JP2016176098A - めっき付きパワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、金属板(I)の主面の少なくとも片面に、絶縁層を介して別の金属板(II)が配置された板状金属に、めっき液と逆極性の電流を流し、金属板(II)に部分的に無電解めっきを施すことが記載されている。
また、特許文献2には、絶縁層を挟む第1、第2アルミニウム電極層のうち、第1アルミニウム電極板にのみ部分的にめっきを行うために、第2アルミニウム電極層に亜鉛析出防止用の電位を印加した状態でジンケート処理を行うことにより、第1アルミニウム電極層のみに亜鉛置換膜を形成することが記載されており、その後に無電解めっき処理を施すことによって、第1アルミニウム電極層のみに無電解ニッケル被膜を形成することとしている。
そのため、回路層とは反対側の金属層にアルミニウム層及び銅層の積層体が用いられていると、その金属層を冷却器に接合するためにめっきを付けたくない場合でも、その金属層の表面にもめっきが形成されてしまう。
また、積層体に電位を印加する方法は、定電流、定電圧のどちらでも構わないが、定電圧で行うことが好ましい。定電流で行う場合は、電流密度を一定にするために、積層体のサイズごとにその表面積を考慮して行う必要があり、作業が煩雑となるからである。
図2は、本発明の第1実施形態の製造方法により製造されるめっき付きパワーモジュール用基板を示しており、このめっき付きパワーモジュール用基板1は、セラミックス基板2の一方の面に銅回路層を備える回路層3が接合され、他方の面に複数のアルミニウム金属層及び銅金属層の積層体4が接合されており、回路層3の表面に無電解ニッケルめっき被膜5が形成されている。
回路層3のアルミニウム接合層11及び積層体4の第1アルミニウム金属層15は、純度99.00質量%以上の純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成され、例えば0.1mm〜5mmの厚みとされ、通常はセラミックス基板11より小さい矩形状に形成される。これらアルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15は、セラミックス基板2に、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等の合金のろう材により、ろう付け接合される。
また、これらアルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15は、それぞれプレス加工により所望の外形に打ち抜いたものをセラミックス基板2に接合するか、あるいは平板状のものをセラミックス基板2に接合した後に、エッチング加工により所望の外形に形成するか、いずれかの方法を採用することができる。
さらに、銅金属層16に接合される第2アルミニウム金属層17は、ヒートシンクとして機能するもので、A3003等のアルミニウム合金により形成される。この第2アルミニウム金属層17と銅金属層16とは固相拡散接合により接合される。
なお、この第2アルミニウム金属層17の形状は特に限定されるものではなく、平板状や、平板の表面にフィンが形成されたもの等の適宜の形状のものが含まれ、その平板部分の厚みは例えば0.4mm〜6mmとされる。
(パワーモジュール用基板形成工程)
まず、セラミックス基板2の各面にろう材を介してアルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15となるアルミニウム板を積層し、これらの積層構造体を積層方向に加圧した状態で加熱し、ろう材を溶融させることによってアルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15となるアルミニウム板をそれぞれセラミックス基板2にろう付け接合し、アルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15を形成する。具体的には、ろう材としてAl−7%Siろう材を用い、真空雰囲気中で610℃以上650℃以下のろう付け温度で1分〜60分加熱することにより、セラミックス基板2にアルミニウム接合層11及び第1アルミニウム金属層15となるアルミニウム板をろう付け接合する。
次に、めっき処理工程の前に、回路層3の銅回路層12とニッケルめっきとの密着性を確保するため、回路層3にソフトエッチング処理を行い、回路層3の表面の酸化膜を除去する。具体的には、過硫酸塩水溶液(例えば、過硫酸ナトリウムの5wt%〜30wt%水溶液等)、過酸化水素水と硫酸(例えば、過酸化水素濃度:5wt%、硫酸:10wt%)などからなるエッチング液に30秒から2分浸漬させることにより、ソフトエッチング処理を行う。
そして、図1に示すように、ソフトエッチング処理後の接合体Sを、NiPめっき液M中に浸漬することによって回路層3に無電解ニッケルめっき被膜5を形成する。このめっき処理は、NiPめっき液M中でアルミニウム接合層11と銅回路層12との間で局部電池が形成され、アルミニウム接合層11が溶出し、これにより放出された電子が銅回路層12に移動することで銅回路層12上にもニッケルが析出する。このニッケルを触媒としてめっき反応を進行させることにより、銅回路層12上に無電解ニッケルめっき被膜5が形成されるものである。この際、回路層3とは反対側の積層体4もアルミニウムと銅との積層構造とされていることより、その状態でめっき処理すると、回路層3と同様にめっき反応が生じる。
なお、積層体4に電位を印加する方法は、定電流、定電圧のどちらでも構わないが、定電圧で行うことが好ましい。定電流で行う場合は、電流密度を一定にするために、積層体4のサイズごとにその表面積を考慮して行う必要があり、作業が煩雑となるからである。
そして、第1実施形態と同様に、銅回路層12に対するソフトエッチング処理を経た後、めっき処理工程を実施する。
このめっき付きパワーモジュール用基板35を製造する場合は、セラミックス基板2の一方の面に銅回路層12となる銅板をまず活性金属ろう材を用いてろう付け接合した後、セラミックス基板2の他方の面に第1アルミニウム金属層15となるアルミニウム板をAl−7%Si等のろう材を用いてろう付け接合する
そして、銅回路層12に対するソフトエッチング処理を行った後、めっき処理工程を実施する。
このめっき処理工程においても、積層体4を陽極として、0.1V以上6V以下の正電位を印加した状態でめっき液中に浸漬させ、銅回路層12に対して、既にめっき液中でめっき反応が起きている陰極又は鉄や銅などめっきが可能な金属に予めめっきを析出させたダミー陰極を接触することにより、あるいは別途用意した乾電池などの微小電源から微電流を流すことにより、銅回路層12にめっき反応を開始させる。
例えば、上記実施形態ではNiPめっき液を用いたが、これに限らず、NiBめっき液や、他の無電解ニッケルめっき液を用いることが可能である。
また、ソフトエッチング処理工程後に硫酸などによる酸洗浄を行ってもよい。酸洗浄は、例えば100g/L硫酸に、室温で30秒から1分程度浸漬することで行うことができる。
まず、AlNからなるセラミックス基板(60mm×60mm×0.635mmt)の両面に純度99.99質量%以上のアルミニウム(4N‐Al)からなるアルミニウム接合層及び第1アルミニウム金属層(いずれも58mm×58mm×0.4mmt)をAl‐Si系ろう材によりろう付け接合することにより形成した。また、アルミニウム金属層及び第1アルミニウム金属層に、それぞれ無酸素銅からなる銅回路層及び銅金属層(いずれも58mm×58mm×0.4mmt)を重ね、銅金属層にJIS3003アルミニウム合金からなる第2アルミニウム金属層(120mm×80mm×3mmt)を重ねて、これらを固相拡散接合によって接合し、各試料の接合体を作製した。
まず、銅回路層の表面に付着している油分を除去するため、銅洗浄剤ACL−007(上村工業製)を用い、50℃で5分浸漬させることにより脱脂を行った。
次に、脱脂処理後の接合体について、ソフトエッチング処理を行った。ソフトエッチング処理は、接合体を過硫酸ナトリウム100g/Lの溶液に室温で2分浸漬させることにより行った。
そして、ソフトエッチング処理を終えた接合体に、めっき被膜と回路層との密着性を確保するため、硫酸100g/Lの溶液を用い、室温にて1分浸漬して酸洗浄を行った。
めっき液は、低リンタイプ(メルテックス製エンプレート:NI‐246、Ni5.7g/L、pH6.7、80℃)、中リンタイプ(上村工業製ニムデン:NPR‐4、Ni5.0g/L、pH4.6、80℃)、NiBタイプ(上村工業製ベルニッケル、Ni6.7g/L、pH6.6、60℃)を用いて、めっき処理を行った。また、めっき膜厚はいずれも5μmを目途にめっき時間を設定し、低リンタイプでは16分、中リンタイプでは26分、NiBタイプでは60分とした。
「アルミニウム金属層の溶出」の評価は、各試料へのめっき処理工程後のめっき液中のAl濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Perkin Elmer社製のOptima 3000XL)により測定して行った。そして、めっき液中のAl濃度が0.1mg/L以下とされるものについては、アルミニウム金属層(第1アルミニウム金属層及び第2アルミニウム金属層)からのAl溶出がないものとして「◎」と評価し、Al濃度が0.1mg/Lを超え0.3mg/L未満については「○」、0.3mg/L以上については「×」と評価した。
表1に結果を示す。
2 セラミックス基板
3 回路層
4 積層体
5 無電解ニッケルめっき被膜
11 アルミニウム接合層
12 銅回路層
15 第1アルミニウム金属層
16 銅金属層
17 第2アルミニウム金属層
21 電源
22 電極
23 めっき槽
25 電子部品
31 めっき付きパワーモジュール用基板
32 積層体
35 めっき付きパワーモジュール用基板
S 接合体
M めっき液
Claims (1)
- セラミックス基板の一方の面に直接又はアルミニウム接合層を介して銅回路層を有する回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウム金属層及び銅金属層の積層体が接合されてなるパワーモジュール用基板の前記回路層にめっきを施して、めっき付きパワーモジュール用基板を製造する方法であって、前記パワーモジュール用基板の前記積層体に0.1V以上6V以下の正電位を印加した状態で前記パワーモジュール用基板をニッケルめっき液中に浸漬して前記回路層上に無電解ニッケルめっき被膜を形成するめっき処理工程を有することを特徴とするめっき付きパワーモジュール用基板の製造方法。
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