジング41は、近位挿入部42を有し、これは、アクチュエータハウジング33から切り離された非装着状態(図4)と装着状態(図3および10)との間で軸方向にスライドして、アクチュエータアセンブリの受容キャビティ43内に受容されるように形状設定および寸法設定されている。装着状態では、挿入部42は、アクチュエータハウジング32の内周壁36に密接係合しており、さらに、弁シャフト29の近位端部は、アクチュエータシャフト39の遠位端によるクロックを受けるとともに、それに作動的に係合している。
本発明によれば、回転弁アセンブリをアクチュエータアセンブリに対して取り外し可能に、迅速に、装着状態で(図3および10)作動的に取付係合させることを、ねじ式取付構造を用いることなく可能とするように、回転弁アセンブリ31の近位挿入部42とアクチュエータハウジング33の遠位部との間で協働するクイックマウント/リリース機構35が設けられる。
よって、ねじナットを使用することなく、手によるアクチュエータアセンブリ32への弁アセンブリ31の安定した取り付けを容易に可能としつつ、同時に、そこからの工具なしでの取り外しを高信頼性で可能とするクイックマウント/リリース機構35を備えて、マイクロ流体弁アセンブリ31が提供される。
簡単に言えば、クイックマウント/リリース機構35のための4つの基本的な実施形態があり、それらは、ばね付勢式ロック設計(図3〜19)、磁気ロック設計(図20〜24)、バヨネット式ロック設計(図25〜28)、傾斜コイルばね式ロック設計(図29〜31)からなる。それぞれの実施形態では、弁シャフト29(すべての実施形態では図示していない)をアクチュエータシャフト39(すべての実施形態では図示していない)と位置合わせすることを可能にするとともに、弁アセンブリ31をアクチュエータハウジング33内に圧力嵌めすることを可能とし、この場合、それは、弁シャフト29の下側クロックピン34と、ばね付勢式ロック設計(図3〜19)、磁気ロック設計(図20〜24)、バヨネット式ロック設計(図25〜28)、傾斜コイルばね式ロック設計(図29〜31)などのクイックマウント/リリース機構35の設計のうちの1つによって、最終的に(装着状態で)アクチュエータアセンブリ32内に位置決めされる。これらの実施形態のいずれにおいても、後述するように、弁アクチュエータ内への誤った装着(すなわち、位置合わせが180°ずれた装着)を防ぐために、いくつかのクイックマウント/リリース機構35は、サイズおよび/または寸法が異なるものとすることができ、さらには異なる軸方向位置で異なる方位とされる。
これらの弁アセンブリ31がアクチュエータアセンブリ32に作動的に取り付けられた場合の通常動作では、アクチュエータハウジング内で弁ポッドが浮き上がったり動いたりすることを防ぐためには約5lbsの力が必要であることが観測されている。従って、〜10lbsの力範囲が、偏心力に耐えるのに十分である一方で、最小労力で弁ポッドを手で取り外し可能とするのに十分な小ささである。なお、これらの数値は、適用選択部品に応じて異なり得ることは、理解されるであろう。
クイックマウント/リリースのすべての実施形態で広く使用される弁アセンブリ31を参照すると、ステータ装置40とロータ装置44を備えて、これらは、弁ポッドハウジング41(図10および14)に取り付けられている。ステータ装置40は、ロータ装置44のロータ面(図示せず)に対して押し当てられるステータ面(図示せず)を提供し、ロータ装置は、弁シャフト29に回転可能に取り付けられて、そこから、そのクロックピン34が遠位に延出している。弁ポッドハウジング41は、好ましくは、ダイキャストまたは機械加工によるものであって、外面円筒状の挿入部42を有し、これは、軸方向にスライドして、アクチュエータアセンブリ32のアクチュエータハウジング33の円筒状受容キャビティ43内に密接受容されるようにサイズ設定および寸法設定されている。
次に図3〜19のばね付勢式ロック設計を参照すると、本発明によれば、クイックマウント/リリース機構35は、一対の反対側の可動「クリップ」部材45、45’を含み、これらは、延出状態(図5、11、12)に向けて外向きに付勢されている。簡単に言えば、弁アセンブリ31を受容キャビティ43内に位置合わせしてスライドさせると、これらのクリップ部材45、45’は、戦略的に配置された一対のアクチュエータハウジング窓46、46’に係合し、これらのハウジング窓は、その中にクリップ部材45、45’を貫通させて受容するように形状設定および寸法設定されている。付勢されたクリップ部材45、45’が延出状態に向けて十分に動くと、クロックピン34がアクチュエータアセンブリ32の駆動機構およびエンコーダ部品に位置合わせおよび係合されつつ、弁アセンブリ31は、工具またはねじナットを使用することなく、その動作のために十分にアクチュエータアセンブリに固定される。
図12および14〜16に最も良く示されているように、弁ポッドハウジング41は、一対の反対側の外向きソケット47、47’を画成しており、これらは、その中に対応するクリップリテーナ48、48’を軸方向の圧力嵌めにより受容するように形状設定および寸法設定されている。これらのクリップリテーナは、リテーナ窓50、50’を画成しており、その中に対応するクリップ部材を貫通させて径方向往復動を可能とする。
各クリップ部材45、45’は、好ましくは、射出成形またはダイキャストによるものであって、それぞれのボタン部51、51’と、ボタン部の少なくとも2つの対向する側から外向き側方に広がる対応する翼状部52、52’と、を有する(図7〜9)。ボタン部51、51’は、対応するリテーナ窓50、50’に貫通して径方向往復動を可能とするようにサイズ設定されており、翼状部52、52’は、対応するリテーナ窓50、50’を越えて側方に広がって、延出状態でのクリップ部材45、45’の径方向移動を制限している。
ポッドハウジング41の各ソケット47、47’は、さらに、対応するウェル55、55’を画成しており、これらは、それぞれ対応するクリップ部材45、45’が、その長手軸に対して後退状態(図6)と延出状態(例えば、図3〜5)との間で径方向に往復動することを可能とするのに十分な径方向深さである。各ウェル55、55’は、背壁と各クリップ部材45、45’との間に配置された対応する圧縮ばね57、57’の背面サポート用に形成された背壁56、56’によって部分的に画成されている。
また、各クリップ部材45、45’は、基本的に中空であって、その中にそれぞれの圧縮ばね57、57’の一端を着座させて、そのクリップ部材45、45’を径方向外向きに付勢するように押し出すことが可能である。
本発明によれば、図4および19に最も良く示されているように、弁アセンブリ31をアクチュエータアセンブリ32内に挿入するための準備として、より詳細に後述するように、弁ポッドハウジングをそれに概ね位置合わせする。外面円筒状の挿入部42を、アクチュエータハウジング33の円筒状受容キャビティ43内に軸方向に(手で)挿入すると、クリップボタン部51、51’の曲面状の底壁60、60’(図5および11)(または図17〜19の実施形態の傾斜部73、73’)が、アクチュエータハウジング33の遠位縁部62に接触することで、クリップボタン部は、後退状態(図6)に向けて径方向内向きに押し込まれる。
ボタン部51、51’の頂部が十分に後退させられる(すなわち、外面円筒状の挿入部42と略同一平面状になるように基本的に径方向内向きに押し込まれる)と、弁アセンブリ31の外面円筒状の挿入部を、受容キャビティ43内にさらに挿入することができる。弁アセンブリ31をアクチュエータアセンブリ32内に完全に押し込むと、クリップ部材45、45’は、弁ハウジング内にダイキャスト形成または機械加工されたウェル55、55’の窪みに入る。ポッドハウジングの環状カラー63が、アクチュエータハウジングの遠位縁部62に当接して、アクチュエータ受容キャビティ内への弁アセンブリの過挿入を防ぐ。リテーナ窓50、50’が、対応するアクチュエータハウジング窓46、46’と径方向および軸方向に位置合わせされると、ボタン部51、51’は、そこに貫通して延出状態に飛び出ることが許されて、弁アセンブリ31はアクチュエータアセンブリ32に作動的に保持されるとともに、それに対して保持される(図3および5)。
本発明によれば、弁アセンブリ31が適切に位置合わせされるとともに、アクチュエータアセンブリ32内に正しく装着されることを確実とするために、いくつかのアライメント構造が設けられる。また、これらのアライメント構造のうちの1つ以上は、さらに、アクチュエータハウジング33の受容キャビティ43内で弁アセンブリ全体が誤って回転することを防ぐように機能する。
一例では、図4〜9に最も良く示されているように、少なくとも1つのキー装置65が、カラー63から近位または下方に突出している。好ましくは、2つの反対側のキー装置65、66が設けられて、それぞれは、互いに形状が異なるとともに、サイズが異なる。本実施形態では、例として、一方のキー装置66は矩形であり、反対側のキー装置65は、半円状であるとともに、より大きい。
これらのキー装置65、66を受けるために、アクチュエータハウジング33の遠位縁部62は、戦略的に位置決めおよび位置合わせされたキーレセプタクル67、68を画成しており、これらは、その中に対応するキー装置を軸方向に受け入れるように形状設定および寸法設定されている。これらのキー装置65、66は、弁アセンブリ31とアクチュエータアセンブリとの相対回転を防ぐように機能するが、これらのキーの主要機能は、両側のリテーナ窓50、50’を対応するアクチュエータハウジング窓46、46’に位置合わせすることである。従って、ポッドハウジングのキー装置によって、ポッドハウジングがアクチュエータハウジング内に正しく装着されることが保証される。
あるいは、2つのキー装置65、66および位置合わせされた対応するキーレセプタクル67、68は、正確に180°では離間しないように、径方向にわずかにオフセットさせることができる。このような径方向のオフセットによって、弁アセンブリ31とアクチュエータアセンブリ32との間の、ただ一つの相対位置合わせおよび相対方位が、さらに確実となる。
同様にして、弁アセンブリ31とアクチュエータアセンブリ32との位置合わせ嵌合を確保するために(図9、11、12)、クリップ部材45、45’および対応するリテーナ窓50、50’およびアクチュエータハウジング窓46、46’を、異なるサイズとすること、径方向にオフセットさせること、および長手方向または軸方向にオフセットさせること、が可能である。例として、ボタン部51およびそれに対応するリテーナ窓50およびアクチュエータハウジング窓46を、ボタン部51’およびそれに対応する窓50’、46’よりも大きくすることで、ただ一通りのみの位置合わせ受容を許可する。別の例として、より大きいクリップ部材45および対応するリテーナ窓50およびアクチュエータハウジング窓46を、より小さいクリップ部材45’および対応するリテーナ窓50’およびアクチュエータハウジング窓46’に対して相対的に、弁アセンブリ31およびアクチュエータアセンブリ32の長手軸および/または回転軸に沿って、軸方向に変化させる(例えば、0.05”オフセットさせる)。より大きいクリップ部材45および対応するリテーナ窓50およびアクチュエータハウジング窓46を、より小さいクリップ部材45’よりも、近位またはアクチュエータアセンブリに軸方向でより近くに配置することにより、この軸方向のオフセットによって、いかなる場合であっても小さいほうのクリップ部材が誤って大きいほうのアクチュエータハウジング窓46に差し込まれないことが保証される。
弁アセンブリ31をアクチュエータアセンブリ32から取り外すために、一実施形態では、工具装置(図示せず)を適用することができ、これにより、圧縮ばね57、57’を押圧するようにボタン部51、51’を押下することが容易となり、同時にユーザは弁アセンブリをアクチュエータハウジングの受容キャビティから簡単に引き抜くことが可能となる。別の具体的な実施形態では、工具不要の組み立てだけではなく、工具不要の分解も提供することが望ましい。すなわち、弁アセンブリを、アクチュエータアセンブリから離間する軸方向に手で引っ張ることによる、アクチュエータアセンブリ32からの弁アセンブリ31の取り外しが可能とされる。
いくつかの因子が作用し合うことによって、それぞれのリテーナ窓およびアクチュエータ窓内でのクリップ部材45、45’の保持力が決まり、主な因子は、それらの個々のクリップ部材45、45’に径方向外向きに作用するばね力に関するものである。アクチュエータアセンブリ32に作動的に取り付けられた弁アセンブリ31を保持するための所望の保持力に応じて、圧縮ばね57、57’のばね定数を選択することができる。その他の因子として、ボタン部51、51’の上壁70、70’の形状および勾配、ならびに対応するハウジング窓46、46’のそれぞれの上側内縁71、71’(基本的に面取り部)の勾配およびテーパ勾配、が含まれる。これは、それぞれの内縁71、71’のテーパ状によって、ユーザは、工具を使用することなく、またはボタン/クリップを最初に手で内向きに押し込むことなく、弁を「引き抜く」ことが可能になるという点で効果的である(図11および12)。
例えば、弁アセンブリ31に付与される力は、略軸方向であって、それぞれの圧縮ばね57、57’の圧縮方向に略垂直であるため、ボタン部51、51’の上壁70、70’およびアクチュエータハウジング46,46’の上側内縁71、71’がより水平であるほど、そのような圧縮を促すためには、より大きな力が必要となる。従って、クリップ部材45、45’の径方向内向きの動きを開始させるためには、それらの面のうちの少なくとも1つは、少なくとも若干テーパ状である必要がある。
好ましい一実施形態では、約5lbs/in〜約20lbs/inの、より好ましくは約10lbs/in〜約15lbs/inのばね定数の圧縮ばねを使用して、ボタン部51、51’の上壁70、70’のテーパ勾配を約75度〜約90度の範囲内とし、一方、ハウジング窓46、46’の上側内縁(または内側面取り部)71、71’のテーパ勾配を約35度〜約55度の範囲内とする(例えば、図13)。
別の具体的な実施形態では、図17〜19の実施形態に示すように、ボタン部51、51’の形状が変更されており、略水平な上壁72、72と、対応する上壁と交差する急峻な外向きテーパ状の底壁73、73’と、を有する。従って、この構成では、弁アセンブリ31がアクチュエータハウジング33の受容キャビティ43内に挿入されるときに、ボタン部51、51’の押下が大きく支援される。
挿入時には、急峻なテーパ状の底壁73、73’が、アクチュエータハウジング33の遠位縁部62に接触して、スライド可能に、クリップ部材45、45’を径方向内向きに押しやる。一方、比較的水平な上壁72、72’は、アクチュエータハウジング窓の上縁71、71と接触することによって、基本的に押下を阻止し、このため、弁アセンブリ31を取り外すには押圧工具が必要となる。
本発明の別の態様では、図20〜25を以下参照して、クイックマウント/リリース機構35は、磁気ロック設計の形式のものであり、これは、同じく弁アセンブリ31とアクチュエータアセンブリ32との工具なしでの組み立ておよび分解を可能とする。従って、この磁気ロック設計では、ばね付勢式ロックの実施形態で提供されるのと同じ工具不要の組み立てというメリットが得られる。
具体的な一実施形態では、弁アセンブリ31のポッドハウジング41は、図20〜22に最も良く示されているように、リング磁石81を有し、これは、弁ポッドハウジング41と協働することで、先の実施形態のものと類似した環状カラー部82を形成している。このリング磁石81は、ポッドハウジング41の外面円筒状の挿入部42の環状ショルダ部83の上に着座するようにサイズ設定および寸法設定されている。このリング磁石81は、好ましくは、(図22に示すように)ポッドハウジング41に圧力嵌めされるか、またはダイキャスト形成されるか、いずれかであるが、他の一般的な締結手段も適用される。
本実施形態では、アクチュエータアセンブリ側において、磁気ロック式クイックマウント/リリース機構35は、アクチュエータハウジングに取り付け可能な鉄製環状スリーブインサート85を含み、これにより、リング磁石81への磁気的接続を提供する。スリーブインサート85は、好ましくは鉄系材料で構成されており、これは、当然のことながら、リング磁石に磁気的に反応する。このスリーブインサート85は、同様に、アクチュエータハウジング33にダイキャスト形成することができ、またはアクチュエータアセンブリ32のアクチュエータハウジングの円筒状受容キャビティ43内に軸方向にスライドして密接受容されるようにサイズ設定および寸法設定される。
図21および22に最も良く示されているように、スリーブインサート85は、近位インサートリング部86および遠位シートリング部87を有する。シートリング部87がアクチュエータハウジング33の遠位縁部62の上に固定および支持されるようにして、インサートリング部86は、円筒状受容キャビティ43内に受容されるように形状設定および寸法設定されている。
このインサートスリーブの円筒状内壁88は、ポッドハウジング41の挿入部42をスライドして受容するように形状設定および寸法設定されている。従って、図21および22を参照して、リング磁石81の環状カラー部82がスリーブインサート85の遠位環状縁90に磁気的に当接して着座するまで、ポッドハウジング挿入部を、スリーブインサート85内にスライドして挿入して、弁アセンブリ31をその動作のためにアクチュエータアセンブリ32に磁気連結させる。
選択されるリング磁石81の強度によって、手で取り外すことが余りにも困難であるほど強くはないものの、弁アセンブリを作動的に保持するのに十分な磁界とすることができる。好ましい形態では、操作上の有用性を確保するために、約5lbsの力〜約15lbsの力の範囲内の磁力を発生するリング磁石が選択される。
先の実施形態と同様に、適切な位置合わせを確保するために、半円状のキー装置91のような少なくとも1つのキー装置が、ポッドハウジング41の外面円筒状の挿入部42の環状ショルダ部83から下方に突出している。このキー装置91は、位置合わせされたキーレセプタクル92内に軸方向に受け入れられるように戦略的に位置決めおよび形状設定されており、ポッドハウジングがアクチュエータハウジングと適切に位置合わせされることを保証している。
別の磁気ロックのコンセプトでは、図23の実施形態に以下注目して、鉄製バンド93または同様のものが、受容キャビティ43の内壁36に取り付けられる。本実施形態では、図20〜22の実施形態では必要なスリーブインサート85の使用が不要となる。
次に図24を参照すると、別の代替実施形態の磁気ロック式クイックマウント/リリース機構35を示しており、この場合、弁アセンブリの挿入部42上の、図3〜19の実施形態のばね付勢式クリップ部材が配置されていた場所の弁インサート95に磁石が配置されており、そして対応するアクチュエータハウジング33の窓は、鉄系材料で構成されたアクチュエータインサート96で置き換えられている。弁アセンブリ31は、ばね付勢式の設計と同様の方法で装着することができるが、本コンセプトでは、アクチュエータから弁を取り外すために特殊な工具を必要としない。選択される磁石の強度によって、手で取り外すことが余りにも困難であるほど強くはないものの、弁アセンブリを作動的に保持するのに十分な磁界とすることができる。
この磁気インサートのコンセプトは、アクチュエータアセンブリ32内に弁アセンブリ31を磁気的に保持するために電磁石を用いることにより、さらに発展させることができる。一構成では、電磁石は、図24におけるアクチュエータインサート96の位置など、通電が得られるアクチュエータハウジング33内に配置される。弁アセンブリの電源がオンにされると、電磁石は通電されることになり、動作中の弁アセンブリを取り外すことは非常に難しくなる。弁アセンブリの電源がオフされると、電磁石は、低磁界〜無磁界を発生させることになり、弁アセンブリを取り外してメンテナンスが可能である。これは、弁の中にRFIDを使用することによって、または弁の存在を感知するホール効果センサによって、自動的にトリガすることが可能である。
本発明のさらに別の態様では、図25〜28に最も良く示されているように、バヨネット式ロック装置によるクイックマウント/リリース機構35を提供する。本実施形態では、この機構は、弁アセンブリ31の挿入部42から径方向外向きに突出する一対の反対側の位置決めピン部材100、101を含む。これら反対側の位置決めピン部材100、101は、弁ハウジングの挿入部に圧力嵌めされるか、または挿入部上に取り付けられている。それらは、対応するJ字形スロット102、103内に横方向に受容されるように構成されており、それらのスロットは、最初にアクチュエータハウジング33の遠位縁部62から長手方向下方に延びている。それぞれのスロット102、103は、アクチュエータハウジング33の遠位部の外壁に貫通して受容キャビティ43内へと及んでいる。各J字形スロット102、103は、対応するエンドナブ部105、106を有し、これは、弁アセンブリを保持および位置決めするために弁アセンブリがアクチュエータアセンブリに対して時計回りに回転させられると、それぞれの位置決めピン100、101をその中に保持するようにサイズ設定および寸法設定されている。
それぞれのピン100、101の長手方向の長さ(すなわち、弁アセンブリの回転軸に対する径方向の長さ)は、アクチュエータハウジング33の壁厚を通り抜けるのに十分な長さでなければならない。弁をアクチュエータハウジング内で正しく位置決めできる(180度ずれた位置で装着できない)ように、2つの位置決めピン100、101は、好ましくは直径が異なる。同様に、アクチュエータハウジング33内の対応するJ字形スロット102、103は、同じく正しいサイズの位置決めピンを受け入れおよび受容するために、サイズが異なる。
他のコンセプトと同様に、装着状態では、弁シャフト29の下側クロックピン34は、バヨネット式位置決めピン100、101が対応するナブ部105、106内に完全に差し込まれる前に、アクチュエータシャフト/エンコーダスプール69に係合する。この2段階の係合によって、アクチュエータ内にポッドを装着する前に弁ポッドシャフトとエンコーダシャフトを位置合わせすることなく、弁ポッドを、所定位置に誘導することが可能となる。これは、弁アセンブリ31を無作為にアクチュエータアセンブリ32内に装着することができるので、エンドユーザにとって好都合である。
この設計が適切に機能するためには、弁アセンブリ31を、バヨネットキー溝内で所定位置にロックしなければならない。弁は、その係合の最後にキー溝内に押し込まれ、そしてアクチュエータシャフト/エンコーダスプール内に配置された弾性装置または「ばね」装置99による抵抗を受ける。この弾性装置または「ばね」装置は、弁アセンブリ31を、アクチュエータアセンブリ32から離間する軸方向に付勢する。従って、この「ばね」装置に弁シャフト29の下側クロックピン34が接触したら、操作者は、位置決めピン100、101を下向きにさらに押し込んで、アクチュエータハウジングの対応するバヨネットキー溝またはJ字形スロット102、103と係合させるために、そのばね力に打ち勝たなければならない。ピンが対応するスロット内で底に達すると、弁アセンブリ31を時計回りに「回転」させることができ、これにより、ピンを「ロック」位置に動かして、弁アセンブリを装着状態とする。
弾性材またはばねによって得られるばね力で、弁アセンブリをアクチュエータアセンブリから離間する軸方向に押圧または付勢し、そして最終位置に「ポップイン」させる。これによって、それぞれの位置決めピン100、101は、対応するJ字形スロット102、103のナブ部105、106内に位置決めされて、その中に保持される。弁を所定位置に「ロック」するために必要な力は、約8〜10lbsである。図示の実施形態では、この力範囲は、弁シャフトとエンコーダスプール/アクチュエータシャフトとの間で観測されているミスアライメントおよび「心ずれ」状態に起因する偏心力に耐えるために必要とされる。アクチュエータハウジング内で弁ポッドが浮き上がったり動いたりすることを防ぐためには5lbsの力が必要であることが観測されている。8〜10lbsの力範囲は、偏心力に耐えるのに十分である一方で、最小労力で弁ポッドを手で取り外し可能とするのに十分な小ささである。
次に図29〜31を参照すると、BAL SEAL(登録商標)社によるBAL SPRING(登録商標)のような、ラッチ、ロック、保持用途向けの傾斜コイルばね式のロック設計による、クイックマウント/リリース機構35の最後の実施形態を提示している。この傾斜コイルばね式ロック設計では、弁アセンブリ31の挿入部42の周りに径方向に延びる環状溝111内に、円形傾斜コイルばね110を配置する。傾斜コイルばね110の直径に対して相対的な環状溝111の深さは、環状の傾斜コイルばね110の内側部分が環状溝内に受容される一方で、その外側部分は弁ポッドハウジング41の挿入部42の円筒状外壁を越えて、そこから径方向外向きに延出するようになっている。
これらの傾斜コイルばね式ロック設計によれば、傾斜コイルばね110を押圧して、さらに環状溝111内に押し込むことで、挿入部42の円筒状外壁と同一平面状にすることができる。これによって、弁アセンブリ31を、アクチュエータアセンブリ32に対して、非装着状態(図29および30)から装着状態(図31)に、作動的に取り付けることが可能となる。先に解説したキーおよびアライメント機構を採用して、弁ポッドハウジング41を、アクチュエータハウジング33に位置合わせすることができ、弁シャフト29は、アクチュエータシャフト39によるクロックを受けるとともに、それと作動的に係合することができる。
装着状態における弁アセンブリ31の、アクチュエータアセンブリ32への保持を助けるために、この傾斜コイルばね式ロック設計のクイックマウント/リリース機構35では、アクチュエータハウジング33の内壁36に環状チャネル112を有する。このチャネルは、弁アセンブリの挿入部42の環状溝111と環状チャネル112が同時に傾斜コイルばねを受容するために協働するように、サイズ設定および寸法設定されるとともに、内壁に沿って戦略的に軸方向に位置決めされている。すなわち、装着状態では、傾斜コイルばね110の内側部分が弁の環状溝111内に受容される一方、同時にばね110の外側部分はアクチュエータハウジングの環状チャネル112内に受容されて、弁アセンブリはアクチュエータアセンブリに保持される。
アクチュエータの環状チャネル112と傾斜コイルばね110との間の相互作用によって、ポッドハウジング41は、アクチュエータハウジング33内に保持される。(装着状態における)全体的な環状溝111/環状チャネル112の設計および傾斜コイルばね110の設計によって、設計者は、弁ポッドを取り付けおよび取り外しするのに必要な力に基づいて、嵌合具合をカスタマイズ可能とすることができる。他の設計と同様に、弁シャフトとアクチュエータシャフトとのミスアライメントに起因してアクチュエータ内で弁ポッドを動かす偏心力を考慮して、8〜10lbsの取り外し力が規定される。この設計によれば、取り付け力は、取り外し力と異なるようにすることができ、取り付けを容易とするために、より小さいことが好ましい。
また、本発明は、ねじ不要のアクチュエータアセンブリへの弁の接続を提供するために、いずれかの産業で使用される、あらゆる取り外し可能な回転剪断弁に適用することができる。それには、剪断弁が使用される、あらゆる応用(例えば、AI、IVDなど)が含まれる。本発明は、さらに、IDEX Health&Science社によって提供されているもののような、あらゆるHPLC/IVD機器プラットフォーム/設計に適用することができる。
上記のクイックマウント/リリース機構35はいずれも、弁ポッド側またはアクチュエータハウジング側のどちらに配置することもできる。磁気設計に関しては、アクチュエータアセンブリに弁アセンブリを取り付けるために、同様に電磁石を適用することもできる。そのような電磁石は、弁の電源がオンにされると、通電を受けることができ、このため、動作中は弁を取り外すことができないが、電源がオフにされると簡単に取り外すことができる。
また、本発明について、それを実施するための好ましい形態およびその変形例に関して説明したが、添付の請求項の範囲内で、これらに対して他の多くの変更を実施できることは、当業者であれば理解できるであろう。よって、本発明の範囲は、上記の説明によって決して限定されるものではなく、添付の請求項を参照することによって完全に決まるものである。